ゲート駆動回路
【課題】部品点数が少ない回路構成で、制御用電源電圧よりもオン電圧が高いパワートランジスタを確実に駆動することのできるゲート駆動回路を提供すること。
【解決手段】ゲート駆動回路10は、ダイオード21とコンデンサ22とを備えたチャージポンプ回路20で入力信号を昇圧することによりスイッチング素子1のゲートを駆動する。ゲート駆動回路10は、ダイオード21のカソードとコンデンサ22の一端とを直列接続し、コンデンサ22の他端から入力されるパルス信号Pinを、ダイオード21のアノードに入力された制御電源Vinの電圧値だけオフセットしたオフセットパルス信号を出力するチャージポンプ回路20と、ダイオード21およびコンデンサ22の接続点とスイッチング素子1との間に配設され、パルス信号Pinに同期して開閉動作することでオフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換する第1スイッチ30と、を備える。
【解決手段】ゲート駆動回路10は、ダイオード21とコンデンサ22とを備えたチャージポンプ回路20で入力信号を昇圧することによりスイッチング素子1のゲートを駆動する。ゲート駆動回路10は、ダイオード21のカソードとコンデンサ22の一端とを直列接続し、コンデンサ22の他端から入力されるパルス信号Pinを、ダイオード21のアノードに入力された制御電源Vinの電圧値だけオフセットしたオフセットパルス信号を出力するチャージポンプ回路20と、ダイオード21およびコンデンサ22の接続点とスイッチング素子1との間に配設され、パルス信号Pinに同期して開閉動作することでオフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換する第1スイッチ30と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージポンプ回路を用いたゲート駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の制御装置や電源装置等の電気機器において、負荷に高電圧、大電流の電力を供給するために、MOSFET、IGBT等のパワートランジスタが多用されている。この種のパワートランジスタの入力ゲートはMOS型構造で構成されており、電圧による入力信号でオン・オフ制御することが可能である。
【0003】
また、上記のようなパワートランジスタの低消費電力化を図るため、低損失・低オン抵抗の半導体素子が開発されている。また、上記パワートランジスタを駆動する制御回路も、制御用電源電圧を低電圧化し、低消費電力化が図られている。
【0004】
ところで、上記パワートランジスタは大電流が駆動できる利点があるが、ゲートを駆動するオン電圧が高い。そのため、パワートランジスタの駆動用として、制御回路は、制御用電源電圧より高い電圧を発生させる別電源を用意する必要がある。このように、制御回路に別電源を用いたのでは、部品点数が増加しコストが嵩む。
【0005】
そこで、ダイオードおよびコンデンサで構成した簡易な昇圧方式であるチャージポンプ回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−153045号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のチャージポンプ回路は、昇圧回路、基準電圧を発生する定電圧発生回路、および発振回路で構成されているため、まだまだ部品点数が多い。そこで、部品点数のさらなる削減を可能にし、MOSFET等のオン電圧の高いパワートランジスタを確実に駆動することが可能なゲート駆動回路が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、部品点数が少ない回路構成で、制御用電源電圧よりもオン電圧が高いパワートランジスタを確実に駆動することのできるゲート駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲート駆動回路は、ダイオード(例えば、後述のダイオード21)とコンデンサ(例えば、後述のコンデンサ22)とを備えたチャージポンプ回路(例えば、後述のチャージポンプ回路20)で入力信号を昇圧することによりスイッチング素子(例えば、後述のスイッチング素子1)のゲートを駆動するゲート駆動回路(例えば、後述の10,11,12)において、前記ダイオードのカソードと前記コンデンサの一端とを直列接続し、前記コンデンサの他端から入力されるパルス信号(例えば、後述の信号入力Pin)を、前記ダイオードのアノードに入力された制御電源(例えば、後述の電源入力Vin)の電圧値だけオフセットしたオフセットパルス信号を出力するチャージポンプ回路(例えば、後述のチャージポンプ回路20)と、前記ダイオードおよび前記コンデンサの接続点と前記スイッチング素子との間に配設され、前記パルス信号に同期して開閉動作することで前記オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換する第1スイッチ(例えば、後述の第1スイッチ30)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、入力されるパルス信号をチャージポンプ回路で制御電源電圧以上に昇圧し、第1スイッチを前記パルス信号に同期してスイッチングさせ、チャージポンプ回路から出力されるオフセットパルス信号のLoレベルを略0Vに引き下げることにより、スイッチング素子のゲートを確実にオンオフ駆動可能な昇圧された制御信号を得ることができる。しかも、チャージポンプ回路(ダイオード、コンデンサ)に第1スイッチを加えただけの部品点数の少ない回路構成で実現することができる。
【0010】
この場合さらに、前記第1スイッチおよび前記スイッチング素子のゲートの接続点と、グランドとの間に配設され、前記第1スイッチが開動作時(OFF)に閉動作(ON)する第2スイッチを備えることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、第2スイッチで昇圧パルス信号(Loレベル時)を強制的に放電させることにより、前記昇圧パルス信号の立下り特性が改善され、高速のイッチング動作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品点数が少ない回路構成で、制御用電源電圧よりもオン電圧が高いパワートランジスタを確実に駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るゲート駆動回路の第1実施形態を示す回路図である。このゲート駆動回路10は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。
【0014】
ここで、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子のゲート駆動について、簡単に説明する。一般に、DC−DCコンバータでは電圧を昇圧・降圧することが可能である。また、出力電力を増やすためにパワー系のトランジスタが用いられる。例えば、パワーMOSFETを駆動する場合、PWM信号が入力されるのが普通である。
【0015】
すなわち、図2に示すように、負荷回路に用いるMOSFET(例えば、Nチャネル型MOSトランジスタ)1を、信号入力端子2に入力されるパルス信号でオンオフすることができる。但し、パルス信号(PWM信号)のレベルは、MOSFET1のオン電圧以上であることが必要である。なお、4は一端がグランド端子に接続された抵抗である。
【0016】
また、図3に示すように、バッファ5を介した場合は、負荷回路に用いるMOSFET(Nチャネル型MOSトランジスタ)1を駆動するパルス信号(PWM信号)を、電源入力端子3に入力される電源電圧まで増幅することができる。しかし、駆動パルスを増幅できるレベルは電源電圧までであり、MOSFET1のオン電圧がさらに高い場合は駆動することができない。よって、MOSFET1を用いた負荷回路は、入力電圧の下限が決まっている。
【0017】
本実施形態では、負荷回路を通電・遮断するスイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタを用いる。Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)は、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)に比べて、オン抵抗が小さく、スイッチング特性が良いという利点がある。図示してないが、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1は、例えば、ドレインDを電源に接続し、ソースSを図示しない負荷を介してグランド端子に接続し、ゲートGを駆動して負荷の通電・遮断を制御することができる。
【0018】
ゲート駆動回路10は、チャージポンプ回路20と、第1スイッチ30とを備えている。チャージポンプ回路20は、ダイオード21とコンデンサ22とを備え、ダイオード21のカソードとコンデンサ22の一端とを直列接続してある。また、コンデンサ22の他端は、信号入力端子2に接続してあり、ダイオード21のアノードは、電源入力端子3に接続してある。
【0019】
信号入力端子2は、スイッチング素子1を駆動するための信号、すなわち、Hi(ハイレベル)とLo(ローレベル)とを交互に繰り返すパルス信号(信号入力Pin)が入力されるものである。スイッチング素子すなわちNチャネル型MOSトランジスタ1を駆動する場合は、一般に、PWM信号が入力される。一方、電源入力端子3は、制御用電源(電源入力Vin)が入力されるものである。
【0020】
そのため、チャージポンプ回路20は、信号入力端子2から入力される信号入力PinがLoの期間に、電源入力端子3から入力される電源入力Vinが、ダイオード21を介してコンデンサ22を充電する。信号入力PinがHiとなると、このときダイオード21によって逆流が阻止されるので、コンデンサ22の+側には、最大で電源入力Vinと信号入力Pinとの和の電圧(Vin+Pin)を得ることができる。
【0021】
すなわち、チャージポンプ回路20は、信号入力端子2からコンデンサ22に入力されるパルス信号(信号入力Pin)を、ダイオード21のアノードに入力される制御用電源(電源入力Vin)の電圧値だけオフセット(Vin+Pin)したオフセットパルス信号を出力する。実際には、このオフセットパルス信号は、ダイオード21の順方向電圧降下分だけ低下する。
【0022】
第1スイッチ30は、ダイオード21とコンデンサ22との接続点と、スイッチング素子すなわちNチャネル型MOSトランジスタ1(より詳しくはスイッチング素子1と抵抗4との接続点)との間に配設されたものである。そして、具体的には図示してないが、パルス信号(信号入力Pin)に同期して開閉動作することで、オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換するものである。
【0023】
図4(a)に示すように、電源入力端子3から入力される電源入力Vinは、所定の電圧レベルを有していて、例えば5V(ボルト)の電位を保つ。一方、信号入力端子2から入力される信号入力Pinは、図4(b)に示すように、所定のパルスデューティと電圧レベルを有していて、例えば5V(ボルト)の電位のオンと、0V(ボルト)の電位のオフとを交互に繰り返す。
【0024】
図4(c)に示すように、ダイオード21とコンデンサ22との接続点には、電源入力Vinと信号入力Pinとの合成電圧、すなわち、信号入力Pinを電源入力Vinの電圧値だけオフセットした電圧が現れる。但し、実際には、ダイオード21の順方向電圧降下分だけ低下する。
【0025】
したがって、ダイオード21の順方向電圧降下分を例えば1V(ボルト)とすれば、オフセットパルス信号は、5V(ボルト)の電源入力Vinに5V(ボルト)の信号入力Pinを加えた10V(ボルト)の電位から、1V(ボルト)のダイオード順方向電圧降下分を差し引いた9V(ボルト)の電位のオンと、5V(ボルト)の電源入力Vinから1V(ボルト)のダイオード順方向電圧降下分を差し引いた4V(ボルト)の電位のオフとを交互に繰り返す。
【0026】
このオフセットパルス信号は、パルス信号(信号入力Pin)に同期して開閉動作する第1スイッチ30を通すことで、図4(d)に示すように、オフの電位が0V(ボルト)に低下し、9V(ボルト)の電位のオンと、0V(ボルト)の電位のオフとを交互に繰り返す昇圧パルス信号に変換される。
【0027】
すなわち、オフセットパルス信号のオン信号(9V)発生時には、第1スイッチ30が導通することで、そのオン信号(9V)がそのまま昇圧パルス信号のオン信号(9V)となる。一方、オフセットパルス信号のオフ信号(4V)発生時には、第1スイッチ30が遮断することで、そのオフ信号(4V)は昇圧パルス信号に伝わらず、昇圧パルス信号のオフ信号は0V(ボルト)となる。このとき、負荷に印加されていた電圧は、抵抗4によってグランドレベルまで低下させることができる。
【0028】
したがって、この昇圧パルス信号は、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ。これにより、電源電圧よりも高いNチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1の駆動電圧を得ることができる。
【0029】
図5は、第1スイッチ30をPチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31で構成した実施形態を示す。すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタ31は、ソースSが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、ドレインDが、抵抗4とNチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ゲートGが、ダイオード21のアノードに接続されている。さらに、ドレインD−ソースS間にはダイオード32を配設することができる。
【0030】
この場合、信号入力PinがHiのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧がゲートG電圧よりも高くなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオンとなる。一方、信号入力PinがLoのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧とゲートG電圧とがほぼ等しくなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオフとなる。
【0031】
これにより、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0032】
図6は、第1スイッチ30をpnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35で構成した実施形態を示す。すなわち、pnp型バイポーラトランジスタ35は、エミッタEが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、コレクタCが、抵抗4とNチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ベースBが、抵抗36を介してダイオード21のアノードに接続されている。さらに、コレクタC−エミッタE間にはダイオード37を配設することができる。
【0033】
この場合、信号入力PinがHiのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧がベースB電圧よりも高くなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオンとなる。一方、信号入力PinがLoのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧とベースB電圧とがほぼ等しくなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオフとなる。
【0034】
これにより、pnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0035】
図7は、本発明に係るゲート駆動回路の第2実施形態を示す回路図である。このゲート駆動回路11は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。本実施形態も、スイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)を用いる。
【0036】
このゲート駆動回路11は、チャージポンプ回路20と、第1スイッチ30と、第2スイッチ40とを備えている。
【0037】
チャージポンプ回路20は、図1に示すチャージポンプ回路20と同様に、信号入力端子2からコンデンサ22に入力されるパルス信号(信号入力Pin)を、ダイオード21のアノードに入力される制御用電源(電源入力Vin)の電圧値だけオフセット(Vin+Pin)したオフセットパルス信号を出力するものである。実際には、このオフセットパルス信号は、ダイオード21の順方向電圧降下分だけ低下する。
【0038】
第1スイッチ30は、図1に示す第1スイッチ30と同様に、ダイオード21とコンデンサ22との接続点と、スイッチング素子すなわちNチャネル型MOSトランジスタ1(より詳しくはスイッチング素子1と抵抗4との接続点)との間に配設され、パルス信号(信号入力Pin)に同期して開閉動作することで、オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換するものである。
【0039】
第2スイッチ40は、第1スイッチ30およびスイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲートGの接続点と、グランド端子との間に、図1に示す抵抗4に代えて配設されたものである。
【0040】
図1に示す実施形態では、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1への印加電圧パルスの立ち下がり特性は、抵抗4によって決まってしまう。このため、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲート容量が大きいと、図8に示すように、放電が充分行われるまでに時間がかかり、立ち下がりのカーブが鈍ってしまって、高速の動作を行うことができない。
【0041】
このような事態を回避するために設けられたのが放電専用の第2スイッチ40である。すなわち、第2スイッチ40は、第1スイッチ30が開動作時(OFF)にこれと同期して閉動作(ON)するものである。この第2スイッチ40によって、図8に示すような立ち下がりのカーブが鈍ることを回避して、高速の動作を実現することができる。
【0042】
図9は、第1スイッチ30をPチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31で構成し、かつ、第2スイッチ40をNチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)41で構成した実施形態を示す。すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタ31は、ソースSが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、ドレインDが、Nチャネル型MOSトランジスタ41のドレインDと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ゲートGが、ダイオード21のアノードに接続されている。さらに、ドレインD−ソースS間にはダイオード32を配設することができる。
【0043】
また、Nチャネル型MOSトランジスタ41は、ドレインDが、Pチャネル型MOSトランジスタ31のドレインDと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ソースSが、グランド端子に接続され、ゲートGが、インバータ42を介して、信号入力端子2とコンデンサ22との接続点に接続されている。
【0044】
この場合、信号入力PinがHiのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧がゲートG電圧よりも高くなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオンとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ42を介して入力されるNチャネル型MOSトランジスタ41のゲートG電圧は、グランド端子に接続されたソースS電圧とほぼ等しくなるから、Nチャネル型MOSトランジスタ41はオフとなる。
【0045】
一方、信号入力PinがLoのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧とゲートG電圧とがほぼ等しくなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオフとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ42を介して入力されるNチャネル型MOSトランジスタ41のゲートG電圧は、グランド端子に接続されたソースS電圧よりも高くなるから、Nチャネル型MOSトランジスタ41はオンとなる。
【0046】
これにより、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0047】
しかも、昇圧パルス信号が立ち下がるとき(Pチャネル型MOSトランジスタ31のオンからオフへの切り換え時)、Nチャネル型MOSトランジスタ41はオンとなってドレインD−ソースS間が導通するため、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲート容量が大きくても、放電は瞬時に行われて急峻に立ち下がり、高速の動作を行うことができる。
【0048】
図10は、第1スイッチ30をpnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35で構成し、かつ、第2スイッチ40をnpn型バイポーラトランジスタ(npn)45で構成した実施形態を示す。すなわち、pnp型バイポーラトランジスタ35は、エミッタEが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、コレクタCが、npn型バイポーラトランジスタ45のコレクタCと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ベースBが、抵抗36を介してダイオード21のアノードに接続されている。さらに、コレクタC−エミッタE間にはダイオード37を配設することができる。
【0049】
また、npn型バイポーラトランジスタ45は、コレクタCが、pnp型バイポーラトランジスタ35のコレクタCと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、エミッタEが、グランド端子に接続され、ベースBが、インバータ46および抵抗47を介して、信号入力端子2とコンデンサ22との接続点に接続されている。
【0050】
この場合、信号入力PinがHiのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧がベースB電圧よりも高くなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオンとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ46および抵抗47を介して入力されるnpn型バイポーラトランジスタ45のベースB電圧は、グランド端子に接続されたエミッタE電圧とほぼ等しくなるから、npn型バイポーラトランジスタ45はオフとなる。
【0051】
一方、信号入力PinがLoのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧とベースB電圧とがほぼ等しくなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオフとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ46および抵抗47を介して入力されるnpn型バイポーラトランジスタ45のベースB電圧は、グランド端子に接続されたエミッタE電圧に比べて高くなるから、npn型バイポーラトランジスタ45はオンとなる。
【0052】
これにより、pnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0053】
しかも、昇圧パルス信号が立ち下がるとき(pnp型バイポーラトランジスタ35のオンからオフへの切り換え時)、npn型バイポーラトランジスタ45はオンとなってコレクタC−エミッタE間が導通するため、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲート容量が大きくても、放電は瞬時に行われて急峻に立ち下がり、高速の動作を行うことができる。
【0054】
図11は、本発明に係るゲート駆動回路の第3実施形態を示す回路図である。このゲート駆動回路12は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。本実施形態も、スイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)を用いる。
【0055】
本発明に係るゲート駆動回路は、図1に示す第1実施形態によるゲート駆動回路10の場合も、図7に示す第2実施形態によるゲート駆動回路11の場合も、ゲート駆動回路10,11の出力電圧(負荷への印加電圧)は、「出力電圧=電源電圧(電源入力Vin)+入力パルス(信号入力Pin)−ダイオード21の電圧降下分−第1スイッチ30(第1スイッチ素子31,35)の電圧降下分」で表すことができる。
【0056】
そのため、電源入力Vinまたは信号入力Pinの電圧を変えると、出力電圧(負荷への印加電圧)を可変することができる。また、パワー素子を駆動する場合、オン電圧以上の駆動電圧が必要であることは上述したが、例えばMOSFET等では、ゲート耐圧以下という条件も存在し、印加できる電圧の上限が決まっている。したがって、出力電圧(負荷への印加電圧)がゲート耐圧以上の電圧にまで昇圧すると、素子を破壊してしまうので、このような事態の発生を回避しなければならない。
【0057】
本実施形態によるゲート駆動回路12は、出力電圧(負荷への印加電圧)をゲート耐圧以下にすることができるものである。すなわち、電源電圧が固定されている場合、(A)、(B)で示す電圧調整部や、(C)、(D)、(E)で示す電圧制限部を設けることで、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0058】
例えば、電源入力端子3とダイオード21のアノードとの間に、図12に示すような適宜のレギュレータ51を配設することで、電圧調整部(A)を構成する。このレギュレータ51によって、電源入力端子3から入力される電源入力Vinの電圧レベルを調整することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0059】
また、例えば、信号入力端子2とコンデンサ22との間に、図13に示すようなバッファ52および適宜のレギュレータ53を配設することで、電圧調整部(B)を構成する。レギュレータ53によって、入力パルス(信号入力Pin)を出力するバッファ52の電圧を調整することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0060】
また、例えば、ダイオード21およびコンデンサ22の接続点と第1スイッチ30との間に、電圧制限部(C)を設けるか、または、第1スイッチ30と、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点との間に、電圧制限部(D)を設けるか、または、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点と、スイッチング素子1のゲートGとの間に、電圧制限部(E)を設ける。電圧制限部(C)、(D)、(E)は、図14に示すように、ツェナーダイオード54および抵抗55,56によって構成する。
【0061】
これにより、ダイオード21およびコンデンサ22の接続点の電圧に比べて、第1スイッチ30の入力端の電圧を、電圧制限部(C)のツェナーダイオード54(および抵抗55,56)を利用して制限することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0062】
また、第1スイッチ30の出力端の電圧に比べて、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点の電圧を、電圧制限部(D)のツェナーダイオード54(および抵抗55,56)を利用して制限することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0063】
さらに、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点の電圧に比べて、スイッチング素子1のゲートGの電圧を、電圧制限部(E)のツェナーダイオード54(および抵抗55,56)を利用して制限することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0064】
一方、電源電圧が変動する場合は、電圧が一定レベル以上に上昇することを防止する必要があるが、この場合も、本実施形態によるゲート駆動回路12は、上記と同様にして電圧調整部(A)、(B)や電圧制限部(C)、(D)、(E)を設けることで、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。但し、電源電圧の変動に応じて出力電圧(パワー素子駆動パルス電圧)を変えたい場合は、電圧制限部(C)、(D)、(E)のいずれか設けて、制限電圧を制御するようにすればよい。
【0065】
図15は、本発明に係るゲート駆動回路の変形例を示す回路図である。このゲート駆動回路13は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。本変形例も、スイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)を用いる。
【0066】
本変形例のゲート駆動回路13は、図1に示すゲート駆動回路10と比較すると、チャージポンプ回路20の構成が相違している。すなわち、ゲート駆動回路10のチャージポンプ回路20が、ダイオード21とコンデンサ22とで構成されているのに対して、ゲート駆動回路13のチャージポンプ回路20は、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)23とコンデンサ22と遅延回路24とで構成されている。
【0067】
すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタ23は、ソースSが、電源入力端子(電源入力Vin)3に接続され、ドレインDが、コンデンサ22および第1スイッチ30の接続点に接続され、ゲートGが、信号入力端子2に接続されている。信号入力端子2およびPチャネル型MOSトランジスタ23のゲートGの接続点と、コンデンサ22との間に配設された遅延回路24は、Pチャネル型MOSトランジスタ23のオン期間と、コンデンサ22の昇圧期間とが重ならないようにするため、すなわち、昇圧された電圧が電源入力端子(電源入力Vin)3側に抜けないようにするためのものである。
【0068】
このように、ダイオード21に代えてPチャネル型MOSトランジスタ23を用いることで、ゲート駆動回路13は、チャージポンプ回路20での電圧降下を抑えることができる。
【0069】
このような変形例は、図1に示すゲート駆動回路10に対してのみ成立するものではない。すなわち、図7に示すゲート駆動回路11に対しても、チャージポンプ回路20の構成を、ダイオード21に代えてPチャネル型MOSトランジスタ23(および遅延回路24)を用いるように変更することが可能である。これにより、ゲート駆動回路11は、チャージポンプ回路20での電圧降下を抑えることができる。
【0070】
同様に、図11に示すゲート駆動回路12に対しても、ダイオード21に代えてPチャネル型MOSトランジスタ23(および遅延回路24)を用いてチャージポンプ回路20の構成することが可能である。これにより、ゲート駆動回路12は、チャージポンプ回路20での電圧降下を抑えることができる。
【0071】
従来、昇圧する別電源ではゲートを駆動できる電圧まで昇圧するのに時間がかかるため、電圧が立ち上がるまでパワートランジスタを駆動することができなかった。本発明は、昇圧する時間がかからず、起動が早くできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るゲート駆動回路の第1実施形態を示す回路図である。
【図2】オン電圧の高いスイッチング素子のゲート駆動について説明する回路図である。
【図3】オン電圧の高いスイッチング素子のゲート駆動について説明する回路図である。
【図4】図1のゲート駆動回路の各部の電圧波形を示す波形図である。
【図5】図1のゲート駆動回路の第1スイッチをPチャネル型MOSトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図6】図1のゲート駆動回路の第1スイッチをpnp型バイポーラトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図7】本発明に係るゲート駆動回路の第2実施形態を示す回路図である。
【図8】図1のゲート駆動回路におけるスイッチング素子への印加電圧パルスの立ち下がり特性を示す波形図である。
【図9】図7のゲート駆動回路の第1スイッチをPチャネル型MOSトランジスタで構成し、かつ、第2スイッチをNチャネル型MOSトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図10】図7のゲート駆動回路の第1スイッチをpnp型バイポーラトランジスタで構成し、かつ、第2スイッチをnpn型バイポーラトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図11】本発明に係るゲート駆動回路の第3実施形態を示す回路図である。
【図12】図11のゲート駆動回路における電圧調整部(A)の一例を示す回路図である。
【図13】図11のゲート駆動回路における電圧調整部(B)の一例を示す回路図である。
【図14】図11のゲート駆動回路における電圧制限部(C)、(D)、(E)の一例を示す回路図である。
【図15】本発明に係るゲート駆動回路の変形例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0073】
1 スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ;NMOS)
2 信号入力端子(信号入力Pin)
3 電源入力端子(電源入力Vin)
10,11,12,13 ゲート駆動回路
20 チャージポンプ回路
21 ダイオード
22 コンデンサ
30 第1スイッチ
31 Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)
35 pnp型バイポーラトランジスタ(pnp)
40 第2スイッチ
41 Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)
45 npn型バイポーラトランジスタ(npn)
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージポンプ回路を用いたゲート駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の制御装置や電源装置等の電気機器において、負荷に高電圧、大電流の電力を供給するために、MOSFET、IGBT等のパワートランジスタが多用されている。この種のパワートランジスタの入力ゲートはMOS型構造で構成されており、電圧による入力信号でオン・オフ制御することが可能である。
【0003】
また、上記のようなパワートランジスタの低消費電力化を図るため、低損失・低オン抵抗の半導体素子が開発されている。また、上記パワートランジスタを駆動する制御回路も、制御用電源電圧を低電圧化し、低消費電力化が図られている。
【0004】
ところで、上記パワートランジスタは大電流が駆動できる利点があるが、ゲートを駆動するオン電圧が高い。そのため、パワートランジスタの駆動用として、制御回路は、制御用電源電圧より高い電圧を発生させる別電源を用意する必要がある。このように、制御回路に別電源を用いたのでは、部品点数が増加しコストが嵩む。
【0005】
そこで、ダイオードおよびコンデンサで構成した簡易な昇圧方式であるチャージポンプ回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−153045号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のチャージポンプ回路は、昇圧回路、基準電圧を発生する定電圧発生回路、および発振回路で構成されているため、まだまだ部品点数が多い。そこで、部品点数のさらなる削減を可能にし、MOSFET等のオン電圧の高いパワートランジスタを確実に駆動することが可能なゲート駆動回路が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、部品点数が少ない回路構成で、制御用電源電圧よりもオン電圧が高いパワートランジスタを確実に駆動することのできるゲート駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲート駆動回路は、ダイオード(例えば、後述のダイオード21)とコンデンサ(例えば、後述のコンデンサ22)とを備えたチャージポンプ回路(例えば、後述のチャージポンプ回路20)で入力信号を昇圧することによりスイッチング素子(例えば、後述のスイッチング素子1)のゲートを駆動するゲート駆動回路(例えば、後述の10,11,12)において、前記ダイオードのカソードと前記コンデンサの一端とを直列接続し、前記コンデンサの他端から入力されるパルス信号(例えば、後述の信号入力Pin)を、前記ダイオードのアノードに入力された制御電源(例えば、後述の電源入力Vin)の電圧値だけオフセットしたオフセットパルス信号を出力するチャージポンプ回路(例えば、後述のチャージポンプ回路20)と、前記ダイオードおよび前記コンデンサの接続点と前記スイッチング素子との間に配設され、前記パルス信号に同期して開閉動作することで前記オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換する第1スイッチ(例えば、後述の第1スイッチ30)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、入力されるパルス信号をチャージポンプ回路で制御電源電圧以上に昇圧し、第1スイッチを前記パルス信号に同期してスイッチングさせ、チャージポンプ回路から出力されるオフセットパルス信号のLoレベルを略0Vに引き下げることにより、スイッチング素子のゲートを確実にオンオフ駆動可能な昇圧された制御信号を得ることができる。しかも、チャージポンプ回路(ダイオード、コンデンサ)に第1スイッチを加えただけの部品点数の少ない回路構成で実現することができる。
【0010】
この場合さらに、前記第1スイッチおよび前記スイッチング素子のゲートの接続点と、グランドとの間に配設され、前記第1スイッチが開動作時(OFF)に閉動作(ON)する第2スイッチを備えることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、第2スイッチで昇圧パルス信号(Loレベル時)を強制的に放電させることにより、前記昇圧パルス信号の立下り特性が改善され、高速のイッチング動作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品点数が少ない回路構成で、制御用電源電圧よりもオン電圧が高いパワートランジスタを確実に駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るゲート駆動回路の第1実施形態を示す回路図である。このゲート駆動回路10は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。
【0014】
ここで、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子のゲート駆動について、簡単に説明する。一般に、DC−DCコンバータでは電圧を昇圧・降圧することが可能である。また、出力電力を増やすためにパワー系のトランジスタが用いられる。例えば、パワーMOSFETを駆動する場合、PWM信号が入力されるのが普通である。
【0015】
すなわち、図2に示すように、負荷回路に用いるMOSFET(例えば、Nチャネル型MOSトランジスタ)1を、信号入力端子2に入力されるパルス信号でオンオフすることができる。但し、パルス信号(PWM信号)のレベルは、MOSFET1のオン電圧以上であることが必要である。なお、4は一端がグランド端子に接続された抵抗である。
【0016】
また、図3に示すように、バッファ5を介した場合は、負荷回路に用いるMOSFET(Nチャネル型MOSトランジスタ)1を駆動するパルス信号(PWM信号)を、電源入力端子3に入力される電源電圧まで増幅することができる。しかし、駆動パルスを増幅できるレベルは電源電圧までであり、MOSFET1のオン電圧がさらに高い場合は駆動することができない。よって、MOSFET1を用いた負荷回路は、入力電圧の下限が決まっている。
【0017】
本実施形態では、負荷回路を通電・遮断するスイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタを用いる。Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)は、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)に比べて、オン抵抗が小さく、スイッチング特性が良いという利点がある。図示してないが、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1は、例えば、ドレインDを電源に接続し、ソースSを図示しない負荷を介してグランド端子に接続し、ゲートGを駆動して負荷の通電・遮断を制御することができる。
【0018】
ゲート駆動回路10は、チャージポンプ回路20と、第1スイッチ30とを備えている。チャージポンプ回路20は、ダイオード21とコンデンサ22とを備え、ダイオード21のカソードとコンデンサ22の一端とを直列接続してある。また、コンデンサ22の他端は、信号入力端子2に接続してあり、ダイオード21のアノードは、電源入力端子3に接続してある。
【0019】
信号入力端子2は、スイッチング素子1を駆動するための信号、すなわち、Hi(ハイレベル)とLo(ローレベル)とを交互に繰り返すパルス信号(信号入力Pin)が入力されるものである。スイッチング素子すなわちNチャネル型MOSトランジスタ1を駆動する場合は、一般に、PWM信号が入力される。一方、電源入力端子3は、制御用電源(電源入力Vin)が入力されるものである。
【0020】
そのため、チャージポンプ回路20は、信号入力端子2から入力される信号入力PinがLoの期間に、電源入力端子3から入力される電源入力Vinが、ダイオード21を介してコンデンサ22を充電する。信号入力PinがHiとなると、このときダイオード21によって逆流が阻止されるので、コンデンサ22の+側には、最大で電源入力Vinと信号入力Pinとの和の電圧(Vin+Pin)を得ることができる。
【0021】
すなわち、チャージポンプ回路20は、信号入力端子2からコンデンサ22に入力されるパルス信号(信号入力Pin)を、ダイオード21のアノードに入力される制御用電源(電源入力Vin)の電圧値だけオフセット(Vin+Pin)したオフセットパルス信号を出力する。実際には、このオフセットパルス信号は、ダイオード21の順方向電圧降下分だけ低下する。
【0022】
第1スイッチ30は、ダイオード21とコンデンサ22との接続点と、スイッチング素子すなわちNチャネル型MOSトランジスタ1(より詳しくはスイッチング素子1と抵抗4との接続点)との間に配設されたものである。そして、具体的には図示してないが、パルス信号(信号入力Pin)に同期して開閉動作することで、オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換するものである。
【0023】
図4(a)に示すように、電源入力端子3から入力される電源入力Vinは、所定の電圧レベルを有していて、例えば5V(ボルト)の電位を保つ。一方、信号入力端子2から入力される信号入力Pinは、図4(b)に示すように、所定のパルスデューティと電圧レベルを有していて、例えば5V(ボルト)の電位のオンと、0V(ボルト)の電位のオフとを交互に繰り返す。
【0024】
図4(c)に示すように、ダイオード21とコンデンサ22との接続点には、電源入力Vinと信号入力Pinとの合成電圧、すなわち、信号入力Pinを電源入力Vinの電圧値だけオフセットした電圧が現れる。但し、実際には、ダイオード21の順方向電圧降下分だけ低下する。
【0025】
したがって、ダイオード21の順方向電圧降下分を例えば1V(ボルト)とすれば、オフセットパルス信号は、5V(ボルト)の電源入力Vinに5V(ボルト)の信号入力Pinを加えた10V(ボルト)の電位から、1V(ボルト)のダイオード順方向電圧降下分を差し引いた9V(ボルト)の電位のオンと、5V(ボルト)の電源入力Vinから1V(ボルト)のダイオード順方向電圧降下分を差し引いた4V(ボルト)の電位のオフとを交互に繰り返す。
【0026】
このオフセットパルス信号は、パルス信号(信号入力Pin)に同期して開閉動作する第1スイッチ30を通すことで、図4(d)に示すように、オフの電位が0V(ボルト)に低下し、9V(ボルト)の電位のオンと、0V(ボルト)の電位のオフとを交互に繰り返す昇圧パルス信号に変換される。
【0027】
すなわち、オフセットパルス信号のオン信号(9V)発生時には、第1スイッチ30が導通することで、そのオン信号(9V)がそのまま昇圧パルス信号のオン信号(9V)となる。一方、オフセットパルス信号のオフ信号(4V)発生時には、第1スイッチ30が遮断することで、そのオフ信号(4V)は昇圧パルス信号に伝わらず、昇圧パルス信号のオフ信号は0V(ボルト)となる。このとき、負荷に印加されていた電圧は、抵抗4によってグランドレベルまで低下させることができる。
【0028】
したがって、この昇圧パルス信号は、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ。これにより、電源電圧よりも高いNチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1の駆動電圧を得ることができる。
【0029】
図5は、第1スイッチ30をPチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31で構成した実施形態を示す。すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタ31は、ソースSが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、ドレインDが、抵抗4とNチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ゲートGが、ダイオード21のアノードに接続されている。さらに、ドレインD−ソースS間にはダイオード32を配設することができる。
【0030】
この場合、信号入力PinがHiのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧がゲートG電圧よりも高くなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオンとなる。一方、信号入力PinがLoのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧とゲートG電圧とがほぼ等しくなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオフとなる。
【0031】
これにより、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0032】
図6は、第1スイッチ30をpnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35で構成した実施形態を示す。すなわち、pnp型バイポーラトランジスタ35は、エミッタEが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、コレクタCが、抵抗4とNチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ベースBが、抵抗36を介してダイオード21のアノードに接続されている。さらに、コレクタC−エミッタE間にはダイオード37を配設することができる。
【0033】
この場合、信号入力PinがHiのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧がベースB電圧よりも高くなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオンとなる。一方、信号入力PinがLoのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧とベースB電圧とがほぼ等しくなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオフとなる。
【0034】
これにより、pnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0035】
図7は、本発明に係るゲート駆動回路の第2実施形態を示す回路図である。このゲート駆動回路11は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。本実施形態も、スイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)を用いる。
【0036】
このゲート駆動回路11は、チャージポンプ回路20と、第1スイッチ30と、第2スイッチ40とを備えている。
【0037】
チャージポンプ回路20は、図1に示すチャージポンプ回路20と同様に、信号入力端子2からコンデンサ22に入力されるパルス信号(信号入力Pin)を、ダイオード21のアノードに入力される制御用電源(電源入力Vin)の電圧値だけオフセット(Vin+Pin)したオフセットパルス信号を出力するものである。実際には、このオフセットパルス信号は、ダイオード21の順方向電圧降下分だけ低下する。
【0038】
第1スイッチ30は、図1に示す第1スイッチ30と同様に、ダイオード21とコンデンサ22との接続点と、スイッチング素子すなわちNチャネル型MOSトランジスタ1(より詳しくはスイッチング素子1と抵抗4との接続点)との間に配設され、パルス信号(信号入力Pin)に同期して開閉動作することで、オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換するものである。
【0039】
第2スイッチ40は、第1スイッチ30およびスイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲートGの接続点と、グランド端子との間に、図1に示す抵抗4に代えて配設されたものである。
【0040】
図1に示す実施形態では、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1への印加電圧パルスの立ち下がり特性は、抵抗4によって決まってしまう。このため、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲート容量が大きいと、図8に示すように、放電が充分行われるまでに時間がかかり、立ち下がりのカーブが鈍ってしまって、高速の動作を行うことができない。
【0041】
このような事態を回避するために設けられたのが放電専用の第2スイッチ40である。すなわち、第2スイッチ40は、第1スイッチ30が開動作時(OFF)にこれと同期して閉動作(ON)するものである。この第2スイッチ40によって、図8に示すような立ち下がりのカーブが鈍ることを回避して、高速の動作を実現することができる。
【0042】
図9は、第1スイッチ30をPチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31で構成し、かつ、第2スイッチ40をNチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)41で構成した実施形態を示す。すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタ31は、ソースSが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、ドレインDが、Nチャネル型MOSトランジスタ41のドレインDと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ゲートGが、ダイオード21のアノードに接続されている。さらに、ドレインD−ソースS間にはダイオード32を配設することができる。
【0043】
また、Nチャネル型MOSトランジスタ41は、ドレインDが、Pチャネル型MOSトランジスタ31のドレインDと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ソースSが、グランド端子に接続され、ゲートGが、インバータ42を介して、信号入力端子2とコンデンサ22との接続点に接続されている。
【0044】
この場合、信号入力PinがHiのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧がゲートG電圧よりも高くなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオンとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ42を介して入力されるNチャネル型MOSトランジスタ41のゲートG電圧は、グランド端子に接続されたソースS電圧とほぼ等しくなるから、Nチャネル型MOSトランジスタ41はオフとなる。
【0045】
一方、信号入力PinがLoのときは、Pチャネル型MOSトランジスタ31のソースS電圧とゲートG電圧とがほぼ等しくなるから、Pチャネル型MOSトランジスタ31はオフとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ42を介して入力されるNチャネル型MOSトランジスタ41のゲートG電圧は、グランド端子に接続されたソースS電圧よりも高くなるから、Nチャネル型MOSトランジスタ41はオンとなる。
【0046】
これにより、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)31の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0047】
しかも、昇圧パルス信号が立ち下がるとき(Pチャネル型MOSトランジスタ31のオンからオフへの切り換え時)、Nチャネル型MOSトランジスタ41はオンとなってドレインD−ソースS間が導通するため、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲート容量が大きくても、放電は瞬時に行われて急峻に立ち下がり、高速の動作を行うことができる。
【0048】
図10は、第1スイッチ30をpnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35で構成し、かつ、第2スイッチ40をnpn型バイポーラトランジスタ(npn)45で構成した実施形態を示す。すなわち、pnp型バイポーラトランジスタ35は、エミッタEが、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に接続され、コレクタCが、npn型バイポーラトランジスタ45のコレクタCと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、ベースBが、抵抗36を介してダイオード21のアノードに接続されている。さらに、コレクタC−エミッタE間にはダイオード37を配設することができる。
【0049】
また、npn型バイポーラトランジスタ45は、コレクタCが、pnp型バイポーラトランジスタ35のコレクタCと、Nチャネル型MOSトランジスタ(スイッチング素子)1のゲートGとの接続点に接続され、エミッタEが、グランド端子に接続され、ベースBが、インバータ46および抵抗47を介して、信号入力端子2とコンデンサ22との接続点に接続されている。
【0050】
この場合、信号入力PinがHiのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧がベースB電圧よりも高くなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオンとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ46および抵抗47を介して入力されるnpn型バイポーラトランジスタ45のベースB電圧は、グランド端子に接続されたエミッタE電圧とほぼ等しくなるから、npn型バイポーラトランジスタ45はオフとなる。
【0051】
一方、信号入力PinがLoのときは、pnp型バイポーラトランジスタ35のエミッタE電圧とベースB電圧とがほぼ等しくなるから、pnp型バイポーラトランジスタ35はオフとなる。このとき、信号入力Pinがインバータ46および抵抗47を介して入力されるnpn型バイポーラトランジスタ45のベースB電圧は、グランド端子に接続されたエミッタE電圧に比べて高くなるから、npn型バイポーラトランジスタ45はオンとなる。
【0052】
これにより、pnp型バイポーラトランジスタ(pnp)35の出力側には、上述したように、オン信号の電圧レベルが、電源入力Vinの電圧レベル5V(ボルト)よりも高い9V(ボルト)の電位を保ち、かつ、オフ信号の電圧レベルが、信号入力Pinのオフ信号と同じ0V(ボルト)の電位を保つ昇圧パルス信号が現れる。
【0053】
しかも、昇圧パルス信号が立ち下がるとき(pnp型バイポーラトランジスタ35のオンからオフへの切り換え時)、npn型バイポーラトランジスタ45はオンとなってコレクタC−エミッタE間が導通するため、スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ)1のゲート容量が大きくても、放電は瞬時に行われて急峻に立ち下がり、高速の動作を行うことができる。
【0054】
図11は、本発明に係るゲート駆動回路の第3実施形態を示す回路図である。このゲート駆動回路12は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。本実施形態も、スイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)を用いる。
【0055】
本発明に係るゲート駆動回路は、図1に示す第1実施形態によるゲート駆動回路10の場合も、図7に示す第2実施形態によるゲート駆動回路11の場合も、ゲート駆動回路10,11の出力電圧(負荷への印加電圧)は、「出力電圧=電源電圧(電源入力Vin)+入力パルス(信号入力Pin)−ダイオード21の電圧降下分−第1スイッチ30(第1スイッチ素子31,35)の電圧降下分」で表すことができる。
【0056】
そのため、電源入力Vinまたは信号入力Pinの電圧を変えると、出力電圧(負荷への印加電圧)を可変することができる。また、パワー素子を駆動する場合、オン電圧以上の駆動電圧が必要であることは上述したが、例えばMOSFET等では、ゲート耐圧以下という条件も存在し、印加できる電圧の上限が決まっている。したがって、出力電圧(負荷への印加電圧)がゲート耐圧以上の電圧にまで昇圧すると、素子を破壊してしまうので、このような事態の発生を回避しなければならない。
【0057】
本実施形態によるゲート駆動回路12は、出力電圧(負荷への印加電圧)をゲート耐圧以下にすることができるものである。すなわち、電源電圧が固定されている場合、(A)、(B)で示す電圧調整部や、(C)、(D)、(E)で示す電圧制限部を設けることで、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0058】
例えば、電源入力端子3とダイオード21のアノードとの間に、図12に示すような適宜のレギュレータ51を配設することで、電圧調整部(A)を構成する。このレギュレータ51によって、電源入力端子3から入力される電源入力Vinの電圧レベルを調整することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0059】
また、例えば、信号入力端子2とコンデンサ22との間に、図13に示すようなバッファ52および適宜のレギュレータ53を配設することで、電圧調整部(B)を構成する。レギュレータ53によって、入力パルス(信号入力Pin)を出力するバッファ52の電圧を調整することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0060】
また、例えば、ダイオード21およびコンデンサ22の接続点と第1スイッチ30との間に、電圧制限部(C)を設けるか、または、第1スイッチ30と、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点との間に、電圧制限部(D)を設けるか、または、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点と、スイッチング素子1のゲートGとの間に、電圧制限部(E)を設ける。電圧制限部(C)、(D)、(E)は、図14に示すように、ツェナーダイオード54および抵抗55,56によって構成する。
【0061】
これにより、ダイオード21およびコンデンサ22の接続点の電圧に比べて、第1スイッチ30の入力端の電圧を、電圧制限部(C)のツェナーダイオード54(および抵抗55,56)を利用して制限することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0062】
また、第1スイッチ30の出力端の電圧に比べて、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点の電圧を、電圧制限部(D)のツェナーダイオード54(および抵抗55,56)を利用して制限することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0063】
さらに、第2スイッチ40およびスイッチング素子1のゲートGの接続点の電圧に比べて、スイッチング素子1のゲートGの電圧を、電圧制限部(E)のツェナーダイオード54(および抵抗55,56)を利用して制限することができ、その結果、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。
【0064】
一方、電源電圧が変動する場合は、電圧が一定レベル以上に上昇することを防止する必要があるが、この場合も、本実施形態によるゲート駆動回路12は、上記と同様にして電圧調整部(A)、(B)や電圧制限部(C)、(D)、(E)を設けることで、出力電圧(負荷への印加電圧)をパワー素子のゲート耐圧以下に設定することができる。但し、電源電圧の変動に応じて出力電圧(パワー素子駆動パルス電圧)を変えたい場合は、電圧制限部(C)、(D)、(E)のいずれか設けて、制限電圧を制御するようにすればよい。
【0065】
図15は、本発明に係るゲート駆動回路の変形例を示す回路図である。このゲート駆動回路13は、パワートランジスタ等のオン電圧の高いスイッチング素子1のゲートを駆動するものである。本変形例も、スイッチング素子1として、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)を用いる。
【0066】
本変形例のゲート駆動回路13は、図1に示すゲート駆動回路10と比較すると、チャージポンプ回路20の構成が相違している。すなわち、ゲート駆動回路10のチャージポンプ回路20が、ダイオード21とコンデンサ22とで構成されているのに対して、ゲート駆動回路13のチャージポンプ回路20は、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)23とコンデンサ22と遅延回路24とで構成されている。
【0067】
すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタ23は、ソースSが、電源入力端子(電源入力Vin)3に接続され、ドレインDが、コンデンサ22および第1スイッチ30の接続点に接続され、ゲートGが、信号入力端子2に接続されている。信号入力端子2およびPチャネル型MOSトランジスタ23のゲートGの接続点と、コンデンサ22との間に配設された遅延回路24は、Pチャネル型MOSトランジスタ23のオン期間と、コンデンサ22の昇圧期間とが重ならないようにするため、すなわち、昇圧された電圧が電源入力端子(電源入力Vin)3側に抜けないようにするためのものである。
【0068】
このように、ダイオード21に代えてPチャネル型MOSトランジスタ23を用いることで、ゲート駆動回路13は、チャージポンプ回路20での電圧降下を抑えることができる。
【0069】
このような変形例は、図1に示すゲート駆動回路10に対してのみ成立するものではない。すなわち、図7に示すゲート駆動回路11に対しても、チャージポンプ回路20の構成を、ダイオード21に代えてPチャネル型MOSトランジスタ23(および遅延回路24)を用いるように変更することが可能である。これにより、ゲート駆動回路11は、チャージポンプ回路20での電圧降下を抑えることができる。
【0070】
同様に、図11に示すゲート駆動回路12に対しても、ダイオード21に代えてPチャネル型MOSトランジスタ23(および遅延回路24)を用いてチャージポンプ回路20の構成することが可能である。これにより、ゲート駆動回路12は、チャージポンプ回路20での電圧降下を抑えることができる。
【0071】
従来、昇圧する別電源ではゲートを駆動できる電圧まで昇圧するのに時間がかかるため、電圧が立ち上がるまでパワートランジスタを駆動することができなかった。本発明は、昇圧する時間がかからず、起動が早くできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るゲート駆動回路の第1実施形態を示す回路図である。
【図2】オン電圧の高いスイッチング素子のゲート駆動について説明する回路図である。
【図3】オン電圧の高いスイッチング素子のゲート駆動について説明する回路図である。
【図4】図1のゲート駆動回路の各部の電圧波形を示す波形図である。
【図5】図1のゲート駆動回路の第1スイッチをPチャネル型MOSトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図6】図1のゲート駆動回路の第1スイッチをpnp型バイポーラトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図7】本発明に係るゲート駆動回路の第2実施形態を示す回路図である。
【図8】図1のゲート駆動回路におけるスイッチング素子への印加電圧パルスの立ち下がり特性を示す波形図である。
【図9】図7のゲート駆動回路の第1スイッチをPチャネル型MOSトランジスタで構成し、かつ、第2スイッチをNチャネル型MOSトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図10】図7のゲート駆動回路の第1スイッチをpnp型バイポーラトランジスタで構成し、かつ、第2スイッチをnpn型バイポーラトランジスタで構成した実施形態を示す回路図である。
【図11】本発明に係るゲート駆動回路の第3実施形態を示す回路図である。
【図12】図11のゲート駆動回路における電圧調整部(A)の一例を示す回路図である。
【図13】図11のゲート駆動回路における電圧調整部(B)の一例を示す回路図である。
【図14】図11のゲート駆動回路における電圧制限部(C)、(D)、(E)の一例を示す回路図である。
【図15】本発明に係るゲート駆動回路の変形例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0073】
1 スイッチング素子(Nチャネル型MOSトランジスタ;NMOS)
2 信号入力端子(信号入力Pin)
3 電源入力端子(電源入力Vin)
10,11,12,13 ゲート駆動回路
20 チャージポンプ回路
21 ダイオード
22 コンデンサ
30 第1スイッチ
31 Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)
35 pnp型バイポーラトランジスタ(pnp)
40 第2スイッチ
41 Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)
45 npn型バイポーラトランジスタ(npn)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオードとコンデンサとを備えたチャージポンプ回路で入力信号を昇圧することによりスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路において、
前記ダイオードのカソードと前記コンデンサの一端とを直列接続し、前記コンデンサの他端から入力されるパルス信号を、前記ダイオードのアノードに入力された制御電源の電圧値だけオフセットしたオフセットパルス信号を出力するチャージポンプ回路と、
前記ダイオードおよび前記コンデンサの接続点と前記スイッチング素子との間に配設され、前記パルス信号に同期して開閉動作することで前記オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換する第1スイッチと、
を備えることを特徴とするゲート駆動回路。
【請求項2】
請求項1記載のゲート駆動回路において、
前記第1スイッチおよび前記スイッチング素子のゲートの接続点と、グランドとの間に配設され、前記第1スイッチが開動作時(OFF)に閉動作(ON)する第2スイッチを備えることを特徴とするゲート駆動回路。
【請求項1】
ダイオードとコンデンサとを備えたチャージポンプ回路で入力信号を昇圧することによりスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路において、
前記ダイオードのカソードと前記コンデンサの一端とを直列接続し、前記コンデンサの他端から入力されるパルス信号を、前記ダイオードのアノードに入力された制御電源の電圧値だけオフセットしたオフセットパルス信号を出力するチャージポンプ回路と、
前記ダイオードおよび前記コンデンサの接続点と前記スイッチング素子との間に配設され、前記パルス信号に同期して開閉動作することで前記オフセットパルス信号を昇圧パルス信号に変換する第1スイッチと、
を備えることを特徴とするゲート駆動回路。
【請求項2】
請求項1記載のゲート駆動回路において、
前記第1スイッチおよび前記スイッチング素子のゲートの接続点と、グランドとの間に配設され、前記第1スイッチが開動作時(OFF)に閉動作(ON)する第2スイッチを備えることを特徴とするゲート駆動回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−51105(P2010−51105A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213644(P2008−213644)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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