コア2GlcNAc−T阻害剤
本発明は、UDP−GlcNAc:Galβ1,3GalNAc−R(GlcNAc→GalNAc)β−1,6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(コア2β−1,6 N−アセチルアミノトランスフェラーゼ、コア2GlcNAc−T:EC2.4.1.102)の阻害剤としての既知および新規化合物の使用に関する。このような阻害剤は、コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した疾患、特に、炎症性疾患、アテローム硬化症、糖尿病性心筋症、癌(転移の治療または予防が含まれる)または糖尿病性網膜症の療法に適用を有する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、UDP−GlcNAc:Galβ1,3GalNAc−R(GlcNAc→GalNAc)β−1,6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(コア2β−1,6 N−アセチルアミノトランスフェラーゼ、コア2GlcNAc−T:EC2.4.1.102)の阻害剤としての既知および新規化合物の使用に関する。
【0002】
このような阻害剤は、コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した疾患、特に、炎症性疾患、アテローム硬化症、糖尿病性心筋症、癌(転移の治療または予防が含まれる)または、糖尿病性網膜症の療法に適用を有する。
【0003】
本発明者は、本明細書に記載する化合物が、本明細書に記載のアッセイにおいて測定されるように、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導性の活性と、培養ウシ網膜毛細管内皮細胞へのヒト白血球のグルコース誘導性の結合を阻害可能であることを確定した。以下にコア2GlcNAc−T阻害剤と呼ぶこれらの化合物の患者への投与は、上記の疾患状態において、コア2GlcNAc−Tの上昇活性を阻害することによって、コア2O−グリカンおよびシアリルLewisXの異常な形成を予防または治療することができる。
【0004】
グルコシル化されるタンパク質中のセリンまたはスレオニンのいずれかの残基へのN−アセチル−グルコサミン(GalNAc)の付加によるグリコシル化の開始に続き、プロセシングは、O−グリカンの伸長、分岐、そして次いで、末端修飾により進行する。
【0005】
O−グリカン伸長および分岐における必須の工程は、相同のグリコシル−トランスフェラーゼのファミリーに由来する多数のグリコシルトランスフェラーゼアイソフォームにより触媒される。この第一のGalNAc残基へどのサッカライド基がその後付くかに依存して、O−グリカンは、4つの主要サブタイプへ分類される(図1)。コア1構造は、ガラクトースの付加により形成されて、Galβ1−3−GalNAc−αSer/Thrを形成する。コア2構造は、コア1構造を基質として要求して、GlcNAcの付加により形成されて、Gal1β1−3(GlcNAcβ1−6)GalNAc−αSer/Thrを形成する。コア3構造は、GlcNAcの付加により形成されて、GlcNAcβ1−3GalNAc−αSer/Thrを形成する。コア4構造は、コア3構造を基質として要求してGlcNAcの付加により形成されて、GlcNAcβ1−3(GlcNAcβ1−6)GalNAc−αSer/Thrを形成する。コアGalNAc構造への他の修飾も見出されているが、稀であるらしい。これらコア構造は、いずれも、ガラクトシル化、シアル化、フコシル化、硫酸化、または伸長によりさらに修飾されて、最終的にO−グリカンを形成する。
【0006】
コア2GlcNAc−Tの3つの型が知られている。白血病細胞より同定されたコア2GlcNAc−T I、ムチン分泌組織において同定されたコア2GlcNAc−T II、およびコア2GlcNAc−T IIIと呼ばれる第三の胸腺関連種である。
【0007】
細胞表面O−グリカンは、発生とある種の疾患状態において、細胞−細胞相互作用を仲介するのに不可欠な役割を担うことが知られている。タンパク質グリコシル化のパターンは、ゴルジ体において発現されるコア2GlcNAc−Tのようなグリコトランスフェラーゼ酵素の活性および特異性により主に決定される(1−2)。コア2GlcNAc−Tは、O−連結グリカンの生合成において不可欠な役割を担い(3−4)、ポリラクトサミン(即ち、反復性のGalβ1−4GlcNAcβ1−3)のあるO−連結糖(悪性の形質転換と関連した構造)の伸長に重要な調節工程を表す(5−6)。
【0008】
コア2GlcNAc−Tの活性の変化は、T細胞活性化、癌、転移、骨髄芽細胞性白血病、心筋機能不全、および炎症のような、様々な疾患状態と関連付けられてきた(7−18)。コア2GlcNAc−Tの調節が特に重要であると考えられるのは、この酵素により形成される基本のコアオリゴ糖へのラクトサミン構造の付加とその後のフコースおよびシアル酸での修飾が、細胞接着タンパク質であるセレクチンのリガンドを構成する、LewisX、シアリル−シアリルLewisa、およびLewisX糖基の形成をもたらすからである。このセレクチン−リガンド相互作用は、多くのプロセスにおいて重要な役割を担う。
【0009】
炎症は、感染や他の何らかの形の外傷に対して身体が全般的に応答する方法である。炎症の間の主要な事象の1つは、免疫系の細胞が血流から被感染または損傷領域へ移動することである。ひとたび損傷の部位にあると、これらの細胞は、攻撃する作用体の隔離、破壊、および除去の原因となる。
【0010】
短い期間(数分〜数日)を特徴とする急性炎症は健康に必須であるが、時々、この炎症プロセスは、適切なときに終わらずに、そのことが諸問題を引き起こす。慢性炎症は、長期間(数日、数週、数ヶ月、および数年でさえ)、リンパ球およびマクロファージ、組織破壊および修復、並びに血管増殖および線維症を特徴とする。炎症は、身体の正常な構成要素により不適切に始動される場合もあり、喘息、慢性関節リウマチ、および炎症性腸疾患のような一般的な疾患においてある役割を担う。
【0011】
多くの細胞接着分子は、炎症のプロセスに関与することが知られている。炎症の部位では、血液溢出プロセスに先立って、はじめに白血球が血管内皮細胞へ接着する。白血球の内皮細胞へのこの初期の接着において、セレクチンはきわめて重要な役割を担うと考えられている。セレクチンとその炭水化物リガンドにより仲介される細胞接着は、内皮内層上での白血球の係留とローリングをもたらす。次いで、これが二次性のしっかりとした接着をもたらす。初めの刺激の数時間以内に、好中球が組織に入り始めて、移行を数日間続ける場合もある。ある炎症状態では、血管の直接的な損傷により組織傷害が引き起こされて、その組織への好中球の後続の動員によって増幅される。
【0012】
O−グリカンの発現は、これらの付加物の嵩(かさ)のために、細胞−細胞相互作用を抑える。コア2O−グリカンの発現は、上記の場合のすべてにおいて、コア2GlcNAc−Tの転写レベルにより調節される。末梢TおよびB細胞の抗原仲介性の活性化は、コア2GlcNAc−Tおよび分岐O−グリカンのCD43(ロイコシアリン)に対する増加した活性を特徴とする(19−20)。
【0013】
白血球の血液溢出、リンパ球転送、および他のプロセスが、コア2GlcNAc−Tにより合成されるO−グリカンに関与する。具体的には、シアリルLewisXで終結する細胞表面のO−グリカン構造が炎症の部位への白血球の動員に関与する。コア2GlcNAc−TはT細胞発生に重要でないが、この酵素の過剰発現は、骨髄性系統の発生を完全に遮断することが示されている。コア2O−グリカンの過剰発現はまた、T細胞およびB細胞間の相互作用(TB相互作用)に影響を及ぼすことが報告されている。このT−B相互作用は体液性の免疫応答にきわめて重要であり、B細胞上のCD40とT細胞上のCD40リガンド(CD40L)の結合(CD40L−CD40相互作用)を介して仲介される。この相互作用は、B細胞の増殖を誘導する。コア2O−グリカンの過剰発現は、CD40L−CD40相互作用の有意な低下を引き起こすことが示されている(21)。
【0014】
活性化白血球の細胞表面上でのシアリルLewisXの合成を遮断して、それによりセレクチンとそれらの相互作用を停止させることによって、白血球浸潤の最初の工程が起こることを効果的に妨害することが可能である。故に、コア2GlcNAc−Tの活性を抑えることができるコア2GlcNAc−Tの阻害剤は、炎症を変調させることに有用性がある。
【0015】
アテローム硬化症は、機序不明の進行性の炎症性疾患である。循環白血球の動員と、特に動脈の分岐および分枝での内皮への接着は、じゅく腫形成時(atherogenesis)に起こることが知られている最も早期の事象の1つである。次いで、白血球上のインテグリンがこの細胞間のより強い付着を引き起こす。白血球は、内皮下の空間へ移行して、その内奥で蓄積し始める。単球は、酸化された低密度リポタンパク質(LDL−oxLDL)の存在により活性化マクロファージへ変換され、これらの活性化マクロファージは、そのスキャベンジャー受容体を介して、修飾されたリポタンパク質の種を取り込み、分化して、泡沫細胞になる。急性冠症候群で死亡した患者からのアテローム硬化性冠動脈の組織学的な分析は、泡沫細胞、マクロファージ、リンパ球、および肥満細胞が不安定な、または破裂したプラークに存在したことを証明する(49)。
【0016】
少なくとも3つの白血球接着分子、E−セレクチン、ICAM−1、およびVCAM−1がヒトのアテローム硬化症において同定されている(50,51)。さらに、正常な血管とは対照的に、アテローム硬化性の病巣では、上皮細胞によりP−セレクチンが過剰に発現されて、E−セレクチン(52)およびICAM−1(53)の動脈管腔での発現が、単核白血球の蓄積がある動脈部分で増加することがわかった。第三の接着分子、VCAM−1は、アテローム硬化症の動物モデルにおいて検出されて、ヒト冠動脈の非アテローム硬化部分においてよりも、アテローム硬化プラークの内奥においてより多く認められることも示されている。
【0017】
Chibberら(54)は、白血球−内皮細胞接着の増加におけるコア2GlcNAc−Tの重要性を評価して、この酵素の活性の有意な増加を糖尿病患者の白血球に見出した。しかしながら、今日まで、コア2GlcNAc−Tの活性がアテローム硬化症に罹患している患者の循環白血球で上昇しているという証拠はない。本出願人は、今回、酵素コア2GlcNAc−Tの活性が、アテローム性硬化症の患者からの循環白血球において実際に上昇していることを実証した。これは、コア2GlcNAc−Tの活性を低下させることが可能な化合物は、アテローム硬化症の治療または予防に、またはアテローム硬化プラークの患者における再発を医療介入後に予防することに有用であることを示唆する。
【0018】
糖尿病性心筋症の臨床症状が同定されてきたが、その病理発生は不明である。糖尿病性心筋症の定義は、糖尿病患者の筋細胞に心筋肥大および拡張性機能不全をもたらす線維症のような特定の欠陥があること、同時に、糖尿病の経過の間に発生した、心臓における関連した変化のあることを記載する。
【0019】
コア2GlcNAc−Tの上昇活性が、糖尿病の動物および患者の心臓組織において通常観察される、上昇した複合糖質の直接の原因であることを示唆する強い証拠が今日ある。この裏付けとして、コア2GlcNAc−T活性の増加が、糖尿病の実験動物モデルの心臓において、糖尿病患者の心臓においてこの状態の数年後に観察されるものに類似した病理を引き起こすことが最近示された。コア2GlcNAc−Tの発現が心臓ミオシンプロモーターにより推進されるトランスジェニックマウスを使用して、種々の研究が行われた。4ヶ月目に、左心室の顕著な肥大と心臓の全般的な肥大が観察された(16−17)。
【0020】
コア2分岐とコア2GlcNAc−T活性における顕著な変化は、悪性の形質転換、白血病、および癌腫と関連している(21,33−36)。T24H−rasでトランスフェクトしたラット線維芽細胞および乳癌細胞は、それらが転移性の腫瘍になるにつれて、コア2O−グリカンを発現する(33)。
【0021】
コア2GlcNAc−Tの癌および癌転移における関与を指摘する多数の証拠がある。例えば、高転移性の結腸癌細胞は、その低転移性対照物より多くのシアリルLewisXを発現すると同時に、ほとんど転移しない細胞より強くE−セレクチンへ接着する。腫瘍細胞におけるシアリルLewisXの発現と腫瘍進行の間には、強い相関性がある(34)。さらに、コア2O−グリカンにおけるシアリルLewisXの発現とリンパおよび静脈への浸潤の間にもかなりの相関性が存在する。
【0022】
最近の知見は、コア2GlcNAc−Tがα1,3−Fuc−Tとの組合せにおいて口腔癌におけるセレクチン仲介性の転移に貢献することを示唆する(35)。さらに、ウェスタンブロット解析は、抗sLXモノクローナル抗体により認識されるa−連結オリゴ糖を担う、主要なほぼ150kDaの糖タンパク質がsLX陽性プレB白血病細胞系に存在することを明らかにした。CD15発現とコア2GlcNAc−Tのこの相関性は、コア2GlcNAc−Tが、ヒトプレBリンパ様細胞におけるシアリルLewisXの細胞表面発現のレギュレーターであることを示唆する。これらの結果は、リンパ節転移が患者の予後に最も影響を及ぼす要因であるので、in situハイブリダイゼーションにより検出されるコア2GlcNAc−T mRNAが肺腺癌の悪性ポテンシャルを反映することを示す。
【0023】
酵素1,3−フコシルトランスフェラーゼでのトランスフェクションによる、マウスメラノーマB16−FIにおけるシアリルLewisXの発現も、腫瘍転移におけるシアリルLewisXの重要性を確証した。このトランスフェクトされた細胞をマウスへ静脈内注射すると多数の肺腫瘍結節が形成されたが、元のB16−FI細胞は、ほとんど腫瘍を形成しなかった。
【0024】
シアリルLewisa、シアリルLewisX(いずれもセレクチンリガンド炭水化物構造)の発現とコア2GlcNAc−Tの上昇活性は、いずれも結直腸癌の悪性腫瘍度と密接に関連している(36)。最近、Numahata(37)は、原発性膀胱癌におけるシアリルLewisX発現が浸潤性および転移性のアウトカムの予測因子となることを実証した。同等の予後価値を有する他の炭水化物エピトープはこれまで検証されていない。最近、US2004/0033521は、コア2bGlcNAc−Tが肝臓および胃の腫瘍と結腸癌および肝転移の試料において過剰発現されていることを開示した。さらに、WO04/093662は、コア2GlcNAc−Tが前立腺癌、精巣および膀胱癌において上昇していることを実証する。コア2GlcNAc−Tのレベルは、疾患の転移または再発の機会の増加に伴って増加する。
【0025】
故に、コア2GlcNAc−Tの阻害剤は、O−グリカン、例えば、シアリルLewisXを担うものの産生を抑えることが期待され、癌の浸潤性および転移を抑制して、コア2GlcNAc−T発現がその組織種の正常レベルより高く上昇している癌の治療に有用であろう。
【0026】
糖尿病性網膜症は、毛細管の閉塞、微小血管病巣の形成、網膜の虚血域に隣接した網膜の新血管形成を特徴とする(39−40)、進行性の視覚の脅威となる糖尿病の合併症である(38)。
【0027】
コア2GlcNAc−Tの上昇活性が糖尿病性網膜症において増加する白血球−内皮細胞接着および毛細管閉塞の直接的な原因であることが最近見出された(41)。上昇グルコースと糖尿病の血清がコア2GlcNAc−Tの活性とヒト白血球の内皮細胞への接着を高めることも今日実証されている。このことは、コア2GlcNAc−TのPKCβ2依存性リン酸化を介して起こる(42−43)。コア2GlcNAc−Tのリン酸化に関与するこの調節機序は、1型および2型糖尿病患者より単離した多形核白血球(PMN)にも存在する。
【0028】
特異的な阻害剤、LY379196によるPKCβ2活性化の阻害は、コア2GlcNAc−Tのセリンリン酸化を弱め、活性の増加を予防して、それにより、白血球−内皮細胞接着の増加を予防する。そのような阻害剤は、コア2GlcNAc−T活性の抑制が白血球−内皮細胞接着の増加を予防して、糖尿病または高血糖症と関連した網膜症における毛細管閉塞を予防する方法を提供するという確証を提供する。
【0029】
コロハ(Fenugreek)は、数千年の間、糖尿病の治療に使用されてきた。この植物は、クマリン、サポニン、およびグリコシドのような多くの有効成分を含有する。多くの研究(44)で、コロハの血糖低下特性が動物のヒトの両方で実証されてきた。この血糖低下特性は、強力なインスリン放出活性を有するアミノ酸、4−ヒドロキシイソロイシンによるとされてきた(45−46)。
【0030】
本発明者は、今回、ある種の化合物がコア2GlcNAc−Tの阻害剤であることを確定した。これら化合物のあるものは、コロハの種子より、そして他の植物供給源より入手可能である。
【0031】
本発明の第一の側面において、式Iの化合物の有効量のその必要な患者への投与を含んでなる、酵素コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療の方法を提供する。好ましくは、該疾患は、炎症性疾患、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、糖尿病性心筋症、心筋機能不全、癌、癌転移、または糖尿病性網膜症である。
【0032】
癌には、白血病、口腔癌(oral cavity carcinoma)、肺の腺癌のような肺癌、結直腸癌、膀胱癌、肝臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、乳癌、肺腫瘍、口腔癌、およびコア2GlcNAc−T発現がその組織種の正常レベルより高く上昇しているあらゆる癌が含まれる。
【0033】
好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、糖由来置換基を含む。用語「糖由来置換基」は、サッカライドを意味し、ここでは随意に1以上の水素および/または1以上のヒドロキシル基が−R、−OR、−SR、−NR(ここでRは、メチル、エチルまたはプロピルである)により置き換えられて、誘導体を形成する。
【0034】
サッカライドには、限定されないが、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、および多糖類が含まれる。
単糖類には、限定されないが、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース(gulose)、イドース、タロース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、セドヘプツロース、デオキシリボース、フコース、ラムノース、2−デオキシ−グルコース、キノボース、アベクオース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−マンノサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルムラミン酸、O−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、シアル酸、およびグルロン酸が含まれる。
【0035】
好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、少なくとも1つの糖由来置換基を含み;より好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、少なくとも2つの糖由来置換基を含む。
【0036】
好ましくは、それぞれの糖由来置換基は、独立して、単糖、二糖、三糖、または四糖であり;より好ましくは、それぞれの糖由来置換基は、独立して、単糖または三糖である。 好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、式I:
【0037】
【化1】
【0038】
[式中、R1は、−OH、C1−6アルコキシ、−NR8R9、または式IIa:
【0039】
【化2】
【0040】
の単糖であり;
好ましくは、R1は、−OH、−NR8R9、または式IIaの単糖であり;より好ましくは、R1は、−NR8R9、または式IIaの単糖であり;最も好ましくは、R1は、式IIaの単糖である;
R2は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIb:
【0041】
【化3】
【0042】
の単糖であり;
好ましくは、R2は、−OH、または式IIIの単糖であり;より好ましくは、R2は、−OH、または式IIIの単糖であり;最も好ましくは、R2は、−OHである;
R3は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIc:
【0043】
【化4】
【0044】
の単糖であり;
好ましくは、R3は、−OH、または式IIcの単糖であり;より好ましくは、R3は、式IIcの単糖であり;最も好ましくは、R3は、グルコースである;
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R4は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R4は、−CH2OHまたは−CH3であり;最も好ましくは、R4は、−CH2OHである;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R5は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R5は、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHであり;最も好ましくは、R5は、−CH3である;
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R6は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R6は、−CH2OHまたは−CH3であり;最も好ましくは、R6は、−CH2OHである;
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R7は、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R7は、−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルであり;最も好ましくは、R7は、−CH2OHである;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R8は、HまたはC1−6アルキルであり;より好ましくは、R8は、HまたはCH3であり;最も好ましくは、R8は、Hである;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R9は、HまたはC1−6アシルであり;より好ましくは、R9は、Hまたは−COCH3であり;最も好ましくは、R9は、−COCH3である;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、または互変異性型、またはそれらの誘導体である。
【0045】
好ましくは、式Iの化合物は、式III:
【0046】
【化5】
【0047】
[式中:
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキル;より好ましくは、−CH2OHまたは−CH3;最も好ましくは、−CH2OHである;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R5は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R5は、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHであり;最も好ましくは、R5は、−CH3である;そして
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R7は、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R7は、−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルであり;最も好ましくは、R7は、−CH2OHである]の化合物である。
【0048】
より好ましいのは、式III[式中:
R4は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルであり;そして
R7は、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである]の化合物である。
【0049】
より好ましいのは:
R4が、−CH2OHまたは−CH3であり;
R5が−CH3であり;そして
R7が−CH2OHである、化合物である。
【0050】
式IIIの最も好ましい化合物は、式I[式中、
R1は、ラムノースであり;
R2は、−OHであり;
R3は、グルコースであり;そして
R4は、−CH2OHである]の化合物である。
【0051】
最も好ましいのは、式IV:
【0052】
【化6】
【0053】
である、式Iの化合物である。
また提供するのは、式Iの化合物が式V:
【0054】
【化7】
【0055】
[式中:
R1は、−OH、C1−6アルコキシまたは−NR8R9、または式IIa:
【0056】
【化8】
【0057】
の単糖であり;
好ましくは、R1は、−OHまたは−NR8R9であり;より好ましくは、R1は、−NR8R9である;
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R4は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R4は、C1−6アルキルであり;最も好ましくは、−CH3である;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R5は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R5は、−CH3または−CH2OHであり;最も好ましくは、R5は、−CH3である;そして
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R6は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R6は、−CH2OHまたは−CH3であり;最も好ましくは、R6は、−CH2OHである;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R8は、HまたはC1−6アルキルであり;より好ましくは、R8は、HまたはCH3であり;最も好ましくは、R8は、Hである;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R9は、HまたはC1−6アシルであり;より好ましくは、R9は、Hまたは−COCH3であり;最も好ましくは、R9は、−COCH3である;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物である、化合物である。
【0058】
式Vの好ましい化合物は:
R1が、−OH、C1−6アルコキシ、または−NR8R9であり;
R4が、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R6が、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R8が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
R9が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルである化合物である。
【0059】
式IVのより好ましい化合物は:
R1が−NH−C1−6アシルであり;
R4が、C1−6アルキルまたは−CH2OHであり;そして
R6がC1−6ヒドロキシアルキルであるものである。
【0060】
最も好ましいのは、式:Galβ1→3(6−デオキシ)GalNAcα−Zである、式IVの化合物である。
式Iの化合物は、ステロイド基を含む。用語「ステロイド基」は、式VI:
【0061】
【化9】
【0062】
のように示される四環系の環系を含む。
好ましくは、ステロイド基は、ステロイド基の3位を介して分子の残りへ付く。例えば、上記の式Iの化合物は、好ましくは、式:
【0063】
【化10】
【0064】
の化合物である。
ステロイド基は、コレスタン、5α−プレグナン、アンドロスタン、エストラン、コレステロール、コラン、プロゲスチン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、デヒドロエピアンドロステロンまたはその7−ケト類似体のようなアンドロゲン、胆汁酸、または他のステロイドであり得る。1つの好ましい態様において、ステロイドコアは、それ自身で有益であるかまたは中性であるステロイドである。「中性」は、ステロイドそのものがヒトまたは動物における使用に適すると承認されたことを意味する。「有益」とは、ステロイドが、別に投与されるならば、ヒトまたは動物に対して有益な効果を有することを意味する。
【0065】
ステロイド基は、植物供給源より誘導可能なステロイド性サポゲニンでも、そのような植物ステロイド性サポゲニンより化学修飾によってそれ自身誘導可能であるステロイド性サポゲニンでもよい。
【0066】
1つの態様において、ステロイド基は、式VII:
【0067】
【化11】
【0068】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R12は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R12は、Hである;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R13は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R13は、Hである;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;好ましくは、R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;最も好ましくは、R15は、Hである;
R16は、H、OH、または=Oであり;好ましくは、R16は、Hまたは=Oであり;より好ましくは、R16は、Hである;
R17は、H、OH、または=Oであり;好ましくは、R17は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R17は、Hである;
R18は、H、OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R18は、H、OH、C1−6アルコキシであり;より好ましくは、R18は、HまたはOHであり;最も好ましくは、R18は、Hである;
R19は、H、OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R19は、H、OH、C1−6アルキルであり;より好ましくは、R19は、H、OH、またはC1−6アルキルであり;最も好ましくは、R19は、C1−6アルキルであり;そして特に、R19は、−CH3である;
R20は、H、OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;より好ましくは、R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;最も好ましくは、R20は、−OHである;
R21は、H、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシであるか、または式VIIIの基であり;好ましくは、R21は、式VIIIの基である:
【0069】
【化12】
【0070】
{式中、
R22は、H、OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R22は、H、OH、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R22は、HまたはOH、−OCH3または−O−C2H5であり;最も好ましくは、R22は、Hである;
R23は、H、OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;好ましくは、R23は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R23は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2であり;最も好ましくは、R23は、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2であり;なおより好ましくは、R23は、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2であり;そして特に、R23は、−CH3または=CH2である;そして
R24は、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSであり;好ましくは、R24は、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSであり;より好ましくは、R24は、C1−6アシルまたは単糖MSであり;最も好ましくは、R24は、単糖MSである};
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;好ましくは、R28はHで、R29は−OHであり;より好ましくは、R28とR29は、ともにHである;
R32は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R32は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R32は、Hである;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
MSは、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、セドヘプツロース、デオキシリボース、フコース、ラムノース、2−デオキシ−グルコース、キノボース、アベクオース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−マンノサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルムラミン酸、O−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、シアル酸、およびグルロン酸からなる群より選択され;好ましくは、MSは、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、およびシアル酸からなる群より選択され;最も好ましくは、MSは、グルコースである;そして
Yは、NまたはOであり、好ましくは、YはOである]のステロイド性サポゲニンである。
【0071】
式VIIの好ましいステロイド性サポゲニンは、R21が式VIIIであり、YがOであるものである。
式VIIのより好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12が、H、−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R28は、Hであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表すものである。
【0072】
最も好ましいのは、式VII:[式中:
R12、R13、R15、およびR28は、それぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R16は、H、または=Oであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R19は、H、またはC1−6アルキルであり;
R21は、式VIIIのものであり;
R22は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R24は、C1−6アルコキシ、C1−6アシル、またはグルコースであり;
R29は、Hまたは−OHであり;そして
R32は、Hまたは−OHである]のステロイド性サポゲニンである。
【0073】
式VIIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは、
R12、R13、R15、R16、R17、R22、R28がそれぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;
R21は、式VIIIであり;
R23は、−CH3または=CH2であり;
R24は、C1−6アシルまたはグルコースであり;
R29は、Hまたは−OHであり;そして
R32は、Hであるものである。
【0074】
式VIIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは:
【0075】
【化13】
【0076】
[式中:
R18は、Hまたは−OHであり;
R20は、OHまたはC1−6アルコキシであり;
R24は、グルコースまたはC1−6アシルであり;そして
R29は、HまたはOHである]からなる群より選択される。
【0077】
ステロイド基が式VIIのものである式Iの特に好ましい化合物は、トリゴネオシドIVa、グリコシドF、シャタバリンI(shatavarin I)、化合物3、パルダリノシドC(pardarinoside C)であり、その構造は、表1に要約する。
【0078】
【表1】
【0079】
いずれの場合も、ステロイド基へ3位で結合するサッカライド基は:
【0080】
【化14】
【0081】
である。
あるいは、ステロイド基は、式IX:
【0082】
【化15】
【0083】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R12は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R12は、Hである;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R13は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R13は、Hである;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;好ましくは、R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;より好ましくは、R15は、Hである;
R16は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R16は、Hまたは=Oであり;より好ましくは、R16は、Hである;
R17は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R17は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R17は、Hである;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R18は、H、−OH、C1−6アルコキシであり;より好ましくは、R18は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R18は、Hである;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R19は、H、OH、またはC1−6アルキルであり;より好ましくは、R19は、C1−6アルキルであり;そして特に、R19は、−CH3である;
R20は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;より好ましくは、R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;最も好ましくは、R20は、−OHである;
R27は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはC1−6ヒドロキシアルキルであり;好ましくは、R27は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;より好ましくは、R27は、HまたはC1−6アルキルであり;最も好ましくは、R27は、メチル、エチル、またはプロピルである;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;好ましくは、R28とR29は、ともにHである;
R32は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R32は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R32は、Hである;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す]のステロイド性サポゲニンであり得る。
【0084】
式IXの好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12が、Hまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R27は、C1−6アルキルであり;そして
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、それぞれHまたは−OHを表し;
R32は、H、−OH、または=Oであるものである。
【0085】
より好ましくは、式IXのステロイド性サポゲニンは:
R12が、Hまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであり;
R16は、Hまたは=Oであり;
R17は、H、−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R27は、C1−6アルキルであり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、それぞれHまたは−OHを表し;そして
R32は、Hまたは−OHであるものである。
【0086】
より好ましくは、式IXのステロイド性サポゲニンは、一般式IXa:
【0087】
【化16】
【0088】
のものである。
ステロイド基が式IXである、式Iの最も好ましい化合物は:
【0089】
【化17】
【0090】
であり、Lilium macklineaeより単離可能である(59)。
ステロイド性サポゲニンのさらに好ましい群は、ステロイド性サポゲニンが、式XI:
【0091】
【化18】
【0092】
[式中、
R12は、H、OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R12は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R12は、Hである;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R13は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R13は、Hである;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;好ましくは、R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;より好ましくは、R15は、Hである;
R16は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R16は、Hまたは=Oであり;より好ましくは、R16は、Hである;
R17は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R17は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R17は、Hである;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R18は、H、OH、C1−6アルコキシであり;より好ましくは、R18は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R18は、Hである;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R19は、H、−OH、C1−6アルキルであり;より好ましくは、R19は、H、−OH、またはC1−6アルキルであり;最も好ましくは、R19は、C1−6アルキルであり;そして特に、R19は、−CH3である;
R25は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R25は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R25は、Hである;
R26は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;好ましくは、R26は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R26は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2であり;最も好ましくは、R26は、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2であり;なおより好ましくは、R26は、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2であり;そして特に、R26は、−CH3または=CH2である;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;好ましくは、R28とR29は、ともにHである;
R31は、Hまたは−OHであり;好ましくは、R31は、Hである;
R32は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R32は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R32は、Hである;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R34は、Hまたは−OHであり;好ましくは、R34は、Hである;そして
Xは、O、S、またはNHであり;好ましくは、Xは、OまたはNHであり;より好ましくは、Xは、Oである]であるものである。
【0093】
式XIの好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12が、Hまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15、R18、R28、およびR29は、同じであるかまたは異なり、それぞれHまたは−OHを表し;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、HまたはC1−6アルキルであり;
R26は、H、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;
R29は、Hまたは−OHであり;
R31は、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;そして
R34は、Hまたは−OHであるものである。
【0094】
式XIのより好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12、R13、R15、およびR28がそれぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R16は、Hまたは=Oであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R19は、HまたはC1−6アルキルであり;
R26は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2であり;
R28は、Hであり;
R29は、Hまたは−OHであり;
R32は、Hまたは−OHであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表すものである。
【0095】
式XIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12、R13、R15、R16、R17、R25、R28、R31、R32、およびR34がそれぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R18は、Hまたは−OHであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R26は、C1−6アルキルまたは=CH2であり;
R29は、Hまたは−OHであり;
R32は、Hであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表すものである。
【0096】
式XIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは、以下の基:
【0097】
【化19】
【0098】
より選択されるものである。
式XIの特に好ましいステロイド性サポゲニンは、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ソラソジン、またはトマチジンである。
【0099】
ステロイド基が式XIのものである式Iの特に好ましい化合物は:
シャタバリンIV、(25R)シャタバリンIV、デルトニン、バラニチンVI、MimakiおよびSahida(58)の化合物12である。
【0100】
シャタバリンIVは、サルササポゲニン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドである。
【0101】
化合物12は、ソラソジン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドである。
デルトニンは、(3β,25R)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシドである。
【0102】
バラニチンVIは、(3β,25S)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシドである。
【0103】
式Iの特に好ましい化合物は、好ましいステロイド基を好ましいサッカライド基と組み合わせるものである。
本発明の第二の側面において、式Iの化合物の、酵素:コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療用医薬品の製造における使用を提供する。そのような状態の例は、本発明の第一の側面において本明細書に記載されている。
【0104】
本発明の第三の側面において、式Iの化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。
本明細書に使用するように、用語:コア2GlcNAc−T阻害剤は、酵素、コア2GlcNAc−T、好ましくは、本明細書に記載するアッセイにおいて測定されるように、本明細書に記載のコア2GlcNAc−T酵素活性を含んでなる調製物の、UDP−6[3H]−N−アセチルグルコサミンを産物へ取り込む能力の阻害剤を意味する。
【0105】
本明細書に使用するように、用語アグリコンは、サッカライド部分が存在しない式Iの化合物を意味する。この化合物は、サッカライド部分により占められる位置に、他の置換基を有してよい。特に、フロスタノールサポニンであるアグリコンは、グリコシル化される場合、同等のスピロスタノールサポニンと同じように、閉環状態であり得る。
【0106】
本明細書の構造において使用する簡略表記:
【0107】
【化20】
【0108】
は、構造:
【0109】
【化21】
【0110】
を示すために使用する。
本明細書の構造において使用する簡略表記:
【0111】
【化22】
【0112】
は、構造:
【0113】
【化23】
【0114】
を示す。
本明細書において使用するように、簡略表記:Glcはグルコースであり、Rhaはラムノースである。疑念の回避のために言えば、用語C1−6アシルは、−CO−C1−5アルキルである。
【0115】
これから本発明を以下の非限定的な参考実施例、図面、および表を参照に記載する。これに照らせば、当業者には、本特許請求項の範囲内に該当するさらなる態様が考案されよう。
【0116】
発明の詳細な説明
実験法
式Iの化合物は、多様な植物種より抽出可能である。この点で参考になるのは、例のみを挙げると、Yoshikawaら(55)、Shashedaら(59)、Akhovら(60)、JoshiおよびDev(61)、Ravikumarら(56)、Vasil’evaおよびPaseshnichenko(62)、Shimomuraら(57)、SharmaおよびSharma(63)、Petitら(64)、MikamiおよびSashida(58)、およびHostettman(65)と、これらの中の参考文献である。これらの文献は、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
あるいは、それらは、慣用の有機化学の方法および技術によって合成可能である。この点で参考になるのは、Thisbe K.Lindhorst著「炭水化物の化学および生化学要説(Essentials of Carbohydrate Chemistry and Biochemistry)」(2000)ウィリー、Beat Ernst、Gerald W.HartおよびPierre Sinary監修「化学および生物学における炭水化物(Carbohydrates in Chemistry and Biology)」(2000)ウィリー、John F.Robyt著「炭水化物化学の要説(Essentials of Carbohydrate Chemistry)」(1998)Springer Verlag、Hassan S.El Khadem著「炭水化物化学(Carbohydrate Chemistry)」(1988)、Mikael Bols著「炭水化物構築ブロック(Carbohydrate Building Blocks)」(1996)、P.G.WangおよびC.R.Bertozzi監修「糖化学:原理、合成、および応用(Glycochemistry:Principles,Synthesis,and Applications)」(2001)マーセル・デッカー、ニューヨーク、および王立化学協会スタッフ著「炭水化物化学(Carbohydrate Chemistry)」(1989)CRCプレスのような炭水化物およびステロイド化学の教科書である。
【0118】
本発明の化合物は、市販のアグリコンより、またはコロハ種子または別の植物供給源からのアグリコンや他の前駆体の単離とその前駆体の後続の化学修飾によって製造可能である。
【0119】
当業者は、例えば、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルサポゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ソラソジン、またはトマチジンのような、スピロスタノールおよびフロスタノールアグリコンの多くの供給源に注目されよう(例えば、Hostettmanとその参考文献(65))。
【0120】
具体的に、2,4−分岐オリゴ糖部分を有するスピロスタノールサポニンのジオスゲニンからの合成の方法については、Duら,2003(73)を参照のこと。この参考文献はまた、他のグルコシル化ステロイド、例えばコレステロールからの合成のさらなる参考になる。開示される方法は、ステロイドが化学的にグリコシル化される化合物を合成して式Iの化合物を生成するのに使用可能である。
【0121】
三糖置換スピロスタノールサポニンの合成については、Liら(66)、多様な三糖および四糖置換スピロスタノールサポニンの合成については、Dengら(67)、フロスタノールサポニンの合成の方法ついては、Liら(68)、Yuら(69)、Yuら(70)、そしてスピロスタノールおよびフロスタノールサポニンの相互変換については、YuおよびTao(71)、Chengら(72)、およびDuら(73)がさらに参照になる。これらの参考文献はまた、単糖ヒドロキシアルキル基の誘導化についての情報とさらなる参考文献を提供する。
【0122】
Gal1β1−3(6−デオキシ)GalNAcα−コンジュゲートを合成する方法は、Paulsenら(48)に示される。これらの方法は、式Iの他の化合物を合成するために、本明細書において参照される他の方法との組合せにおいて当業者により適用可能である。
【0123】
細胞培養
ウシ網膜毛細管内皮細胞(BREC)および周皮細胞(BRP)は、既報(48)のように、屠殺したばかりのウシの目より切除したウシ網膜より確立した。簡潔に言えば、単離した網膜を無血清最少必須培地(MEM,ギブコ、ペーズリー、イギリス)においてホモジェナイズして、85μmナイロンメッシュに通して濾過した。捕捉した微小血管を37℃で30分(BRP)および90分(BREC)の間コラゲナーゼ−ジスパーゼ(1mg/ml)で消化して、53μmナイロンメッシュに通して濾過した。内皮細胞(BREC)の増殖については、消化した微小血管をゼラチンコートした組織培養フラスコにおいてプレート培養して、10%プール化ヒト血清、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したMEMにおいて維持した。周皮細胞(BRP)の増殖については、上記微小血管を組織培養フラスコにおいて、10%胎仔ウシ血清を補充した増殖培地においてプレート培養した。この細胞を2〜3継代で使用した。形態学的な判定基準を使用して、第VIII因子関連抗原に対する抗体と3G5−周皮細胞マーカーでの免疫染色によって、この細胞を特性決定した。
【0124】
ヒト白血球細胞系(U937)は、10%胎仔ウシ血清、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMIにおいて培養した。
【0125】
コア2GlcNAc−T活性の細胞ベースアッセイ
コア2GlcNAc−Tを薬理学的に阻害するコロハのポテンシャルを検討するために、標準グルコース(5.8mM)および高グルコース(15mM)へ37℃で24時間曝露した白血球において酵素活性を測定した。インキュベーション後、細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの測定に使用するまで−20℃で凍結させた。培養したウシ網膜毛細管周皮細胞(BRP)および内皮細胞(BREC)におけるコア2GlcNAc−Tの活性も測定した。
【0126】
コア2GlcNAc−T活性の無細胞アッセイ
このアッセイには、セファロースビーズに固定したコア2GlcNAc−Tを使用した。コア2GlcNAc−T免疫沈降、並びにウェスタンブロットには、コア2GlcNAc−Tに対するポリクローナル抗体を使用した。細胞を氷上で以下の溶解緩衝液において溶解した:20mM Tris−HCl(pH7.4)/1% Triton X−100,150mM NaCl,1mM EDTA,1mM EGTA,0.2mM バナジン酸ナトリウム,1mM PMSF,1μg/ml アプロチニン,10μg/ml ロイペプチン。この溶解液を一定の撹拌とともに4℃で20分間インキュベートして、不溶性の材料を遠心分離(14,000g,4℃で5分間)により除去した。澄明にした溶解液をぶどう球菌タンパク質A−セファロースCL−4B共役一次抗体とともに、一定に撹拌しながら4℃で2時間インキュベートした。0.5% Triton X−100を含有するTris緩衝化生理食塩水(10mM Tris−HCl(pH7.4),150mM NaCl)で免疫沈降物を洗浄して、潜在的な阻害剤の存在および非存在下でのコア2GlcNAc−Tの測定に使用した。
【0127】
コア2GlcNAc−T活性の測定
コア2GlcNAc−T活性を測定するために、白血球をPESに洗浄して、凍結させて、0.9% Triton X−100において0℃で溶解させた。コア2GlcNAc−Tの活性は、既報(41)のように測定した。簡潔に言えば、50mM 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES,シグマ、ドーセット、イギリス)(pH7.0)、1mM UDP−6[3H]−N−アセチルグルコサミン(16,000dpm/ナノモル、NEN Life Science Products,ハウンスロー、イギリス)、0.1M GlcNAc(シグマ、オクラホマ州ドーセット)、基質としての1mM Galβ1−3GalNAcα−p−ニトロフェノール(シグマ、ドーセット、イギリス)、および16μlの細胞溶解液(100〜200μgタンパク質)を含有する、最終量32μlの反応混合物において反応を実施した。この混合物を37℃で1時間インキュベートした後で、1mlの氷冷蒸留水で反応を止めて、C18 Sep−Pakカラム(ウォーターズ−ミリポア、ワトフォード、イギリス)で処理した。このカラムを20mlの蒸留水で洗浄後、産物を5mlのメタノールで溶出させた。試料の放射活性を液体シンチレーションβ−カウンター(LKB−Wallac,ロンドン、イギリス)で計数した。内因性のコア2GlcNAc−Tの活性は、添加するアクセプタの非存在下に測定した。比活性は、ピコモル/h/細胞タンパク質のmgとして表した。どの場合も、タンパク濃度は、BioRadタンパク質アッセイ(BioRad,ハートフォードシア、イギリス)で定量した。
【0128】
白血球−内皮接着アッセイ
白血球の内皮細胞への接着は、カルボキシフルオレセイン(モレキュラー・プローブ、イギリス)で標識することによって試験した。このアッセイは、十分確立されている(41)。簡潔に言えば、内皮細胞を周密状態にまで増殖させて、カルボキシフルオレセイン標識化白血球(U937)の接着のために内皮細胞表面を提供した。処理後、この白血球を遠心分離(14,000g,1分間)させて、無血清RPMLで2回洗浄した。次いで、この細胞を、50μg/mlカルボキシフルオレセインを含有する1mlの無血清RPMIに再懸濁した。この細胞を血球計で計数して、既知数を内皮細胞へ加えた。37℃で30分のインキュベーション後、無血清RPMIで洗浄することによって非付着性の白血球を除去して、ディッシュをPBS中3.7%ホルマリンに固定した。10のランダム高出力場(x100)において蛍光顕微鏡によって付着白血球を計数した。この結果を付着白血球/場の百分率として表した。
【0129】
グルコース毒性
BRPとBRECを3cmの組織培養ディッシュにおいてプレート培養して、増殖培地において37℃で24時間インキュベートした。次いで、この細胞を、標準グルコース(5.8mM)または上昇グルコース(25mM)を含有する新鮮な増殖培地において、コロハサブ分画の非存在または存在下にインキュベートした。4日のインキュベーション後、血球計とトリパンブルーを使用して生存細胞の数を計数して、この結果を対照(5.8mMグルコース)の百分率として表した。処理後、この細胞のいくらかをコア2GlcNAc−T活性の測定用に保存した。
【0130】
粗製コロハ種子抽出物の生物学的活性
図2aに示すように、上昇D−グルコースへの24時間曝露は、ヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tの活性を有意に高める。コロハ種子より調製した粗抽出物に、ヒト白血球におけるグルコース誘導コア2GlcNAc−T活性(図2b)と白血球−内皮細胞接着(図2c)を阻害するポテンシャルがあることを今回見出した。白血球−内皮細胞接着は、カルボキシフルオレセインで染色した既知数の白血球を網膜毛細管内皮細胞の単層へ加えることによって測定した。次いで、10のランダム場を使用して、蛍光顕微鏡下に、付着した白血球の数を計数した。
【0131】
図3に例示する結果は、ヒト白血球(U937)を上昇グルコースへ24時間曝露することによって得た。次いで、この細胞を溶解し、粗製のコロハ種子抽出物F1とともにインキュベートして、30分のインキュベーション後にコア2GlcNAc−T活性を測定した。
【0132】
コロハ種子抽出物の調製および精製:実施例1
コロハ種子抽出物は以下のように入手した(図4を参照のこと)。コロハ種子(FUDCO,184 Ealing Road,ウェンブリー、ミドルセックス、イギリスよりMethi種子として入手したインドのコロハ種子)をハンマーミルで粉砕して、ナイロンメッシュに通して濾過した。入手した820gの濃黄色の粉末をソックスレー抽出器においてヘキサンで8時間連続洗浄することによって脱脂した。次いで、この植物材料を乾燥させて、エタノールで8時間連続的に抽出した。固形残渣を除去する濾過とエタノールの真空での濃縮により、半固体で茶褐色の粗抽出物(65g)を得て、F1とラベルした。これが残留オイルを含有するように見えたので、50gの粗抽出物F1を冷ヘキサン(500ml)とともに振り混ぜた。ヘキサン可溶性の材料を濾過して取り、不溶性の残渣を濾紙に採取し、乾燥させてF2(27g)を得る一方、溶媒は除去してF3(15.4g)を得た。
【0133】
次いで、市販キット(Biotage)を使用して、順相シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを利用した。F2(5g)をシリカゲル(5g)上へ吸着させて、試料バレルへ詰め込んで、シリカゲルKP−Silを含有するメインクロマトグラフィーカラム(20cmx4cm)へ短い管により連結した。この試料を、軽油(40/60)、クロロホルム、メタノール、およびアセトンの多様な混合物からなり極性が高まる一連の溶媒でカラムの上からそれを通して溶出させた。溶出するサブ分画をTLCにより試験して、類似のものをプールして、極性が高まる化合物を表す7つの主要な溶出サブ分画F8〜F14を得た。シリカを取り出し、100%メタノールとともに振り混ぜ、濾過し、乾燥させて残渣を得て、F15とラベルした。各サブ分画の重量と近似の溶出溶媒を表2に示す。
【0134】
【表2】
【0135】
精製したコロハ種子抽出物の生物学的活性
コア2GlcNAc−Tの白血球におけるグルコース誘導活性を阻害する、上記の精製サブ分画のポテンシャルについて試験した。初めに、サブ分画F2が白血球におけるグルコース誘導コア2GlcNAc−T活性を阻害可能であることを実証した(図5)。さらなる実験は、コア2GlcNAc−Tの阻害剤がサブ分画F13およびF14に存在することを示した(図6aおよび6b)。
【0136】
次いで、サブ分画F9およびF13を分析した。両方のサブ分画F9およびF13の水性アリコート(0.5ml)を1mlのジクロロメタンで抽出し、水相を取り出し、0.22μmフィルターを通した濾過により濾過滅菌して、コア2GlcNAc−T活性の細胞ベースのアッセイに使用した。サブ分画F9およびF13の水相の存在および非存在下にヒト白血球を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露した。コア2GlcNAc−T阻害剤がサブ分画F13の水相に存在することを示す結果を図7に提示する。
【0137】
サブ分画F13の水相を、そのHPLC保持時間によりコードされるサブ分画F18.7〜F41.1へHPLCにより精製した。サブ分画F13の水相を、逆相条件で操作するHPLC(ヒューレット・パッカード、1050/100シリーズ)上へ直接注入した。メタノール/水の移動相でのオクタデシル結合カラムで分離を達成した。22nmの一定波長で操作するUV検出器により、カラムより溶出する成分を検出した。上記の成分は、クロマトグラフィートレース上のピークとして質量分析計の検出器より明らかにした。このように入手したサブ分画を真空で濃縮乾固させ、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に再び溶かして、濾過滅菌した。コア2GlcNAc−T活性の細胞ベースのアッセイを行って、結果は、コア2GlcNAc−T阻害剤がサブ分画F19〜F20.03に存在することを示唆した(図8および9を参照のこと)。
【0138】
引き続き、サブ分画F13の水相のより多くの量を、メタノール/水移動相でのフェニル結合カラムで逆相条件下に操作するHPLCによって、20.01、20.29、および20.55の保持時間のサブ分画へ同様に精製したが、これは、上記のサブ分画F19.13、F19.37、およびF19.44と同等である。コア2GlcNAc−T活性についての細胞ベースのアッセイにより、コア2GlcNAc−T阻害剤がこれらのサブ分画、F20.01、F20.29、およびF20.55に存在することを確かめた(図10a)。無細胞アッセイ系を使用して、HPLC精製したサブ分画F20.55によるコア2GlcNAc−Tの阻害を実証した(図11)。ヒト白血球(U937)を15mMグルコースへ37℃で24時間曝露後、この細胞を溶解してから、加熱(H,100℃)および非加熱(NH)サブ分画、F20.55(1:500希釈)へ曝露した。37℃で30分の曝露後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定した。図11に示すように、サブ分画F20.55は、無細胞アッセイにおいてコア2GlcNAc−Tを直接阻害することがわかった。サブ分画F20.55の加熱は、コア2GlcNAc−T阻害のレベルをごくわずかに改変しただけであった。
【0139】
コア2GlcNAc−T阻害剤の構造解析
サブ分画F20.55中のコア2GlcNAc−T阻害剤を、CD3ODに溶かした試料のNMR解析により同定した。以下のNMR実験を実施した:1D プロトン、2D DQF−COSY(1H−1H相関性)[8時間]、2D編集HSQC(1H−13C多重度編集での1結合相関性)[2D TOCSY](1H−1H中継相関性)[2x8時間]。
【0140】
サブ分画F20.55中のコア2GlcNAc−T阻害剤の1Hおよび13C NMRデータを表3および4に提示する。
【0141】
【表3】
【0142】
【表4】
【0143】
目的の化合物は、コロハ種子の既知の構成成分である(55)、トリゴネオシドIVaと同定された。
【0144】
トリゴネオシドIVa、プロトジオシン、化合物3、およびグリコシドFのバルク調製
破砕した種子(360g,Deep Foods社、ニュージャージー州ユニオン、07083、アメリカの製品)をヘプタン(2x700ml)、アセトン(4x600ml)、およびMeOH(4x600ml)で、それぞれ還流で2時間沸騰させることによって連続的に抽出した。この抽出物を濾過し、真空で蒸発乾固させて、この植物よりかつて報告されたフロスタノールサポニン類の存在をLC/MSによって分析した(54,74,75)。メタノール抽出物(82g,種子の22.7%(w/w))に標的化合物が含まれることを見出した。
【0145】
種子のヘプタンおよびアセトンでの最初の抽出は、ほとんどの低極性材料を除去して、後続のクロマトグラフィーを改善した。メタノール抽出物をブタノールと水の間に分画することによって、さらなる脱脂が達成可能である。しかしながら、メタノール抽出物は、極性の材料をさほど含有しなかったので、この抽出物をさらなる脱脂に処すことなく、Diaion HP20(またはSP207、HP20SS、SP207SS、いずれもシグマ−アルドリッチより入手可能)樹脂のようなスチレン樹脂を使用する固相抽出によって、濃縮されたサポニン含有分画が入手可能である。
【0146】
MeOH抽出物(CDXA−13−132−1,81.2g)を水−MeOH(6:4,400ml)に溶かし、Diaion HP20(Sipelco Diaion HP20,350g,5.0x30cm)上へロードして、水−MeOH(4:6,600ml)、MeOH(2L)、およびアセトン(2L)で溶出した。250mlの分画を採取した。この分画をHPLCにより分析し、同様の組成の分画を合わせて、7種のプール(CDXA−13−133 F1〜F7)を得た。所望されるサポニンの大部分がプール、CDXA−13−133−F5(22.5g,抽出物の27.7(w/w)%)に含まれることがわかった。
【0147】
このプール(22.0g)を順相シリカ(445g,Merck シリカゲル60,70〜230メッシュ、0.0763〜0.200mm,5.0x30cm)でクロマトグラフ処理して、以下の組成の各3Lのジクロロメタン−MeOH−水系で溶出した:a)80:20:3、b)75:25:3、c)70:30:3、およびd)65:35:3。250mlの分画を採取し、HPLCにより分析して、11種のプール(CDXA−13−137−F1〜F11)へ合わせた。
【0148】
分画F6およびF7を合わせ、乾燥させ(10.0g,45%)、C8シリカ(350g,Phenomenex Luna C8(2),5ミクロン、100A,5.0x28cm)でクロマトグラフ処理して、以下の組成のMeOH−水系で溶出した:a)4:6(800ml)、b)5:5(2L)、c)55:45(5L)6:4(1L)、d)65:35(1L)、e)7:3(1L)、f)8:2(1L)およびMeOH(1L)。この分画をHPLCにより分析して、29種のプール(CDXA−13−138−F1〜F29)へ合わせた。250mlの分画を採取した。
【0149】
分画F13〜F16を乾燥させ(1.155g,11.6%)、UV/Vis検出器モデル155、ポンプモデル321、および液体ハンドラーモデル215からなるGilson半分取用HPLCシステムを使用する逆相HPLCにより精製した。
【0150】
クロマトグラフィー条件:
カラム:Phenomenex Luna C18(2),5ミクロン、150x21.2mm
移動相:アセトニトリル−水(28:72)
試料サイズ:注入ごとに各分画の15mg
検出:UV 205nm
5つのピーク、P1〜P5(図**1〜5)を採取して、トリゴネオシドIVa、その25(S)異性体−グリコシドFについて文献で報告された1H、13C NMR、および質量スペクトルのデータとの比較によって同定した。さらに類似の化合物、化合物3を検出した。この化合物についてはこれまで記載されていない。
【0151】
NMRスペクトルは、d5ピリジンにおいて記録した。プロトンスペクトルは、Varian Inova VXRs−300機器において300MHzで記録して、炭素スペクトルは、Varian Inova 400機器において100MHzで記録した。
【0152】
質量スペクトルは、Finnigan LCQ Deca機器においてAPCI形式で記録した。
ピーク1、トリゴネオシドIVa:白い固形物(90mg,種子の0.025(w/w)%)。
【0153】
【化24】
【0154】
ピーク2、化合物C/プロトジオシン:白い固形物(120mg,0.033%)。
【0155】
【化25】
【0156】
ピーク3、化合物3:白い固形物(30mg,0.008%)。
【0157】
【化26】
【0158】
ピーク4、グリコシドF:白い固形物(120mg,0.033%)。
【0159】
【化27】
【0160】
【表5】
【0161】
【表6】
【0162】
【表7】
【0163】
上記5つの化合物の化学構造を図15に示す。
【0164】
他の化合物
Asparagus racemosus(56)より単離したシャタバリンIV(shatavarin I)(図15)とTribulus terrestris由来のプロトジオシン(コロハより(55)の化合物Cとしても単離可能)は、いずれもChromadex社(2952 S.Daimler St.カリフォルニア州サンタアナ)より供給された。プロトジオシンはまた、コロハの上記調製物より、プロトジオシンの公表NMRデータに一致するピーク2として単離した。
【0165】
トリゴネオシドIVa、グリコシドF、プロトジオシン、およびシャタバリンIVの生物学的活性
無細胞アッセイ
BBラット由来の心臓溶解液を20ng/mlの各化合物の存在および非存在下にインキュベートした。37℃で1時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。結果は、3〜5回の別々の実験の平均である。この結果を図15aに示す。
【0166】
トリゴネオシドIVa、その25(R)異性体のグリコシドF、およびシャタバリンIVが無細胞アッセイにおいてコア2GlcNAc−Tの高活性阻害剤であるのに対し、4位のグルコースがラムノースに置き換えられたプロトジオシンには活性がない。
【0167】
細胞ベースのアッセイ
20ng/mlの試験化合物の存在および非存在下に、ヒト白血球(U937細胞)を8pg/mlのヒト組換えTNF−αへ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。この結果を図15bに示す。
【0168】
トリゴネオシドIVaとグリコシドFが細胞ベースのアッセイにおいてコア2GlcNAc−Tの高活性阻害剤であるのに対し、プロトジオシンには活性がない。
【0169】
コア2GlcNAc−T阻害剤、トリゴネオシドIVaと糖尿病性網膜症
上昇グルコースレベルが培養ウシ網膜血管細胞、即ち毛細管周皮細胞(BRP)および毛細管内皮細胞(BREC)においてコア2GlcNAc−Tの活性を高めることを見出した(図13)。ほぼ集密の培養物を標準グルコース(N,5.8mM)と高グルコース(G,15mM)へ37℃で24時間曝露した。この細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの活性を細胞溶解液において測定した。
【0170】
さらに、コロハ種子抽出物には、培養ウシ網膜毛細管周皮細胞(BRP)および内皮細胞(BREC)においてグルコース誘導毒性を逆転させるポテンシャルがあることを実証した(図14)。細胞をコロハ種子抽出物の存在(N−F,G−F)および非存在(N,G)下に標準(N,5.8mM)および高グルコース(G,25mM)へ曝露した。4日のインキュベーション後、血球計とトリパンブルー排除を使用して、生存細胞の数を決定した。コロハ種子抽出物が培養ウシ網膜毛細管周皮細胞および内皮細胞においてグルコース誘導毒性を実際に逆転させることを見出した。しかしながら、コロハ種子抽出物がコア2GlcNAc−Tの活性を正常化することによってグルコース誘導毒性を逆転させるのかどうかはまだ確かめられていない。
【0171】
網膜血管細胞への傷害が初期の糖尿病性網膜症の指標となるので、コロハ種子抽出物による網膜血管細胞の保護は重要である。ヒトの糖尿病性網膜症は、主に血管の疾患であり、主として毛細管に影響を及ぼす。報告されている最初の超構造的および微視的な変化は、網膜毛細管基底膜の肥厚化と周皮細胞の変性であり、そのいずれも毛細管壁の完全性を低下させる。周皮細胞の変性は、周皮細胞「ゴースト」と呼ばれる、かすかに染色されるコンパートメントを基底膜の鞘に残す。周皮細胞と内皮細胞の両方に対する傷害は、無細胞性の毛細管の形成をもたらす。
【0172】
治療
本明細書に記載の式Iの化合物を含んでなる医薬品は、経口または非経口の経路により投与可能であり、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、気道(エアゾール)、直腸、膣、および局所(頬内および舌下が含まれる)投与が含まれる。経口投与では、本発明の化合物は、一般に、錠剤またはカプセル剤の形態で、散剤または顆粒剤として、または水溶液剤若しくは懸濁液剤として提供される。
【0173】
経口使用のための錠剤には、有効成分を、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、および保存剤のような医薬的に許容される賦形剤と混合して含めてよい。好適な不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、および乳糖が含まれ、一方、とうもろこしデンプンとアルギン酸は、好適な崩壊剤である。結合剤には、デンプンおよびゼラチンを含めてよく、一方、滑沢剤は、存在するならば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであり得る。所望されるならば、錠剤は、胃腸管における吸収を遅らせるために、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような材料でコートしてよい。経口使用のためのカプセル剤には、有効成分を固体の希釈剤と混合する硬ゼラチンカプセル剤と、有効成分を水または落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油のようなオイルと混合する軟ゼラチンカプセル剤が含まれる。
【0174】
直腸投与用の製剤は、例えば、ココア脂またはサリチル酸塩を含んでなる好適な基剤を含む坐剤として提示可能である。
膣投与に適した製剤は、有効成分に加えて、当該技術分野において適切であると知られているような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレーの製剤として提示可能である。
【0175】
筋肉内、腹腔内、皮下、および静脈内の使用では、一般に、適切なpHおよび等張性へ緩衝化した無菌の水溶液剤または懸濁液剤において本発明の化合物を提供する。好適な水性担体には、リンゲル溶液と等張塩化ナトリウムが含まれる。本発明による水性懸濁液剤には、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、およびトラガカントゴムのような懸濁剤と、レシチンのような湿潤剤を含めてよい。水性懸濁液剤に適した保存剤には、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピルが含まれる。
【0176】
本発明のコロハ種子抽出物およびコア2GlcNAc−T阻害剤は、リポソーム製剤としても提示可能である。
一般に、好適な用量は、1日につきレシピエントの体重キログラムあたり0.01〜10mgのコア2GlcNAc−T阻害剤の範囲、好ましくは、1日につき体重キログラムあたり0.2〜1.0mgの範囲にある。所望される用量は、好ましくは、1日1回で提示されるが、2、3、4、5、6またはより多いサブ用量を1日全体で適切な間隔で投薬可能である。これらのサブ用量は、例えば、単位剤形につき10〜1500mg、好ましくは20〜1000mg、そして最も好ましくは50〜700mgの有効成分を含有する単位剤形で投与可能である。
【0177】
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【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】図1は、O−グリカンコア構造の生合成を例示する概略フローチャートである。
【図2】図2aは、酵素コア2GlcNAc−Tの活性が、グルコースにより誘導可能であることを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)を標準(5.8mM)および高グルコース(15mM)へ37℃で24時間曝露した。次いで、この細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの活性を測定した。データは、平均±s.e.m.(n=28)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。 図2bは、コロハ種子より調製した粗抽出物F1がグルコース誘導コア2GlcNAc−T活性を阻害することを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)をコロハ抽出物(1:1000希釈;N−F,G−F)の存在下に標準(N,5.8mM;n=3)および高グルコース(G,15mM;n=3)へ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において定量した。コア2GlcNAc−Tの活性は、ピコモル/h/mgタンパク質として提示する。 図2cは、コロハ種子より調製した粗抽出物F1がヒト白血球(U937)の培養網膜毛細管内皮細胞への付着を阻害することを例示するグラフである。上昇グルコース(15mM)への曝露後、この白血球をカルボキシフルオレセインで標識することによって、白血球−内皮細胞接着のレベルを定量した。データは、平均±s.e.m.(n=3)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図3】図3は、コロハ種子より調製した粗抽出物F1がコア2GlcNAc−T活性を阻害することを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)を15mMグルコースへ37℃で24時間曝露して、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において粗製コロハ種子抽出物(G−F1;1:1000希釈)の存在下に測定した。コア2オリゴ糖の形成(β1,6−連結GlcNAcのGalβ1,3GlcNAc−アクセプタへの付着)を定量することによって、コア2GlcNAc−T活性のレベルを測定した。データは、3回の別々の実験の平均±s.e.m.として提示する。
【図4】図4は、コロハ種子の抽出とコロハ種子抽出物の後続の精製を例示する概略フローチャートである。
【図5】図5は、粗製コロハ種子抽出物F1と粗抽出物F1より精製したサブ分画F2の、ヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。サブ分画F1およびF2の存在および非存在下に、細胞を上昇グルコース(15mM)へ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において定量した。データは、2回の別々の実験の平均を表す。
【図6】図6aおよび6bは、粗抽出物F1よりシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Biotage)によって精製したサブ分画F8〜F15の、ヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。サブ分画の存在下に、細胞を上昇グルコース(G,15mM)へ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において定量した。データは、平均±s.e.m.(n=3)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図7】図7は、サブ分画F13の水相がヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性を阻害することを例示するグラフである。サブ分画F9およびF13をジクロロメタンと徹底的に混合して、水相を濾過滅菌して、コア2GlcNAc−T活性用の細胞ベースのアッセイに使用した。サブ分画F9およびF13の水相の存在および非存在下にヒト白血球を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露した。この結果を、2回の別々の実験の平均として提示する。
【図8】図8は、サブ分画F13の水相よりHPLCにより保持時間で精製したサブ分画、F18.7〜F41.1の、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。種々の保持時間のHPLCサブ分画、F18.7〜F41.1の存在および非存在下にヒト白血球(U937)を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露した。提示するデータは、1回の実験からのものである。サブ分画、G20.24、G20.69、G22.2、G39.9およびG41.1(図8において、カラム無しで表される)については、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対するその阻害効果を試験しなかった。
【図9】図9は、種々の保持時間のHPLCサブ分画、F19.13およびF19.37の阻害効果を例示するグラフである。種々の保持時間のサブ分画、F19.13およびF19.37(1:1000希釈)の存在および非存在下にヒト白血球(U937)を上昇D−グルコース(15mM)へ24時間曝露した。データは、平均±s.e.m.(n=3)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図10】図10は、サブ分画F13の水相よりHPLCにより保持時間で精製したサブ分画、F20.01、F20.29、およびF20.55の、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。種々の保持時間のサブ分画、F20.01、F20.29、およびF20.55の存在および非存在下にヒト白血球(U937)を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露して、コア2GlcNAc−Tの活性を24時間後に測定した。データは、2回の別々の実験の平均である。
【図11】図11は、サブ分画F20.55が無細胞アッセイにおいてコア2GlcNAc−Tを阻害することを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)を15mMグルコースへ37℃で24時間曝露後、この細胞を溶解してから、加熱(H,100℃)および非加熱(NH)サブ分画F20.55(1:500希釈)へ曝露した。37℃で30分の曝露後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定した。コア2オリゴ糖の形成(β−1,6−連結GlcNAcのGal−1,3−GlcNAc−アクセプタへの付着)を定量することによって、コア2GlcNAc−T活性のレベルを測定した。データは、3回の別々の実験の平均±s.e.m.として提示する。
【図12】図12aおよび12bは、上昇グルコースが培養ウシ網膜血管細胞、即ち毛細管周皮細胞(図12a)および毛細管内皮細胞(図12b)においてコア2GlcNAc−T活性を高めることを例示するグラフである。ほとんど周密の培養物を標準グルコース(N,5.8mM)と高グルコース(G,15mM)へ37℃で24時間曝露した。この細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの活性を細胞溶解液において測定した。データは、平均±s.e.m.(n=3〜4)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図13】図13aおよび13bは、コロハ種子の粗抽出物F1が培養ウシ網膜血管細胞、即ち毛細管周皮細胞(図13a)および毛細管内皮細胞(図13b)においてグルコース誘導毒性を予防することを例示するグラフである。細胞をコロハ種子抽出物の存在(N−F,G−F)および非存在(N,G)下に標準(N,5.8mM)および高グルコース(G,25mM)へ曝露した。4日のインキュベーション後、血球計とトリパンブルー排除を使用して、生存細胞の数を決定した。データは、平均±s.e.m.(n=18、別々の実験)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図14a】図14は、コロハ種子より単離した5種の化合物の構造を例示する。
【図14b】図14は、コロハ種子より単離した5種の化合物の構造を例示する。
【図14c】図14は、コロハ種子より単離した5種の化合物の構造を例示する。
【図15】図15aおよび図15bは、精製したトリゴネオシドIVa、グリコシドF、およびシャタバリンIVのコア2GlcNAc−T活性に対する効果を無細胞(図15a)および細胞ベース(図15b)アッセイにおいて例示するグラフである。 無細胞アッセイでは、BBラット由来の心臓溶解液を20ng/mlの各化合物の存在および非存在下にインキュベートした。37℃で1時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。結果は、3〜5回の別々の実験の平均である。 細胞ベースのアッセイでは、ヒト白血球(U937細胞)を20ng/mlの試験化合物の存在および非存在下に8pg/mlのヒト組換えTNF−αへ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、UDP−GlcNAc:Galβ1,3GalNAc−R(GlcNAc→GalNAc)β−1,6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(コア2β−1,6 N−アセチルアミノトランスフェラーゼ、コア2GlcNAc−T:EC2.4.1.102)の阻害剤としての既知および新規化合物の使用に関する。
【0002】
このような阻害剤は、コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した疾患、特に、炎症性疾患、アテローム硬化症、糖尿病性心筋症、癌(転移の治療または予防が含まれる)または、糖尿病性網膜症の療法に適用を有する。
【0003】
本発明者は、本明細書に記載する化合物が、本明細書に記載のアッセイにおいて測定されるように、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導性の活性と、培養ウシ網膜毛細管内皮細胞へのヒト白血球のグルコース誘導性の結合を阻害可能であることを確定した。以下にコア2GlcNAc−T阻害剤と呼ぶこれらの化合物の患者への投与は、上記の疾患状態において、コア2GlcNAc−Tの上昇活性を阻害することによって、コア2O−グリカンおよびシアリルLewisXの異常な形成を予防または治療することができる。
【0004】
グルコシル化されるタンパク質中のセリンまたはスレオニンのいずれかの残基へのN−アセチル−グルコサミン(GalNAc)の付加によるグリコシル化の開始に続き、プロセシングは、O−グリカンの伸長、分岐、そして次いで、末端修飾により進行する。
【0005】
O−グリカン伸長および分岐における必須の工程は、相同のグリコシル−トランスフェラーゼのファミリーに由来する多数のグリコシルトランスフェラーゼアイソフォームにより触媒される。この第一のGalNAc残基へどのサッカライド基がその後付くかに依存して、O−グリカンは、4つの主要サブタイプへ分類される(図1)。コア1構造は、ガラクトースの付加により形成されて、Galβ1−3−GalNAc−αSer/Thrを形成する。コア2構造は、コア1構造を基質として要求して、GlcNAcの付加により形成されて、Gal1β1−3(GlcNAcβ1−6)GalNAc−αSer/Thrを形成する。コア3構造は、GlcNAcの付加により形成されて、GlcNAcβ1−3GalNAc−αSer/Thrを形成する。コア4構造は、コア3構造を基質として要求してGlcNAcの付加により形成されて、GlcNAcβ1−3(GlcNAcβ1−6)GalNAc−αSer/Thrを形成する。コアGalNAc構造への他の修飾も見出されているが、稀であるらしい。これらコア構造は、いずれも、ガラクトシル化、シアル化、フコシル化、硫酸化、または伸長によりさらに修飾されて、最終的にO−グリカンを形成する。
【0006】
コア2GlcNAc−Tの3つの型が知られている。白血病細胞より同定されたコア2GlcNAc−T I、ムチン分泌組織において同定されたコア2GlcNAc−T II、およびコア2GlcNAc−T IIIと呼ばれる第三の胸腺関連種である。
【0007】
細胞表面O−グリカンは、発生とある種の疾患状態において、細胞−細胞相互作用を仲介するのに不可欠な役割を担うことが知られている。タンパク質グリコシル化のパターンは、ゴルジ体において発現されるコア2GlcNAc−Tのようなグリコトランスフェラーゼ酵素の活性および特異性により主に決定される(1−2)。コア2GlcNAc−Tは、O−連結グリカンの生合成において不可欠な役割を担い(3−4)、ポリラクトサミン(即ち、反復性のGalβ1−4GlcNAcβ1−3)のあるO−連結糖(悪性の形質転換と関連した構造)の伸長に重要な調節工程を表す(5−6)。
【0008】
コア2GlcNAc−Tの活性の変化は、T細胞活性化、癌、転移、骨髄芽細胞性白血病、心筋機能不全、および炎症のような、様々な疾患状態と関連付けられてきた(7−18)。コア2GlcNAc−Tの調節が特に重要であると考えられるのは、この酵素により形成される基本のコアオリゴ糖へのラクトサミン構造の付加とその後のフコースおよびシアル酸での修飾が、細胞接着タンパク質であるセレクチンのリガンドを構成する、LewisX、シアリル−シアリルLewisa、およびLewisX糖基の形成をもたらすからである。このセレクチン−リガンド相互作用は、多くのプロセスにおいて重要な役割を担う。
【0009】
炎症は、感染や他の何らかの形の外傷に対して身体が全般的に応答する方法である。炎症の間の主要な事象の1つは、免疫系の細胞が血流から被感染または損傷領域へ移動することである。ひとたび損傷の部位にあると、これらの細胞は、攻撃する作用体の隔離、破壊、および除去の原因となる。
【0010】
短い期間(数分〜数日)を特徴とする急性炎症は健康に必須であるが、時々、この炎症プロセスは、適切なときに終わらずに、そのことが諸問題を引き起こす。慢性炎症は、長期間(数日、数週、数ヶ月、および数年でさえ)、リンパ球およびマクロファージ、組織破壊および修復、並びに血管増殖および線維症を特徴とする。炎症は、身体の正常な構成要素により不適切に始動される場合もあり、喘息、慢性関節リウマチ、および炎症性腸疾患のような一般的な疾患においてある役割を担う。
【0011】
多くの細胞接着分子は、炎症のプロセスに関与することが知られている。炎症の部位では、血液溢出プロセスに先立って、はじめに白血球が血管内皮細胞へ接着する。白血球の内皮細胞へのこの初期の接着において、セレクチンはきわめて重要な役割を担うと考えられている。セレクチンとその炭水化物リガンドにより仲介される細胞接着は、内皮内層上での白血球の係留とローリングをもたらす。次いで、これが二次性のしっかりとした接着をもたらす。初めの刺激の数時間以内に、好中球が組織に入り始めて、移行を数日間続ける場合もある。ある炎症状態では、血管の直接的な損傷により組織傷害が引き起こされて、その組織への好中球の後続の動員によって増幅される。
【0012】
O−グリカンの発現は、これらの付加物の嵩(かさ)のために、細胞−細胞相互作用を抑える。コア2O−グリカンの発現は、上記の場合のすべてにおいて、コア2GlcNAc−Tの転写レベルにより調節される。末梢TおよびB細胞の抗原仲介性の活性化は、コア2GlcNAc−Tおよび分岐O−グリカンのCD43(ロイコシアリン)に対する増加した活性を特徴とする(19−20)。
【0013】
白血球の血液溢出、リンパ球転送、および他のプロセスが、コア2GlcNAc−Tにより合成されるO−グリカンに関与する。具体的には、シアリルLewisXで終結する細胞表面のO−グリカン構造が炎症の部位への白血球の動員に関与する。コア2GlcNAc−TはT細胞発生に重要でないが、この酵素の過剰発現は、骨髄性系統の発生を完全に遮断することが示されている。コア2O−グリカンの過剰発現はまた、T細胞およびB細胞間の相互作用(TB相互作用)に影響を及ぼすことが報告されている。このT−B相互作用は体液性の免疫応答にきわめて重要であり、B細胞上のCD40とT細胞上のCD40リガンド(CD40L)の結合(CD40L−CD40相互作用)を介して仲介される。この相互作用は、B細胞の増殖を誘導する。コア2O−グリカンの過剰発現は、CD40L−CD40相互作用の有意な低下を引き起こすことが示されている(21)。
【0014】
活性化白血球の細胞表面上でのシアリルLewisXの合成を遮断して、それによりセレクチンとそれらの相互作用を停止させることによって、白血球浸潤の最初の工程が起こることを効果的に妨害することが可能である。故に、コア2GlcNAc−Tの活性を抑えることができるコア2GlcNAc−Tの阻害剤は、炎症を変調させることに有用性がある。
【0015】
アテローム硬化症は、機序不明の進行性の炎症性疾患である。循環白血球の動員と、特に動脈の分岐および分枝での内皮への接着は、じゅく腫形成時(atherogenesis)に起こることが知られている最も早期の事象の1つである。次いで、白血球上のインテグリンがこの細胞間のより強い付着を引き起こす。白血球は、内皮下の空間へ移行して、その内奥で蓄積し始める。単球は、酸化された低密度リポタンパク質(LDL−oxLDL)の存在により活性化マクロファージへ変換され、これらの活性化マクロファージは、そのスキャベンジャー受容体を介して、修飾されたリポタンパク質の種を取り込み、分化して、泡沫細胞になる。急性冠症候群で死亡した患者からのアテローム硬化性冠動脈の組織学的な分析は、泡沫細胞、マクロファージ、リンパ球、および肥満細胞が不安定な、または破裂したプラークに存在したことを証明する(49)。
【0016】
少なくとも3つの白血球接着分子、E−セレクチン、ICAM−1、およびVCAM−1がヒトのアテローム硬化症において同定されている(50,51)。さらに、正常な血管とは対照的に、アテローム硬化性の病巣では、上皮細胞によりP−セレクチンが過剰に発現されて、E−セレクチン(52)およびICAM−1(53)の動脈管腔での発現が、単核白血球の蓄積がある動脈部分で増加することがわかった。第三の接着分子、VCAM−1は、アテローム硬化症の動物モデルにおいて検出されて、ヒト冠動脈の非アテローム硬化部分においてよりも、アテローム硬化プラークの内奥においてより多く認められることも示されている。
【0017】
Chibberら(54)は、白血球−内皮細胞接着の増加におけるコア2GlcNAc−Tの重要性を評価して、この酵素の活性の有意な増加を糖尿病患者の白血球に見出した。しかしながら、今日まで、コア2GlcNAc−Tの活性がアテローム硬化症に罹患している患者の循環白血球で上昇しているという証拠はない。本出願人は、今回、酵素コア2GlcNAc−Tの活性が、アテローム性硬化症の患者からの循環白血球において実際に上昇していることを実証した。これは、コア2GlcNAc−Tの活性を低下させることが可能な化合物は、アテローム硬化症の治療または予防に、またはアテローム硬化プラークの患者における再発を医療介入後に予防することに有用であることを示唆する。
【0018】
糖尿病性心筋症の臨床症状が同定されてきたが、その病理発生は不明である。糖尿病性心筋症の定義は、糖尿病患者の筋細胞に心筋肥大および拡張性機能不全をもたらす線維症のような特定の欠陥があること、同時に、糖尿病の経過の間に発生した、心臓における関連した変化のあることを記載する。
【0019】
コア2GlcNAc−Tの上昇活性が、糖尿病の動物および患者の心臓組織において通常観察される、上昇した複合糖質の直接の原因であることを示唆する強い証拠が今日ある。この裏付けとして、コア2GlcNAc−T活性の増加が、糖尿病の実験動物モデルの心臓において、糖尿病患者の心臓においてこの状態の数年後に観察されるものに類似した病理を引き起こすことが最近示された。コア2GlcNAc−Tの発現が心臓ミオシンプロモーターにより推進されるトランスジェニックマウスを使用して、種々の研究が行われた。4ヶ月目に、左心室の顕著な肥大と心臓の全般的な肥大が観察された(16−17)。
【0020】
コア2分岐とコア2GlcNAc−T活性における顕著な変化は、悪性の形質転換、白血病、および癌腫と関連している(21,33−36)。T24H−rasでトランスフェクトしたラット線維芽細胞および乳癌細胞は、それらが転移性の腫瘍になるにつれて、コア2O−グリカンを発現する(33)。
【0021】
コア2GlcNAc−Tの癌および癌転移における関与を指摘する多数の証拠がある。例えば、高転移性の結腸癌細胞は、その低転移性対照物より多くのシアリルLewisXを発現すると同時に、ほとんど転移しない細胞より強くE−セレクチンへ接着する。腫瘍細胞におけるシアリルLewisXの発現と腫瘍進行の間には、強い相関性がある(34)。さらに、コア2O−グリカンにおけるシアリルLewisXの発現とリンパおよび静脈への浸潤の間にもかなりの相関性が存在する。
【0022】
最近の知見は、コア2GlcNAc−Tがα1,3−Fuc−Tとの組合せにおいて口腔癌におけるセレクチン仲介性の転移に貢献することを示唆する(35)。さらに、ウェスタンブロット解析は、抗sLXモノクローナル抗体により認識されるa−連結オリゴ糖を担う、主要なほぼ150kDaの糖タンパク質がsLX陽性プレB白血病細胞系に存在することを明らかにした。CD15発現とコア2GlcNAc−Tのこの相関性は、コア2GlcNAc−Tが、ヒトプレBリンパ様細胞におけるシアリルLewisXの細胞表面発現のレギュレーターであることを示唆する。これらの結果は、リンパ節転移が患者の予後に最も影響を及ぼす要因であるので、in situハイブリダイゼーションにより検出されるコア2GlcNAc−T mRNAが肺腺癌の悪性ポテンシャルを反映することを示す。
【0023】
酵素1,3−フコシルトランスフェラーゼでのトランスフェクションによる、マウスメラノーマB16−FIにおけるシアリルLewisXの発現も、腫瘍転移におけるシアリルLewisXの重要性を確証した。このトランスフェクトされた細胞をマウスへ静脈内注射すると多数の肺腫瘍結節が形成されたが、元のB16−FI細胞は、ほとんど腫瘍を形成しなかった。
【0024】
シアリルLewisa、シアリルLewisX(いずれもセレクチンリガンド炭水化物構造)の発現とコア2GlcNAc−Tの上昇活性は、いずれも結直腸癌の悪性腫瘍度と密接に関連している(36)。最近、Numahata(37)は、原発性膀胱癌におけるシアリルLewisX発現が浸潤性および転移性のアウトカムの予測因子となることを実証した。同等の予後価値を有する他の炭水化物エピトープはこれまで検証されていない。最近、US2004/0033521は、コア2bGlcNAc−Tが肝臓および胃の腫瘍と結腸癌および肝転移の試料において過剰発現されていることを開示した。さらに、WO04/093662は、コア2GlcNAc−Tが前立腺癌、精巣および膀胱癌において上昇していることを実証する。コア2GlcNAc−Tのレベルは、疾患の転移または再発の機会の増加に伴って増加する。
【0025】
故に、コア2GlcNAc−Tの阻害剤は、O−グリカン、例えば、シアリルLewisXを担うものの産生を抑えることが期待され、癌の浸潤性および転移を抑制して、コア2GlcNAc−T発現がその組織種の正常レベルより高く上昇している癌の治療に有用であろう。
【0026】
糖尿病性網膜症は、毛細管の閉塞、微小血管病巣の形成、網膜の虚血域に隣接した網膜の新血管形成を特徴とする(39−40)、進行性の視覚の脅威となる糖尿病の合併症である(38)。
【0027】
コア2GlcNAc−Tの上昇活性が糖尿病性網膜症において増加する白血球−内皮細胞接着および毛細管閉塞の直接的な原因であることが最近見出された(41)。上昇グルコースと糖尿病の血清がコア2GlcNAc−Tの活性とヒト白血球の内皮細胞への接着を高めることも今日実証されている。このことは、コア2GlcNAc−TのPKCβ2依存性リン酸化を介して起こる(42−43)。コア2GlcNAc−Tのリン酸化に関与するこの調節機序は、1型および2型糖尿病患者より単離した多形核白血球(PMN)にも存在する。
【0028】
特異的な阻害剤、LY379196によるPKCβ2活性化の阻害は、コア2GlcNAc−Tのセリンリン酸化を弱め、活性の増加を予防して、それにより、白血球−内皮細胞接着の増加を予防する。そのような阻害剤は、コア2GlcNAc−T活性の抑制が白血球−内皮細胞接着の増加を予防して、糖尿病または高血糖症と関連した網膜症における毛細管閉塞を予防する方法を提供するという確証を提供する。
【0029】
コロハ(Fenugreek)は、数千年の間、糖尿病の治療に使用されてきた。この植物は、クマリン、サポニン、およびグリコシドのような多くの有効成分を含有する。多くの研究(44)で、コロハの血糖低下特性が動物のヒトの両方で実証されてきた。この血糖低下特性は、強力なインスリン放出活性を有するアミノ酸、4−ヒドロキシイソロイシンによるとされてきた(45−46)。
【0030】
本発明者は、今回、ある種の化合物がコア2GlcNAc−Tの阻害剤であることを確定した。これら化合物のあるものは、コロハの種子より、そして他の植物供給源より入手可能である。
【0031】
本発明の第一の側面において、式Iの化合物の有効量のその必要な患者への投与を含んでなる、酵素コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療の方法を提供する。好ましくは、該疾患は、炎症性疾患、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、糖尿病性心筋症、心筋機能不全、癌、癌転移、または糖尿病性網膜症である。
【0032】
癌には、白血病、口腔癌(oral cavity carcinoma)、肺の腺癌のような肺癌、結直腸癌、膀胱癌、肝臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、乳癌、肺腫瘍、口腔癌、およびコア2GlcNAc−T発現がその組織種の正常レベルより高く上昇しているあらゆる癌が含まれる。
【0033】
好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、糖由来置換基を含む。用語「糖由来置換基」は、サッカライドを意味し、ここでは随意に1以上の水素および/または1以上のヒドロキシル基が−R、−OR、−SR、−NR(ここでRは、メチル、エチルまたはプロピルである)により置き換えられて、誘導体を形成する。
【0034】
サッカライドには、限定されないが、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、および多糖類が含まれる。
単糖類には、限定されないが、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース(gulose)、イドース、タロース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、セドヘプツロース、デオキシリボース、フコース、ラムノース、2−デオキシ−グルコース、キノボース、アベクオース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−マンノサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルムラミン酸、O−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、シアル酸、およびグルロン酸が含まれる。
【0035】
好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、少なくとも1つの糖由来置換基を含み;より好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、少なくとも2つの糖由来置換基を含む。
【0036】
好ましくは、それぞれの糖由来置換基は、独立して、単糖、二糖、三糖、または四糖であり;より好ましくは、それぞれの糖由来置換基は、独立して、単糖または三糖である。 好ましくは、コア2GlcNAc−T阻害剤は、式I:
【0037】
【化1】
【0038】
[式中、R1は、−OH、C1−6アルコキシ、−NR8R9、または式IIa:
【0039】
【化2】
【0040】
の単糖であり;
好ましくは、R1は、−OH、−NR8R9、または式IIaの単糖であり;より好ましくは、R1は、−NR8R9、または式IIaの単糖であり;最も好ましくは、R1は、式IIaの単糖である;
R2は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIb:
【0041】
【化3】
【0042】
の単糖であり;
好ましくは、R2は、−OH、または式IIIの単糖であり;より好ましくは、R2は、−OH、または式IIIの単糖であり;最も好ましくは、R2は、−OHである;
R3は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIc:
【0043】
【化4】
【0044】
の単糖であり;
好ましくは、R3は、−OH、または式IIcの単糖であり;より好ましくは、R3は、式IIcの単糖であり;最も好ましくは、R3は、グルコースである;
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R4は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R4は、−CH2OHまたは−CH3であり;最も好ましくは、R4は、−CH2OHである;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R5は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R5は、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHであり;最も好ましくは、R5は、−CH3である;
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R6は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R6は、−CH2OHまたは−CH3であり;最も好ましくは、R6は、−CH2OHである;
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R7は、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R7は、−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルであり;最も好ましくは、R7は、−CH2OHである;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R8は、HまたはC1−6アルキルであり;より好ましくは、R8は、HまたはCH3であり;最も好ましくは、R8は、Hである;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R9は、HまたはC1−6アシルであり;より好ましくは、R9は、Hまたは−COCH3であり;最も好ましくは、R9は、−COCH3である;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、または互変異性型、またはそれらの誘導体である。
【0045】
好ましくは、式Iの化合物は、式III:
【0046】
【化5】
【0047】
[式中:
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキル;より好ましくは、−CH2OHまたは−CH3;最も好ましくは、−CH2OHである;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R5は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R5は、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHであり;最も好ましくは、R5は、−CH3である;そして
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R7は、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R7は、−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルであり;最も好ましくは、R7は、−CH2OHである]の化合物である。
【0048】
より好ましいのは、式III[式中:
R4は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルであり;そして
R7は、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである]の化合物である。
【0049】
より好ましいのは:
R4が、−CH2OHまたは−CH3であり;
R5が−CH3であり;そして
R7が−CH2OHである、化合物である。
【0050】
式IIIの最も好ましい化合物は、式I[式中、
R1は、ラムノースであり;
R2は、−OHであり;
R3は、グルコースであり;そして
R4は、−CH2OHである]の化合物である。
【0051】
最も好ましいのは、式IV:
【0052】
【化6】
【0053】
である、式Iの化合物である。
また提供するのは、式Iの化合物が式V:
【0054】
【化7】
【0055】
[式中:
R1は、−OH、C1−6アルコキシまたは−NR8R9、または式IIa:
【0056】
【化8】
【0057】
の単糖であり;
好ましくは、R1は、−OHまたは−NR8R9であり;より好ましくは、R1は、−NR8R9である;
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R4は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R4は、C1−6アルキルであり;最も好ましくは、−CH3である;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R5は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R5は、−CH3または−CH2OHであり;最も好ましくは、R5は、−CH3である;そして
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;好ましくは、R6は、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;より好ましくは、R6は、−CH2OHまたは−CH3であり;最も好ましくは、R6は、−CH2OHである;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R8は、HまたはC1−6アルキルであり;より好ましくは、R8は、HまたはCH3であり;最も好ましくは、R8は、Hである;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;好ましくは、R9は、HまたはC1−6アシルであり;より好ましくは、R9は、Hまたは−COCH3であり;最も好ましくは、R9は、−COCH3である;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物である、化合物である。
【0058】
式Vの好ましい化合物は:
R1が、−OH、C1−6アルコキシ、または−NR8R9であり;
R4が、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R6が、C1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R8が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
R9が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルである化合物である。
【0059】
式IVのより好ましい化合物は:
R1が−NH−C1−6アシルであり;
R4が、C1−6アルキルまたは−CH2OHであり;そして
R6がC1−6ヒドロキシアルキルであるものである。
【0060】
最も好ましいのは、式:Galβ1→3(6−デオキシ)GalNAcα−Zである、式IVの化合物である。
式Iの化合物は、ステロイド基を含む。用語「ステロイド基」は、式VI:
【0061】
【化9】
【0062】
のように示される四環系の環系を含む。
好ましくは、ステロイド基は、ステロイド基の3位を介して分子の残りへ付く。例えば、上記の式Iの化合物は、好ましくは、式:
【0063】
【化10】
【0064】
の化合物である。
ステロイド基は、コレスタン、5α−プレグナン、アンドロスタン、エストラン、コレステロール、コラン、プロゲスチン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、デヒドロエピアンドロステロンまたはその7−ケト類似体のようなアンドロゲン、胆汁酸、または他のステロイドであり得る。1つの好ましい態様において、ステロイドコアは、それ自身で有益であるかまたは中性であるステロイドである。「中性」は、ステロイドそのものがヒトまたは動物における使用に適すると承認されたことを意味する。「有益」とは、ステロイドが、別に投与されるならば、ヒトまたは動物に対して有益な効果を有することを意味する。
【0065】
ステロイド基は、植物供給源より誘導可能なステロイド性サポゲニンでも、そのような植物ステロイド性サポゲニンより化学修飾によってそれ自身誘導可能であるステロイド性サポゲニンでもよい。
【0066】
1つの態様において、ステロイド基は、式VII:
【0067】
【化11】
【0068】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R12は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R12は、Hである;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R13は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R13は、Hである;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;好ましくは、R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;最も好ましくは、R15は、Hである;
R16は、H、OH、または=Oであり;好ましくは、R16は、Hまたは=Oであり;より好ましくは、R16は、Hである;
R17は、H、OH、または=Oであり;好ましくは、R17は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R17は、Hである;
R18は、H、OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R18は、H、OH、C1−6アルコキシであり;より好ましくは、R18は、HまたはOHであり;最も好ましくは、R18は、Hである;
R19は、H、OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R19は、H、OH、C1−6アルキルであり;より好ましくは、R19は、H、OH、またはC1−6アルキルであり;最も好ましくは、R19は、C1−6アルキルであり;そして特に、R19は、−CH3である;
R20は、H、OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;より好ましくは、R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;最も好ましくは、R20は、−OHである;
R21は、H、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシであるか、または式VIIIの基であり;好ましくは、R21は、式VIIIの基である:
【0069】
【化12】
【0070】
{式中、
R22は、H、OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R22は、H、OH、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R22は、HまたはOH、−OCH3または−O−C2H5であり;最も好ましくは、R22は、Hである;
R23は、H、OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;好ましくは、R23は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R23は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2であり;最も好ましくは、R23は、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2であり;なおより好ましくは、R23は、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2であり;そして特に、R23は、−CH3または=CH2である;そして
R24は、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSであり;好ましくは、R24は、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSであり;より好ましくは、R24は、C1−6アシルまたは単糖MSであり;最も好ましくは、R24は、単糖MSである};
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;好ましくは、R28はHで、R29は−OHであり;より好ましくは、R28とR29は、ともにHである;
R32は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R32は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R32は、Hである;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
MSは、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、セドヘプツロース、デオキシリボース、フコース、ラムノース、2−デオキシ−グルコース、キノボース、アベクオース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−マンノサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルムラミン酸、O−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、シアル酸、およびグルロン酸からなる群より選択され;好ましくは、MSは、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、およびシアル酸からなる群より選択され;最も好ましくは、MSは、グルコースである;そして
Yは、NまたはOであり、好ましくは、YはOである]のステロイド性サポゲニンである。
【0071】
式VIIの好ましいステロイド性サポゲニンは、R21が式VIIIであり、YがOであるものである。
式VIIのより好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12が、H、−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R28は、Hであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表すものである。
【0072】
最も好ましいのは、式VII:[式中:
R12、R13、R15、およびR28は、それぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R16は、H、または=Oであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R19は、H、またはC1−6アルキルであり;
R21は、式VIIIのものであり;
R22は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R24は、C1−6アルコキシ、C1−6アシル、またはグルコースであり;
R29は、Hまたは−OHであり;そして
R32は、Hまたは−OHである]のステロイド性サポゲニンである。
【0073】
式VIIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは、
R12、R13、R15、R16、R17、R22、R28がそれぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;
R21は、式VIIIであり;
R23は、−CH3または=CH2であり;
R24は、C1−6アシルまたはグルコースであり;
R29は、Hまたは−OHであり;そして
R32は、Hであるものである。
【0074】
式VIIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは:
【0075】
【化13】
【0076】
[式中:
R18は、Hまたは−OHであり;
R20は、OHまたはC1−6アルコキシであり;
R24は、グルコースまたはC1−6アシルであり;そして
R29は、HまたはOHである]からなる群より選択される。
【0077】
ステロイド基が式VIIのものである式Iの特に好ましい化合物は、トリゴネオシドIVa、グリコシドF、シャタバリンI(shatavarin I)、化合物3、パルダリノシドC(pardarinoside C)であり、その構造は、表1に要約する。
【0078】
【表1】
【0079】
いずれの場合も、ステロイド基へ3位で結合するサッカライド基は:
【0080】
【化14】
【0081】
である。
あるいは、ステロイド基は、式IX:
【0082】
【化15】
【0083】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R12は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R12は、Hである;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R13は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R13は、Hである;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;好ましくは、R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;より好ましくは、R15は、Hである;
R16は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R16は、Hまたは=Oであり;より好ましくは、R16は、Hである;
R17は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R17は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R17は、Hである;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R18は、H、−OH、C1−6アルコキシであり;より好ましくは、R18は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R18は、Hである;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R19は、H、OH、またはC1−6アルキルであり;より好ましくは、R19は、C1−6アルキルであり;そして特に、R19は、−CH3である;
R20は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;より好ましくは、R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;最も好ましくは、R20は、−OHである;
R27は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはC1−6ヒドロキシアルキルであり;好ましくは、R27は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;より好ましくは、R27は、HまたはC1−6アルキルであり;最も好ましくは、R27は、メチル、エチル、またはプロピルである;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;好ましくは、R28とR29は、ともにHである;
R32は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R32は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R32は、Hである;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す]のステロイド性サポゲニンであり得る。
【0084】
式IXの好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12が、Hまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R27は、C1−6アルキルであり;そして
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、それぞれHまたは−OHを表し;
R32は、H、−OH、または=Oであるものである。
【0085】
より好ましくは、式IXのステロイド性サポゲニンは:
R12が、Hまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであり;
R16は、Hまたは=Oであり;
R17は、H、−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R27は、C1−6アルキルであり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、それぞれHまたは−OHを表し;そして
R32は、Hまたは−OHであるものである。
【0086】
より好ましくは、式IXのステロイド性サポゲニンは、一般式IXa:
【0087】
【化16】
【0088】
のものである。
ステロイド基が式IXである、式Iの最も好ましい化合物は:
【0089】
【化17】
【0090】
であり、Lilium macklineaeより単離可能である(59)。
ステロイド性サポゲニンのさらに好ましい群は、ステロイド性サポゲニンが、式XI:
【0091】
【化18】
【0092】
[式中、
R12は、H、OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R12は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R12は、Hである;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R13は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R13は、Hである;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;好ましくは、R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;より好ましくは、R15は、Hである;
R16は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R16は、Hまたは=Oであり;より好ましくは、R16は、Hである;
R17は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R17は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R17は、Hである;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;好ましくは、R18は、H、OH、C1−6アルコキシであり;より好ましくは、R18は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R18は、Hである;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R19は、H、−OH、C1−6アルキルであり;より好ましくは、R19は、H、−OH、またはC1−6アルキルであり;最も好ましくは、R19は、C1−6アルキルであり;そして特に、R19は、−CH3である;
R25は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;好ましくは、R25は、Hまたは−OHであり;より好ましくは、R25は、Hである;
R26は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;好ましくは、R26は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;より好ましくは、R26は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2であり;最も好ましくは、R26は、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2であり;なおより好ましくは、R26は、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2であり;そして特に、R26は、−CH3または=CH2である;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;好ましくは、R28とR29は、ともにHである;
R31は、Hまたは−OHであり;好ましくは、R31は、Hである;
R32は、H、−OH、または=Oであり;好ましくは、R32は、Hまたは−OHであり;最も好ましくは、R32は、Hである;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;好ましくは、R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す;
R34は、Hまたは−OHであり;好ましくは、R34は、Hである;そして
Xは、O、S、またはNHであり;好ましくは、Xは、OまたはNHであり;より好ましくは、Xは、Oである]であるものである。
【0093】
式XIの好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12が、Hまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15、R18、R28、およびR29は、同じであるかまたは異なり、それぞれHまたは−OHを表し;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、HまたはC1−6アルキルであり;
R26は、H、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;
R29は、Hまたは−OHであり;
R31は、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;そして
R34は、Hまたは−OHであるものである。
【0094】
式XIのより好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12、R13、R15、およびR28がそれぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R16は、Hまたは=Oであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R19は、HまたはC1−6アルキルであり;
R26は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2であり;
R28は、Hであり;
R29は、Hまたは−OHであり;
R32は、Hまたは−OHであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表すものである。
【0095】
式XIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは:
R12、R13、R15、R16、R17、R25、R28、R31、R32、およびR34がそれぞれHを表し;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R18は、Hまたは−OHであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R26は、C1−6アルキルまたは=CH2であり;
R29は、Hまたは−OHであり;
R32は、Hであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表すものである。
【0096】
式XIの最も好ましいステロイド性サポゲニンは、以下の基:
【0097】
【化19】
【0098】
より選択されるものである。
式XIの特に好ましいステロイド性サポゲニンは、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ソラソジン、またはトマチジンである。
【0099】
ステロイド基が式XIのものである式Iの特に好ましい化合物は:
シャタバリンIV、(25R)シャタバリンIV、デルトニン、バラニチンVI、MimakiおよびSahida(58)の化合物12である。
【0100】
シャタバリンIVは、サルササポゲニン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドである。
【0101】
化合物12は、ソラソジン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドである。
デルトニンは、(3β,25R)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシドである。
【0102】
バラニチンVIは、(3β,25S)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシドである。
【0103】
式Iの特に好ましい化合物は、好ましいステロイド基を好ましいサッカライド基と組み合わせるものである。
本発明の第二の側面において、式Iの化合物の、酵素:コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療用医薬品の製造における使用を提供する。そのような状態の例は、本発明の第一の側面において本明細書に記載されている。
【0104】
本発明の第三の側面において、式Iの化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。
本明細書に使用するように、用語:コア2GlcNAc−T阻害剤は、酵素、コア2GlcNAc−T、好ましくは、本明細書に記載するアッセイにおいて測定されるように、本明細書に記載のコア2GlcNAc−T酵素活性を含んでなる調製物の、UDP−6[3H]−N−アセチルグルコサミンを産物へ取り込む能力の阻害剤を意味する。
【0105】
本明細書に使用するように、用語アグリコンは、サッカライド部分が存在しない式Iの化合物を意味する。この化合物は、サッカライド部分により占められる位置に、他の置換基を有してよい。特に、フロスタノールサポニンであるアグリコンは、グリコシル化される場合、同等のスピロスタノールサポニンと同じように、閉環状態であり得る。
【0106】
本明細書の構造において使用する簡略表記:
【0107】
【化20】
【0108】
は、構造:
【0109】
【化21】
【0110】
を示すために使用する。
本明細書の構造において使用する簡略表記:
【0111】
【化22】
【0112】
は、構造:
【0113】
【化23】
【0114】
を示す。
本明細書において使用するように、簡略表記:Glcはグルコースであり、Rhaはラムノースである。疑念の回避のために言えば、用語C1−6アシルは、−CO−C1−5アルキルである。
【0115】
これから本発明を以下の非限定的な参考実施例、図面、および表を参照に記載する。これに照らせば、当業者には、本特許請求項の範囲内に該当するさらなる態様が考案されよう。
【0116】
発明の詳細な説明
実験法
式Iの化合物は、多様な植物種より抽出可能である。この点で参考になるのは、例のみを挙げると、Yoshikawaら(55)、Shashedaら(59)、Akhovら(60)、JoshiおよびDev(61)、Ravikumarら(56)、Vasil’evaおよびPaseshnichenko(62)、Shimomuraら(57)、SharmaおよびSharma(63)、Petitら(64)、MikamiおよびSashida(58)、およびHostettman(65)と、これらの中の参考文献である。これらの文献は、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
あるいは、それらは、慣用の有機化学の方法および技術によって合成可能である。この点で参考になるのは、Thisbe K.Lindhorst著「炭水化物の化学および生化学要説(Essentials of Carbohydrate Chemistry and Biochemistry)」(2000)ウィリー、Beat Ernst、Gerald W.HartおよびPierre Sinary監修「化学および生物学における炭水化物(Carbohydrates in Chemistry and Biology)」(2000)ウィリー、John F.Robyt著「炭水化物化学の要説(Essentials of Carbohydrate Chemistry)」(1998)Springer Verlag、Hassan S.El Khadem著「炭水化物化学(Carbohydrate Chemistry)」(1988)、Mikael Bols著「炭水化物構築ブロック(Carbohydrate Building Blocks)」(1996)、P.G.WangおよびC.R.Bertozzi監修「糖化学:原理、合成、および応用(Glycochemistry:Principles,Synthesis,and Applications)」(2001)マーセル・デッカー、ニューヨーク、および王立化学協会スタッフ著「炭水化物化学(Carbohydrate Chemistry)」(1989)CRCプレスのような炭水化物およびステロイド化学の教科書である。
【0118】
本発明の化合物は、市販のアグリコンより、またはコロハ種子または別の植物供給源からのアグリコンや他の前駆体の単離とその前駆体の後続の化学修飾によって製造可能である。
【0119】
当業者は、例えば、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルサポゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ソラソジン、またはトマチジンのような、スピロスタノールおよびフロスタノールアグリコンの多くの供給源に注目されよう(例えば、Hostettmanとその参考文献(65))。
【0120】
具体的に、2,4−分岐オリゴ糖部分を有するスピロスタノールサポニンのジオスゲニンからの合成の方法については、Duら,2003(73)を参照のこと。この参考文献はまた、他のグルコシル化ステロイド、例えばコレステロールからの合成のさらなる参考になる。開示される方法は、ステロイドが化学的にグリコシル化される化合物を合成して式Iの化合物を生成するのに使用可能である。
【0121】
三糖置換スピロスタノールサポニンの合成については、Liら(66)、多様な三糖および四糖置換スピロスタノールサポニンの合成については、Dengら(67)、フロスタノールサポニンの合成の方法ついては、Liら(68)、Yuら(69)、Yuら(70)、そしてスピロスタノールおよびフロスタノールサポニンの相互変換については、YuおよびTao(71)、Chengら(72)、およびDuら(73)がさらに参照になる。これらの参考文献はまた、単糖ヒドロキシアルキル基の誘導化についての情報とさらなる参考文献を提供する。
【0122】
Gal1β1−3(6−デオキシ)GalNAcα−コンジュゲートを合成する方法は、Paulsenら(48)に示される。これらの方法は、式Iの他の化合物を合成するために、本明細書において参照される他の方法との組合せにおいて当業者により適用可能である。
【0123】
細胞培養
ウシ網膜毛細管内皮細胞(BREC)および周皮細胞(BRP)は、既報(48)のように、屠殺したばかりのウシの目より切除したウシ網膜より確立した。簡潔に言えば、単離した網膜を無血清最少必須培地(MEM,ギブコ、ペーズリー、イギリス)においてホモジェナイズして、85μmナイロンメッシュに通して濾過した。捕捉した微小血管を37℃で30分(BRP)および90分(BREC)の間コラゲナーゼ−ジスパーゼ(1mg/ml)で消化して、53μmナイロンメッシュに通して濾過した。内皮細胞(BREC)の増殖については、消化した微小血管をゼラチンコートした組織培養フラスコにおいてプレート培養して、10%プール化ヒト血清、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したMEMにおいて維持した。周皮細胞(BRP)の増殖については、上記微小血管を組織培養フラスコにおいて、10%胎仔ウシ血清を補充した増殖培地においてプレート培養した。この細胞を2〜3継代で使用した。形態学的な判定基準を使用して、第VIII因子関連抗原に対する抗体と3G5−周皮細胞マーカーでの免疫染色によって、この細胞を特性決定した。
【0124】
ヒト白血球細胞系(U937)は、10%胎仔ウシ血清、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMIにおいて培養した。
【0125】
コア2GlcNAc−T活性の細胞ベースアッセイ
コア2GlcNAc−Tを薬理学的に阻害するコロハのポテンシャルを検討するために、標準グルコース(5.8mM)および高グルコース(15mM)へ37℃で24時間曝露した白血球において酵素活性を測定した。インキュベーション後、細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの測定に使用するまで−20℃で凍結させた。培養したウシ網膜毛細管周皮細胞(BRP)および内皮細胞(BREC)におけるコア2GlcNAc−Tの活性も測定した。
【0126】
コア2GlcNAc−T活性の無細胞アッセイ
このアッセイには、セファロースビーズに固定したコア2GlcNAc−Tを使用した。コア2GlcNAc−T免疫沈降、並びにウェスタンブロットには、コア2GlcNAc−Tに対するポリクローナル抗体を使用した。細胞を氷上で以下の溶解緩衝液において溶解した:20mM Tris−HCl(pH7.4)/1% Triton X−100,150mM NaCl,1mM EDTA,1mM EGTA,0.2mM バナジン酸ナトリウム,1mM PMSF,1μg/ml アプロチニン,10μg/ml ロイペプチン。この溶解液を一定の撹拌とともに4℃で20分間インキュベートして、不溶性の材料を遠心分離(14,000g,4℃で5分間)により除去した。澄明にした溶解液をぶどう球菌タンパク質A−セファロースCL−4B共役一次抗体とともに、一定に撹拌しながら4℃で2時間インキュベートした。0.5% Triton X−100を含有するTris緩衝化生理食塩水(10mM Tris−HCl(pH7.4),150mM NaCl)で免疫沈降物を洗浄して、潜在的な阻害剤の存在および非存在下でのコア2GlcNAc−Tの測定に使用した。
【0127】
コア2GlcNAc−T活性の測定
コア2GlcNAc−T活性を測定するために、白血球をPESに洗浄して、凍結させて、0.9% Triton X−100において0℃で溶解させた。コア2GlcNAc−Tの活性は、既報(41)のように測定した。簡潔に言えば、50mM 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES,シグマ、ドーセット、イギリス)(pH7.0)、1mM UDP−6[3H]−N−アセチルグルコサミン(16,000dpm/ナノモル、NEN Life Science Products,ハウンスロー、イギリス)、0.1M GlcNAc(シグマ、オクラホマ州ドーセット)、基質としての1mM Galβ1−3GalNAcα−p−ニトロフェノール(シグマ、ドーセット、イギリス)、および16μlの細胞溶解液(100〜200μgタンパク質)を含有する、最終量32μlの反応混合物において反応を実施した。この混合物を37℃で1時間インキュベートした後で、1mlの氷冷蒸留水で反応を止めて、C18 Sep−Pakカラム(ウォーターズ−ミリポア、ワトフォード、イギリス)で処理した。このカラムを20mlの蒸留水で洗浄後、産物を5mlのメタノールで溶出させた。試料の放射活性を液体シンチレーションβ−カウンター(LKB−Wallac,ロンドン、イギリス)で計数した。内因性のコア2GlcNAc−Tの活性は、添加するアクセプタの非存在下に測定した。比活性は、ピコモル/h/細胞タンパク質のmgとして表した。どの場合も、タンパク濃度は、BioRadタンパク質アッセイ(BioRad,ハートフォードシア、イギリス)で定量した。
【0128】
白血球−内皮接着アッセイ
白血球の内皮細胞への接着は、カルボキシフルオレセイン(モレキュラー・プローブ、イギリス)で標識することによって試験した。このアッセイは、十分確立されている(41)。簡潔に言えば、内皮細胞を周密状態にまで増殖させて、カルボキシフルオレセイン標識化白血球(U937)の接着のために内皮細胞表面を提供した。処理後、この白血球を遠心分離(14,000g,1分間)させて、無血清RPMLで2回洗浄した。次いで、この細胞を、50μg/mlカルボキシフルオレセインを含有する1mlの無血清RPMIに再懸濁した。この細胞を血球計で計数して、既知数を内皮細胞へ加えた。37℃で30分のインキュベーション後、無血清RPMIで洗浄することによって非付着性の白血球を除去して、ディッシュをPBS中3.7%ホルマリンに固定した。10のランダム高出力場(x100)において蛍光顕微鏡によって付着白血球を計数した。この結果を付着白血球/場の百分率として表した。
【0129】
グルコース毒性
BRPとBRECを3cmの組織培養ディッシュにおいてプレート培養して、増殖培地において37℃で24時間インキュベートした。次いで、この細胞を、標準グルコース(5.8mM)または上昇グルコース(25mM)を含有する新鮮な増殖培地において、コロハサブ分画の非存在または存在下にインキュベートした。4日のインキュベーション後、血球計とトリパンブルーを使用して生存細胞の数を計数して、この結果を対照(5.8mMグルコース)の百分率として表した。処理後、この細胞のいくらかをコア2GlcNAc−T活性の測定用に保存した。
【0130】
粗製コロハ種子抽出物の生物学的活性
図2aに示すように、上昇D−グルコースへの24時間曝露は、ヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tの活性を有意に高める。コロハ種子より調製した粗抽出物に、ヒト白血球におけるグルコース誘導コア2GlcNAc−T活性(図2b)と白血球−内皮細胞接着(図2c)を阻害するポテンシャルがあることを今回見出した。白血球−内皮細胞接着は、カルボキシフルオレセインで染色した既知数の白血球を網膜毛細管内皮細胞の単層へ加えることによって測定した。次いで、10のランダム場を使用して、蛍光顕微鏡下に、付着した白血球の数を計数した。
【0131】
図3に例示する結果は、ヒト白血球(U937)を上昇グルコースへ24時間曝露することによって得た。次いで、この細胞を溶解し、粗製のコロハ種子抽出物F1とともにインキュベートして、30分のインキュベーション後にコア2GlcNAc−T活性を測定した。
【0132】
コロハ種子抽出物の調製および精製:実施例1
コロハ種子抽出物は以下のように入手した(図4を参照のこと)。コロハ種子(FUDCO,184 Ealing Road,ウェンブリー、ミドルセックス、イギリスよりMethi種子として入手したインドのコロハ種子)をハンマーミルで粉砕して、ナイロンメッシュに通して濾過した。入手した820gの濃黄色の粉末をソックスレー抽出器においてヘキサンで8時間連続洗浄することによって脱脂した。次いで、この植物材料を乾燥させて、エタノールで8時間連続的に抽出した。固形残渣を除去する濾過とエタノールの真空での濃縮により、半固体で茶褐色の粗抽出物(65g)を得て、F1とラベルした。これが残留オイルを含有するように見えたので、50gの粗抽出物F1を冷ヘキサン(500ml)とともに振り混ぜた。ヘキサン可溶性の材料を濾過して取り、不溶性の残渣を濾紙に採取し、乾燥させてF2(27g)を得る一方、溶媒は除去してF3(15.4g)を得た。
【0133】
次いで、市販キット(Biotage)を使用して、順相シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを利用した。F2(5g)をシリカゲル(5g)上へ吸着させて、試料バレルへ詰め込んで、シリカゲルKP−Silを含有するメインクロマトグラフィーカラム(20cmx4cm)へ短い管により連結した。この試料を、軽油(40/60)、クロロホルム、メタノール、およびアセトンの多様な混合物からなり極性が高まる一連の溶媒でカラムの上からそれを通して溶出させた。溶出するサブ分画をTLCにより試験して、類似のものをプールして、極性が高まる化合物を表す7つの主要な溶出サブ分画F8〜F14を得た。シリカを取り出し、100%メタノールとともに振り混ぜ、濾過し、乾燥させて残渣を得て、F15とラベルした。各サブ分画の重量と近似の溶出溶媒を表2に示す。
【0134】
【表2】
【0135】
精製したコロハ種子抽出物の生物学的活性
コア2GlcNAc−Tの白血球におけるグルコース誘導活性を阻害する、上記の精製サブ分画のポテンシャルについて試験した。初めに、サブ分画F2が白血球におけるグルコース誘導コア2GlcNAc−T活性を阻害可能であることを実証した(図5)。さらなる実験は、コア2GlcNAc−Tの阻害剤がサブ分画F13およびF14に存在することを示した(図6aおよび6b)。
【0136】
次いで、サブ分画F9およびF13を分析した。両方のサブ分画F9およびF13の水性アリコート(0.5ml)を1mlのジクロロメタンで抽出し、水相を取り出し、0.22μmフィルターを通した濾過により濾過滅菌して、コア2GlcNAc−T活性の細胞ベースのアッセイに使用した。サブ分画F9およびF13の水相の存在および非存在下にヒト白血球を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露した。コア2GlcNAc−T阻害剤がサブ分画F13の水相に存在することを示す結果を図7に提示する。
【0137】
サブ分画F13の水相を、そのHPLC保持時間によりコードされるサブ分画F18.7〜F41.1へHPLCにより精製した。サブ分画F13の水相を、逆相条件で操作するHPLC(ヒューレット・パッカード、1050/100シリーズ)上へ直接注入した。メタノール/水の移動相でのオクタデシル結合カラムで分離を達成した。22nmの一定波長で操作するUV検出器により、カラムより溶出する成分を検出した。上記の成分は、クロマトグラフィートレース上のピークとして質量分析計の検出器より明らかにした。このように入手したサブ分画を真空で濃縮乾固させ、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に再び溶かして、濾過滅菌した。コア2GlcNAc−T活性の細胞ベースのアッセイを行って、結果は、コア2GlcNAc−T阻害剤がサブ分画F19〜F20.03に存在することを示唆した(図8および9を参照のこと)。
【0138】
引き続き、サブ分画F13の水相のより多くの量を、メタノール/水移動相でのフェニル結合カラムで逆相条件下に操作するHPLCによって、20.01、20.29、および20.55の保持時間のサブ分画へ同様に精製したが、これは、上記のサブ分画F19.13、F19.37、およびF19.44と同等である。コア2GlcNAc−T活性についての細胞ベースのアッセイにより、コア2GlcNAc−T阻害剤がこれらのサブ分画、F20.01、F20.29、およびF20.55に存在することを確かめた(図10a)。無細胞アッセイ系を使用して、HPLC精製したサブ分画F20.55によるコア2GlcNAc−Tの阻害を実証した(図11)。ヒト白血球(U937)を15mMグルコースへ37℃で24時間曝露後、この細胞を溶解してから、加熱(H,100℃)および非加熱(NH)サブ分画、F20.55(1:500希釈)へ曝露した。37℃で30分の曝露後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定した。図11に示すように、サブ分画F20.55は、無細胞アッセイにおいてコア2GlcNAc−Tを直接阻害することがわかった。サブ分画F20.55の加熱は、コア2GlcNAc−T阻害のレベルをごくわずかに改変しただけであった。
【0139】
コア2GlcNAc−T阻害剤の構造解析
サブ分画F20.55中のコア2GlcNAc−T阻害剤を、CD3ODに溶かした試料のNMR解析により同定した。以下のNMR実験を実施した:1D プロトン、2D DQF−COSY(1H−1H相関性)[8時間]、2D編集HSQC(1H−13C多重度編集での1結合相関性)[2D TOCSY](1H−1H中継相関性)[2x8時間]。
【0140】
サブ分画F20.55中のコア2GlcNAc−T阻害剤の1Hおよび13C NMRデータを表3および4に提示する。
【0141】
【表3】
【0142】
【表4】
【0143】
目的の化合物は、コロハ種子の既知の構成成分である(55)、トリゴネオシドIVaと同定された。
【0144】
トリゴネオシドIVa、プロトジオシン、化合物3、およびグリコシドFのバルク調製
破砕した種子(360g,Deep Foods社、ニュージャージー州ユニオン、07083、アメリカの製品)をヘプタン(2x700ml)、アセトン(4x600ml)、およびMeOH(4x600ml)で、それぞれ還流で2時間沸騰させることによって連続的に抽出した。この抽出物を濾過し、真空で蒸発乾固させて、この植物よりかつて報告されたフロスタノールサポニン類の存在をLC/MSによって分析した(54,74,75)。メタノール抽出物(82g,種子の22.7%(w/w))に標的化合物が含まれることを見出した。
【0145】
種子のヘプタンおよびアセトンでの最初の抽出は、ほとんどの低極性材料を除去して、後続のクロマトグラフィーを改善した。メタノール抽出物をブタノールと水の間に分画することによって、さらなる脱脂が達成可能である。しかしながら、メタノール抽出物は、極性の材料をさほど含有しなかったので、この抽出物をさらなる脱脂に処すことなく、Diaion HP20(またはSP207、HP20SS、SP207SS、いずれもシグマ−アルドリッチより入手可能)樹脂のようなスチレン樹脂を使用する固相抽出によって、濃縮されたサポニン含有分画が入手可能である。
【0146】
MeOH抽出物(CDXA−13−132−1,81.2g)を水−MeOH(6:4,400ml)に溶かし、Diaion HP20(Sipelco Diaion HP20,350g,5.0x30cm)上へロードして、水−MeOH(4:6,600ml)、MeOH(2L)、およびアセトン(2L)で溶出した。250mlの分画を採取した。この分画をHPLCにより分析し、同様の組成の分画を合わせて、7種のプール(CDXA−13−133 F1〜F7)を得た。所望されるサポニンの大部分がプール、CDXA−13−133−F5(22.5g,抽出物の27.7(w/w)%)に含まれることがわかった。
【0147】
このプール(22.0g)を順相シリカ(445g,Merck シリカゲル60,70〜230メッシュ、0.0763〜0.200mm,5.0x30cm)でクロマトグラフ処理して、以下の組成の各3Lのジクロロメタン−MeOH−水系で溶出した:a)80:20:3、b)75:25:3、c)70:30:3、およびd)65:35:3。250mlの分画を採取し、HPLCにより分析して、11種のプール(CDXA−13−137−F1〜F11)へ合わせた。
【0148】
分画F6およびF7を合わせ、乾燥させ(10.0g,45%)、C8シリカ(350g,Phenomenex Luna C8(2),5ミクロン、100A,5.0x28cm)でクロマトグラフ処理して、以下の組成のMeOH−水系で溶出した:a)4:6(800ml)、b)5:5(2L)、c)55:45(5L)6:4(1L)、d)65:35(1L)、e)7:3(1L)、f)8:2(1L)およびMeOH(1L)。この分画をHPLCにより分析して、29種のプール(CDXA−13−138−F1〜F29)へ合わせた。250mlの分画を採取した。
【0149】
分画F13〜F16を乾燥させ(1.155g,11.6%)、UV/Vis検出器モデル155、ポンプモデル321、および液体ハンドラーモデル215からなるGilson半分取用HPLCシステムを使用する逆相HPLCにより精製した。
【0150】
クロマトグラフィー条件:
カラム:Phenomenex Luna C18(2),5ミクロン、150x21.2mm
移動相:アセトニトリル−水(28:72)
試料サイズ:注入ごとに各分画の15mg
検出:UV 205nm
5つのピーク、P1〜P5(図**1〜5)を採取して、トリゴネオシドIVa、その25(S)異性体−グリコシドFについて文献で報告された1H、13C NMR、および質量スペクトルのデータとの比較によって同定した。さらに類似の化合物、化合物3を検出した。この化合物についてはこれまで記載されていない。
【0151】
NMRスペクトルは、d5ピリジンにおいて記録した。プロトンスペクトルは、Varian Inova VXRs−300機器において300MHzで記録して、炭素スペクトルは、Varian Inova 400機器において100MHzで記録した。
【0152】
質量スペクトルは、Finnigan LCQ Deca機器においてAPCI形式で記録した。
ピーク1、トリゴネオシドIVa:白い固形物(90mg,種子の0.025(w/w)%)。
【0153】
【化24】
【0154】
ピーク2、化合物C/プロトジオシン:白い固形物(120mg,0.033%)。
【0155】
【化25】
【0156】
ピーク3、化合物3:白い固形物(30mg,0.008%)。
【0157】
【化26】
【0158】
ピーク4、グリコシドF:白い固形物(120mg,0.033%)。
【0159】
【化27】
【0160】
【表5】
【0161】
【表6】
【0162】
【表7】
【0163】
上記5つの化合物の化学構造を図15に示す。
【0164】
他の化合物
Asparagus racemosus(56)より単離したシャタバリンIV(shatavarin I)(図15)とTribulus terrestris由来のプロトジオシン(コロハより(55)の化合物Cとしても単離可能)は、いずれもChromadex社(2952 S.Daimler St.カリフォルニア州サンタアナ)より供給された。プロトジオシンはまた、コロハの上記調製物より、プロトジオシンの公表NMRデータに一致するピーク2として単離した。
【0165】
トリゴネオシドIVa、グリコシドF、プロトジオシン、およびシャタバリンIVの生物学的活性
無細胞アッセイ
BBラット由来の心臓溶解液を20ng/mlの各化合物の存在および非存在下にインキュベートした。37℃で1時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。結果は、3〜5回の別々の実験の平均である。この結果を図15aに示す。
【0166】
トリゴネオシドIVa、その25(R)異性体のグリコシドF、およびシャタバリンIVが無細胞アッセイにおいてコア2GlcNAc−Tの高活性阻害剤であるのに対し、4位のグルコースがラムノースに置き換えられたプロトジオシンには活性がない。
【0167】
細胞ベースのアッセイ
20ng/mlの試験化合物の存在および非存在下に、ヒト白血球(U937細胞)を8pg/mlのヒト組換えTNF−αへ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。この結果を図15bに示す。
【0168】
トリゴネオシドIVaとグリコシドFが細胞ベースのアッセイにおいてコア2GlcNAc−Tの高活性阻害剤であるのに対し、プロトジオシンには活性がない。
【0169】
コア2GlcNAc−T阻害剤、トリゴネオシドIVaと糖尿病性網膜症
上昇グルコースレベルが培養ウシ網膜血管細胞、即ち毛細管周皮細胞(BRP)および毛細管内皮細胞(BREC)においてコア2GlcNAc−Tの活性を高めることを見出した(図13)。ほぼ集密の培養物を標準グルコース(N,5.8mM)と高グルコース(G,15mM)へ37℃で24時間曝露した。この細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの活性を細胞溶解液において測定した。
【0170】
さらに、コロハ種子抽出物には、培養ウシ網膜毛細管周皮細胞(BRP)および内皮細胞(BREC)においてグルコース誘導毒性を逆転させるポテンシャルがあることを実証した(図14)。細胞をコロハ種子抽出物の存在(N−F,G−F)および非存在(N,G)下に標準(N,5.8mM)および高グルコース(G,25mM)へ曝露した。4日のインキュベーション後、血球計とトリパンブルー排除を使用して、生存細胞の数を決定した。コロハ種子抽出物が培養ウシ網膜毛細管周皮細胞および内皮細胞においてグルコース誘導毒性を実際に逆転させることを見出した。しかしながら、コロハ種子抽出物がコア2GlcNAc−Tの活性を正常化することによってグルコース誘導毒性を逆転させるのかどうかはまだ確かめられていない。
【0171】
網膜血管細胞への傷害が初期の糖尿病性網膜症の指標となるので、コロハ種子抽出物による網膜血管細胞の保護は重要である。ヒトの糖尿病性網膜症は、主に血管の疾患であり、主として毛細管に影響を及ぼす。報告されている最初の超構造的および微視的な変化は、網膜毛細管基底膜の肥厚化と周皮細胞の変性であり、そのいずれも毛細管壁の完全性を低下させる。周皮細胞の変性は、周皮細胞「ゴースト」と呼ばれる、かすかに染色されるコンパートメントを基底膜の鞘に残す。周皮細胞と内皮細胞の両方に対する傷害は、無細胞性の毛細管の形成をもたらす。
【0172】
治療
本明細書に記載の式Iの化合物を含んでなる医薬品は、経口または非経口の経路により投与可能であり、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、気道(エアゾール)、直腸、膣、および局所(頬内および舌下が含まれる)投与が含まれる。経口投与では、本発明の化合物は、一般に、錠剤またはカプセル剤の形態で、散剤または顆粒剤として、または水溶液剤若しくは懸濁液剤として提供される。
【0173】
経口使用のための錠剤には、有効成分を、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、および保存剤のような医薬的に許容される賦形剤と混合して含めてよい。好適な不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、および乳糖が含まれ、一方、とうもろこしデンプンとアルギン酸は、好適な崩壊剤である。結合剤には、デンプンおよびゼラチンを含めてよく、一方、滑沢剤は、存在するならば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであり得る。所望されるならば、錠剤は、胃腸管における吸収を遅らせるために、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような材料でコートしてよい。経口使用のためのカプセル剤には、有効成分を固体の希釈剤と混合する硬ゼラチンカプセル剤と、有効成分を水または落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油のようなオイルと混合する軟ゼラチンカプセル剤が含まれる。
【0174】
直腸投与用の製剤は、例えば、ココア脂またはサリチル酸塩を含んでなる好適な基剤を含む坐剤として提示可能である。
膣投与に適した製剤は、有効成分に加えて、当該技術分野において適切であると知られているような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレーの製剤として提示可能である。
【0175】
筋肉内、腹腔内、皮下、および静脈内の使用では、一般に、適切なpHおよび等張性へ緩衝化した無菌の水溶液剤または懸濁液剤において本発明の化合物を提供する。好適な水性担体には、リンゲル溶液と等張塩化ナトリウムが含まれる。本発明による水性懸濁液剤には、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、およびトラガカントゴムのような懸濁剤と、レシチンのような湿潤剤を含めてよい。水性懸濁液剤に適した保存剤には、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピルが含まれる。
【0176】
本発明のコロハ種子抽出物およびコア2GlcNAc−T阻害剤は、リポソーム製剤としても提示可能である。
一般に、好適な用量は、1日につきレシピエントの体重キログラムあたり0.01〜10mgのコア2GlcNAc−T阻害剤の範囲、好ましくは、1日につき体重キログラムあたり0.2〜1.0mgの範囲にある。所望される用量は、好ましくは、1日1回で提示されるが、2、3、4、5、6またはより多いサブ用量を1日全体で適切な間隔で投薬可能である。これらのサブ用量は、例えば、単位剤形につき10〜1500mg、好ましくは20〜1000mg、そして最も好ましくは50〜700mgの有効成分を含有する単位剤形で投与可能である。
【0177】
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【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】図1は、O−グリカンコア構造の生合成を例示する概略フローチャートである。
【図2】図2aは、酵素コア2GlcNAc−Tの活性が、グルコースにより誘導可能であることを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)を標準(5.8mM)および高グルコース(15mM)へ37℃で24時間曝露した。次いで、この細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの活性を測定した。データは、平均±s.e.m.(n=28)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。 図2bは、コロハ種子より調製した粗抽出物F1がグルコース誘導コア2GlcNAc−T活性を阻害することを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)をコロハ抽出物(1:1000希釈;N−F,G−F)の存在下に標準(N,5.8mM;n=3)および高グルコース(G,15mM;n=3)へ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において定量した。コア2GlcNAc−Tの活性は、ピコモル/h/mgタンパク質として提示する。 図2cは、コロハ種子より調製した粗抽出物F1がヒト白血球(U937)の培養網膜毛細管内皮細胞への付着を阻害することを例示するグラフである。上昇グルコース(15mM)への曝露後、この白血球をカルボキシフルオレセインで標識することによって、白血球−内皮細胞接着のレベルを定量した。データは、平均±s.e.m.(n=3)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図3】図3は、コロハ種子より調製した粗抽出物F1がコア2GlcNAc−T活性を阻害することを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)を15mMグルコースへ37℃で24時間曝露して、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において粗製コロハ種子抽出物(G−F1;1:1000希釈)の存在下に測定した。コア2オリゴ糖の形成(β1,6−連結GlcNAcのGalβ1,3GlcNAc−アクセプタへの付着)を定量することによって、コア2GlcNAc−T活性のレベルを測定した。データは、3回の別々の実験の平均±s.e.m.として提示する。
【図4】図4は、コロハ種子の抽出とコロハ種子抽出物の後続の精製を例示する概略フローチャートである。
【図5】図5は、粗製コロハ種子抽出物F1と粗抽出物F1より精製したサブ分画F2の、ヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。サブ分画F1およびF2の存在および非存在下に、細胞を上昇グルコース(15mM)へ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において定量した。データは、2回の別々の実験の平均を表す。
【図6】図6aおよび6bは、粗抽出物F1よりシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Biotage)によって精製したサブ分画F8〜F15の、ヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。サブ分画の存在下に、細胞を上昇グルコース(G,15mM)へ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を白血球細胞溶解液において定量した。データは、平均±s.e.m.(n=3)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図7】図7は、サブ分画F13の水相がヒト白血球(U937)におけるコア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性を阻害することを例示するグラフである。サブ分画F9およびF13をジクロロメタンと徹底的に混合して、水相を濾過滅菌して、コア2GlcNAc−T活性用の細胞ベースのアッセイに使用した。サブ分画F9およびF13の水相の存在および非存在下にヒト白血球を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露した。この結果を、2回の別々の実験の平均として提示する。
【図8】図8は、サブ分画F13の水相よりHPLCにより保持時間で精製したサブ分画、F18.7〜F41.1の、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。種々の保持時間のHPLCサブ分画、F18.7〜F41.1の存在および非存在下にヒト白血球(U937)を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露した。提示するデータは、1回の実験からのものである。サブ分画、G20.24、G20.69、G22.2、G39.9およびG41.1(図8において、カラム無しで表される)については、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対するその阻害効果を試験しなかった。
【図9】図9は、種々の保持時間のHPLCサブ分画、F19.13およびF19.37の阻害効果を例示するグラフである。種々の保持時間のサブ分画、F19.13およびF19.37(1:1000希釈)の存在および非存在下にヒト白血球(U937)を上昇D−グルコース(15mM)へ24時間曝露した。データは、平均±s.e.m.(n=3)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図10】図10は、サブ分画F13の水相よりHPLCにより保持時間で精製したサブ分画、F20.01、F20.29、およびF20.55の、コア2GlcNAc−Tのグルコース誘導活性に対する阻害効果を例示するグラフである。種々の保持時間のサブ分画、F20.01、F20.29、およびF20.55の存在および非存在下にヒト白血球(U937)を上昇D−グルコース(15mM)へ曝露して、コア2GlcNAc−Tの活性を24時間後に測定した。データは、2回の別々の実験の平均である。
【図11】図11は、サブ分画F20.55が無細胞アッセイにおいてコア2GlcNAc−Tを阻害することを例示するグラフである。ヒト白血球(U937)を15mMグルコースへ37℃で24時間曝露後、この細胞を溶解してから、加熱(H,100℃)および非加熱(NH)サブ分画F20.55(1:500希釈)へ曝露した。37℃で30分の曝露後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定した。コア2オリゴ糖の形成(β−1,6−連結GlcNAcのGal−1,3−GlcNAc−アクセプタへの付着)を定量することによって、コア2GlcNAc−T活性のレベルを測定した。データは、3回の別々の実験の平均±s.e.m.として提示する。
【図12】図12aおよび12bは、上昇グルコースが培養ウシ網膜血管細胞、即ち毛細管周皮細胞(図12a)および毛細管内皮細胞(図12b)においてコア2GlcNAc−T活性を高めることを例示するグラフである。ほとんど周密の培養物を標準グルコース(N,5.8mM)と高グルコース(G,15mM)へ37℃で24時間曝露した。この細胞を溶解して、コア2GlcNAc−Tの活性を細胞溶解液において測定した。データは、平均±s.e.m.(n=3〜4)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図13】図13aおよび13bは、コロハ種子の粗抽出物F1が培養ウシ網膜血管細胞、即ち毛細管周皮細胞(図13a)および毛細管内皮細胞(図13b)においてグルコース誘導毒性を予防することを例示するグラフである。細胞をコロハ種子抽出物の存在(N−F,G−F)および非存在(N,G)下に標準(N,5.8mM)および高グルコース(G,25mM)へ曝露した。4日のインキュベーション後、血球計とトリパンブルー排除を使用して、生存細胞の数を決定した。データは、平均±s.e.m.(n=18、別々の実験)として提示して、星印は、有意差(P<0.05)を表す。
【図14a】図14は、コロハ種子より単離した5種の化合物の構造を例示する。
【図14b】図14は、コロハ種子より単離した5種の化合物の構造を例示する。
【図14c】図14は、コロハ種子より単離した5種の化合物の構造を例示する。
【図15】図15aおよび図15bは、精製したトリゴネオシドIVa、グリコシドF、およびシャタバリンIVのコア2GlcNAc−T活性に対する効果を無細胞(図15a)および細胞ベース(図15b)アッセイにおいて例示するグラフである。 無細胞アッセイでは、BBラット由来の心臓溶解液を20ng/mlの各化合物の存在および非存在下にインキュベートした。37℃で1時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。結果は、3〜5回の別々の実験の平均である。 細胞ベースのアッセイでは、ヒト白血球(U937細胞)を20ng/mlの試験化合物の存在および非存在下に8pg/mlのヒト組換えTNF−αへ曝露した。24時間のインキュベーション後、コア2GlcNAc−Tの活性を測定して、ピコモル/h/mgタンパク質として表した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療の方法であって、式I:
【化1】
[式中、R1は、−OH、C1−6アルコキシ、−NR8R9、または式IIa:
【化2】
の単糖であり、
R2は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIb:
【化3】
の単糖であり、
R3は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIc:
【化4】
の単糖であり、
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、または互変異性型、または誘導体の有効量の、その必要な患者への投与を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
R1が式IIaの単糖である、請求項1に記載の治療の方法。
【請求項3】
R5がC1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルである、請求項2に記載の治療の方法。
【請求項4】
R5が、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHである、請求項2に記載の治療の方法。
【請求項5】
R3が式IIcの単糖である、請求項1に記載の治療の方法。
【請求項6】
R7がC1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである、請求項5に記載の治療の方法。
【請求項7】
R7が−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルである、請求項5に記載の治療の方法。
【請求項8】
R7が−CH2OHである、請求項5に記載の治療の方法。
【請求項9】
式Iの化合物が式III:
【化5】
[式中:
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;そして
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである]の化合物である、請求項1に記載の治療の方法。
【請求項10】
R4がC1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項11】
R4が−CH2OHまたは−CH3である、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項12】
R5がC1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項13】
R5が、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項14】
R7がC1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項15】
R7が−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項16】
R7が−CH2OHである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項17】
式IIIの化合物が式I:[式中:
R1は、ラムノースであり;
R2は、−OHであり;
R3は、グルコースであり;そして
R4は、−CH2OHである]の化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
式IIIの化合物が式IV:
【化6】
の化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
式Iの化合物が式V:
【化7】
[式中:
R1は、OH、C1−6アルコキシまたはNR8R9、または式IIaの単糖であり;
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
R1がOHまたはNR8R9である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R1がNR8R9であり;
R8が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
R9が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
R1がNR8R9であり;
R8がHであり;そして
R9が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
R1がNR8R9であり;
R8がHであり;そして
R9がC1−6アシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
R1がNR8R9であり;
R8がHであり;そして
R9が−COCH3である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
式IVの化合物がGalβ1→3(6−デオキシ)GalNAcα−Zである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
ステロイド基が、式VII:
【化8】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;
R14は、H、−OHまたはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R20は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R21は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシであるか、または式VIII:
【化9】
{R22は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R23は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;
R24は、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSである}の基であり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;MSは、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース(gulose)、イドース、タロース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース(psicose)、セドヘプツロース、デオキシリボース、フコース、ラムノース、2−デオキシ−グルコース、キノボース、アベクオース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−マンノサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルムラミン酸、O−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、シアル酸、およびグルロン酸からなる群より選択され;そして
Yは、NまたはOである]の基である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
YがOである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
R21が式VIIIの基である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
R24が、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
R24がC1−6アシルまたは単糖MSである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
R24が単糖MSである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
MSが、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、およびシアル酸からなる群より選択される、請求項28、29、または30に記載の方法。
【請求項32】
MSがグルコースである、請求項28、29、または30に記載の方法。
【請求項33】
R23が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルである、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
R23が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
R23が、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
R23が、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
R23が−CH3である、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
R23が=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
R22が、H、−OH、またはC1−6アルコキシである、請求項27の方法。
【請求項40】
R22がHである、請求項27の方法。
【請求項41】
R19が、H、−OH、またはC1−6アルキルである、請求項25の方法。
【請求項42】
R12が、H、−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す、請求項25の方法。
【請求項43】
R16がHまたは−OHであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;そして
R20は、−OHまたはC1−6アルコキシである、請求項25の方法。
【請求項44】
ステロイド基が:
【化10】
[式中:
R18は、Hまたは−OHであり;
R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;
R24は、グルコースまたはC1−6アシルであり;そして
R29は、Hまたは−OHである]からなる群より選択される、請求項25の方法。
【請求項45】
式Iの化合物が:
(3β,25S)−26−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−22−ヒドロキシフロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるトリゴネオシドIVa、(3β)−26−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−22−ヒドロキシフロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるグリコシドF、シャタバリンI、化合物3、パルダリノシドCからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項46】
ステロイド基が、式VIII:
【化11】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;
R14は、H、−OHまたはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R20は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R27は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す]の基である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
R27が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシである、請求項46の方法。
【請求項48】
R27がHまたはC1−6アルキルである、請求項46の方法。
【請求項49】
R19が、H、−OH、またはC1−6アルキルである、請求項46の方法。
【請求項50】
R20が−OHまたはC1−6アルコキシである、請求項46の方法。
【請求項51】
R12がHまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す、請求項46の方法。
【請求項52】
ステロイド基の化合物が式IXa:
【化12】
の化合物である、請求項46の方法。
【請求項53】
式Iの化合物が式:
【化13】
の化合物である、請求項46の方法。
【請求項54】
ステロイド基が、式XI:
【化14】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R25は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R26は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;
R31は、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R34は、Hまたは−OHであり;そして
Xは、O、S、またはNHである]の基である、請求項1の方法。
【請求項55】
XがOまたはNHである、請求項54の方法。
【請求項56】
XがOである、請求項54の方法。
【請求項57】
R26が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルである、請求項54の方法。
【請求項58】
R26が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項59】
R26が、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項60】
R26が、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項61】
R26が−CH3または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項62】
R19が、H、−OH、C1−6アルキルである、請求項54の方法。
【請求項63】
R19がC1−6アルキルである、請求項54の方法。
【請求項64】
R12がHまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R25は、Hまたは−OHであり;
R28とR29は、Hであり;
R31は、Hまたは−OHであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;そして
R34は、Hまたは−OHである、請求項54の方法。
【請求項65】
R15がHであり;
R16は、Hまたは−OHであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R32は、Hまたは−OHであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す、請求項54の方法。
【請求項66】
式XIのステロイド基が:
【化15】
からなる群より選択される、請求項54の方法。
【請求項67】
式XIのステロイド基が、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ソラソジン、またはトマチジンからなる群より選択される、請求項54の方法。
【請求項68】
式Iの化合物が:
サルササポゲニン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるシャタバリンIV、 ソラソジン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドである化合物12、
(3β,25R)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるデルトニン、および
(3β,25S)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるバラニチンVIからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項69】
状態が、炎症性疾患、喘息、慢性関節リウマチ、アテローム硬化症、炎症性腸疾患、糖尿病性心筋症、心筋機能不全、癌、癌転移、または糖尿病性網膜症である、請求項1の方法。
【請求項70】
状態が、白血病、口腔癌(oral cavity carcinoma)、肺の腺癌のような肺癌、結直腸癌、膀胱癌、肝臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、乳癌、肺腫瘍、口腔癌、およびコア2GlcNAc−T発現がその組織型の正常レベルより高く上昇しているあらゆる癌である、請求項1の方法。
【請求項71】
請求項1〜69の方法に開示される化合物の、酵素:コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項72】
状態が、炎症性疾患、喘息、慢性関節リウマチ、アテローム硬化症、炎症性腸疾患、糖尿病性心筋症、心筋機能不全、癌、癌転移、または糖尿病性網膜症である、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
状態が、白血病、口腔癌、肺の腺癌のような肺癌、結直腸癌、膀胱癌、肝臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、乳癌、肺腫瘍、口腔癌、およびコア2GlcNAc−T発現がその組織型の正常レベルより高く上昇しているあらゆる癌である、請求項68に記載の使用。
【請求項74】
請求項1〜69の方法に開示される化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項75】
式:
【化16】
の化合物。
【請求項76】
請求項75に記載の式XIIの化合物の、療法における使用。
【請求項1】
酵素コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療の方法であって、式I:
【化1】
[式中、R1は、−OH、C1−6アルコキシ、−NR8R9、または式IIa:
【化2】
の単糖であり、
R2は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIb:
【化3】
の単糖であり、
R3は、−OH、C1−6アルコキシ、または式IIc:
【化4】
の単糖であり、
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、または互変異性型、または誘導体の有効量の、その必要な患者への投与を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
R1が式IIaの単糖である、請求項1に記載の治療の方法。
【請求項3】
R5がC1−6アルキルまたはC1−6ヒドロキシアルキルである、請求項2に記載の治療の方法。
【請求項4】
R5が、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHである、請求項2に記載の治療の方法。
【請求項5】
R3が式IIcの単糖である、請求項1に記載の治療の方法。
【請求項6】
R7がC1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである、請求項5に記載の治療の方法。
【請求項7】
R7が−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルである、請求項5に記載の治療の方法。
【請求項8】
R7が−CH2OHである、請求項5に記載の治療の方法。
【請求項9】
式Iの化合物が式III:
【化5】
[式中:
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;そして
R7は、C2−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである]の化合物である、請求項1に記載の治療の方法。
【請求項10】
R4がC1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項11】
R4が−CH2OHまたは−CH3である、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項12】
R5がC1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項13】
R5が、−CH3、−C2H5、−CH2OH、または−C2H4OHである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項14】
R7がC1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項15】
R7が−CH2OHまたはC1−6アルコキシメチルである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項16】
R7が−CH2OHである、請求項9に記載の治療の方法。
【請求項17】
式IIIの化合物が式I:[式中:
R1は、ラムノースであり;
R2は、−OHであり;
R3は、グルコースであり;そして
R4は、−CH2OHである]の化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
式IIIの化合物が式IV:
【化6】
の化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
式Iの化合物が式V:
【化7】
[式中:
R1は、OH、C1−6アルコキシまたはNR8R9、または式IIaの単糖であり;
R4は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R5は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R6は、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、またはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
R8は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;
R9は、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
Zは、ステロイド基である]の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
R1がOHまたはNR8R9である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R1がNR8R9であり;
R8が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルであり;そして
R9が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
R1がNR8R9であり;
R8がHであり;そして
R9が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
R1がNR8R9であり;
R8がHであり;そして
R9がC1−6アシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
R1がNR8R9であり;
R8がHであり;そして
R9が−COCH3である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
式IVの化合物がGalβ1→3(6−デオキシ)GalNAcα−Zである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
ステロイド基が、式VII:
【化8】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;
R14は、H、−OHまたはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R20は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R21は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシであるか、または式VIII:
【化9】
{R22は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R23は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;
R24は、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSである}の基であり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;MSは、アラビノース、キシロース、リキソース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース(gulose)、イドース、タロース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース(psicose)、セドヘプツロース、デオキシリボース、フコース、ラムノース、2−デオキシ−グルコース、キノボース、アベクオース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−マンノサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルムラミン酸、O−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、シアル酸、およびグルロン酸からなる群より選択され;そして
Yは、NまたはOである]の基である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
YがOである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
R21が式VIIIの基である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
R24が、C1−6アルキル、C1−6アシル、または単糖MSである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
R24がC1−6アシルまたは単糖MSである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
R24が単糖MSである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
MSが、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、およびシアル酸からなる群より選択される、請求項28、29、または30に記載の方法。
【請求項32】
MSがグルコースである、請求項28、29、または30に記載の方法。
【請求項33】
R23が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルである、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
R23が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
R23が、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
R23が、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
R23が−CH3である、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
R23が=CH2である、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
R22が、H、−OH、またはC1−6アルコキシである、請求項27の方法。
【請求項40】
R22がHである、請求項27の方法。
【請求項41】
R19が、H、−OH、またはC1−6アルキルである、請求項25の方法。
【請求項42】
R12が、H、−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R20は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す、請求項25の方法。
【請求項43】
R16がHまたは−OHであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R18は、Hまたは−OHであり;そして
R20は、−OHまたはC1−6アルコキシである、請求項25の方法。
【請求項44】
ステロイド基が:
【化10】
[式中:
R18は、Hまたは−OHであり;
R20は、−OHまたはC1−6アルコキシであり;
R24は、グルコースまたはC1−6アシルであり;そして
R29は、Hまたは−OHである]からなる群より選択される、請求項25の方法。
【請求項45】
式Iの化合物が:
(3β,25S)−26−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−22−ヒドロキシフロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるトリゴネオシドIVa、(3β)−26−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−22−ヒドロキシフロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるグリコシドF、シャタバリンI、化合物3、パルダリノシドCからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項46】
ステロイド基が、式VIII:
【化11】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;
R14は、H、−OHまたはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R20は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R27は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、またはC1−6ヒドロキシアルキルであり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す]の基である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
R27が、H、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシである、請求項46の方法。
【請求項48】
R27がHまたはC1−6アルキルである、請求項46の方法。
【請求項49】
R19が、H、−OH、またはC1−6アルキルである、請求項46の方法。
【請求項50】
R20が−OHまたはC1−6アルコキシである、請求項46の方法。
【請求項51】
R12がHまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hまたは−OHであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、またはC1−6アルコキシであり;
R19は、C1−6アルキルであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す、請求項46の方法。
【請求項52】
ステロイド基の化合物が式IXa:
【化12】
の化合物である、請求項46の方法。
【請求項53】
式Iの化合物が式:
【化13】
の化合物である、請求項46の方法。
【請求項54】
ステロイド基が、式XI:
【化14】
[式中:
R12は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R13は、H、−OH、=O、またはC1−6アルキルであり;
R14は、H、−OH、またはC1−6アルキルであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hまたは−OHであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R16は、H、−OH、または=Oであり;
R17は、H、−OH、または=Oであり;
R18は、H、−OH、C1−6アルコキシ、またはC1−6アルキルであり;
R19は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R25は、H、−OH、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシであり;
R26は、H、−OH、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルであり;
R28とR29は、同じであるかまたは異なり、Hまたは−OHであり;
R31は、Hまたは−OHであり;
R32は、H、−OH、または=Oであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R34は、Hまたは−OHであり;そして
Xは、O、S、またはNHである]の基である、請求項1の方法。
【請求項55】
XがOまたはNHである、請求項54の方法。
【請求項56】
XがOである、請求項54の方法。
【請求項57】
R26が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、=CH2、または=CH−C1−6アルキルである、請求項54の方法。
【請求項58】
R26が、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項59】
R26が、−C2H4OH、−CH2OH、C1−6アルキル、または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項60】
R26が、−C2H4OH、−CH2OH、−C2H5、−CH3、または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項61】
R26が−CH3または=CH2である、請求項54の方法。
【請求項62】
R19が、H、−OH、C1−6アルキルである、請求項54の方法。
【請求項63】
R19がC1−6アルキルである、請求項54の方法。
【請求項64】
R12がHまたは−OHであり;
R13は、Hまたは−OHであり;
R14は、Hであるか、またはR14とR33は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;
R15は、Hであるか、またはR15とR33は、一緒になって、=Oであり;
R18は、Hまたは−OHであり;
R25は、Hまたは−OHであり;
R28とR29は、Hであり;
R31は、Hまたは−OHであり;
R33は、Hであるか、またはR33とR15は、一緒になって、=Oであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表し;そして
R34は、Hまたは−OHである、請求項54の方法。
【請求項65】
R15がHであり;
R16は、Hまたは−OHであり;
R17は、Hまたは−OHであり;
R32は、Hまたは−OHであり;そして
R33は、Hであるか、またはR33とR14は、一緒になって、隣接炭素原子を連結する二重結合の第二の結合を表す、請求項54の方法。
【請求項66】
式XIのステロイド基が:
【化15】
からなる群より選択される、請求項54の方法。
【請求項67】
式XIのステロイド基が、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ソラソジン、またはトマチジンからなる群より選択される、請求項54の方法。
【請求項68】
式Iの化合物が:
サルササポゲニン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるシャタバリンIV、 ソラソジン 3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドである化合物12、
(3β,25R)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるデルトニン、および
(3β,25S)−スピロスト−5−エン−3−イル−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→4)]−β−D−グルコピラノシドであるバラニチンVIからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項69】
状態が、炎症性疾患、喘息、慢性関節リウマチ、アテローム硬化症、炎症性腸疾患、糖尿病性心筋症、心筋機能不全、癌、癌転移、または糖尿病性網膜症である、請求項1の方法。
【請求項70】
状態が、白血病、口腔癌(oral cavity carcinoma)、肺の腺癌のような肺癌、結直腸癌、膀胱癌、肝臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、乳癌、肺腫瘍、口腔癌、およびコア2GlcNAc−T発現がその組織型の正常レベルより高く上昇しているあらゆる癌である、請求項1の方法。
【請求項71】
請求項1〜69の方法に開示される化合物の、酵素:コア2GlcNAc−Tの上昇活性と関連した状態の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項72】
状態が、炎症性疾患、喘息、慢性関節リウマチ、アテローム硬化症、炎症性腸疾患、糖尿病性心筋症、心筋機能不全、癌、癌転移、または糖尿病性網膜症である、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
状態が、白血病、口腔癌、肺の腺癌のような肺癌、結直腸癌、膀胱癌、肝臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、乳癌、肺腫瘍、口腔癌、およびコア2GlcNAc−T発現がその組織型の正常レベルより高く上昇しているあらゆる癌である、請求項68に記載の使用。
【請求項74】
請求項1〜69の方法に開示される化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項75】
式:
【化16】
の化合物。
【請求項76】
請求項75に記載の式XIIの化合物の、療法における使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図15】
【公表番号】特表2007−515466(P2007−515466A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546315(P2006−546315)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005398
【国際公開番号】WO2005/060977
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005398
【国際公開番号】WO2005/060977
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】
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