説明

コイル部品、マイクロ発電機、発電装置およびコイル部品の製造方法

【課題】発電機や、NMR等の計測器等の様々な分野において使用することができるコイル部品、このコイル部品を有するマイクロ発電機、発電装置およびコイル部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】コイル部品35は、基板351と、基板351上に配置された複数のコイル部352とを有する。各コイル部352は、らせん状に形成され、その中心軸が基板351表面に沿って延びるマイクロコイル352Aと、マイクロコイル352Aの中心軸に沿って配置され、周囲をマイクロコイル352Aに取り囲まれた芯部352Bとを有する。各コイル部352のマイクロコイル352Aの中心軸および、芯部352Bは、互いに略平行となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品、マイクロ発電機、発電装置およびコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板にスルーホールを形成し、基板の表裏面およびこのスルーホール中に導電性材料を配置し、コイルを形成したコイル部品が提案されている。
しかしながら、このコイル部品においては、スルーホールの存在により、電力損失が大きくなる。また、スルーホールを形成する手間を要する。
そこで、スルーホールを形成せずに、コイルの中心軸方向が基板面と平行になるように、コイルを基板上に形成したコイル部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された技術では、スルーホールを形成する必要がないため、スルーホールを形成する手間を省くことができるとともに、スルーホールによる電力損失を防止することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−52947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、特許文献1に記載されたような電力損失の少ないコイル部品を、電磁誘導による発電を行なう発電機や、コイルに電流を流しコイルから磁場を試料に照射して試料の状態を計測するNMR等の計測器等の様々な分野において使用することが検討されている。
例えば、特許文献1に記載されたコイル部品を発電機に使用し、より効率よく電力を出力することが望まれている。発電効率を高めるためには、コイルの巻き数を増加させることが好ましいが、特許文献1に記載されたコイル部品では、基板表面上のスペースは限られており、コイルの巻き数を増加させることは難しい。
また、NMR等の計測器においては、試料の微小領域を多数点測定し、試料の特性を計測することが望まれているが、特許文献1に記載されたコイル部品では、試料の微小領域を多数点測定することは困難である。
【0005】
本発明の目的は、発電機や、NMR等の計測器等の様々な分野において使用することができるコイル部品、このコイル部品を有するマイクロ発電機、発電装置およびコイル部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、基板と、前記基板上に配置された複数のコイル部とを有し、前記各コイル部は、らせん状に形成され、その中心軸が前記基板表面に沿って延びるとともに、前記中心軸が互いに略平行となる導電性のマイクロコイルを有するコイル部品が提供される。
【0007】
この構成によれば、基板上には、マイクロコイルを有する複数のコイル部が並列に配置されている。従って、例えば、本発明のコイル部品をNMR等の計測器に使用することで、各マイクロコイルから磁場を試料に照射することができ、微小領域を多数点計測することができる。さらに、各コイル部のマイクロコイルは、中心軸が互いに略平行となるように配置されているため、マイクロコイルがランダムに配置される場合に比べ、微小領域を多数点計測する際に、正確に計測することが可能となる。
また、本発明のコイル部を発電機に使用した場合には、基板上にマイクロコイルを有する複数のコイル部が並列に配置されているので、複数のマイクロコイルが同時に磁束の変化を受けることができる。これにより、マイクロコイルの巻き数が仮想的に増えた状態と同じ状態を作り出すことができる。従って、本発明では、基板上の限られたスペースを利用し、発電効率を高めることができるコイル部品を提供することができる。
【0008】
この際、前記各コイル部のマイクロコイルの一方の端部が、前記基板表面と直交する同一平面上にあり、前記複数のコイル部がN行、M列(Nは2以上の整数、Mは1以上の整数)のマトリクス状に前記基板上に積層配置されていることが好ましい。
ここでは、コイル部をマトリクス状に積層配置するとともに、各コイル部のマイクロコイルの一方の端部が基板表面と直交する同一平面上に位置するようにし、各マイクロコイルの端部の位置を合わせている。
これにより、例えば、コイル部品を発電機に使用し、基板表面と直交する略同一平面上にある各マイクロコイルの一方の端部が磁石側に向くように、コイル部品を配置すれば、磁石と、各マイクロコイルとの間の距離を略一定に保つことができ、磁石から極端に距離が離れた位置に、一部のマイクロコイルが位置することを防止できる。一部のマイクロコイルが磁石から極端に離れているような場合には、一部のマイクロコイルでの発電効率が落ちることとなるが、本発明では、磁石からの各マイクロコイルの距離を略一定に保つことができるので、発電機の発電効率の低下を防止することができる。
また、コイル部品をNMR等の計測器に使用した場合には、試料からの各マイクロコイルとの位置を略一致させることができ、試料の各微小領域の計測を正確に行なうことができる。
【0009】
さらに、前記複数のコイル部のうち、積層配置されている一のコイル部との他のコイル部との間に絶縁層が存在することが好ましい。
絶縁層を介してコイル部を積層することで、積層されたコイル部同士の接触を防止することができる。
【0010】
また、前記コイル部は、前記基板上に所定のパターンで並行配置される複数の第一導体膜と、前記第一導体膜上に前記各第一導体膜を横切り、各第一導体膜の両端部が露出するように配置され、前記基板表面に沿って延びる磁性体の芯部と、前記芯部上に所定のパターンで並行配置される複数の第二導体膜とを有し、前記マイクロコイルは、前記第二導体膜により、前記第一導体膜のうちの一の第一導体膜の前記芯部の一方の側に露出した端部と、前記一の第一導体膜に隣接する他の第一導体膜の前記芯部の他方の側に露出した端部とを接続することで構成されたものであることが好ましい。
また、第一導体膜の端部と、第二導体膜の端部とは直接接合していることが好ましく、さらには、第一導体膜と第二導体膜とが同じ材料で構成されていることがより好ましい。
第一導体膜と第二導体膜とを直接接合することで、スルーホール中に形成された導体膜を介して接続する場合に比べ、スルーホールの存在による電力損失を抑えることができる。
【0011】
さらには、前記芯部の外周面は、絶縁膜に覆われており、前記絶縁膜の周囲を前記マイクロコイルが取り囲むことが好ましい。
芯部と、マイクロコイルとが直接接触すると、合金化を起こし、マイクロコイルの抵抗値が上昇する場合がある。
これに対し、芯部の外周面を絶縁膜で覆うことで、芯部と、マイクロコイルとの合金化を防止し、マイクロコイルの抵抗値の上昇を防ぐことができる。
【0012】
また、前記絶縁膜は、SiN膜、炭窒化ホウ素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、AlN膜、ナノダイヤ膜のいずれかであることが好ましい。
コイル部品のマイクロコイルに電流が流れると、マイクロコイルは、発熱する。絶縁膜をSiN膜、炭窒化ホウ素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、AlN膜、ナノダイヤ膜のいずれかとし、熱伝導率の高い膜とすることで、マイクロコイルの熱を放熱させることができる。特に、本発明では、基板上に複数のコイル部が配置されているため、マイクロコイルの熱が放熱されにくくなっているが、絶縁膜をSiN膜、炭窒化ホウ素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、AlN膜、ナノダイヤ膜のいずれかとすることで、マイクロコイルの熱を確実に放熱させることができる。
【0013】
ここで、前記絶縁膜は、バリア膜を介して、前記芯部の外周面を覆っていることが好ましい。
さらには、前記バリア膜は、TiN膜、あるいは、TaN膜であることが好ましい。
バリア膜を設けることで、芯部と、絶縁膜との密着性を高めることができる。これにより、絶縁膜のはがれを防止することができる。
【0014】
さらに、複数のコイル部の前記マイクロコイル間には、マイクロコイルの端部同士を接続する導線が配置されていることが好ましい。
コイル部品を発電機等に使用する場合に、導線により、マイクロコイル間を結線することで、各マイクロコイルに接続されることとなる。これにより、マイクロコイルの巻き数が仮想的に増えた状態と同じ状態を作り出すことができ、コイル部品を発電機に使用した場合には、発電効率を確実に高めることができる。
【0015】
さらには、本発明によれば、回転軸と、前記回転軸の周囲に配置され、前記回転軸とともに回転する複数の磁石と、前記複数の磁石が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置されたコイル部品とを有し、前記コイル部品は、上述したいずれかのコイル部品であるマイクロ発電機も提供される。
このようなマイクロ発電機によれば、上述したコイル部品を備えるため、発電効率の高いマイクロ発電機とすることができる。
【0016】
ここで、前記各磁石は、前記回転軸と直交する方向の両端部が異極に着磁されており、
前記コイル部品は、前記磁石を挟んで、前記回転軸と反対側に配置されるとともに、前記回転軸と、前記コイル部品のマイクロコイルの中心軸とが略直交するように配置されていることが好ましい。
この構成によれば、磁石は、回転軸と直交する方向の両端部が異極に着磁されており、さらに、回転軸と、コイル部品のマイクロコイルの中心軸とが直交するようにコイル部品が配置されている。
従って、回転軸を回転させることで、マイクロコイルを通る磁束の方向が変化し、発電することとなる。
【0017】
この際、前記各磁石は、平面略U字型形状であり、U字の両端部が異極に着磁された前記両端部であり、前記U字の両端部が前記コイル部品側に向いていることが好ましい。
この構成によれば、磁石は平面U字型であるため、磁石の端部からの磁束が、マイクロコイルの中心軸に沿って、マイクロコイル中を通るようになり、より効率よく磁束がマイクロコイル内を通ることとなる。これにより、より効率よく発電を行なうことができる。
【0018】
また、本発明にかかるマイクロ発電機は、前記各磁石は、前記回転軸と平行な方向の両端部が異極に着磁されるとともに、隣接する前記磁石は、隣接する端部の極性が互いに異なっており、前記コイル部品は、前記マイクロコイルの中心軸が前記回転軸と略平行となるように配置されるとともに、前記マイクロコイルの端部が前記磁石の前記両端部のうち、一方の端部と対向するように配置されるものであってもよい。
この構成によれば、マイクロコイルの中心軸が回転軸と略平行となるように配置され、
さらに、マイクロコイルの端部は、回転軸と平行な方向の磁石の両端部のうち、一方の端部と対向する。従って、磁石の端部からの磁束は、マイクロコイルの中心軸に沿って、マイクロコイル中を通るようになる。そして、隣接する磁石の隣接する端部の極性が互いに異なっているので、回転軸を回転駆動することで、磁石の端部からの磁束の方向は、マイクロコイルの中心軸に沿って変化することとなる。
これにより、さらに、効率よく発電することができる。
【0019】
また、本発明によれば、上述したいずれかのマイクロ発電機を複数有する発電装置も提供することができる。
【0020】
さらに、本発明によれば、基板上に、前記基板の表面の沿って延びる磁性体の芯部と、この芯部の周囲を取り囲むようにらせん状に形成された導電性のマイクロコイルとを有するコイル部が複数設けられたコイル部品の製造方法であって、前記基板上に所定のパターンで並行配置される複数の第一導体膜を形成する工程と、前記第一導体膜上に、前記第一導体膜を横切り、かつ、各第一導体膜の両端部が露出するように、前記芯部を設ける工程と、前記芯部上に所定のパターンで並行配置される複数の第二導体膜を形成し、第二導体膜により、前記第一導体膜のうちの一の第一導体膜の前記芯部の一方の側に露出した端部と、前記一の第一導体膜に隣接する他の第一導体膜の前記芯部の他方の側に露出した端部とを接続することで、前記マイクロコイルを形成する工程と、前記各工程により形成されたコイル部を絶縁層により被覆する工程と、前記第一導体膜を形成する前記工程、芯部を設ける前記工程、マイクロコイルを形成する前記工程とを繰り返し、前記絶縁層上に他のコイル部を積層する工程とを備えるコイル部品の製造方法も提供することができる。
この方法によれば、上述したコイル部品を製造することができる。また、コイル部を絶縁層により被覆しているため、積層されたコイル部同士の接触を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発電機や、NMR等の計測器等の様々な分野において使用することができるコイル部品、このコイル部品を有するマイクロ発電機、発電装置およびコイル部品の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第一実施形態)
図1には、本実施形態の発電装置10の分解斜視図が示されている。
この発電装置10は、複数のマイクロ発電機3と、基体1と、この基体1上に配置される基体2とを有する。複数のマイクロ発電機3は、マトリクス状に配置されている。
各マイクロ発電機3は、図1および図3に示すように、回転軸X中心に回転駆動する回転部32と、回転軸Xの周囲に配置され、回転軸Xとともに回転駆動する複数の磁石33と、複数の磁石33が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置された複数のコイル部品35と、回転軸Xを中心に回転部32を回転駆動するための駆動部36を有する。
【0023】
まず、はじめに、基体1、回転部(回転子)32、コイル部品(固定子)35の構成について説明する。
図1に示すように、基体1には、複数の略円筒状の第一の孔11がマトリクス状に形成されている。この各第一の孔11内には、図2の平面図に示すようにリング状の受け部12が設置されている。この受け部12は、第一の孔11の内側面から、第一の孔11の中心部に向かって延びる複数(例えば、4本)のリブ13により、支持されている。
また、基体1には、各第一の孔11を囲むように、四角筒形状の第二の孔14が複数形成されている。
なお、図2は、基体1の部分拡大図であり、ひとつの第一の孔11およびこの第一の孔11の周囲を取り囲む第二の孔14を示す平面図である。
【0024】
このような構造の基体1の第一の孔11内には、図3および図4に示すような回転体31が収容される。図3は、回転体31の分解斜視図であり、図4は、回転体31が各第一の孔11内に収容された状態を示した平面図である。
回転体31は、回転部32と、回転部32の周囲に配置された複数(例えば、4つ)の磁石33と、回転部32および磁石33を収容する筐体34とを有する。
回転部32は、中空の筒状部321と、筒状部321に接続された一対の軸部323とを有する。回転体31は、回転部32の一対の軸部323を通る軸を回転軸Xとして、回転駆動する。
【0025】
回転部32の中空の筒状部321内には、リブ321Aが配置されている。このリブ321Aは、筒状部321の中心部で交差している。リブ321Aの交差位置から、各軸部323が延びている。
一対の軸部323のうち、一方の軸部323Aは、先端が三角錘状に尖るように形成されている。この一方の軸部323Aは、詳しくは後述するが駆動部36の駆動軸361に嵌合する。
また、一対の軸部323のうち、他方の軸部323Bは、ボールベアリングBを介して、第一の孔11中に形成された受け部12にはめ込まれる。
【0026】
このような回転部32は、筐体34に収容される。筐体34の底面には、筒状部321の径よりも小さな径の開口が形成され、この開口から他方の軸部323Bが突出することとなる。
【0027】
磁石33は、回転部32の筒状部321の外周面と、筐体34の内周面との間にはめ込まれる。
この磁石33は、平面略U字型であり、回転部32の回転軸Xと直交する方向の両端部(U字の両端部)が異極に着磁されている。磁石33は、U字の両端部が回転部32と反対側(コイル部品35側)に向くように配置されている。また、磁石33は、回転軸Xに沿って長尺状に延びている。
ここで、磁石33は、永久磁石であり、例えば、ネオジウム系の磁石である。磁石33は、その外周面が耐水性樹脂によりコーティングされていることが好ましい。
【0028】
図1、図2および図4に示すように、基体1の第二の孔14には、コイル部品35が収容されている。コイル部品35は、第二の孔14内に接着剤により固定され、固定子となっている。
このコイル部品35は、図5の模式図に示すように、基板351と、基板351上に集積配置された複数のコイル部352とを有する。図5は、コイル部品35の断面を模式的に示したものである。
各コイル部352は、らせん状に形成され、その中心軸(図5の第一導体膜352A1および第二導体膜352A2で囲まれた部分の中心を通る軸であり、図5の奥行き方向に沿って延びる軸)が基板351表面に沿って延びるマイクロコイル352Aと、マイクロコイル352Aの中心軸に沿って配置され、周囲をマイクロコイル352Aに取り囲まれた芯部352Bと、を有する。また、各コイル部352のマイクロコイル352Aの中心軸および、芯部352Bは、互いに略平行となっている。すなわち、コイル部352は、基板351上に並列配置されている。
【0029】
基板351は、例えば、シリコン基板である。この基板351表面にはシリコン酸化膜351Aが形成されている。
【0030】
コイル部352は、マイクロコイル352A、芯部352B、その他の種々の膜(バリア膜352C、バリア膜352D、バリア膜352E、絶縁膜352F、バリア膜352G)を有するものである。シリコン酸化膜351A上は、TiNや、TaN等を含有するバリア膜352Cが形成されている。さらにこのバリア膜352C上に、マイクロコイル352Aの一部を構成する第一導体膜352A1が所定のパターンで形成されている。この第一導体膜352A1は、例えば、Cu膜である。
【0031】
第一導体膜352A1上には、第一導体膜352A1と同じパターンのバリア膜352Dが形成されている。このバリア膜352Dとしては、例えば、TiN膜やTaN膜等が挙げられる。
このバリア膜352D上には、バリア膜352Eおよび絶縁膜352Fで覆われた芯部352Bが配置されている。芯部352Bは、バリア膜352Eを介して、絶縁膜352Fにより覆われている。
【0032】
バリア膜352Eとしては、例えばTiN膜やTaN膜等が挙げられる。
絶縁膜352Fとしては、放熱性の高い良放熱性膜が好ましく、例えば、熱伝導率が
10(W/mk)以上の膜が好ましい。
絶縁膜352Fとしては例えば、SiN膜、BCN膜(炭窒化ホウ素膜)、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)、AlN膜、ナノダイヤ膜が好ましい。
さらには、Low-k膜(比誘電率が3.3以下の膜をいう。たとえば、SiOC、MSQ(メチルシルセスキオキサン)、ベンゾシクロブテン等の有機膜や、HSQ(ヒドロキシシルセスキオキサン)等の無機膜)等)であってもよい。
【0033】
ここで、芯部352Bは、基板351表面に沿って延びており、短辺方向(図5の横方向)の幅寸法が、第一導体膜352A1の幅寸法よりも短い。また、芯部352Bの長手方向(図5の奥行き方向)と直交する断面の形状は、略四角形状である。芯部352Bは、透磁率の高い材料(透磁率100以上の材料)で構成されており、金属磁性材料(例えば、鉄芯(透磁率1000〜5000)や、パーマロイ(透磁率100000程度))である。
芯部352Bの径は、例えば、0.1μm以上、200μm以下であることが好ましく、さらには、1μm以上、20μm以下であることが好ましい。
芯部352Bを取り囲む絶縁膜352F上には、マイクロコイル352Aの他の一部を構成する第二導体膜352A2が所定のパターンで形成されている。この第二導体膜352A2は、例えば、Cu膜である。第二導体膜352A2と、第一導体膜352A1とを交互に接続することで、マイクロコイル352Aが構成されることとなる。
ここで、マイクロコイル352Aの径は、例えば、0.5μm以上、500μm以下であることが好ましく、なかでも5μm以上、50μm以下であることが好ましい。
さらに、第二導体膜352A2は、バリア膜352Gで覆われている。バリア膜352Gとしては、例えば、TiN膜やTaN膜等が挙げられる。
【0034】
基板351上には、以上のような構成のコイル部352が複数配置されており、マイクロコイル352Aの中心軸と直交する断面において、複数のコイル部352がN行、M列(N、Mともに2以上の整数、例えば、4列、4行)のマトリクス状に積層配置されている。図5の縦方向(基板面と直交する方向)を列とし、横方向(基板面と平行な方向)を行とする。なお、ここでは、複数のコイル部352が4行、4列で積層配置されているとしたが、これに限らず、例えば、コイル部352は、1列で積層配置されているもの(Nが2以上の整数)であってもよい。さらには、コイル部352は、基板351上に1行、複数列で配置されていてもよい(Mが2以上の整数)。
また、各コイル部352のマイクロコイル352Aの少なくとも一方の端部は、基板351表面と直交する略同一平面上にある。
ここで、各コイル部352は、絶縁層353中に埋め込まれたような状態となっている。すなわち、基板351面内方向および基板351厚み方向に隣接する各コイル部352は、互いに接触しないように、絶縁層353により被覆されている。換言すると、コイル部352は、絶縁層353を介して積層しているといえる。
【0035】
以上のような構成のコイル部品35を第二の孔14に挿入すると、コイル部品35は、磁石33を挟んで、回転体31の回転軸Xと反対側に配置されることとなる(図1参照)。コイル部品35と、対向する磁石33との間の距離は、例えば、0.1mm程度である。
また、基板351表面と直交する略同一平面上にある各マイクロコイル352Aの一方の端部が、回転体31側に向くように、コイル部品35は配置される。
さらに、コイル部品35は、複数の磁石33が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置される。さらには、コイル部品35の各マイクロコイル352Aの中心軸は、回転体31の回転軸Xと直交する。
なお、図1では、マイクロコイル352Aの位置がわかりやすいように、コイル部品35の絶縁層353の表面からマイクロコイル352Aが露出しているように示しているが、マイクロコイル352Aは、絶縁層353中に完全に埋め込まれている。また、コイル部品35を第二の孔14内にはめ込む際には、コイル部品35の基板351が第二の孔14の底部に位置するようにしてもよく、また、基板351が第二の孔14の側壁に当接するようにしてもよい
【0036】
ここで、図6〜図11を参照してコイル部品35の製造方法について説明する。
まず、基板351を熱酸化し、基板351表面にシリコン酸化膜351Aを形成する。
次に、シリコン酸化膜351A上に、例えば、TaN膜、Cu膜、TiN膜を積層する。その後、TaN膜、Cu膜、TiN膜の積層体上に所定のパターン(所定の間隔で並行配置されるパターン)のレジストマスクMを形成し、TaN膜、Cu膜、TiN膜の積層体を選択的に除去する。例えば、TaN膜、Cu膜、TiN膜の積層体を、濃厚なHF液によるウエッチエッチングか、ドライエッチングにより、所定のパターンに形成する。これにより、所定のパターンで並行配置された複数のバリア膜352C、第一導体膜352A1、バリア膜352Dが形成されることとなる(図6(A)、図6(B)参照、なお、図6(B)は、平面図を示し、図6(A)は、図6(B)のA−A方向の断面図である)。
ここで、バリア膜352Cの厚みは、例えば、10nm〜100nmであり、第一導体膜352A1は、0.1μm〜5μm、バリア膜352Dは、10〜100nmである。
【0037】
次に、図7(A)に示すように、バリア膜352D上に、SiN膜352F1、さらには、TiN膜352E1を形成する。SiN膜352F1および、TiN膜352E1は、基板351表面全面を覆うように積層される。
SiN膜352F1は、前述した絶縁膜352Fの一部を構成するものであり、TiN膜352E1は、バリア膜352Eを構成するものである。SiN膜352F1の厚みは、例えば、50nm〜100nmであり、TiN膜352E1の厚みは、例えば、10nm〜100nmである。
ここで、SiN膜352F1は、例えば、CVD法により形成することができ、また、TiN膜352E1は、スパッタリングにより形成することができる。
【0038】
その後、図7(B)に示すように、Fe膜352B1を、基板351全面を覆うように形成する。Fe膜352B1は芯部352Bとなるものである。Fe膜352B1は、スパッタリングにより形成することができる。なお、Fe膜352B1は、蒸着やめっき法により形成してもよい。
【0039】
そして、Fe膜352B1上に所定のパターンのマスクMを形成する。このマスクMの幅は、バリア膜352C、第一導体膜352A1、バリア膜352Dの幅よりも狭い。また、マスクMは、バリア膜352C、第一導体膜352A1、バリア膜352Dと交差する方向に長尺状に延びている。
【0040】
その後、図8(A)に示すように、Fe膜352B1、TiN膜352E1を選択的に除去する。ここでは、Fe膜352B1、TiN膜352E1をヘキサメタリン酸ナトリウム(HMP)、硝酸によりウェットエッチングする。これにより、芯部352Bが形成されることとなる。
さらに、SiN膜352F1をドライエッチングにより選択的に除去する。
これにより、図8(B)の平面図に示すように、バリア膜352C、第一導体膜352A1、バリア膜352Dを横切るようにSiN膜352F1、TiN膜352E1、芯部352Bが設けられる。なお、芯部352Bの短辺方向の幅は、SiN膜352F1よりも狭い。また、バリア膜352C、第一導体膜352A1、バリア膜352Dの両端部は、芯部352Bの両側から露出している。
【0041】
次に、図9(A)に示すように、TiN膜352E2をスパッタリングにより成膜する。TiN膜352E2は、基板351全面を覆うように成膜される。TiN膜352E2は、バリア膜352Eの一部を構成するものである。
【0042】
次に、TiN膜352E2のうち、芯部352Bの上部に該当する部分にマスクMを形成する。その後、図9(B)に示すように、TiN膜352E2を選択的に除去する。ここでは、HFを用いたウェットエッチングにより除去する。これにより、芯部352Bを覆うバリア膜352Eが完成する。
次に、マスクMを除去した後、図9(C)に示すように、基板351全面にSiN膜352F2を形成する。SiN膜352F2は、SiN膜352F1とともに絶縁膜352Fを構成するものである。
【0043】
さらに、図10(A)に示すように、芯部352Bの上部に該当する部分にマスクMを形成し、図10(B)に示すように、SiN膜352F2、さらには、SiN膜352F1、バリア膜352Dを選択的に除去する。ここでば、CF系のガスを用いたドライエッチングを行なう。これにより、芯部352Bの周囲を覆う絶縁膜352Fが形成される。さらに、SiN膜352F1、バリア膜352Dが除去されたことにより、第一導体膜352A1の端部が露出することとなる。
【0044】
次に、図10(C)に示すように、基板351全面にCu膜352A3、さらには、TiN膜352G1を積層する。その後、TiN膜352G1上に所定のパターン(芯部352Bの長手方向に対し傾斜し、所定の間隔で並行配置されるパターン)のマスクを形成し、Cu膜352A3およびTiN膜352G1を選択的に除去する。これにより、図11(A)、(B)に示すように、所定のパターンで並行配置された複数の第二導体膜352A2およびバリア膜352Gが形成されることとなり、マイクロコイル352Aが完成する。図11(B)に示すように、第二導体膜352A2および第一導体膜352A1は芯部352Bの長手方向に対する傾斜方向が異なっており、第二導体膜352A2および第一導体膜352A1は直接接合されている。
より詳細に説明すると、第二導体膜352A2により、第一導体膜352A1のうちの一の第一導体膜352A1の芯部352Bの一方の側に露出した端部と、一の第一導体膜352A1に隣接する他の第一導体膜352A1の芯部352Bの他方の側に露出した端部とが直接接続されることとなるのである。
なお、第一導体膜352A1、第二導体膜352A2、芯部352Bは、防食処理してもよい。防食剤としては、防食剤の種類としては、ベンゾトリアゾールやその誘導体を使用することができる。
【0045】
ここでは、ひとつのコイル部352を取り上げて製造手順を説明したが、基板351上には、基板351直上の第一層目の複数のコイル部352を上述した手順により同時に形成することができる。
次に、第二層目のコイル部352を形成する際には、図11(C)に示すように、第一層目のコイル部352を絶縁層353により埋め込む。例えば、絶縁層353としてのポリイミド膜を第一層目のコイル部352上に塗布する。絶縁層353の表面が平坦となるようにし、この絶縁層353上に下地層として薄い絶縁膜(シリコン酸化膜351A)を形成する。そして、このシリコン酸化膜351A上に第二層目のコイル部352を、上述した手順により、形成する。このような作業を繰り返すことにより、コイル部品35が完成することとなる。
【0046】
次に、基体2および駆動部36の構成について詳細に説明する。
図1に示したように、基体2には、複数の円形状の孔21がマトリクス状に形成されている。図12に示すように、各孔21には、リング状の受け部22が設置されている。この受け部22は、孔21の内側面から、孔21の中心部に向かって延びる複数のリブ23により、支持されている。
【0047】
駆動部36は、基体1の第一の孔11内に収容された回転体31を回転駆動するためのものである。図12に示すように、この駆動部36は、駆動軸361と、この駆動軸361の一方の端部に接続されたハブ部362と、このハブ部362に接続され、複数枚の翼を有するプロペラ部363とを有する。このプロペラ部363の径は、1mm以下であり、例えば、100μm程度である。駆動軸361は、他方の端部が孔21内の受け部22に挿入される。
また、駆動軸361の他方の端部には、回転部32の軸部323Aを挿入するための、三角錐状の孔361Aが形成されている。この孔361Aに回転部32の軸部323Aを挿入することで、駆動部36が回転部32に接続されることとなる。そして、風等がプロペラ部363にあたると、風力等により、駆動軸361が回転する。駆動軸361の回転駆動により、回転部32も回転駆動し、回転体31が第一の孔11内を回転することとなる。回転体31の磁石33からの磁束は、マイクロコイル352Aの中心軸に沿ってマイクロコイル352A中を通るが、回転体31の回転に伴い、磁石33が回転することで、マイクロコイル352Aの中心軸が磁石33からの磁束を横切ることとなる。すなわち、マイクロコイル352A中を通る磁束の方向が変化することとなる。これにより、各マイクロ発電機3で発電が行なわれることとなる。
なお、駆動部36は、光造形法により、一体成形することができる。光造形法としては、以下の論文に記載されているものがある。
S. Maruo and K. Ikuta: Submicron stereolithography for the production of freely movable mechanisms by using single-photon polymerization, Sensors and Actuators A, vol. 100, No. 1 (2002) pp.70-76.
【0048】
次に、発電装置10の組み立て手順について述べる。
図1を参照して説明する。
まず、はじめに、回転体31を用意する。このとき、筐体34に回転部32を収納させたのち、回転部32の筒状部321の外周面と、筐体34の内周面との間に、磁石33をはめ込む。
次に、回転体31を基体2の第一の孔11内に挿入する。また、第二の孔14内にコイル部品35をはめ込む。コイル部品35を第二の孔14内にはめ込む際には、コイル部品35の基板351が第二の孔14の底部に位置するようにしてもよく、また、基板351が第二の孔14の側壁に当接するようにしてもよい。本実施形態では、コイル部品35のマイクロコイル352Aの中心軸が、回転軸Xと直交するようにコイル部品35を配置すればよい。なお、第二の孔14内にコイル部品35をはめ込む際、マニピュレータ等の微小操作ロボットを使用すればよい。
次に、駆動部36がはめ込まれた基体2と、回転体31およびコイル部352とがはめこまれた基体1とを重ねあわせる。そして、駆動部36の駆動軸361の孔361Aに回転部32の軸部323Aを挿入する。これにより、発電装置10の組み立てが完成することとなる。
【0049】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
マイクロ発電機3のコイル部品35の基板351上には、複数のコイル部352が並列配置されており、コイル部品35の各マイクロコイル352Aの中心軸は、回転体31の回転軸Xと直交している。また、コイル部品35は、複数の磁石33が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置されており、さらに、磁石33は、回転軸Xと直交する方向の端部が異極に着磁されている。
このようなマイクロ発電機3では、磁石33を回転駆動することで、基板351上の複数のマイクロコイル352Aが同時に磁束の変化を受けることとなる。これにより、マイクロコイル352Aの巻き数が仮想的に増えた状態と同じ状態を作り出すことができる。本実施形態では、基板351上の限られたスペースにおいて、充分なリアクタンスを確保することができ、マイクロ発電機3の発電効率を高めることができる。
【0050】
ここで、基板上に複数のコイル部を設置することの効果について、図13および図14を参照して説明する。
まず、幅500μm、奥行き200μmの基板を仮定し、この基板上にコイル部を配置した状態を想定する。
例えば、図13(A)には、厚み1μm、幅495μmの芯部が配置され、この芯部の周囲をマイクロコイルがらせん状に巻かれたものが示されている。マイクロコイルの巻き数は100巻きである。
図13(B)では、厚み1μm、幅10μmの芯部が平行配置されている。各芯部の周囲には、100回巻きのマイクロコイルが巻かれている。さらに、各コイル部間の間隔は、1μmである。基板上には、38個のコイル部が配置される。
図13(C)では、厚み1μm、幅1μmの芯部が平行配置されている。各芯部の周囲には、100回巻きのマイクロコイルが巻かれている。さらに、各コイル部間の間隔は、1μmである。基板上には、124個のコイル部が配置される。
【0051】
100回巻きのマイクロコイルを有するコイル部の数と、リアクタンスとの関係を図14に示す。なお、図14では、図13に示したように、コイル部を積層させていない状態を想定している。
【0052】
ここで、リアクタンスは、以下の式1で示される。
(式1)
L=μμn・nSl
ここで、μは芯部の透磁率を示し、μは、マイクロコイルの抵抗率を示す。nは、マイクロコイルの巻き数であり、さらに、Sは芯部の断面積、lは芯部の長さである。
【0053】
図14に示したように、コイル部の数が増加するほど、コイル部を直列につないで巻き数が仮想的に増えた状態となり、リアクタンスが増えることとなる。これにより、発電効率を効率的に高めることができるのである。なお、コイル部の数を増加させすぎた場合には、芯部の断面積が小さくなってしまい、芯部の断面積の値が支配的になるため、リアクタンスが一定程度落ちると考えられる。
【0054】
また、本実施形態では、基板351に複数のコイル部352をマトリクス状に積層している。これにより、基板351の面内方向に隣接するマイクロコイル352Aだけでなく、基板351厚み方向に隣接するマイクロコイル352Aも同時に、磁束の変化を受けることとなる。そのため、より多くのマイクロコイル352Aが同時に磁束の変化を確実に受けることができるようになる。従って、マイクロ発電機3の発電効率を高めることができる。
さらに、コイル部品35の基板351上には、複数のコイル部352が並列配置され、各コイル部352のマイクロコイル352Aが磁石33と対向している。そのため、例えば、コイル部352を直列に配置する場合に比べ、各コイル部352と磁石33との距離を短くすることができる。これにより、マイクロ発電機3の発電効率を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態のマイクロ発電機3は、複数の磁石33と、複数のコイル部352を有する複数のコイル部品35とを備えているため、より効率よく発電することができる。
【0056】
また、コイル部352をマトリクス状に積層配置するとともに、各コイル部352のマイクロコイル352Aの少なくとも一方の端部が基板351表面と直交する同一平面上に位置するようにし、各コイル部352のマイクロコイル352Aの端部の位置を合わせている。そして、基板351表面と直交する略同一平面上にある各マイクロコイル352Aの一方の端部が、回転体31側に向くように、コイル部品35が配置されている。
これにより、磁石33と、マイクロコイル352Aとを対向させた際の磁石33と各マイクロコイル352Aとの距離を略一定距離とすることができ、磁石33から極端に距離が離れたマイクロコイル352Aがなくなるため、発電効率を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態では、コイル部352は、絶縁層353により被覆されているため、隣接するコイル部352同士の接触を防止することができる。
さらには、絶縁層353により、コイル部352を埋め込み、絶縁層353の表面を平坦化して、この絶縁層353上に上層のコイル部352を設けているので、上層のコイル部352が傾いて形成されてしまうこと等を防止できる。
【0058】
また、本実施形態のコイル部352の芯部352Bと、マイクロコイル352Aとの間には、絶縁膜352Fおよびバリア膜352Eが存在する。
芯部352Bと、マイクロコイル352Aとが直接接触すると、合金化を起こし、マイクロコイル352Aの抵抗値が上昇する場合がある。
本実施形態では、絶縁膜352Fおよびバリア膜352Eで芯部352Bの周囲を覆っているので、芯部352Bと、マイクロコイル352Aとの合金化を防止し、マイクロコイル352Aの抵抗値の上昇を防ぐことができる。
また、絶縁膜352Fと、芯部352Bとの密着性は良好でないため、芯部352Bの周囲をバリア膜352Eで覆った後、絶縁膜352Fで覆うことで、絶縁膜352Fの剥がれを防止することができる。
同様に、絶縁膜352Fと、マイクロコイル352Aを構成する第一導体膜352A1との密着性は良好でないため、第一導体膜352A1上にバリア膜352Dを設け、このバリア膜352D上に絶縁膜352Fを設けることで、絶縁膜352Fの剥がれを防止することができる。
【0059】
さらに、マイクロコイル352Aは発熱するため、絶縁膜352Fを、SiN膜、BCN膜(炭窒化ホウ素膜)、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)、AlN膜、ナノダイヤ膜のいずれかの材料で構成することで、マイクロコイル352Aの熱を放熱させることができる。特に、本実施形態では、基板351上に複数のコイル部352が配置されているため、マイクロコイル352Aの熱が放熱されにくくなっているが、絶縁膜352Fを、SiN膜、BCN膜(炭窒化ホウ素膜)、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)、AlN膜、ナノダイヤ膜のいずれかとすることで、マイクロコイル352Aの熱を確実に放熱させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、マイクロ発電機3の磁石33は平面U字型であるため、磁石33の端部からの磁束が、マイクロコイル352Aの中心軸に沿って、マイクロコイル352A中を通るようになり、より効率よく磁束がマイクロコイル352A内を通ることとなる。これにより、より効率よく発電を行なうことができる。
さらに、本実施形態では、磁石33は回転部32の回転軸Xと直交する方向の両端部(U字の両端部)が異極に着磁されるとともに、回転軸Xに沿って長尺状に延びている。従って、磁石33からの磁束が通る面積を比較的大きくすることができ、これにより、より多くのマイクロコイル352Aが同時に磁束の変化を確実に受けることができる。従って、マイクロ発電機3の発電効率を確実に高めることができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、基体1に回転体31を収容する第一の孔11および、この第一の孔11の周囲に設けられ、コイル部品35を挿入する第二の孔14を形成している。マイクロ発電機3を組み立てる際には、第二の孔14に複数のコイル部352を有するコイル部品35を挿入するとともに、第一の孔11に回転体31を挿入するだけでよいため、マイクロ発電機3の組み立てを容易に行なうことができる。
これに加え、基体1に複数の回転体31および複数のコイル部品35を挿入した後、複数の駆動部36が挿入された基体2と、基体1とを重ね合わせ、駆動部36の駆動軸361の孔361Aに回転部32の軸部323Aを挿入するだけで、発電装置10の組み立てが完成する。このような組み立て工程によれば、複数のマイクロ発電機3を同時に組み立てて、発電装置10を得ることができるので、発電装置10の製造に手間を要しない。
【0062】
さらに、本実施形態のコイル部品35では、第一導体膜352A1と第二導体膜352A2とを直接接合し、スルーホールを介して接続していないので、スルーホールによる電力の損失の発生を防止することができる。
【0063】
また、本実施形態の発電装置10は、複数のマイクロ発電機3を有している。そして、各マイクロ発電機3は風や水流等がプロペラ部363にあたることで、発電することができる。従って、例えば、発電装置10を鳥や魚等の移動物に取り付けておけば、移動物の移動に伴い発電することができる。従って、図15に示すように、発電装置10およびこの発電装置10によって駆動するセンサデバイス、通信デバイスを鳥や魚等の移動物に取り付けることで、電池の携帯なしに、長期間、生態変化や、環境変化をリモートセンシングすることができる。センサデバイスおよび通信デバイスには、発電装置10からの電力が供給される。センサデバイスで検出したセンサ信号は、通信デバイスにより中継システム、GPSシステムに送信される。そして、地球環境情報管理システムを通じて、生態変化や、環境変化をリモートセンシングすることができる。
さらには、本実施形態のマイクロ発電機3のプロペラ部363の径は、100μm程度であるため、わずかな風の流れや水流等に対しても発電することができる。
また、発電装置10は、マイクロ発電機3を複数有するため、センサ等の小型電子機器に電力を供給することができる。これにより、乾電池等の利用を減らすことができ、環境負荷低減に役立つ。
【0064】
(第二実施形態)
図16を参照して、第二実施形態について説明する。図16は、基体1の部分拡大図であり、ひとつの回転体31と、その周囲に配置されるコイル部品35とを示したものである。
前記実施形態では、磁石33は、平面略U字型形状であったが、本実施形態では、磁石43は、平面略矩形形状である。
磁石43の回転部32の回転軸Xと直交する方向の両端部は、異極に着磁されている。また、この磁石43は、磁石33と同様、回転軸Xに沿って長尺状に延びている。
他の構造は、前記実施形態と同様である。
このような本実施形態によれば、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
(第三実施形態)
図17を用いて、本実施形態について説明する。
図17(A)には、マイクロ発電機5の斜視図が示されており、図17(B)には、磁石53および保持部材54が示されている。さらに、図17(C)には、コイル部品35および保持部材55が示されている。
マイクロ発電機5は、回転駆動する複数の磁石53と、複数の磁石53が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置された複数のコイル部品35とを有する。
磁石53は、リング状の保持部材54に埋め込まれた棒状の磁石である。保持部材54は、樹脂製であり、磁石53は、リング状の保持部材54中に円周に沿って埋め込まれている。磁石53の一方の端部は、保持部材54の表面から露出している。
磁石53は、回転軸Xと平行な方向の両端部が異極に着磁されるとともに、隣接する磁石53の隣接する端部の極性は互いに異なっている。すなわち、保持部材54の表面からは、磁石53のN極と、S極とが交互に露出することとなる。
【0066】
コイル部品35は、リング状の保持部材55中に挿入されている。保持部材55には、コイル部品35を挿入する孔が形成されており、複数のコイル部品35は、円弧を描くように配置されている。コイル部品35は、マイクロコイル352Aの中心軸が、リング状の保持部材55の中心軸と平行になるように、保持部材55に挿入される。
磁石53が挿入された保持部材54と、コイル部品35が挿入された保持部材55とを対向させる(ここでは、保持部材54の磁石53の端部が露出している面と、コイル部品35とが対向するように保持部材54,55同士を対向させる)と、コイル部品35のマイクロコイル352Aの端部は、磁石53の回転軸Xと平行な方向の端部のうち、一方の端部(保持部材54の表面から露出した端部)と対向することとなる。磁石53の保持部材54の表面から露出した端部と、コイル部品35との間の距離は1〜50μmである。
また、マイクロコイル352Aの中心軸は、回転軸Xと略平行となる。
【0067】
このようなマイクロ発電機5では、第一実施形態と同様の第一の孔が形成された基体の第一の孔の底部に、コイル部品35が挿入された保持部材55を挿入する。
一方で、第一実施形態の回転部32と、筐体34との間に、磁石53が埋め込まれた保持部材54を挿入し、回転体を構成する。そして、この回転体を基体の第一の孔に挿入する。
次に、第一実施形態と同じく、駆動部36がはめ込まれた基体2と、回転体およびコイル部品35がはめこまれた基体とを重ねあわせる。
駆動部36の駆動により、回転体が回転駆動することで、磁石53が回転することとなる。そして、マイクロコイル352A中を通る磁束の方向が変化することとなる。これにより、各発電機5で発電が行なわれることとなる。
【0068】
このような本実施形態によれば、前記各実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施形態の発電機5では、マイクロコイル352Aの中心軸が回転軸Xと略平行となるようにコイル部品35が配置され、さらに、マイクロコイル352Aの端部は、回転軸Xと平行な方向の磁石53の両端部のうち、一方の端部と対向する。従って、磁石53の端部からの磁束は、マイクロコイル352Aの中心軸に沿って、マイクロコイル352A中を通るようになる。そして、隣接する磁石53の隣接する端部の極性が互いに異なっているので、回転軸Xを回転駆動することで、磁石53の端部からの磁束の方向は、マイクロコイル352Aの中心軸に沿って変化することとなる。
これにより、さらに、効率よく発電することができる。
【0069】
また、本実施形態では、コイル部品35が挿入された保持部材55上に磁石53が挿入された保持部材54を重ねあわせるようにして配置しているので、マイクロコイル352Aと、磁石53との距離を非常に接近させることができる。これにより、発電効率をより一層高めることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、磁石53は、その端部が保持部材54の表面から露出すればよく、磁石53の長さ寸法を長くする必要はない。従って、磁石53の長さ寸法を短くすることができるので、磁石53を回転駆動させる際の負荷を軽くすることができる。
【0071】
(参考の形態)
図18、図19を参照して、参考形態について説明する。
図18に示されたマイクロ発電機6は、
回転軸Xと、前記回転軸Xの周囲に配置され、前記回転軸Xとともに回転する複数の磁石33と、前記複数の磁石33が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置されたコイル部品65とを備え、
前記コイル部品65は、基板651と、基板651に設けられた複数のコイル部652とを有し、
前記各コイル部652は、らせん状に形成され、その中心軸が前記基板651表面に沿って延びるとともに、前記中心軸が互いに略平行となる導電性のマイクロコイルを有する
るマイクロ発電機である。
マイクロ発電機6では、磁石33を回転駆動すると、マイクロコイルの中心軸は、磁束を横切ることとなる。
【0072】
以下に、マイクロ発電機6の詳細について説明する。
図19には、マイクロ発電機6のコイル部品65が示されている。
このコイル部品65は、基板651と、複数のコイル部652とを有する。
基板651は、強磁性体金属であり、所定の間隔で複数のスルーホール651Aが設けられている。
コイル部652は、マイクロコイルであり、基板651の表面に所定のパターンで設けられた第一導体膜652Aと、基板651の裏面に所定のパターンで設けられた第二導体膜652Bと、スルーホール651A中に設けられた図示しない第三導体膜とを有する。
第一導体膜652A、第二導体膜652B、第三導体膜は、例えば、Cu膜である。
図18に示したように、マイクロ発電機6のコイル部品65以外の構成は、第一実施形態と同様である。
コイル部品65を、基体1の第二の孔14に挿入すると、コイル部品65は、磁石33を挟んで、回転体31の回転軸Xと反対側に配置されることとなる。また、コイル部品65は、複数の磁石33が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置される。さらには、コイル部品65の各マイクロコイルの中心軸は、回転体31の回転軸Xと直交する。
【0073】
このような構成のコイル部品65を使用した場合であっても、前記第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、ここでは、第一実施形態のマイクロ発電機のコイル部品35をコイル部品65に置き換えた例を説明したが、第二実施形態、第三実施形態のコイル部品35をコイル部品65に置き換えてもよい。
【0074】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態のコイル部品35は、基板351上に複数のコイル部352がマトリクス状に積層配置されていたが、積層されていないものであってもよい。
さらには、前記各実施形態のコイル部品35の各コイル部352のマイクロコイル352A同士は接続されていなかったが、図20に示すように、マイクロコイル352Aの端部同士を接続する導線37を設けてもよい。導線37により、マイクロコイル352A間を結線することで、マイクロコイル352Aが直列に接続されることとなる。これにより、マイクロコイル352Aの巻き数が仮想的に増えた状態と同じ状態を作り出すことができ、発電効率を確実に高めることができる。
なお、図20に示すように、各列内では導線37により直列接続するとともに、各列間を導線38により、並列接続してもよい。
直列接続するか、並列接続するかは、配線抵抗を考慮して適宜決めればよい。
【0075】
さらには、前記各実施形態では、コイル部品35をマイクロ発電機に使用したが、本発明にかかるコイル部品は、マイクロ発電機に使用されるものに限らない。例えば、NMR等の計測器に使用してもよい。本発明のコイル部品をNMR等の計測器に使用する場合には、以下のような利点が挙げられる。
【0076】
・コイル部品の基板上には、マイクロコイルを有する複数のコイル部が並列に配置されている。従って、例えば、本発明のコイル部品をNMR等の計測器に使用することで、微小領域を多数点計測することができる。さらに、各コイル部のマイクロコイルは、中心軸が互いに略平行となるように配置されているため、マイクロコイルがランダムに配置される場合に比べ、微小領域を多数点計測する際に、正確に計測することが可能となる。
【0077】
・また、本発明のコイル部品では、コイル部をマトリクス状に積層配置するとともに、各コイル部のマイクロコイルの一方の端部が基板表面と直交する同一平面上に位置するようにし、マイクロコイルの端部の位置を合わせている。そのため、試料からの各マイクロコイルとの位置を略一致させることができ、試料の各微小領域の計測を正確に行なうことができる。
【0078】
さらには、本発明のコイル部品を自由電子レーザ、磁気記録装置、高周波集積回路素子、真空マイクロデバイス等使用することもできる。さらには、本発明のコイル部品を前述したNMRとは異なる他の磁気センサ(磁気信号をセンシングするデバイス)に使用してもよい。
【0079】
また、前記各実施形態では、駆動部36がはめ込まれた基体2と、回転体31およびコイル部352とがはめこまれた基体1とを重ねあわせ発電装置10を組み立てていたが、これに限らず、例えば、基体2を設けず、各回転体31に駆動部36をそれぞれ取り付けて、発電装置を組み立ててもよい。
【0080】
さらには、第三実施形態では、磁石53の一方の端部が保持部材54の表面から露出するとしたが、磁石53の端部が保持部材54の表面から露出していなくてもよい。磁石53からの磁束密度が高いような場合には、磁石53が樹脂製の保持部材54中に完全に埋め込まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる発電装置を示す分解斜視図である。
【図2】発電装置の基体の部分拡大図である。
【図3】回転体の分解斜視図である。
【図4】回転体が基体の第一の孔に収容された状態を示した平面図である。
【図5】コイル部品の断面を模式的に示した図である。
【図6】コイル部品の製造工程を示す断面図である。
【図7】コイル部品の製造工程を示す断面図である。
【図8】コイル部品の製造工程を示す断面図である
【図9】コイル部品の製造工程を示す断面図である
【図10】コイル部品の製造工程を示す断面図である。
【図11】コイル部品の製造工程を示す断面図である。
【図12】駆動部を示す斜視図である。
【図13】基板上に複数のコイル部を設置した状態を示す図である。
【図14】100回巻きのマイクロコイルを有するコイル部の数と、リアクタンスとの関係を示す図である。
【図15】発電装置を用いてリモートセンシングを行なう状態を示す図である。
【図16】本発明の第二実施形態にかかるマイクロ発電機の要部を示す平面図である。
【図17】(A)は、本発明の第三実施形態にかかるマイクロ発電機の斜視図であり、(B)は、磁石および保持部材を示す図であり、(C)は、コイル部品および保持部材を示す図である。
【図18】参考の形態におけるマイクロ発電機の要部を示す平面図である。
【図19】参考の形態におけるマイクロ発電機のコイル部品を示す平面図である。
【図20】本発明の変形例にかかるコイル部品を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
1 基体
2 基体
3 マイクロ発電機
5 マイクロ発電機
6 マイクロ発電機
10 発電装置
11 第一の孔
12 受け部
13 リブ
14 第二の孔
21 孔
22 受け部
23 リブ
31 回転体
32 回転部
33 磁石
34 筐体
35 コイル部品
36 駆動部
37 導線
38 導線
43 磁石
53 磁石
54 保持部材
55 保持部材
65 コイル部品
321 筒状部
321A リブ
323 軸部
323A 軸部
323B 軸部
351 基板
351A シリコン酸化膜
352 コイル部
352A マイクロコイル
352A1 第一導体膜
352A2 第二導体膜
352A3 Cu膜
352B 芯部
352B1 Fe膜
352C バリア膜
352D バリア膜
352E バリア膜
352E1 TiN膜
352F 絶縁膜
352F1 SiN膜
352G バリア膜
352G1 TiN膜
353 絶縁層
361 駆動軸
361A 孔
362 ハブ部
363 プロペラ部
651 基板
651A スルーホール
652 コイル部
652A 第一導体膜
652B 第二導体膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された複数のコイル部とを有し、
前記各コイル部は、
らせん状に形成され、その中心軸が前記基板表面に沿って延びるとともに、前記中心軸が互いに略平行となる導電性のマイクロコイルを有するコイル部品。
【請求項2】
請求項1に記載のコイル部品において、
前記各コイル部のマイクロコイルの一方の端部が、前記基板表面と直交する同一平面上にあり、前記複数のコイル部がN行、M列(Nは2以上の整数、Mは1以上の整数)のマトリクス状に前記基板上に積層配置されているコイル部品。
【請求項3】
請求項2に記載のコイル部品において、
前記複数のコイル部のうち、積層配置されている一のコイル部との他のコイル部との間に絶縁層があるコイル部品。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のコイル部品において、
前記コイル部は、前記基板上に所定のパターンで並行配置される複数の第一導体膜と、
前記第一導体膜上に前記各第一導体膜を横切り、前記各第一導体膜の両端部が露出するように配置され、前記基板表面に沿って延びる磁性体の芯部と、
前記芯部上に所定のパターンで並行配置される複数の第二導体膜とを有し、
前記マイクロコイルは、前記第二導体膜により、前記第一導体膜のうちの一の第一導体膜の前記芯部の一方の側に露出した端部と、前記一の第一導体膜に隣接する他の第一導体膜の前記芯部の他方の側に露出した端部とを接続することで構成されたものであるコイル部品。
【請求項5】
請求項4に記載のコイル部品において、
前記第一導体膜の端部と、前記第二導体膜の端部とは直接接合しているコイル部品。
【請求項6】
請求項4または5に記載のコイル部品において、
前記芯部の外周面は、絶縁膜に覆われており、前記絶縁膜の周囲を前記マイクロコイルが取り囲むコイル部品。
【請求項7】
請求項6に記載のコイル部品において、
前記絶縁膜は、SiN膜、炭窒化ホウ素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、AlN膜、ナノダイヤ膜のいずれかであるコイル部品。
【請求項8】
請求項6または7に記載のコイル部品において、
前記絶縁膜は、バリア膜を介して、前記芯部の外周面を覆っているコイル部品。
【請求項9】
請求項8に記載のコイル部品において、
前記バリア膜は、TiN膜、あるいはTaN膜であるコイル部品。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のコイル部品において、
前記複数のコイル部の前記マイクロコイル間には、マイクロコイルの端部同士を接続する導線が配置されているコイル部品。
【請求項11】
回転軸と、
前記回転軸の周囲に配置され、前記回転軸とともに回転する複数の磁石と、
前記複数の磁石が回転駆動することにより形成される軌跡と対向する位置に配置されたコイル部品とを有し、
前記コイル部品は、請求項1乃至10のいずれかに記載のコイル部品であるマイクロ発電機。
【請求項12】
請求項11に記載のマイクロ発電機において、
前記各磁石は、前記回転軸と直交する方向の両端部が異極に着磁されており、
前記コイル部品は、前記磁石を挟んで、前記回転軸と反対側に配置されるとともに、前記回転軸と、前記コイル部品のマイクロコイルの中心軸とが略直交するように配置されているマイクロ発電機。
【請求項13】
請求項12に記載のマイクロ発電機において、
前記各磁石は、平面略U字型形状であり、U字の両端部が異極に着磁された前記両端部であり、
前記U字の両端部が前記コイル部品側に向いているマイクロ発電機。
【請求項14】
請求項11に記載のマイクロ発電機において、
前記各磁石は、前記回転軸と平行な方向の両端部が異極に着磁されるとともに、隣接する前記磁石は、隣接する端部の極性が互いに異なっており、
前記コイル部品は、前記マイクロコイルの中心軸が前記回転軸と略平行となるように配置されるとともに、前記マイクロコイルの端部が前記磁石の前記両端部のうち、一方の端部と対向するように配置されるマイクロ発電機。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかに記載のマイクロ発電機を複数有する発電装置。
【請求項16】
基板上に、前記基板の表面の沿って延びる磁性体の芯部と、この芯部の周囲を取り囲むようにらせん状に形成された導電性のマイクロコイルとを有するコイル部が複数設けられたコイル部品の製造方法であって、
前記基板上に所定のパターンで並行配置される複数の第一導体膜を形成する工程と、
前記第一導体膜上に、前記第一導体膜を横切り、かつ、各第一導体膜の両端部が露出するように、前記芯部を設ける工程と、
前記芯部上に所定のパターンで並行配置される複数の第二導体膜を形成し、前記第二導体膜により、前記第一導体膜のうちの一の第一導体膜の前記芯部の一方の側に露出した端部と、前記一の第一導体膜に隣接する他の第一導体膜の前記芯部の他方の側に露出した端部とを接続することで、前記マイクロコイルを形成する工程と、
前記各工程により形成されたコイル部を絶縁層により被覆する工程と、
前記第一導体膜を形成する前記工程、芯部を設ける前記工程、マイクロコイルを形成する前記工程とを繰り返し、前記絶縁層上に他のコイル部を積層する工程とを備えるコイル部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−195375(P2007−195375A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13183(P2006−13183)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】