コケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造
【課題】 構造が簡単でありながらコケに対して効果的に給水することができ、また、施工に際し、特段の水分補給系を形成させるといった手間を必要とせず、容易に施工することができるコンクリート体のコケ緑化構造の提供。
【解決手段】 コケ植生用マット2をコンクリート体の上面に形成した緑化対象コンクリート面11に敷設した状態で、貯水凹部3がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体4が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されている。
【解決手段】 コケ植生用マット2をコンクリート体の上面に形成した緑化対象コンクリート面11に敷設した状態で、貯水凹部3がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体4が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面をコケによって緑化させるのに用いるコケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
都市圏におけるヒートアイランド現象の対策として、従来、コンクリート体としてのコンクリート縁石の上面をコケ等によって緑化するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このコンクリート縁石の緑化技術は、上面に蘚苔類や草木類を植生する植生用の凹部を形成し、この凹部の底面には土壌中に埋設された保水性良好の材料から成る第1の保水体に連通する透水パイプを設けると共にこの凹部を形成する壁面に保水性良好の材料から成る第2の保水体を配設した構造になっていた。
【0004】
このように、従来のコンクリート縁石は、緑化植物に対する水分補給手段として、コンクリート縁石の下方の地中に設けた保水体から透水パイプを利用して水分を吸水させるようになっている。
【0005】
このため、コンクリート縁石に形成した凹部の底面から透水パイプを下方に延長させて取り付け、この透水パイプを土壌中に埋設させた保水体に連通させるといった水分補給系を形成する必要があるなど、その構造が複雑になるし、施工に多大の手間がかかるという問題があった。
【0006】
なお、本出願人において、本願に先行してコケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造を既に提案している(特願2006−226605参照)。
この先行技術は、上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている。
【0007】
このように、コケ植生用マットの下に貯水凹部が形成され、この貯水凹部に溜まった水(雨水等)が蒸発することから、コケの生育に適したジメジメした湿気の多い環境下にコケ植生用マットを敷設することができる。
特に、貯水凹部がコンクリート体自身に形成され、この貯水凹部から蒸発した水分をコケ植生用マットが直接に吸水する構造であるため、特段の水分補給系を形成する必要がなく、構造が簡単になるし、施工が容易になるという効果が得られるものである。
【0008】
しかしながら、上記先行技術では、貯水凹部に溜まった水が蒸発することによる水分をコケ植生用マットが吸水する構造であったため、これだけではコケ植生用マットに水分が十分に行き亘らないことがあり、この点で改良の余地を残していた。
【特許文献1】特開2002−212911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、構造が簡単でありながらコケに対して効果的に給水することができ、また、施工に際し、特段の水分補給系を形成させるといった手間を必要とせず、容易に施工することができるコケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項1)は、
上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されている構成とした。
【0011】
なお、本発明でいうコケとは、スナゴケ、ハイゴケ、スギゴケ、その他のコケ類を含む。
【0012】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項2)は、
請求項1記載の緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体がコンクリート縁石ブロック(コンクリート2次製品)であって、このコンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0013】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項3)は、
請求項2記載の緑化用コンクリート体において、コンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを嵌め込むための敷設用凹部が形成され、この敷設用凹部の底面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0014】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項4)は、
請求項3記載の緑化用コンクリート体において、敷設用凹部からコンクリート縁石ブロックの外部に貫通する排水孔が形成されている構成とした。
【0015】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項5)は、
請求項1記載のコケ緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体が道路中央分離コンクリート体であって、この道路中央分離コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0016】
本発明のコンクリート体のコケ緑化構造(請求項6)は、
コンクリート体の上面がコケによって緑化されたコンクリート体のコケ緑化構造であって、
コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されている
構成とした。
【0017】
本発明のコンクリート体のコケ緑化構造(請求項7)は、
請求項6記載のコケ緑化構造において、コケ緑化用コンクリート体が既設コンクリート縁石ブロックであって、この既設コンクリート縁石ブロックの上面に内部に開口部が形成されたコンクリート枠部材が重合設置され、このコンクリート枠部材の開口部と既設コンクリート縁石ブロックの上面とで敷設用凹部が形成されると共に、この敷設用凹部の底面となる既設コンクリート縁石ブロックの上面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内において既設コンクリート縁石ブロックの上面に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0018】
本発明のコンクリート体のコケ緑化構造(請求項8)は、
請求項7記載のコケ緑化構造において、コンクリート枠部材に敷設用凹部からコンクリート枠部材の外部に貫通する排水孔が形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明(請求項1、6)では、コンクリート体としてのコンクリート縁石ブロック(請求項2)や道路中央分離コンクリート体(請求項5)の上面に形成した緑化対象コンクリート面を、コケ植生用マットによって緑化することができる。
【0020】
そして、このコケ植生用マットの下には貯水凹部が形成され、この貯水凹部に溜まった水が蒸発することでコケ植生用マットに水分を給水できると共に、貯水凹部内からコケ植生用マットに至るように延長して設けた吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げて給水できる。
このように、貯水凹部に溜まった水の蒸発と、吸水体の毛細管現象による吸水によってコケ植生用マットに水分を十分に行き亘らせることができ、コケの生育に適したジメジメした湿気の多い環境下にコケ植生用マットを敷設することができる。
【0021】
特に、貯水凹部がコンクリート体自身に形成され、この貯水凹部から蒸発した水分と、吸水体の毛細管現象を利用してコケ植生用マットが吸水する構造であるため、特段の水分補給系を形成する必要がなく、構造が簡単になるし、施工が容易になる。
【0022】
又、コンクリート体をコンクリート縁石ブロックとした場合において、コンクリート縁石ブロックの上面に敷設用凹部を形成して、その底面を緑化対象コンクリート面に形成させると(請求項3)、コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込むことで緑化対象コンクリート面に収まりよく敷設することができる。
【0023】
又、敷設用凹部からコンクリート縁石ブロックの外部に貫通する排水孔を形成すると(請求項4)、貯水凹部から溢れて敷設用凹部に溜まった余分な水を排水することができ、コケが水に浸り、コケが腐るといった育成不良が生じるのを防止できる。
【0024】
又、コンクリート体を既設コンクリート縁石ブロックとした場合(請求項7)、この既設コンクリート縁石ブロックの上にコンクリート枠部材を重合設置することで既設コンクリート縁石ブロックに敷設用凹部を形成することができ、この敷設用凹部にコケ植生用マットを収まり良く敷設することができる。
この場合においても貯水凹部に溜まった水の蒸発によって、コケの生育に適したジメジメした湿気の多い環境下にコケ植生用マットを敷設することができる。
又、貯水凹部から溢れて敷設用凹部に溜まった余分な水を排水孔によって排水することができる(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明のコケ緑化構造の第1実施例を示す分解斜視図、図2はその断面図である。
この第1実施例は、コケ緑化用コンクリート体をコンクリート縁石ブロック1aとした例で、このコンクリート縁石ブロック1aは車道と歩道との境界に敷設される歩車道境界ブロックであり、工場で製造されたコンクリート2次製品である。
【0026】
前記コンクリート縁石ブロック1aの上面には、コケ植生用マット2を嵌め込むための敷設用凹部10が形成され、この敷設用凹部10の底面がコケ植生用マット2を敷設させるための緑化対象コンクリート面11に形成されている。
そして、この緑化対象コンクリート面11の領域内に円形穴による貯水凹部3が形成され、前記コケ植生用マット2を敷設用凹部10内に嵌め込んで緑化対象コンクリート面11に敷設した状態で、前記貯水凹部3がコケ植生用マット2によって覆われるように形成されている。
【0027】
なお、前記貯水凹部3の孔径は10〜20cm、深さは10〜20cm程度としているが、これに限定されるものではなく、その形状は円形でも角形でも溝形でもよいし、その深さや配設数や配設ピッチ等についてもコンクリート体のサイズ、形状、構造等に応じて適宜に決定できる。
【0028】
又、前記貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して吸水体としての紐状体4が設けられ、この紐状体4の毛細管現象によって貯水凹部3内に溜まった水をコケ植生用マット2に吸い上げるように形成されている。
この実施例では、紐状体4を貯水凹部3から緑化対象コンクリート面11上に蛇行状態に延長させ、この緑化対象コンクリート面11にコケ植生用マット2を敷設した状態で、コケ植生用マット2と紐状体4が接触するように形成されている。
【0029】
前記吸水体としては、不織布やフリースを細幅に切断した紐状体、繊維や布や細紐を紐状に編成あるいは織成した紐状体4、このほか帯状体等、吸水性に優れ、柔軟に屈曲できるものを使用するのが好ましい。なお、紐状体4の断面形状は丸形でも平形でもよい。
又、前記吸水体は、1個の貯水凹部3に対して1本である必要はなく、1個の貯水凹部3から複数本の吸水体を延長させるようにしてもよく、吸水した水をコケ植生用マット2に対し平面的に拡散、伝播させて全面的かつ均一的に行き亘るように延長させるのが好ましい。
【0030】
前記コケ植生用マット2は前記敷設用凹部10に嵌め込まれた状態で緑化対象コンクリート面11に敷設されるもので、このように敷設用凹部10が形成されていると、ここに水が溜まってコケが水に浸り、コケが腐るという育成不良が生じるため、敷設用凹部10に溜まった余分な水を排水する必要がある。
そこで、敷設用凹部10からコンクリート縁石ブロック1aの外部に貫通する排水孔12を形成し、ここから敷設用凹部10に溜まった余分な水を排水するようにしている。
【0031】
前記貯水凹部3は、コンクリート縁石ブロック1aの製造時に下穴30を形成させ、この下穴30内にプラスチックや金属により形成されたフランジ付きの不透水カップ31を上から着脱可能に嵌め込むことで形成されている。
コンクリートは吸水性を有するため、コンクリート縁石ブロック1aに有底穴を形成しただけでは、溜まった水がしみ出てしまい、水の貯水ができない。
そこで、不透水カップ31を用いることで水のしみ出しを防止して確実に貯水させることができるし、着脱可能に形成することで不透水カップ31に溜まった土砂の除去作業等、メンテナンスを容易にすることができる。
【0032】
なお、貯水凹部3としては、例えば、図3に示すようにコンクリート縁石ブロック1a(コケ緑化用コンクリート体)の製造に際し、不透水カップ32を埋め殺しすることで形成してもよいし、又、図4に示すように有底穴33を形成し、この有底穴33の内面に防水塗料34を塗布するなどの防水処理を施こすことで形成してもよい。
又、貯水凹部3の開口径が大径になると、この上を覆うように敷設されるコケ植生用マット2に沈み込みが生じることがあるため、貯水凹部3(不透水カップ31)の開口部に桟木35や網体を取り付けて、コケ植生用マット2の沈み込みを支えるようにしている。
又、貯水凹部3としては、穴形に限らず、後述の図8で示すような溝形でもよいし、同図で示すように保水性骨材としてのパミス36(大江化学社製商品)を充填させてもよい。
【0033】
前記コケ植生用マット2としては、例えば、厚み内に空隙が形成された立体編物をコケ植生部材とし、この立体編物の底面に保水性シート部材(例えば、不織布マット)や保水性パネル部材(コンクリートパネル)が取り付けられたものを用いることができる。
【0034】
保水性シート部材は、水分を吸水して保水できるシートであって、不織布、織布、編布、植物繊維シート等を単独或いは組み合わせて用いることができる。
このほか、保水性シート部材には、保水材としての綿、ヘチマ繊維、ヤシ繊維、パルプかす、ガラスウール、ロックウール、その他の植物繊維、熱可塑性樹脂製糸条(例えば、モスネット協会製作、商標:モスフラット)、布(織布、不織布繊維)、保水性骨材、保水性発泡体、合成繊維綿、繊維ボード、繊維球状体等を単独、或いは積層したり組み合わせたりしてシート状やマット状に形成したものを含むものとする。
また、保水性シート部材の保水とは、材料自体が水を吸水して保水する場合と、材料自体に吸水性がなくても材料同士の隙間に水を吸水して保水する場合を含む。
なお、このような保水性シート部材をそのままコケ植生用マットとして用いることも可能である。
【0035】
又、保水性パネル部材は、水分を吸水して保水できるパネル(板状体)であって、モルタルパネルや発泡セメントパネル等のセメント系パネル、透水性合成樹脂パネル、透水性合成樹脂と骨材を混ぜ合わせて形成したパネル、セメント系ポーラスパネル、樹脂系ポーラスパネル等を用いることができる。
尚、前記モルタルパネルは保水作用を有するもので、このモルタルパネルについてもコケ植生用マットの構成部材である保水性パネル部材に含めるものとする。
また、保水性パネル部材の保水とは、材料自体が水を吸水して保水する場合と、材料自体に吸水性がなくても材料同士の隙間に水を吸水して保水する場合を含む。
【0036】
又、コケ植生部材としての立体編物には、多数の網目開口部を形成するように樹脂繊維を用いて編成した表裏二枚の網状編成部と、この表裏二枚の網状編成部を厚み方向に連結させる連結繊維列を備え、前記連結繊維列により囲まれた空隙が表裏の網目開口部間に開口して形成されたハニカム状立体編物(商品名:キュービックアイ、ユニチカ(株)製)を用いることができる。
【0037】
又、他の立体編物として、繊維同士の間に空隙を形成させるように樹脂繊維を自在に屈曲させて一定の厚みに形成したワイヤメッシュ状立体繊維体を用いることができる。
【0038】
又、前記立体編物の空隙に保水材を設けることができる。
保水材としては、綿、ヘチマ繊維、ヤシ繊維、パルプかす、その他の植物繊維、熱可塑性樹脂製糸条(例えば、モスネット協会製作、商標:モスフラット)、布(織布、不織布繊維)、ロックウール、ガラスウール、保水性骨材、保水性発泡体、合成繊維綿、繊維ボード、繊維球状体等が用いられ、これらを単独、あるいは組み合わせて使用できる。
この場合、コケが定着し易いように、綿や不織布等の繊維材で保水性骨材を包んで用いるようにすることができる。
なお、保水性骨材としては、パミス、ゼオライト、珪藻土、軽石、再生ガラス等の多孔性骨材を、粒状のまま、あるいはセメントや接着剤で固めて使用することができる。
【0039】
また、前記保水材は、立体編物を保水性シート部材又は保水性パネル部材に取り付ける前に空隙に詰め込んでもよいし、取り付けた後に空隙に詰め込んでもよい。
【0040】
この第1実施例では、コケ植生用マット2として、ハニカム状立体編物20をコケ植生部材とし、このハニカム状立体編物20の底面に保水性シート部材としての不織布マット21が取り付けられ、かつ前記ハニカム状立体編物20の空隙に保水材としての綿(図示省略)が詰め込まれたものを用いている。
そして、コケ植生用マット2の上面に露出するように、緑化植物としてのコケが前記保水材としての綿の上に植え付けられている。
このようにコケを立体編物の空隙内に植生させるため、コケが立体編物の繊維や保水材としての綿等に絡まり、また立体編物の樹脂繊維が防風林の如くコケを保護する状態になるため、風雨等によってコケが脱落するといったことがなく、コケの植生を長期に亘って確実に維持させることができる。
【0041】
なお、施工手順としては、工場で製造されたコンクリート2次製品としてのコンクリート縁石ブロック1aを通常の施工法に従って敷設させ、その後、下穴30内にプラスチック製の不透水カップ31を上から着脱可能に嵌め込むことで貯水凹部3を形成させる。
次に、コケを植え付けたコケ植生用マット2を、コンクリート縁石ブロック1aの上面に形成した敷設用凹部10に嵌め込んで緑化対象コンクリート面11に敷設するもので、この際、コケ植生用マット2の保水性シート部材である不織布マット21の底面を吸水体としての紐状体4に接触させるものである。
なお、貯水凹部3には雨水が貯水されるが、天候等の条件によっては、貯水凹部3内に人工的に給水して貯水させるようにしてもよい。
【0042】
図5は本発明のコケ緑化構造の第2実施例を示す斜視図である。
この第2実施例は、コケ緑化用コンクリート体を既設コンクリート縁石ブロック1bとした例であり、コンクリート枠部材15との組み合わせによって形成されている。
【0043】
前記コンクリート枠部材15は、その底面が既設コンクリート縁石ブロック1bの上面に符合するように形成され、その内部に開口部16が形成されている。
このコンクリート枠部材15は工場で製造されたコンクリート2次製品であり、現場において既設コンクリート縁石ブロック1bの上面に接着剤(例えば、モルタル)によって重合設置される。
このコンクリート枠部材15の重合設置に伴いコンクリート枠部材15の開口部16と既設コンクリート縁石ブロック1bの上面とで敷設用凹部10が形成されると共に、この敷設用凹部10の底面となる既設コンクリート縁石ブロック1bの上面がコケ植生用マット2を敷設させる緑化対象コンクリート面11に形成される。
【0044】
そして、前記緑化対象コンクリート面11の領域内において既設コンクリート縁石ブロック1bの上面に貯水凹部3を現場加工で形成するもので、この貯水凹部3が前記コケ植生用マット2を敷設用凹部10に嵌め込んで緑化対象コンクリート面11に敷設した状態でコケ植生用マット2により覆われるように形成されている。
【0045】
又、前記貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して吸水体としての紐状体4が設けられ、この紐状体4の毛細管現象によって貯水凹部3内に溜まった水をコケ植生用マット2に吸い上げるように形成されている構成は前記第1実施例と同様である。
【0046】
又、前記コンクリート枠部材15には、敷設用凹部10からコンクリート枠部材4の外部に貫通する排水孔17が形成されている。
【0047】
このように、コンクリート枠部材15を組み合わせることにより、既設コンクリート縁石ブロック1bをコケ緑化用コンクリート体として用いることができるし、コケ植生用マット2を収まりよく敷設することができる。
【0048】
図6は本発明のコケ緑化構造の第3実施例を示す断面図である。
この第3実施例は、貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた吸水体としての紐状体4がコケ植生用マット2の保水性シート部材である不織布マット21の底面に結合させたもので、その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0049】
図7は本発明のコケ緑化構造の第4実施例を示す断面図である。
この第4実施例は、コケ緑化用コンクリート体をコンクリート縁石ブロック1aとし、その上面に形成した敷設用凹部10を仕切板13によって小さく区画させ、その区画内にコケ植生用マット2をモルタルにより接着させて敷設させたものである。この場合、図示省略したが、排水孔12は各区画内にそれぞれ形成している。
なお、この図7において、矢印で指しているのは、コケ植生用マット2の切欠斜視図である。
【0050】
この場合のコケ植生用マット2は、保水性パネル部材としてのモルタルパネル22で底面が形成され、このモルタルパネル22の周囲を不織布23によって立壁状に囲むことで浅底容器状(弁当箱状)に形成され、かつ内部にロックウール24を充填することで形成されている。
なお、緑化植物としてのコケは前記ロックウール24上に直撒きによって植え付けるようにしている。
【0051】
又、貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた紐状体4が前記コケ植生用マット2のモルタルパネル22又は不織布23を貫通してロックウール24に至るように形成されている。
この場合、紐状体4を不織布23による立壁の内面に沿うように延長させたり、モルタルパネル22の上面に蛇行状に延長させたりすることは任意である。
【0052】
図8は本発明のコケ緑化構造の第5実施例を示す斜視図、図9はその断面図である。
この第5実施例は、コケ緑化用コンクリート体を道路中央分離コンクリート体1cとした例で、この道路中央分離コンクリート体1cは、両側縁に縁石ブロック18,18が敷設され、この縁石ブロック18,18の間にコンクリート部19を現場打ちにより打設して形成されている。
【0053】
緑化対象コンクリート面11は、前記コンクリート部19の上面全面から両縁石ブロック18,18の上面にかけて形成され、かつ前記コンクリート部19の上面に溝形の貯水凹部3が長さ方向に形成され、コケ植生用マット2を緑化対象コンクリート面11に敷設した状態で、前記貯水凹部3がコケ植生用マット2によって覆われるように形成されている。
【0054】
コケ植生用マット2は、コケ植生部材としてハニカム状立体編物20を用い、保水性パネル部材としてモルタルパネル22を用い、前記ハニカム状立体編物20を、その厚みの半分程度がモルタルパネル22中に埋設する状態にモルタルパネル22上に取り付けている。
即ち、モルタルパネル22を成形するための平型枠にモルタルを投入し、このモルタルが固化しない内にハニカム状立体編物20の厚みの半分程度を沈めてモルタルを固化させることによりコケ植生用マット2を製造するようにしている。
このように、ハニカム状立体編物の厚みの半分程度をモルタルパネル22中に埋設させると、このモルタルパネル22がハニカム状立体編物の繊維によって補強され、モルタルパネル22の強度を向上させることができる。
【0055】
又、貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた紐状体4が前記コケ植生用マット2のモルタルパネル22の裏面に埋設される状態に延長されている。
又、この実施例では、前記貯水凹部3内部に保水性骨材としてのパミス36が充填され、その中に埋込むようにして紐状体4が設けられている。
このように、貯水凹部3の内部にパミス36を充填させると、この上を人が歩いた場合でもコケ植生用マット2の下面がパミスによって支えられるため、コケ植生用マット2の沈み込みを防止することができる。
【0056】
なお、前記貯水凹部3は、道路中央分離コンクリート体1cが既設のものである場合にはコンクリート部19の上面に後加工で穿設させ、新規のものである場合にはコンクリート部19を打設する際に同時に形成させることになる。
又、この道路中央分離コンクリート体1cでは、前記第1実施例とは異なり、上面に敷設用凹部が形成されず、上面にそのまま緑化対象コンクリート面11が形成され、この緑化対象コンクリート面11に適宜の固定手段(例えば、固定金具、モルタル接着等)によってコケ植生用マット2が取り付けられている。
【0057】
図10は本発明のコケ緑化構造の第6実施例を示す斜視図、図11はその断面図である。
この第6実施例は、コケ緑化用コンクリート体をコンクリート土間1dとし、この上に多数のコケ植生用マット2を敷き詰め状態に敷設させるようにしている。
【0058】
コケ植生用マット2は、プラスチック製の格子状枠25の内部に保水性骨材としてのパミス26を充填したものをコケ植生部材とし、その底面に保水性シート部材として不織布マット27を取り付けたものになっている。なお、緑化植物としてのコケは前記パミス26上に直撒きによって植え付けるようにしている。
この場合、格子状枠25の各枠の大きさを、人の足の大きさよりも小さく(例えば、5cm角〜15cm角程度)形成させると、この上を人が歩いてもコケが踏み荒らされるのを抑制することができる。
【0059】
又、前記コンクリート土間1cに形成した貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた紐状体4が前記コケ植生用マット2の不織布マット27を貫通して各枠のパミス26に至るように延長されている。
【0060】
本発明において、コケ緑化用コンクリート体としては、実施例で示したコンクリート縁石ブロック、道路中央分離コンクリート体、コンクリート土間以外に、家屋周りの犬走り、ブロック塀の天端等、建築物や土木構築物のコンクリート平面部を対象とすることができる。
【0061】
又、コンクリート縁石ブロックをコケ緑化用コンクリート体の例とした場合、実施例では上面に敷設用凹部を形成させ、この敷設用凹部にコケ植生用マットを敷設させるようにしているが、この敷設用凹部を形成せずにコンクリート縁石ブロックの上面を緑化対象コンクリート面に形成させ、この緑化対象コンクリート面にコケ植生用マットを敷設した状態で貯水凹部をコケ植生用マットによって覆うように形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のコケ緑化構造の第1実施例を示す分解斜視図である。
【図2】そのコケ緑化構造の断面図である。
【図3】貯水凹部の他例を示す断面図である。
【図4】貯水凹部の他例を示す断面図である。
【図5】本発明のコケ緑化構造の第2実施例を示す分解斜視図である。
【図6】本発明のコケ緑化構造の第3実施例を示す断面である。
【図7】本発明のコケ緑化構造の第4実施例を示す断面図である。
【図8】本発明のコケ緑化構造の第5実施例を示す斜視図である。
【図9】そのコケ緑化構造の断面図である。
【図10】本発明のコケ緑化構造の第6実施例を示す斜視図である。
【図11】そのコケ緑化構造の断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1a コンクリート縁石ブロック
1b 既設コンクリート縁石ブロック
1c 道路中央分離コンクリート体
1d コンクリート土間
10 敷設用凹部
11 緑化対象コンクリート面
12 排水孔
13 仕切板
15 コンクリート枠部材
16 開口部
17 排水孔
18 縁石ブロック
19 コンクリート部
2 コケ植生用マット
20 ハニカム状立体編物
21 不織布マット
22 コンクリートパネル
23 不織布
24 ロックウール
25 格子状枠
26 パミス
27 不織布マット
3 貯水凹部
30 下穴
31 不透水カップ
32 不透水カップ
33 有底穴
34 防水塗料
35 桟木
36 パミス
4 紐状体
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面をコケによって緑化させるのに用いるコケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
都市圏におけるヒートアイランド現象の対策として、従来、コンクリート体としてのコンクリート縁石の上面をコケ等によって緑化するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このコンクリート縁石の緑化技術は、上面に蘚苔類や草木類を植生する植生用の凹部を形成し、この凹部の底面には土壌中に埋設された保水性良好の材料から成る第1の保水体に連通する透水パイプを設けると共にこの凹部を形成する壁面に保水性良好の材料から成る第2の保水体を配設した構造になっていた。
【0004】
このように、従来のコンクリート縁石は、緑化植物に対する水分補給手段として、コンクリート縁石の下方の地中に設けた保水体から透水パイプを利用して水分を吸水させるようになっている。
【0005】
このため、コンクリート縁石に形成した凹部の底面から透水パイプを下方に延長させて取り付け、この透水パイプを土壌中に埋設させた保水体に連通させるといった水分補給系を形成する必要があるなど、その構造が複雑になるし、施工に多大の手間がかかるという問題があった。
【0006】
なお、本出願人において、本願に先行してコケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造を既に提案している(特願2006−226605参照)。
この先行技術は、上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている。
【0007】
このように、コケ植生用マットの下に貯水凹部が形成され、この貯水凹部に溜まった水(雨水等)が蒸発することから、コケの生育に適したジメジメした湿気の多い環境下にコケ植生用マットを敷設することができる。
特に、貯水凹部がコンクリート体自身に形成され、この貯水凹部から蒸発した水分をコケ植生用マットが直接に吸水する構造であるため、特段の水分補給系を形成する必要がなく、構造が簡単になるし、施工が容易になるという効果が得られるものである。
【0008】
しかしながら、上記先行技術では、貯水凹部に溜まった水が蒸発することによる水分をコケ植生用マットが吸水する構造であったため、これだけではコケ植生用マットに水分が十分に行き亘らないことがあり、この点で改良の余地を残していた。
【特許文献1】特開2002−212911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、構造が簡単でありながらコケに対して効果的に給水することができ、また、施工に際し、特段の水分補給系を形成させるといった手間を必要とせず、容易に施工することができるコケ緑化用コンクリート体及びコンクリート体のコケ緑化構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項1)は、
上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されている構成とした。
【0011】
なお、本発明でいうコケとは、スナゴケ、ハイゴケ、スギゴケ、その他のコケ類を含む。
【0012】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項2)は、
請求項1記載の緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体がコンクリート縁石ブロック(コンクリート2次製品)であって、このコンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0013】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項3)は、
請求項2記載の緑化用コンクリート体において、コンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを嵌め込むための敷設用凹部が形成され、この敷設用凹部の底面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0014】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項4)は、
請求項3記載の緑化用コンクリート体において、敷設用凹部からコンクリート縁石ブロックの外部に貫通する排水孔が形成されている構成とした。
【0015】
本発明のコケ緑化用コンクリート体(請求項5)は、
請求項1記載のコケ緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体が道路中央分離コンクリート体であって、この道路中央分離コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0016】
本発明のコンクリート体のコケ緑化構造(請求項6)は、
コンクリート体の上面がコケによって緑化されたコンクリート体のコケ緑化構造であって、
コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されている
構成とした。
【0017】
本発明のコンクリート体のコケ緑化構造(請求項7)は、
請求項6記載のコケ緑化構造において、コケ緑化用コンクリート体が既設コンクリート縁石ブロックであって、この既設コンクリート縁石ブロックの上面に内部に開口部が形成されたコンクリート枠部材が重合設置され、このコンクリート枠部材の開口部と既設コンクリート縁石ブロックの上面とで敷設用凹部が形成されると共に、この敷設用凹部の底面となる既設コンクリート縁石ブロックの上面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内において既設コンクリート縁石ブロックの上面に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている構成とした。
【0018】
本発明のコンクリート体のコケ緑化構造(請求項8)は、
請求項7記載のコケ緑化構造において、コンクリート枠部材に敷設用凹部からコンクリート枠部材の外部に貫通する排水孔が形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明(請求項1、6)では、コンクリート体としてのコンクリート縁石ブロック(請求項2)や道路中央分離コンクリート体(請求項5)の上面に形成した緑化対象コンクリート面を、コケ植生用マットによって緑化することができる。
【0020】
そして、このコケ植生用マットの下には貯水凹部が形成され、この貯水凹部に溜まった水が蒸発することでコケ植生用マットに水分を給水できると共に、貯水凹部内からコケ植生用マットに至るように延長して設けた吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げて給水できる。
このように、貯水凹部に溜まった水の蒸発と、吸水体の毛細管現象による吸水によってコケ植生用マットに水分を十分に行き亘らせることができ、コケの生育に適したジメジメした湿気の多い環境下にコケ植生用マットを敷設することができる。
【0021】
特に、貯水凹部がコンクリート体自身に形成され、この貯水凹部から蒸発した水分と、吸水体の毛細管現象を利用してコケ植生用マットが吸水する構造であるため、特段の水分補給系を形成する必要がなく、構造が簡単になるし、施工が容易になる。
【0022】
又、コンクリート体をコンクリート縁石ブロックとした場合において、コンクリート縁石ブロックの上面に敷設用凹部を形成して、その底面を緑化対象コンクリート面に形成させると(請求項3)、コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込むことで緑化対象コンクリート面に収まりよく敷設することができる。
【0023】
又、敷設用凹部からコンクリート縁石ブロックの外部に貫通する排水孔を形成すると(請求項4)、貯水凹部から溢れて敷設用凹部に溜まった余分な水を排水することができ、コケが水に浸り、コケが腐るといった育成不良が生じるのを防止できる。
【0024】
又、コンクリート体を既設コンクリート縁石ブロックとした場合(請求項7)、この既設コンクリート縁石ブロックの上にコンクリート枠部材を重合設置することで既設コンクリート縁石ブロックに敷設用凹部を形成することができ、この敷設用凹部にコケ植生用マットを収まり良く敷設することができる。
この場合においても貯水凹部に溜まった水の蒸発によって、コケの生育に適したジメジメした湿気の多い環境下にコケ植生用マットを敷設することができる。
又、貯水凹部から溢れて敷設用凹部に溜まった余分な水を排水孔によって排水することができる(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明のコケ緑化構造の第1実施例を示す分解斜視図、図2はその断面図である。
この第1実施例は、コケ緑化用コンクリート体をコンクリート縁石ブロック1aとした例で、このコンクリート縁石ブロック1aは車道と歩道との境界に敷設される歩車道境界ブロックであり、工場で製造されたコンクリート2次製品である。
【0026】
前記コンクリート縁石ブロック1aの上面には、コケ植生用マット2を嵌め込むための敷設用凹部10が形成され、この敷設用凹部10の底面がコケ植生用マット2を敷設させるための緑化対象コンクリート面11に形成されている。
そして、この緑化対象コンクリート面11の領域内に円形穴による貯水凹部3が形成され、前記コケ植生用マット2を敷設用凹部10内に嵌め込んで緑化対象コンクリート面11に敷設した状態で、前記貯水凹部3がコケ植生用マット2によって覆われるように形成されている。
【0027】
なお、前記貯水凹部3の孔径は10〜20cm、深さは10〜20cm程度としているが、これに限定されるものではなく、その形状は円形でも角形でも溝形でもよいし、その深さや配設数や配設ピッチ等についてもコンクリート体のサイズ、形状、構造等に応じて適宜に決定できる。
【0028】
又、前記貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して吸水体としての紐状体4が設けられ、この紐状体4の毛細管現象によって貯水凹部3内に溜まった水をコケ植生用マット2に吸い上げるように形成されている。
この実施例では、紐状体4を貯水凹部3から緑化対象コンクリート面11上に蛇行状態に延長させ、この緑化対象コンクリート面11にコケ植生用マット2を敷設した状態で、コケ植生用マット2と紐状体4が接触するように形成されている。
【0029】
前記吸水体としては、不織布やフリースを細幅に切断した紐状体、繊維や布や細紐を紐状に編成あるいは織成した紐状体4、このほか帯状体等、吸水性に優れ、柔軟に屈曲できるものを使用するのが好ましい。なお、紐状体4の断面形状は丸形でも平形でもよい。
又、前記吸水体は、1個の貯水凹部3に対して1本である必要はなく、1個の貯水凹部3から複数本の吸水体を延長させるようにしてもよく、吸水した水をコケ植生用マット2に対し平面的に拡散、伝播させて全面的かつ均一的に行き亘るように延長させるのが好ましい。
【0030】
前記コケ植生用マット2は前記敷設用凹部10に嵌め込まれた状態で緑化対象コンクリート面11に敷設されるもので、このように敷設用凹部10が形成されていると、ここに水が溜まってコケが水に浸り、コケが腐るという育成不良が生じるため、敷設用凹部10に溜まった余分な水を排水する必要がある。
そこで、敷設用凹部10からコンクリート縁石ブロック1aの外部に貫通する排水孔12を形成し、ここから敷設用凹部10に溜まった余分な水を排水するようにしている。
【0031】
前記貯水凹部3は、コンクリート縁石ブロック1aの製造時に下穴30を形成させ、この下穴30内にプラスチックや金属により形成されたフランジ付きの不透水カップ31を上から着脱可能に嵌め込むことで形成されている。
コンクリートは吸水性を有するため、コンクリート縁石ブロック1aに有底穴を形成しただけでは、溜まった水がしみ出てしまい、水の貯水ができない。
そこで、不透水カップ31を用いることで水のしみ出しを防止して確実に貯水させることができるし、着脱可能に形成することで不透水カップ31に溜まった土砂の除去作業等、メンテナンスを容易にすることができる。
【0032】
なお、貯水凹部3としては、例えば、図3に示すようにコンクリート縁石ブロック1a(コケ緑化用コンクリート体)の製造に際し、不透水カップ32を埋め殺しすることで形成してもよいし、又、図4に示すように有底穴33を形成し、この有底穴33の内面に防水塗料34を塗布するなどの防水処理を施こすことで形成してもよい。
又、貯水凹部3の開口径が大径になると、この上を覆うように敷設されるコケ植生用マット2に沈み込みが生じることがあるため、貯水凹部3(不透水カップ31)の開口部に桟木35や網体を取り付けて、コケ植生用マット2の沈み込みを支えるようにしている。
又、貯水凹部3としては、穴形に限らず、後述の図8で示すような溝形でもよいし、同図で示すように保水性骨材としてのパミス36(大江化学社製商品)を充填させてもよい。
【0033】
前記コケ植生用マット2としては、例えば、厚み内に空隙が形成された立体編物をコケ植生部材とし、この立体編物の底面に保水性シート部材(例えば、不織布マット)や保水性パネル部材(コンクリートパネル)が取り付けられたものを用いることができる。
【0034】
保水性シート部材は、水分を吸水して保水できるシートであって、不織布、織布、編布、植物繊維シート等を単独或いは組み合わせて用いることができる。
このほか、保水性シート部材には、保水材としての綿、ヘチマ繊維、ヤシ繊維、パルプかす、ガラスウール、ロックウール、その他の植物繊維、熱可塑性樹脂製糸条(例えば、モスネット協会製作、商標:モスフラット)、布(織布、不織布繊維)、保水性骨材、保水性発泡体、合成繊維綿、繊維ボード、繊維球状体等を単独、或いは積層したり組み合わせたりしてシート状やマット状に形成したものを含むものとする。
また、保水性シート部材の保水とは、材料自体が水を吸水して保水する場合と、材料自体に吸水性がなくても材料同士の隙間に水を吸水して保水する場合を含む。
なお、このような保水性シート部材をそのままコケ植生用マットとして用いることも可能である。
【0035】
又、保水性パネル部材は、水分を吸水して保水できるパネル(板状体)であって、モルタルパネルや発泡セメントパネル等のセメント系パネル、透水性合成樹脂パネル、透水性合成樹脂と骨材を混ぜ合わせて形成したパネル、セメント系ポーラスパネル、樹脂系ポーラスパネル等を用いることができる。
尚、前記モルタルパネルは保水作用を有するもので、このモルタルパネルについてもコケ植生用マットの構成部材である保水性パネル部材に含めるものとする。
また、保水性パネル部材の保水とは、材料自体が水を吸水して保水する場合と、材料自体に吸水性がなくても材料同士の隙間に水を吸水して保水する場合を含む。
【0036】
又、コケ植生部材としての立体編物には、多数の網目開口部を形成するように樹脂繊維を用いて編成した表裏二枚の網状編成部と、この表裏二枚の網状編成部を厚み方向に連結させる連結繊維列を備え、前記連結繊維列により囲まれた空隙が表裏の網目開口部間に開口して形成されたハニカム状立体編物(商品名:キュービックアイ、ユニチカ(株)製)を用いることができる。
【0037】
又、他の立体編物として、繊維同士の間に空隙を形成させるように樹脂繊維を自在に屈曲させて一定の厚みに形成したワイヤメッシュ状立体繊維体を用いることができる。
【0038】
又、前記立体編物の空隙に保水材を設けることができる。
保水材としては、綿、ヘチマ繊維、ヤシ繊維、パルプかす、その他の植物繊維、熱可塑性樹脂製糸条(例えば、モスネット協会製作、商標:モスフラット)、布(織布、不織布繊維)、ロックウール、ガラスウール、保水性骨材、保水性発泡体、合成繊維綿、繊維ボード、繊維球状体等が用いられ、これらを単独、あるいは組み合わせて使用できる。
この場合、コケが定着し易いように、綿や不織布等の繊維材で保水性骨材を包んで用いるようにすることができる。
なお、保水性骨材としては、パミス、ゼオライト、珪藻土、軽石、再生ガラス等の多孔性骨材を、粒状のまま、あるいはセメントや接着剤で固めて使用することができる。
【0039】
また、前記保水材は、立体編物を保水性シート部材又は保水性パネル部材に取り付ける前に空隙に詰め込んでもよいし、取り付けた後に空隙に詰め込んでもよい。
【0040】
この第1実施例では、コケ植生用マット2として、ハニカム状立体編物20をコケ植生部材とし、このハニカム状立体編物20の底面に保水性シート部材としての不織布マット21が取り付けられ、かつ前記ハニカム状立体編物20の空隙に保水材としての綿(図示省略)が詰め込まれたものを用いている。
そして、コケ植生用マット2の上面に露出するように、緑化植物としてのコケが前記保水材としての綿の上に植え付けられている。
このようにコケを立体編物の空隙内に植生させるため、コケが立体編物の繊維や保水材としての綿等に絡まり、また立体編物の樹脂繊維が防風林の如くコケを保護する状態になるため、風雨等によってコケが脱落するといったことがなく、コケの植生を長期に亘って確実に維持させることができる。
【0041】
なお、施工手順としては、工場で製造されたコンクリート2次製品としてのコンクリート縁石ブロック1aを通常の施工法に従って敷設させ、その後、下穴30内にプラスチック製の不透水カップ31を上から着脱可能に嵌め込むことで貯水凹部3を形成させる。
次に、コケを植え付けたコケ植生用マット2を、コンクリート縁石ブロック1aの上面に形成した敷設用凹部10に嵌め込んで緑化対象コンクリート面11に敷設するもので、この際、コケ植生用マット2の保水性シート部材である不織布マット21の底面を吸水体としての紐状体4に接触させるものである。
なお、貯水凹部3には雨水が貯水されるが、天候等の条件によっては、貯水凹部3内に人工的に給水して貯水させるようにしてもよい。
【0042】
図5は本発明のコケ緑化構造の第2実施例を示す斜視図である。
この第2実施例は、コケ緑化用コンクリート体を既設コンクリート縁石ブロック1bとした例であり、コンクリート枠部材15との組み合わせによって形成されている。
【0043】
前記コンクリート枠部材15は、その底面が既設コンクリート縁石ブロック1bの上面に符合するように形成され、その内部に開口部16が形成されている。
このコンクリート枠部材15は工場で製造されたコンクリート2次製品であり、現場において既設コンクリート縁石ブロック1bの上面に接着剤(例えば、モルタル)によって重合設置される。
このコンクリート枠部材15の重合設置に伴いコンクリート枠部材15の開口部16と既設コンクリート縁石ブロック1bの上面とで敷設用凹部10が形成されると共に、この敷設用凹部10の底面となる既設コンクリート縁石ブロック1bの上面がコケ植生用マット2を敷設させる緑化対象コンクリート面11に形成される。
【0044】
そして、前記緑化対象コンクリート面11の領域内において既設コンクリート縁石ブロック1bの上面に貯水凹部3を現場加工で形成するもので、この貯水凹部3が前記コケ植生用マット2を敷設用凹部10に嵌め込んで緑化対象コンクリート面11に敷設した状態でコケ植生用マット2により覆われるように形成されている。
【0045】
又、前記貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して吸水体としての紐状体4が設けられ、この紐状体4の毛細管現象によって貯水凹部3内に溜まった水をコケ植生用マット2に吸い上げるように形成されている構成は前記第1実施例と同様である。
【0046】
又、前記コンクリート枠部材15には、敷設用凹部10からコンクリート枠部材4の外部に貫通する排水孔17が形成されている。
【0047】
このように、コンクリート枠部材15を組み合わせることにより、既設コンクリート縁石ブロック1bをコケ緑化用コンクリート体として用いることができるし、コケ植生用マット2を収まりよく敷設することができる。
【0048】
図6は本発明のコケ緑化構造の第3実施例を示す断面図である。
この第3実施例は、貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた吸水体としての紐状体4がコケ植生用マット2の保水性シート部材である不織布マット21の底面に結合させたもので、その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0049】
図7は本発明のコケ緑化構造の第4実施例を示す断面図である。
この第4実施例は、コケ緑化用コンクリート体をコンクリート縁石ブロック1aとし、その上面に形成した敷設用凹部10を仕切板13によって小さく区画させ、その区画内にコケ植生用マット2をモルタルにより接着させて敷設させたものである。この場合、図示省略したが、排水孔12は各区画内にそれぞれ形成している。
なお、この図7において、矢印で指しているのは、コケ植生用マット2の切欠斜視図である。
【0050】
この場合のコケ植生用マット2は、保水性パネル部材としてのモルタルパネル22で底面が形成され、このモルタルパネル22の周囲を不織布23によって立壁状に囲むことで浅底容器状(弁当箱状)に形成され、かつ内部にロックウール24を充填することで形成されている。
なお、緑化植物としてのコケは前記ロックウール24上に直撒きによって植え付けるようにしている。
【0051】
又、貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた紐状体4が前記コケ植生用マット2のモルタルパネル22又は不織布23を貫通してロックウール24に至るように形成されている。
この場合、紐状体4を不織布23による立壁の内面に沿うように延長させたり、モルタルパネル22の上面に蛇行状に延長させたりすることは任意である。
【0052】
図8は本発明のコケ緑化構造の第5実施例を示す斜視図、図9はその断面図である。
この第5実施例は、コケ緑化用コンクリート体を道路中央分離コンクリート体1cとした例で、この道路中央分離コンクリート体1cは、両側縁に縁石ブロック18,18が敷設され、この縁石ブロック18,18の間にコンクリート部19を現場打ちにより打設して形成されている。
【0053】
緑化対象コンクリート面11は、前記コンクリート部19の上面全面から両縁石ブロック18,18の上面にかけて形成され、かつ前記コンクリート部19の上面に溝形の貯水凹部3が長さ方向に形成され、コケ植生用マット2を緑化対象コンクリート面11に敷設した状態で、前記貯水凹部3がコケ植生用マット2によって覆われるように形成されている。
【0054】
コケ植生用マット2は、コケ植生部材としてハニカム状立体編物20を用い、保水性パネル部材としてモルタルパネル22を用い、前記ハニカム状立体編物20を、その厚みの半分程度がモルタルパネル22中に埋設する状態にモルタルパネル22上に取り付けている。
即ち、モルタルパネル22を成形するための平型枠にモルタルを投入し、このモルタルが固化しない内にハニカム状立体編物20の厚みの半分程度を沈めてモルタルを固化させることによりコケ植生用マット2を製造するようにしている。
このように、ハニカム状立体編物の厚みの半分程度をモルタルパネル22中に埋設させると、このモルタルパネル22がハニカム状立体編物の繊維によって補強され、モルタルパネル22の強度を向上させることができる。
【0055】
又、貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた紐状体4が前記コケ植生用マット2のモルタルパネル22の裏面に埋設される状態に延長されている。
又、この実施例では、前記貯水凹部3内部に保水性骨材としてのパミス36が充填され、その中に埋込むようにして紐状体4が設けられている。
このように、貯水凹部3の内部にパミス36を充填させると、この上を人が歩いた場合でもコケ植生用マット2の下面がパミスによって支えられるため、コケ植生用マット2の沈み込みを防止することができる。
【0056】
なお、前記貯水凹部3は、道路中央分離コンクリート体1cが既設のものである場合にはコンクリート部19の上面に後加工で穿設させ、新規のものである場合にはコンクリート部19を打設する際に同時に形成させることになる。
又、この道路中央分離コンクリート体1cでは、前記第1実施例とは異なり、上面に敷設用凹部が形成されず、上面にそのまま緑化対象コンクリート面11が形成され、この緑化対象コンクリート面11に適宜の固定手段(例えば、固定金具、モルタル接着等)によってコケ植生用マット2が取り付けられている。
【0057】
図10は本発明のコケ緑化構造の第6実施例を示す斜視図、図11はその断面図である。
この第6実施例は、コケ緑化用コンクリート体をコンクリート土間1dとし、この上に多数のコケ植生用マット2を敷き詰め状態に敷設させるようにしている。
【0058】
コケ植生用マット2は、プラスチック製の格子状枠25の内部に保水性骨材としてのパミス26を充填したものをコケ植生部材とし、その底面に保水性シート部材として不織布マット27を取り付けたものになっている。なお、緑化植物としてのコケは前記パミス26上に直撒きによって植え付けるようにしている。
この場合、格子状枠25の各枠の大きさを、人の足の大きさよりも小さく(例えば、5cm角〜15cm角程度)形成させると、この上を人が歩いてもコケが踏み荒らされるのを抑制することができる。
【0059】
又、前記コンクリート土間1cに形成した貯水凹部3からコケ植生用マット2に至るように延長して設けた紐状体4が前記コケ植生用マット2の不織布マット27を貫通して各枠のパミス26に至るように延長されている。
【0060】
本発明において、コケ緑化用コンクリート体としては、実施例で示したコンクリート縁石ブロック、道路中央分離コンクリート体、コンクリート土間以外に、家屋周りの犬走り、ブロック塀の天端等、建築物や土木構築物のコンクリート平面部を対象とすることができる。
【0061】
又、コンクリート縁石ブロックをコケ緑化用コンクリート体の例とした場合、実施例では上面に敷設用凹部を形成させ、この敷設用凹部にコケ植生用マットを敷設させるようにしているが、この敷設用凹部を形成せずにコンクリート縁石ブロックの上面を緑化対象コンクリート面に形成させ、この緑化対象コンクリート面にコケ植生用マットを敷設した状態で貯水凹部をコケ植生用マットによって覆うように形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のコケ緑化構造の第1実施例を示す分解斜視図である。
【図2】そのコケ緑化構造の断面図である。
【図3】貯水凹部の他例を示す断面図である。
【図4】貯水凹部の他例を示す断面図である。
【図5】本発明のコケ緑化構造の第2実施例を示す分解斜視図である。
【図6】本発明のコケ緑化構造の第3実施例を示す断面である。
【図7】本発明のコケ緑化構造の第4実施例を示す断面図である。
【図8】本発明のコケ緑化構造の第5実施例を示す斜視図である。
【図9】そのコケ緑化構造の断面図である。
【図10】本発明のコケ緑化構造の第6実施例を示す斜視図である。
【図11】そのコケ緑化構造の断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1a コンクリート縁石ブロック
1b 既設コンクリート縁石ブロック
1c 道路中央分離コンクリート体
1d コンクリート土間
10 敷設用凹部
11 緑化対象コンクリート面
12 排水孔
13 仕切板
15 コンクリート枠部材
16 開口部
17 排水孔
18 縁石ブロック
19 コンクリート部
2 コケ植生用マット
20 ハニカム状立体編物
21 不織布マット
22 コンクリートパネル
23 不織布
24 ロックウール
25 格子状枠
26 パミス
27 不織布マット
3 貯水凹部
30 下穴
31 不透水カップ
32 不透水カップ
33 有底穴
34 防水塗料
35 桟木
36 パミス
4 紐状体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されていることを特徴とするコケ緑化用コンクリート体。
【請求項2】
請求項1記載の緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体がコンクリート縁石ブロックであって、このコンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されているコケ緑化用コンクリート体。
【請求項3】
請求項2記載の緑化用コンクリート体において、コンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを嵌め込むための敷設用凹部が形成され、この敷設用凹部の底面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されコケ緑化用コンクリート体。
【請求項4】
請求項3記載の緑化用コンクリート体において、敷設用凹部からコンクリート縁石ブロックの外部に貫通する排水孔が形成されている緑化用コンクリート体。
【請求項5】
請求項1記載のコケ緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体が道路中央分離コンクリート体であって、この道路中央分離コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている緑化用コンクリート体。
【請求項6】
コンクリート体の上面がコケによって緑化されたコンクリート体のコケ緑化構造であって、
コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されていることを特徴とするコンクリート体のコケ緑化構造。
【請求項7】
請求項6記載のコケ緑化構造において、コケ緑化用コンクリート体が既設コンクリート縁石ブロックであって、この既設コンクリート縁石ブロックの上面に内部に開口部が形成されたコンクリート枠部材が重合設置され、このコンクリート枠部材の開口部と既設コンクリート縁石ブロックの上面とで敷設用凹部が形成されると共に、この敷設用凹部の底面となる既設コンクリート縁石ブロックの上面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内において既設コンクリート縁石ブロックの上面に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されているコンクリート体のコケ緑化構造。
【請求項8】
請求項7記載のコケ緑化構造において、コンクリート枠部材に敷設用凹部からコンクリート枠部材の外部に貫通する排水孔が形成されているコンクリート体のコケ緑化構造。
【請求項1】
上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されていることを特徴とするコケ緑化用コンクリート体。
【請求項2】
請求項1記載の緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体がコンクリート縁石ブロックであって、このコンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されているコケ緑化用コンクリート体。
【請求項3】
請求項2記載の緑化用コンクリート体において、コンクリート縁石ブロックの上面にコケ植生用マットを嵌め込むための敷設用凹部が形成され、この敷設用凹部の底面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されコケ緑化用コンクリート体。
【請求項4】
請求項3記載の緑化用コンクリート体において、敷設用凹部からコンクリート縁石ブロックの外部に貫通する排水孔が形成されている緑化用コンクリート体。
【請求項5】
請求項1記載のコケ緑化用コンクリート体において、コケ緑化用コンクリート体が道路中央分離コンクリート体であって、この道路中央分離コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されている緑化用コンクリート体。
【請求項6】
コンクリート体の上面がコケによって緑化されたコンクリート体のコケ緑化構造であって、
コンクリート体の上面にコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面が形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成され、
かつ前記貯水凹部からコケ植生用マットに至るように延長して吸水体が設けられ、この吸水体の毛細管現象によって貯水凹部内に溜まった水をコケ植生用マットに吸い上げるように形成されていることを特徴とするコンクリート体のコケ緑化構造。
【請求項7】
請求項6記載のコケ緑化構造において、コケ緑化用コンクリート体が既設コンクリート縁石ブロックであって、この既設コンクリート縁石ブロックの上面に内部に開口部が形成されたコンクリート枠部材が重合設置され、このコンクリート枠部材の開口部と既設コンクリート縁石ブロックの上面とで敷設用凹部が形成されると共に、この敷設用凹部の底面となる既設コンクリート縁石ブロックの上面がコケ植生用マットを敷設させる緑化対象コンクリート面に形成され、この緑化対象コンクリート面の領域内において既設コンクリート縁石ブロックの上面に貯水凹部が形成され、前記コケ植生用マットを敷設用凹部に嵌め込んで緑化対象コンクリート面に敷設した状態で、前記貯水凹部がコケ植生用マットによって覆われるように形成されているコンクリート体のコケ緑化構造。
【請求項8】
請求項7記載のコケ緑化構造において、コンクリート枠部材に敷設用凹部からコンクリート枠部材の外部に貫通する排水孔が形成されているコンクリート体のコケ緑化構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−125450(P2008−125450A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314696(P2006−314696)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(391032864)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(391032864)
【Fターム(参考)】
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