説明

コネクタハウジングとこのコネクタハウジングを用いたバックワイヤボードへのコネクタの接続方法

【課題】 本発明はコネクタハウジングに係り、通信装置等の電源を投入したままバックワイヤボードにコネクタハウジングを取り付けるに当たり、取付作業に優れ、ピン曲がりや指先でのショートによる装置障害のリスクを解消したコネクタハウジングを提供する。
【解決手段】 通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングであって、コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成された正面視矩形状のハウジング本体と、ハウジング本体の上下に形成され、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止してハウジング本体をバックワイヤボードに固定する弾性係止手段とからなり、前記ハウジング本体は、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置等のバックワイヤボードに外線ケーブルのコネクタを接続する際に使用するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングを用いたバックワイヤボードへのコネクタの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置は、ユニット枠とバックワイヤボードで形成した収納ケースの中に多数の電子回路パッケージが収納されており、電子回路パッケージとバックワイヤボードの接続は、電子回路パッケージの挿入側先端(バックワイヤボード側)に装着したコネクタと、バックワイヤボード側に装着したコネクタとの接続で行われている。
【0003】
そして、特許文献1または図16に示すようにバックワイヤボード1の外面(背面側)には、バックワイヤボード1に装着した各コネクタに対応して複数のコネクタピン群3が立設されており、各コネクタピン群3に外線ケーブル5のコネクタ7がコネクタハウジング9を介して着脱自在に接続できるようになっている。
【0004】
コネクタハウジング9は、コネクタ7の接続を行うとともにコネクタ7の固定や誤接続防止の機能を果たすもので、図17に示すようにコネクタ接続対象のコネクタピン群3を囲繞するように正面視矩形状に形成されたボックス状のハウジング本体11と、ハウジング本体11の上下両端部13、15に突設された弾性係止爪(係止手段)17とからなり、ハウジング本体11の底部19には、コネクタピン群3の総てのコネクタピン3aに対応して多数のピン挿通穴21が設けられている。そして、各ピン挿通穴21にコネクタピン3aを挿着させ乍ら、図16または図18に示すように上下の弾性係止爪17を各コネクタピン群3の上下に設けたロック用金具22の係止穴23に係止して、コネクタハウジング9がバックワイヤボード1に取り付けられている。
【0005】
また、特許文献2には、図19に示すようにハウジング本体11-1を、上下に弾性係止爪17が突設された正面視矩形状の枠体に形成するとともに、ハウジング本体11に一体形成された前記底部19に代え、これを上下に設けた弾性舌片24を介してハウジング本体11-1の背面に取付可能な別体の背面プレート25として、当該背面プレート25に多数のピン挿通穴21を形成したコネクタハウジング27が提案されている。
【0006】
そして、前記コネクタハウジング9、27は、夫々、予め工場出荷段階でバックワイヤボード1に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−332353号公報
【特許文献2】特開2000−357562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、既に運用中の通信装置に対して、仕様変更や機能追加で電子回路パッケージの交換作業やケーブル追加を行う場合、通信装置背面のバックワイヤボードへの配線が必要になることがある。この場合、バックワイヤボードに前記コネクタハウジング9、27を取り付ける必要があるが、長期安定稼働が要求されて電源を落とすことができない装置の場合、電源を投入したままバックワイヤボードにコネクタハウジングを取り付ける必要がある。
【0009】
しかし、前記コネクタハウジング9、27は、予め工場出荷段階でバックワイヤボード1に取り付けるように製作されたもので、底部19や背面プレート25には、コネクタピン群3の総てのコネクタピン3aに対応して多数のピン挿通穴21が設けられている。
【0010】
このため、電源を投入したまま、装置が設置された局内等でバックワイヤボードにこれらを手作業で後付けする場合、ピン挿通穴21の総てにコネクタピン3aを通さなければならず、また、手作業で行うため、ピン曲がりや指先でのショート等により運用中の装置に障害が発生し、顧客に重大な影響が出てしまう虞があった。
【0011】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、通信装置等の電源を投入したままバックワイヤボードにコネクタハウジングを取り付けるに当たり、取付作業に優れ、ピン曲がりや指先でのショートによる装置障害のリスクを解消したコネクタハウジングと、このコネクタハウジングを用いたバックワイヤボードへのコネクタの接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングであって、コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成された正面視矩形状のハウジング本体と、ハウジング本体の上下に形成され、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止してハウジング本体をバックワイヤボードに固定する弾性係止手段とからなり、前記ハウジング本体は、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
そして、請求項2に係る発明は、通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングであって、コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成された正面視矩形状のハウジング本体と、前記ハウジング本体と別体に形成され、ハウジング本体の長手方向に沿ってハウジング本体の正面側に当接するロックカバーとからなり、前記ハウジング本体は、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられ、前記ロックカバーは、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止してハウジング本体をバックワイヤボードに固定する弾性係止手段が上下に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係るバックワイヤボードへのコネクタの接続方法は、通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングを、コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞するように形成され、底部にピン挿通穴が形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられた正面視矩形状のハウジング本体と、ハウジング本体の長手方向に沿ってハウジング本体の正面側に当接し、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止する弾性係止手段が上下に形成されたロックカバーとで構成し、前記コネクタハウジングを運用中の通信装置等のバックワイヤボードに取り付けるに当たり、コネクタ接続対象のコネクタピン群に対向させてハウジング本体を配置可能で、当該ハウジング本体をコネクタピン群方向へガイド可能な台座を設けたガイド部材をバックワイヤボードの外面側に設置して、前記台座上にハウジング本体を配置し、ハウジング本体を台座に沿ってコネクタピン群方向へスライドさせ、ピン挿通穴にコネクタピンを挿通させてハウジング本体をバックワイヤボードに仮止めした後、ガイド部材を取り外し、ハウジング本体の長手方向に沿ってハウジング本体の正面側にロックカバーを当接させ乍ら、上下の弾性係止手段を係止穴に係止してハウジング本体をロックカバーでバックワイヤボードに固定し、ハウジング本体のコネクタ取付口に外線ケーブルのコネクタを挿入してコネクタピン群に接続することを特徴とする。
【0015】
そして、請求項4に係る発明は、請求項3に記載のバックワイヤボードへのコネクタの接続方法に於て、前記ハウジング本体を、コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成され、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられた正面視矩形状に製作し、ハウジング本体を前記台座に沿ってコネクタピン群方向へスライドさせ、ピン挿通穴にコネクタピンを挿通させて、接続に不要なコネクタピン群の他のコネクタピンをハウジング本体で被覆することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、コネクタハウジングをバックワイヤボードに取り付けるに当たり、コネクタ接続に必要なコネクタピンのみをコネクタ挿入口内のピン挿通穴に通すだけでよいため、従来に比し取付作業に優れ、ピン曲がりによる装置障害のリスクが解消することとなった。また、コネクタ接続に不要なコネクタピンがハウジング本体で被覆されるようにしたため、指先でのショートによる装置障害のリスクも大幅に解消することとなった。
【0017】
請求項2に係る発明にあっても、コネクタ接続に必要なコネクタピンのみをピン挿通穴に通すだけでよいため、従来に比し取付作業に優れる利点を有する。
【0018】
また、この発明は、ハウジング本体とロックカバーを別体に構成し、ハウジング本体をバックワイヤボードに仮止めした後、ロックカバーの弾性係止手段を係止穴に係止して、ハウジング本体をバックワイヤボードに固定するように構成したため、ピン挿通穴へのコネクタピンの挿通と、係止穴への弾性係止手段の係止の作業を分けて行うことができる。
【0019】
従って、請求項1のコネクタハウジングに比し更に取付作業性及び安全性が向上するとともに、ピン曲がりによる装置障害のリスクをより確実に解消することができる。
【0020】
そして、ロックカバーの取付時には、コネクタ接続に不要なコネクタピンがハウジング本体で被覆されているため、指先でのショートによる装置障害のリスクも大幅に解消する。
【0021】
更に、ガイド部材を用いた請求項3の接続方法によれば、ピン挿通穴へのコネクタピンの挿通に当たり、ピンずれの虞がなくなるため、取付作業性及び安全性が飛躍的に向上するとともに、ピン曲がりによる装置障害のリスクを確実に解消できる利点を有する。
【0022】
そして、請求項4に係る接続方法によれば、コネクタ接続に必要なコネクタピンのみをピン挿通穴に通すだけでよいため、従来に比し取付作業に優れる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】請求項1の一実施形態に係るコネクタハウジングの正面側の斜め上方からの斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタハウジングの底部側の斜め下方からの斜視図である。
【図3】コネクタハウジングを介してバックワイヤボードに取り付くコネクタの斜め上方からの斜視図である。
【図4】バックワイヤボードに取り付くコネクタハウジングの機能を説明する説明図である。
【図5】外線ケーブルのコネクタの斜め下方からの斜視図である。
【図6】バックワイヤボードへのコネクタハウジングの接続方法の説明図である。
【図7】請求項2の一実施形態に係るコネクタハウジングの正面側の斜め上方からの斜視図である。
【図8】図7に示すコネクタハウジングの底部側の斜め下方からの斜視図である。
【図9】ロックカバーの正面側の斜め上方からの斜視図である。
【図10】ロックカバーの正面側の斜め上方からの斜視図である。
【図11】コネクタハウジングを介してバックワイヤボードに取り付くコネクタの斜め上方からの斜視図である。
【図12】バックワイヤボードへのコネクタハウジングの接続方法の説明図である。
【図13】ガイド部材の正面側の斜め上方からの斜視図である。
【図14】ガイド部材の分解正面図である。
【図15】バックワイヤボードに取り付くガイド部材の正面図である。
【図16】通信装置とこれに取り付くコネクタハウジング、外線ケーブルのコネクタの斜め上方からの斜視図である。
【図17】従来のコネクタハウジングの正面側の斜め上方からの斜視図である。
【図18】従来のコネクタハウジングの機能を説明する説明図である。
【図19】従来の他のコネクタハウジングの正面側の斜め上方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1及び図2は請求項1に係るコネクタハウジングの一実施形態を示し、図中、31は図3に示すようにコネクタ接続対象のコネクタピン群33を囲繞し被覆するように正面視矩形状に形成されたボックス状のハウジング本体で、図17のハウジング本体11と同様、その上下両端部35、37に弾性係止爪(弾性係止手段)45が突設されて、本実施形態に係る樹脂製のコネクタハウジング47が形成されている。そして、図3に示すように弾性係止爪45は、バックワイヤボード39の各コネクタピン群33の上下に設けたロック用金具41の係止穴43に係止する。
【0026】
図1に示すようにハウジング本体31の正面49に複数本の補強リブ51が縦横方向へ突設されているが、図1及び図4に示すように正面49の右側上部には、コネクタピン群33の中で、外線ケーブル(図示せず)のコネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみのピン挿通穴53が底部55に形成された正面視矩形状のコネクタ挿入口57が設けられている。そして、後述するようにコネクタハウジング47をバックワイヤボード39に取り付けると、図3及び図4に示すようにコネクタ接続に不要なコネクタピン33aが、ハウジング本体31で被覆されるようになっている。
【0027】
コネクタ挿入口57は、図5に示す外線ケーブルのコネクタ59の外形形状に沿って正面視矩形状に形成されているが、コネクタ59の一側面61には、コネクタハウジング47への取付時に機能するガイド兼位置決め用の突起63、65や抜け止め用の突起67が突設されている。そして、これらに対応して、図1に示すようにコネクタ挿入口57を形成するハウジング本体31の側面69に、前記突起63、65が係合してコネクタ59をガイドするガイド溝71、73や、前記突設67が弾性係止するストッパ溝75が設けられている。
【0028】
また、図2中、77はハウジング本体31の底部中央に突設された短ピン接続部で、図4及び図6に示すようにコネクタピン群33の中央には、コネクタハウジング47の接続の便に供するため、短ピンからなるコネクタピン33aが複数立設されており、前記短ピン接続部77は、これらの短ピンからなるコネクタピン33aに対応して設けられたものである。そして、図2及び図4に示すように短ピン接続部77には、コネクタピン群33の複数本の短ピンのうち、コネクタ接続に必要とする短ピンに合わせてピン挿通穴53が設けられており、図1に示すようにコネクタ挿入口57の底部55にこれらのピン挿通穴53が開口している。
【0029】
一方、図2に示すように前記側面69と対向するコネクタハウジング47の側面79は凹状に形成されて、複数本の補強リブ81が縦横方向に突設されている。そして、既述したようにコネクタハウジング47を図4の如くバックワイヤボード39に取り付けると、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aは、ハウジング本体31の底部に開口する図2の凹部83、84や凹状に形成された側面79内等に収納、被覆されるが、凹部83内にも補強リブ85が縦横方向に突設されている。尚、凹部84は前記補強リブ81によってハウジング本体31の底部に区画形成されている。
【0030】
本実施形態に係るコネクタハウジング47はこのように構成されているから、既に運用中の通信装置に対し、例えば機能追加でバックワイヤボード39への配線が必要となり、バックワイヤボード39(コネクタピン群33)に外線ケーブルのコネクタ59を取り付ける場合、図3に示すようにコネクタハウジング47を介してコネクタ59をバックワイヤボード39に接続することとなる。
【0031】
そして、バックワイヤボード39へのコネクタハウジング47の取付けは、図6に示すようにコネクタ接続対象のコネクタピン群33にコネクタハウジング47の底部側を対向させた後、コネクタハウジング47をコネクタピン群33方向へ移動し、ピン挿通穴53にコネクタピン33aを挿通させ乍ら、上下の弾性係止爪45をロック用金具41の係止穴43に係止させれば、コネクタハウジング47がバックワイヤボード39に固定され、コネクタ挿入口57にはコネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみが突出し、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aはハウジング本体31で被覆される。
【0032】
この後、コネクタハウジング47のコネクタ挿入口57に外線ケーブルのコネクタ59を挿入すればよく、ガイド溝71、73に突起63、65が係合してコネクタ59が挿入方向にガイドされ、突設67がストッパ溝75に弾性係止してコネクタ59の抜け止めが図られる。
【0033】
このように本実施形態は、コネクタ挿入口57に、コネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみのピン挿通穴53を設け、図3及び図4に示すようにコネクタハウジング47をバックワイヤボード39に取り付けると、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aがハウジング本体31で被覆されるようにしたことを大きな特徴としている。
【0034】
従って、図17、図19のコネクタハウジング9、27では、コネクタピン群3の総てのコネクタピン3aに対応して多数のピン挿通穴21が設けられていたため、総てのコネクタピン3aをピン挿通穴21に通さなければならず、ピン曲がりや指先でのショート等により運用中の装置に障害が発生する虞があったが、本実施形態では、コネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみをピン挿通穴53に通すだけでよいため、従来に比し取付作業に優れ、ピン曲がりによる装置障害のリスクが解消することとなった。
【0035】
また、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aがハウジング本体31で被覆されるようにしたため、指先でのショートによる装置障害のリスクも大幅に解消することとなった。
【0036】
図7乃至図10は請求項2に係るコネクタハウジングの一実施形態を示し、以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、前記実施形態と同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
【0037】
図7及び図8に於て、87は本実施形態に係るコネクタハウジング89のハウジング本体で、本実施形態は、上下両端部35、37に弾性係止爪45が突設された図1のハウジング本体31の構造に代え、上下の弾性係止爪45を省略し、ハウジング本体87を、図9及び図10に示す弾性係止爪45が突設されたロックカバー91を用いてバックワイヤボード39に取付可能としたものである。このため、図7及び図8に示すように、正面視矩形状に形成されたボックス状のハウジング本体87の上下両端部93、95は平滑に形成されており、ハウジング本体87とロックカバー91は同一の樹脂材料で形成されている。
【0038】
図9及び図10に示すようにロックカバー91は、ハウジング本体87の正面49側に当接する薄肉な正面板97と、ハウジング本体87の側方の補強リブ81に当接する薄肉な側面板99とで断面略L字状に形成され、その上下両端部に弾性係止爪45が側面板99に沿って突設されている。そして、図11に示すようにハウジング本体87の正面49と側方の補強リブ81にロックカバー91を当接させると、弾性係止爪45の基部側に設けた段部101の内面がハウジング本体87の上下両端部93、95に当接して、上下両端部93、95と弾性係止爪45との間に僅かな隙間が形成されるようになっている。
【0039】
また、ロックカバー91の正面板97の上下の中央には、舌片状の把手103が側面板99と面一に突設されており、この把手101を指先で摘んでロックカバー91を操作できるようになっている。更に、把手101と反対側の正面板97の他端側には、ハウジング本体87のコネクタ挿入口57の縁部に沿って切欠き105が設けられており、上述したようにハウジング本体87の正面49と側方の補強リブ81にロックカバー91を当接させたとき、正面板97によってコネクタ挿入口57が塞がれることがないようになっている。
【0040】
このように本実施形態に係るコネクタハウジング89は、ハウジング本体87とこれをバックワイヤボード39に固定するロックカバー91とで構成され、ハウジング本体87の正面49に形成されたコネクタ挿入口57には、前記実施形態と同様、コネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみのピン挿通穴53が設けられている。
【0041】
そして、前記コネクタハウジング89は、請求項3及び請求項4の一実施形態に係るコネクタの接続方法に於て、以下の如く使用される。
【0042】
運用中の通信装置に対し、バックワイヤボード39(コネクタピン群33)に外線ケーブルのコネクタ59を取り付けるに当たり、図12に示すように、先ず、ハウジング本体87をバックワイヤボード39に仮止めし、次いで、これにロックカバー91を被せてハウジング本体87をバックワイヤボードに固定するが、本実施形態は、ハウジング本体87の取付作業性を更に良好且つ正確に行うため、図13乃至図15に示す樹脂製のガイド部材107を使用する。
【0043】
尚、ガイド部材107の使用の前提として、本実施形態では、図15に示すようにコネクタ接続対象のコネクタピン群33はバックワイヤボード39のスロット9で、これに隣接するスロット6〜8、12の上下段のコネクタピン群33には図17の既存のコネクタハウジング9が予め工場出荷段階で取り付けられ、スロット10、11の上下段のコネクタピン群33は周知の正面視矩形状の透明パネル109で予め覆われている。
【0044】
図14に示すようにガイド部材107は、上側ガイド板111と下側ガイド板113の二分割構造である。図13及び図14に示すように上側ガイド板111は、正面側にスリット115が形成された一枚の板材117と、当該スリット115に挿着された板材119と、両板材117、119の連結部分に配置され、後輪側中央に設けたスリット121を介して板材117に取り付くブロック状の台座123と、板材119を挟んで板材117の左右に取り付く細長い4本の棒状の係止部材125とからなり、係止部材125は板材117の前後方向に亘って板材117の表裏に取り付けられている。
【0045】
係止部材125は上側ガイド板111をバックワイヤボード39に固定させるものである。即ち、図15に示すようにコネクタハウジング9や透明パネル109は、上下に突設された弾性係止爪17、127がロック用金具41の係止穴43に係止してバックワイヤボード39(各スロット6〜12)に取り付いているが、通常、弾性係止爪17、127の左右には隙間129がある。そこで、本実施形態は、前記係止部材125をスロット8、12の上下段に取り付くコネクタハウジング9の隙間129に挿入して、上側ガイド板111をバックワイヤボード39に固定させている。
【0046】
また、図13に示すように板材117の後端側には、平面視コ字状の切欠き131が設けられており、上述の如く係止部材125を隙間129に挿入して上側ガイド板111をバックワイヤボード39に固定したとき、板材117の後端側が、コネクタ接続対象のスロット9に接近するように構成されている。
【0047】
一方、図13及び図14に示すように下側ガイド板113は、前記台座123に対応して断面略L字状の台座133が表面に取り付く板材135と、当該板材135の左右にスリット137を介して取り付く2枚の板材139、141と、前記係止部材125に対応して板材135の表面に取り付く棒状の係止部材143とからなり、図15に示すように係止部材143がスロット8、12の下段のコネクタハウジング9の下側の隙間129に挿入されて、下側ガイド板113がバックワイヤボード39に固定される。
【0048】
また、両板材139、141の上方には、前記板材117に係合するスリット145が設けられており、これらのスリット145に板材117を係合して上側ガイド板111と下側ガイド板113が連結されるようになっている。
【0049】
ガイド部材107はこのように構成されているから、コネクタハウジング89をスロット9の上下段に取り付けるに当たり、先ず、図15に示すように上側ガイド板111の係止部材125を、スロット8、12に取り付く上下段のコネクタハウジング89の隙間129に挿入して、上側ガイド板111をバックワイヤボード39に固定する。
【0050】
次いで、下側ガイド板113の係止部材143を、スロット8、12の下段のコネクタハウジング9の下側の隙間129に挿入し乍ら、スリット145に板材117を係合して上側ガイド板111と下側ガイド板113を連結すれば、ガイド部材107がスロット9に固定される。これにより、ガイド部材107の台座123、133が、夫々、スロット9の上下段に対向する。
【0051】
この後、コネクタピン群33に対向させて台座133上にハウジング本体87を置き、指先で正面49を押し乍らハウジング本体87をコネクタピン群33方向にスライドさせ、ピン挿通穴53にコネクタピン33aを挿通させてハウジング本体87をバックワイヤボード39に仮止めする。これにより、コネクタ挿入口57にはコネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみが突出し、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aは、前記凹部83、84及びロックカバー91で被覆された側面79内に収納されてハウジング本体87で被覆される。
【0052】
同様に、コネクタピン群33に対向させて台座123上にハウジング本体87を置き、指先で正面49を押し乍らハウジング本体87をコネクタピン群33方向にスライドさせ、ピン挿通穴53にコネクタピン33aを挿通させてハウジング本体87をバックワイヤボード39に仮止めする。これにより、コネクタ挿入口57にはコネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみが突出し、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aは、前記凹部83、84及びロックカバー91で被覆された側面79内に収納されてハウジング本体87で被覆される。
【0053】
そして、ガイド部材107をバックワイヤボード39から取り外し、図11に示すように上下のハウジング本体87の正面49と側方の補強リブ81に夫々ロックカバー91を当接させ乍ら、弾性係止爪45をロック用金具41の係止穴43に係止すれば、ロックカバー91を介してハウジング本体87がスロット9の上下段に固定される。
【0054】
この後、コネクタハウジング89のコネクタ挿入口57に外線ケーブルのコネクタ59を挿入すればよく、ガイド溝71、73に突起63、65が係合してコネクタ59が挿入方向にガイドされ、突設67がストッパ溝75に弾性係止してコネクタ59の抜け止めが図られる。
【0055】
このように本実施形態に係るコネクタハウジング89は、ハウジング本体87とこれをバックワイヤボード39に固定するロックカバー91を別体構造とするとともに、ハウジング本体87に設けたコネクタ挿入口57に、コネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみのピン挿通穴53を設け、コネクタハウジング89をバックワイヤボード39に取り付けると、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aがハウジング本体87で被覆されるようにしたことを特徴としている。
【0056】
従って、図1のコネクタハウジング47と同様、本実施形態に係るコネクタハウジング89によっても、コネクタ接続に必要なコネクタピン33aのみをピン挿通穴53に通すだけでよいため、従来に比し取付作業に優れる利点を有する。
【0057】
また、本実施形態は、ハウジング本体87をバックワイヤボード39に仮止めした後、ロックカバー91の弾性係止爪45をロック用金具41の係止穴43に係止して、ハウジング本体87をバックワイヤボード39に固定するように構成したため、ピン挿通穴53へのコネクタピン33aの挿通と、係止穴43への弾性係止爪45の係止の作業を分けて行うことができ、この結果、図1のコネクタハウジング47に比し更に取付作業性及び安全性が向上するとともに、ピン曲がりによる装置障害のリスクをより確実に解消することができる。
【0058】
そして、ロックカバー91の取付時には、コネクタ接続に不要なコネクタピン33aがハウジング本体87で被覆されているため、指先でのショートによる装置障害のリスクも大幅に解消する。
【0059】
また、ガイド部材107を用いた接続方法によれば、ピン挿通穴53へのコネクタピン33aの挿通に当たり、ピンずれの虞がなくなるため、取付作業性及び安全性が飛躍的に向上するとともに、ピン曲がりによる装置障害のリスクを確実に解消できる利点を有する。
【0060】
尚、ガイド部材107の構造は前記実施形態に限定されず、バックワイヤボードに取り付くコネクタハウジングや透明パネルの配置に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
31、87 ハウジング本体
33 コネクタピン群
33a コネクタピン
39 バックワイヤボード
41 ロック用金具
43 係止穴
45 弾性係止爪
47、89 コネクタハウジング
53 ピン挿通穴
55 底部
57 コネクタ挿入口
59 外線ケーブルのコネクタ
63、65 ガイド兼位置決め用の突起
67 抜け止め用の突起
71、73 ガイド溝
75 ストッパ溝
77 短ピン接続部
91 ロックカバー
97 正面板
99 側面板
103 把手
105 切欠き
107 ガイド部材
109 透明パネル
111 上側ガイド板
113 下側ガイド板
123、133 台座
125、143 係止部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングであって、
コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成された正面視矩形状のハウジング本体と、
ハウジング本体の上下に形成され、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止してハウジング本体をバックワイヤボードに固定する弾性係止手段とからなり、
前記ハウジング本体は、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられていることを特徴とするコネクタハウジング。
【請求項2】
通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングであって、
コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成された正面視矩形状のハウジング本体と、
前記ハウジング本体と別体に形成され、ハウジング本体の長手方向に沿ってハウジング本体の正面側に当接するロックカバーとからなり、
前記ハウジング本体は、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられ、
前記ロックカバーは、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止してハウジング本体をバックワイヤボードに固定する弾性係止手段が上下に設けられていることを特徴とするコネクタハウジング。
【請求項3】
通信装置等のバックワイヤボードに取り付き、バックワイヤボードの外面に立設されたコネクタピン群に、外線ケーブルのコネクタを接続させるコネクタハウジングを、
コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞するように形成され、底部にピン挿通穴が形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられた正面視矩形状のハウジング本体と、
ハウジング本体の長手方向に沿ってハウジング本体の正面側に当接し、バックワイヤボード側に形成された係止穴に係止する弾性係止手段が上下に形成されたロックカバーとで構成し、
前記コネクタハウジングを運用中の通信装置等のバックワイヤボードに取り付けるに当たり、
コネクタ接続対象のコネクタピン群に対向させてハウジング本体を配置可能で、当該ハウジング本体をコネクタピン群方向へガイド可能な台座を設けたガイド部材をバックワイヤボードの外面側に設置して、前記台座上にハウジング本体を配置し、
ハウジング本体を台座に沿ってコネクタピン群方向へスライドさせ、ピン挿通穴にコネクタピンを挿通させてハウジング本体をバックワイヤボードに仮止めした後、
ガイド部材を取り外し、ハウジング本体の長手方向に沿ってハウジング本体の正面側にロックカバーを当接させ乍ら、上下の弾性係止手段を係止穴に係止してハウジング本体をロックカバーでバックワイヤボードに固定し、ハウジング本体のコネクタ取付口に外線ケーブルのコネクタを挿入してコネクタピン群に接続することを特徴とするバックワイヤボードへのコネクタの接続方法。
【請求項4】
前記ハウジング本体を、コネクタ接続対象のコネクタピン群を囲繞し被覆するように形成され、コネクタピン群の中で、外線ケーブルのコネクタ接続に必要なコネクタピンのみのピン挿通穴が底部に形成されたコネクタ挿入口が正面側に設けられた正面視矩形状に製作し、
ハウジング本体を前記台座に沿ってコネクタピン群方向へスライドさせ、ピン挿通穴にコネクタピンを挿通させて、接続に不要なコネクタピン群の他のコネクタピンをハウジング本体で被覆することを特徴とする請求項3に記載のバックワイヤボードへのコネクタの接続方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−12318(P2013−12318A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142819(P2011−142819)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】