コネクタ装置
【課題】調整量が大きく、組立作業性が良い小型のコネクタ装置を提供することにある。
【解決手段】取付基板51に取り付けたソケット本体11およびソケットカバー30からなるソケット10に、プラグ40を嵌合して電気接続するコネクタ装置である。そして、前記取付基板51の取付孔52に前記ソケット本体11および前記ソケットカバー30を反対方向からそれぞれ組み付け、前記ソケット本体11の鍔部12と前記ソケットカバー30の鍔部31とで前記取付基板51を挟持するとともに、前記ソケット本体11と前記ソケットカバー30とを一体にスライド移動可能に支持した。
【解決手段】取付基板51に取り付けたソケット本体11およびソケットカバー30からなるソケット10に、プラグ40を嵌合して電気接続するコネクタ装置である。そして、前記取付基板51の取付孔52に前記ソケット本体11および前記ソケットカバー30を反対方向からそれぞれ組み付け、前記ソケット本体11の鍔部12と前記ソケットカバー30の鍔部31とで前記取付基板51を挟持するとともに、前記ソケット本体11と前記ソケットカバー30とを一体にスライド移動可能に支持した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ装置、例えば、パチンコ遊技機が内蔵する電気機器を電気接続するコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ装置としては、例えば、自己調芯型コネクタがある(特許文献1参照)。
すなわち、パネル90の穴部91に板バネ19を備えたコネクタガイド部材10を挿入方向に移動可能な状態で遊嵌装着するとともに、プラグコネクタハウジング20を、前記コネクタガイド部材10に前記挿入方向と交差する方向に移動可能な状態で遊嵌装着する自己調芯型コネクタである。
【特許文献1】特開2005−93270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述のコネクタ装置では、特許文献1の図5に示すように、挿入方向と交差する方向における位置調整可能な範囲が内側フランジ14と弾性取付片24との隙間だけであり、調整量が少なく、組立作業性が悪い。このため、調整量を大きくしようとすると、コネクタガイド部材10の床面積を大きくする必要があり、装置が大型化するという問題点がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、調整量が大きく、組立作業性が良い小型のコネクタ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかるコネクタ装置は、前記課題を解決すべく、取付基板に取り付けたソケット本体およびソケットカバーからなるソケットに、プラグを嵌合して電気接続するコネクタ装置において、前記取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ組み付け、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持した構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、取付基板の取付孔を介して係合一体化したソケット本体およびソケットカバーが一体にスライド移動可能であるので、プラグの取付精度が低くても、ソケット本体およびソケットカバーを一体にスライド移動させて位置調整でき、組立作業性が良い。特に、取付基板の取付孔とソケットとの間の隙間分だけ位置調整可能であるので、ソケット自体を大型化する必要がなく、従来例よりも小型化のコネクタ装置が得られる。
【0007】
本発明にかかる実施形態としては、取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ脱着可能に係合一体化し、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持してもよい。
本実施形態によれば、ソケット本体とソケットカバーとを脱着可能に係合一体化して組み付けることにより、ワンタッチで取り付け可能となり、より一層組立作業性の良いコネクタ装置が得られる。
【0008】
本発明にかかる他の実施形態としては、ソケット本体および/またはソケットカバーの鍔部に、取付基板の少なくとも片面に当接する複数の位置決め用突起を突設してもよい。
本実施形態によれば、ソケット本体および/またはソケットカバーの鍔部に設けた位置決め用突起が取付基板に点接触するので、摩擦係数が小さくなり、ソケットが円滑にスライド移動し、組立作業性が更に向上する。
【0009】
本発明にかかる別の実施形態としては、パチンコ遊技機本体の前面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記取付板の前面側に配置した遊技盤の背面のうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続してもよい。
本実施形態によれば、パチンコ遊技機の組立作業が容易となり、熟練作業者を必要とせず、現場における組立作業性が向上する。
【0010】
本発明にかかる異なる実施形態としては、パチンコ遊技機本体の背面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記パチンコ遊技機本体の背面側に配置した賞球ユニットのうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続してもよい。
本実施形態によれば、前述の実施形態と同様、パチンコ遊技機の組立作業が容易となり、熟練作業者を必要とせず、現場における組立作業性が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明にかかる実施形態を図1ないし図16の添付図面に従って説明する。
第1実施形態にかかるコネクタ装置は、図1および図2に示すように、ソケット本体11およびソケットカバー30からなるソケット10と、プラグ40とで構成されている。
【0012】
前記ソケット本体11は、図3に示すように、後述する取付基板51の嵌合孔52に遊嵌可能な直方体形状のハウジング部13の外周面に、枠状鍔部12を一体成形してある。前記枠状鍔部12には各隅部に位置決め用突起14が突設けられている。また、前記ハウジング部13内には所定ピッチで2列のピン孔15を配設してあり、各ピン孔15内には後述する接続ピン20を下方からそれぞれ圧入してある(図10)。特に、前記ハウジング部13の上端面には前記ピン孔15に連通する4角錐台のガイド用凹部15aが形成されている。また、長辺側の側面にはガイド用リブ16が突設されている。さらに、短辺側の両側面に弾性係合爪17が一体成形されているとともに、前記両側面の両側縁部に一対の保護用リブ18がそれぞれ設けられている。
【0013】
前記接続ピン20は、図4に示すように、導電性板材にプレス加工を施し、上端部に一対の対向する弾性舌片21,22を形成するとともに、一方の前記弾性舌片21の基部に抜け止め用係止爪23を切り起こしてある。また、前記接続ピン20は、その下端部に設けたカシメ部24を介してリード線50を電気接続してある。
【0014】
前記ソケットカバー30は、図5および図6に示すように、対向する外周縁部に位置決め用凸部31a,凹部31bを設けた板状鍔部31の中央に、前記ソケット本体10に嵌合可能な嵌合孔31aを設けるとともに、その上面周辺縁部に環状カバー部32を突設してある。前記環状カバー部32は、その角部にガイド用支柱部33を一体成形してあるとともに、その長辺側の一側面に嵌合用リブ34を一体成形してある。また、前記環状カバー部32の短辺側の両側面には係合孔35をそれぞれ設けてある。さらに、前記板状鍔部31の下面中央部には、後述する取付基板51の取付孔51に遊嵌可能な環状リブ36を突設してある。
【0015】
本実施形態によれば、ソケットカバー30に多数の端子孔を設ける必要がなく、単なる嵌合孔を1個設けるだけでよいので、ソケットカバー30の金型製造が容易になり、生産コストを低減できるという利点がある。
【0016】
前記プラグ40は、図7および図8に示すように、前記ソケットカバー30に嵌合可能な外周形状を有し、4隅に前記ガイド用支柱部33を挿入できる挿入孔41を有する。特に、前記挿入孔41の下方開口縁部には円錐台形の環状テーパ面42を形成してあるので、前記ソケットカバー30に対する位置決めが容易になり、組立作業が容易になるという利点がある。また、前記プラグ40は、その天井面に、圧入ピン43を所定のピッチで配設するとともに、係合ピン44を配設してある。前記係合ピン44の上方端部には二股に分かれた弾性係合部44a,44aが形成されている。さらに、前記プラグ40の上端面から位置決め突起45が突設している。
【0017】
次に、前記ソケット10および前記プラグ40の接続方法を図2、図9および図10に基づいて説明する。
まず、対向する開口縁部に凹部53,凸部54を設けた取付基板51の取付孔52に、ソケットカバー30の環状リブ36を上方側から嵌合して位置決めする。そして、その下方側からソケット本体11のハウジング部13を前記ソケットカバー30の嵌合孔31aに挿入し、前記ハウジング部13に設けた弾性係合爪17をソケットカバー30に設けた係合孔35に係合することにより、前記取付基板51をソケット本体11の枠状鍔部12とソケットカバー30の板状鍔部31とでスライド移動可能に挟持する。そして、ソケットカバー30の環状カバー32の開口部からソケット本体11のガイド用凹部15aが露出するが、その露出面は環状カバー32の開口縁部から一段低くなっている。
【0018】
一方、図2に示すように、前記プラグ40の圧入ピン43の端子部43aをプリント基板55の端子孔56に挿入し、係合ピン44,44の弾性係合部44a,44aをプリント基板55の係合孔57に弾性係合するとともに、前記プラグ40の位置決め突起45を位置決め孔58に挿入する。
【0019】
そして、図1に示すように、取付基板51にスライド移動可能に取り付けたソケット10のガイド用支柱33の上方に、プラグ40の挿入孔41を位置決めした後、組み付ける。そして、ガイド用支柱33の上端部が挿入孔41の環状テーパ面42にガイドされ(図9A)、ソケット10がスライド移動して自動的に位置調整される。このため、ガイド用支柱33が挿入孔41に挿入されるとともに(図9B)、圧入ピン43の圧入部43bが接続ピン20の弾性舌片21,22間に圧入され、電気接続される(図10)。このとき、ソケットカバー30の環状カバー32の開口部からソケット本体11の上端面である露出面が一段低くなっているので、位置決め作業が容易となり、作業しやすいという利点がある。
【0020】
第2実施形態にかかるソケット10は、図11に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点はソケットカバー30とソケット本体11との嵌合構造である。
すなわち、本実施形態では、ソケットカバー30の天井面に、ソケット本体15のピン孔15に連通する4角錐台のガイド用凹部32aを所定のピッチでそれぞれ設ける一方、ソケット本体11のガイド用凹部を無くし、接続ピン20の上端部を露出させた場合である。なお、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【0021】
本実施形態によれば、ソケットカバー30の上端面が単なる開口部でなく、枠形状となるので、ソケットカバー30の強度が向上するという利点がある。
【0022】
第3実施形態は、図12ないし図14に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点はプリント基板55に対するプラグ40の取付構造である。
すなわち、本実施形態にかかるプラグ40は、その上端面隅部に前記係合ピン46をそれぞれ突設した場合である。
本実施形態によれば、嵌合用挿入孔41のスペースを基板取付用スペースとしても使用するので、床面積のより小さいコネクタが得られるという利点がある。
なお、第1実施形態にかかる係合ピン44をプラグ40の4隅に配置して係合一体化してもよい。
【0023】
第4実施形態は、図15に示すように、前述の実施形態にかかるコネクタ装置をパチンコ遊技機60の電気接続に適用した場合である。
すなわち、本実施形態にかかるパチンコ遊技機60では、パチンコ機本体61を機枠62にヒンジ支持するとともに、前記パチンコ機本体61の前面側に遊技盤63を回動可能に支持してある。さらに、前記遊技盤63の前方側には透明ガラス64を取り付けたガラス扉枠65をヒンジ支持してある。
【0024】
本実施形態によれば、前記パチンコ機本体61の前面側の取付板61aにソケット10をスライド移動可能に取り付けてある一方、遊技盤63の背面にプリント基板55を介してプラグ40を取り付けてある。このため、例えば、パチンコ機本体61に対する遊技盤63の組付精度が低い場合であっても、ソケット10が取付板61a上をスライド移動して位置調整することにより、ソケット10にプラグ40を嵌合できる。この結果、現場における接続作業性が容易となり、熟練作業者を必要とせず、生産性の高いパチンコ遊技機60が得られるという利点がある。
【0025】
第5実施形態は、図16に示すように、前述の実施形態にかかるコネクタ装置をパチンコ遊技機60の賞球ユニット70に適用した場合である。
すなわち、パチンコ機本体61の背面側に配置された前記賞球ユニット70は、その一部の送球筒体71が取付板61bに対して回動可能にヒンジ支持されている。そして、前記送球筒体71の前面側にはプリント基板55を介してプラグ40が取り付けられている。一方、パチンコ機本体61の背面側に配置した取付板61bにソケット10がスライド移動可能に取り付けられている。
【0026】
本実施形態よれば、送球筒体71に対するプラグ40の取付精度が低い場合であっても、前記ソケット10がスライド移動して位置調整できるので、前記ソケット10にプラグ40が嵌合し、電気接続される。このため、第4実施形態と同様、取付精度が低い場合であっても、現場における接続作業が容易であり、熟練作業者を必要とせず、生産性の高いパチンコ遊技機60が得られるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明にかかるコネクタ装置はパチンコ遊技機,パチスロ遊技機に限らず、他の電気機器の接続に適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかるコネクタ装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1で示した第1実施形態の分解斜視図である。
【図3】図3A,3Bは図2で示したソケット本体を異なる角度から見た斜視図である。
【図4】図4A,4Bは図3で示したソケット本体内に内蔵され、かつ、リード線を備えた接続ピンを異なる角度から見た斜視図である。
【図5】図5A,5Bは図2で示したソケットカバーの斜視図および断面斜視図である。
【図6】図6A,6Bは図2で示したソケットカバーの異なる角度から見た斜視図である。
【図7】図7A,7Bは図2で示したプラグの斜視図および断面斜視図である。
【図8】図8A,8Bは図2で示したプラグを異なる角度から見た斜視図および断面斜視図である。
【図9】図9A,9Bは図1で示したソケットとプラグとの接続方法を説明するための断面図である。
【図10】図1で示したソケットとプラグとの接続状態を示す断面図である。
【図11】図11A,11Bは本発明にかかるコネクタ装置の第2実施形態を示すソケットカバー、ソケット本体の斜視図である。
【図12】本発明にかかるコネクタ装置の第3実施形態を示す分解斜視図である。
【図13】図13A,13Bは図12で示したプラグの斜視図、断面斜視図である。
【図14】図14A,14Bは図12で示したプラグの断面斜視図である。
【図15】パチンコ遊技機に適用した第4実施形態を示す概略斜視図である。
【図16】パチンコ遊技機の賞球ユニットに適用した第5実施形態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10:コネクタ装置
11:ソケット本体
12:枠状鍔部
13:ハウジング部
14:位置決め用突起
15:ピン孔
15a:ガイド用凹部
16:ガイド用リブ
17:弾性係合爪
20:接続ピン
21,22:弾性舌片
23:抜け止め用係止爪
24:カシメ部
30:ソケットカバー
31:板状鍔部
32:環状カバー部
33:ガイド用支柱
34:嵌合用リブ
35:係合孔
36:環状リブ
40:プラグ
41:挿入孔
42:環状テーパ面
43:圧入ピン
44,46:係合ピン
45:位置決め突起
50:リード線
51:取付基板
52:取付孔
55:プリント基板
56:端子孔
57,58:係合孔
58:位置決め孔
60:パチンコ遊技機
61:パチンコ遊技機本体
70:賞球ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ装置、例えば、パチンコ遊技機が内蔵する電気機器を電気接続するコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ装置としては、例えば、自己調芯型コネクタがある(特許文献1参照)。
すなわち、パネル90の穴部91に板バネ19を備えたコネクタガイド部材10を挿入方向に移動可能な状態で遊嵌装着するとともに、プラグコネクタハウジング20を、前記コネクタガイド部材10に前記挿入方向と交差する方向に移動可能な状態で遊嵌装着する自己調芯型コネクタである。
【特許文献1】特開2005−93270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述のコネクタ装置では、特許文献1の図5に示すように、挿入方向と交差する方向における位置調整可能な範囲が内側フランジ14と弾性取付片24との隙間だけであり、調整量が少なく、組立作業性が悪い。このため、調整量を大きくしようとすると、コネクタガイド部材10の床面積を大きくする必要があり、装置が大型化するという問題点がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、調整量が大きく、組立作業性が良い小型のコネクタ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかるコネクタ装置は、前記課題を解決すべく、取付基板に取り付けたソケット本体およびソケットカバーからなるソケットに、プラグを嵌合して電気接続するコネクタ装置において、前記取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ組み付け、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持した構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、取付基板の取付孔を介して係合一体化したソケット本体およびソケットカバーが一体にスライド移動可能であるので、プラグの取付精度が低くても、ソケット本体およびソケットカバーを一体にスライド移動させて位置調整でき、組立作業性が良い。特に、取付基板の取付孔とソケットとの間の隙間分だけ位置調整可能であるので、ソケット自体を大型化する必要がなく、従来例よりも小型化のコネクタ装置が得られる。
【0007】
本発明にかかる実施形態としては、取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ脱着可能に係合一体化し、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持してもよい。
本実施形態によれば、ソケット本体とソケットカバーとを脱着可能に係合一体化して組み付けることにより、ワンタッチで取り付け可能となり、より一層組立作業性の良いコネクタ装置が得られる。
【0008】
本発明にかかる他の実施形態としては、ソケット本体および/またはソケットカバーの鍔部に、取付基板の少なくとも片面に当接する複数の位置決め用突起を突設してもよい。
本実施形態によれば、ソケット本体および/またはソケットカバーの鍔部に設けた位置決め用突起が取付基板に点接触するので、摩擦係数が小さくなり、ソケットが円滑にスライド移動し、組立作業性が更に向上する。
【0009】
本発明にかかる別の実施形態としては、パチンコ遊技機本体の前面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記取付板の前面側に配置した遊技盤の背面のうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続してもよい。
本実施形態によれば、パチンコ遊技機の組立作業が容易となり、熟練作業者を必要とせず、現場における組立作業性が向上する。
【0010】
本発明にかかる異なる実施形態としては、パチンコ遊技機本体の背面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記パチンコ遊技機本体の背面側に配置した賞球ユニットのうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続してもよい。
本実施形態によれば、前述の実施形態と同様、パチンコ遊技機の組立作業が容易となり、熟練作業者を必要とせず、現場における組立作業性が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明にかかる実施形態を図1ないし図16の添付図面に従って説明する。
第1実施形態にかかるコネクタ装置は、図1および図2に示すように、ソケット本体11およびソケットカバー30からなるソケット10と、プラグ40とで構成されている。
【0012】
前記ソケット本体11は、図3に示すように、後述する取付基板51の嵌合孔52に遊嵌可能な直方体形状のハウジング部13の外周面に、枠状鍔部12を一体成形してある。前記枠状鍔部12には各隅部に位置決め用突起14が突設けられている。また、前記ハウジング部13内には所定ピッチで2列のピン孔15を配設してあり、各ピン孔15内には後述する接続ピン20を下方からそれぞれ圧入してある(図10)。特に、前記ハウジング部13の上端面には前記ピン孔15に連通する4角錐台のガイド用凹部15aが形成されている。また、長辺側の側面にはガイド用リブ16が突設されている。さらに、短辺側の両側面に弾性係合爪17が一体成形されているとともに、前記両側面の両側縁部に一対の保護用リブ18がそれぞれ設けられている。
【0013】
前記接続ピン20は、図4に示すように、導電性板材にプレス加工を施し、上端部に一対の対向する弾性舌片21,22を形成するとともに、一方の前記弾性舌片21の基部に抜け止め用係止爪23を切り起こしてある。また、前記接続ピン20は、その下端部に設けたカシメ部24を介してリード線50を電気接続してある。
【0014】
前記ソケットカバー30は、図5および図6に示すように、対向する外周縁部に位置決め用凸部31a,凹部31bを設けた板状鍔部31の中央に、前記ソケット本体10に嵌合可能な嵌合孔31aを設けるとともに、その上面周辺縁部に環状カバー部32を突設してある。前記環状カバー部32は、その角部にガイド用支柱部33を一体成形してあるとともに、その長辺側の一側面に嵌合用リブ34を一体成形してある。また、前記環状カバー部32の短辺側の両側面には係合孔35をそれぞれ設けてある。さらに、前記板状鍔部31の下面中央部には、後述する取付基板51の取付孔51に遊嵌可能な環状リブ36を突設してある。
【0015】
本実施形態によれば、ソケットカバー30に多数の端子孔を設ける必要がなく、単なる嵌合孔を1個設けるだけでよいので、ソケットカバー30の金型製造が容易になり、生産コストを低減できるという利点がある。
【0016】
前記プラグ40は、図7および図8に示すように、前記ソケットカバー30に嵌合可能な外周形状を有し、4隅に前記ガイド用支柱部33を挿入できる挿入孔41を有する。特に、前記挿入孔41の下方開口縁部には円錐台形の環状テーパ面42を形成してあるので、前記ソケットカバー30に対する位置決めが容易になり、組立作業が容易になるという利点がある。また、前記プラグ40は、その天井面に、圧入ピン43を所定のピッチで配設するとともに、係合ピン44を配設してある。前記係合ピン44の上方端部には二股に分かれた弾性係合部44a,44aが形成されている。さらに、前記プラグ40の上端面から位置決め突起45が突設している。
【0017】
次に、前記ソケット10および前記プラグ40の接続方法を図2、図9および図10に基づいて説明する。
まず、対向する開口縁部に凹部53,凸部54を設けた取付基板51の取付孔52に、ソケットカバー30の環状リブ36を上方側から嵌合して位置決めする。そして、その下方側からソケット本体11のハウジング部13を前記ソケットカバー30の嵌合孔31aに挿入し、前記ハウジング部13に設けた弾性係合爪17をソケットカバー30に設けた係合孔35に係合することにより、前記取付基板51をソケット本体11の枠状鍔部12とソケットカバー30の板状鍔部31とでスライド移動可能に挟持する。そして、ソケットカバー30の環状カバー32の開口部からソケット本体11のガイド用凹部15aが露出するが、その露出面は環状カバー32の開口縁部から一段低くなっている。
【0018】
一方、図2に示すように、前記プラグ40の圧入ピン43の端子部43aをプリント基板55の端子孔56に挿入し、係合ピン44,44の弾性係合部44a,44aをプリント基板55の係合孔57に弾性係合するとともに、前記プラグ40の位置決め突起45を位置決め孔58に挿入する。
【0019】
そして、図1に示すように、取付基板51にスライド移動可能に取り付けたソケット10のガイド用支柱33の上方に、プラグ40の挿入孔41を位置決めした後、組み付ける。そして、ガイド用支柱33の上端部が挿入孔41の環状テーパ面42にガイドされ(図9A)、ソケット10がスライド移動して自動的に位置調整される。このため、ガイド用支柱33が挿入孔41に挿入されるとともに(図9B)、圧入ピン43の圧入部43bが接続ピン20の弾性舌片21,22間に圧入され、電気接続される(図10)。このとき、ソケットカバー30の環状カバー32の開口部からソケット本体11の上端面である露出面が一段低くなっているので、位置決め作業が容易となり、作業しやすいという利点がある。
【0020】
第2実施形態にかかるソケット10は、図11に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点はソケットカバー30とソケット本体11との嵌合構造である。
すなわち、本実施形態では、ソケットカバー30の天井面に、ソケット本体15のピン孔15に連通する4角錐台のガイド用凹部32aを所定のピッチでそれぞれ設ける一方、ソケット本体11のガイド用凹部を無くし、接続ピン20の上端部を露出させた場合である。なお、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【0021】
本実施形態によれば、ソケットカバー30の上端面が単なる開口部でなく、枠形状となるので、ソケットカバー30の強度が向上するという利点がある。
【0022】
第3実施形態は、図12ないし図14に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点はプリント基板55に対するプラグ40の取付構造である。
すなわち、本実施形態にかかるプラグ40は、その上端面隅部に前記係合ピン46をそれぞれ突設した場合である。
本実施形態によれば、嵌合用挿入孔41のスペースを基板取付用スペースとしても使用するので、床面積のより小さいコネクタが得られるという利点がある。
なお、第1実施形態にかかる係合ピン44をプラグ40の4隅に配置して係合一体化してもよい。
【0023】
第4実施形態は、図15に示すように、前述の実施形態にかかるコネクタ装置をパチンコ遊技機60の電気接続に適用した場合である。
すなわち、本実施形態にかかるパチンコ遊技機60では、パチンコ機本体61を機枠62にヒンジ支持するとともに、前記パチンコ機本体61の前面側に遊技盤63を回動可能に支持してある。さらに、前記遊技盤63の前方側には透明ガラス64を取り付けたガラス扉枠65をヒンジ支持してある。
【0024】
本実施形態によれば、前記パチンコ機本体61の前面側の取付板61aにソケット10をスライド移動可能に取り付けてある一方、遊技盤63の背面にプリント基板55を介してプラグ40を取り付けてある。このため、例えば、パチンコ機本体61に対する遊技盤63の組付精度が低い場合であっても、ソケット10が取付板61a上をスライド移動して位置調整することにより、ソケット10にプラグ40を嵌合できる。この結果、現場における接続作業性が容易となり、熟練作業者を必要とせず、生産性の高いパチンコ遊技機60が得られるという利点がある。
【0025】
第5実施形態は、図16に示すように、前述の実施形態にかかるコネクタ装置をパチンコ遊技機60の賞球ユニット70に適用した場合である。
すなわち、パチンコ機本体61の背面側に配置された前記賞球ユニット70は、その一部の送球筒体71が取付板61bに対して回動可能にヒンジ支持されている。そして、前記送球筒体71の前面側にはプリント基板55を介してプラグ40が取り付けられている。一方、パチンコ機本体61の背面側に配置した取付板61bにソケット10がスライド移動可能に取り付けられている。
【0026】
本実施形態よれば、送球筒体71に対するプラグ40の取付精度が低い場合であっても、前記ソケット10がスライド移動して位置調整できるので、前記ソケット10にプラグ40が嵌合し、電気接続される。このため、第4実施形態と同様、取付精度が低い場合であっても、現場における接続作業が容易であり、熟練作業者を必要とせず、生産性の高いパチンコ遊技機60が得られるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明にかかるコネクタ装置はパチンコ遊技機,パチスロ遊技機に限らず、他の電気機器の接続に適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかるコネクタ装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1で示した第1実施形態の分解斜視図である。
【図3】図3A,3Bは図2で示したソケット本体を異なる角度から見た斜視図である。
【図4】図4A,4Bは図3で示したソケット本体内に内蔵され、かつ、リード線を備えた接続ピンを異なる角度から見た斜視図である。
【図5】図5A,5Bは図2で示したソケットカバーの斜視図および断面斜視図である。
【図6】図6A,6Bは図2で示したソケットカバーの異なる角度から見た斜視図である。
【図7】図7A,7Bは図2で示したプラグの斜視図および断面斜視図である。
【図8】図8A,8Bは図2で示したプラグを異なる角度から見た斜視図および断面斜視図である。
【図9】図9A,9Bは図1で示したソケットとプラグとの接続方法を説明するための断面図である。
【図10】図1で示したソケットとプラグとの接続状態を示す断面図である。
【図11】図11A,11Bは本発明にかかるコネクタ装置の第2実施形態を示すソケットカバー、ソケット本体の斜視図である。
【図12】本発明にかかるコネクタ装置の第3実施形態を示す分解斜視図である。
【図13】図13A,13Bは図12で示したプラグの斜視図、断面斜視図である。
【図14】図14A,14Bは図12で示したプラグの断面斜視図である。
【図15】パチンコ遊技機に適用した第4実施形態を示す概略斜視図である。
【図16】パチンコ遊技機の賞球ユニットに適用した第5実施形態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10:コネクタ装置
11:ソケット本体
12:枠状鍔部
13:ハウジング部
14:位置決め用突起
15:ピン孔
15a:ガイド用凹部
16:ガイド用リブ
17:弾性係合爪
20:接続ピン
21,22:弾性舌片
23:抜け止め用係止爪
24:カシメ部
30:ソケットカバー
31:板状鍔部
32:環状カバー部
33:ガイド用支柱
34:嵌合用リブ
35:係合孔
36:環状リブ
40:プラグ
41:挿入孔
42:環状テーパ面
43:圧入ピン
44,46:係合ピン
45:位置決め突起
50:リード線
51:取付基板
52:取付孔
55:プリント基板
56:端子孔
57,58:係合孔
58:位置決め孔
60:パチンコ遊技機
61:パチンコ遊技機本体
70:賞球ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付基板に取り付けたソケット本体およびソケットカバーからなるソケットに、プラグを嵌合して電気接続するコネクタ装置において、
前記取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ組み付け、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持したことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ脱着可能に係合一体化し、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
ソケット本体および/またはソケットカバーの鍔部に、取付基板の少なくとも片面に当接する複数の位置決め用突起を突設したことを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
パチンコ遊技機本体の前面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記取付板の前面側に配置した遊技盤の背面のうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
パチンコ遊技機本体の背面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記パチンコ遊技機本体の背面側に配置した賞球ユニットのうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項1】
取付基板に取り付けたソケット本体およびソケットカバーからなるソケットに、プラグを嵌合して電気接続するコネクタ装置において、
前記取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ組み付け、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持したことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
取付基板の取付孔に前記ソケット本体および前記ソケットカバーを反対方向からそれぞれ脱着可能に係合一体化し、前記ソケット本体の鍔部と前記ソケットカバーの鍔部とで前記取付基板を挟持するとともに、前記ソケット本体と前記ソケットカバーとを一体にスライド移動可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
ソケット本体および/またはソケットカバーの鍔部に、取付基板の少なくとも片面に当接する複数の位置決め用突起を突設したことを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
パチンコ遊技機本体の前面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記取付板の前面側に配置した遊技盤の背面のうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
パチンコ遊技機本体の背面に設けた取付板にソケットをスライド移動可能に取り付ける一方、前記パチンコ遊技機本体の背面側に配置した賞球ユニットのうち、前記ソケットに対向する位置にプラグを取り付け、前記ソケットに前記プラグを嵌合して電気接続することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−34250(P2008−34250A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206609(P2006−206609)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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