説明

コネクタ

【課題】コネクタを構成するベースをセラミック部材で形成し、パウダー成形で所望の厚みに形成するようにコネクタを介在させて、ボード同士で嵌合するときのスタッキング高さをベースの厚みを変えることで変えられるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタは、表面から縁を介して裏面に至る端部に樹脂めっきを施して樹脂めっき部を形成するベースと、側面からコンタクトを挿入して係合するコンタクト収納室を有するハウジングと、く字型形状に折り曲げた先端部位が第1接触部とし、更に先端を内側方向に折り曲げた部位が第2接触部を有する金属性部材で形成されるコンタクトと、からなり、ハウジングにコンタクトを挿入して組み込み、ベースをハウジングの底方向から取付けて、第2接触部がベースの樹脂めっき部に対峙した状態とし、且つ第1接触部が上部方向に突出した状態に維持されるコネクタであり、ベースはその厚みが所望の厚みになるように成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、詳しくは携帯電話機等で使用されているB−B(Board to Board)コネクタに関するもので、セラミックス材で形成されたベースをパウダー成形してスタッキング高さ可変及び極数可変にした構造のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるB−Bコネクタとして、例えば、8ピンソケットのB−Bコネクタが存在する。この8ピンソケットのB−Bコネクタは、図9乃至図10に示すように、ハウジング112とコンタクト113から構成され、ハウジング112は直方体形状に形成され、その内部において前後に互い違いになるように8個のコンタクト収納室121を設けた構造となっている。
コンタクト113は、円弧状に形成した接触部132に連設して弾性力を付与するためのコ字状に折り曲げた付勢力部131を備え、その付勢力部131の先端がボード141の接点に接続する接続部116を備えた構成になっている。
コンタクト収納室121は、上部の側部側及び側部を開口とし、天井部分でコンタクト113を抑え、接触部132を外側に飛び出した状態にし、底部においてコンタクト113の付勢力部131の下側部位を支持すると共に接続部116を下部外方向に露出させた状態に支持する。
【0003】
このような構造のコンタクト113は、コンタクト収納室121の開口部分に合わせて収納することで、接触部132がハウジング112の上部に突出した状態となり、接続部116が下部方向に露出した状態となる。
このようなコネクタは、ボード141の接点に接続部116を合わせて半田付けにより装着する。
そして、ボード141に取り付けられたコネクタにおいては、上部方向から他のボード142を嵌合させることによりコンタクト113の接触部132がハウジング112内に押圧された状態で接触部132とボード142の接点部が電気的な接続を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−330419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術で説明した、B−Bコネクタにおいて、所謂、スタッキング高さ、コンタクトのハウジングに嵌合するときの高さは、ハウジングの構造からして固定であり、最近の需要に応じて嵌合高さを容易に変更することができないという問題がある。
又、極数に関しても、従来技術で説明したものは8ピンと固定され、ハウジングの形状からして任意に変更することができないという問題もある。
【0006】
従って、スタッキング高さが需要に応じて任意に変更できるような構造にすると共に、極数に関しても需要に応じて任意に変更できる構造に解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明のコネクタは、次に示す構成にしたことである。
【0008】
(1)コネクタは、表面から縁を介して裏面に至る端部に樹脂めっき部を形成してなるベースと、コンタクトを挿入して係合するコンタクト収納室を有するハウジングと、く字型形状に折り曲げた先端部位が第1接触部とし、該第1接触部より更に先端を内側方向に折り曲げた部位が第2接触部を有する金属性部材で形成されているコンタクトと、からなり、前記ハウジングに前記コンタクトを組み込み、前記ベースを前記ハウジングの一方の面方向から取付けて、前記第2接触部が前記ベースの樹脂めっき部に対峙した状態となり、且つ前記第1接触部が他方の面方向から突出して臨ました状態に維持されるコネクタであって、前記ベースは、予め、その厚みが所望の厚みになるように成形して形成されたことである。
(2)前記ベースはセラミック部材で形成され、パウダーによる成形で所望の厚みを形成したことを特徴とする(1)に記載のコネクタ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタを構成するベースをセラミック部材で形成し、その厚みをパウダー成形で所望の厚みに形成するようにしたことで、コネクタを介在させてボード同士で嵌合するときのスタッキング高さを、ベースの厚みを変えることで変えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明に係るコネクタを構成するハウジング、コンタクト、ベースそれぞれの斜視図である。
【図2】同、ハウジングにコンタクト及びベースを組み立てた様子を示す斜視図である。
【図3】同、ハウジングにコンタクト及びベースを組み立てた様子を背後からみた斜視図である。
【図4】同、コネクタの断面図である。
【図5】同、コネクタの平面図である。
【図6】同、コネクタの正面図である。
【図7】同、コネクタの側面図である。
【図8】所望の極数からなるベースを作成するための説明図である。
【図9】従来技術におけるB−Bコネクタの断面図である。
【図10】同、B−Bコネクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願発明に係るコネクタの実施形態について、図面を参照して以下説明する。
【0012】
本願発明のコネクタは、図1乃至図7に示すように、10ピンのB−Bコネクタであり、セラミック材で形成され両端部に樹脂めっき部14を有するベース11、上部及び下部方向を開口にしコンタクト13を側面方向から圧入して挿入するコンタクト収納室21を備えたハウジング12、金属性平板部材を、く字型形状に折り曲げた上部側を更に内側方向に折り曲げて接片となし、基部側の平板部材の中間位置を刳り貫いて形成されたコンタクト13とからなる。
【0013】
ベース11は、セラミック材で形成され、その厚みが用途により自由に選択できるようになっており、セラミック材のパウダーによる厚み違いを成形する。例えば、実施例においては予め、8種類の厚みの違うベースを用意することができ、その厚みは、0.23、0.33、0.43、0.53、0.63、0.73、0.83、0.93mmである。
【0014】
そして、その特定した厚みのベース11には、樹脂によるめっきが両端部に整列状態で5個表面から縁を介して裏面に至るように施された樹脂めっき部14を形成し、この樹脂めっき部14のうち表面の位置のめっきが接点部15を形成し、裏面の位置のめっきが接続部16(図3参照)を形成する。
この樹脂めっき部14は、金、銀、パラジウム、ニッケル、銅などの金属を使用した導電性樹脂系厚膜電極又は導電性ガラス系厚膜電極又はめっき電極又は薄膜電極などで形成されている。
そして、略中央位置にハウジング12と係合したときに位置決めを行う2つの位置決穴17を設けた構造となっている。
【0015】
ハウジング12は、両側の横方向からコンタクト13が挿入できるコンタクト収納室21を備えた構造となっており、このコンタクト収納室21は、端部まで刳り貫いた開口部22を有し、基部側にコンタクト13の弾性部を載置する弾性載置部23を備え、弾性載置部23から外方向に向かった壁面にコンタクト13の係合部35が係合するスリット24を設けた構造となっている。そして、ハウジング12の裏面には、ベース11と位置決めするための2つの位置決ボス25を備えた構成となっている。
【0016】
コンタクト13は、く字型形状に形成され、金属性の長方形に形成された板部材の略中央位置から折り曲げて弾性力を付けるように折り曲げて弾性部31を形成し、更に、その折り曲げた所定遠方の位置の先細身形状を更に上方向に折り曲げ、その上方向に折り曲げた位置の同一板幅で細長く形成された位置を下方向に折り曲げて第1接触部32を形成し、その先端部を更に上方向に折り曲げることで第2接触部33を形成する。
基部側の平板部材の中間位置を刳り貫いて接点開口部34を形成し、この接点開口部34に臨むように第2接触部33が位置している。そして、この基部側の横方向端部に外方向に突出した係合部35を備えた構造となっている。
【0017】
以上のような構成からなるベース11、ハウジング12、コンタクト13からなるコネクタにおいては、図1に示すように、先ず、ハウジング12にコンタクト13を側面方向からコンタクト収納室21にスリット24にコンタクト13の係合部35を合わせて圧入して挿入する。次に、ハウジング12にベース11の位置決穴17に位置決ボス25を合わせることで取り付ける。そうすると、ベース11の接点部15がハウジング12のコンタクト収容室21の開口部22に臨んだ状態となり、第2接触部33が接点開口部34を介して接点部15に対峙した状態となる(図4参照)。
【0018】
そして、図4に示すように、第1のボード41の接点にベース11の接続部16を接続させて第1のボード41の所定位置に装着する。
そして、第1のボード41に装着されたコネクタは、上方向から他の第2のボード42を装着すると、第1接触部32が第2のボード42の接点部に電気的に接続して当接され、第2接触部33が下部方向に押されてベース11の接点部15に電気的に接続する。
【0019】
次に、ベースの作成方法について説明する。
セラミック部材で形成されているベースをシート形状に起工し、使用極数に応じてカット位置を変更するというものである。
例えば、図8(A)に示すように、セラミック部材で形成されているベース11は樹脂めっき部14を30極になるように予め形成しておく。
そして、図8(B)に示すように、必要な極数が10極数であるならば、30極数のベースを3等分するようにスリットを入れておけばよい。そして、このスリットでカットすれば、所望の10極数のベースを得ることができる。
もし、図8(C)に示すように、必要な極数が6極数であるならば、30極数のベースを5等分するようにスリットを入れておけばよい。そして、このスリットでカットすれば、所望の6極数のベースを得ることができる。
ここで、所望の極数のベースを得たならば、その極数に見合った形状のハウジングを生成する必要がある。
このようにして、必要に応じた極数のベースをカット位置を変更することで簡単に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
コネクタを構成するベースをセラミック部材で形成し、その厚みをパウダー成形で所望の厚みに形成するようにしたことで、コネクタを介在させてボード同士で嵌合するときのスタッキング高さをベースの厚みを変えることで変えることができるコネクタを提供する。
【符号の説明】
【0021】
11 ベース
12 ハウジング
13 コンタクト
14 樹脂めっき部
15 接点部
16 接続部
17 位置決穴
21 コンタクト収納室
22 開口部
23 弾性載置部
24 スリット
25 位置決ボス
31 弾性部
32 第1接触部
33 第2接触部
34 接点開口部
35 係合部
41 第1のボード
42 第2のボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から縁を介して裏面に至る端部に樹脂めっき部を形成してなるベースと、
コンタクトを挿入して係合するコンタクト収納室を有するハウジングと、
く字型形状に折り曲げた先端部位が第1接触部とし、該第1接触部より更に先端を内側方向に折り曲げた部位が第2接触部を有する金属性部材で形成されているコンタクトと、
からなり、
前記ハウジングに前記コンタクトを組み込み、前記ベースを前記ハウジングの一方の面方向から取付けて、前記第2接触部が前記ベースの樹脂めっき部に対峙した状態となり、且つ前記第1接触部が他方の面方向から突出して臨ました状態に維持されるコネクタであって、
前記ベースは、予め、その厚みが所望の厚みになるように成形して形成されたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ベースはセラミック部材で形成され、パウダーによる成形で所望の厚みを形成したことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−257813(P2010−257813A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107570(P2009−107570)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【出願人】(000242633)北陸電気工業株式会社 (49)
【Fターム(参考)】