コラゲナーゼ活性阻害剤
【課題】従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤を提供すること。
【解決手段】本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有する。ここで、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤である。したがって、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤が皮膚の性質に合わず、皮膚の老化防止効果を十分に実感できなかった人であっても、効果を得ることが期待できる。
【解決手段】本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有する。ここで、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤である。したがって、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤が皮膚の性質に合わず、皮膚の老化防止効果を十分に実感できなかった人であっても、効果を得ることが期待できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とするコラゲナーゼ活性阻害剤およびそのコラゲナーゼ活性阻害剤を含有する化粧品に関する。
【背景技術】
【０００２】
コラーゲンは皮膚の主成分であり、弾力性のある繊維状のタンパク質である。このコラーゲンの産生量が正常ならば、しみやくすみのない滑らかな肌となり、弾力のある血管が形成され動脈硬化などが起こりにくくなる。しかしながら、コラーゲンは、体内でコラゲナーゼの作用により分解されてしまう。よって、コラーゲンの分解を抑制するために、コラゲナーゼ活性阻害剤となり得る種々の物質が研究されている。コラゲナーゼ活性阻害剤としては、例えば、コーヒー酸またはその塩（特許文献１）、グアバの葉、西河柳、菱実（特許文献２）、ハマメリス抽出物（特許文献３）、コケモモ、シラカバ、ハマスゲ、ボダイジュ、緑茶（特許文献４）、シモツケソウ、ヤドリギ、ホホバ葉、蓮葉、レッドクローバー（特許文献５）、松樹皮抽出物（特許文献６）、カムカム種子の抽出物（特許文献７）、アセロラ種子の抽出物（特許文献８）などが知られている。また、これらのコラゲナーゼ活性阻害剤を配合した化粧品なども種々販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開平５−１１７１４５号公報
【特許文献２】特開平７−２９１８７３号公報
【特許文献３】特開平８−２８３１３３号公報
【特許文献４】特開２００３−１２５３１号公報
【特許文献５】特開２００３−４８８４６号公報
【特許文献６】特開２００３−２３８４２６号公報
【特許文献７】特許第３６３５０８１号公報
【特許文献８】特開２００７−３１４５５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前述のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、コラーゲンの分解が抑制され皮膚の老化が防止されると期待できるが、皮膚の性質には個人差があるため、人によっては従来のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いても必ずしも十分な効果を得られないという問題点があった。本発明は、この問題点を解決するためになされたものであり、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１記載のコラゲナーゼ活性阻害剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする、コラゲナーゼ活性阻害剤に関する。また、請求項２記載の化粧品は、請求項１記載のコラゲナーゼ活性阻害剤を含有する。
【発明の効果】
【０００６】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有する。ここで、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤である。したがって、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤が皮膚の性質に合わず、皮膚の老化防止効果を十分に実感できなかった人であっても、効果を得ることが期待できる。なお、本発明の形態に関しては特に限定されるものではなく、そのまま、または種々の成分を加えて、化粧品類、飲食品類または医薬品類として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述の実施形態の記載により限定されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【０００８】
本発明で用いられる麹菌としては、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ａｗａｍｏｒｉ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ｏｒｙｚａｅ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ
ｋａｗａｃｈｉｉ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ｓａｉｔｏｉ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ｇｌａｕｃｕｓなどが挙げられる。
【０００９】
本発明で用いられる麹菌としては、特段の制限はなく、得られる発酵物の風味の良さなどから、好ましくはＡｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ａｗａｍｏｒｉが用いられる。
【００１０】
本発明で用いられる大豆の品種としては、特段の制限はなく、フクユタカ、タチナガハ、ミヤギシロメ、エンレイ、リュウホウ、スズユタカ、タマホマレ、トヨコマチ、おおすず、トヨムスメなどが挙げられる。
【００１１】
本発明で用いられる大豆としては、特段の制限はなく、前述の大豆品種を１種単独または２種以上を混合して使用することができる。
【００１２】
本発明で用いられる大豆胚芽としては、特段の制限はなく、前述の大豆から常法により得られる大豆胚芽が用いられる。
【００１３】
本発明において大豆胚芽を発酵するにあたっては、特段の制限はなく、洗浄、乾燥、粉砕、蒸煮、加熱、冷却、加水、ｐＨ調製、殺菌など、常法の発酵において行われる工程を行うことができる。
【００１４】
本発明の大豆胚芽発酵物の発酵条件としては、好気条件、嫌気条件が選ばれ得る。
【００１５】
本発明の大豆胚芽発酵物の発酵時間としては、特段の制限はないが、得られる発酵物の風味の良さから２４〜７２時間、特に３６〜６０時間発酵に供されることが好ましい。
【００１６】
本発明で用いられる発酵の方法としては、特段の制限はなく、常法によるものであれば良い。
【００１７】
本発明で用いられる大豆胚芽発酵物の製造方法としては、特段の制限はなく、例えば特許第３０１４１４５号に開示される製造方法が挙げられる。
【００１８】
本発明の「コラゲナーゼ活性阻害剤」とは、コラゲナーゼの活性を阻害し、コラーゲンの分解を抑制する成分を示す。この成分としては、例えば、植物発酵物、植物抽出物、動物抽出物、化合物などが挙げられる。
【００１９】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、そのまま、または種々の成分を加えて、化粧品類、飲食品類または医薬品類として用いることができる。
【００２０】
前述の化粧品類としては、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの種々の形態に加工して提供することができる。また、化粧品、医薬品、医薬部外品などとして利用することができる。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、育毛剤、水性軟膏、スプレーなどとして利用することができる。
【００２１】
前述の飲食品類としては、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤をそのまま、または種々の栄養成分を加えて、食用に適した形態、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状などに成形して食品素材として提供することができる。また、水、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、青汁、ヨーグルトなどに添加して使用してもよい。
【００２２】
前述の医薬品類としては、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状などに成形して医薬品として提供することができる。
【００２３】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤に含まれる大豆胚芽発酵物の配合量としては、乾燥重量として０．００００１〜５０質量％が好ましく、０．００１〜２０質量％がさらに好ましく、０．０１〜１０質量がもっとも好ましいが、用いる剤型、使用対象などの様々の条件に応じて、広範囲でその配合量を適宜設定できる。
【００２４】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、大豆胚芽発酵物の他に、次の成分を更に含有してもよい。例えば、松樹皮抽出物、ジャガイモ抽出物、葛花抽出物、チャ抽出物、チャの花抽出物、大豆抽出物、キャベツ粉末、タマネギ粉末、タマネギ発酵物、ゴマ種子抽出物、リグナン類、青汁素材（大麦若葉、甘藷若葉、アシタバ、ヨモギ、ケールなどの緑葉）などを含有しても良い。
【実施例】
【００２５】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、後述の実施例に限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【００２６】
（大豆胚芽発酵物の製造）
後述のように、大豆の胚芽を調製して麹菌により発酵させ、大豆胚芽発酵物を製造した。
【００２７】
即ち、大豆胚芽に対し、水および酢酸を添加し、１００℃で１５０分間蒸煮した。その後、大豆胚芽を３０℃に保ち３時間放冷を行った。冷却後、麹菌Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ａｗａｍｏｒｉを播種し、大豆胚芽に対して３５℃で４８時間製麹を行った。その後７０℃で９０分乾燥を行い、蒸気殺菌して、大豆胚芽発酵物を得た。
【００２８】
（実施例１：コラゲナーゼ活性阻害の測定）
コラゲナーゼ活性阻害を測定するため、後述のように試験を行った。すなわち、コラゲナーゼ、蛍光基質および大豆胚芽発酵物を含む溶液（被験溶液）と、コラゲナーゼおよび蛍光基質を含み大豆胚芽発酵物を含まない溶液（対照溶液）とをそれぞれインキュベートし、コラゲナーゼの作用によって分解した蛍光基質の量を測定して比較した。
【００２９】
（サンプル溶液、酵素溶液および蛍光基質溶液の調製）
Ｄｕｌｂｅｃｃｏ’ｓ Ｐｈｏｓｐｈａｔｅ ｂｕｆｆｅｒｅｄ ｓａｌｉｎｅ（以下、Ｄ−ＰＢＳと略す）（−）（Ｔａｋａｒａ製）を用いて大豆胚芽発酵物を調製し、サンプル溶液とした。また、コラゲナーゼＢ（ロッシュ製：Ｃａｔ Ｎｏ．１０８８ ８０７）を０．１％ウシ血清アルブミン（以下、ＢＳＡと略す）含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を用いて１０μｇ／ｍＬとなるように調製し、酵素溶液とした。さらに、ＤＭＳＯで溶解した蛍光基質（ペプチド研究所製）を０．１％ＢＳＡ含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を用いて５μＭとなるように調製し、蛍光基質溶液とした。
【００３０】
（被験溶液の調製および蛍光強度測定）
被験溶液の調製は次のように行った。９６ウェルブラックプレートにサンプル溶液を５０μＬ／ｗｅｌｌで添加した。その後、酵素溶液を１００μＬ／ｗｅｌｌで添加し、３７℃で１０分間インキュベートを行った。さらに、蛍光基質溶液を５０μＬ／ｗｅｌｌで添加し、３７℃で６０分間インキュベートしたものを被験溶液とし、３２０ｎｍで励起し、４０５ｎｍにおける蛍光強度を測定した。
【００３１】
（被験溶液ｂｌａｎｋの調製および蛍光強度測定）
被験溶液ｂｌａｎｋは、酵素溶液の代わりに０．１％ＢＳＡ含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を１００μＬ／ｗｅｌｌで添加した以外は、被験溶液と同様の操作を行って調製し、蛍光強度を測定した。
【００３２】
（対照溶液の調製および蛍光強度測定）
対照溶液は、サンプル溶液の代わりにＤ−ＰＢＳ（−）を５０μＬ／ｗｅｌｌで添加した以外は、被験溶液と同様の操作を行って調製し、蛍光強度を測定した。
【００３３】
（対照溶液ｂｌａｎｋの調製および蛍光強度測定）
対照溶液ｂｌａｎｋは、酵素溶液の代わりに０．１％ＢＳＡ含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を１００μＬ／ｗｅｌｌで添加した以外は、対照溶液と同様の操作を行って調製し、蛍光強度を測定した。
【００３４】
（コラゲナーゼ活性の阻害率の算出）
コラゲナーゼ活性阻害の測定は次の式から求められる阻害率で表した。
阻害率（％）＝１００−［（Ａ−Ｂ）／（Ｃ−Ｄ）］× １００
Ａ：被験溶液の蛍光強度。
Ｂ：被験溶液ｂｌａｎｋの蛍光強度。
Ｃ：対照溶液の蛍光強度。
Ｄ：対照溶液ｂｌａｎｋの蛍光強度。
【００３５】
コラゲナーゼ活性の阻害率の結果を表１に示す。
【００３６】
【表１】
【００３７】
表１に示す通り、大豆胚芽発酵物は、コラゲナーゼ活性阻害作用を有することが明らかとなった。よって、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は、コラゲナーゼ活性阻害剤として優れた効果を有することが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【００３８】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤である。したがって、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤が皮膚の性質に合わず、皮膚の老化防止効果を十分に実感できなかった人であっても、効果を得ることが期待できる。本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、化粧品類、飲食品類または医薬品類に利用することができる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とするコラゲナーゼ活性阻害剤およびそのコラゲナーゼ活性阻害剤を含有する化粧品に関する。
【背景技術】
【０００２】
コラーゲンは皮膚の主成分であり、弾力性のある繊維状のタンパク質である。このコラーゲンの産生量が正常ならば、しみやくすみのない滑らかな肌となり、弾力のある血管が形成され動脈硬化などが起こりにくくなる。しかしながら、コラーゲンは、体内でコラゲナーゼの作用により分解されてしまう。よって、コラーゲンの分解を抑制するために、コラゲナーゼ活性阻害剤となり得る種々の物質が研究されている。コラゲナーゼ活性阻害剤としては、例えば、コーヒー酸またはその塩（特許文献１）、グアバの葉、西河柳、菱実（特許文献２）、ハマメリス抽出物（特許文献３）、コケモモ、シラカバ、ハマスゲ、ボダイジュ、緑茶（特許文献４）、シモツケソウ、ヤドリギ、ホホバ葉、蓮葉、レッドクローバー（特許文献５）、松樹皮抽出物（特許文献６）、カムカム種子の抽出物（特許文献７）、アセロラ種子の抽出物（特許文献８）などが知られている。また、これらのコラゲナーゼ活性阻害剤を配合した化粧品なども種々販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開平５−１１７１４５号公報
【特許文献２】特開平７−２９１８７３号公報
【特許文献３】特開平８−２８３１３３号公報
【特許文献４】特開２００３−１２５３１号公報
【特許文献５】特開２００３−４８８４６号公報
【特許文献６】特開２００３−２３８４２６号公報
【特許文献７】特許第３６３５０８１号公報
【特許文献８】特開２００７−３１４５５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前述のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、コラーゲンの分解が抑制され皮膚の老化が防止されると期待できるが、皮膚の性質には個人差があるため、人によっては従来のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いても必ずしも十分な効果を得られないという問題点があった。本発明は、この問題点を解決するためになされたものであり、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１記載のコラゲナーゼ活性阻害剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする、コラゲナーゼ活性阻害剤に関する。また、請求項２記載の化粧品は、請求項１記載のコラゲナーゼ活性阻害剤を含有する。
【発明の効果】
【０００６】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有する。ここで、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤である。したがって、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤が皮膚の性質に合わず、皮膚の老化防止効果を十分に実感できなかった人であっても、効果を得ることが期待できる。なお、本発明の形態に関しては特に限定されるものではなく、そのまま、または種々の成分を加えて、化粧品類、飲食品類または医薬品類として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述の実施形態の記載により限定されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【０００８】
本発明で用いられる麹菌としては、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ａｗａｍｏｒｉ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ｏｒｙｚａｅ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ
ｋａｗａｃｈｉｉ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ｓａｉｔｏｉ、Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ｇｌａｕｃｕｓなどが挙げられる。
【０００９】
本発明で用いられる麹菌としては、特段の制限はなく、得られる発酵物の風味の良さなどから、好ましくはＡｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ａｗａｍｏｒｉが用いられる。
【００１０】
本発明で用いられる大豆の品種としては、特段の制限はなく、フクユタカ、タチナガハ、ミヤギシロメ、エンレイ、リュウホウ、スズユタカ、タマホマレ、トヨコマチ、おおすず、トヨムスメなどが挙げられる。
【００１１】
本発明で用いられる大豆としては、特段の制限はなく、前述の大豆品種を１種単独または２種以上を混合して使用することができる。
【００１２】
本発明で用いられる大豆胚芽としては、特段の制限はなく、前述の大豆から常法により得られる大豆胚芽が用いられる。
【００１３】
本発明において大豆胚芽を発酵するにあたっては、特段の制限はなく、洗浄、乾燥、粉砕、蒸煮、加熱、冷却、加水、ｐＨ調製、殺菌など、常法の発酵において行われる工程を行うことができる。
【００１４】
本発明の大豆胚芽発酵物の発酵条件としては、好気条件、嫌気条件が選ばれ得る。
【００１５】
本発明の大豆胚芽発酵物の発酵時間としては、特段の制限はないが、得られる発酵物の風味の良さから２４〜７２時間、特に３６〜６０時間発酵に供されることが好ましい。
【００１６】
本発明で用いられる発酵の方法としては、特段の制限はなく、常法によるものであれば良い。
【００１７】
本発明で用いられる大豆胚芽発酵物の製造方法としては、特段の制限はなく、例えば特許第３０１４１４５号に開示される製造方法が挙げられる。
【００１８】
本発明の「コラゲナーゼ活性阻害剤」とは、コラゲナーゼの活性を阻害し、コラーゲンの分解を抑制する成分を示す。この成分としては、例えば、植物発酵物、植物抽出物、動物抽出物、化合物などが挙げられる。
【００１９】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、そのまま、または種々の成分を加えて、化粧品類、飲食品類または医薬品類として用いることができる。
【００２０】
前述の化粧品類としては、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの種々の形態に加工して提供することができる。また、化粧品、医薬品、医薬部外品などとして利用することができる。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、育毛剤、水性軟膏、スプレーなどとして利用することができる。
【００２１】
前述の飲食品類としては、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤をそのまま、または種々の栄養成分を加えて、食用に適した形態、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状などに成形して食品素材として提供することができる。また、水、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、青汁、ヨーグルトなどに添加して使用してもよい。
【００２２】
前述の医薬品類としては、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状などに成形して医薬品として提供することができる。
【００２３】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤に含まれる大豆胚芽発酵物の配合量としては、乾燥重量として０．００００１〜５０質量％が好ましく、０．００１〜２０質量％がさらに好ましく、０．０１〜１０質量がもっとも好ましいが、用いる剤型、使用対象などの様々の条件に応じて、広範囲でその配合量を適宜設定できる。
【００２４】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、大豆胚芽発酵物の他に、次の成分を更に含有してもよい。例えば、松樹皮抽出物、ジャガイモ抽出物、葛花抽出物、チャ抽出物、チャの花抽出物、大豆抽出物、キャベツ粉末、タマネギ粉末、タマネギ発酵物、ゴマ種子抽出物、リグナン類、青汁素材（大麦若葉、甘藷若葉、アシタバ、ヨモギ、ケールなどの緑葉）などを含有しても良い。
【実施例】
【００２５】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、後述の実施例に限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【００２６】
（大豆胚芽発酵物の製造）
後述のように、大豆の胚芽を調製して麹菌により発酵させ、大豆胚芽発酵物を製造した。
【００２７】
即ち、大豆胚芽に対し、水および酢酸を添加し、１００℃で１５０分間蒸煮した。その後、大豆胚芽を３０℃に保ち３時間放冷を行った。冷却後、麹菌Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ ａｗａｍｏｒｉを播種し、大豆胚芽に対して３５℃で４８時間製麹を行った。その後７０℃で９０分乾燥を行い、蒸気殺菌して、大豆胚芽発酵物を得た。
【００２８】
（実施例１：コラゲナーゼ活性阻害の測定）
コラゲナーゼ活性阻害を測定するため、後述のように試験を行った。すなわち、コラゲナーゼ、蛍光基質および大豆胚芽発酵物を含む溶液（被験溶液）と、コラゲナーゼおよび蛍光基質を含み大豆胚芽発酵物を含まない溶液（対照溶液）とをそれぞれインキュベートし、コラゲナーゼの作用によって分解した蛍光基質の量を測定して比較した。
【００２９】
（サンプル溶液、酵素溶液および蛍光基質溶液の調製）
Ｄｕｌｂｅｃｃｏ’ｓ Ｐｈｏｓｐｈａｔｅ ｂｕｆｆｅｒｅｄ ｓａｌｉｎｅ（以下、Ｄ−ＰＢＳと略す）（−）（Ｔａｋａｒａ製）を用いて大豆胚芽発酵物を調製し、サンプル溶液とした。また、コラゲナーゼＢ（ロッシュ製：Ｃａｔ Ｎｏ．１０８８ ８０７）を０．１％ウシ血清アルブミン（以下、ＢＳＡと略す）含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を用いて１０μｇ／ｍＬとなるように調製し、酵素溶液とした。さらに、ＤＭＳＯで溶解した蛍光基質（ペプチド研究所製）を０．１％ＢＳＡ含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を用いて５μＭとなるように調製し、蛍光基質溶液とした。
【００３０】
（被験溶液の調製および蛍光強度測定）
被験溶液の調製は次のように行った。９６ウェルブラックプレートにサンプル溶液を５０μＬ／ｗｅｌｌで添加した。その後、酵素溶液を１００μＬ／ｗｅｌｌで添加し、３７℃で１０分間インキュベートを行った。さらに、蛍光基質溶液を５０μＬ／ｗｅｌｌで添加し、３７℃で６０分間インキュベートしたものを被験溶液とし、３２０ｎｍで励起し、４０５ｎｍにおける蛍光強度を測定した。
【００３１】
（被験溶液ｂｌａｎｋの調製および蛍光強度測定）
被験溶液ｂｌａｎｋは、酵素溶液の代わりに０．１％ＢＳＡ含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を１００μＬ／ｗｅｌｌで添加した以外は、被験溶液と同様の操作を行って調製し、蛍光強度を測定した。
【００３２】
（対照溶液の調製および蛍光強度測定）
対照溶液は、サンプル溶液の代わりにＤ−ＰＢＳ（−）を５０μＬ／ｗｅｌｌで添加した以外は、被験溶液と同様の操作を行って調製し、蛍光強度を測定した。
【００３３】
（対照溶液ｂｌａｎｋの調製および蛍光強度測定）
対照溶液ｂｌａｎｋは、酵素溶液の代わりに０．１％ＢＳＡ含有Ｄ−ＰＢＳ（−）を１００μＬ／ｗｅｌｌで添加した以外は、対照溶液と同様の操作を行って調製し、蛍光強度を測定した。
【００３４】
（コラゲナーゼ活性の阻害率の算出）
コラゲナーゼ活性阻害の測定は次の式から求められる阻害率で表した。
阻害率（％）＝１００−［（Ａ−Ｂ）／（Ｃ−Ｄ）］× １００
Ａ：被験溶液の蛍光強度。
Ｂ：被験溶液ｂｌａｎｋの蛍光強度。
Ｃ：対照溶液の蛍光強度。
Ｄ：対照溶液ｂｌａｎｋの蛍光強度。
【００３５】
コラゲナーゼ活性の阻害率の結果を表１に示す。
【００３６】
【表１】
【００３７】
表１に示す通り、大豆胚芽発酵物は、コラゲナーゼ活性阻害作用を有することが明らかとなった。よって、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は、コラゲナーゼ活性阻害剤として優れた効果を有することが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【００３８】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤とは成分が異なる、新規のコラゲナーゼ活性阻害剤である。したがって、本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤を用いることにより、従来のコラゲナーゼ活性阻害剤が皮膚の性質に合わず、皮膚の老化防止効果を十分に実感できなかった人であっても、効果を得ることが期待できる。本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤は、化粧品類、飲食品類または医薬品類に利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする、コラゲナーゼ活性阻害剤。
【請求項２】
請求項１に記載のコラゲナーゼ活性阻害剤を含有することを特徴とする、化粧品。
【請求項１】
麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする、コラゲナーゼ活性阻害剤。
【請求項２】
請求項１に記載のコラゲナーゼ活性阻害剤を含有することを特徴とする、化粧品。
【公開番号】特開２０１２−１２３６６（Ｐ２０１２−１２３６６Ａ）
【公開日】平成２４年１月１９日（２０１２．１．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１５２９３１（Ｐ２０１０−１５２９３１）
【出願日】平成２２年７月５日（２０１０．７．５）
【出願人】（３９８０２８５０３）株式会社東洋新薬 (182)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１月１９日（２０１２．１．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年７月５日（２０１０．７．５）
【出願人】（３９８０２８５０３）株式会社東洋新薬 (182)
【Ｆターム（参考）】
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