説明

コンクリート埋設物支持用バー材

【課題】コンクリート埋設物から突出したバー材本体の両端側の長さが略同一となるようにバー材本体をコンクリート埋設物に容易に取り付けることができるコンクリート埋設物支持用バー材を提供する。
【解決手段】バー材Bは金属棒によって手により三次元方向に折り曲げ可能に形成され、一部に係合段部11cがプレス成形されている。そして、配線用ボックス13のバー材挿通孔20にバー材Bを挿通することにより、係合段部11cが上側壁15の外面に係合する。その結果、配線用ボックス13の上下各側壁15から突出するバー材Bの両端部の突出長さは略同一となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内のコンクリート壁内に配線用ボックスを埋設するために、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に配線用ボックスを支持するためのコンクリート埋設物支持用バー材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物内のコンクリート壁面にコンセント等の配線器具を取り付けるために、コンクリート壁内にはコンクリート埋設物としての配線用ボックスが設置されている。この配線用ボックスは、前面に開口を有する有底四角箱状に形成され、バー材によりコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に支持されている。
【0003】
前記バー材は断面円形状をなす金属棒製のバー材本体より形成され、手により三次元方向に自在に曲げ変形可能であるとともに、所要の突っ張り強度を有している。そして、バー材を配線用ボックスに取り付け、そのバー材の両端側をそれぞれ鉄筋側へ折り曲げ、同鉄筋に固定することにより、配線用ボックスを鉄筋に対して所望する位置に支持することができる。
【0004】
配線用ボックスをバー材により鉄筋に支持させるとき、バー材の各端部と鉄筋とをバインド線で結束してバー材が鉄筋に固定される。このとき、配線用ボックスからのバー材の両端部の突出長さが異なっていると、前記バインド線による結束作業が行いにくくなる。そのため、バー材のほぼ中央部に配線用ボックスが位置し、配線用ボックスからのバー材の突出長さが略同一となるように、バー材の配線用ボックスに対する取付位置が調整される。
【0005】
なお、バー材の両端側の配線用ボックスからの突出長さが略同一となるようにバー材を配線用ボックスに取り付けるには種々の方法が提案されている。第1の方法は、配線用ボックスとは別体の板材に対して一対のバー材の中央部を溶接又はかしめ固定して形成された取付体を、当該配線用ボックスの底壁の裏面の中央部に固定するものである。
【0006】
第2の方法は、配線用ボックスの周壁を切り起こして形成された一対の突片間にバー材を挿通し、バー材の両端側の配線用ボックスからの突出長さが略同一となるように調整した後、前記突片をかしめて配線用ボックスにバー材を取り付けるものである。第3の方法は、配線用ボックスの側壁に形成された凹部にバー材を嵌め込み、バー材の両端側の配線用ボックスからの突出長さが略同一となるように調整する。その後、そのバー材を固定ビスの頭部と側壁とで挟持するように同固定ビスを側壁にねじ込んで取り付けるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来構成において、第1〜第3のいずれの方法においても、バー材の両端側の配線用ボックスからの突出長さが略同一となるように、板材又は配線用ボックスに対するバー材の位置を調整しなくてはならない。その結果、施工現場において配線用ボックスに対してバー材を取り付ける作業が非常に面倒であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、コンクリート埋設物から突出したバー材本体の両端側の長さが略同一となるようにバー材本体をコンクリート埋設物に容易に取り付けることができるコンクリート埋設物支持用バー材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、三次元方向に折り曲げ可能に形成されたバー材本体よりなり、同バー材本体がコンクリート埋設物に形成されたバー材挿通孔に挿通された状態で、当該コンクリート埋設物から突出したバー材本体の両端側がコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定されることによりコンクリート埋設物を前記鉄筋に支持させるとともに、バー材本体の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成用のために立設された型枠に対してコンクリート埋設物を押圧させるコンクリート埋設物支持用バー材であって、前記バー材本体が軸方向への移動によりバー材挿通孔に挿通された状態で、コンクリート埋設物から突出するバー材本体の両端側の突出長さが略同一となる位置にバー材本体を取り付けるべく前記バー材挿通孔の開口周縁部に係合する係合突部をバー材本体の一端側に形成したことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリート埋設物支持用バー材において、前記係合突部をプレス成形により形成したことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコンクリート埋設物支持用バー材において、前記係合突部はバー材本体を厚み方向へプレス成形し、そのプレス成形された部分にバー材本体の長さ方向に対して交差する方向へ延びる段差部に形成された係合段部であることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコンクリート埋設物支持用バー材において、前記係合段部はバー材本体の長さ方向に対して交差する方向へ連続して延び、両側部がバー材本体の外周面より外方へ突出していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、コンクリート埋設物から突出したバー材本体の両端側の長さが略同一となるようにバー材本体をコンクリート埋設物に容易に取り付けることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、係合突部をバー材本体に容易に形成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、係合段部をバー材本体に容易に形成することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、係合段部のバー材挿通孔の開口周縁部に対する係合面積を広く取って確実に係合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化したコンクリート埋設物支持用バー材及び同コンクリート埋設物支持用バー材を備えたコンクリート埋設物装置の一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0016】
図1に示すように、コンクリート埋設物装置10は、三次元方向に折り曲げ可能なコンクリート埋設物支持用バー材Bと、前記コンクリート埋設物支持用バー材Bを挿通可能なコンクリート埋設物としての配線用ボックス13とよりなるものである。
【0017】
前記コンクリート埋設物支持用バー材B(以下、単にバー材Bと記載する)は前記配線用ボックス13をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋12に支持するものである。バー材Bは断面略円形状の金属棒よりなるバー材本体11より形成され、手により三次元方向に折り曲げ可能に形成されている。
【0018】
図2に示すように、バー材本体11の一端側にはバー材本体11を厚み方向へプレス成形することによりほぼ円盤状に押し潰されて形成された平板部11aが形成されている。この平板部11aは前記プレス成形により押し潰されるため、バー材本体11の長さ方向に沿った側縁部がバー材本体11の断面円形部の外周面より外方へ突出するように形成されている。そして、平板部11aにおけるバー材本体11の長さ方向に沿った両側縁部には、バー材本体11の外周面より外方へ突出した係合突片11bが形成されている。
【0019】
さらに、前記平板部11aには、バー材本体11の長さ方向に対して交差する、具体的には直交する方向へ連続して延びる段差部が前記プレス成形により形成され、各段差部に係合段部11cが係合突部として形成されている。前記係合段部11cは、平板部11aにおけるバー材本体11の一端側に形成されている。また、係合段部11cの延びる方向における両側部は、バー材本体11の断面円形部分における外周面より外方へ突出している。
【0020】
次に、前記配線用ボックス13について説明すると、図1に示すように、金属製の配線用ボックス13は底壁14とその底壁14の周縁に立設された側壁15とより、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたボックス本体16よりなるものである。上下両側壁15におけるボックス本体16の開口端にはそれぞれ配線器具、配線器具保持枠又はボックスカバー(いずれも図示せず)を取り付けるための取付孔17が設けられている。また、各側壁15にはそれぞれ配線、配管を挿通可能とするノック18が2箇所ずつ形成されている。
【0021】
ボックス本体16の上下各側壁15の両側部には、それぞれ上下に相対向し、前記バー材Bを挿通可能とするバー材挿通孔20が上下各側壁15を貫通して形成されている。図3(a)に示すように、各バー材挿通孔20には、バー材本体11の断面円形部分を挿通可能とする円形部20cが形成されている。また、バー材挿通孔20には、前記円形部20cから同円形部20cの直径の延長線に沿って外方へ延びる一対の係合溝20dが形成されている。各係合溝20dには、前記円形部20c内へバー材本体11の断面円形部分が挿通された状態で前記係合突片11bが挿入可能に形成されている。
【0022】
そして、係合突片11bが係合溝20dに挿入されたとき、図3(b)に示すように、前記係合段部11cはバー材挿通孔20の開口周縁部としての上側壁15の外面に係合する。この係合状態において、バー材Bの一端側及び他端側はそれぞれ上下各側壁15から配線用ボックス13の外方へ突出し、その両端側の突出長さが略同一となるように平板部11a及び係合段部11cの位置が設定されている。
【0023】
そして、バー材Bをバー材挿通孔20に挿通し、係合段部11cが上側壁15の外面に係合することにより、バー材Bが配線用ボックス13に取り付けられ、コンクリート埋設物装置10が構成される。前記コンクリート埋設物装置10において、係合段部11cが前記バー材挿通孔20の開口周縁部に係合して配線用ボックス13から突出するバー材本体11、即ちバー材Bの両端側の突出長さが略同一となる状態でバー材Bが配線用ボックス13に取り付けられている。
【0024】
また、図1に示すように、配線用ボックス13から突出するバー材Bの両端部がそれぞれコンクリート構築物としてのコンクリート壁の支骨をなす鉄筋12にバインド線25等により結束、固定されることにより、バー材Bが鉄筋12に架設されるようになっている。そして、鉄筋12に対するバー材Bの架設により、コンクリート埋設物装置10によって鉄筋12に対して配線用ボックス13を支持させることができる。
【0025】
さらに、鉄筋12に対する配線用ボックス13の支持状態において、コンクリート壁形成用の型枠23を配線用ボックス13の開口側端面に押し当てるようにして立設すると、バー材Bの突っ張り強度により配線用ボックス13が型枠23面に対して押圧されるように構成されている。
【0026】
次に、上記構成のコンクリート埋設物装置10及びコンクリート埋設物支持用バー材Bの使用方法を作用とともに説明する。
まず、一対のバー材Bをそれぞれ配線用ボックス13の上方から他端側をバー材挿通孔20の円形部20c内へ挿通すると、図3(a)に示すように、係合突片11bが係合溝20d内にそれぞれ挿入される。すると、その挿入状態で一対の係合溝20d内において、各係合溝20d内面と対応する係合突片11bとの係合によりバー材Bの周方向への回転が防止される。
【0027】
さらに、図3(b)に示すように、係合段部11cの下面が係合溝20dの開口の外周縁部に係合する。このとき、図3(a)に破線に示すように、係合段部11cはバー材本体11の断面円形部分の外周面より外方へ突出した位置にまで延びるように形成されているため、円形部20cより外方へ離れた上側壁15の外面に係合する。
【0028】
係合段部11cの上側壁15の外面に対する係合によりコンクリート埋設物装置10が形成されるとともに、バー材Bのバー材挿通孔20内への入り込みが規制される。即ち、配線用ボックス13の所定位置にバー材Bが位置決めされた状態で取り付けられてバー材Bが配線用ボックス13から抜け落ちる不具合が防止される。
【0029】
図4に示すように、一方の係合段部11cが上側壁15の外面に係合した状態において、バー材Bの一端側及び他端側はそれぞれ上下各側壁15からボックス本体16の外方へ突出し、その両突出長さが略同一となる。そのため、バー材Bの両端側の突出長さを調整することなくバー材Bの長さ方向の中央部に配線用ボックス13が位置される。
【0030】
続いて、図1に示すように、バー材Bの両端部をそれぞれ上下各側壁15から突出する位置から鉄筋12方向へ折り曲げ、バー材Bの両端部を鉄筋12に沿ってバインド線25で結束する。その結果、鉄筋12に対して配線用ボックス13が支持される。このとき、バー材Bは配線用ボックス13から抜け落ちないため、バー材Bを鉄筋12に固定する作業が容易に行われる。
【0031】
さて、配線用ボックス13が鉄筋12に支持された状態において、図4に示すように、配線用ボックス13を挟むように一対の型枠23を立設し、一方の型枠23を配線用ボックス13の開口側端面に当接させ、さらに、その型枠23により配線用ボックス13を鉄筋12方向へ押圧する。
【0032】
このとき、バー材Bの弾性力により配線用ボックス13が鉄筋12方向へ押圧され、型枠23に対して配線用ボックス13の開口側端面が密接される。続いて、一対の型枠23間にコンクリートを打設する。このとき、配線用ボックス13の開口側端面は型枠23に密接しているため、その開口からコンクリートが配線用ボックス13内に侵入する不具合が防止される。そして、コンクリート硬化後、型枠23を除去することによりコンクリート壁が構築されるとともに、コンクリート埋設物装置10によりそのコンクリート壁内に配線用ボックス13が埋設される。
【0033】
上記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1) 係合段部11cが上側壁15の外面に係合することにより、バー材Bの両端側の配線用ボックス13からの突出長さが略同一となるようにバー材Bを配線用ボックス13に取り付けることができる。そのため、バー材Bの配線用ボックス13からの各突出長さを調整する作業を省略することができ、バー材Bを配線用ボックス13に取り付ける作業を容易に行うことができる。また、配線用ボックス13からのバー材Bの両端側の突出長さが略同一となるため、バー材Bの両端部を鉄筋12に取り付ける作業を容易に行うことができる。加えて、配線用ボックス13はバー材Bのほぼ中央部に支持されるため、配線用ボックス13を傾くことなく鉄筋12に支持させることができる。
【0034】
(2) 係合段部11cの上側壁15外面への係合によりバー材Bのバー材挿通孔20内への一定以上の入り込みを防止することができる。そのため、バー材Bがバー材挿通孔20内に入り込んでしまい、バー材Bの両端側を配線用ボックス13から突出させる作業を行う必要をなくすことができる。
【0035】
(3) バー材Bをバー材挿通孔20に挿通することにより、係合段部11cが上側壁15の外面に係合し、バー材Bがバー材挿通孔20を通り抜けて配線用ボックス13から抜け落ちることを防止することができる。そのため、バー材Bを配線用ボックス13からの抜け落ちを防止した状態に取り付けるために、複数の煩雑な作業工程を必要とする場合と異なり、バー材Bを配線用ボックス13に容易に取り付けることができる。
【0036】
(4) 係合突片11bが係合溝20dに係合することによりバー材挿通孔20内でのバー材Bの周方向に沿った回転を防止することができる。その結果、型枠23設置の際の配線用ボックス13に対する押圧や、コンクリート打設圧に伴うバー材Bの回転による配線用ボックス13の傾きや位置ずれを防止することができる。
【0037】
(5) 平板部11a及び係合段部11cはバー材本体11をプレス成形することにより予め形成されている。そのため、バー材本体11に平板部11a及び係合段部11cを別部材で形成する場合と異なり、バー材Bを配線用ボックス13に取り付ける作業の簡易化を図ることができる。
【0038】
(6) 係合段部11cはバー材本体11をプレス成形して形成されるため、バー材Bの両端側の配線用ボックス13からの突出長さを略同一とする手段を備えたバー材Bを容易に形成することができる。
【0039】
(7) 係合段部11cは円形部20cより離れた位置に係合する。また、係合段部11cはバー材本体11の断面円形部分の外周面より外方へ突出しているため、係合段部11cが上側壁15の外面に係合する面積を広くとることができ、係合段部11cが円形部20c及び係合溝20dを通過してしまうおそれをなくすことができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態では、コンクリート埋設物を配線用ボックス13に具体化したが、コンクリート埋設物としての配線用ボックス13に取り付けられるボックスカバーに具体化してもよい。また、コンクリート埋設物を、コンクリート壁等のコンクリート構築物の外面にボルト螺挿用の孔を形成する孔形成部材(インサート)に具体化してもよい。又はコンクリート埋設物をコンクリート壁等のコンクリート構築物内に配設された保護管の開口端部を保護し、前記コンクリート構築物の外面に保護管内と連通する開口を形成する開口形成部材(エンドカバー)に具体化してもよい。
【0041】
・ 実施形態では、バー材本体11を押し潰して平板部11aを形成し、その平板部11aに係合段部11cを形成したが、以下のように変更してもよい。即ち、バー材本体11を押し潰すことなく折り曲げ、その折り曲げにより形成された段差部に係合段部11cを形成してもよい。このとき、係合段部11cの外端部がバー材本体11の断面円形部分の外周面より外方へ突出しない。
【0042】
・ バー材Bをプレス成形して係合段部11cを形成したがプレス成形せず係合段部11cを形成してもよい。例えば、金属材料をバー材本体11の外周面に溶接等により取り付け、その金属材料により係合突部を形成してもよい。このとき、係合突部の外端部がバー材本体11の断面円形部分の外周面より外方へ突出していてもよく、突出していなくてもよい。又はバー材B成形用の金型を係合段部11cを形成可能に形成し、バー材Bの成形と同時に係合段部11cを成形してもよい。
【0043】
・ 実施形態では、バー材本体11に平板部11aを形成し、その平板部11aに係合突片11b及び係合段部11cを形成したが、平板部11a及び係合突片11bを省略してバー材本体11に係合段部11cのみを形成してもよい。
【0044】
・ 実施形態では、バー材挿通孔20を2箇所に形成し、2本のバー材Bにより配線用ボックス13を支持させたが、バー材挿通孔20を3箇所以上形成し、3本以上のバー材Bにより配線用ボックス13を支持させてもよい。
【0045】
・ 実施形態では、バー材Bの他端側を配線用ボックス13の上方からバー材挿通孔20内へ挿通させ、係合段部11cの下面を上側壁15の外面に係合させたが、以下のように変更してもよい。即ち、バー材Bの他端側を配線用ボックス13の下方からバー材挿通孔20内に挿通させ、下側壁15の外面に他方の係合段部11cの上面を係合させてもよい。このように構成した場合、バー材Bが鉄筋12に固定されたとき、配線用ボックス13の下方への移動を防止することができる。
【0046】
・ 実施形態では、断面円形状をなすバー材本体11を使用したが、断面四角形状、断面三角形状等のバー材本体11を使用してもよい。
・ 実施形態では、コンクリート構築物としてコンクリート壁に配線用ボックス13を埋設したが、コンクリート構築物としてコンクリート柱、コンクリート床等に配線用ボックス13等のコンクリート埋設物を埋設してもよい。
【0047】
・ 実施形態では、配線用ボックス13を金属材料により形成したが、配線用ボックス13を合成樹脂材料により形成してもよい。
・ 実施形態では、上側壁15の外面に係合段部11cが係合したが、以下のように変更してもよい。例えば、上下各側壁15の両側部をそれぞれ裏面側へ凹設して凹部を形成し、その凹部の内底面に前記バー材挿通孔20、円形部20c及び係合溝20dを形成する。そして、バー材Bをバー材挿通孔20に挿通したとき、平板部11a全体が前記凹部内に挿入され、その凹部の内底面における係合溝20dの開口周縁部に係合段部11cを係合させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態の配線用ボックスを鉄筋に支持した状態を示す斜視図。
【図2】実施形態の係合段部を示す部分斜視図。
【図3】(a)はバー材挿通孔にコンクリート埋設物支持用バー材を挿通した状態を示す部分平断面図、(b)は係合段部と上側壁の外面との係合を示す部分側断面図。
【図4】型枠間に配設された配線用ボックスを示す側断面図。
【符号の説明】
【0049】
B…コンクリート埋設物支持用バー材、10…コンクリート埋設物装置、11…バー材本体、11c…係合突部としての係合段部、12…鉄筋、13…コンクリート埋設物としての配線用ボックス、20…バー材挿通孔、23…型枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元方向に折り曲げ可能に形成されたバー材本体よりなり、同バー材本体がコンクリート埋設物に形成されたバー材挿通孔に挿通された状態で、当該コンクリート埋設物から突出したバー材本体の両端側がコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定されることによりコンクリート埋設物を前記鉄筋に支持させるとともに、バー材本体の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成用のために立設された型枠に対してコンクリート埋設物を押圧させるコンクリート埋設物支持用バー材であって、前記バー材本体が軸方向への移動によりバー材挿通孔に挿通された状態で、コンクリート埋設物から突出するバー材本体の両端側の突出長さが略同一となる位置にバー材本体を取り付けるべく前記バー材挿通孔の開口周縁部に係合する係合突部をバー材本体の一端側に形成したことを特徴とするコンクリート埋設物支持用バー材。
【請求項2】
前記係合突部をプレス成形により形成したことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート埋設物支持用バー材。
【請求項3】
前記係合突部はバー材本体を厚み方向へプレス成形し、そのプレス成形された部分にバー材本体の長さ方向に対して交差する方向へ延びる段差部に形成された係合段部であることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート埋設物支持用バー材。
【請求項4】
前記係合段部はバー材本体の長さ方向に対して交差する方向へ連続して延び、両側部がバー材本体の外周面より外方へ突出していることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート埋設物支持用バー材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−297905(P2007−297905A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74617(P2007−74617)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【分割の表示】特願2002−141684(P2002−141684)の分割
【原出願日】平成14年5月16日(2002.5.16)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】