説明

コンテナ利用の独立電源装置

【課題】コンテナに設けた太陽電池により充電される蓄電装置が、充電不足または過充電とならないように、蓄電装置の性能や品質を保ち、安全かつ長寿命にして使用できるコンテナ利用の独立電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コンテナ1に太陽電池2と蓄電装置3を設け、蓄電装置3の電圧を監視して充電および放電を制御する制御部5は、選択スイッチ6により待機モードが選択された場合に、外部負荷4へ放電を停止して、蓄電装置3の電圧が所定の下限電圧V1より小となったとき、太陽電池2から蓄電装置3へ充電を開始させ、蓄電装置3の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、太陽電池2から蓄電装置3への充電を停止する構成としたことにより、蓄電装置3の充電不足や過充電を防いで長寿命化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの外郭に設けた太陽電池と、この太陽電池から充電される蓄電装置を備えたコンテナ利用の独立電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンテナ利用の独立電源装置は、商用電源の供給が困難な屋外において、コンテナの天面や壁面に太陽電池を取り付け、コンテナ内部に給電可能とするとともに、蓄電装置に蓄電することにより、夜間においても給電が可能となるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
以下そのコンテナ利用の独立電源装置に係わる系統システムについて、図9を用いて説明する。図9に示すように、太陽電池101はコンテナ(図示せず)の天井や壁面等に設置され、逆流防止ダイオード102を経由して蓄電装置103に接続され、太陽電池101で発電した電力を蓄電する。さらに、蓄電装置103はコントローラ106に制御されるスイッチ104を介して、換気扇105に電力を供給する。コントローラ106は、太陽電池101の出力電圧をモニターし、この出力電圧が基準値以上のときは、スイッチ104を閉じて換気扇105を動作させ、出力電圧が基準値以下のときは、スイッチ104を開放して換気扇105を停止させる。
【0004】
また、蓄電装置103はコントローラ110に制御されるスイッチ107を介して、照明装置108に電力を供給する。コントローラ110は、コンテナのドアの開閉を検出するドアセンサ109と接続され、ドアセンサ109がドアの開放を検出すると、コントローラ110がスイッチ107を閉じて照明装置108を点灯させる構成となっていた。
【0005】
また、この種のコンテナ利用の独立電源装置には、インフラ未整備の未開発地域において、コンテナごとに診療所、患者収容所、トイレなどの複数のコンテナを設け、各コンテナに給電給水するエネルギー自給型診療所システムが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
さらに、この種のコンテナ利用の独立電源装置に使用される蓄電装置として、電解液が漏れ出ないよう不織布に硫酸を含ませて保持することにより密閉式にして、ガス抜き用の安全弁を備えた制御弁式鉛蓄電池が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0007】
以下この制御弁式鉛蓄電池について図10を用いて説明する。図10に示すように、制御弁式鉛蓄電池の本体201は、外郭は一方が開放した箱型の電装部202と、この開放部を覆う蓋部203からなる。電装部202には、複数の正極板204、セパレータ205、負極板206が配列して収納され、複数の正極板204と負極板206はそれぞれ異なるストラップ207により連結されている。蓋部203には、正極端子部208、負極端子部209および安全弁210が設けられ、正極端子部208は正極板204を連結するストラップ207と電気的に接続され、同様に、負極端子部209も負極板206と電気的に接続されている。そして、正極端子部208と負極端子部209を通して、本体201に直流電流を充放電できるようになっている。
【0008】
なお、安全弁210は、本体201が過充電や所定温度以上の高温となって、その内部圧力が高まったときに、内部のガスを放出して本体201の安全を保つものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−192378号公報
【特許文献2】特開2003−328574号公報
【特許文献3】特開2005−38810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来例において、特許文献1に示したコントローラは太陽電池の出力電圧またはドアセンサの検出信号に応じて換気扇または照明装置に電力を供給または停止する構成となっていたので、蓄電装置の充電状態に拘らず充放電を繰り返すこととなる。また蓄電装置は高温下で長期間放置されると、自然放電することにより電圧が低下するものであるが、このことに使用者が気付かない場合、所望の放電容量が得られず、不便を生じることがある。このように蓄電装置が充電不足または過充電になる可能性があり、特に蓄電装置を待機状態で管理するときは、蓄電装置を劣化させないように正常状態に保つことが難しいという課題がある。
【0011】
また、特許文献2に示したように、他のコンテナに電源供給するための独立電源は、その蓄電装置が充電不足のときや、高温環境に晒されているときに、不用意に外部負荷がかかると蓄電装置が損傷または劣化するという課題がある。
【0012】
また、特許文献3に示したように、制御弁式鉛蓄電池は過充電や一定の高温に対応できるように安全弁を備えているが、安全弁が作動した場合は、蓄電池に含浸させた電解液がガスとして放出されるため、蓄電池が劣化して寿命が短くなるという課題がある。
【0013】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、コンテナに設けた太陽電池により充電されるコンテナ内の蓄電装置が、充電不足または過充電とならないように、また蓄電装置に不用意に負荷がかからないようにして、さらに安全弁が働く前に蓄電装置を保護できるようにし、蓄電装置の性能や品質を安全かつ長寿命に保つことのできるコンテナ利用の独立電源装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、この目的を達成するために本発明は、コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有する。
【0015】
前記選択スイッチにより待機モードが選択された場合に、前記制御部は前記外部負荷へ放電を停止し、さらに前記蓄電装置の電圧が所定の下限電圧V1より小となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させ、また前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止することを特徴とするコンテナ利用の独立電源装置としたものである。
【0016】
また本発明は、コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有する。
【0017】
前記選択スイッチが待機モードに維持されている場合は、前記制御部は充電を停止した後の所定時間が経過したとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させ、前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止することを特徴とするコンテナ利用の独立電源装置としたものである。
【0018】
これらにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明は、コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有する。
【0020】
前記選択スイッチにより待機モードが選択された場合に、前記制御部は前記外部負荷へ放電を停止し、さらに前記蓄電装置の電圧が所定の下限電圧V1より小となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させる。
【0021】
また前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止する構成としたことにより、外部負荷への放電回路を遮断している状態で、蓄電装置の出力電圧を監視する制御部は、所定の下限電圧V1以上で所定の上限電圧V2を超えない範囲の出力電圧に保つことができる。
【0022】
したがって、蓄電装置の充電不足や過充電を防いで長寿命化を図り、蓄電装置の出力電圧を適正範囲に維持して、いつでも外部負荷へ給電できる状態を継続することができるという効果を得ることができる。
【0023】
また本発明は、コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有する。
【0024】
前記選択スイッチが待機モードに維持されている場合は、前記制御部は充電を停止した後の所定時間が経過したとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させる。
【0025】
また前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止する構成としたことにより、制御部は充電を停止した後の所定時間が経過した段階で、太陽電池から蓄電装置に充電して充電不足を防ぎ、さらに過充電も防いで長寿命化を図り、蓄電装置の出力電圧を適正範囲に維持して、いつでも外部負荷へ給電できる電圧を保ち、使用者が便利に使用できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1のコンテナ利用の独立電源装置のブロック回路図
【図2】同、概略構成図
【図3】同、蓄電装置の出力電圧と寿命に関する特性図
【図4】同、フローチャート
【図5】同、他のフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2のコンテナ利用の独立電源装置の蓄電装置の構成図
【図7】同、ブロック回路図
【図8】本発明の実施の形態3のコンテナ利用の独立電源装置の蓄電装置の構成図
【図9】従来のコンテナ利用の独立電源装置のブロック回路図
【図10】同、密閉型バッテリーの一部破断の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の請求項1記載のコンテナ利用の独立電源装置は、コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有する。
【0028】
前記選択スイッチにより待機モードが選択された場合に、前記制御部は前記外部負荷へ放電を停止し、さらに前記蓄電装置の電圧が所定の下限電圧V1より小となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させ、また前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止するという構成を有する。これにより、制御部は外部負荷への放電回路を遮断している状態で、蓄電装置の出力電圧を監視して、所定の下限電圧V1以上で所定の上限電圧V2を超えない範囲の出力電圧に保つように制御しているので、蓄電装置の充電不足や過充電を防いで長寿命化を図り、蓄電装置の出力電圧を適正範囲に維持して、待機状態でも常に給電可能な電圧を保持することができるという効果を奏する。
【0029】
また、コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有する。
【0030】
前記選択スイッチが待機モードに維持されている場合は、前記制御部は充電を停止した後の所定時間が経過したときに、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させ、また前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止するという構成を有する。これにより、蓄電装置の電圧が顕著に低下する前に制御部は所定時間が経過した段階で、太陽電池から蓄電装置へ充電を開始するようにしているので、長期間使用しない場合でも、蓄電装置の充電不足による使用者の不便を未然に防ぎ、さらに過充電も防いで長寿命化を図り、蓄電装置の出力電圧を適正範囲に維持して、待機状態でも常に給電可能な電圧を保持することができるという効果を奏する。
【0031】
また、前記制御部は、前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2となるまで、毎日周期的に設定時間だけ、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を行うという構成を有する。これにより、太陽電池から周期的に充電を受けることにより、蓄電装置の電圧が低下しないように高めることができ、充電が完了する所定の上限電圧V2まで安定して確実に充電することができるという効果を奏する。
【0032】
また、前記太陽電池には連系スイッチを介して接続されるパワーコンディショナーを有し、前記選択スイッチに連系モードを設け、この連系モードが選択されると、前記制御部は前記蓄電装置への充電を停止するとともに、前記連系スイッチを閉じて前記太陽電池からの直流電流を交流電流に変換して、系統連系による給電を可能にするという構成を有する。これにより、交流100V仕様または200V仕様の電気機器に給電ができるため、商用電源からの電力不足や、商用電源が停電した緊急時にも、商用電源の代わりに交流電源を供給することができ、電源供給が不安定な地域や不足時期に、系統連系による電源供給ができるという効果を奏する。
【0033】
また、前記蓄電装置は少なくとも2つの密閉型バッテリーを直列接続した複数の直列ブロックと、各直列ブロックを並列接続した密閉型バッテリーの集合体であり、全ての前記密閉型バッテリーの外郭表面に、高温で電流を遮断するバイメタル式の感熱遮断部を付設し、この感熱遮断部は前記直列ブロックの配線に直列接続するという構成を有する。これにより、蓄電装置は直列接続した密閉型バッテリーの外郭表面に感熱遮断部を付設しているので、コンテナ内にあるいずれかの密閉型バッテリーの周囲温度が上昇しても、感熱遮断部が作動して直列回路を遮断するので、高温状態の密閉型バッテリーの充放電は停止されることになる。これにより高温状態での密閉型バッテリーの劣化を防止するだけでなく、直列接続された他の密閉型バッテリーへの悪影響(過負荷)を軽減することができ、蓄電装置としての充放電機能を損なわないようにできるという効果を奏する。
【0034】
また、前記密閉型バッテリーは周囲温度が高温になると、内部に溜まった発生ガスを放出する安全弁を備えるとともに、前記密閉型バッテリーに付設した前記感熱遮断部の作動する設定温度を安全弁の作動温度以下にするという構成を有する。これにより、密閉型バッテリーは60℃以上の高温になると、安全弁が働き内部の発生ガスを放出して内部圧力を正常に保つ安全機能を備えているものの、ガス放出により内部のバッテリー液が減少して、密閉型バッテリーの性能や寿命が低下することとなる。しかし安全弁が作動する前に、感熱遮断部が作動して直列回路を遮断するので、密閉型バッテリーが充電中の場合は、充電作業が即座に停止され、それ以上の温度上昇を抑えて、安全弁からのガス放出を未然に防止することができ、密閉型バッテリーの長寿命化を図ることができるという効果を奏する。
【0035】
また、前記蓄電装置は、少なくとも2つの密閉型バッテリーを垂直方向に配置して直列接続した直列ブロックと、複数の前記直列ブロックを水平方向に配列して各直列ブロックを並列接続する並列ブロックにより構成されるとしてもよい。これにより、垂直方向に配置された密閉型バッテリーの結線は直列接続のみであり、直列ブロックの水平方向に配置された結線は並列接続のみであり、各密閉型バッテリーの結線作業が容易にできるので、蓄電装置を現地組立する場合でも誤結線を防いで性能劣化のない高品質を確保できるとともに、限られたコンテナ内の設置場所に省スペースで収納できるという効果を奏する。
【0036】
また、前記蓄電装置は、前記並列ブロックが複数あるとき、各並列ブロックを垂直方向に配置して、かつ並列接続するという構成を有する。これにより、コンテナ内の設置場所が狭い場合や密閉型バッテリーの数量が多い場合は、並列ブロックを複数にして垂直方向に積み重ねて配置することにより、並列ブロック間の結線は並列接続のみであり、誤結線を防いで品質を確保できるとともに、さらなる省スペース化を図ることができるという効果を奏する。
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、コンテナ1の外郭天面には太陽光電池パネル(以下、太陽電池2と称す)が太陽に直面するように傾斜して設置されている。コンテナ1内には、太陽電池2で得られた電気を蓄電する蓄電装置3が収納され、この蓄電装置3に蓄えた電気により駆動される外部負荷4が外部負荷スイッチ7を介して接続されている。外部負荷4はコンテナ1内に設置された照明器4aや換気扇4bなどと、コンテナ1外に施工された街灯4cなどを含んでいる。そして太陽電池2と蓄電装置3の間には、充電回路を開閉する充電スイッチ8と、太陽電池2の出力電圧を一定電圧に調整して蓄電装置3を充電する充電装置9が挿入されている。
【0039】
蓄電装置3は複数の密閉型鉛蓄電池で構成され、蓄電装置3は長期間放置されると自然放電することにより電圧が低下する。この電圧の低下度合は温度に依存するものであり、たとえば、45℃で1ヶ月放置した場合、満充電時の70%程度の容量となる。さらに図3に示すように蓄電装置3の出力電圧が過小な充電不足で放置すると、蓄電装置3のサルフェーション(白色硫酸鉛化現象)や負極板からの自己放電により劣化が進行する。
【0040】
また逆に蓄電装置3の出力電圧が過大となる状態が持続すると、密閉型鉛蓄電池の電極腐食や内部ガス放出による劣化が進行し、いずれも蓄電装置3の寿命が大幅に低下するものである。したがって出力電圧を適正範囲に調整しながら充放電することが重要である。
【0041】
そして、一般的に蓄電池の自己放電を補う充電方法として、トリクル充電が使用される。トリクル充電は、たとえば蓄電機器として蓄電池(公称電圧12V)複数個を直列に接続して直列回路を構成し、商用電源などから電源供給される安定した定電圧電源(設定電圧が48+αV)を用いてこの直列回路を定電圧充電する方法であり、定電圧電源を直列回路に接続し続けた場合、充電の末期は自己放電電気量に相当する電気量を補う充電が継続する。
【0042】
しかし、蓄電装置3は電源供給の困難な地域にコンテナ1とともに移動して使用される場合が多いので、外部からの安定した定電圧電源を確保するのは難しく、コンテナ1に付設した太陽電池2から、蓄電装置3の自己放電に対応した充電を行なうようにしている。また蓄電装置3の出力電圧が許容範囲を超える場合は、蓄電装置3から外部負荷4に放電するようにしている。
【0043】
すなわち、図1に示すように、蓄電装置3の出力電圧を検出する電圧センサ10を設けて、電圧センサ10で検出した出力電圧値を制御部5と充電装置9に送り、制御部5は電圧センサ10からの出力電圧値と、所定の下限電圧V1および上限電圧V2と比較する。
【0044】
この比較結果により、充電スイッチ8または外部負荷スイッチ7を開閉制御して、太陽電池2からの充電または外部負荷4への放電を行ない、蓄電装置3の出力電圧が所定の電圧範囲に収まるようにしている。
【0045】
また、コンテナ1内にはパワーコンディショナー12が収納され、パワーコンディショナー12は太陽電池2と接続され、その途中に挿入される連系スイッチ11により通電が制御されている。そして、パワーコンディショナー12は太陽電池2で得られた直流電流を例えば100Vの交流電流に変換して、交流駆動の電気機器に電源供給が可能であり、他の交流電源とも系統連系できるようになっている。
【0046】
さらに、制御部5には入力装置として選択スイッチ6が接続され、選択スイッチ6の操作により、通常モード、待機モードおよび連系モードの3種類の運転モードから1つを選択できるようになっている。なお、選択スイッチ6が操作される前は、外部負荷スイッチ7、充電スイッチ8および連系スイッチ11はOFFとなっている。
【0047】
上記構成において、その動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、通常運転をする場合は、選択スイッチ6で通常モードを選択すると(S100)、制御部5により充電スイッチ8が閉じられ(S101)、充電装置9の働きで太陽電池2から蓄電装置3に充電が始まり(S102)、蓄電装置3の出力電圧を電圧センサ10が計測し、制御部5において計測電圧値と所定の下限電圧V1とを比較する(S103)。このとき計測電圧値が所定の下限電圧V1より小の場合は、外部負荷スイッチ7を開いて外部負荷4への通電を遮断する(S104)。ただし、重要度の高いパソコンなどの機器(図示せず)は、外部負荷4には含まれず、通電を継続するように設定されている。そして計測電圧値が所定の下限電圧V1以上の場合は、外部負荷スイッチ7を閉じて外部負荷4への通電を行う(S105)。
【0049】
なお、図4のフローチャートには記載しないが、適当な周期で蓄電装置3の出力電圧を所定の下限電圧V1と比較するS103以降を繰り返すことにより、蓄電装置3の出力電圧を少なくとも所定の下限電圧V1よりは低下しないようにしている。
【0050】
次に、コンテナ1が運転前の待機状態にある場合や、長期間使用されない場合には、蓄電装置3の自然放電による充電不足を防ぐ必要があり、この場合は選択スイッチ6で待機モードを選択する(S100)。制御部5により外部負荷スイッチ7、充電スイッチ8および連系スイッチ11は全て開放され(S201)、蓄電装置3の出力電圧を電圧センサ10が計測し、制御部5において計測電圧値と所定の下限電圧V1とを比較する(S202)。このとき計測電圧値が所定の下限電圧V1以上であれば、充電は不要として終了し(S206)、もし計測電圧値が所定の下限電圧V1より小の場合は、タイマー制御により毎日の所定時間だけ、周期的に充電スイッチ8を閉じることにより(S203)、充電装置9により太陽電池2から蓄電装置3に充電する(S204)。続いて、制御部5において電圧センサ10が計測した蓄電装置3の出力電圧値と所定の上限電圧V2とを比較して(S205)、計測した電圧値が所定の上限電圧V2より小の場合はS204に戻り、太陽電池2から蓄電装置3に充電を継続する(S204)。また、計測した電圧値が所定の上限電圧V2以上の場合は、太陽電池2からの充電を止めて終了する(S206)。
【0051】
また、図5に示すように、制御部5において計測電圧値と所定の下限電圧V1とを比較する判定ステップ(S202)に代えて、前回充電してからの経過時間と、蓄電装置3の自己放電電気量に基づいて定めた一定期間とを比較する判定ステップ(S207)を用いるようにすれば、蓄電装置3が放電する前に確実に充電することができ、蓄電装置3をいつでも使用可能な状態に保つことができる。
【0052】
ここで、前記一定期間は自己放電電気量に基づき決めることができるが、いつでも使用可能な状態に保つためには、例えば、1日で満充電となる程度の期間にすることが望ましい。例として太陽電池2の発電量が1kWh、蓄電装置3の総蓄電量が14.4kWhのようなシステムにおいては、1日の平均日照時間を3時間とすると、35℃〜45℃の環境下での自己放電電気量がほぼ3kWhとなる期間は約1ヶ月であるため、前記一定期間を1ヶ月と設定すれば良い。
【0053】
さらに図4に示すように、選択スイッチ6で連系モードを選択すると(S100)、連系スイッチ11が閉じて太陽電池2からパワーコンディショナー12へと導通され(S301)、パワーコンディショナー12が直流電流を交流100Vの電流に変換し、既存の交流100Vの配線に接続して給電することができる。これにより、商用電源の電力不足や商用電源が停電した緊急時にも、商用電源の代わりに、また商用電源と併用して交流電源を供給することができるものである。
【0054】
(実施の形態2)
図6および図7に示すように、蓄電装置3は左右に並べた2つの密閉型バッテリー13を直列接続して直列ブロック14を形成し、複数の直列ブロック14を水平方向と垂直方向にそれぞれ近接するように、格子状の枠組みを用いて整然と配置されている。
【0055】
ここで直列回路を構成する複数の密閉型バッテリー13は、配置環境(温度環境)などに起因して、それぞれ劣化速度が異なる。仮に密閉型バッテリー13の1つが劣化した(例えば内部短絡によって電圧が低下した)状態で定電圧電源をこの直列回路に接続し続けた場合、残りの密閉型バッテリー13に過剰な電圧が掛かり続けることになる。そうすると、例えば密閉型バッテリー13の内部でアーク放電などが起こって密閉型バッテリー13が過熱することになる。このような現象は、複数の直列回路を同一の定電圧電源で充電する場合などに、特に顕著である。
【0056】
またスペース効率を重視して直列回路を多段積みする場合、密閉型バッテリー13の蓋面を天面にする形で直列回路を配置すると、全ての密閉型バッテリー13の長側面が隣り合うように配置され、両端の密閉型バッテリー13以外は短側面のみが外部に晒された第1の形態となる。
【0057】
あるいは、密閉型バッテリー13の短側面が隣り合うように配置したものをひとまとまりとし、そのまとまりごとの長側面が隣り合うように配置され一部の密閉型バッテリー13の長側面のみが外部に晒された第2の形態にならざるを得ない。
【0058】
第1の形態の場合、外部に晒された面(放熱に適した面)が小さすぎるので放熱が困難である。第2の形態の場合、外部に晒された面(放熱に適した面)が一部の密閉型バッテリー13のみに偏るので直列回路の内部で温度差が顕著になる。いずれの場合も、直列回路の寿命特性は低下する。
【0059】
しかし密閉型バッテリー13は安全弁13aを備えており、密閉型バッテリー13の周囲温度が60℃以上の高温となって、その内部圧力が高まったときに、安全弁13aが内部のガスを放出して密閉型バッテリー13の安全を保つようになっている。
【0060】
さらに全ての密閉型バッテリー13の外郭表面には、高温で電流を遮断するバイメタル式の感熱遮断部15が密着して固定されており、感熱遮断部15の作動温度は安全弁13aの作動温度より低い温度に設定されている。そして感熱遮断部15は直列ブロック14の直列回路に直列接続されている。また、それぞれの直列ブロック14は並列接続されている。
【0061】
上記構成において、コンテナ1内の温度上昇や蓄電装置3への充電により、密閉型バッテリー13の表面温度が上昇した場合は、蓄電装置3は密閉型バッテリー13の外郭表面に付設した感熱遮断部15が作動して、直列ブロック14の直列回路を遮断するので、高温状態の密閉型バッテリー13の充放電は即座に停止されることになり、高温状態での無理な充放電を防止することができる。
【0062】
さらに、安全弁13aが作動する前に、感熱遮断部15が作動して直列ブロック14の直列回路を遮断して停止するので、安全弁13aからのガス放出に起因する密閉型バッテリー13内の含浸液の減少を防ぐことができ、長寿命化を図ることができる。
【0063】
(実施の形態3)
図8に示すように、蓄電装置3は、2つの密閉型バッテリー13のプラス極とマイナス極を上下同じ方向にして、上下に積み重ねて直列接続した縦長直列ブロック16を形成し、複数の縦長直列ブロック16を水平方向に配列して並列接続した並列ブロック17を形成し、これらのブロックは格子状の枠組みで固定されている。
【0064】
さらに、縦長直列ブロック16の数が多くて、並列ブロック17が1段に収まらないときは、並列ブロック17以外に他の並列ブロック18を形成して、並列ブロック17上に載置している。このとき、並列ブロック18の縦長直列ブロック16の上下を逆向けにすることにより、並列ブロック17のプラス極17aと並列ブロック18のプラス極18aを近接して配置している。
【0065】
上記構成において、密閉型バッテリー13を並べて配列するときは、縦長直列ブロック16および並列ブロック17では、配列方向が同一なので作業性がよい。また、縦長直列ブロック16の結線作業においても、感熱遮断部15の結線を含めても直列接続のみであり、並列ブロック17、18内は並列接続のみであり、結線作業も容易にできる。
【0066】
また、密閉型バッテリー13のメンテナンスや交換に際しても、誤配列や誤結線を防いで品質を確保できる。そして、縦長直列ブロック16を収納する並列ブロック17、18を積み重ねると、コンテナ内の上下方向のスペースを有効利用することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態では、並列ブロック17のプラス極17aと並列ブロック18のプラス極18aは近接しているので、プラス極間の結線が容易にできるとともに、プラス極17a、18aはマイナス極17b、18bとの端子間距離が大きくとれるので、並列ブロック17と並列ブロック18の短絡の危険性を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明にかかるコンテナ利用の独立電源装置は、コンテナに太陽電池と蓄電装置を備えて、待機状態でも蓄電装置の電圧を給電可能な状態に維持できるので、電源が十分に確保できない地域・後進国や災害を受けた被災地の電源装置として、また突然の停電に対応して電源供給できる補助電源装置として、医療用、通信用、工事現場用、避難住宅用などの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 コンテナ
2 太陽電池
3 蓄電装置
4 外部負荷
4a 照明器
4b 換気扇
4c 街灯
5 制御部
6 選択スイッチ
7 外部負荷スイッチ
8 充電スイッチ
9 充電装置
10 電圧センサ
11 連系スイッチ
12 パワーコンディショナー
13 密閉型バッテリー
13a 安全弁
14 直列ブロック
15 感熱遮断部
16 縦長直列ブロック
17 並列ブロック
18 並列ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有し、この選択スイッチにより待機モードが選択された場合に、前記制御部は前記外部負荷へ放電を停止して、前記蓄電装置の電圧が所定の下限電圧V1より小となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させ、前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止することを特徴とするコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項2】
コンテナの外郭天面または側面に太陽電池を具備し、前記太陽電池から得られた電気を蓄えるとともに、蓄えられた電気を照明機器などの外部負荷に供給する蓄電装置を前記コンテナ内に設け、前記蓄電装置の電圧を監視して前記蓄電装置の充電および放電を制御する制御部と、運転モードを通常モードまたは待機モードに選択できる選択スイッチを有し、この選択スイッチが待機モードに維持されている場合は、前記制御部は充電を停止した後の所定時間が経過したとき、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を開始させ、前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2以上となったとき、前記太陽電池から前記蓄電装置への充電を停止することを特徴とするコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記蓄電装置の電圧が所定の上限電圧V2となるまで、毎日周期的に設定時間だけ、前記太陽電池から前記蓄電装置へ充電を行うことを特徴とする請求項1または2記載のコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項4】
前記太陽電池には連系スイッチを介して接続されるパワーコンディショナーを有し、前記選択スイッチに連系モードを設け、この連系モードが選択されると、前記制御部は前記蓄電装置への充電を停止するとともに、前記連系スイッチを閉じて前記太陽電池からの直流電流を交流電流に変換して、系統連系による給電を可能とした請求項1または2記載のコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項5】
前記蓄電装置は少なくとも2つの密閉型バッテリーを直列接続した複数の直列ブロックと、各直列ブロックを並列接続した密閉型バッテリーの集合体であり、全ての前記密閉型バッテリーの外郭表面に、高温で電流を遮断するバイメタル式の感熱遮断部を付設し、この感熱遮断部は前記直列ブロックの配線に直列接続することを特徴とする請求項1または2記載のコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項6】
前記密閉型バッテリーは周囲温度が高温になると、内部に溜まった発生ガスを放出する安全弁を備えるとともに、前記密閉型バッテリーに付設した前記感熱遮断部の作動する設定温度を安全弁の作動温度以下とした請求項5記載のコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項7】
前記蓄電装置は、少なくとも2つの密閉型バッテリーを垂直方向に配置して直列接続した直列ブロックと、複数の前記直列ブロックを水平方向に配列して各直列ブロックを並列接続する並列ブロックにより構成されることを特徴とする請求項5記載のコンテナ利用の独立電源装置。
【請求項8】
前記蓄電装置は、前記並列ブロックが複数あるとき、各並列ブロックを垂直方向に配置して、かつ並列接続することを特徴とする請求項7記載のコンテナ利用の独立電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70558(P2013−70558A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208598(P2011−208598)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】