説明

コンテンツアイテムへのマルチユーザ限定アクセス

本発明は、ユーザに所定の回数だけ当該データコンテンツアイテムにアクセスする権利を提供するデジタル著作権に関連付けされるデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを幾人かのユーザに提供するシステム及び方法に関する。データコンテンツアイテムは、いくつかのサブパートにより構成され、デジタル著作権は、いくつかのサブ権利により構成され、初期的には、各々がユーザにデータコンテンツアイテムのサブパートにアクセスする権利を提供する利用可能なサブ権利として指定される。ユーザにコンテンツアイテムへの(新たな)アクセスが付与されると、いくつかの利用可能なサブ権利が確保される。このように、マルチユーザシナリオにおけるユーザがデータコンテンツアイテムへのアクセスを中断すると(延長された時間だけ)、グループの他のユーザが直後にサブ権利を使用することを開始したとしても、コンテンツが以降にアクセス可能となるようにサブ権利が利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幾人かのユーザにデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを提供するシステムに関する。本発明はさらに、幾人かのユーザにデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを提供する方法に関する。さらに、本発明は、1以上の処理ユニットに本発明による方法を実行させるための命令を格納したコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテンツプロテクションシステムが急速なペースで増加している。これらのシステムの一部は、不法な複製に対してコンテンツを単にプロテクトするものである一方、他のものはまた、ユーザがコンテンツにアクセスすることを禁止している。第1のカテゴリは、通常はコピープロテクション(CP)システムと呼ばれる。従来、CPシステムは、主として家電(CE)装置向けのものであった。なぜなら、このタイプのコンテンツプロテクションは、安価に実現されると考えられ、コンテンツプロバイダとの双方向のやりとりを必要としないためである。いくつかの具体例として、コンテンツスクランブリングシステム(CSS)、DVD ROMディスクのプロテクションシステム及びDTCP(IEEE1394接続のためのプロテクションシステム)がある。
【0003】
第2のカテゴリは、いくつかの名称により知られている。放送の世界では、このカテゴリのシステムは一般に限定アクセス(CA)システムとして知られ、インターネットの世界では、それらは一般にデジタル著作権管理(DRM)システムとして知られている。
【0004】
DRM/CAシステムにおける計数可能な権利、すなわち、多数のユーザに係る権利は、技術的に困難なものである。DRM/CAシステム(以降、単にDRMシステムと呼ぶ)がコンテンツをスタートすると、購入したコンテンツアイテムを視聴する権利を完全に取り消した場合、停止し、以降に続けることは不可能となり、それは、コンテンツ全体を視聴、レンダリングなどするため有効に支払をしたユーザにとって公正ではない。システムがコンテンツのエンドに到達すると、当該権利を取り消す場合には、ユーザは、エンド近傍で視聴、レンダリングなどを停止し、これにより、当該権利をセーブすることが可能となってしまい、ユーザが係る権利を使用することなくコンテンツのほとんど全体を使用しているため、コンテンツアイテムプロバイダにとって公正ではない。従って、これらの実現形態の何れも許容できるものではない。
【0005】
このようなシナリオをサポートするDRMシステムの許容される実現形態は、コンテンツアイテムをより小さなサブユニット/サブパート(シーン、トラックなど)に分割するものであって、コンテンツアイテムを完全には一度しか視聴できない権利が複数のより小さなサブ権利に分割され、各サブ権利はユーザが1つのサブパートを(1回)視聴することを許可するというものである。通常、プロバイダは、ユーザが同一シーンを10回視聴したり、あるいはすべてのシーンを1回視聴するかどうかには関心がない。従って、DRMシステムは単にサブ権利のコレクションを維持し、例えば、ある(新しい又は以前の)サブパートが入力/レンダリング/アクセスされる毎に、それらを減少/使用することが許容される。一変形は、ユーザがコンテンツアイテムのスタートから多数のサブパートを視聴、レンダリング、アクセスなどした後に、もはやコンテンツアイテムのエンドを視聴、レンダリング、アクセスなどをすることができなくなることを回避するため、ユーザが昇順によってのみサブパートを視聴、レンダリング、アクセスなどすることを可能にするというものである。このような機構は、同一出願人による欧州特許出願番号99204470及びPCT出願WO01/47266(代理人整理番号PHN017840)における有料テレビシステムについて記載されている。他の機構は、音楽が3つの部分に分割されるDVDオーディオに関して使用される。各部分のパートが再生された場合、権利は計数/使用される。
【0006】
欧州特許出願番号99204470及びPCT出願WO01/47266(代理人整理番号PHN017840)の実現形態は、ユーザがコンテンツによる自らの権利を徐々に使用するとき、一時停止及び継続を全く自然に可能にする。ユーザは単に、ユーザが所望するときに、所望する場所からコンテンツと権利の両方の使用する継続することが可能である。
【0007】
残りの権利に関するユーザとの通信もまた全く自然なものである。DRMシステムは、コンテンツアイテムのサブパートの個数と、残りのサブ権利の個数を認識しているべきである。これら2つの数の分割は、ユーザが当該コンテンツを完全に視聴、レンダリング、アクセスなどを依然として実行可能な回数を与える。
【0008】
しかしながら、この実現形態の欠点は、ユーザグループが権利グループにアクセスするマルチユーザシナリオにおいて生じてくる。このようなユーザグループは、例えば、家族の構成員、認証されたドメインのメンバーなどとすることができる。DRMシステムのみが依然として利用可能なサブ権利のレコードを維持しているため、コンテンツの使用中に何れかにいて、以降にそれを終えることを期待するユーザにとって、いくつのサブ権利が依然として必要とされているか、当該システムは知ることができない。これは、例えば、新たなユーザに割り当てられるサブ権利によって、所与のユーザがコンテンツの使用を再開することを所望するとき、サブ権利が全く利用可能でないという結果をもたらす。さらに、ユーザグループが所与のコンテンツアイテムを1回視聴する権利を取得しており、あるユーザが当該コンテンツを視聴しており、第2のユーザが当該コンテンツをスタートする場合、ユーザの何れもがエンドまでコンテンツを視聴することができないという状況がもたらされる。さらに、他のユーザの視聴中に、あるユーザが映画をスタートからエンドまで1回視聴するサブ権利を譲渡したとき、不適切な状況が生じる。なぜなら、視聴中のユーザはそれを最後まで視聴することができることが保証されないためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来技術の上述した問題点を解決する、幾人かのユーザにデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを提供するシステム及び対応する方法を提供することである。さらなる課題は、シンプル、フレキシブル及び効率的な方法によりこれを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、特に、幾人かのユーザにデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを提供する方法であって、前記データコンテンツアイテムは、ユーザグループの何れかのユーザに前記データコンテンツアイテムに所定の回数だけアクセスする権利を提供するデジタル著作権に関連付けされ、前記データコンテンツアイテムは、いくつかのサブパートにより構成され、前記デジタル著作権は、いくつかのサブ権利により構成され、初期的に各々が前記データコンテンツアイテムのサブパートにアクセスする権利を前記ユーザグループの何れかのユーザに提供する利用可能なサブ権利として示され、当該方法は、
・前記関連付けされたデジタル著作権又は前記利用可能なサブ権利が許可する場合、前記ユーザグループのユーザに前記データコンテンツアイテムへのアクセスを付与するステップと、
・前記ユーザグループのユーザが前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを新たなアクセスセッションとして開始すると、いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップと、
を有し、これにより、いくつかの確保されたサブ権利が取得されることを特徴とする方法によって達成される。
【0011】
これにより、マルチユーザシナリオのユーザがデータコンテンツアイテムへのアクセスを中断する場合(又は延長された時間において)、当該グループの他のユーザが直後にサブ権利の使用を開始したとしても、コンテンツが以降にアクセス可能となるように、利用可能なサブ権利が存在することとなるということが大変シンプルな方法により保証される。
【0012】
好適な実施例では、前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、十分多数の利用可能なサブ権利が存在する場合に限って、前記完全なコンテンツアイテムにアクセスするのに要求されるいくつかのサブ権利の確保を有する。
【0013】
このように、データコンテンツアイテムへのアクセスを中断したユーザに対して、当該データコンテンツアイテムの残りへのアクセスを終えるために利用可能な十分なサブ権利が依然として存在することが保証される。
【0014】
一実施例では、本方法はさらに、
・前記ユーザグループのユーザによってサブパートがアクセスされると、1つの利用可能なサブ権利又は確保されたサブ権利を使用し、使用されたサブ権利はもはや利用可能でなくなるステップを有する。
【0015】
一実施例では、特定の利用可能なサブ権利のみが、前記データコンテンツアイテムの特定のサブパートへのアクセスを可能にし、又は、特定の利用可能なサブ権利が、前記データコンテンツアイテムの何れかのサブパートへのアクセスを可能にする。
【0016】
一実施例では、前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、
・前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザのみが、確保されたサブ権利を用いて前記データコンテンツアイテムへのアクセスを継続することが可能となるように、前記いくつかのサブ権利を確保する。
【0017】
このように、データコンテンツへのアクセスを中断したユーザのみが、以降において、すなわち、継続されたセッション期間中にアクセスを継続することが可能となることが保証される。
【0018】
他の実施例では、前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、
・前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザを有するグループに属するすべてのユーザが、確保されたサブ権利を利用して前記データコンテンツアイテムへのアクセスを継続することが可能となるように、前記いくつかのサブ権利を確保する。
【0019】
このように、グループのすべてのユーザが、以降においてアクセスを継続可能となることが保証される。
【0020】
一実施例では、前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、前記付与されたアクセスを開始したユーザが、前記データコンテンツアイテムの実質的にすべてへのアクセスを完了することが予想される場合に限って実行される。
【0021】
このように、サブ権利の確保(及びこれにより「ロッキング」)は、ユーザが必要とされることが予定されないサブ権利を確保することを回避するデータコンテンツアイテム全体を完了させることに興味がある、又は予想されるときに限って実行される。ユーザが以降においてコンテンツを完了させることに興味があるか、又は予想されるということは、ユーザから取得されるフィードバックなどによって、デジタル著作権に基づき決定されるかもしれない。
【0022】
一実施例では、本方法はさらに、
・前記コンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始するユーザのみが、キャンセルすることが許可されている場合、又は、前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザを有するグループに属するすべてのユーザが、キャンセルすることが許可されている場合、ユーザによりいくつかの確保されたサブ権利の確保をキャンセルするステップを有し、これにより、サブ権利を解放し、前記ユーザグループについていくつかの利用可能なサブ権利をもたらす。
【0023】
このように、ユーザは、例えば、自らの意志を変え、コンテンツへのアクセスを完了することを所望しなくなる場合、サブ権利の確保をキャンセルし、これにより、ユーザグループについてサブ権利を解放する選択肢を有する。依然として確保され、使用されていないサブ権利のみが、キャンセルされてもよい。好ましくは、アクセスを開始したユーザのみが、キャンセルする選択肢を有する。あるいは、アクセスを開始したユーザを有するユーザグループに属するすべてのユーザが、キャンセルする選択肢を有する。
【0024】
本発明によるシステムの効果的な実施例が、サブクレームにより規定され、以下で詳細に説明される。システムの実施例は、方法の実施例に対応し、同じ理由から同じ効果を有する。
【0025】
さらに、本発明はまた、本発明による方法を1以上の処理ユニットに実行させる命令を格納したコンピュータ可読媒体に関する。
【0026】
以下において、コンテンツアイテムが、データコンテンツアイテムとして使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1aは、本発明による与えられたコンテンツアイテムに対するサブ権利を概略的に示す。
【0028】
本発明によるコンテンツアイテム(図示せず;図2又は3の304を参照されたい)は、サブパート(図示せず;図2又は3の310を参照されたい)に分割(必ずしも物理的にでなくてもよい)及び構成され、1回コンテンツ全体にアクセスする権利を提供する関連するデジタル権利(303)がサブ権利(100)に分割され、各サブ権利(100)は、関連する権利(例えば、直接的に、又は関連する権利を取得したユーザグループ(図示せず;図3の302を参照されたい)の一部によって)を取得したユーザ(図示せず;図3の301を参照されたい)がコンテンツアイテムの1つのサブパートを視聴することを許可する。サブ権利(100)は、例えば、当該実現形態又はコンテンツアイテムのタイプに応じて、ユーザに特定のサブパート又は何れかのサブパートに対する権利を与える。コンテンツプロバイダが、10個のサブパートから構成される映画全体を1回視聴するデジタル権利を購入したユーザが、1つのサブパートを10回又は映画全体を視聴するか気にしない状況では、サブ権利が何れかのサブパートを視聴する権利を特定することが十分である。コンテンツプロバイダが気にしない場合、サブ権利は特定のサブパートを指定すべきである。
【0029】
コンテンツアイテムは、例えば、1以上の映画、1以上の音声トラック、1以上のウェブページ、1以上の写真、1以上のスライドショー、1以上のマルチメディア表示など、及び/又はそれらの組み合わせ/変形であってもよい。
【0030】
与えられたコンテンツアイテムのサブパートへの分割又は構成は、多数の異なるスキームに従って実行されるかもしれない。具体例として、例えば、時間ベース(例えば、各サブパートは5分間である)、データ量ベース(例えば、各サブパートは、1メガバイトのデータを表す)、コンテンツに関連した方法による(例えば、各サブパートは、映画の1シーン、音楽の1トラック又はウェブサイトなどを配信されるデータカルーセルなどにより表す)、及び/又はそれらの組み合わせによる分割/構成がある。
【0031】
本発明によると、いくつかの利用可能なサブ権利(101)が確保され、ユーザグループに属するユーザがコンテンツアイテムのレンダリング、視聴、アクセス(以降、単にアクセスと呼ぶ)を開始すると、いくつかのサブ権利が確保され、ユーザがそのようにする権利を有することが認証された(デジタル著作権又は1以上のサブ権利を用いて)。利用可能なサブ権利によって、まだ使用、支出、計数などされていないユーザ(又は当該ユーザを有するユーザグループに/によって)割当て又は購入されたサブ権利(100)の個数が理解される。好ましくは、所与のコンテンツアイテムへの完全なアクセスに必要とされるサブパートの個数に等しいサブ権利が確保される(利用可能である場合)。例えば、コンテンツアイテムが5つのサブユニットに分割される場合、5つのサブ権利が確保される(利用可能である場合)。このようにして、ユーザがアクセスを中断する(又は延長された時間)場合、利用可能なサブ権利は十分あり、このため、コンテンツの全体(残り)が、他のユーザグループが直後にサブ権利の使用を開始したとしても、以降においてアクセス可能となることを大変シンプルな方法によって保証する。あるいは、サブユニットの個数と異なる個数のサブ権利が、最適ではないが確保されてもよい。例えば、コンテンツアイテムのサブユニットの50%又は90%が確保される。異なる個数のサブ権利がまた、ユーザがスタートとは異なる位置においてコンテンツアイテムへのアクセスを開始する状況において確保されてもよく、例えば、ユーザが第3サブパートにおいてアクセスを開始する場合、残りのサブパートのサブ権利が確保可能である。
【0032】
この確保は、コンテンツアイテムへのアクセスを開始した特定のユーザについてのみ実行されるようにしてもよく、すなわち、当該特定のユーザのみが確保されたサブ権利を使用可能である。あるいは、適用可能であるとき、当該確保は、アクセスを開始したユーザが一部となるグループのすべてのユーザについて実行されてもよい。
【0033】
その後、1つの(確保された)サブ権利は、ユーザがアクセスするコンテンツアイテムの各サブパートについて使用され、使用されたサブ権利(103)をもたらす。これについて異なるスキームが利用可能である。1つの例は、ユーザがサブパートにアクセスするか、又はサブパートの小さな部分にアクセスしたとき、サブ権利が使用されることを特定することである。他の例は、ユーザがサブパートのエンド近傍にいるとき、又はサブパートに完全にアクセスし、次のサブパートに移動しているとき、サブ権利を使用することである。さらなる他の例は、サブパートの中央部分及びそれらの変形/組み合わせへのアクセス時にサブ権利を使用することである。使用されたサブ権利(103)を追跡する必要はない。
【0034】
ユーザがあるポイントでデータコンテンツへのアクセスを中断することを選択する場合、好ましくは、アクセスが継続/再開されるまで、残りのサブ権利は確保され、利用可能なままとされる。一実施例では、ユーザはまた、サブ権利の確保を手動によりキャンセルし、これにより、ユーザグループに対してサブ権利を解放する選択肢を有する。依然として確保され、使用されていないサブ権利のみが、キャンセルされるようにしてもよい。好ましくは、アクセスを開始したユーザのみが、キャンセルする選択肢を有する。
【0035】
好適な実施例では、アクセスを開始するユーザが、実質的にコンテンツアイテムの全体へのアクセスを完了することが予想されるときのみ、当該確保は実行される。このように、サブ権利の確保(及びそれにより、「ロッキング」)は、ユーザが必要とされる予定がないサブ権利を確保することを回避するデータコンテンツアイテムの全体を完了することに興味があると予想されるときのみ実行される。ユーザが以降においてコンテンツを完了することに興味があると予想されるということは、ユーザから取得されるフィードバックなどによって、デジタル著作権に基づき決定されるかもしれない(例えば、中断が許されていないことを示すことによってなど)。
【0036】
本発明の一実施例を示すシンプルな例として、ユーザグループは、ある映画を4回視聴するデジタル著作権を購入している。本例の映画は、本実施例によると、各サブ権利が何れかのサブパートへのアクセスを与えるトータルで20個の取得されたサブ権利を与える5つのサブユニット(シーン)に分割される。これは、いくつかの(本例では20個の)サブ権利(100)を示す図1aの状況0)において示される。
【0037】
すべてのサブ権利(100)は、初期的に、すなわち、購入実行後、まだどれも使用されていないとき利用可能である。これは、白色のボックスによって示されるように、フリーな又は利用可能なサブ権利(101)としてすべてが指定されている20個のサブ権利を示す図1aの状況1)において示される。
【0038】
第1ユーザがコンテンツへのアクセスを開始するとき、すなわち、コンテンツアイテムのレンダリング/実行が開始されるとき、5つのサブ権利、すなわち、コンテンツアイテムの1つの完全なレンダリングのためのサブ権利が、一実施例に従って確保されるであろう。これは、斜線のボックスによって示されるように、15個の利用可能なサブ権利(101)と5つの確保されたサブ権利(102)を示す図1aの状況2)において示される。あるいは、異なる個数のサブ権利が、コンテンツアイテムの1つの完全なレンダリングについて必要とされる個数の代わりに確保されてもよい。
【0039】
第1ユーザが映画の約20%(すなわち、1サブユニット)を視聴した後、当該ユーザは中断し、これにより、1つの確保されたサブ権利を使用した。この状況は、15個のサブ権利(101)が依然として利用可能であって、4つのサブ権利(102)が依然として確保され(好ましくは、特に第1ユーザのために)、そして1つのサブ権利(103)が黒色ボックスによって示されるように使用されたことを示す図1aの3)において示される。
【0040】
ここで、第2ユーザがコンテンツをスタートする場合、利用可能なサブ権利の個数は、追加的な5つのサブ権利が確保されているため(好ましくは、特に第2ユーザのために)、10まで減らされる。この状況は、10個のサブ権利(101)が依然として利用可能であって、9つのサブ権利(102)が現在確保され、1つのサブ権利が使用されたことを示す図1aの4)において示される。
【0041】
第1ユーザと第2ユーザのそれぞれがさらに20%分を視聴し続け、さらなるユーザがコンテンツにアクセスしていない場合、この状況は、10個のサブ権利(101)が利用可能であって、7つのサブ権利(102)が確保され、3つのサブ権利(103)が使用される図1aの5)による。
【0042】
このように、コンテンツアイテムを使用している途中の何れかに現在いるユーザに依然として必要とされるサブ権利の個数が記録され、これにより、ユーザが以降においてそれを終わらせることが可能であることが保証される。さらに、これは、大変シンプルかつ効率的な方法により保証される。
【0043】
図1bは、本発明の他の実施例による所与のコンテンツアイテムのサブ権利を概略的に示す。図1aの例が示されているが(省略されているが)、サブ権利は特定のサブパートにアクセスする権利を与える。図1aからの例を使用して、図の上部において、ユーザグループが映画を1回視聴する4つの権利を取得しており、この映画が5つのサブパートから構成され、この結果、20個の取得されたサブ権利(100)が得られる状況が示される。各サブ権利は、各サブ権利(100)の番号によって示されるような特定のサブパートに対するものである。示されている順序は、重要ではなく、例えば、5,5,5,5,4,4,4,4など、又は他の何れかの順序とすることが可能である。
【0044】
上から2番目に、第1ユーザがコンテンツアイテムへのアクセスを開始し、そのうちの20%を視聴して、15個の利用可能なサブ権利(101)と、4つの確保されたサブ権利(102)と1つの使用されたサブ権利(103)がもたらされる図1aの状況(3に対応する)が示される。サブ権利(100)が特定のサブパートを指定しているため、映画の3つのさらなる完全な視聴のためのサブ権利があるが、第1ユーザは、第1サブパートがアクセスされると、映画の最後の80%(サブパート2,3,4,5)のみにアクセス可能である。
【0045】
上から3番目に、第2ユーザが現在映画の視聴を開始し、これにより、さらなる5つの利用可能な確保されるサブ権利がもたらされ、利用可能なサブ権利(101)が10に増やされ、確保されているサブ権利(102)が9に増やされ、依然として1つのサブ権利しか使用されていない図1aの状況(4に対応する)が示されている。
【0046】
上から4番目に、第1ユーザと第2ユーザのそれぞれがコンテンツアイテムの内さらなる20%分を視聴し、これにより、10個のサブ権利と、7つの確保されたサブ権利(102)と3つの使用されたサブ権利(103)がもたらされる図1aの状況(5に対応する)が示される。
【0047】
これによって、コンテンツアイテムの使用中に何れかにいるユーザにとって依然として必要とされるサブ権利の個数が記録され、これにより、ユーザが1つのサブパートを複数回視聴するため、取得されたサブ権利を使用することを許可しないことを保証しながら、同時に以降において、ユーザがそれを終えることが可能となることが保証される。
【0048】
図2aは、本発明によるデータ構造(の一部)の一例を概略的に示す。利用可能なサブ権利を表現及び記録するための第1パート(201)と、確保されたサブ権利を表現及び記録するための第2パート(202)と、任意的には、使用されたサブ権利を表現及び追跡するための第3パートとを有するシンプルなデータ構造(204)の表示が示される。
【0049】
各サブ権利が特定のサブパートを指定していない場合、第1パート(201)は、関連するコンテンツアイテム(当該情報が必要又は有用である場合)を特定する情報と、単に利用可能なサブ権利の個数とを有するべきである。いくつかのサブパートが確保又は使用されると、この個数は単に利用可能なサブ権利の個数から減じられる。第2パート(202)は、単に確保されたサブ権利の個数を有する。確保されたサブ権利のいくつかが使用されると(例えば、中断されたアクセスを継続することによって)、この個数は単に確保されたサブ権利の個数から減じられる。第3パート(203)は、使用されたサブ権利の個数を記録する数を有する。いくつかのサブ権利が使用されると、この個数は、使用されたサブ権利の既存の個数に追加される。
【0050】
図1aからの例を使用して、状況1)〜5)は、それぞれ20、15、15、10、10を有する第1パートを有するであろう。第2パート(202)は、それぞれ0、5(第1ユーザ用など)、4(第1ユーザ用など)、9(第1ユーザ用に4と、第2ユーザ用に5など)、7(第1ユーザ用に3と、第2ユーザ用に4など)を有するであろう。(任意的な)第3パートは、それぞれ0、0、1、1、3を有するであろう。第3パート(203)は、本発明には必要でないが、統計などの他のアプリケーションについては有用であるかもしれない。様々な周知の技術が、データ構造(204)を実現するのに利用可能である。
【0051】
図2bは、本発明の他の実施例によるデータ構造(の一部)の一例を概略的に示す。サブ権利がコンテンツアイテム(304)の特定のサブパート(310)を参照していることを除いて、図2aのものに対応するシンプルなデータ構造(205)の表示が示される。従って、第1パート(201)、第2パート(202)及び任意的な第3パート(203)は、矢印によって示されるように、関連するコンテンツアイテム(304)の特定のサブパート(310)にリンク又は参照している。図示された例は、図1bの上から4番目の状況に対応する。例えば、図示された例と同様に、複数回参照されるコンテンツアイテムの1つのみのインスタンスの代わりに、それらが同一であっても各コンテンツアイテム(304)について1つのインスタンスなど(これにより、本例ではそれを4とする)、他の変形が実現されてもよい。
【0052】
様々な周知の技術がデータ構造(205)を実現するのに利用可能である。
【0053】
図3は、本発明によるシステムの実施例を概略的に示す。いくつかのサブ権利(100)により上述されたように構成される1以上のデジタル著作権(303)と、いくつかのサブパート(310)により上述されたように構成される1以上のコンテンツアイテム(304)とのアクセスを有する限定アクセスシステム(300)が示される。また、ユーザグループ(302)を構成する幾人かのユーザ(309)が示される。
【0054】
システム(300)は、データ、情報、中間データなどの短期及び/又は長期の格納のためのメモリ(309)及び/又はストレージ(306)と、コンテンツアイテム(304)及びデジタル著作権(303)を受信するためなどの通信手段(308)と、任意的に、コンテンツアイテム(304)をユーザ(301)に表示するディスプレイとを有する。システム(300)はさらに、図1a、1b、2a及び2bに関して前述されたように、本発明に従ってデジタル著作権、サブ権利、コンテンツアイテム及びサブパートを処理するマイクロプロセッサ/確保機構(311)を有する。
【0055】
様々なユニットが、データ/情報バス(305)又は同様のタイプの構成を介し通信するようにしてもよい。
【0056】
確保機構(311)は、コンテンツアイテムソース、すなわち、コンテンツアイテムのエントリ位置、又はコンテンツアイテムシンク、すなわち、コンテンツアイテムの退出位置において、ユーザによって視聴などされる前に実現されてもよい。
【0057】
請求項において、括弧内の何れの参照符号も請求項を限定するものとして解釈されるものではない。「有する」という用語は、請求項に列挙した以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する「ある」という用語は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。
【0058】
本発明は、複数の異なる要素を有するハードウェアと適切にプログラムされたコンピュータによって実現可能である。複数の手段を列挙した装置クレームでは、これらの手段のいくつかは、1つの同一のハードウェアアイテムによって実現可能である。ある手段が互いに異なる従属クレームにより記載されているという事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に利用可能でないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1a】図1aは、本発明による所与のコンテンツアイテムのサブ権利を概略的に示す。
【図1b】図1bは、本発明の他の実施例による所与のコンテンツアイテムのサブ権利を概略的に示す。
【図2a】図2aは、本発明によるデータ構造(の一部)の一例を概略的に示す。
【図2b】図2bは、本発明の他の実施例によるデータ構造(の一部)の一例を概略的に示す。
【図3】図3は、本発明によるシステムの実施例を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾人かのユーザにデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを提供する方法であって、
前記データコンテンツアイテムは、ユーザグループの何れかのユーザに前記データコンテンツアイテムに所定の回数だけアクセスする権利を提供するデジタル著作権に関連付けされ、
前記データコンテンツアイテムは、いくつかのサブパートにより構成され、前記デジタル著作権は、いくつかのサブ権利により構成され、初期的に各々が前記データコンテンツアイテムのサブパートにアクセスする権利を前記ユーザグループの何れかのユーザに提供する利用可能なサブ権利として示され、
当該方法は、
前記関連付けされたデジタル著作権又は前記利用可能なサブ権利が許可する場合、前記ユーザグループのユーザに前記データコンテンツアイテムへのアクセスを付与するステップと、
前記ユーザグループのユーザが前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを新たなアクセスセッションとして開始すると、いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップと、
を有し、これにより、いくつかの確保されたサブ権利が取得されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、十分多数の利用可能なサブ権利が存在する場合に限って、前記完全なコンテンツアイテムにアクセスするのに要求されるいくつかのサブ権利の確保を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、さらに、
前記ユーザグループのユーザによってサブパートがアクセスされると、1つの利用可能なサブ権利又は確保されたサブ権利を使用し、使用されたサブ権利はもはや利用可能でなくなるステップを有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3何れか一項記載の方法であって、
特定の利用可能なサブ権利のみが、前記データコンテンツアイテムの特定のサブパートへのアクセスを可能にし、又は、
特定の利用可能なサブ権利が、前記データコンテンツアイテムの何れかのサブパートへのアクセスを可能にすることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4何れか一項記載の方法であって、
前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザのみが、確保されたサブ権利を用いて前記データコンテンツアイテムへのアクセスを継続することが可能となるように、前記いくつかのサブ権利を確保し、又は、
前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザを有するグループに属するすべてのユーザが、確保されたサブ権利を利用して前記データコンテンツアイテムへのアクセスを継続することが可能となるように、前記いくつかのサブ権利を確保することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5記載の方法であって、
前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保するステップは、前記付与されたアクセスを開始したユーザが、前記データコンテンツアイテムの実質的にすべてへのアクセスを完了することが予想される場合に限って実行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6何れか一項記載の方法であって、さらに、
前記コンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始するユーザのみが、キャンセルすることが許可されている場合、又は、前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザを有するグループに属するすべてのユーザが、キャンセルすることが許可されている場合、ユーザによりいくつかの確保されたサブ権利の確保をキャンセルするステップを有し、これにより、サブ権利を解放し、前記ユーザグループについていくつかの利用可能なサブ権利をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項8】
幾人かのユーザにデータコンテンツアイテムへの限定アクセスを提供する限定アクセスシステムであって、
前記データコンテンツアイテムは、ユーザグループの何れかのユーザに前記データコンテンツアイテムに所定の回数だけアクセスする権利を提供するデジタル著作権に関連付けされ、
前記データコンテンツアイテムは、いくつかのサブパートにより構成され、前記デジタル著作権は、いくつかのサブ権利により構成され、初期的に各々が前記データコンテンツアイテムのサブパートにアクセスする権利を前記ユーザグループの何れかのユーザに提供する利用可能なサブ権利として示され、
当該システムは、
前記関連付けされたデジタル著作権又は前記利用可能なサブ権利が許可する場合、前記ユーザグループのユーザに前記データコンテンツアイテムへのアクセスを付与する手段と、
前記ユーザグループのユーザが前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを新たなアクセスセッションとして開始すると、いくつかの利用可能なサブ権利を確保する手段と、
を有し、これにより、いくつかの確保されたサブ権利が取得されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムであって、
前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保する手段は、十分多数の利用可能なサブ権利が存在する場合に限って、前記完全なコンテンツアイテムにアクセスするのに要求されるいくつかのサブ権利の確保を有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項8又は9記載のシステムであって、さらに、
前記ユーザグループのユーザによってサブパートがアクセスされると、1つの利用可能なサブ権利又は確保されたサブ権利を使用し、使用されたサブ権利はもはや利用可能でなくなる手段を有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項8乃至10何れか一項記載のシステムであって、
特定の利用可能なサブ権利のみが、前記データコンテンツアイテムの特定のサブパートへのアクセスを可能にし、又は、
特定の利用可能なサブ権利が、前記データコンテンツアイテムの何れかのサブパートへのアクセスを可能にすることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項8乃至11何れか一項記載のシステムであって、
前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保する手段は、前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザのみが、確保されたサブ権利を用いて前記データコンテンツアイテムへのアクセスを継続することが可能となるように、前記いくつかのサブ権利を確保し、又は、
前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザを有するグループに属するすべてのユーザが、確保されたサブ権利を利用して前記データコンテンツアイテムへのアクセスを継続することが可能となるように、前記いくつかのサブ権利を確保することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項8乃至12記載のシステムであって、
前記いくつかの利用可能なサブ権利を確保する手段は、前記付与されたアクセスを開始したユーザが、前記データコンテンツアイテムの実質的にすべてへのアクセスを完了することが予想される場合に限って実行されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項8乃至13何れか一項記載のシステムであって、さらに、
前記コンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始するユーザのみが、キャンセルすることが許可されている場合、又は、前記データコンテンツアイテムへの付与されたアクセスを開始したユーザを有するグループに属するすべてのユーザが、キャンセルすることが許可されている場合、ユーザによりいくつかの確保されたサブ権利の確保をキャンセルする手段を有し、これにより、サブ権利を解放し、前記ユーザグループについていくつかの利用可能なサブ権利をもたらすことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1乃至7何れか一項記載の方法を1以上の処理ユニットに実行される命令を格納するコンピュータ可読媒体。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−534053(P2007−534053A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504543(P2007−504543)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050942
【国際公開番号】WO2005/093545
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】