説明

コンテンツデータ取得システム

【課題】コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得する。
【解決手段】コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信する放送センタ2から、コンテンツデータを復元するに十分な部分データを取得できなかった場合には、車車間通信が可能な他車両のデータ取得装置1のうちから、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1を検索し、当該残りの部分データを車車間通信によって当該データ取得装置1から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信されたコンテンツデータを取得するコンテンツデータ取得システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレマティクスをはじめとする車載情報システムの高度化とともに、車載情報システムに対してコンテンツ配信サーバから大容量のデータ配信を行いたいというニーズが年々高まってきている。しかしながら、データ配信の手段として携帯電話網を利用した場合、個々の車載情報システムに対して双方向通信によってそれぞれコンテンツデータを送信する必要があるたため、効率的でなく、コンテンツ配信サーバに負荷がかかり過ぎたり、携帯電話網が混雑したりする等の問題が生じる。
【0003】
そこで、この問題を解決する手段として、例えば、特許文献1には、対象となるデータを構成する各部分データのダウンロード作業を複数の車載情報システムに割り振るとともに、各車載情報システムでダウンロードした各部分データを、少なくとも1つの車載情報システムで車車間通信を利用することで取得して、対象となるデータを復元する技術が開示されている。
【0004】
一方、衛星ラジオ放送のデータチャネルを利用したデータ配信では、単方向通信によって交通情報やエンターテイメント系の各種コンテンツが配信されている。また、この衛星ラジオ放送のデータチャネルとしてカーメーカ専用のチャネルを保有していれば、販売した車両に特化した車載ナビゲーション装置等の更新プログラムや車載ナビゲーション装置で使用するPOI(point of interest)情報などのコンテンツ配信を行うことも可能である。なお、衛星ラジオ放送でのデータ配信の方法としては、冗長化された細切れデータを送信する方法が知られているが、この方法によってデータ配信が行われる場合には、車載情報システムでは、上述の冗長化された細切れデータを受信することによって、コンテンツデータを復元することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−274415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、前もって複数の車載情報システムに各データ部分のダウンロード作業等の作業を割り当てて各車載情報システムに作業指示を行うため、作業指示を受けた車載情報システムのうちの1つでも車車間通信が不能なエリアに移動してしまうたびに、当該車載情報システムが担当していたデータ部分に関する作業について再びいずれかの車載情報システムに対して作業指示を行わなければコンテンツデータを復元できない。従って、特許文献1に開示の技術では、コンテンツデータの復元に必要なだけのデータを取得してコンテンツデータを復元するのに手間および時間がかかり過ぎる可能性が高いという問題点を有していた。
【0007】
また、衛星ラジオ放送での従来のデータ配信の方法では、配信データが大容量となると、コンテンツデータの復元に必要なだけのデータを取得するまでの時間がかかり過ぎるため、車載情報システムを搭載した車両をユーザが利用する時間によっては、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをなかなか取得することができず、コンテンツデータをなかなか復元できないという状況も発生していた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、コンテンツデータを配信する側の負荷をより低減するとともに、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することを可能にするコンテンツデータ取得システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のコンテンツデータ取得システムは、上記課題を解決するために、コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信する放送センタと、車両に搭載されるとともに、前記放送センタから配信される前記部分データを取得可能なデータ取得装置と、を含むコンテンツデータ取得システムであって、前記データ取得装置は、前記車両以外の前記データ取得装置が搭載された車両である他車両の当該データ取得装置との間で車車間通信によってデータの送受信が可能な車車間通信部と、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みか否か判定するデータ量判定部と、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合に、前記車車間通信が可能な前記他車両のデータ取得装置のうちから、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索する補完対象検索部と、前記補完対象検索部での検索によって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置が見つけ出された場合に、当該残りの部分データを、前記車車間通信部による車車間通信を介して当該データ取得装置から取得する第1補完部と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
これによれば、コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信するので、大容量のコンテンツデータを配信する場合であっても、コンテンツデータを双方向通信によって配信するのに比べてコンテンツデータを配信する側の負荷をより低減することができる。
【0011】
また、以上の構成によれば、コンテンツデータを復元するのに十分な部分データを放送センタから取得できなかった場合に、車車間通信が可能な他車両のデータ取得装置のうちから、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索し、検索で得られたデータ取得装置から車車間通信によって当該残りの部分データを取得してコンテンツデータを復元することになる。よって、部分データの取得先の他車両との間での車車間通信が不能になり、この他車両のデータ取得装置から部分データが取得できなくなった場合であっても、車車間通信が可能な別の他車両のデータ取得装置のうちから、この残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索して見つけ出し、このデータ取得装置からこの残りの部分データを取得しさえすれば、目的の部分データを取得することができる。従って、部分データの取得先の他車両との間での車車間通信が不能になり、この他車両のデータ取得装置から部分データが取得できなくなった場合に、新たに別の他車両のデータ取得装置においてこの部分データを放送センタから取得させる手間をかける必要がなく、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することを可能になる。
【0012】
その結果、以上の構成によれば、コンテンツデータを配信する側の負荷をより低減するとともに、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することが可能になる。
【0013】
また、以上の構成によれば、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みの他車両のデータ取得装置から、一般的に課金が発生しない車車間通信によって当該残りの部分データを取得するので、他車両のデータ取得装置に、携帯電話網等を利用した双方向通信のような課金が生じる有償の通信を用いて部分データを取得させる作業を必要としない。他車両のデータ取得装置において課金が生じる作業が必要となるシステムでは、他車両のドライバーの協力を受け難いため、汎用性に欠けることになる可能性が高いが、以上の構成によれば、他車両のデータ取得装置において課金が生じる作業が必要とならないので、他車両のドライバーの協力を受け易く、汎用性をより高めることができる。
【0014】
さらに、以上の構成によれば、放送センタから部分データを取得する前に、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みの他車両のデータ取得装置から車車間通信によって予め当該残りの部分データを取得しておき、放送センタから取得する部分データの量を減らすこともできるので、放送センタから部分データを取得する時間をより短縮することが可能になる。従って、放送センタから配信される部分データを待つ時間を短縮してユーザの利便性を向上させることも可能になる。
【0015】
また、請求項2のコンテンツデータ取得システムでは、前記第1補完部によって前記残りの部分データを取得した場合であっても、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合には、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を前記補完対象検索部によって再度検索し、前記補完対象検索部での再度の検索によって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置が見つけ出された場合には、当該残りの部分データを、前記第1補完部によって当該データ取得装置から取得することを特徴としている。
【0016】
この請求項2のように、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みの複数のコンテンツデータ取得装置から、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを順次取得していく態様としてもよい。
【0017】
また、請求項3のコンテンツデータ取得システムでは、前記コンテンツデータを分割した各部分データを双方向通信によって配信する情報センタをさらに含むとともに、前記データ取得装置は、ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力部と、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合であって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの前記情報センタからの取得を指示する旨の操作入力を前記操作入力部でユーザから受け付けた場合に、当該残りの部分データの取得を前記双方向通信によって前記情報センタに要求し、前記情報センタから当該残りの部分データを取得する第2補完部と、をさらに備えることを特徴としている。
【0018】
この請求項3のように、ユーザが望んだ場合には、放送センタからの単方向通信による部分データの取得および他車両との車車間通信による部分データの取得以外に、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの取得を双方向通信によって情報センタに要求し、情報センタから当該残りの部分データを取得することが可能な態様としてもよい。以上の構成によれば、放送センタからの単方向通信による部分データの取得および他車両との車車間通信による部分データの取得ではコンテンツデータを復元するのに十分な部分データが取得できない状態にある場合であって、例えば有償の双方向通信を利用することによって課金が発生してもユーザがコンテンツデータの早期取得を望んだ場合には、この双方向通信を利用して情報センタからコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの取得を行うことで時間的制約を解消することが可能になる。
【0019】
また、請求項4のコンテンツデータ取得システムでは、前記情報センタから前記双方向通信によって配信される前記各部分データは有償で配信されることを特徴としている。
【0020】
この請求項4のように、情報センタから双方向通信によって配信される各部分データが有償で配信される態様としてもよい。
【0021】
また、請求項5のコンテンツデータ取得システムは、上記課題を解決するために、コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信する放送センタと、ユーザが携行する携帯機に備えられるとともに、前記放送センタから配信される前記部分データを取得可能なデータ取得装置と、を含むコンテンツデータ取得システムであって、前記データ取得装置は、前記携帯機以外の前記データ取得装置が備えられた携帯機である他携帯機の当該データ取得装置との間での無線通信によってデータの送受信が可能な携帯機間通信部と、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みか否か判定するデータ量判定部と、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合に、前記無線通信が可能な前記他携帯機のデータ取得装置のうちから、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索する補完対象検索部と、前記補完対象検索部での検索によって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置が見つけ出された場合に、当該残りの部分データを、前記携帯機間通信部による無線通信を介して当該データ取得装置から取得する第1補完部と、を備えていることを特徴としている。
【0022】
これによれば、コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信するので、大容量のコンテンツデータを配信する場合であっても、コンテンツデータを双方向通信によって配信するのに比べてコンテンツデータを配信する側の負荷をより低減することができる。
【0023】
また、以上の構成によれば、コンテンツデータを復元するのに十分な部分データを放送センタから取得できなかった場合に、無線通信が可能な他携帯機のデータ取得装置のうちから、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索し、検索で得られたデータ取得装置から携帯機間の無線通信によって当該残りの部分データを取得してコンテンツデータを復元することになる。よって、部分データの取得先の他携帯機との間での無線通信が不能になり、この他携帯機のデータ取得装置から部分データが取得できなくなった場合であっても、無線通信が可能な別の他携帯機のデータ取得装置のうちから、この残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索して見つけ出し、このデータ取得装置からこの残りの部分データを取得しさえすれば、目的の部分データを取得することができる。従って、部分データの取得先の他携帯機との間での無線通信が不能になり、この他携帯機のデータ取得装置から部分データが取得できなくなった場合に、新たに別の他携帯機のデータ取得装置においてこの部分データを放送センタから取得させる手間をかける必要がなく、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することを可能になる。
【0024】
その結果、以上の構成によれば、コンテンツデータを配信する側の負荷をより低減するとともに、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することが可能になる。
【0025】
また、以上の構成によれば、放送センタから部分データを取得する前に、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みの他携帯機のデータ取得装置から無線通信によって予め当該残りの部分データを取得しておき、放送センタから取得する部分データの量を減らすこともできるので、放送センタから部分データを取得する時間をより短縮することが可能になる。従って、放送センタから配信される部分データを待つ時間を短縮してユーザの利便性を向上させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンテンツデータ取得システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】データ取得装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】データ取得装置1でのコンテンツデータの取得および復元に関連する処理のフローを示すフローチャートである。
【図4】コンテンツデータ取得システム100aの概略的な構成を示すブロック図である。
【図5】データ取得装置1aの概略的な構成を示すブロック図である。
【図6】データ取得装置1aでのコンテンツデータの取得および復元に関連する処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用されたコンテンツデータ取得システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示すコンテンツデータ取得システム100は、データ取得装置1を搭載した複数の車両(車両A、車両B、車両C)、放送センタ2、および人工衛星3を含んでいる。
【0028】
放送センタ2は、衛星ラジオ放送の放送局であって、衛星ラジオ放送のコンテンツデータを電波によって人工衛星3を介してデータ取得装置1に単方向通信によって配信するものである。また、放送センタ2は、コンテンツデータを分割するとともに冗長化(多重化)することによって得られた複数の部分データを順次送信することによってコンテンツデータの配信を行う。なお、冗長化については、周知の冗長化変換技術を用いて行うものとする。また、部分データは上述の冗長化変換技術で冗長化されているので、任意の部分データを一定の量(数)だけデータ取得装置1で受信しさえすれば元のコンテンツデータを復元できることになる。さらに、本実施形態では、例えば部分データには、元となったコンテンツデータを識別するためのコンテンツIDとこのコンテンツデータにおける各部分データを識別するためのデータIDとが付与されているものとする。
【0029】
なお、ここで言うところの単方向通信とは、データの伝送を送信側から受信側への片方向送信しかできない通信方式のことであって、一般的な放送など、単方向の伝送のみ可能な通信方式を指す。また、放送センタ2から配信するコンテンツデータとしては、ラジオ番組や楽曲の情報の他にも、交通情報や車載ナビゲーション装置等の更新プログラムや車載ナビゲーション装置で使用するPOI情報等の情報も配信可能であるものとする。
【0030】
人工衛星3は、放送センタ2から電波によって送信されてきたコンテンツデータ(詳しくは部分データ)を、円偏波された電波によって送信する放送衛星である。
【0031】
なお、本実施形態では、放送センタ2から単方向通信によって配信されるコンテンツデータの各部分データは無償で配信されるものとする。
【0032】
また、本実施形態では、放送センタ2が衛星ラジオ放送の放送局である構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、放送センタ2は、デジタルテレビジョン放送対応の放送局である構成としてもよい。また、放送センタ2の伝送手段は、上述したような衛星波によるものに限らず、地上波によるものであってもよい。なお、放送センタ2の伝送手段を地上波によるものとする場合には、人工衛星3の代わりに地上波を中継する中継局が必要となる。
【0033】
データ取得装置1は、自動車等の車両に搭載されるものであって、本実施形態では、自動車としての車両A〜Cに搭載されるものとする。また、データ取得装置1は、人工衛星3を介して放送センタ2から単方向通信によって配信される部分データの受信を行うことが可能であるとともに、他車両に搭載されたデータ取得装置1との間で車車間通信によってデータの送受信を行うことが可能なものである。
【0034】
なお、図1では、コンテンツデータ取得システム100にデータ取得装置1を搭載した3台の車両(つまり、車両A〜C)を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。データ取得装置1を搭載した車両は、コンテンツデータ取得システム100に複数台含まれていればよく、3台以外の複数台の車両が含まれている構成であってもよい。しかしながら、以降では便宜上、コンテンツデータ取得システム100にはデータ取得装置1を搭載した車両A〜Cの3台の車両が含まれるものとして説明を続ける。
【0035】
ここで、図2を用いてデータ取得装置1の概略的な構成について説明を行う。図2は、データ取得装置1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにデータ取得装置1は、衛星ラジオチューナ11、車車間通信部12、表示装置13、音声出力装置14、操作入力部15、およびこれらと接続された制御装置16を備えている。
【0036】
衛星ラジオチューナ11は、人工衛星3から円偏波された電波によって送信されてくる部分データを受信するためのチューナである。また、車車間通信部12は、他車両に搭載されたデータ取得装置1の車車間通信部12との間で無線通信によってデータの送受信を行う(つまり、車車間通信を行う)ものである。なお、車車間通信部12は、Bluetoothや無線LAN等の無線通信によってデータの送受信を行う構成とすればよい。
【0037】
表示装置13は、テキストや画像等を表示するものであって、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。なお、表示装置13として、車載ナビゲーション装置のディスプレイを利用する構成であってもよい。
【0038】
音声出力装置14は、スピーカ等から構成され、制御装置16の指示に従って音声などを出力するものである。なお、音声出力装置14として、車載ナビゲーション装置のスピーカやカーオーディオのスピーカを利用する構成であってもよい。
【0039】
操作入力部15は、例えば表示装置13と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により制御装置16へ各種機能(例えば、取得を希望するコンテンツの選択等)の操作指示を行う。なお、操作入力部15として、スイッチ操作によりリモコンセンサを介して各種指令信号を制御装置16に入力することにより、各種機能を制御装置16に対して実行させるリモコンを用いる構成としてもよい。また、操作入力部15として、マイクから入力された音声を認識し、その認識した音声に対応する制御コマンドを制御装置16へ出力することにより、各種機能を制御装置16に対して実行させる音声認識ユニットを用いる構成としてもよい。なお、操作入力部15として、車載ナビゲーション装置の操作スイッチ群やリモコンや音声認識ユニットを利用する構成であってもよい。
【0040】
制御装置16は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、R
OM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備
えられている。制御装置16は、衛星ラジオチューナ11、車車間通信部12、操作入力部15から入力された各種情報に基づき、コンテンツデータの取得および復元に関連する処理(例えば、データ量判定処理、補完対象検索処理、車車間通信補完処理、コンテンツデータ復元処理等)を実行する。
【0041】
制御装置16は、コンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みか否か判定するデータ量判定処理を実行する。よって、制御装置16は、請求項のデータ量判定部として機能する。例えば制御装置16は、衛星ラジオチューナ11で受信した部分データをもとに、当該部分データの元になったコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みか否か判定する。また、例えば制御装置16は、後述する車車間通信補完処理によって他車両のデータ取得装置1から部分データを取得した場合にも、予め取得済みの部分データと新たに取得した部分データとをもとに、当該部分データの元になったコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みか否か判定する。さらに、例えば制御装置16は、コンテンツデータの部分データを受信する前であっても、予め取得していた情報によって、ユーザが取得を希望するコンテンツデータのコンテンツIDが判明している場合には、このコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みでないものとして処理を進める。なお、ここで言うところの予め取得していた情報としては、例えば、後述するテーブルの情報や予め放送センタ2などから配信されたりするコンテンツの放送プログラムの情報等がある。
【0042】
また、制御装置16は、図示しないEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリにおいて、衛星ラジオチューナ11で受信した部分データについてのテーブルを保持するものとする。このテーブルでは、例えば、衛星ラジオチューナ11で受信した部分データの元になったコンテンツデータごとにコンテンツIDと取得済みの部分データのデータIDとが対応付けられているものとする。また、制御装置16は、取得した部分データについても、図示しないEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに保持するものとする。
【0043】
さらに、制御装置16は、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みでないと判定した場合に、車車間通信が可能な他車両のデータ取得装置1のうちから、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1を検索する補完対象検索処理を実行する。よって、制御装置16は、請求項の補完対象検索部としても機能する。なお、この検索は、他車両のデータ取得装置1の制御装置16が保持しているテーブル中のコンテンツIDおよびデータIDをもとにして行われる。詳しくは、対象とするコンテンツデータのコンテンツID(以下、対象コンテンツIDと呼ぶ)がテーブル中に含まれるとともに、自車両のデータ取得装置1の制御装置16が保持しているテーブル中の対象コンテンツIDに対応付けられていないデータIDがテーブル中の対象コンテンツIDに対応付けられている他車両のデータ取得装置1を検索によって見つけ出す。
【0044】
また、制御装置16は、上述の検索によって、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1が見つけ出された場合に、当該残りの部分データを、車車間通信部12による車車間通信を介して当該データ取得装置1から取得する車車間通信補完処理を実行する。よって、制御装置16は、請求項の第1補完部としても機能する。
【0045】
さらに、制御装置16は、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得できた場合には、取得した部分データをもとに対象とするコンテンツデータを復元するコンテンツデータ復元処理を実行し、そのコンテンツデータに応じて音声出力装置14から音声を出力させたり、表示装置13に表示を行わせたり、車載ナビゲーション装置等のプログラムを更新させたりなどする。
【0046】
次に、図3を用いて、データ取得装置1でのコンテンツデータの取得および復元に関連する処理のフローについての説明を行う。図3は、データ取得装置1でのコンテンツデータの取得および復元に関連する処理のフローを示すフローチャートである。なお、本フローは、放送センタ2から配信される部分データの取得の作業の中断などにより対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データが取得できなかった場合やこれからコンテンツデータの取得を開始しようとしている場合など、対象とするコンテンツデータの部分データが必要となったときに開始される。
【0047】
まず、ステップS1では、制御装置16が補完対象検索処理を実行して、ステップS2に移る。補完対象検索処理として、最初に、車車間通信部12を介して車車間通信を行うことが可能な他車両のデータ取得装置1を検索する。例えば、車両Aを自車両、車両A以外の車両である車両Bおよび車両Cを他車両とした場合には、車両Bのデータ取得装置1および車両Cのデータ取得装置1と車車間通信部12を介して車車間通信が確立できるか否かを試行することによって、車車間通信を行うことが可能な他車両のデータ取得装置1を検索する。
【0048】
ステップS2では、車車間通信を行うことが可能な他車両のデータ取得装置1が検索によって見つけ出された場合には、車車間通信を行うことが可能なデータ取得装置1が存在する(つまり、通信対象あり)と制御装置16が判定(ステップS2でYes)し、ステップS3に移る。また、車車間通信を行うことが可能な他車両のデータ取得装置1が検索によって見つけ出されなかった場合には、車車間通信を行うことが可能なデータ取得装置1が存在しない(つまり、通信対象なし)と制御装置16が判定(ステップS2でNo)し、ステップS5に移る。
【0049】
ステップS3では、補完対象検索処理として、続いて、車車間通信部12を介して車車間通信を行うことが可能な他車両のデータ取得装置1のうちから、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1を検索する。そして、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1が検索によって見つけ出された場合には、他車両のデータ取得装置1に補完可能な部分データが存在する(つまり、取得対象データあり)と制御装置16が判定(ステップS3でYes)し、ステップS4に移る。また、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1が検索によって見つけ出されなかった場合には、他車両のデータ取得装置1に補完可能な部分データが存在しない(つまり、取得対象データなし)と制御装置16が判定(ステップS3でNo)し、ステップS5に移る。
【0050】
ステップS4では、ステップS3での検索によって見つけ出されたデータ取得装置1のうち、上述の残りの部分データを最も多く取得済みのデータ取得装置1を対象にして制御装置16が車車間通信補完処理を実行し、ステップS6に移る。
【0051】
ステップS5では、制御装置16が放送受信処理を実行して、ステップS6に移る。放送受信処理では、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データが放送センタ2から配信されるのを一定時間の間待って、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを衛星ラジオチューナ11で受信した場合には、受信した部分データを制御装置16が取得して、ステップS6に移る。また、放送受信処理では、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを衛星ラジオチューナ11で受信できなかった場合にも、上述の一定時間が経過したときに、ステップS6に移る。なお、ここで言うところの一定時間とは任意に設定可能な時間である。
【0052】
ステップS6では、制御装置16がデータ量判定処理を実行する。そして、データ量判定処理において、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みである(つまり、必要なデータ量を取得済み)と判定した場合(ステップS6でYes)には、ステップS7に移る。また、データ量判定処理において、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みでないと判定した場合(ステップS6でNo)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0053】
ステップS7では、制御装置16がコンテンツデータ復元処理を実行して、フローを終了する。
【0054】
以上の構成によれば、コンテンツデータを分割した各部分データを放送センタ2によって単方向通信によって配信するので、大容量のコンテンツデータを配信する場合であっても、コンテンツデータを双方向通信によって配信するのに比べてコンテンツデータを配信する側の負荷をより低減することができる。
【0055】
また、以上の構成によれば、部分データの取得先の他車両との間での車車間通信が不能になり、この他車両のデータ取得装置から部分データが取得できなくなった場合であっても、車車間通信が可能な別の他車両のデータ取得装置1のうちから、この残りの部分データを取得済みのデータ取得装置1を検索して見つけ出し、このデータ取得装置1からこの残りの部分データを取得しさえすれば、目的の部分データを取得することができる。従って、部分データの取得先の他車両との間での車車間通信が不能になり、この他車両のデータ取得装置1から部分データが取得できなくなった場合に、新たに別の他車両のデータ取得装置1においてこの部分データを放送センタ2から取得させる手間をかける必要がなく、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することを可能になる。例えば、ビジネス街やショッピングモールの駐車場など車両がたくさん集まる場所では、同一メーカの車両が存在する可能性が高まるため、その環境下では、車車間通信を利用したP2P(peer to peer)ネットワークにより、上述の部分データを各車両のデータ取得装置1の間で共有することでコンテンツデータを復元するために必要な部分データの補完作業を実現し、コンテンツデータの復元までの時間短縮を行うことがより容易に実現可能となる。
【0056】
その結果、以上の構成によれば、コンテンツデータを配信する側の負荷をより低減するとともに、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することが可能になる。
【0057】
また、以上の構成によれば、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みの他車両のデータ取得装置1から、一般的に課金が発生しない車車間通信によって当該残りの部分データを取得するので、他車両のデータ取得装置1に、携帯電話網等を利用した双方向通信のような課金が生じる有償の通信を用いて部分データを取得させる作業を必要としない。他車両のデータ取得装置1において課金が生じる作業が必要となるシステムでは、他車両のドライバーの協力を受け難いため、汎用性に欠けることになる可能性が高いが、以上の構成によれば、他車両のデータ取得装置1において課金が生じる作業が必要とならないので、他車両のドライバーの協力を受け易く、汎用性をより高めることができる。
【0058】
さらに、以上の構成によれば、放送センタ2から部分データを取得する前に、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みの他車両のデータ取得装置1から車車間通信によって予め当該残りの部分データを取得しておき、放送センタ2から取得する部分データの量を減らすこともできるので、放送センタ2から部分データを取得する時間をより短縮することが可能になる。従って、放送センタ2から配信される部分データを待つ時間を短縮してユーザの利便性を向上させることも可能になる。
【0059】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図4は、本発明が適用されたコンテンツデータ取得システム100aの概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、コンテンツデータ取得システム100aは、データ取得装置1aを搭載した複数の車両(車両A、車両B、車両C)、放送センタ2、人工衛星3、コンテンツサーバ4、ネットワーク5、および基地局6を含んでいる。
【0061】
コンテンツサーバ4は、放送センタ2で配信するコンテンツデータや放送センタ2で配信済みのコンテンツデータを有している配信サーバであって、これらのコンテンツデータを分割した各部分データをネットワーク5および基地局6を介して双方向通信によってデータ取得装置1aに配信する。よって、コンテンツサーバ4は、請求項の情報センタとして機能する。なお、本実施形態では、コンテンツサーバ4から双方向通信によって配信されるコンテンツデータの各部分データは有償で配信されるものとする。
【0062】
ネットワーク5は、データ取得装置1aとコンテンツサーバ4との相互間通信を可能にする通信網である。例えば、本実施形態では、ネットワーク5は携帯電話網であるものとする。また、基地局6は、データ取得装置1aと直接交信することが可能な装置であって、ネットワーク5の末端に1つまたは複数が接続される。
【0063】
なお、本実施形態では、ネットワーク5を携帯電話網とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ネットワーク5をインターネットとする構成としてもよい。
【0064】
データ取得装置1aは、自動車等の車両に搭載されるものであって、本実施形態では、自動車としての車両A〜Cに搭載されるものとする。ここで、図5を用いてデータ取得装置1aの概略的な構成について説明を行う。図5は、データ取得装置1aの概略的な構成を示すブロック図である。図5に示すようにデータ装置1aは、衛星ラジオチューナ11、車車間通信部12、表示装置13、音声出力装置14、操作入力部15、通信モジュール17、およびこれらと接続された制御装置16aを備えている。
【0065】
データ取得装置1aは、ネットワーク5および基地局6を介したコンテンツサーバ4との双方向通信によって部分データの取得を行うことが可能である点、この双方向通信を行うための通信モジュール17を備えている点、およびこの双方向通信に関連する処理を実行する制御装置16aを制御装置16の代わりに備えている点を除けば、データ取得装置1と同様のものである。
【0066】
まず、通信モジュール17は、ネットワーク5および基地局6を介してコンテンツサーバ4との間で双方向通信を行い、コンテンツサーバ4から対象とするコンテンツデータの部分データを取得するものである。なお、例えば車両に搭載されるDCM(data communication module)等のテレマティクス通信に用いられる車載通信モジュールを通信モジュール17として用いる構成としてもよいし、例えばBluetooth(登録商標)等で接続した携帯電話機を通信モジュール17として用いる構成としてもよい。
【0067】
制御装置16aは、衛星ラジオチューナ11、車車間通信部12、操作入力部15、通信モジュール17から入力された各種情報に基づき、コンテンツデータの取得および復元に関連する処理(例えば、データ量判定処理、補完対象検索処理、車車間通信補完処理、データ要求補完処理、コンテンツデータ復元処理等)を実行する。
【0068】
制御装置16aは、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みでないと判定した場合であって、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データのコンテンツサーバ4からの取得を指示する旨の操作入力(以下、早期コンテンツ取得要求と呼ぶ)を操作入力部15でユーザから受け付けた場合に、当該残りの部分データの取得を双方向通信によってネットワーク5および基地局6を介してコンテンツサーバ4に要求し、コンテンツサーバ4から当該残りの部分データを取得するデータ要求補完処理を実行する。よって、制御装置16aは、請求項の第2補完部として機能する。
【0069】
次に、図6を用いて、データ取得装置1aでのコンテンツデータの取得および復元に関連する処理のフローについての説明を行う。図6は、データ取得装置1aでのコンテンツデータの取得および復元に関連する処理のフローを示すフローチャートである。なお、本フローは、放送センタ2から配信される部分データの取得の作業の中断などにより対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データが取得できなかった場合やこれからコンテンツデータの取得を開始しようとしている場合など、対象とするコンテンツデータの部分データが必要となったときに開始される。
【0070】
まず、ステップS11〜ステップS15は、ステップS1〜ステップS5と同様の処理を行うため、説明を省略する。
【0071】
続いて、ステップS16では、制御装置16aがデータ量判定処理を実行する。そして、データ量判定処理において、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みである(つまり、必要なデータ量を取得済み)と判定した場合(ステップS16でYes)には、ステップS22に移る。また、データ量判定処理において、対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データを取得済みでないと判定した場合(ステップS16でNo)には、ステップS17に移る。
【0072】
ステップS17では、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データをコンテンツサーバ4から双方向通信によって取得するか否かをユーザに問い合わせる表示や音声出力を、制御装置16aが表示装置13や音声出力装置14に行わせる。例えば「コンテンツの取得完了までに時間がかかりますが、料金を支払ってコンテンツの早期取得を行いますか」等のコンテンツの早期取得の要否を問い合わせる内容の表示や音声出力を、制御装置16aが表示装置13や音声出力装置14に行わせ、ユーザからの早期コンテンツ取得要求を促す構成としてもよい。このようにしてコンテンツの早期取得の要否をユーザに問い合わせた後に、操作入力部15で早期コンテンツ取得要求を受け付けたか否かを制御装置16aが判定する。そして、早期コンテンツ取得要求を受け付けた(つまり、早期コンテンツ取得要求あり)と判定した場合(ステップS17でYes)には、ステップS18に移る。また、早期コンテンツ取得要求を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS17でNo)には、ステップS11に戻ってフローを繰り返す。
【0073】
ステップS18では、通信モジュール17によってコンテンツサーバ4との双方向通信が可能か否かを制御装置16aが判定する。通信モジュール17によってコンテンツサーバ4との双方向通信が可能か否かについては、通信モジュール17が基地局6の通信圏内か否かに応じて判定する。そして、コンテンツサーバ4との双方向通信(以下、センタ通信と呼ぶ)が可能と判定した場合(ステップS18でYes)には、ステップS19に移る。また、センタ通信が可能と判定しなかった場合(ステップS18でNo)には、ステップS11に戻ってフローを繰り返す。
【0074】
ステップS19では、制御装置16aが必要データ算出処理を行って、ステップS20に移る。必要データ算出処理では、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの量を制御装置16aが算出する。
【0075】
ステップS20では、制御装置16aが必要データ取得処理を行って、ステップS21に移る。必要データ取得処理では、必要データ算出処理で算出した分の量の部分データを通信モジュール17によってコンテンツサーバ4に要求し、当該部分データの取得を行う。
【0076】
ステップS21では、必要データ算出処理で算出した分の量の部分データが必要データ取得処理によって取得できた(つまり、データ取得成功)か否かを制御装置16aが判定する。そして、データ取得成功と判定した場合(ステップS21でYes)には、ステップS22に移る。また、データ取得成功と判定しなかった場合(ステップS21でNo)には、ステップS11に戻ってフローを繰り返す。
【0077】
ステップS22では、制御装置16aがコンテンツデータ復元処理を実行して、フローを終了する。
【0078】
なお、本実施形態では、補完対象検索処理において、データ取得装置1aに限らず、データ取得装置1も検索の対象とする構成としてもよい。また、車車間通信補完処理において、データ取得装置1aに限らず、データ取得装置1も部分データの取得の対象とする構成としてもよい。
【0079】
以上の構成によれば、コンテンツデータ取得システム100aにおいても、コンテンツデータ取得システム100と同様に、コンテンツデータを配信する側の負荷をより低減するとともに、コンテンツデータを復元するために必要なだけのデータをより容易、且つ、より短時間に取得することが可能になる。
【0080】
さらに、以上の構成によれば、放送センタ2からの単方向通信による部分データの取得および他車両との車車間通信による部分データの取得では対象とするコンテンツデータを復元するのに十分な部分データが取得できない状態にある場合であって、有償の双方向通信を利用することによって課金が発生してもユーザがコンテンツサーバ4からのコンテンツデータの早期取得を望んだ場合には、この双方向通信を利用してコンテンツサーバ4から、対象とするコンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの取得を行うことで時間的制約を解消することができる。
【0081】
なお、前述の実施形態では、本発明を車両に搭載される機器に適用した例を示したが、必ずしもこれに限らず、本発明をユーザに携行される携帯電話機やPDA(personal digital assistant)等の携帯通信端末に適用する構成としてもよい。また、この場合には、データ取得装置1と同様の装置を携帯通信端末に備えるとともに、車車間通信部12の代わりに携帯通信端末同士でデータの送受信を行うための通信部を備え、携帯通信端末同士の無線通信によって前述の部分データを補完する構成とすればよい。よって、携帯通信端末は請求項の携帯機として機能し、上述の通信部は請求項の携帯機間通信部として機能する。
【0082】
また、前述の実施形態では、コンテンツデータの部分データは、冗長化されたデータである構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、コンテンツデータの部分データが冗長化されたデータでない構成であってもよい。なお、この場合には、一定の量(数)だけ部分データを取得するだけではコンテンツデータを復元することはできず、コンテンツデータを分割して得られた各部分データが全て必要となる。よって、この場合には、コンテンツIDおよびデータIDをもとにして、コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの種類までを特定し、必要な種類の部分データを取得する構成とすればよい。
【0083】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1・1a データ取得装置、2 放送センタ、3 人工衛星、4 コンテンツサーバ(情報センタ)、5 ネットワーク、6 基地局、11 衛星ラジオチューナ、12 車車間通信部、13 表示装置、14 音声出力装置、15 操作入力部、16 制御装置(データ量判定部、補完対象検索部、第1補完部)、16a 制御装置(データ量判定部、補完対象検索部、第1補完部、第2補完部)、17 通信モジュール、100・100a コンテンツデータ取得システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信する放送センタと、
車両に搭載されるとともに、前記放送センタから配信される前記部分データを取得可能なデータ取得装置と、を含むコンテンツデータ取得システムであって、
前記データ取得装置は、
前記車両以外の前記データ取得装置が搭載された車両である他車両の当該データ取得装置との間で車車間通信によってデータの送受信が可能な車車間通信部と、
前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みか否か判定するデータ量判定部と、
前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合に、前記車車間通信が可能な前記他車両のデータ取得装置のうちから、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索する補完対象検索部と、
前記補完対象検索部での検索によって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置が見つけ出された場合に、当該残りの部分データを、前記車車間通信部による車車間通信を介して当該データ取得装置から取得する第1補完部と、を備えていることを特徴とするコンテンツデータ取得システム。
【請求項2】
前記第1補完部によって前記残りの部分データを取得した場合であっても、前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合には、
前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を前記補完対象検索部によって再度検索し、
前記補完対象検索部での再度の検索によって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置が見つけ出された場合には、当該残りの部分データを、前記第1補完部によって当該データ取得装置から取得することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータ取得システム。
【請求項3】
前記コンテンツデータを分割した各部分データを双方向通信によって配信する情報センタをさらに含むとともに、
前記データ取得装置は、
ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合であって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データの前記情報センタからの取得を指示する旨の操作入力を前記操作入力部でユーザから受け付けた場合に、当該残りの部分データの取得を前記双方向通信によって前記情報センタに要求し、前記情報センタから当該残りの部分データを取得する第2補完部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツデータ取得システム。
【請求項4】
前記情報センタから前記双方向通信によって配信される前記各部分データは有償で配信されることを特徴とする請求項3に記載のコンテンツデータ取得システム。
【請求項5】
コンテンツデータを分割した各部分データを単方向通信によって配信する放送センタと、
ユーザが携行する携帯機に備えられるとともに、前記放送センタから配信される前記部分データを取得可能なデータ取得装置と、を含むコンテンツデータ取得システムであって、
前記データ取得装置は、
前記携帯機以外の前記データ取得装置が備えられた携帯機である他携帯機の当該データ取得装置との間での無線通信によってデータの送受信が可能な携帯機間通信部と、
前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みか否か判定するデータ量判定部と、
前記コンテンツデータを復元するのに十分な前記部分データを取得済みでないと前記データ量判定部で判定した場合に、前記無線通信が可能な前記他携帯機のデータ取得装置のうちから、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置を検索する補完対象検索部と、
前記補完対象検索部での検索によって、前記コンテンツデータを復元するのに必要な残りの部分データを取得済みのデータ取得装置が見つけ出された場合に、当該残りの部分データを、前記携帯機間通信部による無線通信を介して当該データ取得装置から取得する第1補完部と、を備えていることを特徴とするコンテンツデータ取得システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−220050(P2010−220050A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66502(P2009−66502)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】