説明

コンテンツ配信システム

【課題】広域の通信インフラが整備されていない地域においても、一定のルートで移動する乗り物を介してコンテンツを各停留所に配信することが可能なコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】基地局に設けたサーバ1が、コンテンツを記憶するサーバ側コンテンツ記憶手段12と、コンテンツ記憶手段12で記憶されているコンテンツをバス側端末2に送信可能なサーバ側通信手段14とを備え、路線バスに設けたバス側端末2が、サーバ側通信手段14から送信されたコンテンツを受信してそのコンテンツをバス停に設けたバス停側端末3に対して送信可能なバス側通信手段21とを備え、バス停側端末3が、バス側通信手段21から送信されたコンテンツを受信可能なバス停側通信手段32と、受信したコンテンツを再生するコンテンツ再生手段34とを備えたコンテンツ配信システムSを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定のルートで移動する例えば路線バス等の乗り物を利用して種々の情報を配信可能なコンテンツ配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報技術の飛躍的な進歩に伴い、整備された通信インフラを利用して様々な環境下にいる人(利用者)に対して画像や音声等から構成されるデジタルデータであるコンテンツを配信することが可能な種々のコンテンツ配信システムが開発されている。
【0003】
そのなかでも、路線バスや鉄道等の交通インフラと整備された通信インフラとを利用し、基地局や主要な停車場または主要駅等に設けた配信サーバから、バスや駅等の乗り物に搭載した通信装置に無線通信で種々の情報を配信できるようにしたコンテンツ配信システムの構築が試みられている。その一例としては、路線バスの運用区間を利用し、基地局、路線バス及びバス停を相互通信可能に接続して、継続的なアクセス環境を実現し、バスの利用者に対して、ニュース情報やバス停等の場所に応じた地域情報等を提供しようとする試みが挙げられる(非特許文献1参照)。この試みは、バス経路上に複数箇所設置された基地局、バス、バス停の各通信機器を無線通信で(無線LANやPHSを利用して)個別にインターネットに接続し、これら通信機器により受信したコンテンツをバスの車内やバス停に設けた表示装置に表示しようとするものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】盛岡仁志、外3名、「福岡ITバス実証実験」、情報処理学会研究報告、社団法人情報処理学会、2006年9月14日、第96巻、第96号、p7−11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したようなコンテンツ配信システムは、基地局と、バスやバス停に搭載・設置した通信機器とを相互通信可能に接続した広域の通信インフラが整備されていることが大前提となり、このような広域の通信インフラが整備されていない地域では活用不可能なものである。
【0006】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、広域の通信インフラが整備されていない地域においても、一定のルートで移動する乗り物を介してコンテンツを各停留所に配信することが可能なコンテンツ配信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、基地局に設けたサーバと、一定のルートで移動する乗り物に設けられ、且つサーバとの間でコンテンツを無線通信で送受信可能な乗り物側情報処理端末と、乗り物が停留し得る停留所に設けられ、且つ乗り物側情報処理端末からコンテンツを無線通信で受信可能な停留所側情報処理端末とによって構築したコンテンツ配信システムである。
【0008】
ここで、本発明の「乗り物」とは、一定のルートで定期的または不定期的に移動するものであればよく、路線バスや電車(路面電車含む)、フェリーは勿論のこと、ある目的物を個人宅または会社等に送り届ける役割を果たす乗り物(例えば、郵便配達車や宅配車、或いは新聞配達車または牛乳配達車等)も包含する。また、「停留所」とは、乗り物の種類に応じて適宜設定される停留ポイント(例えば、バス停、駅、フェリー乗降場等)を意味する。また、「コンテンツ」とは、画像、テキスト、音声、スクリプトの何れかの単独又は組み合わせから構成されるデジタルデータであり、画像には、静止画像、動画像の何れをも含む。
【0009】
そして、本発明のコンテンツ配信システムは、サーバとして、コンテンツを記憶・蓄積するコンテンツ記憶手段と、コンテンツ記憶手段で記憶・蓄積されているコンテンツを乗り物側情報処理端末に対して無線通信で送信可能なサーバ側通信手段とを備えたものを適用し、乗り物側情報処理端末として、サーバ側通信手段から送信されたコンテンツを無線通信で受信可能であり、且つ受信したコンテンツを停留所側情報処理端末に対して無線通信で送信可能な乗り物側通信手段とを備えたものを適用し、さらに、停留所側情報処理端末として、乗り物側通信手段から送信されたコンテンツを無線通信で受信可能な停留所側通信手段と、停留所側通信手段で受信したコンテンツを再生するコンテンツ再生手段とを備えたものを適用していることを特徴としている。
【0010】
ここで「コンテンツ再生手段」としては、画像やテキストをディスプレイに表示する態様(表示出力)や、音声をスピーカから発する態様(音声出力)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。また、サーバのコンテンツ記憶手段が記憶・蓄積するコンテンツは、サーバ内で作成・編集したコンテンツ、またはサーバ外で作成・編集された後にサーバに対して送信されたコンテンツの何れであってもよい。
【0011】
このようなコンテンツ配信システムであれば、基地局のサーバに記憶・蓄積されているコンテンツを、一定のルートで運行する乗り物に設けた乗り物側情報処理端末に送信し、さらに乗り物側情報処理端末から、停留所に設けた停留所側情報処理端末に無線通信で配信するようにしているため、停留所側情報処理端末が点在する固定アクセスポイントとして機能し、乗り物側情報処理端末と停留所側情報処理端末との無線通信が可能な領域内に乗り物が停止または通過すれば、停留所側情報処理端末は停留所側通信手段によって乗り物側情報処理端末からコンテンツを受信することができ、停留所のコンテンツ再生手段でコンテンツを再生(出力)することにより、停留所を利用する人(利用者)はコンテンツを容易に得ることができる。したがって、基地局と各停留所とが相互通信可能に接続されていなかったり、停留所同士が相互通信可能に接続されていない通信インフラ環境下にある地域、つまり広域の通信インフラが整備されていない地域であっても、基地局に記憶・蓄積されているコンテンツを乗り物を介して各停留所の利用者に提供・配信することができる。
【0012】
特に、本発明のコンテンツ配信システムでは、サーバとして、各乗り物に付した固有の識別子を検知可能な乗り物検知手段をさらに備えたものを適用し、コンテンツ記憶手段が、各コンテンツをそれぞれ送信すべき乗り物の識別子に関連付けて記憶・蓄積するものとし、サーバ側通信手段が、コンテンツ記憶手段で記憶・蓄積されているコンテンツのうち、乗り物検知手段で検知した乗り物の識別子に関連付けて記憶・蓄積しているコンテンツを乗り物側情報処理端末に対して送信可能なものとすることが好適である。このように構成すれば、各乗り物が移動するルート毎、あるいは各乗り物が停留する停留所毎に配信対象を絞ったコンテンツを効率良く配信することができる。
【0013】
さらに、停留所にそれぞれ固有の識別子を付しておき、サーバのコンテンツ記憶手段として、各コンテンツを送信すべき停留所の識別子を乗り物の識別子とともにコンテンツに関連付けて記憶・蓄積するものを適用し、乗り物側通信手段として、各停留所側通信手段に対して停留所の識別子に関連付けられているコンテンツを送信するものを適用すれば、各停留所毎にピンポイントのコンテンツを配信することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、広域の通信インフラが整備されていない地域においても、一定のルートで移動する乗り物を利用してサーバに記憶・蓄積しているコンテンツを停留所に配信可能なコンテンツ配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの全体構成図。
【図2】同実施形態に係るコンテンツ配信システムの機能ブロック図。
【図3】同実施形態に係るコンテンツ配信システムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るコンテンツ配信システムSは、図1に示すように、バス停C(本発明の「停留場」に相当)を利用する者(利用車)に、基地局Aに設置したサーバ1に記憶・蓄積されているコンテンツを、路線バスB(本発明の「乗り物」に相当)を介して提供するシステムである。ここで「コンテンツ」とは、画像、テキスト、音声、スクリプトの単独又は組み合わせからなるデジタルデータであり、画像には、静止画像、動画像の何れをも含む。
【0018】
このコンテンツ配信システムSは、基地局Aに設けたサーバ1と、一定のルートを定期的に運行する路線バスBに設けられ、且つサーバ1との間で無線通信可能なバス側情報処理端末2(本発明の「乗り物側情報処理装置」に相当)と、各バス停Cに設けられ、且つバス側情報処理端末2との間で無線通信可能なバス停側情報処理端末3(本発明の「停留場側情報処理装置」に相当)とによって構築される。
【0019】
本実施形態に係るコンテンツ配信システムSにおいて基地局Aは1箇所あれば十分であるが、複数箇所に基地局を設置することを妨げるものではない。基地局Aに設けたサーバ1は、演算機能、通信機能等を備えた汎用又は専用のサーバコンピュータ或いはパーソナルコンピュータ等を用いて構成することができ、内部メモリやHDD等の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、CPUや通信インタフェース、その他の各構成部品や各要素を作動させることによって、図2に示すように、コンテンツ編集手段11と、サーバ側コンテンツ記憶手段12(本発明の「コンテンツ記憶手段」に相当)と、サーバ側バス検知手段13(本発明の「乗り物検知手段」に相当)と、サーバ側通信手段14としての機能を少なくとも有するものである。
【0020】
コンテンツ編集手段11は、種々のデータを基にしてコンテンツを作成・編集するものである。また、本実施形態では、各バスBにそれぞれ固有の識別子を付しておくとともに(具体的には各バス側情報処理端末2に固有の識別子情報を対応付けておく)、各バス停Cにもそれぞれ固有の識別子を付しておく(具体的には各バス停側情報処理端末3に固有の識別子情報を対応付けておく)。そして、コンテンツ編集手段11では、コンテンツの分野毎や地域毎等に応じて当該コンテンツを配信する対象を経路単位(バスB単位)やバス停C単位で絞ることができるように、作成・編集したコンテンツに、配信対象となるバスBの識別子に関する情報(バス識別子情報)や、バス停Cの識別子に関する情報(バス停識別子情報)を関連付けている。
【0021】
サーバ側コンテンツ記憶手段12は、例えばHDD等の記憶装置1a(図1参照)を用いて構成され、コンテンツ編集手段11で編集されたコンテンツを記憶装置1aに記憶・蓄積するものである。なお、サーバ1以外の外部の情報処理装置等から送信されたコンテンツもこのサーバ側コンテンツ記憶手段12で記憶・蓄積することが可能である。また、サーバ側コンテンツ記憶手段12で記憶・蓄積しているコンテンツには、上述したようにバス識別子情報及びバス停側識別子情報を関連付けて記憶させている。
【0022】
サーバ側バス検知手段13は、基地局Aで停車したバスBを検知するものである。本実施形態では、次に説明するサーバ側通信手段14を構成する無線通信機器1b(無線モデム、図1参照)を用いてサーバ側バス検知手段13を構成している。
【0023】
サーバ側通信手段14は、サーバ側コンテンツ記憶手段11で記憶・特席されているコンテンツをバス側情報処理端末2に対して無線通信で送信可能なものである。本実施形態では、無線通信で送受信可能な無線通信機器1b(無線モデム、図1参照)を用いてサーバ側通信手段14を構成している。
【0024】
バス側情報処理端末2は、演算機能、通信機能等を備えた汎用又は専用の情報処理装置等を用いて構成され、内部メモリやHDD等の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、CPUや通信インタフェース、その他の各構成部品や各要素を作動させることによって、図2に示すように、バス側通信手段21(本発明の「乗り物側通信手段」に相当)と、バス側コンテンツ記憶手段22としての機能を少なくとも有するものである。
【0025】
バス側通信手段21は、サーバ1のサーバ側通信手段14から送信されたコンテンツを受信可能なものであり、且つ受信したコンテンツ或いはバス側コンテンツ記憶手段22で記憶・蓄積しているコンテンツをバス停側情報処理端末3に対して無線通信で送信可能なものである。本実施形態では、無線通信で送受信可能な無線通信機器2b(無線モデム、図1参照)を用いてバス側通信手段21を構成している。
【0026】
バス側コンテンツ記憶手段22は、例えばHDD等の記憶装置2a(図1参照)を用いて構成され、バス側通信手段21で受信したコンテンツを記憶装置2aに記憶・蓄積するものである。また、バス側コンテンツ記憶手段22で記憶・蓄積しているコンテンツには、上述したようにバスBの識別子情報及びバス停Cの識別子情報も関連付けて記憶されている。
【0027】
バス停側情報処理端末3は、演算機能、通信機能等を備えた汎用又は専用の情報処理装置等を用いて構成され、内部メモリやHDD等の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、CPUや通信インタフェース、その他制御部の各構成部品や各要素を作動させることによって、図2に示すように、バス停側バス検知手段31と、バス停側通信手段32(本発明の「停留所側通信手段」)と、バス停側コンテンツ記憶手段33と、コンテンツ再生手段34としての機能を少なくとも有するものである。
【0028】
バス停側バス検知手段31は、バス停Cで停車したバスBを検知するものである。本実施形態では、次に説明するバス停側通信手段32を構成する無線通信機器3b(無線モデム、図1参照)を用いてバス停側バス検知手段31を構成している。
【0029】
バス停側通信手段32は、バス側情報処理端末2のバス側通信手段21から送信されたコンテンツを受信可能なものである。本実施形態では、無線通信で送受信可能な無線通信機器3b(無線モデム、図1参照)を用いてバス停側通信手段32を構成している。
【0030】
バス停側コンテンツ記憶手段33は、例えばHDD等の記憶装置3a(図1参照)を用いて構成され、バス停側通信手段32で受信したコンテンツを記憶装置3aに記憶・蓄積するものである。
【0031】
コンテンツ再生手段34は、バス停Cの所定箇所に配置されたディスプレイ3d(図1参照)を用いて構成され、バス停側通信手段32で受信し、バス停側コンテンツ記憶手段33で記憶・蓄積されているコンテンツをディスプレイ3dに表示するものである。なお、ディスプレイ3dはバス停側情報処理端末3に接続されている。また、このディスプレイ3dにはスピーカが内蔵または外部接続されており、コンテンツが音声単体、または音声を含むものである場合には、当該コンテンツに対応する音声をスピーカから発するように構成している。
【0032】
次に、図3を参照しながら、上述した構成をなすコンテンツ配信システムSにおけるサーバ1及び各情報処理端末(バス側情報処理端末2、バス停側情報処理端末3)の処理手順をコンテンツの流れに沿って説明する。なお、図3において、相対的に太い線で示す矢印はコンテンツの流れを示すものであり、相対的に細い線で示す矢印はコンテンツ配信システムSの処理の流れを示すものである。
【0033】
予め各バスBには、それぞれ固有の識別子が付帯されており、基地局Aでは、各識別子毎に、運行する経路やバスBの種別(各駅に停車する普通バス、停車駅を少なく設定した快速バスB等)を関連付けて記憶・管理している。また、サーバ側コンテンツ記憶手段12では、コンテンツ編集手段11で編集したコンテンツや、外部から送信されてきたコンテンツを、それぞれ配信対象となるバスBの識別子情報と共に記憶・蓄積している。
【0034】
そして、バスBが基地局A外から基地局A内に進入して停車すると、サーバ1が、サーバ側バス検知手段13によってバスBを検知する(ステップS1、以下「ステップ」のことを「S」と略す)。サーバ側バス検知手段13によってバスBを検知したか否かは、サーバ1の無線通信機器1bとバス側情報処理端末2の無線通信機器2bとによる通信が成功したか否かによって判別することができる。なお、サーバ1は、バスBを検知した際に、このバスBに付帯された識別子情報も検知する。サーバ側バス検知手段13によってバスBを検知した場合(S1;Y)、サーバ1は、サーバ側コンテンツ記憶手段12で記憶・蓄積されているコンテンツのうち、サーバ側バス検知手段13で検知したバスBの識別子情報に関連付けて記憶・蓄積されているコンテンツをサーバ側通信手段14により無線通信でバス側情報処理端末2に送信する(S2)。
【0035】
次いで、バス側情報処理端末2は、サーバ1のサーバ側通信手段14から送信されたコンテンツをバス側通信手段21により無線通信で受信し(S3)、バス側コンテンツ記憶手段22により記憶装置2aに記憶・蓄積する(S4)。この状態で、バスBは基地局Aを出発して所定の経路上を移動し、決められたバス停Cに停車する。
【0036】
バスBがバス停Cに進入して停車すると、バス停側情報処理端末3は、バス停側バス検知手段31によりバスBの存在を検知する(S4)。バス停側バス検知手段31によってバスBを検知したか否かは、バス停側情報処理端末3の無線通信機器3bとバス側情報処理端末2の無線通信機器2bとによる通信が成功したか否かによって判別することができる。バス停側バス検知手段31によってバスBを検知した場合(S4;Y)、バス側情報処理端末2がバス側通信手段21により、バス側コンテンツ記憶手段22で記憶・蓄積されているコンテンツのうち、当該バス停3の識別子情報に関連付けて記憶・蓄積されているコンテンツをバス停側情報処理端末3に無線通信で送信する(S5)。すると、バス停側情報処理端末3は、バス側情報処理端末2のバス側通信手段21から送信されたコンテンツをバス停側通信手段32により無線通信で受信し(S6)、バス停側コンテンツ記憶手段33により記憶装置3aに記憶・蓄積するとともに、このコンテンツをコンテンツ再生手段34によりディスプレイ3dに表示する(S7)。また、コンテンツが音声を含むものである場合、その音声をスピーカから発する。
【0037】
以上のような処理手順を経ることによって、各バス停Cにコンテンツを配信することができ、バス停Cを利用する人にコンテンツを提供することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るコンテンツ配信システムSは、基地局Aのサーバ1におけるサーバ側コンテンツ記憶手段12に定期的または不定期的に新しいコンテンツを記憶・蓄積するように構成し、ルートを巡回して基地局Aに戻ってきたバスBのバス側情報処理端末2に対しては、当該バスBのバス側コンテンツ記憶手段22に既に記憶・蓄積されているコンテンツよりも新しいコンテンツのみをサーバ側通信手段14によって送信し、バス側コンテンツ記憶手段22に記憶・蓄積されているコンテンツを更新するようにしている。そして、基地局Aを再度出発したバス2が同じ経路上を移動しながらバス停Cに停車する度に、バス側情報処理端末2及びバス停側情報処理端末3が上述したステップ(S4〜S7)を繰り返す。これにより、バス停側情報処理端末3のディスプレイ3dには、更新されたコンテンツが表示される。
【0039】
このように、本実施形態に係るコンテンツ配信システムSは、一定の経路を定期的に運行する路線バスBを利用して、基地局Aのサーバ1には無線通信で接続されていない各バス停Cのバス側情報処理端末2にコンテンツを配信して、バス停利用者に当該コンテンツを提供することができる。したがって、広域な通信インフラが整備されていない地域においても、基地局Aに記憶・蓄積されているコンテンツを各バス停Cの利用者に提供・配信することができる。
【0040】
特に、本実施形態のコンテンツ配信システムSでは、サーバ側コンテンツ記憶手段12として、各コンテンツを送信すべきバスBの識別子情報やバス停Cの識別子情報をそれぞれのコンテンツに関連付けて記憶・蓄積するものを適用しているため、コンテンツを配信する対象を「経路」や「バス停」単位で絞ることが可能になり、地域限定の広告やニュース、運行時刻表、運行情報等に関するコンテンツを該当する地域やバス停にピンポイントで配信することができる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、乗り物としてバスを適用し、停留所としてバス停を適用した態様を例示したが、本発明のコンテンツ配信システムは、一定のルートで移動する乗り物を利用してこの乗り物が停留し得る停留所にコンテンツを配信するものであれば広く適用可能なものである。したがって、乗り物として、電車(路面電車含む)やフェリーを採用するとともに、停留所として、駅やフェリー停泊所(フェリー乗降場)を採用することができる。また、乗り物として、郵便配達車や宅配車、或いは新聞配達車または牛乳配達車等、一定のルートに沿ってある目的物を個人宅または会社等に送り届ける役割を果たす乗り物を適用してもよい。また、一定のルートで不定期的に移動する乗り物(臨時バスや臨時列車、臨時宅配車等)を利用することもできる。
【0042】
また、サーバ側コンテンツ記憶手段が、乗り物の識別子情報に関連付けたコンテンツを記憶・蓄積するものや、或いは乗り物の識別子情報及び停留所の識別子情報の何れも関連付けていないコンテンツを記憶・蓄積するものであってもよい。
【0043】
また、乗り物側情報処理端末が、サーバから受信したコンテンツを車内(フェリーであれば船内)に再生するコンテンツ再生手段を備えたものであってもよい。コンテンツ再生手段としては、ディスプレイに画像やテキストを表示する態様、スピーカから音声を発する態様の何れか又はこれらを組み合わせた態様が挙げられる。このようにすれば、該当の停留所では乗降しないが乗り物に乗っている人にもコンテンツを提供することができる。
【0044】
また、乗り物が停留所に停車した場合のみならず、停留所に停車することなく通過(徐行含む)した場合にも乗り物側情報処端末と停留所側情報処理端末との間で無線通信によりコンテンツを送受信できるようにしてもよい。
【0045】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…サーバ
12…コンテンツ記憶手段(サーバ側コンテンツ記憶手段)
14…サーバ側通信手段
2…乗り物側情報処理端末(バス側情報処理端末)
21…乗り物側通信手段(バス側通信手段)
3…停留所側情報処理端末(バス停側情報処理端末)
32…停留所側通信手段(バス停側通信手段)
34…コンテンツ再生手段
A…基地局
B…乗り物(バス)
C…停留所(バス停)
S…コンテンツ配信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局に設けたサーバと、
一定のルートで移動する乗り物に設けられ、且つ前記サーバとの間でコンテンツを無線通信で送受信可能な乗り物側情報処理端末と、
前記乗り物が停留し得る停留所に設けられ、且つ前記乗り物側情報処理端末から前記コンテンツを無線通信で受信可能な停留所側情報処理端末とによって構築し、
前記サーバが、
コンテンツを記憶・蓄積するコンテンツ記憶手段と、
当該コンテンツ記憶手段で記憶・蓄積されているコンテンツを前記乗り物側情報処理端末に対して無線通信で送信可能なサーバ側通信手段とを備えたものであり、
前記乗り物側情報処理端末が、
前記サーバ側通信手段から送信されたコンテンツを無線通信で受信可能であり、且つ受信したコンテンツを前記停留所側情報処理端末に対して無線通信で送信可能な乗り物側通信手段とを備えたものであり、
前記停留所側情報処理端末が、
前記乗り物側通信手段から送信されたコンテンツを無線通信で受信可能な停留所側通信手段と、
当該停留所側通信手段で受信したコンテンツを再生するコンテンツ再生手段とを備えたものであることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記サーバが、前記各乗り物に付した固有の識別子を検知可能な乗り物検知手段をさらに備えたものであり、
前記コンテンツ記憶手段が、前記各コンテンツを送信すべき前記乗り物の前記識別子をコンテンツに関連付けて記憶・蓄積するものであり、
前記サーバ側通信手段が、前記コンテンツ記憶手段で記憶・蓄積されているコンテンツのうち、前記乗り物検知手段で検知した乗り物の識別子に関連付けて記憶・蓄積しているコンテンツを前記乗り物側情報処理端末に対して送信可能なものである請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記停留所にそれぞれ固有の識別子を付しておき、
前記サーバの前記コンテンツ記憶手段に、前記各コンテンツを送信すべき前記停留所の前記識別子を前記乗り物の識別子とともにコンテンツに関連付けて記憶・蓄積するものであり、
前記乗り物側通信手段が、各停留所側通信手段に対して、当該停留所の識別子に関連付けられているコンテンツを送信するものである請求項2に記載のコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113207(P2011−113207A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267737(P2009−267737)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】