説明

コンデンサモジュール

【課題】配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保し、簡便な構成で小型化が可能なコンデンサモジュールを提供する。
【解決手段】正極端子103b及び負極端子103aから成る電極端子を各々有して並置された複数のコンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cを備え、複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサは、各々の電極端子同士を隣接させ、かつ隣接させた電極端子が同極である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサモジュールに関し、特に、コンデンサモジュールを構成する複数のコンデンサが近接されて配置されたコンデンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関であるエンジンと電動機であるモータとを駆動力源として備えるハイブリッド車両が広く普及してきた。かかるハイブリッド車両には、バッテリから供給される直流電力を交流電力流に変換してモータに供給すると共に、モータの回生動作によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリに蓄電するパワードライブユニットが設けられている。
【0003】
パワードライブユニットは、典型的には、バッテリから供給される直流電流を平滑化するコンデンサモジュールと、コンデンサモジュールによって平滑化された直流電流を交流電流に変換するパワーモジュールと、を備える。このようなパワードライブユニットでは、より大きな容量を有するコンデンサモジュールが必要になってきているため、複数のコンデンサによってコンデンサモジュールを構成することによって、コンデンサモジュールの容量を増加させる構成が提案されて来ている。
【0004】
特許文献1は、インバータに関し、平滑用のコンデンサ群から成るコンデンサユニット13を上下に多段に筐体12に収納すると共に、コンデンサユニット13の背部に正極バスバー8A、8Cと負極バスバー9Aとを立設し、コンデンサユニット13の正極端子を正極バスバー8Cに接続し、コンデンサユニット13の負極端子を負極バスバー9Aに接続した構成を開示する。
【0005】
特許文献2は、半導体電力変換装置に関し、8個のコンデンサ11a〜12dの端子11a1、11a2、…、12d1、12d2が同じ平面になるように2列に配置されている。具体的には、各コンデンサの片端子11a2、12a1、11c2、12c1、12b1、11b2、12d1及び11d2については、中間導体42に接続されている。そして残った端子については、同じ列のコンデンサの半分(例えば11a及び11c)の端子11a1及び11c1は正極導体41に接続され、残ったコンデンサ(12a及び12c)の端子12a2及び12c2は負極導体43に接続されていると共に、3つの導体41、42及び43は、各々が絶縁された状態で積層された構成を開示する。なお、かかる構成は、他方の列のコンデンサについても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−207746号公報
【特許文献2】特開2001−245480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1及び特許文献2においては、複数のコンデンサが、隣接する端子の組が正極端子と負極端子との異極端子の組になるように配置されている。
【0008】
具体的には、特許文献1の構成では、図2に示すように、複数のコンデンサ4aの正極端子と負極端子との向きを揃え、隣接するコンデンサ4aの正極端子と負極端子との間を
短冊状のバスバー8aで接続している。また、特許文献2の構成では、図1(b)に示すように、正極端子と負極端子との向きを揃えて複数のコンデンサ11a〜11d、12a〜12dを配置している。また、各端子が対応して接続される導体41、42及び43は、各々が絶縁された状態で積層される必要がある。
【0009】
このため、かかる構成によれば、コンデンサ間のクリアランスを考慮して複数のコンデンサの配置する必要があるために、複数のコンデンサの配置密度を上げて小型化を図ることが困難な傾向がある。また、各端子が対応して接続される接続部間には、絶縁部材を配する必要も生じて、構成が煩雑になる傾向もある。
【0010】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保し、簡便な構成で小型化が可能なコンデンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような目的を達成するため、本発明は、第1の局面においては、正極端子及び負極端子から成る電極端子を各々有して並置された複数のコンデンサを備え、前記複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサは、各々の前記電極端子同士を同極同士となるように隣接させたことを特徴とするコンデンサモジュールである。
【0012】
また本発明は、第1の局面に加えて、前記電極端子は、前記複数のコンデンサの各々の第1の面から立設して配設されており、前記正極端子は、前記第1の面における第1の周辺部に配設される一方で、前記負極端子は、前記第1の面における前記第1の周縁部から対向して離隔した第2の周縁部に配設され、かつ前記複数のコンデンサは、前記第1の面に直交する面同士を近接させて並置されることを第2の局面とする。
【0013】
また本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサにおいて、隣接する同極の前記電極端子は、共通の配線部に接続されることを第3の局面とする。
【0014】
また本発明は、第1から第3のいずれかの局面に加えて、前記複数のコンデンサは、直方体状の外形を有する極性のあるコンデンサであり、互いに電気的に並列に接続されることを第4の局面とする。
【0015】
また本発明は、第1から第4のいずれかの局面に加えて、前記複数のコンデンサは、直流電流を平滑化する平滑コンデンサとして機能すること第5の局面とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の局面におけるコンデンサモジュールにおいては、複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサが、各々の電極端子同士を隣接させ、かつ隣接させた電極端子が同極であるため、配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保しながら、コンデンサ間のクリアランスを小さくして複数のコンデンサの配置密度を上げ、簡便な構成でコンデンサモジュールの構成を小型化することができる。
【0017】
本発明の第2の局面におけるコンデンサモジュールにおいては、電極端子が、複数のコンデンサの各々の第1の面に第1の面から立設して配設されており、正極端子が、第1の面における第1の周辺部に配設される一方で、負極端子が、第1の面における第1の周縁部から対向して離隔した第2の周縁部に配設され、かつ複数のコンデンサが、第1の面に直交する面同士を近接させて並置されるため、より確実に、配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保し、簡便な構成でコンデンサモジュールの構成を小型化することが
できる。
【0018】
本発明の第3の局面におけるコンデンサモジュールにおいては、複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサにおいて、隣接する同極の電極端子が、共通の配線部に接続されるため、より簡便な構成でコンデンサモジュールの構成を小型化することができる。
【0019】
本発明の第4の局面におけるコンデンサモジュールにおいては、複数のコンデンサが、直方体状の外形を有する極性のあるコンデンサであり、互いに電気的に並列に接続されることにより、よりコンデンサモジュールの大容量化を図りながら、コンデンサモジュールの構成を小型化することができる。
【0020】
本発明の第5の局面におけるコンデンサモジュールにおいては、複数のコンデンサが、直流電流を平滑化する平滑コンデンサとして機能するため、かかる複数のコンデンサを含むコンデンサモジュールに、直流電力と交流電力とを変換自在なパワーモジュールを組み合わせて、パワードライブユニットを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるコンデンサモジュールが適用される車両の制御関連装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態におけるコンデンサモジュールが適用されるパワードライブユニットの上面図である。
【図3】本実施形態のコンデンサモジュールにおける複数のコンデンサを示す斜視図である。
【図4】本実施形態のコンデンサモジュールにおける複数のコンデンサを示す側面図であり、図3をy軸の正方向に見た図に相当する。
【図5】本実施形態のコンデンサモジュールにおける複数のコンデンサを示す底面図であり、図3をz軸の正方向に見た図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態におけるコンデンサモジュールにつき、適宜図面を参照して、詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、x軸の方向を長手方向、y軸の方向を横手方向、及びz軸の方向を上下方向とする。
【0023】
まず、本実施形態におけるコンデンサモジュールが適用される車両の制御装置の構成につき、図1を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態におけるコンデンサモジュールについては、パワードライブユニットに適用される構成を例に挙げて説明を進める。
【0024】
図1は、本実施形態におけるコンデンサモジュールが適用される車両の制御関連装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態において、自動車等の車両に搭載されるモータ10は、PDU(パワードライブユニット)20を介して、バッテリ30に連絡される。
【0026】
モータ10は、典型的には、3相交流等の電力が供給されて動作するDCブラシレスモータ等の交流同期電動機である。かかるモータ10は、車両がモータ10のみを駆動力源とする場合には、車両を駆動する駆動力を供給するものであり、一方で、車両が図示を省略する内燃機関等のエンジンを主駆動力源とする場合には、エンジンの駆動力と補助・補完的に併用されると共に、適宜選択的に、エンジンの始動時のスタータモータやエンジンの稼働時の発電機としても機能することが可能である。また、何れの場合でも、モータ10は、適宜選択的に、車両の減速時の慣性エネルギを利用したエネルギ回生機構として機
能することが可能である。
【0027】
バッテリ30は、典型的には、ニッケル水素系やリチウムイオン系の2次電池であり、モータ10やその他の補機に必要な電力を供給すると共に、モータ10等を介して回収される回生電力や、モータ10や別途設けられた図示を省略する発電機等からの発電電力を蓄電することが可能である。
【0028】
PDU20は、モータ10及びバッテリ30を総合的に制御するPCU(パワーコントロールユニット)40の下位コントローラであり、3相交流を用いる場合には、バッテリ30からの直流電流を3相の交流電流に安定的に変換してモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能及びモータ10からの回生交流電流等を直流電流に安定的に変換してバッテリ30に供給するAC/DCコンバータの機能を併せ持つ。なお、かかるPDU20は、必要に応じて、バッテリ30からの直流電流を交流電流に安定的に変換してモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能のみを有していてもよい。
【0029】
なお、車両の主駆動力源が図示を省略する燃料電池である場合には、バッテリ30は、補機に必要な電力を供給すると共に、燃料電池の余剰電力や回生電力等を蓄電することが可能である。また、かかる場合、PDU20は、モータ10、バッテリ30及び燃料電池を総合的に制御するPCU40の下位コントローラとして、主として燃料電池からの直流電流を3相の交流電流に安定的に変換してモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能及びモータ10からの回生交流電流等を直流電流に安定的に変換してバッテリ30に供給するAC/DCコンバータの機能を併せ持つことになる。
【0030】
次に、コンデンサモジュールの具体的な構成につき、更に図2から図5をも参照して、詳細に説明する。
【0031】
図2は、本実施形態におけるコンデンサモジュールが適用されるパワードライブユニットの上面図であり、図3は、本実施形態のコンデンサモジュールにおける複数のコンデンサを示す斜視図である。図4は、本実施形態のコンデンサモジュールにおける複数のコンデンサを示す側面図であり、図3をy軸の正方向に見た図に相当する。また、図5は、本実施形態のコンデンサモジュールにおける複数のコンデンサを示す底面図であり、図3をz軸の正方向に見た図に相当する。
【0032】
図2に示すように、本実施形態のコンデンサモジュール100は、PDU20の構成部品である。ここで、PDU20は、直方体状の樹脂製等の筐体を有して、図1に示すバッテリ30から供給される直流電流を平滑化するコンデンサモジュール100と、コンデンサモジュール100の長手方向に延在する表側面に沿うように対向して並置され、コンデンサモジュール100によって平滑化された直流電流を例えば3相の交流電流に変換した後、図1に示すモータ10に供給するするパワーモジュール200と、を備える。なお、PDU20は、パワーモジュール200に供給された交流電流をパワーモジュール200で直流電流に変換して、更にコンデンサモジュール100で平滑化した後、バッテリ30に蓄電してもよいが、以降の説明では、説明の便宜上、コンデンサモジュール100に供給された直流電流をコンデンサモジュール100で平滑化して、更にパワーモジュール200で3相の交流電流に変換した後、モータ10に供給する場合につき、代表的に説明する。
【0033】
コンデンサモジュール100は、コンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cを備える。かかるコンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cは、バッテリ30から供給される直流電流を平滑化してパワーモジュール200に出力する。
【0034】
ここで、コンデンサモジュール100は、正極バスバー110と負極バスバー120とを備える。つまり、正極バスバー110と負極バスバー120とはそれぞれ、コンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cにおいて各正極端子103b及び各負極端子103aに対応して接続され、コンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cで平滑化された直流電流が、パワーモジュール200入力されることになる。
【0035】
正極バスバー110は、コンデンサモジュール100の長手方向に延在する平板状の長手方向部材111と、長手方向部材111の長手方向に延在する側面上部に接続してコンデンサモジュール100の横手方向に延在する平板状の横手方向部材112a、112b、112cと、を備える。長手方向部材111の長手方向の一端は、コンデンサモジュール100の横手方向に延在する側面から露出して、バッテリ30の図示を省略する正極と接続するための正極端子113を形成する。横手方向部材112a、112b、112cはそれぞれ、詳細は後述するパワーモジュール200のハイレベルの入力接続部に接続されている。
【0036】
一方で、負極バスバー120は、コンデンサモジュール100の長手方向に延在する平板状の長手方向部材121と、長手方向部材121の長手方向に延在する側面上部に接続してコンデンサモジュール100の横手方向に延在する平板状の横手方向部材122a、122b、122cと、を備える。長手方向部材121の長手方向の一端は、コンデンサモジュール100の横手方向に延在する側面から露出して、バッテリ30の図示を省略する負極と接続するための負極端子123を形成する。横手方向部材122a、122b、122cはそれぞれ、詳細は後述するパワーモジュール200のローレベルの入力接続部に接続されている。
【0037】
ここで、正極バスバー110におけるコンデンサモジュール100の長手方向に延在する平板状の長手方向部材111と、負極バスバー120におけるコンデンサモジュール100の長手方向に延在する平板状の長手方向部材121と、は、平板状の絶縁部材sを間に密着介装して近接配置される。
【0038】
また、コンデンサモジュール100は、パワーモジュール200から出力された交流電流をモータ10に供給するための出力バスバー130、140、150を備える。出力バスバー130、140、150はそれぞれ、上面視で二又状の平板状部材により構成され、コンデンサモジュール100の筐体内で正極バスバー110及び負極バスバー120の上下方向の高さ位置よりも高くなるような異なる高さ位置に配策されている。
【0039】
つまり、出力バスバー130、140、150はそれぞれ、ローレベル接続部材131、141、151と、ハイレベル接続部材132、142、152と、出力部材133、143、153と、を一体に備える。ローレベル接続部材131、141、151及びハイレベル接続部材132、142、152はそれぞれ、対応して、詳細は後述するパワーモジュール200のローレベルの出力接続部及びハイレベルの出力接続部に接続されている。
【0040】
かかる出力部材133、143、153の端部はそれぞれ、コンデンサモジュール100の横手方向裏側面から露出して、モータ10と接続するための出力端子134、144、154を形成する。
【0041】
ここで、正極バスバー110、負極バスバー120及び出力バスバー130、140、150においては、ローレベル接続部材131、横手方向部材122a、横手方向部材1
12a、ハイレベル接続部材132、ローレベル接続部材141、横手方向部材122b、横手方向部材112b、ハイレベル接続部材142、ローレベル接続部材151、横手方向部材122c、横手方向部材112c及びハイレベル接続部材152が、この順でコンデンサモジュール100の長手方向に沿って近接配置されている。
【0042】
パワーモジュール200は、3相交流を用いるものとすれば、U相ローレベル切替用パワーモジュール210a、U相ハイレベル切替用パワーモジュール220a、V相ローレベル切替用パワーモジュール210b、V相ハイレベル切替用パワーモジュール220b、W相ローレベル切替用パワーモジュール210c及びW相ハイレベル切替用パワーモジュール220cを備える。なお、各パワーモジュールについては、バスバーの配策仕様を変更して、U相、V相及びW相のローレベル及びハイレベルの切替用パワーモジュールが一体化された構成を用いてもかまわない。
【0043】
ローレベル切替用パワーモジュール210a、210b、210cはそれぞれ、コンデンサモジュール100の横手方向部材122a、122b、122cに接続される一方で、コンデンサモジュール100のローレベル接続部材131、141、151に接続される。ローレベル切替用パワーモジュール210a、210b、210cにおいては、横手方向部材122a、122b、122cに接続される部分が、それぞれローレベルの入力接続部であり、ローレベル接続部材131、141、151に接続される部分が、ローレベルの出力接続部である。かかるローレベル切替用パワーモジュール210a、210b、210cはそれぞれ、横手方向部材122a、122b、122cを介して供給される直流電流を交流電流におけるローレベルの電圧に変換し、かかる交流電流におけるローレベルの電圧をローレベル接続部材131、141、151に出力する。
【0044】
一方で、ハイレベル切替用パワーモジュール220a、220b、220cはそれぞれ、コンデンサモジュール100の横手方向部材112a、112b、112cに接続される一方で、コンデンサモジュール100のハイレベル接続部材132、142、152に接続される。ハイレベル切替用パワーモジュール220a、220b、220cにおいては、横手方向部材112a、112b、112cに接続される部分が、それぞれハイレベルの入力接続部であり、ハイレベル接続部材132、142、152に接続される部分が、ハイレベルの出力接続部である。かかるハイレベル切替用パワーモジュール220a、220b、220cはそれぞれ横手方向部材112a、112b、112cを介して供給される直流電流を交流電流におけるハイレベルの電圧に変換し、かかる交流電流におけるハイレベルの電圧をハイレベル接続部材132、142、152に出力する。
【0045】
さて、図3から図5により詳しく示すように、コンデンサモジュール100におけるコンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cはそれぞれ、フィルムコンデンサや電解コンデンサ等の極性を有するコンデンサ素子であり、コンデンサモジュール100の筐体に対して固定された支持基盤SBの底面上に、x軸の方向に近接配置されて、コンデンサモジュール100の長手方向に沿って、コンデンサ102a、101a、102b、101b、102c、101cの順で実装されている。なお、かかるコンデンサの個数は6個に限定されるものではなく、複数であればよい。また、支持基盤SBは、ガラスエポキシ基板等のプリント基板として説明するが、バスバー等が適宜接続された樹脂製の支持体であってもよい。
【0046】
支持基盤SBのx−y平面に平行な底面上には、2点鎖線で示すプリント配線104、105が形成されている。プリント配線104は、連絡部104aを介して接続される3カ所の接続部104b及び1カ所の接続部104cを有して、連絡部104aに接続する接続端部104dを介して、コンデンサモジュール100の負極バスバー120に接続される。また、プリント配線105は、連絡部105aを介して接続される3カ所の接続部
105bを有して、連絡部105aに接続する接続端部105cを介して、コンデンサモジュール100の正極バスバー110に接続される。なお、プリント配線104、105の配策の仕様は、限定的なものではなく、接続部104b、105bをコンデンサモジュール100は、正極バスバー110及び負極バスバー120に対応して接続できるものであればよい。
【0047】
コンデンサ101a、101b、101cはそれぞれ、直方体状の外形を有し、x−y平面に平行な底面において、1対の正極端子103bをx軸の負方向側の周縁部における底面から立設すると共に、1対の負極端子103aをx軸の正方向側の周縁部における底面から立設する構成を有する。なお、かかる負極端子103a及び正極端子103bは、コンデンサ101a、101b、101cの電極端子であるが、一対の構成に限定されるものではなく、1個のみ、または3個以上設けることもできる。
【0048】
かかるコンデンサ101a、101b、101cにおいてはそれぞれ、負極端子103aがプリント配線105の接続部105bに接続され、正極端子103bがプリント配線104の接続部104bに接続される。
【0049】
一方で、コンデンサ102a、102b、102cはそれぞれ、直方体状の外形を有し、x−y平面に平行な底面において、1対の負極端子103aをx軸の負方向側の周縁部における底面から立設すると共に、1対の正極端子103bをx軸の正方向側の周縁部における底面から立設する構成を有する。なお、かかる負極端子103a及び正極端子103bは、コンデンサ102a、102b、102cの電極端子であるが、一対の構成に限定されるものではなく、1個のみ、または3個以上設けることもできる。
【0050】
かかるコンデンサ102a、102b、102cにおいてはそれぞれ、負極端子103aがプリント配線105の接続部105bに接続され、正極端子103bがプリント配線104の接続部104bに接続される。
【0051】
つまり、かかる接続構成であると、コンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cは、互いに電気的に並列に接続されており、かつ、バッテリ30とパワーモジュール200との間に電気的に並列に接続されることになる。
【0052】
ここで、コンデンサ101a、101b、101cはそれぞれ、1対の正極端子103bをx軸の負方向側の周縁部における底面から立設すると共に、1対の負極端子103aをx軸の正方向側の周縁部における底面から立設する構成を有するものであり、かつ、コンデンサ102a、102b、102cはそれぞれ、1対の負極端子103aをx軸の負方向側の周縁部における底面から立設すると共に、1対の正極端子103bをx軸の正方向側の周縁部における底面から立設する構成を有するものであるから、コンデンサ102a、101a、102b、101b、102c、101cを、コンデンサモジュール100の長手方向に沿って、この順で支持基盤SBの底面上に実装したとすれば、x軸の方向の両端の電極端子を除き、隣接する負極端子103a同士及び隣接する正極端子103b同士、つまり、コンデンサ102a、101a間における正極端子103b同士、コンデンサ101a、102b間における負極端子103a同士、コンデンサ102b、101b間における正極端子103b同士、コンデンサ101b、102c間における負極端子103a同士、及びコンデンサ102c、101c間における正極端子103b同士は、近接して配置されることになる。
【0053】
更に、コンデンサモジュール100において、隣接する負極端子103a同士及び隣接する正極端子103b同士が、このように近接されて配置されるものであるから、支持基盤SBにおいて、プリント配線104の接続部104b及び、プリント配線105の接続
部105bは、互いに離隔した位置で、干渉し合うことなくかつ絶縁部材も不要として、隣接する負極端子103a同士及び隣接する正極端子103b同士に対して共通化される。なお、負極端子103a同士及び隣接する正極端子103b同士がそれぞれ、対を成している場合には、接続部104b及び接続部105bは、対を成す端子同士の全てに対して共通化しなくてもよく、例えば、コンデンサ102a、101a間を代表的に説明すれば、y軸の正方向側で隣接する正極端子103b、103b同士の接続部105bと、y軸の正方向側で隣接する正極端子103b、103b同士の接続部105bと、が分離され、それらが別々の方向に配策されてもよい。
【0054】
そして、このようにコンデンサモジュール100において、負極端子103a及び正極端子103b、並びに接続部104b及び接続部105bが構成されることにより、コンデンサ102a、101a、102b、101b、102c、101cは、コンデンサモジュール100の長手方向に沿って、この順で支持基盤SBの底面上に近接して、x軸の方向に並置して配置されることになる。ここで、コンデンサ102a、101a間、コンデンサ101a、102b間、コンデンサ102b、101b間、コンデンサ101b、102c間、及びコンデンサ102c、101c間においては、コンデンサ102a、101a、102b、101b、102cのそれぞれのx軸の正方向側のy−z平面に平行な面と、コンデンサ101a、102b、101b、102c、101cのそれぞれのx軸の負方向側のy−z平面に平行な面と、が対応して近接している。
【0055】
以上の構成のPDU20をPCU40の支配の下でDC/ACコンバータとして動作させると、バッテリ30からの直流電流を、コンデンサモジュール100のコンデンサ101a、101b、101c、102a、102b、102cで平滑化した後、パワーモジュール200のローレベル切替用パワーモジュール210a、210b、210c及びハイレベル切替用パワーモジュール220a、220b、220cに供給して3相交流に変換した後、モータ10に供給することになる。
【0056】
なお、以上の構成において、各コンデンサの基本構成を同一とし、隣接するコンデンサ同士で相対的にz軸の周りに180°回転した位置状態で配設すれば、各コンデンサ単品としては、構成や仕様を共通化できるものである。
【0057】
以上の構成によれば、複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサが、各々の電極端子同士を隣接させ、かつ隣接させた電極端子が同極であるため、配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保しながら、コンデンサ間のクリアランスを小さくして複数のコンデンサの配置密度を上げ、簡便な構成でコンデンサモジュールの構成を小型化することができる。
【0058】
また、電極端子が、複数のコンデンサの各々の第1の面に第1の面から立設して配設されており、正極端子が、第1の面における第1の周辺部に配設される一方で、負極端子が、第1の面における第1の周縁部から対向して離隔した第2の周縁部に配設され、かつ複数のコンデンサが、第1の面に直交する第2の面を近接させて並置されるため、より確実に、配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保し、簡便な構成でコンデンサモジュールの構成を小型化することができる。
【0059】
また、複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサにおいて、隣接させた同極の電極端子が、共通の配線部に接続されるため、より簡便な構成でコンデンサモジュールの構成を小型化することができる。
【0060】
また、複数のコンデンサが、直方体状の外形を有して、互いに電気的に並列に接続されることにより、よりコンデンサモジュールの大容量化を図りながら、コンデンサモジュー
ルの構成を小型化することができる。
【0061】
また、複数のコンデンサが、直流電流を平滑化する平滑コンデンサとして機能するため、かかる複数のコンデンサを含むコンデンサモジュールに、直流電力と交流電力とを変換自在なパワーモジュールを組み合わせて、パワードライブユニットを構成することができる。
【0062】
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明においては、配線間の絶縁部材を排して配線の自由度を高く確保し、簡便な構成で小型化が可能なコンデンサモジュールを提供することができ、その汎用普遍的な性格からパワードライブユニット等に広範に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0064】
10…モータ
20…PDU(パワードライブユニット)
30…バッテリ
40…PCU(パワーコントロールユニット)
100…コンデンサモジュール
101a、101b、101c、102a、102b、102c…コンデンサ
103a…負極端子
103b…正極端子
104、105…プリント配線
104a、105a…連絡部
104b、104c、105b…接続部
104d、105c…接続端部
110…正極バスバー
111…長手方向部材
112a、112b、112c…横手方向部材
113…正極端子
120…負極バスバー
121…長手方向部材
122a、122b、122c…横手方向部材
123…負極端子
130、140、150…出力バスバー
131、141、151…ローレベル接続部材
132、142、152…ハイレベル接続部材
133、143、153…出力部材
134、144、154…出力端子
200…パワーモジュール
210a…U相ローレベル切替用パワーモジュール
210b…V相ローレベル切替用パワーモジュール
210c…W相ローレベル切替用パワーモジュール
220a…U相ハイレベル切替用パワーモジュール
220b…V相ハイレベル切替用パワーモジュール
220c…W相ハイレベル切替用パワーモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子及び負極端子から成る電極端子を各々有して並置された複数のコンデンサを備え、
前記複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサは、各々の前記電極端子同士を同極同士となるように隣接させたことを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項2】
前記電極端子は、前記複数のコンデンサの各々の第1の面から立設して配設されており、前記正極端子は、前記第1の面における第1の周辺部に配設される一方で、前記負極端子は、前記第1の面における前記第1の周縁部から対向して離隔した第2の周縁部に配設され、かつ前記複数のコンデンサは、前記第1の面に直交する面同士を近接させて並置されることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサモジュール。
【請求項3】
前記複数のコンデンサの内で互いに隣接するコンデンサにおいて、隣接する同極の前記電極端子は、共通の配線部に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンデンサモジュール。
【請求項4】
前記複数のコンデンサは、直方体状の外形を有する極性のあるコンデンサであり、互いに電気的に並列に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンデンサモジュール。
【請求項5】
前記複数のコンデンサは、直流電流を平滑化する平滑コンデンサとして機能することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンデンサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−198815(P2011−198815A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61041(P2010−61041)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】