説明

コンニャク粉の液状化による低カロリーコンニャク飲料、低カロリー食品、自然化粧品の製造方法

【課題】コンニャク粉の液状化による低カロリーコンニヤク飲料、低カロリー食品、自然化粧品の新規な製造方法の提供
【解決手段】液状化コンニャクによって、低カロリーコンニヤク飲料、低カロリー食品、自然化粧品の製造方法において、
(1)コンニャク粉1重量部に対して10〜50重量部の水を用意し;(2)前記の水に植物組織を崩壊させる酵素を添加し;次に(3)前期の水にコンニャク粉を添加し;(4)コンニャク粉を添加した水の全量に対して0.1〜8重量%の環状オリゴ糖を添加し;(5)前記(4)の混合物を30℃〜70℃度の温度で0.5〜6時間おいて酵素反応を進行させ;そして(6)前記(5)の混合物を、酵素の不活性化する温度で過熱することにより前記酵素を不活性化する;工程を含み、さらに、前記(1)〜(5)の工程の間、甘味料及び酸味料を加える工程を含むコンニャク飲料の製造方法。これにより、100g当たり4.8kcalという超低カロリー飲料が得られる。
;そして、前記(6)の生成物を加工食品に、化粧品に、混合加工することによつて低カロリー食品、自然化粧品がえられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低カロリーコンニャク飲料及び低カロリー食品、自然化粧品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンニャクの主成分であるコンニャクマンナン(グルコマンナン)はヒトの消化酵素によっては消化されないため低カロリーで,整腸作用を有する健康食材として利用されている。しかしながら、それを液状化して,飲料及び加工食品、化粧品に加工・利用することは行なわれていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明は、コンニヤクを主成分とする低カロリー飲料及び低カロリー食品、自然化粧品の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、コンニャク粉を水に適当な濃度(1〜10%)で溶かす(普通食するコンニャクの濃度;2・5〜3%)と糊状物質となって、他の製品へ加工、利用ことは、不可能にちかい。上記の課題を解決すべく種々検討した結果、ヘミセルラーゼのマンナナーゼなどの植物組織を崩壊させる酵素で、市場に存在するコンニャク粉(業界語;精粉)、を処理することによって、飲料、加工食品、化粧品に利用できる状態に、液状化することができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
本発明は、コンヤク飲料及び、加工食品、化粧品の製造方法において、
(1)コンニャク粉1重量部に対して10〜50重量部の水を用意し;
(2)前記の水に植物組織を崩壊させる酵素を添加し;次に
(3)前記の水にコンニャク粉を添加し;
(4)前記コンニャク粉を添加した水の全量にたいして0.1〜8重量%のサイクロデキ ストリン(環状オリゴ糖)を添加し;
(5)前記(4)の混合物を30℃〜70℃の温度で0.5〜6時間おいて酵素反応を進 行させ;そして
(6)前記(5)の混合物を、酵素を不活性化する温度で過熱することによる温度で加熱することにより前記酵素を不活性化する;
本液状化したものは、甘味料、酸味料を加えることによって、コンニャク飲料の製造ができ、目的とする食品に混合加工することによって、低カロリー食品をつくることができる。又化粧品に混合することによって,自然化粧品の製造が可能となる.これらの製造方法を提供する。
【0006】
前記植物組織を崩壊させる酵素は、典型的にはヘミセルラーゼのマンナナーゼであり、更にキシラナーゼ及び/またはセルラーゼが共存するのが好ましい。
これらの酵素を使用する場合、液状化コンニャクはさらさらしていて粘度感を有しない。そこで、本発明はまた、適当な粘度感を有するコンヤク飲料を提供する。
【0007】
本発明は,粘度を有するコンニャク飲料の製造方法において、
(a)請求項1〜3のいずれもと、1項に記載の工程(1)〜(5)を含む方法により酵素処理した液状コンニャクを調整し;
(b)請求項1に記載の工程(1)及び(3)を含む方法により酵素処理しない糊状物を調整し;そして
(c)前記(a)において調製した液状コンニャクと前記(b)において調整した糊状物とを均一に混合する;
(d)甘味料、酸味料は(a)又は(c)の段階で、加えてもよい。
ことを含んでなる方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に使用するコンニャク粉としては、食品材料として市販されているコンニャク粉を用いることができる。
本発明の液状コンニャクの製造法においては、先ず水に酵素製剤を入れ、次に酵素製剤を入れた水にコンニャク粉を投入して分散・溶解させるのが好ましい。酵素製剤を入れる前の水にコンニャク粉を投入すれば、コンヤク粉が水によく分散せず、不均一なゲルが形成される場合がある。
【0009】
水の使用量は、目的とする製品の物性によるが、コンニヤク粉1重量部に対して、10〜50重量部である。水の量が少な過ぎるとコンニャク成分の濃度が高くなって、口触りの良い飲料は得られない、低カロリー食品の場合は出来上がり製品が硬くなるが、化粧品の場合は特に問題はない。
また、水の量が多すぎると、水っぽく味のない飲料となるし、低カロリー食品の場合はカロリー低減化の目的が達せられない、勿論自然化粧品の場合はその効果は期待できない。
【0010】
本発明において使用する植物崩壊用酵素は、典型的にはヘミセルラーゼのマンナナーゼであり、これはキシラナーゼ及び/又はセルラーゼと一緒に使用するのが好ましい。
マンナナーゼとしては、市販されている酵素製剤が好ましい。望ましいマンナナーゼとしては、市販のマンナナーゼ製品を用いることが出来、アスペルギルス・ニガー(aspergillus niger)由来のマンナナーゼ製品が好ましい。アスペルギルス・ニガーのマンナナーゼ製品には通常、キシラナーゼ及びセルラーゼが随伴している。酵素の量は、コンニャク粉1kg当たり20,000〜300,000単位程度である。コンヤク粉1kg当たり、例えば、50,000単位 /gの酵素剤を0.4g〜10g用いることが出来る。
【0011】
飲料の場合は、添加物として、甘味料、酸味料及び環状オリゴ糖(サイクロ(登録商標)デキストリン)を添加する。本発明のコンヤク飲料は低カロリーを目標としているので、甘味料としては熱量を実質的に含まれない人工甘味料、例えば高感度甘味料・アスパルテームなどを使用するのが好ましい。
酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、などの常用の酸味料を使用することが出来る。甘味料及び酸味料はそれらの種類に依存して適当な量加えればよい。サイクロデキストリン(環状オリゴ糖)は、コンニャクに由来するえぐみ味成分及び痒み成分を包接するために重要である。サイクロデキストリン(環状オリゴ糖)の使用量は、原料コンニャク粉によつて異なるが、水及びコンヤク粉の全成分に対して0.1%〜8%程度である。
【0012】
上記の添加物は、酵素の添加と同じ段階で加えてもよく、又その後の適当な段階で加えても良い。酵素及びその他の成分(酵素と一緒に加える場合)は、コンニヤク粉を加える前の水に常法に従って添加し、溶解すればよい。
低カロリー食品、自然化粧品の場合は、酸味料、甘味料、の添加物は加える必要はないが、サイクロデキストリンは(0011)のごとく加える。
次に、酵素添加後の水に、コンニャク粉を添加する。コンニャク粉の添加は、だま(ままこ)にならないように、水をある程度強く攪拌しながら徐徐に添加する。
【0013】
酵素反応を行うため、30℃〜70℃の温度に0.5時間〜6時間全量の液が動く程度にゆっくり攪拌する。これにより、コンニャク成分が可溶化され、全体が透明化し液状化となる。
次に、加熱により酵素を不活性化する。このための加熱は、例えば90℃にて20〜60分間行えば良い。
【0014】
上記の方法により製造した液状化コンニャクは、さらさらしていて殆ど粘度感がない。そこで、粘度感を付与したいコンニャク飲料を得るには、酵素を加え無し水にコンヤク粉を分散させて糊状の粘性のある物性を形成させた後、上記液状コンニャクとを適当な割合で均一に混合すればよい。
【実施例】
【0015】
次に、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
実施例1;低カロリーコンニャク飲料
水400mlを用意し、60℃に加温した。これに、予め混合しておいた無カロリー甘味料0.6g,酸味料(リンゴ酸)1.6g及びサイクロデキストリン(環状オリゴ糖)5gを加えて溶解した。次に、マンナナーゼ0.06g(活性50,000単位/g)を加え、分散溶解した。次に、この溶液を、強く攪拌しながら、コンニャク粉12gを除除に加え、混合分散させたあと、この混合液をゆつくり攪拌しながら、60℃にて60分間、酵素反応を進行させた。均一な液状になった後、味及び、物性を確認し、容器に詰め、90℃にて40分間加熱し、酵素を不活性化した。これを冷却し、コンニャク飲料製品が得られた。
【0016】
得られたコンニャク飲料の分析値(コンニャク飲料100g当たり)は、下記のとおりであつた。
検 査 項 目検 査 結 果
エネルギー 8.4kcal
水分 89.6g
粗たんぱく質 0.1g
粗脂肪 0g
灰分 0.3g
炭水化物 3.0g
糖質 1.0g
植物繊維 2.0g
ナトリュム 3mg
【0017】
実施例2;低カロリー食品、白饅頭
澱粉10gと砂糖50gを予め混合し篩ったものに、5%液状コンニャク55mlの中に乳化剤(シュガーエステル)1g溶かしものを、よく混ぜ合わせた。
次に、小麦粉(薄力粉)86gと加工澱粉4g、膨張剤2gを混合し篩って、上記のものに、更に、加えよく捏ね合わせ、2時間熟成させた。
本熟成させた生地17.5gに、高感度廿味料を加え味付けした小豆餡を20g入れ包餡した。これを常法によって、10分間蒸して製品化した。出来あがつたものは、ソフト感があるうえに、低カロリーの白饅頭が出来あがつた。
【0018】
得られた白饅頭の分析値(饅頭100g当たり)は、下記の通りであつた。

【0019】
実施例3;自然化粧品;化粧水
原材料は全て食品素材を使用した。
まず、精製水(イオン交換水)400mlを用意した。これに5%液状化コンニャク200mlを添加混合した。
これをベースとし、これに、70%エチルアルコール30ml,食用グリセリン20g,紫蘇エキス20ml,50%フィチン酸1.4ml,ローズマリー3ml,を添加し、よく混合して、均一な溶液とした。
出来あがつたものは、pH4.4となつて、皮膚になじみ、保湿性もあり、使用違和感のない、自然な化粧品水が出来あがつた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化コンニャクの製造方法において
(1)コンニヤク粉1重量部に対して5〜50重量部の水を用意し;
(2)前記の水に植物組織を崩壊させる酵素を添加し;次に
(3)前記の水にコンニャク粉を添加し;
(4)前記コンヤク粉を添加した水の全量に対して0.1〜8重量%のサイクロデキストリン(環状オリゴ糖)を添加し;
(5)前記(4)の混合物を30℃〜70℃の温度で、0.5〜6時間、酵素反応を進行させ;そして
(6)前記(5)の混合物を、酵素を不活性化する温度で、過熱することにより前記酵素を不活性化する。
【請求項2】
前記植物組織を崩壊させる酵素が、ヘミセルラーゼのマンナナーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物組織を崩壊させる酵素が更にキシラナーゼ及びセルラーゼを含む、請求項2に記載の法
【請求項4】
請求項1において、前記(1)〜(5)の工程の間に甘味料及び酸味料を加える工程を含むコンヤク飲料の製造方法。
【請求項5】
粘度を有するコンニヤク飲料の製造方法において
(a);請求項1項に記載の工程(1)〜(6)を含む方法により、酵素処理した液状コンニヤクを調整し、
(b);請求項1に記載の工程(1)及び(3)を含む方法により酵素処理しない糊状物を調整し、そして、
(c);前記(a)において調整した液状コンニャク飲料と前記(b)おいて調整した糊状物とを均一に混合する;ことを含んでなる方法
【請求項6】
請求項1に記載の工程で(1)〜(6)の方法を用いて、酵素処理し液状化したものを、長期間の保存性を確保するため、又は、移動の便宜性を確保するため、
必要に応じて、ドライ化したものを規定の水へ加え溶かし、元の液状コンニャクに戻す方法。
【請求項7】
請求項1に記載の(1)〜(6)を含む方法により酵素処理した液状化コンニャクを、カロリー削減したい加工食品へ添加・混合して加工することによる低カロリー食品の製造方法。
【請求項8】
自然(天然)化粧品の製造方法において、
請求項1に記載の工程(1)〜(6)を含む方法により酵素処理した液状化コンニヤク(コンニャクエキス)を、化粧品、及び石鹸へ添加混合してなる自然派化粧品を造る方法。

【公開番号】特開2008−118994(P2008−118994A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292559(P2007−292559)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(593154300)株式会社ビーテイン研究所 (8)
【Fターム(参考)】