説明

コンバイン

【課題】第1オーガ操作具によるオーガ操作と第2オーガ操作具によるオーガ操作とが競合しないように構成されたコンバインにおいて、制御部と第1オーガ操作具及び第2オーガ操作具との電気的接続や、制御部の処理手順を簡略化する。
【解決手段】第1オーガ操作具又は第2オーガ操作具からの操作信号に応じてオーガの駆動制御を行う制御部24とを備え、制御部24を第1オーガ操作具と第2オーガ操作具とから異なる種類の操作信号が同時に入力されると、一方の操作信号を優先するように構成したコンバインにおいて、制御部24が第1オーガ操作具と第2オーガ操作具とから異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された操作信号に基づいてオーガの駆動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
穀粒排出用のオーガを操作する第1オーガ操作具と第2オーガ操作具とを別体で備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
運転席が設けられた走行機体と、走行機体に対して左右旋回及び昇降可能に支持された穀粒排出用のオーガと、運転席側に設けられた第1オーガ操作具と、運転席以外の場所にいる作業者から操作可能に設けられた第2オーガ操作具とを備えたコンバインが従来公知である。
【0003】
上記コンバインは、運転席と運転席以外の場所の両方からそれぞれオーガを操作(オーガ操作)できるため利便性が高いというメリットがある一方で、第1オーガ操作具によるオーガ操作と第2オーガ操作具によるオーガ操作とが競合してしまうことがあるという問題がある。
【0004】
上記問題を改善するため、前記制御部を、第1オーガ操作具と第2オーガ操作具とから異なる種類の操作信号が同時に入力されると、一方の操作信号を優先するように構成した特許文献1,2に示すコンバインが公知になっている。
【特許文献1】特許第2664069号公報
【特許文献2】特開2005−13161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献のコンバインは、制御部が、第1オーガ操作具と第2オーガ操作具の内、予め定められた一方のオーガ操作具からの操作信号が制御部に入力されると、他方のオーガ操作具からの操作信号が制御部に入力されても、この他方のオーガ操作具からの操作信号に基づくオーガの駆動制御を行わないように構成されているため、第1オーガ操作具からの操作信号と第2オーガ操作具からの操作信号とを識別する必要があり、第1オーガ操作具と第2オーガ操作具とを各別に制御部の入力側に接続せしめる必要がある。このことにより、制御部と第1オーガ操作具及び第2オーガ操作具との電気的接続や、制御部で行う処理が複雑になり、課題が残る。
本発明は上記課題を解決し、第1オーガ操作具によるオーガ操作と第2オーガ操作具によるオーガ操作とが競合しないように構成されたコンバインにおいて、制御部と第1オーガ操作具及び第2オーガ操作具との電気的接続や、制御部の処理手順を簡略化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明のコンバインは、第1に運転席1が設けられた走行機体2と、走行機体2に対して左右旋回及び昇降駆動可能に設けられた穀粒排出用のオーガ7と、運転席1側に設けられオーガ7の左右旋回操作及び昇降操作を行う第1オーガ操作具18と、運転席1以外の場所にいる作業者から操作可能に設けられオーガ7の左右旋回操作及び昇降操作を行う第2オーガ操作具22と、前記第1オーガ操作具18又は第2オーガ操作具22からの操作信号に応じてオーガ7の駆動制御を行う制御部24とを備え、前記制御部24を、第1オーガ操作具18と第2オーガ操作具22とから異なる種類の操作信号が同時に入力されると、一方の操作信号を優先するように構成したコンバインにおいて、前記制御部24が、第1オーガ操作具18と第2オーガ操作具22とから異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された操作信号に基づいてオーガの駆動制御を行うことを特徴としている。
【0007】
第2に、制御部24が、第1オーガ操作具18からの操作信号と第2オーガ操作具22からの操作信号の内、先に入力されて優先した一方の操作信号が入力されている最中に他方の異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された一方の操作信号の入力中は後に入力された他方の操作信号に基づくオーガ7の駆動制御を行わないとともに、後に入力された他方の操作信号の入力中に先に入力されていた一方の操作信号の入力がなくなった場合でも継続して後に入力された他方の操作信号に基づくオーガ7の駆動制御を行わないように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明のコンバインによれば、第1オーガ操作具と第2オーガ操作具の内、先に入力された側の操作を優先するために、異なる種類の操作信号の入力順序を検出すればよいため、第1オーガ操作具と第2オーガ操作具とを各別に制御部の入力側に接続する必要がなくなり、制御部と第1オーガ操作具及び第2オーガ操作具との電気的接続をシンプルに構成することが可能になる他、制御部で行う処理も簡略化することができるという効果がある。くわえて、先に操作された側の操作を優先するため、オペレータの意図しないオーガ操作を抑制できるという効果もある。
【0009】
また、制御部を、第1オーガ操作具からの操作信号と第2オーガ操作具からの操作信号の内、先に入力されて優先した一方の操作信号が入力されている最中に他方の異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された一方の操作信号の入力中は後に入力された他方の操作信号に基づくオーガの駆動制御を行わないとともに、後に入力された他方の操作信号の入力中に先に入力されていた一方の操作信号の入力がなくなった場合でも継続して後に入力された他方の操作信号に基づくオーガの駆動制御を行わないように構成することにより、優先していた側のオーガ操作が終了した直後に、優先しなかった側のオーガ操作に基づくオーガ駆動が開始されないため、オペレータの意図しないオーガ操作をさらに効率的に抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図示する実施形態につき説明する。
図1は本発明を適用したコンバインの全体側面図である。本コンバインは、主に、前部進行方向右側に運転席1を備えた走行機体2と、上記走行機体2を支持する左右一対のクローラ式の走行部3,3と、上記走行機体2の前部に昇降自在に連結され穀稈の刈取りを行う前処理部4とから構成されている。
【0011】
前処理部4で刈り取られた穀稈は、走行機体2の左部に設けられた脱穀部(図示しない)に搬送され、脱穀等された後、穀粒(籾)は走行機体2の後部右側に設けられたグレンタンク6内に収容され、排藁等(芥類等)は走行機体2の後端部から機外に排出される。グレンタンク6内の穀粒は、オーガ7を介して機外に排出される。
【0012】
上記オーガ7は、主に、上下方向の縦筒8と、基端部から先端部に向かって直線状に延びる排出筒9とにより構成されている。縦筒8は、グレンタンク6の後端部右側に支持されており、旋回アクチュエータであるオーガ旋回モータ11(図3参照)によって、左右旋回駆動される。一方、排出筒9は基端部が縦筒8の上端部に上下揺動可能に支持されており、縦筒8と排出筒9との間に設けられた昇降アクチュエータである油圧シリンダ12の伸縮作動によって上下揺動駆動される。なお、オーガ7の穀粒搬送は縦筒8内及び排出筒9内で回転駆動されるオーガラセン(図示しない)によって行われ、グレンタンク6内の穀粒がオーガ7先端部から機外に排出される。
【0013】
図2(A)は第1オーガ操作具の斜視図であり、(B)は第2オーガ操作具の正面図である。上記オーガ7を上方揺動、下方揺動、左旋回又は右旋回させる操作(オーガ操作)は運転席1側から又はオーガ7先端側から行われる。
【0014】
運転席1は、オペレータが着座する座席13と、座席13前方に配置されたフロント操作パネル14と、座席13左側方に配置されたサイド操作パネル16と、座席13の後方に配置されたリヤ操作パネル17とを備えている(図1参照)。上記フロント操作パネル14及びサイド操作パネル16には各種操作具が設けられている他、リヤ操作パネル17には、オーガ操作を行う第1オーガ操作具18(オーガ操作具)と、押操作(入操作)することにより、オーガラセンを回転駆動させてオーガ7を介した穀粒排出を行う穀粒排出スイッチ19とが設けられている。
【0015】
上記第1オーガ操作具18は前後・左右揺動操作する操作レバーである。オペレータが上記操作レバー18を機体の進行方向に対して後方揺動操作することによりオーガ7を上方揺動(上昇)駆動させ、前方揺動操作することによりオーガ7を下方揺動(下降)駆動させ、左(進行方向左,図2(A)における右)方揺動操作することによりオーガ7を左旋回駆動させ、右方揺動操作することによりオーガ7を右旋回駆動させる。
【0016】
オーガ7の先端部にはオーガ操作パネル21が設置されている(図1参照)。オーガ操作パネル21のパネル面には第2オーガ操作具22(オーガ操作具)が、側部には前述の穀粒排出スイッチ19と略同一構成の穀粒排出スイッチ23がそれぞれ設けられている。第2オーガ操作具22は、主に、オーガ操作パネル21のパネル面上の上側に配置されるオーガ上昇スイッチ22aと、下側に配置されるオーガ下降スイッチ22bと、左(進行方向左,図2(B)における右)側に配置されるオーガ左旋回スイッチ22cと、右側に配置されるオーガ右旋回スイッチ22dとから構成されている。
【0017】
第2オーガ操作具22は、オーガ上昇スイッチ22aを押操作(入操作)することによりオーガ7を上方揺動(上昇)駆動させ、オーガ下降スイッチ22bを押操作(入操作)することによりオーガ7を下方揺動(下降)駆動させ、オーガ左旋回スイッチ22cを押操作(入操作)することによりオーガ7を左旋回駆動させ、オーガ右旋回スイッチ22dを押操作(入操作)することによりオーガ7を右旋回駆動させる。
【0018】
なお、第2オーガ操作具22を、オーガ7の先端部に設けずに運転席1以外の場所にいる作業者から操作可能な他の場所に設けてもよいし、オーガ7を無線操作できる無線機(リモコン)のようなものにより構成してもよい。
【0019】
図3は、本コンバインの制御構造を示すブロック図である。本コンバインには、上記2つのオーガ操作具18,22からの操作信号に応じてオーガ7の駆動を制御する制御部24(マイコン)が搭載されている。該制御部24は、上記第1オーガ操作具18及び第2オーガ操作具22から入力されてくる操作信号に応じてオーガ7を左右旋回駆動又は上下揺動(昇降)駆動するように構成されている。具体的には、制御部24の出力側に、前述のオーガ旋回モータ11と、油圧シリンダ12を伸縮作動させるソレノイドバルブであるオーガ上昇バルブ12a及びオーガ下降バルブ12bとが接続されている。
【0020】
一方、制御部24の入力側には、第1オーガ操作具18のオーガ7の上方揺動(上昇)操作時に入操作されるオーガ上昇スイッチ18aと、オーガ7の下方揺動(下降)操作時に入操作されるオーガ下降スイッチ18bと、オーガ7の左旋回操作時に入操作されるオーガ左旋回スイッチ18cと、オーガ7の右旋回操作時に入操作されるオーガ右旋回スイッチ18dと、運転席1側の穀粒排出スイッチ19と、第2オーガ操作具22のオーガ上昇スイッチ22aと、オーガ下降スイッチ22bと、オーガ左旋回スイッチ22cと、オーガ右旋回スイッチ22dと、オーガ7先端側の穀粒排出スイッチ23とが接続されている。
【0021】
第1オーガ操作具18のオーガ上昇スイッチ18aと第2オーガ操作具22のオーガ上昇スイッチ22aとが単一の上昇用端子24aを介して同一ラインで制御部24の入力側に接続され、第1オーガ操作具18のオーガ下降スイッチ18bと第2オーガ操作具22のオーガ下降スイッチ22bとが単一の下降用端子24bを介して同一ラインで制御部24の入力側に接続され、第1オーガ操作具18のオーガ左旋回スイッチ18cと第2オーガ操作具22のオーガ左旋回スイッチ22cとが単一の左旋回用端子24cを介して同一ラインで制御部24の入力側に接続され、第1オーガ操作具18のオーガ右旋回スイッチ18dと第2オーガ操作具22のオーガ右旋回スイッチ22dが単一の右旋回用端子24dを介して同一ラインで制御部24の入力側に接続されている他、2つの穀粒排出スイッチ19,23も単一の排出用端子24eを介して同一ラインで制御部24の入力側に接続されている。
【0022】
オーガ操作のための4つの上記各端子24a,24b,24c,24dはプルアップ抵抗(図示しない)によりプルアップ(昇圧)され、安定した状態になっており、上記8つの各スイッチ18a,18b,18c,18d,22a,22b,22c,22dが入操作されると、対応する端子24a,24b,24c,24dが電気的にアースされ、制御部24が操作信号の入力を検知するようになっている。なお、排出用端子24eも他の端子24a,24b,24c,24dと略同一に構成されている。
【0023】
図4は制御部の処理フロー図である。制御部24によるオーガ7の駆動制御が開始されると、ステップS1から処理が開始される。ステップS1では、オーガ操作のための全てのスイッチ18a,18b,18c,18d,22a,22b,22c,22dが入操作されていない状態(全ての端子24a,24b,24c,24dが電気的に非接地な状態)であるか否かの検出を行い、全てが入操作されていない状態であればステップS2に進み、そうでなければステップS3に進む。
【0024】
ステップS2では、エッジフラグデータをリセットして、ステップS12に処理を進める。エッジフランジデータは、制御部24のメモリ上に展開される4ビットのデータによる構成される。エッジフラグデータの0ビット目が「1」の場合にはオーガ7の上方揺動操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われたことを意味し、「0」の場合にはオーガ7の上方揺動操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われなかったことを意味している。
【0025】
エッジフラグデータの1ビット目が「1」の場合にはオーガ7の下方揺動操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われたことを意味し、「0」の場合にはオーガ7の下方揺動操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われなかったことを意味している。
【0026】
エッジフラグデータの2ビット目が「1」の場合にはオーガ7の左旋回操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われたことを意味し、「0」の場合にはオーガ7の左旋回操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われなかったことを意味している。
【0027】
エッジフラグデータの3ビット目が「1」の場合にはオーガ7の右旋回操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われたことを意味し、「0」の場合にはオーガ7の右旋回操作が図4における処理フローの前回の処理ループで行われなかったことを意味している。エッジフラグデータがリセットされると、各ビットの値が「0」(0ビット目、1ビット目、2ビット目及び3ビット目が全て「0」)にセットされる。なお、初期状態において、エッジフラグデータは、リセット状態になっている。
【0028】
一方、全てのスイッチ18a,18b,18c,18d,22a,22b,22c,22dの入切は、制御部24のメモリ上に展開される4ビットのデータよりなる入力データにリアルタイムに記録される。入力データの0ビット目が「1」の場合には現在オーガ7の上方揺動操作が検出(上昇用端子24aの接地状態が検出)されていることを意味し、「0」の場合には現在オーガ7の上方揺動操作が検出されていないことを意味している。
【0029】
入力データの1ビット目が「1」の場合には現在オーガ7の下方揺動操作が検出(下降用端子24bの接地状態が検出)されていることを意味し、「0」の場合には現在オーガ7の下方揺動操作が検出されていないことを意味している。
【0030】
入力データの2ビット目が「1」の場合には現在オーガ7の左旋回操作が検出(左旋回用端子24cの接地状態が検出)されていることを意味し、「0」の場合には現在オーガ7の左旋回操作が検出されていないことを意味している。
【0031】
入力データの3ビット目が「1」の場合には現在オーガ7の右旋回操作が検出(右旋回用端子24dの接地状態が検出)されていることを意味し、「0」の場合には現在オーガ7の右旋回操作が検出されていないことを意味している。
【0032】
ステップS3では、エッジフラグデータを参照して、前回の処理ループにおいて何らかのオーガ操作が行われたか否かの検出を行い、行われていない状態(エッジフラグデータの全てのビットが「0」の状態)であればステップS4に進み、行われている状態であればステップS12に進む。ステップS4では、入力データの0ビット目の値を参照し、「1」であればステップS5に進み、「0」であればステップS6に進む。ステップS5では、エッジフラグの0ビット目を「1」にセットし、ステップ12に進む。
【0033】
ステップS6では、入力データの1ビット目の値を参照し、「1」であればステップS7に進み、「0」であればステップS8に進む。ステップS7では、エッジフラグデータの1ビット目を「1」にセットし、ステップS12に進む。ステップS8では、入力データの2ビット目の値を参照し、「1」であればステップS9に進み、「0」であればステップS10に進む。ステップS9では、エッジフラグデータの2ビット目を「1」にセットし、ステップS12に進む。ステップS10では、入力データの3ビット目の値を参照し、「1」であればステップS11に進み、「0」であればステップS12に進む。ステップS11では、エッジフラグデータの3ビットを「1」にセットし、ステップS12に進む。
【0034】
ステップS12では、入力データとエッジフラグデータの比較処理を行い、ステップS13に進む。ステップS13では、ステップS12の比較処理により、入力データの0ビット目の値とエッジフラグの0ビット目の値がともに「1」であることが検出されるとステップS14に進み、ともに「1」であることが検出されないとステップS15に進む。ステップS14では、オーガ7を上方揺動駆動させて処理をステップS1に戻す。
【0035】
ステップS15では、ステップS12の比較処理により、入力データの1ビット目の値とエッジフラグの1ビット目の値がともに「1」であることが検出されるとステップS16に進み、ともに「1」であることが検出されないとステップS17に進む。ステップS16では、オーガ7を下方揺動駆動させて処理をステップS1に戻す。
【0036】
ステップS17では、ステップS12の比較処理により、入力データの2ビット目の値とエッジフラグの2ビット目の値がともに「1」であることが検出されるとステップS18に進み、ともに「1」であることが検出されないとステップS19に進む。ステップS18では、オーガ7を左旋回駆動させて処理をステップS1に戻す。
【0037】
ステップS19では、ステップS12の比較処理により、入力データの3ビット目の値とエッジフラグの3ビット目の値がともに「1」であることが検出されるとステップS20に進み、ともに「1」であることが検出されないとステップS21に進む。ステップS20では、オーガ7を右旋回駆動させて処理をステップS1に戻す。ステップS21では、オーガ7を停止させて、ステップS1に処理を戻す。
【0038】
以上のように構成される本コンバインによれば、オーガ7を停止させた状態(初期状態)から、2つのオーガ操作具18,22の何れかを用いて、オーガ操作を行うと、ステップS1→ステップS3→ステップS4と処理が進み、ステップS4〜ステップS11の処理により、エッジフラグデータの対応するビットが「1」にセットされ、ステップS12に進む。そして、ステップS12〜ステップS21の処理により、エッジフラグデータを参照して入力データの対応ビットが「1」になるようなオーガ操作が行われていると、このオーガ操作に基づくオーガ7の駆動制御が実行される。
【0039】
例えば、エッジフラグデータの1ビット目が「1」にセットされている状態で、第1オーガ操作具18によりオーガ7の下方揺動操作が行われると、ステップS12→ステップS13→ステップS15→ステップS16と処理が進み、ステップS16においてオーガ7が下方揺動駆動される。
【0040】
なお、一度、エッジフラグデータの何れかのビットが「1」にセットされると、図4に示す処理フローの以降の処理で、エッジフラグデータ設定に対応していないオーガ操作が行われても、ステップS13、ステップS15、ステップS17又はステップS19の処理により、上記オーガ操作に基づくオーガ7の駆動制御が実行されない。
【0041】
例えば、上記例のように、先に第1オーガ操作具18によりオーガ7の下方揺動操作が行われて入力データの1ビット目が「1」にセットされ、オーガ7が下方揺動駆動されている状態で、第2オーガ操作具22によりオーガ7の上方揺動操作が行われて入力データの0ビット目が「1」にセットされても(第1オーガ操作具18と第2オーガ操作具22とから異なる種類の操作信号が入力されても)、ステップS13において、エッジフラグデータの0ビット目が「0」になっているため、ステップS14に処理は進まず、オーガ7が上方揺動駆動されない。
【0042】
すなわち、第1オーガ操作具18と第2オーガ操作具22とから異なる種類の操作信号が入力された場合には、先に入力された操作信号が優先され、先に入力された操作信号に基づいてオーガ7の駆動制御が行われる。
【0043】
そして、第1オーガ操作具18と第2オーガ操作具2の何れからもオーガ操作が行われなくなり、オーガ操作のための全てのスイッチ18a,18b,18c,18d,22a,22b,22c,22dが入操作されていない状態になることにより、図4に示す処理フローの以降の処理で、ステップS1→ステップS2と処理が進み、エッジフラグデータがリセットされ、上記優先状態が解除される。
【0044】
このような優先解除条件により、第1オーガ操作具18からの操作信号と第2オーガ操作具22からの操作信号の内、先に入力されて優先した一方の操作信号が入力されている最中に他方の異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された一方の操作信号の入力中は後に入力された他方の操作信号が入力されても該他方の操作信号に基づくオーガ7の駆動制御が行われないことにくわえて、この状態から先に入力されていた一方の操作信号の入力がなくなっても、後に入力された上記他方の操作信号の入力が継続している場合には、ステップS1→ステップS2と処理が進まず、優先状態が解除されないため、後に入力された他方の操作信号に基づくオーガ7の駆動制御が継続して行われない状態になる。
【0045】
例えば、図5に示すように、まず第1オーガ操作具18によりオーガ7の右旋回操作がされ、その後、第1オーガ操作具18によるオーガ7の右旋回操作中に第2オーガ操作具22によりオーガ7の上方揺動操作がされ、その後、第2オーガ操作具22によるオーガ7の上方揺動操作中に、継続していた第1オーガ操作具18によるオーガ7の右旋回操作を停止させ、その後、第2オーガ操作具22によるオーガ7の上方揺動操作を停止させた場合、一方の先に入力された操作信号(第1オーガ操作具18から入力されるオーガ7の右旋回操作信号)と、他方の後に入力された操作信号(第2オーガ操作具22から入力されるオーガ7の上方揺動操作信号)とが一緒に入力されている間は、ステップS1→ステップS3→ステップS12→ステップS13→ステップS15→ステップS17→ステップS19→ステップS20→ステップS1→・・・の処理が繰り返され、上記先に入力された操作信号に基づいてオーガが駆動制御(右旋回駆動制御)される。
【0046】
そして、上記先に入力された操作信号の入力が停止されて上記後に入力された操作信号のみが入力される状態になった場合には、この後に入力された操作信号が上記先に入力された操作信号の入力中に入力が開始された操作信号であるため、優先状態が解除されず、ステップS1→ステップS3→ステップS12→ステップS13→ステップS15→ステップS17→ステップS19→ステップS21→ステップS1→・・・の処理が繰り返され、上記後の入力された操作信号に基づくオーガの駆動制御(上方揺動駆動制御)が実行されない状態になる。
【0047】
続いて、上記後に入力された操作信号の入力が停止すると、ステップS1→ステップS2と処理が進み、上記優先状態が解除されるため、次に入力されてくる第1オーガ操作具18又は第2オーガ操作具22からの操作信号に基づいてオーガ7の駆動制御が行われる状態になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を適用したコンバインの全体側面図である。
【図2】(A)は第1オーガ操作具の斜視図であり、(B)は第2オーガ操作具の正面図である。
【図3】本コンバインの制御構造を示すブロック図である。
【図4】制御部の処理フロー図である。
【図5】制御部によるオーガ駆動制御の一例であり、作用を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 運転席
2 走行機体
7 オーガ
18 第1オーガ操作具(オーガ操作具)
22 第2オーガ操作具(オーガ操作具)
24 制御部(マイコン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(1)が設けられた走行機体(2)と、走行機体(2)に対して左右旋回及び昇降駆動可能に設けられた穀粒排出用のオーガ(7)と、運転席(1)側に設けられオーガ(7)の左右旋回操作及び昇降操作を行う第1オーガ操作具(18)と、運転席(1)以外の場所にいる作業者から操作可能に設けられオーガ(7)の左右旋回操作及び昇降操作を行う第2オーガ操作具(22)と、前記第1オーガ操作具(18)又は第2オーガ操作具(22)からの操作信号に応じてオーガ(7)の駆動制御を行う制御部(24)とを備え、前記制御部(24)を、第1オーガ操作具(18)と第2オーガ操作具(22)とから異なる種類の操作信号が同時に入力されると、一方の操作信号を優先するように構成したコンバインにおいて、前記制御部(24)が、第1オーガ操作具(18)と第2オーガ操作具(22)とから異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された操作信号に基づいてオーガの駆動制御を行うコンバイン。
【請求項2】
制御部(24)が、第1オーガ操作具(18)からの操作信号と第2オーガ操作具(22)からの操作信号の内、先に入力されて優先した一方の操作信号が入力されている最中に他方の異なる種類の操作信号が入力されると、先に入力された一方の操作信号の入力中は後に入力された他方の操作信号に基づくオーガ(7)の駆動制御を行わないとともに、後に入力された他方の操作信号の入力中に先に入力されていた一方の操作信号の入力がなくなった場合でも継続して後に入力された他方の操作信号に基づくオーガ(7)の駆動制御を行わないように構成された請求項1のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−171882(P2009−171882A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12442(P2008−12442)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】