説明

コンバイン

【課題】穀粒量検出センサの出力から外乱の影響を除去することができるコンバインを提供する。
【解決手段】一番スクリューコンベア23の回転数に基づいて投口センサ23aの検出結果を補正することによって、投口センサ23aの検出結果から外乱の影響を抑制し、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を精度良く検出することができる構成とした。また投口センサ23aは圧力センサである場合、圧力センサへ作用する穀粒からの圧力は、穀粒量が同じであっても、一番スクリューコンベア23の回転数によって異なるが、当該差異を補正することによって、投口センサ23aの検出精度を高めることができる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収した穀粒の量を精度良く検出することができるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場での収穫作業を行う場合には、穀稈の刈取り及び脱穀並びに穀粒の回収を行うコンバインを使用することが多い。コンバインは、クローラにより圃場を走行し、この走行中に刈刃にて穀稈を刈取り、刈取った穀稈を扱胴へ搬送して脱穀する。そして扱胴の下方に配置してあるチャフシーブにて、穀稈から分離した稈及び穀粒の選別を行い、選別された穀粒をチャフシーブから漏下させて、スクリューコンベアを介して穀粒タンクに回収する。
【0003】
スクリューコンベアの先端部には、穀粒を穀粒タンクに投入するための羽根板が取り付けてあり、該羽根板によって投入された穀粒量を検出する穀粒量検出センサが穀粒タンクに設けてある。穀粒量検出センサは圧電素子を備えており、穀粒が当接した場合の圧力に基づいて穀粒量を検出している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−24381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、穀粒量検出センサには、エンジンの振動及び凹凸を有する圃場を走行することによって発生した振動などが伝播し、これらの振動が外乱となって穀粒量検出センサの出力に影響し、穀粒量を精度良く検出することを阻害する要因となっている。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、穀粒量検出センサの出力から外乱の影響を除去することができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係るコンバインは、刈取られた穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置にて脱穀された穀粒を貯留する貯留部と、前記脱穀装置から前記貯留部へ穀粒を搬送するスクリューコンベアと、該スクリューコンベアにて搬送される穀粒量を検出する穀粒量検出手段とを備えるコンバインにおいて、前記スクリューコンベアの回転数を検出する回転数検出手段と、前記回転数検出手段の検出結果に基づいて、前記穀粒量検出手段の検出結果を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、貯留部に貯留する穀粒量はスクリューコンベアの回転数に対応しており、スクリューコンベアの回転数に基づいて穀粒量検出手段の検出結果を補正し、外乱の影響を抑制する。
【0009】
第2発明に係るコンバインは、前記スクリューコンベアの端部における軸部分に前記貯留部へ穀粒を投入する羽根板が突設してあり、前記羽根板は、前記スクリューコンベアの回転周期に同調して前記貯留部へ間欠的に穀粒を投入するようにしてあり、前記穀粒量検出手段は物体の当接による圧力を検出するようにしてあり、前記補正手段は、前記回転数検出手段の検出結果に基づいて、前記スクリューコンベアの回転周期を求める手段と、前記回転周期に含まれる前記羽根板から投入された穀粒が当接している当接期間に検出された前記穀粒量検出手段の検出結果を積算する積算手段とを備えることを特徴とする
【0010】
本発明においては、スクリューコンベアの先端部に設けた羽根板の一回転の周期において、穀粒を貯留部に投入している期間に検出される検出結果を求め、貯留部に貯留される穀粒量を求める。
【0011】
第3発明に係るコンバインは、前記補正手段は、前記回転周期に含まれる前記当接期間外の期間に検出された前記穀粒量検出手段の検出結果に基づいて、前記積算手段の積算結果に含まれる定常偏差を除去する手段を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、穀粒を貯留部に投入していない期間に検出される検出結果は外乱及び穀粒量検出手段の特性などによる定常偏差と考えられるので、該検出結果に基づいて定常偏差を除去する補正を行い、穀粒量検出手段の検出結果の精度を向上させる。
【0013】
第4発明に係るコンバインは、前記貯留部に貯留した穀粒量を検出する貯留量検出手段と、該貯留量検出手段が所定量の穀粒量を検出した場合に、警報を報知する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、貯留部に所定量の穀粒が貯留した場合、例えば満杯になった場合に、ユーザにその旨を報知し、刈取の終了を促す。
【0015】
第5発明に係るコンバインは、前記脱穀装置に動力を供給する駆動源と、該駆動源から前記脱穀装置への動力の伝達を継断するクラッチと、前記貯留部に貯留した穀粒量を検出する貯留量検出手段と、該貯留量検出手段が所定量の穀粒量を検出した場合に、前記クラッチを切断する手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、貯留部に所定量の穀粒が貯留した場合、例えば満杯になった場合に、クラッチを切断し、刈取を強制的に終了させる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明に係るコンバインにあっては、スクリューコンベアの回転数に基づいて穀粒量検出手段の検出結果を補正することによって、穀粒量検出手段の検出結果から外乱の影響を抑制し、貯留部に貯留した穀粒量を精度良く検出することができる。
【0018】
第2発明に係るコンバインにあっては、スクリューコンベアの先端部に設けた羽根板の一回転の周期において、穀粒を貯留部に投入している期間に検出される検出結果を求め、貯留部に貯留される穀粒量を正確に求めることができる。
【0019】
第3発明に係るコンバインにあっては、穀粒を貯留部に投入していない期間に検出される検出結果は外乱及び穀粒量検出手段の特性などによる定常偏差と考えられるので、該検出結果に基づいて定常偏差を除去することによって、穀粒量検出手段の検出結果の精度を向上させることができる。
【0020】
第4発明に係るコンバインにあっては、貯留部に所定量の穀粒が貯留した場合、例えば満杯になった場合に、ユーザにその旨を報知する。そのためユーザは警告の報知後、直ちに刈取を終了することができる。
【0021】
第5発明に係るコンバインにあっては、貯留部に所定量の穀粒が貯留した場合、例えば満杯になった場合に、クラッチを切断し、刈取を強制的に終了させる。そのため貯留部への過剰な貯留を防止し、コンバインの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係るコンバインの外観斜視図である。
【図2】脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図3】穀粒タンクを略示する平面断面図である。
【図4】エンジンの駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【図5】制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】エンジンの回転数及び係数βの関係を示すテーブルである。
【図7】投口センサの検出値とピックアップセンサの検出値との関係を示すグラフの一例である。
【図8】CPUによる穀粒量演算処理を示すフローチャートである。
【図9】CPUによる補正値算出処理を示すフローチャートである。
【図10】CPUによる警報処理を説明するフローチャートである。
【図11】穀粒タンクに貯留した穀粒量及び貯留率を表示する表示部の表示画面を示す一例である。
【図12】CPUによる指標設定処理を示すフローチャートである。
【図13】刈取が終了した時点での表示部に表示された表示画面の一例を示す図である。
【図14】穀粒タンクに貯留した全貯留量を表示する表示画面の一例を示す図である。
【図15】穀粒タンクに貯留した全貯留量における指標で示された範囲の貯留量を表示する表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図である。
【0024】
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に機体9が設けてある。該機体9の上には脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク4が設けてあり、前記脱穀装置2の左部には、穀稈を搬送する前後に長いフィードチェン5が設けてある。該フィードチェン5の上側に、穀稈を挟持する挟持部材6が設けてあり、該挟持部材6とフィードチェン5とが対向している。前記フィードチェン5の前端部付近には縦搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
【0025】
走行クローラ1の駆動によって機体9は走行する。機体9の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は縦搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
【0026】
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図、図3は穀粒タンク4を略示する平面断面図である。
図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12が螺旋状に並んでいる。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
【0027】
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に並設してあり、該送塵弁は扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0028】
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bの周面には多数の扱歯13c、13c、・・・、13cが螺旋状に並んでいる。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の後端部下側には排出口13eを開設してある。
【0029】
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0030】
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
【0031】
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前方を下として傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、一番スクリューコンベア23が設けてある。該一番スクリューコンベア23は、一番穀粒板22を滑落した穀粒を取り込み、穀粒タンク4へ送給する。
【0032】
図3に示すように、一番スクリューコンベア23の上端部の軸部分23cには、矩形の羽根板23bが設けてある。該羽根板23bは、軸部分23cを中心として放射方向に突出している。該羽根板23bは、一番スクリューコンベア23に同期して回転する。
【0033】
穀粒タンク4に投口4bが設けてあり、羽根板23cは投口4bに対向している。穀粒タンク4の上部には、押圧式スイッチ4cが設けてある。穀粒タンク4が満杯になった場合に、押圧式スイッチ4cは貯留した穀粒に押圧され、後述する制御部100に信号を出力する。投口4bに対向する位置に、投口4bから穀粒タンク4へ投入される単位時間あたりの穀粒量を検出する投口センサ23aが設けてある。該投口センサ23aは、圧電素子を備えている。
【0034】
前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は前記一番スクリューコンベア23に向けて滑落する。滑落した穀粒は一番スクリューコンベア23よって搬送され、投口4bから、羽根板23bの回転によって間欠的に穀粒タンク4へ投入される。図3の破線矢印によって示すように、投入された穀粒が投口センサ23aに当接することによって圧電素子から電圧が出力され、出力された電圧に基づいて投口量が検出される。
【0035】
前記一番穀粒板22の後部に、後方を下として傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前方を下として傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリューコンベア26が設けてある。
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリューコンベア26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリューコンベア26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
【0036】
前記一番スクリューコンベア23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、起風動作を行う唐箕27が設けてある。前記唐箕27の起風動作によって発生した風は、後方へ進行する。唐箕27と前記一番スクリューコンベア23との間に、風を上向きに送り出す整流板28を配設してある。
【0037】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
【0038】
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
【0039】
排塵口33及び排気通路37には、圧電素子を備える排出量センサ34、34がそれぞれ配してある。排塵口33及び排気通路37から、穀粒が排出され、排出量センサ34、34に当接する。このとき排出量センサ34、34の圧電素子から電圧信号が出力され、排塵口33及び排気通路37から排出される単位時間あたりの穀粒量(ロス量)が検出される。なお排出量センサ34、34は圧電素子を有するセンサに限るものではなく、発光素子及び受光素子を有する光センサを排出量センサ34として使用し、発光素子及び受光素子の間を通過する穀粒量を検出しても良い。また発信器及び受信機を有する超音波センサを排出量センサ34として使用し、発信器及び受信機の間を通過する穀粒量を検出しても良い。
【0040】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前方を下向きとして傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理室13の排出口13eから排出された排出物は流下樋35を滑落して前記ストローラック19に落下する。
【0041】
前述した走行クローラ1の駆動、刈取部3の刈取動作、扱胴11の回動、処理胴13bの回動、揺動選別装置16の揺動及び一番スクリューコンベア23の回転動作などはエンジン40の駆動力によって行われる。図4はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【0042】
図4に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。エンジン40の出力軸の近傍には、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ40aが設けてある。エンジン回転数センサ40aはホール素子などを有する磁気センサであり、出力軸が有する磁性体の通過によって回転数を検出する。
【0043】
HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。
【0044】
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
【0045】
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また伝動機構50に連結してある。伝動機構50は前記一番スクリューコンベア23に連結してある。伝動機構50と一番スクリューコンベア23とを連結する軸の近傍にピックアップセンサ51が設けてある。該ピックアップセンサ51は、ホール素子などを有する磁気センサであり、前記軸が有する磁性体の通過によって、一番スクリューコンベア23の回転数を検出する。
【0046】
またエンジン40は脱穀クラッチ44を介して偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
【0047】
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
【0048】
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達する。処理胴13bは、扱胴11にて脱穀処理された処理物から穀粒を分離する。
【0049】
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈が唐箕27の起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出される。
【0050】
前記投口センサ23a、エンジン回転数センサ40a及びピックアップセンサ51からの出力に基づいて、穀粒タンク4に貯留する穀粒量を演算する制御部がコンバインに搭載されている。図5は制御部の構成を示すブロック図、図6はエンジンの回転数及び係数βの関係を示すテーブルである。
【0051】
制御部100は内部バス100gにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)100a、ROM(Read Only Memory)100b、RAM(Random Access Memory)100c及びEEPROM(Electrically Erasable and Progrmmable Read Only Memory) 100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作制御など必要な制御を実行する。なおCPU100aはタイマを内蔵している。
【0052】
EEPROM100dには、LUT(Look Up Table) 100hが格納してある。
LUT100hには、エンジンの回転数及び係数βの関係を示すテーブルが記憶されている(図6参照)。該テーブルは、「エンジン回転数」欄及び「係数β」欄を備えており、各欄の各行には、エンジン回転数と、エンジン回転数に対応した係数βの値(β1〜β6)が格納されている。なおエンジン回転数の大小は、一番スクリューコンベア23の回転数の大小に対応している。
【0053】
またEEPROM100dには、補正変数Xが設定してあり、該補正変数Xには必要に応じて値が格納される。
【0054】
制御部100は出力インタフェース100fを介して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、表示部83に所定の映像を表示することを示す表示信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、警告ランプ84に点灯又は消灯信号を出力する。
【0055】
刈取スイッチ80、指標設定スイッチ81、操作スイッチ82、投口センサ23a、押圧式スイッチ4c、ピックアップセンサ51及びエンジン回転数センサ40aの各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0056】
なお前記キャビン8内には図示しないダッシュボードパネルが設けてあり、該ダッシュボードパネルに、刈取スイッチ80、指標設定スイッチ81、複数の操作スイッチ82及び脱穀スイッチ85が設けてあり、また液晶パネルを有する表示部83が設けてある。また前記キャビン8内には、警告ランプ84が設けてある。なお刈取スイッチ80のオンオフに対応して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が継断される。また脱穀スイッチ85のオンオフに対応して、脱穀クラッチ44が継断される。
【0057】
CPU100aは、投口センサ23aの出力信号に係る検出値を積算し、ピックアップセンサ51の出力信号に係る検出値に同期させてEEPROM100dに記憶する。図7は投口センサ23aの検出値とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフの一例である。(a)は、時間と投口センサ23aの検出値との関係を示すグラフであり、投口センサ23aの検出値は穀粒による圧力を示しており、所定のサンプリング数における移動平均値である。(b)は時間とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフであり、ピックアップセンサ51の検出値は、羽根板23bの一回転における回転開始時点及び回転終了時点を示している。
【0058】
ピックアップセンサ51の検出値は、パルス波として検出され、パルス波の間隔が一番スクリューコンベア23の一回転の周期、すなわち羽根板23bの一回転の周期Pに相当する。CPU100aは、所定のサンプリング周期(例えば100[ms])で投口センサ23aの検出値を取り込み、EEPROM100dに記憶する。またCPU100aは、ピックアップセンサ51からパルス波が入力される都度、タイムスタンプを作成し、該タイムスタンプを、パルス波が入力された時に投口センサ23aから入力された検出値に紐付けて、EEPROM100dに記憶する。
【0059】
図7において、P/4〜3P/4の間に投口センサ23aからCPU100aに入力された検出値は、羽根板23bによって穀粒が穀粒タンク4に投入されている時の検出値であり、0〜P/4及び3P/4〜Pの間に投口センサ23aからCPU100aに入力された検出値は、羽根板23bによって穀粒が穀粒タンク4に投入されていない時の検出値である。
【0060】
そのためP/4〜3P/4の間における投口センサ23aの検出値を積算した値(図7(a)の破線ハッチング部分の面積)は、投口センサ23aに当接した穀粒による力積に相当する。一方0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ23aの検出値を積算した値(図7(a)の実線ハッチング部分の面積)は、エンジン40の振動及び凹凸のある圃場を走行中に投口センサ23aに伝播した振動などの外乱及び投口センサ23aの特性による定常偏差に相当する。
【0061】
CPU100aは、所定の周期(例えば1[s])で、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ23aの検出値を積算した値に必要な処理を行い、EEPROM100dにアクセスして、補正変数Xに格納する。
【0062】
CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、P/4〜3P/4の間における投口センサ23aの検出値を積算する。そして積算した値に含まれる定常偏差を補正変数Xに格納された値を用いて除去する。例えば積算した値から、補正変数Xに格納された値を減算する。
【0063】
CPU100aは、定常偏差を除去した補正値DをRAM100cに記憶する。そして補正値Dに係数βを適用して、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を求める。
【0064】
次にCPU100aによる穀粒量演算処理について説明する。図8は、CPU100aによる穀粒量演算処理を示すフローチャートである。
【0065】
CPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオンであるか否か判定し(ステップS1)、刈取スイッチ80がオンになるまで待機する(ステップS1:NO)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS1:YES)、CPU100aは、エンジン回転数センサ40aから信号を取り込む(ステップS2)。そしてCPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてLUT100hを参照し(ステップS3)、エンジン回転数センサ40aから取り込んだ信号が示すエンジン回転数に対応する係数β(β1〜β6)を決定する(ステップS4)。
【0066】
そしてCPU100aは、ピックアップセンサ51及び投口センサ23aから信号を取り込み(ステップS5)、P/4〜3P/4の間の力積を積算する(ステップS6)。このとき、CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、P/4〜3P/4の間における投口センサ23aの検出値を積算する。なお投口センサ23aから制御部100には、検出値が一定のサンプリング周期で順次入力されており、CPU100aは、タイムスタンプを参照することによって、P/4〜3P/4の間に入力された検出値を認識することができる。
【0067】
次にCPU100aは、EEPROM100dにアクセスして補正変数Xを参照し(ステップS7)、算出した力積を補正変数Xにて補正し(ステップS8)、補正値Dを求める。例えばCPU100aは、算出した力積から補正変数Xに格納された値を減算する。なお減算は補正の一例であり、補正変数Xに格納された値に基づいて、乗算又は除算してもよい。
【0068】
そしてCPU100aは、補正値Dに係数βを適用する(ステップS9)。例えば補正値Dに係数βを乗算するか又は加算する。なお係数βの乗算又は加算は、係数βの適用の例示であってこれに限定されるものではない。次にCPU100aは、係数β適用後の補正値Dを積算する(ステップS10)。なおステップS10における積算値が穀粒タンク4に貯留した穀粒量に相当する。そしてCPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオフであるか否か判定し(ステップS11)、刈取スイッチ80がオフになるまで待機する(ステップS11:NO)。刈取スイッチ80がオフである場合(ステップS11:YES)、CPU100aは処理を終了する。なお上述した穀粒量演算処理は、周期P以内に実行されるリアルタイム処理として実行することができる。
【0069】
なおCPU100aは、ステップS10の後に、刈取スイッチ80がオフになった後、扱胴11で処理された穀粒が穀粒タンク4に搬出されるまでの時間が経過するまで待機し、穀粒量演算処理を終了しても良い。
【0070】
次にCPU100aによる補正値算出処理について説明する。図9はCPU100aによる補正値算出処理を示すフローチャートである。
【0071】
CPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオンであるか否か判定し(ステップS21)、刈取スイッチ80がオンになるまで待機する(ステップS21:NO)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS21:YES)、ピックアップセンサ51及び投口センサ23aから信号を取り込み(ステップS22)、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における力積を積算する(ステップS23)。このとき、CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ23aの検出値を積算する。なお投口センサ23aから制御部100には、検出値が一定のサンプリング周期で順次入力されており、CPU100aは、タイムスタンプを参照することによって、0〜P/4及び3P/4〜Pの間に入力された検出値を認識することができる。
【0072】
そしてCPU100aは、積算した値に所定の処理を実行する(ステップS24)。例えば、変動率を考慮した係数を乗算するか又は前記操作スイッチ82からの入力に応じて、予めEEPROM100dに設定した所定の関数を適用する。次にCPU100aは、処理を施した値を補正変数Xに格納する(ステップS25)。
【0073】
そしてCPU100aは、内蔵するタイマにて経時を開始し、所定時間、例えば1[s]が経過するまで待機する(ステップS26:NO)。所定時間が経過した場合(ステップS26:YES)、CPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオフであるか否か判定する(ステップS27)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS27:NO)、CPU100aは、タイマをリセットし(ステップS28)、ステップS22へ処理を戻す。刈取スイッチ80がオフである場合(ステップS27:YES)、CPU100aは処理を終了する。
【0074】
CPU100aは、押圧式スイッチ4cが貯留した穀粒に押圧された場合、すなわち押圧式スイッチ4cがオンになった場合に、警報処理を実行する。図10は、CPU100aによる警報処理を説明するフローチャートである。なお警報処理は、割込処理として実行される。
【0075】
CPU100aは、押圧式スイッチ4cから信号を取り込み、押圧式スイッチ4cがオンするまで待機する(ステップS31:NO)。押圧式スイッチ4cがオンである場合(ステップS31:YES)、警告ランプ84に点灯信号を出力する(ステップS32)。そしてCPU100aは、タイマにて経時を行い、所定時間が経過するまで待機する(ステップS33:NO)。所定時間経過後(ステップS33:YES)、CPU100aは、刈取スイッチ80及び脱穀スイッチ85から信号を取り込み、脱穀クラッチ44が切断されているか否かを判定する(ステップS34)。刈取スイッチ80及び脱穀スイッチ85からオフ信号が入力されている場合は、脱穀クラッチ44は切断されており、刈取スイッチ80又は脱穀スイッチ85からオン信号が入力されている場合は、脱穀クラッチ44は継合している。
【0076】
脱穀クラッチ44が切断されている場合(ステップS34:YES)、すなわち刈取スイッチ80及び脱穀スイッチ85がオフである場合、CPU100aは処理を終了する。この場合、ユーザは警告ランプ84の点灯によって、穀粒タンク4が満杯であることに気付き、刈取スイッチ80及び脱穀スイッチ85をオフ操作したものと考えられる。
【0077】
脱穀クラッチ44が継合している場合(ステップS34:NO)、CPU100aは、脱穀クラッチ44及び刈取クラッチ46に切断信号を出力する(ステップS35)。なおステップS35を実行する前に、脱穀クラッチ44及び刈取クラッチ46を強制的に切断することを表示させる信号を表示部83に出力してもよい。なおステップS32において、ブザーから警報音を発してもよいし、表示部83に貯留タンク4が満杯である旨を表示させてもよい。
【0078】
CPU100aは、ステップS9にて積算した補正後の値に基づいて、穀粒タンク4に貯留した穀粒量及び貯留率を表示する表示信号を表示部83に出力する。図11は、穀粒タンク4に貯留した穀粒量及び貯留率を表示する表示部83の表示画面を示す一例である。
【0079】
図11に示すように、表示部83の表示画面には、穀粒タンク4を模式的に表した縦方向に長い矩形状のタンク部83aと、穀粒タンク4の貯留率を示した貯留率表示部83bとが表示されている。またタンク部83aの横には、白抜又は黒で塗りつぶした三角形の指標83cが表示されている。
【0080】
CPU100aは、積算された補正後の値が増加するに従って、タンク部83aの内側を着色し、着色した部分が縦方向に長くなるように、表示部83に指令を発し、また貯留率表示部83bに示す貯留率を増加させる指令を表示部83に発する。また白抜の三角形の指標の表示位置を、縦方向に沿って一方から他方へ(図11における下側から上側へ)変更させる指令を表示部83に発する。
【0081】
CPU100aは、刈取を行っている場合に、指標設定スイッチ81から指標を設定する指令が入力されると、該指令が入力された時点における白抜の指標83cと同じ位置に、黒で塗りつぶした指標83cを表示させる指令を発する。図11には、黒で塗りつぶした二つの指標83cが表示されている。
【0082】
次にCPU100aによる指標設定処理について説明する。図12はCPU100aによる指標設定処理を示すフローチャートである。なおコンバインは穀稈の刈取を行っており、表示部83には、タンク部83aと、貯留率表示部83bと、指標83cとが表示されているものとする。
【0083】
CPU100aは、指標設定スイッチ81からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS41:NO)。指標設定スイッチ81からオン信号が入力された場合(ステップS41:YES)、オン信号が入力された白時点における白抜の指標83cと同じ位置に、黒で塗りつぶした指標83cを表示する信号を表示部83に出力する(ステップS42)。このとき表示部83は、オン信号が入力された白時点における白抜の指標83cと同じ位置に、黒で塗りつぶした指標83cを表示し、該表示を保持する。
【0084】
次にCPU100aは、指標を設定したことを示す情報を、積算した補正後の値に対応付けて、EEPROM100dに記憶する(ステップS43)。そしてCPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオフであるか否か判定する(ステップS44)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS44:NO)、CPU100aは、ステップS41へ処理を戻す。刈取スイッチ80がオフである場合(ステップS44:YES)、CPU100aは、ステップS41へ処理を戻す。
【0085】
CPU100aは、刈取が終了した後(刈取スイッチ80がオフになった後)に、操作スイッチ82から所定の操作信号を受信した場合、該操作信号に応じた表示指令を表示部83に出力する。
【0086】
図13は、刈取が終了した時点での表示部33に表示された表示画面の一例を示す図である。図13に示すように、刈取が終了した時点(ステップS44において刈取スイッチ80がオフであると判定された場合)、CPU100aは、白抜の指標83cを黒抜きの指標83cに変更する指令を発する。このとき表示部83は、白抜の指標83cを黒抜きの指標83cに変更して表示する。
【0087】
図14は、穀粒タンク4に貯留した全貯留量を表示する表示画面の一例を示す図である。CPU100aは、操作スイッチ82からの操作信号によって、指標83cを囲む選択枠83dを表示する指令を操作部83に発する。そして図14に示すように、操作スイッチ82からの操作信号によって、最も上側に位置する指標83cまで選択枠83dが移動し、最も上側に位置する指標83cの選択が決定した場合に、貯留率表示部83bに貯留率に代えて、貯留量を表示する信号を表示部83に発する。このとき貯留率表示部83bには、全貯留量が表示される。
【0088】
図15は、穀粒タンク4に貯留した全貯留量における指標83cで示された範囲の貯留量を表示する表示画面の一例である。CPU100aは、操作スイッチ82からの操作信号によって、複数の指標83cから二つの指標83c、83cをそれぞれ囲む選択枠83d、83dを表示する指令を操作部83に発する。そして操作スイッチ82からの操作信号によって、選択枠83d、83dによる指標83c、83cの選択が決定した場合、CPU100aは、EEPROM100dにアクセスし、各指標83c、83cに対応する積算した補正後の値(ステップS43参照)を参照し、指標83c、83cで示された範囲の貯留量を、貯留率表示部83bに表示させる指令を表示部83に発する。このとき表示部83は、指標83c、83cで挟まれた範囲の貯留量を表示する。
【0089】
指標83c、83cで挟まれた範囲の貯留量を表示することによって、所定範囲内の圃場での収穫量を認識することができる。そのためユーザは、指標83cを設定することによって、圃場を複数の範囲に分割し、分割した範囲内での収穫量を確認して、次回の耕作に向けて、必要な肥料の量及び土壌の改良などの検討を行うことができ、精密な農業(いわゆるプレシジョンファーミング)を行うことができる。またユーザが収穫作業を請け負った場合、ユーザは請け負った圃場毎に収穫量を認識することができる。
【0090】
実施の形態に係るコンバインにあっては、一番スクリューコンベア23の回転数に基づいて投口センサ23aの検出結果を補正することによって、投口センサ23aの検出結果から外乱の影響を抑制し、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を精度良く検出することができる。投口センサ23aは圧力センサであり、圧力センサへ作用する穀粒からの圧力は、穀粒量が同じであっても、一番スクリューコンベア23の回転数によって異なるが、当該差異を補正することによって、投口センサ23aの検出精度を高めることができる。
【0091】
また一番スクリューコンベア23の先端部に設けた羽根板23bの一回転の周期Pの内、穀粒を穀粒タンク4に投入していない期間(0〜P/4及び3P/4〜Pの間)に検出される検出結果は外乱であると判断することができる。そのため、穀粒を穀粒タンク4に投入している間(P/4〜3P/4の間)に検出される検出結果を求めることによって、投口センサ23aの検出結果から外乱の影響を除去し、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を精度良く検出することができる。
【0092】
また穀粒を穀粒タンク4に投入していない期間(0〜P/4及び3P/4〜Pの間)に検出される検出結果は外乱及び投口センサ23aの特性などの定常偏差によるものと考えられるので、該検出結果を使用して定常偏差を除去することで、投口センサ23aの検出結果の精度を向上させることができる。
【0093】
また穀粒タンク4に所定量の穀粒が貯留した場合、例えば満杯になった場合に、ユーザにその旨報知する。そのためユーザは警告の報知後、直ちに刈取を終了することができる。
【0094】
また穀粒タンク4に所定量の穀粒が貯留した場合、例えば満杯になった場合に、刈取クラッチ46を切断し、刈取を強制的に終了させる。そのため穀粒タンク4への過剰な貯留を防止し、コンバインの破損を防止することができる。
【0095】
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲の記載に基づいて定められる範囲内において種々変更した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0096】
2 脱穀装置
4 穀粒タンク(貯留部)
4c 押圧式スイッチ(貯留量検出手段)
11 扱胴
23 一番スクリューコンベア(スクリューコンベア)
23a 投口センサ(穀粒量検出手段)
23b 羽根板
40 エンジン(駆動源)
44 脱穀クラッチ(クラッチ)
51 ピックアップセンサ(回転数検出手段)
100 制御部
100a CPU
100b ROM
100c RAM
100d EEPROM
100h LUT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取られた穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置にて脱穀された穀粒を貯留する貯留部と、前記脱穀装置から前記貯留部へ穀粒を搬送するスクリューコンベアと、該スクリューコンベアにて搬送された穀粒量を検出する穀粒量検出手段とを備えるコンバインにおいて、
前記スクリューコンベアの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数検出手段の検出結果に基づいて、前記穀粒量検出手段の検出結果を補正する補正手段と
を備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記スクリューコンベアの端部における軸部分に前記貯留部へ穀粒を投入する羽根板が突設してあり、
前記羽根板は、前記スクリューコンベアの回転周期に同調して前記貯留部へ間欠的に穀粒を投入するようにしてあり、
前記穀粒量検出手段は物体の当接による圧力を検出するようにしてあり、
前記補正手段は、
前記回転数検出手段の検出結果に基づいて、前記スクリューコンベアの回転周期を求める手段と、
前記回転周期に含まれる前記羽根板から投入された穀粒が当接している当接期間に検出された前記穀粒量検出手段の検出結果を積算する積算手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記回転周期に含まれる前記当接期間外の期間に検出された前記穀粒量検出手段の検出結果に基づいて、前記積算手段の積算結果に含まれる定常偏差を除去する手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記貯留部に貯留した穀粒量を検出する貯留量検出手段と、
該貯留量検出手段が所定量の穀粒量を検出した場合に、警報を報知する手段と
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のコンバイン。
【請求項5】
前記脱穀装置に動力を供給する駆動源と、
該駆動源から前記脱穀装置への動力の伝達を継断するクラッチと、
前記貯留部に貯留した穀粒量を検出する貯留量検出手段と、
該貯留量検出手段が所定量の穀粒量を検出した場合に、前記クラッチを切断する手段と
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−223959(P2011−223959A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99074(P2010−99074)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年4月5日に、農業機械学会発行の「Program ISMAB 2010 JAPAN(CD)」にて発表
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】