説明

コンプリメンタリー光配線装置

【課題】 低速信号伝送時には信頼性を高め、高速信号伝送時には電気回路の負担を軽減することができ、信号伝達の信頼性向上と共に低消費電力化をはかる。
【解決手段】 デジタル電気入力信号に同期した光信号を生成する光送信器100 と、光信号を伝送する光伝送路201,202 と、光信号からデジタル電気入力信号と同じ情報を有するデジタル電気出力信号を生成する光受信器300 とを備えたコンプリメンタリー光配線装置であって、光送信器100 は、入力信号11a の立ち上がりに同期した光信号を光伝送路201 で、立ち下がりに同期した光信号を光伝送路202 で伝送する第1の動作状態と、入力信号11b の立ち上がり及び立ち下がりに同期した光信号を光伝送路201 で伝送し、入力信号11c の立ち上がり及び立ち下がりに同期した光信号を光伝送路202 で伝送する第2の動作状態を有し、2つの動作状態の何れか一方を選択して動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプリメンタリー光配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIチップ間の信号伝送における遅延・損失・ノイズなどの問題が重要視されている。特に、パーソナルコンピュータや携帯電話等のモバイル通信機器においては、各種無線電波信号と回路内電気信号のノイズ干渉が問題となっている。こうした状況の中、LSIチップ間の信号伝送に、電磁ノイズフリーであり、且つ高速・低損失である光信号を適用しようとする機運が高まってきている。
【0003】
一方、モバイル機器においてはバッテリー等の有限の電力源が使用されるため、機器内の電子部品には低消費電力であることが強く求められる。これは、光を信号伝送手段として用いる場合においても同様であり、これまでに低消費電力光配線装置として、例えば特許文献1、2に記載されたコンプリメンタリー光配線装置が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1の装置では、1つの電気入力信号を2つの光伝送路にて信号伝達するため、パラレル伝送においては多数の光伝送路が必要になってしまうという問題があった。また、特許文献2の装置では、1つの電気入力信号を1つの光伝送路にて信号伝達するため、信号伝達の信頼性が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2001−285195号公報
【特許文献2】特開2004−153442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、信号伝送速度に応じて信号伝達方式を切り替えることができ、信号伝達の信頼性向上と共に低消費電力化をはかり得るコンプリメンタリー光配線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、デジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期して光信号を生成する光送信器と、前記光信号を伝送する第1及び第2の光伝送路と、前記第1及び第2の光伝送路を介して得られる光信号から前記デジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を生成する光受信器と、を備えたコンプリメンタリー光配線装置であって、前記光送信器は、1つのデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジに同期した光信号を前記第1の光伝送路により伝送し、且つ前記1つのデジタル電気入力信号の立ち下がりエッジに同期した光信号を前記第2の光伝送路により伝送する第1の動作状態と、2つのデジタル電気入力信号のうち一方のデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号を前記第1の光伝送路により伝送し、且つ前記2つのデジタル電気入力信号のうち他方のデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号を前記第2の光伝送路により伝送する第2の動作状態を有し、前記2つの動作状態の何れか一方を選択して動作可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信号伝送速度に応じて信号伝達方式を切り替えることができ、信号伝達の信頼性向上と共に低消費電力化をはかることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態について説明する前に、まず本発明の概念について触れておく。
【0009】
特許文献1、2に記載されたような従来のコンプリメンタリー光配線装置は、デジタル電気入力信号の信号遷移に合わせて、デジタル電気入力信号が有する最小パルス幅よりも短いパルス幅を有する電気パルス信号(電気短パルス信号と呼ぶこともできる)によって発光素子を駆動する(すなわち、発光させる)。このうち、特許文献1に記載されたコンプリメンタリー光配線装置は、1つのデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期して流れるCR微分電流によって2つの発光素子を交互に発光させ、発生する光信号を2つの光伝送路にて伝送して信号伝達するものである。また、特許文献2に記載されたコンプリメンタリー光配線装置は、1つのデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期してデジタル的に発生させた電気パルス信号によって1つの発光素子を発光させ、発生する光信号を1つの光伝送路にて伝送して信号伝達するものである。
【0010】
これらコンプリメンタリー光配線装置においては、デジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのみを信号伝達することにより、光電力の大幅な低減が可能であるものの、例えば1Gbps(最小パルス幅1ns)を超えるような高速信号の伝送においては、電気パルス信号のパルス幅は1nsよりも小さくなり、非常に高速な電気回路が必要になる。即ち、コンプリメンタリー光配線装置において発光素子を発光させるための電気回路や、コンプリメンタリー光配線装置への電気入力信号を生成するための、並列(パラレル)電気信号を直列(シリアル)電気信号に変換・逆変換するシリアライザ・デシリアライザといった電気回路に、非常に大きな負担の懸かる恐れがあった。
【0011】
電気回路の負担軽減をはかる方法として、高速信号を複数の低速信号に分けて伝送すること(パラレル伝送)が考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のコンプリメンタリー光配線装置は、1つの電気入力信号を2つの光伝送路にて信号伝達するため、パラレル伝送においてはより多くの光伝送路が必要になってしまうという課題があった。
【0012】
一方、特許文献2に記載のコンプリメンタリー光配線装置は、1つの電気入力信号を1つの光伝送路にて信号伝達するため、パラレル伝送においても少数の光伝送路で構成可能である。しかしながら、この装置は、その受信側において、伝送された光パルスの数を数えることによりデジタル電気入力信号と同じデジタル情報(「0」、「1」)を有するデジタル電気出力信号を生成する機構のため、例えばノイズの影響により光パルスを1つでも受信し損ねると、生成されるデジタル電気出力信号の論理が反転してしまう。即ち、信号伝達の信頼性が低いという課題があった。
【0013】
本発明は上述の課題を鑑みて成されたものであり、低速信号伝送時は2つの光伝送路を用いてシリアル信号伝送を行い、高信頼の信号伝送を実現することが可能であると共に、高速信号伝送時は2つの光伝送路を用いてパラレル信号伝送を行い、電気回路の負担軽減を実現することが可能なコンプリメンタリー光配線装置を得ることができるものである。
【0014】
一般に、例えばプログラムの命令セットの伝送といった低速信号伝送においては、BER(Bit Error Rate:信号誤り率)が低いことが求められ、逆に、例えば動画などマルチメディア情報の伝送といった高速信号伝送においては、BERはそれほど低くなくても良いという傾向がある。上述した本発明の概念は、このような特徴に対応しており、信号伝送速度に応じて柔軟に信号伝達方法を選択して動作可能なものである。
【0015】
以下、いくつかの本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。なお、図面に記載された回路はあくまで例示的なものに過ぎない点に、特に留意すべきである。例えば、個々の回路素子の種類、個数、接続形態等によって本発明の技術思想が特定されるものではない。即ち、本発明の技術思想は、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の構成例を示す図である。
【0017】
この装置は、デジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21を生成する光送信器100と、光信号21を伝送する第1及び第2の光伝送路201,202と、第1及び第2の光伝送路201,202を介して得られる光信号21からデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を生成する光受信器300とから構成されている。
【0018】
光送信器100と光受信器300は、例えば異なる基板に設けられる。光送信器100と光受信器300とを光伝送路201,202で接続することにより、異なる基板間のLSIチップ間の信号伝送に用いることができる。しかし、必ずしもこれらを別基板上に設ける必要はなく、光送信器100、光伝送路201,202、及び光受信器300を、同一基板上に設けても良い。
【0019】
光送信器100は、1つのデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジに同期した光信号を第1の光伝送路201により伝送し、且つ1つのデジタル電気入力信号の立ち下がりエッジに同期した光信号を第2の光伝送路202により伝送する第1の動作状態と、2つのデジタル電気入力信号のうち一方のデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号を第1の光伝送路201により伝送し、且つ2つのデジタル電気入力信号のうち他方のデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号を第2の光伝送路202により伝送する第2の動作状態を有し、2つの動作状態の何れか一方を選択して動作可能である。
【0020】
本実施形態のコンプリメンタリー光配線装置の構成例を、第1の動作状態と第2の動作状態に分けて示す。図2(a)は第1の動作状態、図2(b)は第2の動作状態に対応している。
【0021】
図2(a)(b)中の11aは光送信器100に1つだけ入力される送信側デジタル電気入力信号(以下、1系統のデジタル電気入力信号と記す)、11bは光送信器100に2つ入力される送信側デジタル電気入力信号のうち一方の送信側デジタル電気入力信号(以下、第1系統のデジタル電気入力信号と記す)、11cは光送信器100に2つ入力される送信側デジタル電気入力信号のうち他方の送信側デジタル電気入力信号(以下、第2系統のデジタル電気入力信号と記す)である。
【0022】
また、12aは1系統のデジタル電気入力信号11aと同じデジタル情報を有する受信側デジタル電気出力信号(以下、1系統のデジタル電気出力信号と記す)、12bは第1系統のデジタル電気入力信号11bと同じデジタル情報を有する受信側デジタル電気出力信号(以下、第1系統のデジタル電気出力信号と記す)、12cは第2系統のデジタル電気入力信号11cと同じデジタル情報を有する受信側デジタル電気出力信号(以下、第2系統のデジタル電気出力信号と記す)である。さらに、21aは1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりエッジに同期した光信号、21bは1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりエッジに同期した光信号、21cは第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号、21dは第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号である。
【0023】
光送信器100は、デジタル電気入力信号11a〜11cからデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21a〜21dを生成し、光受信器300は、光信号21a〜21dからデジタル電気出力信号12a〜12cを生成する。
【0024】
即ち、図2(a)の第1の動作状態では、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21a,21bを別々に、第1及び第2の光伝送路201,202により光伝送する。図2(b)の第2の動作状態では、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21cを、第1の光伝送路201により光伝送し、且つ第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21dを、第2の光伝送路202により光伝送する。
【0025】
図1に示したコンプリメンタリー光配線装置においては、図2(a)に示した第1の動作状態と、図2(b)に示した第2の動作状態が、装置そのものの構成を何ら変更することなく、動的に切り替え可能である。切り替え方法については、光送信器100や光受信器300において、入力信号に応じて自動で判断して切り替え可能なものであっても良いし、別途制御信号を入力されることで切り替え可能なものであっても良い。これにより、例えば、低速信号については図2(a)に示した第1の動作状態(シリアル信号伝送)にて高信頼の信号伝送が可能であり、高速信号については図2(b)に示した第2の動作状態(パラレル信号伝送)にて電気回路負担の小さな信号伝送が可能になる。
【0026】
図2(a)(b)における光送信器100及び光受信器300の詳細を示したコンプリメンタリー光配線装置の構成例を図3(a)(b)に示す。図3(a)は第1の動作状態を示し、図3(b)は第2の動作状態を示している。
【0027】
図3(a)(b)中の121は第1の発光素子、122は第2の発光素子、110はデジタル電気入力信号の最小パルス幅よりも短いパルス幅の電気パルス信号をデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期して生成すると共に、第1の動作状態と第2の動作状態に応じて第1の発光素子121及び第2の発光素子122を発光させる系統別送信回路である。また、321は第1の受光素子、322は第2の受光素子、310は第1の受光素子321が受光して発生する受信電気パルス信号(以下、第1の受信電気パルス信号と記す)、及び第2の受光素子322が受光して発生する受信電気パルス信号(以下、第2の受信電気パルス信号と記す)からデジタル電気出力信号を生成する系統別受信回路である。
【0028】
系統別送信回路110は、図3(a)に示した第1の動作状態において、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した電気パルス信号それぞれにより、別々に、第1及び第2の発光素子121,122を発光させる。さらに、図3(b)に示した第2の動作状態において、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した電気パルス信号それぞれにより、共に第1の発光素子121を発光させ、且つ第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した電気パルス信号それぞれにより、共に第2の発光素子122を発光させるものである。
【0029】
系統別受信回路310は、図3(a)に示した第1の動作状態において、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりエッジに同期した光信号21a、及び1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりエッジに同期した光信号21bより、1系統のデジタル電気入力信号11aと同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号12aを生成する。また、図3(b)に示した第2の動作状態において、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21cより、第1系統のデジタル電気入力信号11bと同じデジタル情報を有する第1系統のデジタル電気出力信号12bを生成し、且つ第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号21dより、第2系統のデジタル電気入力信号11cと同じデジタル情報を有する第2系統のデジタル電気出力信号12cを生成するものである。
【0030】
このように本実施形態によれば、低速信号については図2(a)に示した第1の動作状態(シリアル信号伝送)にて高信頼の信号伝送が可能であり、高速信号については図2(b)に示した第2の動作状態(パラレル信号伝送)にて電気回路負担の小さな信号伝送が可能になる。従って、信号伝送速度に応じて柔軟に信号伝達方法を選択可能なコンプリメンタリー光配線装置を実現でき、低消費電力で、高機能且つ高信頼の電子機器が得られ、情報通信機器の高性能化と省エネルギー化を促進可能という効果を奏する。
【0031】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のコンプリメンタリー光配線装置の送信側の構成例を、図4に示す。図4は、図3(a)(b)における系統別送信回路110の詳細を示したものである。
【0032】
図4において、101aは1系統のデジタル電気入力信号11aの入力端子、101bは第1系統のデジタル電気入力信号11bの入力端子、101cは第2系統のデジタル電気入力信号11cの入力端子、111はデジタル電気入力信号から電気パルス信号を生成する系統別電気短パルス発生回路、31は第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した)電気パルス信号(第3の電気パルス信号)、32は1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた(立ち上がりエッジに同期した)電気パルス信号(第1の電気パルス信号)、33は1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた(立ち下がりエッジに同期した)電気パルス信号(第2の電気パルス信号)、34は第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がり及び立ち下がりに応じた(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した)電気パルス信号(第4の電気パルス信号)、112aは電気パルス信号31と電気パルス信号32のうちどちらか一方を選択して出力可能な第1の選択回路、112bは電気パルス信号33と電気パルス信号34のうちどちらか一方を選択して出力可能な第2の選択回路である。
【0033】
図4に示した系統別電気短パルス発生回路111は、3つの入力端子を有し、第1の動作状態においては入力端子101aに1系統のデジタル電気入力信号11aが入力され、第2の動作状態においては入力端子101bに第1系統のデジタル電気入力信号11bが、入力端子101cに第2系統のデジタル電気入力信号11cが入力されるものである。図4に示したコンプリメンタリー光配線装置の送信側の前段に配置されるシリアライザ等の電気回路は、第1の動作状態と第2の動作状態に応じて出力を適宜切り替え可能であっても良い。
【0034】
第1の選択回路112aは、第1の動作状態において1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32を出力し、第2の動作状態において第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号31を出力する。第2の選択回路112bは、第1の動作状態において1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた前記電気パルス信号33を出力し、第2の動作状態において第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号34を出力する。このような構成により、第1の動作状態と第2の動作状態に応じて、発光素子121,122によって発生する光信号を切り替え可能になるものである。
【0035】
図4に示した光送信器の具体的回路構成例を、図5に示す。図5において、131a〜131iはインバータ回路、132a〜132cはXNOR回路、133a〜133fはAND回路、134a,134bはOR回路、105aは第1の動作状態と第2の動作状態を切り替える制御信号を入力するための制御端子である。また、図6は、図5のA〜G各点における電圧波形の概形を示すタイミングチャートである。
【0036】
図5における系統別電気短パルス発生回路111では、第1の動作状態において、入力端子101aに入力された1系統のデジタル電気入力信号11a(図6、A)と、インバータ回路131bによって1系統のデジタル電気入力信号11aが反転・遅延された電気パルスから、XNOR回路132bによって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号(図6、C及びE)が生成される。次に、AND回路133aによって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号(図6、C)と、1系統のデジタル電気入力信号11aを遅延させた電気パルス(図6、B)から、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32(図6、D)が生成されると共に、AND回路133bによって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号(図6、E)と、1系統のデジタル電気入力信号11aを反転・遅延させた電気パルス(図6、F)から、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた電気パルス信号33(図6、G)が生成される。
【0037】
一方、第2の動作状態においては、XNOR回路132aによって、入力端子101aに入力された第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号31が生成されると共に、入力端子101bに入力された第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号34が生成される。
【0038】
図5における第1の選択回路112aでは、第1の動作状態において制御端子105aに「0」が入力され、AND回路133c,133dのうち133dのみが動作状態となり、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32が、OR回路134aから出力される。また、第2の動作状態において制御端子105aに「1」が入力され、AND回路133c,133dのうち133cのみが動作状態となり、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号31が、OR回路134aから出力される。
【0039】
一方、図5における第2の選択回路112bでは、第1の動作状態において制御端子105aに「0」が入力され、AND回路133e,133fのうち133eのみが動作状態となり、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた電気パルス信号33が、OR回路134bから出力される。また、第2の動作状態において制御端子105aに「1」が入力され、AND回路133e,133fのうち133fのみが動作状態となり、第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号34が、OR回路134bから出力される。
【0040】
このように、図5に示したコンプリメンタリー光配線装置の送信側は、コンプリメンタリー光配線装置の送信側の前段に配置されるシリアライザ等の電気回路出力に応じて系統別電気短パルス発生回路111が電気パルス信号を生成し、同時に制御端子105aに入力される制御信号に応じて第1及び第2の選択回路112a,112bの動作が切り替わることで、第1の動作状態と第2の動作状態を動的に切り替えて動作可能となる。
【0041】
図4に示した光送信器の別の具体的回路構成例を、図7に示す。図7において、136はNOR回路であり、これ以外の論理回路で図5と同一部分には同一符号を付している。また、図8は、図7のA〜G各点における電圧波形の概形を示すタイミングチャートである。なお、図6では回路ごとの遅延を考慮しているが、図8では回路ごとの遅延を無視している。
【0042】
図7に示した光送信器では、1系統のデジタル電気入力信号11aから電気パルス信号32、33を生成する回路が、図5に示した光送信器と異なる。即ち、第1の動作状態において、入力端子101aに入力された1系統のデジタル電気入力信号11a(図8、A、B及びE)と、1系統のデジタル電気入力信号11aをインバータ回路131bにより反転・遅延させた電気パルス(図8、C及びF)から、AND回路133aによって1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32(図8、D)が生成されると共に、NOR回路136によって1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた電気パルス信号33(図8、G)が生成される。
【0043】
このように本実施形態では、コンプリメンタリー光配線装置の光送信器100、特に系統別送信回路110を論理素子のみで実現することができ、コンプリメンタリー光配線装置を簡易な構成で実現することができる。ここで、系統別送信回路110を実現するための回路構成は、図5や図7に例を挙げたように、特定のものに限定されず適宜変更可能である。
【0044】
(第3の実施形態)
図4に示した第2の実施形態のコンプリメンタリー光配線装置の送信側の構成例とは別の構成例を、本発明の第3の実施形態として図9に示す。
【0045】
図9においては、デジタル電気入力信号の入力端子は第1系統のデジタル電気入力信号11bの入力端子101bと、第2系統のデジタル電気入力信号11cの入力端子101cの2つのみである。第1の動作状態においては、1系統の電気信号11aが入力端子101bのみに入力されても良いし、入力端子101cのみに入力されても良いし、101b,101cの両方に入力されても良い。第2の動作状態においては、第1系統のデジタル電気入力信号11bが入力端子101bに、第2系統のデジタル電気入力信号11cが入力端子101cに入力される。図9に示したコンプリメンタリー光配線装置の送信側の前段に配置されるシリアライザ等の電気回路は、第1の動作状態と第2の動作状態に応じて出力を適宜切り替え可能であっても良い。
【0046】
図9に示した光送信器の具体的回路構成例を、図10に示す。135a〜135cは、それらの制御端子入力が「1」のときにバッファとして機能し(即ち、入力がそのまま出力に伝わり)、それらの制御端子入力が「0」のときにハイインピーダンス状態となる(即ち、入力が出力に伝わらない)トライステートバッファである。131jはインバータ回路である。トライステートバッファ135a〜135cよりも後段の構成は、前記図5と同様である。
【0047】
図10における系統別送信回路110では、第1の動作状態において、1系統のデジタル電気入力信号11aが入力端子101bに入力されると共に、制御端子105aには「0」が入力される。このとき、トライステートバッファ135a,135cはハイインピーダンス状態となって信号を出力しない。一方、トライステートバッファ135bの制御端子にはインバータ回路131jを介して「1」が入力されるため、トライステートバッファ135bは入力信号をそのまま出力する。次に、トライステートバッファ135bの後段回路によって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32、及び1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた電気パルス信号33が生成される。第1の選択回路112a及び第2の選択回路112bでは、制御端子105aに「0」が入力されているため、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32、及び1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた電気パルス信号33が、それぞれ選択的に出力される。
【0048】
一方、第2の動作状態においては、第1系統のデジタル電気入力信号11bが入力端子101bに、第2系統のデジタル電気入力信号11cが入力端子101cに入力されると共に、制御端子105aには「1」が入力される。このとき、トライステートバッファ135a,135cは入力信号をそのまま出力するが、トライステートバッファ135bの制御端子にはインバータ回路131jを介して「0」が入力されるため、トライステートバッファ135bはハイインピーダンス状態となって信号を出力しない。次に、トライステートバッファ135a,135cの後段回路によって、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号31、及び第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号34が生成される。また、制御端子105aに「1」が入力されているため、第1の選択回路112a及び第2の選択回路112bでは、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号31、及び第2系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号34が、それぞれ選択的に出力される。
【0049】
図9に示した光送信器の別の具体的回路構成例を、図11に示す。図10とは系統別電気短パルス発生回路111の構成が異なっているのみである。図11において、141a,141bは相補型パスゲート、106a,106bは負論理のハーフクロック入力端子、107a,107bは正論理のハーフクロック入力端子である。ここで、ハーフクロックとは、デジタル電気入力信号の最小ビット幅の2倍に等しい周期を有するクロックである。また、図12は、図11のA〜Iの各点における電圧波形の概形を示すタイミングチャートである。
【0050】
図11における系統別電気短パルス発生回路111では、入力端子101bに入力されたデジタル電気入力信号(図12、A)から、デジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号(図12、B)が生成される。電気パルス信号はその後、2手に分岐される。そのうち一方は、そのまま電気パルス信号31として出力される。他方は、負論理のハーフクロック(図12、C)と正論理のハーフクロック(図12、D)によってゲーティングを行う相補型パスゲート141aによって、デジタル電気入力信号の立ち上がりに応じた電気パルス信号32(図12、E)として出力される。入力端子101cに入力されたデジタル電気入力信号(図12、A)からは、デジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号(図12、F)が生成され、2手に分岐された後、一方はそのまま電気パルス信号34として出力され、他方は正論理のハーフクロック(図12、G)と負論理のハーフクロック(図12、H)によってゲーティングを行う相補型パスゲート141bによって、デジタル電気入力信号の立ち下がりに応じた電気パルス信号33(図12、I)として出力される。
【0051】
図11における系統別送信回路110では、第1の動作状態において、1系統のデジタル電気入力信号11aが入力端子101bと入力端子101cの両方に入力されると共に、制御端子105aには「0」が入力され、第1の選択回路112a及び第2の選択回路112bによって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりに応じた電気パルス信号32、及び1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりに応じた電気パルス信号33が、それぞれ選択的に出力される。一方、第2の動作状態においては、第1系統のデジタル電気入力信号11bは入力端子101bに、第2系統のデジタル電気入力信号11cは入力端子101cに入力されると共に、制御端子105aには「1」が入力され、第1の選択回路112a及び第2の選択回路112bによって、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号31、及び第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号34が、それぞれ選択的に出力される。
【0052】
図9、図11に示した光送信器とは別の構成例を、図13に示す。図13において、35は入力端子101bに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号、36は入力端子101cに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号である。このように、図13における系統別電気短パルス発生回路111は2つの電気パルス信号のみを出力する。図13における第1の選択回路112aは、第1の動作状態において電気パルス信号35の立ち上がりエッジのみを選択的に出力し、第2の動作状態において電気パルス信号35をそのまま出力する。第2の選択回路112bは、第1の動作状態において電気パルス信号36の立ち下がりエッジのみを選択的に出力し、第2の動作状態において電気パルス信号36をそのまま出力する。
【0053】
図13に示した光送信器の具体的回路構成例を、図14に示す。図14における系統別電気短パルス発生回路111では、入力端子101bに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号35、及び入力端子101cに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号36が生成される。
【0054】
また、図14における第1の選択回路112aでは、第1の動作状態において、相補型パスゲート141aの端子106aに負論理のハーフクロックが、端子107aに正論理のハーフクロックが入力されることにより、入力端子101bに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がりに応じた電気パルス信号が出力され、第2の動作状態において、端子106aに「0」が、107aに「1」が入力されることにより、入力端子101aに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号35が出力される。一方、第2の選択回路112bでは、第1の動作状態において、相補型パスゲート141bの端子106bに負論理のハーフクロックが、端子107bに正論理のハーフクロックが入力されることにより、入力端子101cに入力されたデジタル電気入力信号の立ち下がりに応じた電気パルス信号が出力され、第2の動作状態において、端子106bに「1」が、107bに「0」が入力されることにより、入力端子101cに入力されたデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた電気パルス信号36が出力される。
【0055】
このように本実施形態では、デジタル電気入力信号の入力端子が2つ(101b,101c)であっても、第2の実施形態と同様に、動作状態に応じて第1〜第4の電気パルス信号を選択して出力することができる。
【0056】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態のコンプリメンタリー光配線装置の受信側の回路構成例を、図15に示す。図15は、図3(a)(b)における系統別受信回路310の詳細を示したものである。
【0057】
図15において、301aは1系統のデジタル電気出力信号の出力端子、301bは第1系統のデジタル電気出力信号の出力端子、301cは第2系統のデジタル電気出力信号の出力端子、335a〜335dはトライステートバッファ、371a,371bは、1つの入力の立ち上がりもしくは立ち下がりに同期して出力が反転するカウンタ機能を有するTフリップフロップ(第2,第3の論理素子)、375は、2つの入力のうちの一方の入力の立ち上がりもしくは立ち下がりにより出力が立ち上がり、2つの入力のうちの他方の入力の立ち上がりもしくは立ち下がりにより出力が立ち下がるセット・リセット機能を有するSRフリップフロップ(第1の論理素子)、305aは第1の動作状態と第2の動作状態を切り替えるための制御信号を入力する制御端子である。この制御端子305aに入力される信号は、トライステートバッファ335a,335dに供給されると共に、インバータ331を介してトライステートバッファ335b,335cに供給される。
【0058】
また、図16は、図15のフリップフロップ371a,371b,375の入出力電圧波形の概形を示すタイミングチャートである。
【0059】
図15に示した光受信器では、第1の動作状態において、制御端子305aに「0」が入力されることにより、トライステートバッファ335a,335dはハイインピーダンス状態となり、トライステートバッファ335b,335cは入力信号をそのまま出力する。その結果、3つのフリップフロップ371a,371b,375のうち、SRフリップフロップ375のみが動作し、第1の受信電気パルス信号(図16、S)、及び第2の受信電気パルス信号(図16、R)によって、1系統のデジタル電気出力信号(図16、Q)が生成される。一方、第2の動作状態においては、制御端子305aに「1」が入力されることにより、トライステートバッファ335b,335cはハイインピーダンス状態となり、トライステートバッファ335a,335dは入力信号をそのまま出力する。その結果、3つのフリップフロップ371a,371b,375のうち、Tフリップフロップ371a,371bのみが動作し、第1の受信電気パルス信号(図16、T1)から第1系統のデジタル電気出力信号(図16、Q1)が、第2の受信電気パルス信号(図16、T2)から第2系統のデジタル電気出力信号(図16、Q2)が、それぞれ生成される。
【0060】
このように、図15に示した光受信器は、制御端子305aに入力される制御信号に応じて3つのフリップフロップ371a,371b,375のうち、動作するものが切り替わることで、第1の動作状態と第2の動作状態を動的に切り替えて動作可能となるものである。なお、図15に示した光受信器の後段に配置されるデシリアライザ等の電気回路は、3つの入力端子を有すると共に、図15に示したコンプリメンタリー光配線装置の第1の動作状態と第2の動作状態のデジタル電気出力信号に応じた電気信号入力端子を有することが望ましい。
【0061】
図15に示した光受信器とは別の回路構成例を、図17に示す。また図18は、図17のフリップフロップ371a,371bの入出力電圧波形,及びXNOR回路332の出力電圧波形の概形を示すタイミングチャートである。
【0062】
図17における系統別受信回路310では前述のように、第2の動作状態において、第1の受信電気パルス信号から、Tフリップフロップ371aによって、第1系統のデジタル電気出力信号が出力端子301bに得られ、第2の受信電気パルス信号から、Tフリップフロップ371bによって、第2系統のデジタル電気出力信号が出力端子301cに得られる。一方、第1の動作状態においては、受信電気パルス信号(図18、T1)から生成されるデジタル電気出力信号(図18、Q1)と、受信電気パルス信号(図18、T2)から生成されるデジタル電気出力信号(図18、Q2)から、XNOR回路332によって、1系統のデジタル電気出力信号(図18、Q)が出力端子301aに得られる。図17に示した光受信器はSRフリップフロップそのものを有していないが、Tフリップフロップ2つとXNOR回路によりセット・リセット機能が実現されている点に留意すべきである。
【0063】
このようにして、図17に示した光受信器においては、第1の動作状態において出力端子301aから1系統のデジタル電気出力信号が得られると共に、第2の動作状態において出力端子301bから第1系統のデジタル電気出力信号が、出力端子301cから第2系統のデジタル電気出力信号が得られる。
【0064】
(第5の実施形態)
本コンプリメンタリー光配線装置を複数配置したものを、第5の実施形態として簡単に触れておく。前述の実施形態においては、コンプリメンタリー光配線装置は2つの光伝送路を有するものであった。しかしながら、コンプリメンタリー光配線装置を複数配置すれば、並列度をより高めることができる。
【0065】
例えば、前記図1に示したコンプリメンタリー光配線装置を2つ配置することで、最大4つの光伝送路を用いたパラレル信号伝送が可能となる。このとき、例えば5Gbpsの高速信号を4つの1.25Gbpsの信号として伝送可能であり、電気回路の負担を大幅に軽減可能である。
【0066】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の送信側の具体的構成例を、図19に示す。図19において、101b,101b’は第1系統のデジタル電気入力信号11bの差動入力端子、101c,101c’は第2系統のデジタル電気入力信号11cの差動入力端子、105aは第1の動作状態と第2の動作状態を切り替える制御信号を入力するための制御端子、131aはインバータ回路、137a〜137bは差動バッファ回路、138a〜138dは信号を一定時間だけ遅延させる遅延回路、139a〜139hは第1及び第2の発光素子121,122を駆動するためのNMOSトランジスタ、141a〜141bはゲート入力信号に応じてOFF状態(入力と出力が絶縁された状態)とON状態(入力と出力が短絡された状態)を取りうる相補型パスゲート、142a〜142bは第1及び第2の発光素子121,122にバイアス電流を流すための抵抗素子である。
【0067】
遅延回路138a〜138dは、図20に示したような、抵抗素子142と容量素子143を接続したCR遅延回路であっても良いし、インバータ回路を直列に偶数段接続したバッファ回路であっても良い。
【0068】
図21は、第1の動作状態における図19のA1〜F2各点の概略波形を示すタイミングチャート、図22及び図23は、第2の動作状態における図19のA1〜F2各点の概略波形を示すタイミングチャートである。
【0069】
図19に示した光送信器110は、2つの差動入力端子を有し、第1の動作状態において差動入力端子101b(101b’)と101c(101c’)の両方に1系統のデジタル電気入力信号11a(図21、A1(A2)とA1’(A2’))が入力され、第2の動作状態において差動入力端子101b(101b’)に第1系統のデジタル電気入力信号11b(図22、A1(A1’))が、差動入力端子101c(101c’)に第2系統のデジタル電気入力信号11c(図23、A2(A2’))が入力されるものである。そのため、図19に示したコンプリメンタリー光配線装置の送信側の前段に配置されるシリアライザ等の電気回路は、第1の動作状態と第2の動作状態に応じて出力を適宜切り替え可能であることが望ましい。
【0070】
制御端子105aには、第1の動作状態において「0」が入力され、相補型パスゲート141a〜141bはOFF状態となる。このとき、第1の発光素子121には、NMOSトランジスタ139a〜139dのうち139c〜139dのみが回路接続された状態となる。第1の発光素子121は、これらNMOSトランジスタ139c〜139dのゲート入力信号(図21、D1とE1)によって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち上がりエッジに同期した電気パルス信号(図21、F1)によって駆動される。一方、第2の発光素子122には、NMOSトランジスタ139e〜139hのうち139g〜139hのみが回路接続された状態となる。第2の発光素子122は、これらNMOSトランジスタ139g〜139hのゲート入力信号(図21、B1とC1)によって、1系統のデジタル電気入力信号11aの立ち下がりエッジに同期した電気パルス信号(図221、F2)によって駆動される。
【0071】
制御端子105aには、第2の動作状態において「1」が入力され、相補型パスゲート141a〜141bはON状態となる。このとき、第1の発光素子121には、NMOSトランジスタ139a〜139dの全てが回路接続された状態となる。第1の発光素子121は、これらNMOSトランジスタ139a〜139dのゲート入力信号(図22、B1、C1、D1、E1)によって、第1系統のデジタル電気入力信号11bの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した電気パルス信号(図22、F1)によって駆動される。一方、第2の発光素子122には、NMOSトランジスタ139e〜139hの全てが回路接続された状態となる。第2の発光素子122は、これらNMOSトランジスタ139e〜139hのゲート入力信号(図23、B2、C2、D2、E2)によって、第2系統のデジタル電気入力信号11cの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した電気パルス信号(図23、F2)によって駆動される。
【0072】
なお、本回路においては差動信号入力の場合を示したが、これはシングルエンド信号入力であっても良い。その場合、差動バッファ137a,137bを、シングルエンド信号入力から差動信号を生成可能な差動増幅器に変換すれば良い。
【0073】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態におけるコンプリメンタリー光配線装置における回路、回路素子、及び機能ブロックはあくまで一例であって、同等の機能を有する他の回路、回路素子、及び回路を構成する部品若しくは部品群で置き換えることが可能である。例えば、実施形態において使用された発光素子については、特に指定されていない限り、発光ダイオードや半導体レーザ等、各種発光素子が使用可能であるし、受光素子については、PINフォトダイオード、MSMフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、フォトコンダクター等、各種受光素子が使用可能である。さらに、光伝送路は光ファイバであっても良いし、光導波路であっても良い。また、発光素子は論理回路によって直接駆動されるとは限らず、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等が有する増幅効果を享受する形で駆動されてもよい。入力信号は差動信号であっても良いし、シングルエンド信号であっても良い。
【0074】
その他、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その主旨と範囲を逸脱することなく種々の変形が可能なことは、述べるまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の構成例を示す図。
【図2】第1の実施形態のコンプリメンタリー光配線装置の構成例を、第1の動作状態と第2の動作状態に分けて示す図。
【図3】第1の実施形態のコンプリメンタリー光配線装置のより具体的な構成例を、第1の動作状態と第2の動作状態に分けて示す図。
【図4】第2の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の光送信器の構成例を示す図。
【図5】図4の光送信器の具体的回路構成例を示す図。
【図6】図4の光送信器における各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図7】図4の光送信器の別の具体的回路構成例を示す図。
【図8】図7の光送信器における各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図9】第3の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の光送信器の構成例を示す図。
【図10】図9の光送信器の具体的回路構成例を示す図。
【図11】図9の光送信器の別の具体的回路構成例を示す図。
【図12】図11の光送信器における各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図13】第3の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の光送信器の別の構成例を示す図。
【図14】図13の光送信器の具体的回路構成例を示す図。
【図15】第4の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の光受信器の回路構成例を示す図。
【図16】図15の光受信器における各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図17】第4の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の光受信器の別の回路構成例を示す図。
【図18】図17の光受信器における各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図19】本発明の第6の実施形態に係わるコンプリメンタリー光配線装置の送信側の具体的構成例を示す図。
【図20】図19の装置に用いた遅延回路の例を示す図。
【図21】図19のコンプリメンタリー光配線装置の送信側における第1の動作状態の各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図22】図19のコンプリメンタリー光配線装置の送信側における第2の動作状態の各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【図23】図19のコンプリメンタリー光配線装置の送信側における第2の動作状態の各点の電圧波形の概形を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0076】
11a〜11c…デジタル電気入力信号、12a〜12c…デジタル電気出力信号、21a〜21d…光信号、31〜36…電気パルス信号、100…光送信器、110…系統別送信回路、111…系統別電気短パルス発生回路、112a…第1の選択回路、112b…第2の選択回路、121…第1の発光素子、122…第2の発光素子、201…第1の光伝送路、202…第2の光伝送路、300…光受信器、310…系統別受信回路、321…第1の受光素子、322…第2の受光素子、371a…Tフリップフロップ(第2の論理素子)、371b…Tフリップフロップ(第3の論理素子)、375…SRフリップフロップ(第1の論理素子)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期して光信号を生成する光送信器と、
前記光信号を伝送する第1及び第2の光伝送路と、
前記第1及び第2の光伝送路を介して得られる光信号から前記デジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を生成する光受信器と、
を備えたコンプリメンタリー光配線装置であって、
前記光送信器は、
1つのデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジに同期した光信号を前記第1の光伝送路により伝送し、且つ前記1つのデジタル電気入力信号の立ち下がりエッジに同期した光信号を前記第2の光伝送路により伝送する第1の動作状態と、2つのデジタル電気入力信号のうち一方のデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号を前記第1の光伝送路により伝送し、且つ前記2つのデジタル電気入力信号のうち他方のデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期した光信号を前記第2の光伝送路により伝送する第2の動作状態を有し、前記2つの動作状態の何れか一方を選択して動作可能であることを特徴とするコンプリメンタリー光配線装置。
【請求項2】
前記光送信器は、前記デジタル電気入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期して、前記デジタル電気入力信号の最小パルス幅よりも短いパルス幅の電気パルス信号を生成する系統別送信回路と、前記電気パルス信号で駆動されて前記第1の光伝送路に光信号を送出する第1の発光素子と、前記電気パルス信号で駆動されて前記第2の光伝送路に光信号を送出する第2の発光素子とを有してなり、
前記系統別送信回路は、
前記第1の動作状態において、前記1つのデジタル電気入力信号の立ち上がりエッジに同期した第1の電気パルス信号を生成して、前記第1の発光素子を駆動し、且つ前記1つのデジタル電気入力信号の立ち下がりエッジに同期した第2の電気パルス信号を生成して、前記第2の発光素子を駆動し、
前記第2の動作状態において、前記2つのデジタル電気入力信号のうち一方のデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた第3の電気パルス信号を生成して、前記第1の発光素子を駆動し、且つ前記2つのデジタル電気入力信号のうち他方のデジタル電気入力信号の立ち上がり及び立ち下がりに応じた第4の電気パルス信号を生成して、前記第2の発光素子を駆動することを特徴とする、請求項1に記載のコンプリメンタリー光配線装置。
【請求項3】
前記系統別送信回路は、前記第1乃至第4の電気パルス信号を生成する系統別電気短パルス発生回路と、前記第1の電気パルス信号と前記第3の電気パルス信号のうち何れか一方を選択して出力可能な第1の選択回路と、前記第2の電気パルス信号と前記第4の電気パルス信号のうち何れか一方を選択して出力可能な第2の選択回路とを有してなり、
前記第1の選択回路は、前記第1の動作状態において前記第1の電気パルス信号を選択して出力し、且つ前記第2の動作状態において前記第3の電気パルス信号を選択して出力し、
前記第2の選択回路は、前記第1の動作状態において前記第2の電気パルス信号を選択して出力し、且つ前記第2の動作状態において前記第4の電気パルス信号を選択して出力することを特徴とする、請求項2に記載のコンプリメンタリー光配線装置。
【請求項4】
前記光受信器は、前記第1の光伝送路を介して得られる光信号を受信して第1の受信電気パルス信号を生成する第1の受光素子と、前記第2の光伝送路を介して得られる光信号を受信して第2の受信電気パルス信号を生成する第2の受光素子と、前記第1及び第2の受信電気パルス信号からデジタル電気出力信号を生成する系統別受信回路とを有してなり、
前記系統別受信回路は、
前記第1の動作状態において、前記第1及び第2の受信電気パルス信号から、前記1つのデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を生成し、
前記第2の動作状態において、前記第1の受信電気パルス信号から前記2つのデジタル電気入力信号のうち一方のデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を生成し、且つ前記第2の受信電気パルス信号から前記2つのデジタル電気入力信号のうち他方のデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を生成することを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のコンプリメンタリー光配線装置。
【請求項5】
前記系統別受信回路は、前記第1の受信電気パルス信号の立ち上がり若しくは立ち下がりにより出力が立ち上がり、前記第2の受信電気パルス信号の立ち上がり若しくは立ち下がりにより前記出力が立ち下がる第1の論理素子と、前記第1の受信電気パルス信号の立ち上がり若しくは立ち下がりに同期して出力が反転する第2の論理素子と、前記第2の受信電気パルス信号の立ち上がり若しくは立ち下がりに同期して出力が反転する第3の論理素子とを有してなり、
前記第1の動作状態において、前記第1の論理素子により前記1つのデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を出力し、
前記第2の動作状態において、前記第2の論理素子により前記2つのデジタル電気入力信号のうち一方のデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を出力し、且つ前記第3の論理素子により前記2つのデジタル電気入力信号のうち他方のデジタル電気入力信号と同じデジタル情報を有するデジタル電気出力信号を出力することを特徴とする、請求項4に記載のコンプリメンタリー光配線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−28751(P2010−28751A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191022(P2008−191022)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】