説明

コークス炉ガスの脱硫装置およびその方法

【課題】 安定して効率よくコークス炉ガスを脱硫するコークス炉ガスの脱硫装置を提供する。
【解決手段】 コークス炉ガスが下部から上部へ流通可能な塔本体210の底部の集水部215で集水した触媒を含有するアルカリ水溶液201の一部を分流し、第1の冷却装置300で冷却し、塔本体210の中間部の第1のノズル216から散水させて循環冷却し、塔本体210の下部に冷却領域250を形成する。集水したアルカリ水溶液201の残部を第2の冷却装置400で冷却し、酸化処理塔500で触媒を酸化し、塔本体210の上部の第2のノズル217から散水させて循環冷却し、塔本体210の上部に脱硫処理領域260を形成する。第1の冷却装置300は、冷却領域250を流過するコークス炉ガスが脱硫処理領域260で脱硫処理に必要な温度にコークス炉ガスを冷却する状態に循環冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉ガスを脱硫するコークス炉ガスの脱硫装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭を乾留してコークスを製造する際に生成するコークス炉ガスを脱硫する方法として、アルカリ性水溶液をコークス炉ガスと接触させるアンモニアレドックス法、アンモニアタカハックス法、アンモニアフマックス法などの各種の湿式脱硫方法が知られている。これら湿式脱硫方法として、充填層を有した脱硫塔内にアルカリ水溶液を噴霧し、この脱硫塔内にコークス炉ガスを通過させて脱硫する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、充填塔式脱硫塔の頭頂部から、ピクリン酸やナフトキノンスルホン酸ソーダを含有するアルカリ性水溶液を平均粒径5mm以上の液滴で噴霧し、この充填塔脱硫塔の塔底からコークス炉ガスを導入して脱硫する。そして、硫黄とナフタレンとによる充填層における硫黄スラッジの堆積によるコークス炉ガスの圧力損失を測定し、噴霧する液滴径を調整している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−271074号公報(第3頁左欄−第4頁右欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コークス炉ガスの脱硫処理に際して、コークス炉ガスの温度が40℃以上となると脱硫効率が大きく低減してしまう。このことから、コークス炉ガスを冷却装置にて30℃〜35℃に十分に冷却したのちに処理する必要がある。なお、冷却装置にて冷却したコークス炉ガスを脱硫処理する装置に排送機にて配送する際、昇圧されてコークス炉ガスが50℃程度まで上昇してしまう。このことにより、脱硫処理する前に、再び冷却する必要があるが、この冷却の際に残留するナフタレンなどが析出して閉塞するおそれがあることから35℃〜45℃程度まで冷却する状態に留めているのが現状である。したがって、この冷却されたコークス炉ガスを、上述した特許文献1に記載のようなアルカリ性水溶液と接触させて脱硫する従来の方法では、コークス炉ガスがさらに冷却されてナフタレンが析出したり、ナフタレンと硫黄との相乗効果による硫黄スラッジが析出したりすることとなり、特許文献1に記載のような液滴径を調整するなどの特別の構成を設ける必要がある。また、ある程度生じる圧力損失により、さらなる処理効率の向上が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、安定して効率よくコークス炉ガスを脱硫するコークス炉ガスの脱硫装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコークス炉ガスの脱硫装置は、コークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能な塔本体と、この塔本体内の上部に設けられ、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液を散水する散水手段と、前記塔本体の底部に設けられ前記塔本体外に排出可能に前記水溶液を集水する集水部と、この集水部にて集水した前記水溶液の一部を分流して冷却し前記塔本体内の中間部へ返送して散水させる第1の循環冷却手段と、前記集水部にて集水した前記水溶液の残部を冷却し前記散水手段へ返送して散水させる第2の循環冷却手段と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
この発明では、第1の循環冷却手段により、コークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能な塔本体の中間部より、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液を散水させるとともに、塔本体の下部から水溶液の一部を分流して冷却し、塔本体内の中間部へ返送して循環させる。さらに、第2の循環冷却手段により、塔本体の上部より散水手段で水溶液を散水させるとともに、塔本体の下部から水溶液の残部を冷却し、塔本体の上部の散水手段へ返送して循環させる。このことにより、コークス炉ガスが塔本体を下部から中間部に流過する際に、脱硫に必要な温度まで冷却される状態が容易に得られ、このコークス炉ガスの冷却により塔本体の上部でコークス炉ガスが効率よく脱硫されるので、コークス炉ガスを脱硫するために冷却する冷却塔を別途設ける必要がなく、効率的な脱硫処理が得られる。また、塔本体の上部で効率よく脱硫処理できる温度まで、塔本体の下部でコークス炉ガスを冷却すればよいので、第1の循環冷却手段で水溶液を冷却する熱量が少なくてよいことから、第2の循環冷却手段で冷却する水溶液の水量が低減することによる冷却する熱量が少なくなる。このため、全体的に水溶液を冷却する熱量が低減するので、冷却のための伝熱面積が縮小し、装置の小型化が容易に得られる。
【0009】
そして、本発明では、前記第1の循環冷却手段および前記第2の循環冷却手段は、前記集水部における前記水溶液の温度が37℃以上となる状態に、前記水溶液をそれぞれ循環冷却する構成とすることが好ましい。この発明では、第1の循環冷却手段および第2の循環冷却手段により、塔本体の底部に設けられた集水部で集水する水溶液の温度が37℃以上となる状態に水溶液をそれぞれ循環冷却するので、例えば排送機により昇圧されて50℃以上となったコークス炉ガスが塔本体に導入されても、塔本体の上部で効率よく脱硫処理できる温度まで塔本体の下部で冷却すればよいことから、1つの塔本体で効率よく脱硫処理することが、塔本体の底部に集水する水溶液の温度管理により容易に得られる。
【0010】
また、本発明では、前記第1の循環冷却手段および前記第2の循環冷却手段は、前記第1の循環冷却手段で返送されて前記水溶液を散水する前記塔本体の中間部の位置で前記コークス炉ガスの温度が40℃以下となる状態に、前記水溶液をそれぞれ循環冷却する構成とすることが好ましい。この発明では、第1の循環冷却手段および第2の循環冷却手段により、第1の循環冷却手段で返送して水溶液を散水する塔本体の中間部の位置で、コークス炉ガスの温度が40℃以下となる状態に、水溶液をそれぞれ循環冷却するので、1つの塔本体の上部で効率よく脱硫処理が実施でき、塔本体の下部を流通するコークス炉ガスを必要以上に冷却する必要がなく、容易に装置の小型化が得られる。
【0011】
さらに、本発明では、前記塔本体は、前記コークス炉ガスが流通可能に前記散水手段にて前記水溶液が散水される充填層を備えた構成とすることが好ましい。この発明では、塔本体の散水手段にて水溶液が散水される位置にコークス炉ガスが流通可能な充填層を備えているので、水溶液とコークス炉ガスとの接触効率が向上し、コークス炉ガスが流通する方向となる塔本体の上下方向の寸法がより短くなり、より装置の小型化が容易に得られる。
【0012】
そしてさらに、本発明では、前記塔本体は、前記コークス炉ガスが流通可能に前記第1の循環冷却手段にて冷却された前記水溶液が散水される下部充填層を備えた構成とすることが好ましい。この発明では、第1の循環冷却手段にて冷却された水溶液が散水される領域となる塔本体の位置に、コークス炉ガスが流通可能な下部充填層を設けているので、水溶液とコークス炉ガスとの接触効率が向上し、コークス炉ガスを脱硫処理に必要な温度まで冷却する冷却効率が向上し、コークス炉ガスが流通する方向となる塔本体の上下方向の寸法がより短くなり、より装置の小型化が容易に得られる。
【0013】
また、本発明では、前記第2の循環冷却手段にて循環冷却される前記水溶液の循環経路中に設けられ、前記水溶液を酸化処理する酸化処理手段を具備した構成とすることが好ましい。この発明では、第2の循環冷却手段で循環冷却する水溶液の循環経路中に、水溶液を酸化処理する酸化処理手段を設けているので、コークス炉ガスを脱硫処理する塔本体の上部から散水する水溶液が、コークス炉ガスに含まれる硫化水素やシアン化水素などを効率よく吸収して脱硫処理できる状態に処理すればよく、第1の循環冷却手段で循環冷却する水溶液では、コークス炉ガスに含まれる硫化水素やシアン化水素などを効率よく吸収する必要がないことから、簡単な構成で水溶液の酸化処理が効率よく実施される。
【0014】
本発明のコークス炉ガスの脱硫方法は、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液が散水される塔本体にコークス炉ガスを流通させて脱硫処理するコークス炉ガスの脱硫方法であって、前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の一部を冷却して前記塔本体の中間部からこの中間部を流通する前記コークス炉ガスの温度が脱硫処理に必要な温度まで冷却される状態に散水する第1の循環冷却工程と、前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の残部を冷却して前記塔本体の上部から散水する第2の循環冷却工程と、を実施することを特徴とする。
【0015】
この発明では、第1の循環冷却工程で、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液が散水されコークス炉ガスが流通する塔本体の底部に集水される水溶液の一部を冷却し、塔本体の中間部から、この中間部を流通するコークス炉ガスの温度を脱硫処理に必要な温度まで冷却される状態に散水させる。さらに、第2の循環冷却工程で、塔本体の底部に集水される水溶液の残部を冷却し塔本体の上部から散水させる。このことにより、コークス炉ガスが塔本体を下部から中間部に流過する際に、脱硫に必要な温度まで冷却され、塔本体の上部で水溶液によりコークス炉ガスが効率よく脱硫処理されるので、コークス炉ガスを脱硫するために冷却する冷却塔を別途設ける必要がなく、効率的な脱硫処理が得られる。また、塔本体の上部で効率よく脱硫処理できる温度まで、塔本体の下部でコークス炉ガスを冷却すればよいので、第1の循環冷却工程で水溶液を冷却する熱量が少なくてよいことから、第2の循環冷却工程で冷却する水溶液の水量が低減することによる冷却する熱量が少なくなる。このため、全体的に水溶液を冷却する熱量が低減するので、冷却のための伝熱面積が縮小し、装置の小型化が容易に得られる。
【0016】
本発明のコークス炉ガスの脱硫方法は、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液が散水される塔本体にコークス炉ガスを流通させて脱硫処理するコークス炉ガスの脱硫方法であって、前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の一部を、前記塔本体の中間部を流通する前記コークス炉ガスの温度が脱硫処理に必要な温度まで冷却される状態に冷却して前記塔本体の中間部から散水させる第1の循環冷却工程と、前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の残部を冷却して前記塔本体の上部から散水する第2の循環冷却工程と、を実施することを特徴とする。
【0017】
この発明では、第1の循環冷却工程で、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液が散水されコークス炉ガスが流通する塔本体の底部に集水される水溶液の一部を、塔本体の中間部を流通するコークス炉ガスの温度が脱硫処理に必要な温度まで冷却される状態に、適宜冷却して塔本体の中間部から散水させる。さらに、第2の循環冷却工程で、塔本体の底部に集水される水溶液の残部を冷却し塔本体の上部から散水させる。このことにより、コークス炉ガスが塔本体を下部から中間部に流過する際に、脱硫に必要な温度まで冷却され、塔本体の上部で水溶液によりコークス炉ガスが効率よく脱硫処理されるので、コークス炉ガスを脱硫するために冷却する冷却塔を別途設ける必要がなく、効率的な脱硫処理が得られる。また、塔本体の上部で効率よく脱硫処理できる温度まで、塔本体の下部でコークス炉ガスを冷却すればよいので、第1の循環冷却工程で水溶液を冷却する熱量が少なくてよいことから、第2の循環冷却工程で冷却する水溶液の水量が低減することによる冷却する熱量が少なくなる。このため、全体的に水溶液を冷却する熱量が低減するので、冷却のための伝熱面積が縮小し、装置の小型化が容易に得られる。
【0018】
そして、本発明では、前記第1の循環冷却工程および前記第2の循環冷却工程では、前記炉本体の底部に集水される前記水溶液の温度が37℃以上となる状態に前記水溶液をそれぞれ循環冷却する構成とすることが好ましい。この発明では、第1の循環冷却工程および第2の循環冷却工程で、塔本体の底部に集水した水溶液の温度が37℃以上となる状態に水溶液をそれぞれ循環冷却するので、例えば排送機により昇圧されて50℃以上となったコークス炉ガスが塔本体に導入されても、塔本体の上部で効率よく脱硫処理できる温度まで塔本体の下部で冷却すればよいことから、1つの塔本体で効率よく脱硫処理することが、塔本体の底部に集水する水溶液の温度管理により容易に得られる。
【0019】
また、本発明では、前記第1の循環冷却工程では、前記コークス炉ガスの脱硫処理に必要な温度として40℃以下となる状態に循環冷却する構成とすることが好ましい。この発明では、第1の循環冷却工程で、コークス炉ガスの脱硫処理に必要な40℃以下となる状態に循環冷却するので、1つの塔本体の上部で効率よく脱硫処理が実施でき、塔本体の下部を流通するコークス炉ガスを必要以上に冷却する必要がなく、容易に装置の小型化が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コークス炉ガスを脱硫処理する塔本体の下部でコークス炉ガスが冷却され、1つの塔本体で効率的な脱硫処理が得られるとともに、コークス炉ガスを脱硫処理に必要な温度までに冷却する程度に脱硫処理の水溶液の一部を冷却してコークス炉ガスの冷却に利用すればよく、水溶液を循環冷却するための除去する熱量が低減し、冷却のための伝熱面積が縮小して装置を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のコークス炉ガスの脱硫装置における一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明における一実施の形態に係るコークス炉ガスの脱硫装置の概略構成を示す概念図である。なお、本発明では、冷却装置にて適宜冷却されてコークス炉ガス排送機にて排送されるコークス炉ガスを脱硫処理する構成について例示するが、この限りではなく、例えばコークス炉ガス排送機を介することなく冷却装置から直接導入される構成や冷却装置にて冷却され電気集塵機などにてタール分などが除去されたコークス炉ガスを直接あるいはコークス炉ガス排送機を介して導入される構成などとしてもよい。
【0022】
〔コークス炉ガスの脱硫装置の構成〕
図1において、100はコークス炉ガスの脱硫装置で、このコークス炉ガスの脱硫装置100は、図示しないコークス炉で生成され、図示しないドライメーンでアンモニア水フラッシングにより処理されて断熱飽和温度65℃〜85℃程度まで冷却され、冷却装置にて適宜冷却されてコークス炉ガス排送機にて排送されるコークス炉ガスを脱硫処理する。具体的には、例えばアンモニアレドックス法、アンモニアタカハックス法、アンモニアフマックス法などで、ピクリン酸やナフトキノンスルホン酸ソーダなどの硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有するアンモニア水や水酸化ナトリウム水などのアルカリ水溶液201をコークス炉ガスと直接接触させて脱硫する。このコークス炉ガスの脱硫装置100は、直接式脱硫塔200と、第1の循環冷却手段としての第1の冷却装置300と、第2の循環冷却手段としての第2の冷却装置400と、酸化処理手段としての酸化処理塔500と、などを備えている。
【0023】
そして、直接式脱硫塔200は、塔本体210を備えている。この塔本体210は、例えば略円筒状に形成され、軸方向が鉛直方向に略沿う状態に立設される。そして、塔本体210の下部側面には、コークス炉ガス排送機から配送されるコークス炉ガスが導入される導入口211が設けられている。また、塔本体210の上部、例えば頂部には、塔本体210内に導入されたコークス炉ガスが排出される排出口212が設けられている。そして、塔本体210内には、下部から中間部に亘る位置に、コークス炉ガスが流通可能に図示しない充填物が充填された下部充填層である第1の充填層213が設けられている。また、塔本体210内には、中間部から上部に亘る位置に、コークス炉ガスが流通可能に図示しない充填物が充填された第2の充填層214が設けられている。これら第1の充填層213および第2の充填層214は、コークス炉ガスが塔本体210内を直線的に上方へ流通することを阻害する状態に充填物が充填されて構築されている。
【0024】
また、塔本体210の底部には、アルカリ水溶液201を集水する集水部215が設けられている。さらに、塔本体210内の中間部、すなわち第2の充填層214の下方で第1の充填層213の上方に位置し、第1の充填層213にアルカリ水溶液201を平面方向で略均一に散水する第1のノズル216が配設されている。また、塔本体210内の上部には、アルカリ水溶液201を第2の充填層214に平面方向で略均等に散水する散水手段としての第2のノズル217が配設されている。
【0025】
さらに、塔本体210の底部には、集水部215で集水したアルカリ水溶液201を塔本体210外へ排出するポンプ221を有した排出管220が接続されている。さらに、排出管220には、ポンプ221の下流側に位置して、第1の分岐管230および第2の分岐管240が接続されている。これら第1の分岐管230および第2の分岐管240には、図示しない流量調整弁がそれぞれ設けられ、これら流量調整弁の開度に応じて排出管220を流通するアルカリ水溶液201が所定の流量で第1の分岐管230および第2の分岐管240へ分流される。
【0026】
第1の冷却装置300は、第1の分岐管230に接続され、集水部215で集水され排出管220を介して流通し第1の分岐管230に分流されたアルカリ水溶液201の一部を冷却する。この冷却されたアルカリ水溶液201は、塔本体210の中間部へ返送、すなわち第1のノズル216から散水される。このアルカリ水溶液201の循環冷却により、塔本体210の中間部から下方には、冷却領域250が形成される。
【0027】
第2の冷却装置400は、第2の分岐管240に接続され、集水部215で集水され排出管220を介して流通し第2の分岐管240に分流されたアルカリ水溶液201の一部を冷却する。この冷却したアルカリ水溶液201は、酸化処理塔500へ流入される。
【0028】
そして、第1の冷却装置300および第2の冷却装置400でのアルカリ水溶液201の冷却は、集水部215におけるアルカリ水溶液201の温度が37℃以上となるように、それぞれアルカリ水溶液201を循環冷却する。すなわち、ポンプ221にて集水部215から回収するアルカリ水溶液201の水量、第1の冷却装置300で冷却させる水量、および、第2の冷却装置400で冷却させる水量を、集水部215におけるアルカリ水溶液201の温度が37℃以上で、第1の充填層213を通過したコークス炉ガスが脱硫処理に必要な温度である40以下となる状態に制御される。
【0029】
酸化処理塔500は、第2の冷却装置400で冷却されたアルカリ水溶液201に空気を接触させてアルカリ水溶液201中の還元された触媒を酸化する。この酸化処理塔500は、例えば第2の分岐管240を流通する水量が流入されることで、同量の酸化処理されたアルカリ水溶液201をオーバーフローする構成が採られている。そして、酸化処理塔500は、酸化処理したアルカリ水溶液201を塔本体210の上部へ返送、すなわち第2のノズル217から散水させる。なお、アルカリ水溶液201は、第2の冷却装置400へ逆流しないように、逆止弁や水頭差を利用した逆流防止手段510などを介して酸化処理塔500へ流入される。また、酸化処理されたアルカリ水溶液201は、オーバーフローして塔本体210の上部へ返送される構成であることから、塔本体210からコークス炉ガスが逆流しないように、図示しない水封弁などを介して塔本体210へ流入させる構成とすることが好ましい。そして、第2の冷却装置400で冷却され酸化処理塔500で酸化処理されて第2のノズル217から散水されるアルカリ水溶液201の循環冷却により、塔本体210の中間部から上方に、脱硫処理領域260が形成される。
【0030】
〔コークス炉ガスの冷却装置の動作〕
次に、上記実施の形態におけるコークス炉ガスの脱硫装置100の動作を説明する。
(コークス炉ガスの脱硫処理)
まず、上記実施の形態におけるコークス炉ガスの脱硫装置100の動作として、コークス炉ガスを脱硫処理する動作を説明する。
【0031】
図示しないコークス炉ガス排送機にて排送されるコークス炉ガスは、直接式脱硫塔200の導入口211から、第1の冷却装置300で循環冷却されたアルカリ水溶液201が散水されて形成される冷却領域250に流入する。そして、塔本体210の下部に流入したコークス炉ガスは、第1の充填層213の充填物間を縫うようにして冷却領域250を上方へ流過する。この冷却領域250の流過の際、コークス炉ガスは、アルカリ水溶液201と効率よく接触し、第1のノズル216の位置である塔本体210の中間部を流過する際に、コークス炉ガスの脱硫処理に必要な温度である40℃以下に冷却される。なお、コークス炉ガスは、コークス炉ガス排送機による排送にて昇圧されて50℃〜58℃程度の温度となっている。このため、アルカリ水溶液201とコークス炉ガスが接触しても、十分な脱硫処理が進行しない、すなわちコークス炉ガス中の硫化水素やシアン化水素などのごく一部のみがアルカリ水溶液201に吸収される程度である。
【0032】
そして、冷却領域250を流過して冷却されたコークス炉ガスは、冷却領域250の上方に位置し、第2の冷却装置400で循環冷却され酸化処理塔500で酸化処理されたアルカリ水溶液201が第2のノズル217から散水されて形成される脱硫処理領域260に至る。そして、コークス炉ガスは、第2の充填層213の充填物間を縫うようにして脱硫処理領域260を上方へ流過する。この脱硫処理領域260の流過の際、コークス炉ガスは、アルカリ水溶液201と効率よく接触し、さらに冷却されるとともに、コークス炉ガス中の硫化水素やシアン化水素などがアルカリ水溶液201に吸収され、アルカリ水溶液201中の触媒の還元により硫黄および窒素に変換され、コークス炉ガスから除去される。そして、コークス炉ガスは、例えば35℃〜38℃程度に冷却され、排出口212から系外へ排出される。
【0033】
また、第1のノズル216および第2のノズル217から散水されて塔本体210の下方に流下したアルカリ水溶液201は、集水部215で集水される。そして、集水されたアルカリ水溶液201は、ポンプ221の駆動により、塔本体210から排出管220へ流出され、第1の分岐管230および第2の分岐管240へ適宜分流される。この後、第1の分岐管230を流過するアルカリ水溶液201は、第1の冷却装置300で適宜冷却されて再び第1のノズル216から散水される。また、第2の分岐管240を流過するアルカリ水溶液201は、第2の冷却装置400で適宜冷却され、酸化処理塔500に流入される。この酸化処理塔500に流入したアルカリ水溶液201は、例えば曝気された空気と接触されて触媒が酸化され、再び第2のノズル217から散水される。
【0034】
(コークス炉ガスの脱硫装置の作用)
次に、上述した実施の形態のコークス炉ガスの脱硫装置の動作として、他の冷却方法とを比較した作用について説明する。
【0035】
比較する脱硫装置としては、脱硫処理する前に冷却する中間冷却塔を設けた装置を比較例1、1つの直接式脱硫塔の下方に中間冷却塔の構成を組み合わせた装置を比較例2とし、同様の脱硫効率で脱硫処理した際の装置形態について比較した。
【0036】
比較例1の脱硫装置600は、図2に示すように、中間冷却塔610と、脱硫塔620と、酸化処理塔500と、を備えた構成としている。そして、中間冷却塔610は、コークス炉ガス排送機にて排送されるコークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能に構成している。さらに、中間冷却塔610には、上部から循環冷却水601を散水するとともに底部で集水した循環冷却水601を循環冷却する中間冷却器611を設けている。また、脱硫塔620は、中間冷却塔で冷却されたコークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能に構成され、底部に底部集水部621が設けられている。そして、脱硫塔620には、中間部に充填層622が設けられている。また、脱硫塔620には、底部集水部621で集水したアルカリ水溶液を排出する循環ポンプ623および流通するアルカリ水溶液を冷却する冷却器624を有した流出管625が接続されている。そして、流出管625には酸化処理塔500が接続されている。この酸化処理塔500は、脱硫塔620の上部に配設された脱硫ノズル626に接続されてアルカリ水溶液を循環させる。
【0037】
比較例2の脱硫装置700は、図3に示すように、直接脱硫塔710と、酸化処理塔500と、を備えている。直接脱硫塔710は、コークス炉ガス排送機にて排送されるコークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能で、底部に貯水部711が設けられている。また、直接脱硫塔710は、中間部に中間充填層712が設けられている。さらに、直接脱硫塔710には、貯水部711で集水したアルカリ水溶液を排出する排出ポンプ713および流通するアルカリ水溶液を冷却する循環冷却器714を有した循環管715が接続されている。また、循環管715は、分岐され、一方は直接脱硫塔710の中間部に設けられた中間ノズル716に接続され、他方は酸化処理塔500に接続されている。そして、酸化処理塔500は、直接脱硫塔710の上部に配設された上部ノズル717に接続されてアルカリ水溶液を循環させる。
【0038】
そして、脱硫処理として、硫化水素濃度が5.0g/Nm3、シアン化水素濃度が2.1g/Nm3で、温度が57℃のコークス炉ガスを、圧力が10kPa(37℃水分飽和)、流量が72000Nm3/hrで導入し、温度が38℃、圧力が9kPa、硫化水素濃度が0.5g/Nm3、シアン化水素濃度が0.1g/Nm3で処理する条件とした。また、冷却する冷却水温度は32℃とした。これらの条件に基づいて設定される装置構成は、以下の表1に示す形態となる。また、各装置構成の装置コストは、材料費に基づいて、以下の表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
この表2に示す結果から、比較例1では、比較例1の脱硫塔620の下方に中間冷却塔610が連結する構成となることから、塔高が53mと極めて高くなり、表2に示すように装置コストが増大するとともに、施工コストも増大する。一方、本実施の形態では、アルカリ水溶液201の一部をそれ程冷却しなくてもよい、具体的には、比較例1に比して、第1の冷却装置300ではアルカリ水溶液201を2℃〜4℃程度高めに冷却するのみでよく、また第2の冷却装置400で冷却するアルカリ水溶液201の水量が減ることとなり、伝熱面積が小さくなる。このため、表2に示すように、第1の冷却装置300および第2の冷却装置400を合わせた装置コストより、比較例2の循環冷却器714の方が高くなる結果となる。また、比較例2では、比較例1ほど装置コストは増大しないが、2つの塔が必要となり、設置するための敷地面積が広くなる不都合があるとともに、施工が煩雑で、施工コストが増大することとなる。これらのように、コークス炉ガスを同様に脱硫する構成では、本実施の形態のものが、安価に提供できることがわかる。
【0042】
〔コークス炉ガスの脱硫装置の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、第1の冷却装置300により、コークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能な塔本体210の中間部より、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有するアルカリ水溶液201を散水させるとともに、塔本体210の下部からアルカリ水溶液201の一部を分流して冷却し、塔本体210内の中間部へ返送して循環させる。さらに、第2の冷却装置400により、塔本体210の上部より第2のノズル217でアルカリ水溶液201を散水させるとともに、塔本体210の下部からアルカリ水溶液201の残部を冷却し、塔本体210の上部の第2のノズル217へ返送して循環させる。このことにより、コークス炉ガスが塔本体210を下部から中間部に第1の冷却装置300でアルカリ水溶液201の一部を循環冷却することにより冷却領域250が形成され、この冷却領域250をコークスガスが流過する際に、脱硫に必要な温度まで冷却される状態が容易に得られる。このため、コークス炉ガスの冷却により、塔本体210の上部で第2の冷却装置400でアルカリ水溶液201の残部を循環冷却することにより形成される脱硫処理領域260でコークス炉ガスが効率よく脱硫され、コークス炉ガスを脱硫するために冷却する中間冷却塔610などの冷却装置を別途設ける必要がなく、効率的に脱硫処理できる。また、塔本体210の上部で効率よく脱硫処理できる温度である40℃以下まで、塔本体210の下部でコークス炉ガスを冷却すればよいので、第1の冷却装置300でアルカリ水溶液201を冷却する温度が2℃〜4℃程度高めに冷却するのみでよく、冷却する熱量が少なくてよくなることから、第2の冷却装置400で冷却するアルカリ水溶液201の水量が低減し、冷却する熱量も少なくなる。このため、全体的にアルカリ水溶液201を冷却する熱量が低減するので、冷却のための伝熱面積が縮小し、装置の小型化が容易に得られ、装置コストや施工コストも低減できる。
【0043】
そして、第1の冷却装置300および第2の冷却装置400により、塔本体210の底部に設けられた集水部215で集水するアルカリ水溶液201の温度が37℃以上となる状態にアルカリ水溶液201をそれぞれ循環冷却している。このため、例えばコークス炉ガス排送機により昇圧されて50℃以上となったコークス炉ガスが塔本体210に導入されても、塔本体210の上部で効率よく脱硫処理できる温度となる40℃以下まで塔本体210の下部で冷却すればよいことから、1つの塔本体210で効率よく脱硫処理することが塔本体210の底部に集水するアルカリ水溶液201の温度管理により容易に制御できる。
【0044】
また、第1の冷却装置300および第2の冷却装置400により、第1の冷却装置300で返送してアルカリ水溶液201を散水する塔本体210の中間部の位置で、コークス炉ガスの温度が40℃以下となる状態に、アルカリ水溶液201をそれぞれ循環冷却している。このため、1つの塔本体210の上部で効率よく脱硫処理が実施でき、塔本体210の下部を流通するコークス炉ガスを必要以上に冷却する必要がなく、容易に装置の小型化が容易に得られ、さらには装置コストや施工コストの低減が容易に得られる。
【0045】
そして、塔本体210の第2のノズル217にてアルカリ水溶液201が散水される脱硫処理領域260となる塔本体210の中間部から上部の位置に、コークス炉ガスが流通可能な第2の充填層214を備えている。このため、アルカリ水溶液201とコークス炉ガスとの接触効率が向上し、コークス炉ガスが流通する方向となる塔本体210の上下方向の寸法がより短くなり、より装置の小型化が容易に得られるとともに、装置コストや施工コストの低減が容易に得られる。
【0046】
さらに、第1の冷却装置300にて冷却されたアルカリ水溶液201が散水される冷却領域250となる塔本体210の下部の位置に、コークス炉ガスが流通可能な第1の充填層213を設けている。このため、アルカリ水溶液201とコークス炉ガスとの接触効率が向上し、コークス炉ガスを脱硫処理に必要な温度まで冷却する冷却効率が向上し、コークス炉ガスが流通する方向となる塔本体210の上下方向の寸法がより短くなり、より装置の小型化が容易に得られるとともに、装置コストや施工コストの低減が容易に得られる。
【0047】
また、第2の冷却装置400で循環冷却するアルカリ水溶液201の残部の循環経路中に、アルカリ水溶液201を酸化処理する酸化処理塔500を設けている。このため、コークス炉ガスを脱硫処理する塔本体210の上部から散水するアルカリ水溶液201が、コークス炉ガスに含まれる硫化水素やシアン化水素などを効率よく吸収して脱硫処理できる状態に処理すればよく、第1の冷却装置300で循環冷却するアルカリ水溶液201の一部は、コークス炉ガスに含まれる硫化水素やシアン化水素などを効率よく吸収する必要がないことから、簡単な構成でアルカリ水溶液201を効率よく酸化処理できる。
【0048】
〔実施の形態の変形〕
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0049】
すなわち、上述したように、コークス炉ガス排送機にて排送されるコークス炉ガスを脱硫処理する構成について例示したが、例えばコークス炉ガス排送機を介することなく冷却装置から直接導入される構成や、冷却装置にて冷却され電気集塵機などにてタール分などが除去されたコークス炉ガスを直接あるいはコークス炉ガス排送機を介して導入される構成など、いずれに適用することができる。
【0050】
そして、集水したアルカリ水溶液201の温度が37℃以上となる状態に循環冷却して説明したが、この限りではなく、第1の冷却装置300でアルカリ水溶液201の一部を循環冷却して、脱硫処理領域260の下方に、コークス炉ガスを脱硫処理に必要な温度に冷却させる冷却領域250が形成される状態にすればよい。そして、コークス炉ガスを脱硫処理に必要な温度として40℃以下に冷却する状態に冷却領域250を形成する状態に循環冷却したが、流過したコークス炉ガスの性状に応じて適宜温度が設定されることはいうまでもない。
【0051】
また、第1の充填層213および第2の充填層214を設けて説明したが、第2の充填層214のみ設けた構成、さらには双方を設けない構成としてもよい。
【0052】
さらに、酸化処理塔500は、オーバーフローする構成で説明したが、この限りではない。さらに、第2の冷却装置400で冷却されたアルカリ水溶液201を酸化処理する位置に設けて説明したが、例えば排出管220の位置に設けて回収したアルカリ水溶液201の全量を酸化処理してもよい。
【0053】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態におけるコークス炉ガスの脱硫装置の概略構成を示す概念図である。
【図2】本発明のコークス炉ガスの冷却装置の作用を説明するために比較する比較例1における冷却装置の概略構成を示す概念図である。
【図3】本発明のコークス炉ガスの冷却装置の作用を説明するために比較する比較例2における冷却装置の概略構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0055】
100……コークス炉ガスの脱硫装置
201……水溶液であるアルカリ水溶液
210……塔本体
213……下部充填層としての第1の充填層
214……充填層である第2の充填層
215……集水部
217……散水手段としての第2のノズル
300……第1の循環冷却手段としての第1の冷却装置
400……第2の循環冷却手段としての第2の冷却装置
500……酸化処理手段としての酸化処理塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉ガスが下部から導入され上部から排出可能な塔本体と、
この塔本体内の上部に設けられ、硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液を散水する散水手段と、
前記塔本体の底部に設けられ前記塔本体外に排出可能に前記水溶液を集水する集水部と、
この集水部にて集水した前記水溶液の一部を分流して冷却し前記塔本体内の中間部へ返送して散水させる第1の循環冷却手段と、
前記集水部にて集水した前記水溶液の残部を冷却し前記散水手段へ返送して散水させる第2の循環冷却手段と、
を具備したことを特徴としたコークス炉ガスの脱硫装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコークス炉ガスの脱硫装置であって、
前記第1の循環冷却手段および前記第2の循環冷却手段は、前記集水部における前記水溶液の温度が37℃以上となる状態に、前記水溶液をそれぞれ循環冷却する
ことを特徴としたコークス炉ガスの脱硫装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコークス炉ガスの脱硫装置であって、
前記第1の循環冷却手段および前記第2の循環冷却手段は、前記第1の循環冷却手段で返送されて前記水溶液を散水する前記塔本体の中間部の位置で前記コークス炉ガスの温度が40℃以下となる状態に、前記水溶液をそれぞれ循環冷却する
ことを特徴としたコークス炉ガスの脱硫装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコークス炉ガスの脱硫装置であって、
前記塔本体は、前記コークス炉ガスが流通可能に前記散水手段にて前記水溶液が散水される充填層を備えた
ことを特徴としたコークス炉ガスの脱硫装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコークス炉ガスの脱硫装置であって、
前記塔本体は、前記コークス炉ガスが流通可能に前記第1の循環冷却手段にて冷却された前記水溶液が散水される下部充填層を備えた
ことを特徴としたコークス炉ガスの脱硫装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコークス炉ガスの脱硫装置であって、
前記第2の循環冷却手段にて循環冷却される前記水溶液の循環経路中に設けられ、前記水溶液を酸化処理する酸化処理手段を具備した
ことを特徴としたコークス炉ガスの脱硫装置。
【請求項7】
硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液が散水される塔本体にコークス炉ガスを流通させて脱硫処理するコークス炉ガスの脱硫方法であって、
前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の一部を冷却して前記塔本体の中間部からこの中間部を流通する前記コークス炉ガスの温度が脱硫処理に必要な温度まで冷却される状態に散水する第1の循環冷却工程と、
前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の残部を冷却して前記塔本体の上部から散水する第2の循環冷却工程と、を実施する
ことを特徴とするコークス炉ガスの脱硫方法。
【請求項8】
硫化水素を硫黄に変換する触媒を含有する水溶液が散水される塔本体にコークス炉ガスを流通させて脱硫処理するコークス炉ガスの脱硫方法であって、
前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の一部を、前記塔本体の中間部を流通する前記コークス炉ガスの温度が脱硫処理に必要な温度まで冷却される状態に冷却して前記塔本体の中間部から散水させる第1の循環冷却工程と、
前記塔本体の底部に集水される前記水溶液の残部を冷却して前記塔本体の上部から散水する第2の循環冷却工程と、を実施する
ことを特徴とするコークス炉ガスの脱硫方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のコークス炉ガスの脱硫方法であって、
前記第1の循環冷却工程および前記第2の循環冷却工程では、前記炉本体の底部に集水される前記水溶液の温度が37℃以上となる状態に前記水溶液をそれぞれ循環冷却する
ことを特徴とするコークス炉ガスの脱硫方法。
【請求項10】
請求項7または請求項8に記載のコークス炉ガスの脱硫方法であって、
前記第1の循環冷却工程では、前記コークス炉ガスの脱硫処理に必要な温度として40℃以下となる状態に循環冷却する
ことを特徴とするコークス炉ガスの脱硫方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−8992(P2007−8992A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188721(P2005−188721)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】