コード搬送装置及び搬送方法
【課題】複数本のコードを搬送するときに生じる隣接するコードの絡み付きを防止するコード搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】複数本のコードを平行状態を保ちつつ一方向に搬送するコード搬送手段を備えたコード搬送装置において、上記平行状態の少なくとも隣接するコードが、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、少なくとも隣接するコード同士が離間するように構成し、少なくとも隣接するコードが、コード並び方向に対し直角方向の経路で搬送されるようにガイドするガイドロールを設け、コード搬送手段又はコード搬送手段の後段の後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けた。
【解決手段】複数本のコードを平行状態を保ちつつ一方向に搬送するコード搬送手段を備えたコード搬送装置において、上記平行状態の少なくとも隣接するコードが、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、少なくとも隣接するコード同士が離間するように構成し、少なくとも隣接するコードが、コード並び方向に対し直角方向の経路で搬送されるようにガイドするガイドロールを設け、コード搬送手段又はコード搬送手段の後段の後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードを平行状態に保ちつつ並べて一方向に搬送するコード搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば有機原料からなる繊維コードは、工業製品あるいはその原材料として幅広い分野で用いられている。例えば、ポリエステルやナイロンなどを原料とする合成繊維などによって構成されるゴム補強用の繊維コードは、空気入りタイヤやコンベアベルト、ホース、空気バネなどのゴム工業製品の補強材として用いられている。一般に上記繊維コードは、化学的に合成された原糸を撚り糸機で撚ることにより生産される。ゴム補強用として使用される繊維コードは、ゴムと密着するために必要な接着溶剤に漬浸する処理が施されてディッピングコードとなる。このディッピングコードを骨材としてゴムをコーティングしてゴム製品又は中間部材が製造される。このような繊維コードは、同時に複数本のコードがボビンなどから巻出されて搬送及び加工される。
【0003】
上記の繊維コードは、継続的に搬送及び加工される。繊維コードの搬送及び加工は、巻出しが終了したボビンから新たなボビンに切り替え、巻出しの終了する繊維コードの終了端と切り替えられた新たなボビンから巻出される繊維コードの開始端とを結節することにより繊維コードが継続的に行われる。
例えば、コードを搬送し加工する装置は特許文献1に示す技術が公開されており、図15に示すような装置が用いられている。また、搬送される繊維コードを結節する技術については特許文献2に示すものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−140123号公報
【特許文献2】特開2006−348420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図15に示すコードの搬送装置において、特許文献1及び特許文献2に記載の方法及び装置により結節されるコードには、結節部が形成される。この結節部の結び目の先端には、並進して搬送される隣接するコードの結び目の先端が接触して絡み付きが生じてしまう。この問題は、コードを搬送する速度にも依存するため、コードの搬送速度を速くして生産効率を向上させる場合に、安定的な生産を阻害する原因となっている。特に、繊維コードを搬送する経路の途中にコードが加工される工程が含まれるときには、搬送による不具合が、加工されたコードを使用する後の工程に影響を与えて、生産の停止など連鎖的に影響を及ぼして生産効率の著しい低下を引き起こすなどの問題を生じさせている。
また、結節部が存在しないコードの搬送にあっても、コードを複数本搬送する場合、コード同士が平行を保ちつつ近接状態となることから、コードの振動や風、気流などの影響を受けて、コードに横ぶれが発生し、隣接するコード同士に絡み付きが生じてしまう。
これらの問題を解決する方法として隣接するコード同士の幅を十分に確保してコードを搬送する方法が考えられる。しかしこの方法では、搬送されるコードの並び方向に広い空間を必要とするため現実的に難しい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、複数本のコードが搬送されるときに生じる隣接するコード同士の絡み付き及び結節部に起因するコード同士の絡み付きを防止するコード搬送装置及び搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態として、複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段を備えたコード搬送装置において、平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士が、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士が離間するように構成する。
本発明によれば、隣接するコード同士が、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士が離間するように構成されたことにより、隣接するコード同士が位置ずれして搬送された結果、隣接するコード同士の搬送される経路の長さが変更され、コードが搬送されるときに生じる隣接するコード同士の絡み付きを防止できる。
【0008】
本発明の他の形態として、少なくとも隣接するコードが、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路で搬送されるようにガイドするガイドロールで経路を形成するように構成する。
本発明によれば、コード延在方向に対し直角方向の経路で搬送されるようにガイドするガイドロールで経路を形成することにより、隣接するコードの一方をガイドロールにガイドさせて隣接するコードを離間させ、搬送される経路を異なる長さにすることができる。
【0009】
本発明の他の形態として、ガイドロールを各コード毎に個別に設けるように構成する。
本発明によれば、ガイドロールを各コード毎に個別に設けたことにより、各コードを掛け間違えることなくガイドロールに掛けることができ、各コードをすべて長さの異なる経路で搬送することができる。
【0010】
本発明の他の形態として、ガイドロールを隣接するコードに別々に設けるように構成する。
本発明によれば、ガイドロールを隣接するコードに別々に設けたことにより、少ないガイドロールの数で効率良く隣接するコードの搬送経路を離間し、長さの異なる経路で搬送することができる。
【0011】
本発明の他の形態として、コード搬送手段又はコード搬送手段の後段の後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けるように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段又はコード搬送手段の後段に位置する後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けることにより、隣接するコードの横ぶれが抑制され、隣接するコードの接触又は絡み付きを防止することができる。
【0012】
本発明の他の形態として、規制部は、コード収容可能な溝よりなるように構成する。
本発明によれば、規制部がコード収容可能な溝よりなることにより、コードを溝に沿って搬送させることが可能となり、コードの左右の横ぶれや隣接するコードの絡み付きを防止することができる。
【0013】
本発明の他の形態として、コード搬送手段は、前後に平行配置された搬入ロールと搬出ロールを備え、これら各ロールにコードが平行状態を保ちつつ掛け渡されて一方向に搬送されるように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段は、前後に平行配置された搬入ロールと搬出ロールとよりなり、これ等各ロールのコードが平行状態を保ちつつ掛け渡されて一方向に搬送されることにより、搬入ロールと搬出ロールの上面間を搬送経路の一つとして用いることができる。
【0014】
本発明の他の形態として、コード搬送手段の前段にコード終了端に新たなコード開始端を結節する結節装置を具備するように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段の前段に、コード終了端に新たなコード開始端を結節する結節装置を具備することにより、結節装置によってすばやくコード終了端に新たなコード開始端を結節してコードを継続的に搬送することができる。また、結節状態にあっても、後段に設けられたコード搬送手段により、隣接するコード同士の経路が離間されるので、隣接するコード同士の結節部の絡み付きが防止される。
【0015】
本発明の他の形態として、コード搬送手段の後段にコードをディッピングするディッピング手段を設けるように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段の後方にコードをディッピングするディッピング手段を設けるように構成することにより、ディッピングや乾燥に伴う工程中のコードの変位により隣接するコード同士が絡み付くことなく搬送され、トラブルなくコードを搬送したまま接着溶剤を浸漬してコーティング処理することができる。
【0016】
本発明の他の形態として、コードは繊維又は金属からなる。
本発明によれば、コードが繊維又は金属からなることにより、素材に関らずコード状のものであれば隣接するコード同士が絡み付くことなく搬送され、トラブルなくコードを搬送したまま加工を行うことができる。
【0017】
本発明の他の形態として、コードは、撚り線である。
本発明によれば、コードが撚り線であるため、撚り線のコードの搬送に伴い、搬送中のコードに回転が生じやすいなどの特有の現象に対して、隣接するコード同士の絡み付きを防止できる。
【0018】
本発明の他の形態として、複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、搬送手段により一方向に搬送するコード搬送方法において、平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士を、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送し、この隣接するコード同士を離間するように搬送する。
本発明の方法によれば、隣接するコード同士をコード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士を離間するよう搬送することにより、隣接するコード同士が位置ずれして搬送された結果、隣接するコード同士の搬送される経路の長さが変更され、コードが搬送されるときに生じる隣接するコード同士の絡み付きを防止できる。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではなく、これらの特徴群の組み合わせもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るタイヤ構造断面図。
【図2】本発明の実施形態1に係るコード搬送装置の概略工程側面図。
【図3】本発明の実施形態1に係るコード搬送装置の概略工程上面図。
【図4】本発明の実施形態1に係るコード搬送手段の拡大側面図。
【図5】本発明の実施形態1に係るコード搬送手段の拡大上面図。
【図6】本発明の実施形態1に係る結び目拡大図。
【図7】本発明の実施形態1に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図8】本発明の実施形態1に係る他のコード搬送手段の拡大斜視図。
【図9】本発明の実施形態1に係る後段ロールを示す図。
【図10】本発明の実施形態1に係る他の形態の後段ロールを示す図。
【図11】本発明の実施形態2に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図12】本発明の実施形態3に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図13】本発明の実施形態4に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図14】本発明の実施形態5に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図15】本発明に係るコード搬送装置の従来図。
【符号の説明】
【0021】
1 コード搬送装置、5 ガイドロール、6a 搬入ロール、6b 搬出ロール、
7 後段ロール、10 繊維コード、35 巻出し手段、40 結節手段、
50 コード搬送手段、60 ディップ手段、65 乾燥手段、70 巻取り手段、
T タイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態1
以下、本発明の実施形態1について説明する。
図1は、本発明に係るコード搬送装置により搬送・加工されるコードが用いられる例としてのタイヤTの概略断面図を示す。タイヤTは、概略、インナーライナーT1、カーカスT2、ベルトT3、ビードコードT4、ビードフィラーT5などによって構成される。
インナーライナーT1は、タイヤTの内圧を保持して空気がタイヤT内部から漏れないようにタイヤTの内圧を保持するためのゴム層である。
【0023】
カーカスT2は、プライコードT6と呼ばれる繊維コード10やスチールコードを骨格としてカーカスゴムに接着して形成される。繊維コード10としては、ポリエステルやレーヨンが多く用いられる。カーカスT2の補強材に使用される繊維コード10は、すだれ状に加工されて繊維コード補強材となる。このすだれ状の繊維コード補強材に対して両面からゴム部材を加熱しながら加圧することによりカーカスT2が形成される。カーカスT2に求められる性能は、繰り返しの屈曲変形を受けてもカーカスゴムと繊維コード10との密着性を保持し、耐熱性に優れていることである。カーカスT2は、タイヤTのビード部において外側に折り返され、ビードコードT4とビードフィラーT5を包み込むように形成される。
【0024】
ベルトT3は、カーカスT2の中央上部に配置され、タイヤTの内圧や回転による変形を抑え、路面からの入力を受け止めて衝撃を緩和する役目を持つ。ベルトT3の補強用コードの素材には、レーヨン、ポリエステル、ガラス繊維が用いられていたが、最近ではほとんどスチールコードが用いられている。このベルトT3は、ベルトゴムとスチールコードとを接着して形成される。ベルトT3に求められる性能は、ベルトT3の端部で繰り返しせん断方向の力を受けても、ベルトゴムとスチールコードとの密着性を保持し、耐熱性に優れていることである。
【0025】
ビードコードT4は、スチールコードなどからなり、ホイールリムとの内圧を保持したり、回転するタイヤTに作用するトルクに対してタイヤTとホイールリムとの間に滑りが生じないようにタイヤTをホイールリムに固定する役割を果たす。このビードコードT4の周囲には、ゴムを基本素材とするビードフィラーT5が設けられる。
【0026】
ビードフィラーT5は、硬質や軟質のゴムからなる部材で、ビード部におけるカーカスT2の折り返し部分を満たしてビード部分の補強部材の役割を果たす。
上述したように、タイヤTは、タイヤTを構成する各部のゴム部材を繊維コード10やスチールコードによって補強するFRR(ファイバー・レインフォースド・ラバー)構造によって必要な強度が達成される。
【0027】
図2は、コード搬送装置1において繊維コード10やスチールコードなどのコードに加工を施す加工開始から加工終了までの一連の工程の概略を示す。
上述した繊維コード10やスチールコードは、ベルトゴムやカーカスゴムなどとの密着性を向上させるために、図2に示すようなコード搬送装置1によって加工される。
例えば、繊維コード10の場合は、繊維コード10とカーカスゴムとの密着が促進するように、接着溶剤61が満たされた浴槽62に搬送しながら浸し、コーティングするディップ加工が施される。
【0028】
また、スチールコードの場合は、スチールコードとベルトゴムとの密着が促進するように、接着溶剤61又は防錆のためのめっき処理剤が満たされた浴槽62に搬送しながら浸しコーティングするディップ加工が施されて、スチールコード表面に接着溶剤61又はめっき処理剤によるコーティングが施される。
本実施形態1では、コード搬送装置1で加工されるコードとして繊維コード10に加工を施す形態について説明する。
【0029】
図3は、本発明に係るコードに加工を施すコード搬送装置1を概略的に示す概略工程図の上面図を示す。
図2、図3に示すコード搬送装置1は、加工を施す繊維コード10のコード並び方向aがほぼ水平となるように配置して、複数本の繊維コード10を平行状態に保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段50を構成した形態である。
なお、繊維コード10のコード並び方向aがほぼ水平となるように配置したが、搬送されるコードの数が多い場合には、コードを搬送する経路の空間的な占有を考慮して、搬送されるコードのコード並び方向aを鉛直方向に並べて搬送するようにコード搬送装置1を構成しても良い。
【0030】
コード搬送装置1は、巻き出し手段35から巻出される複数本、本実施形態では10本の繊維コード10を平行状態に保ちつつ並べて一方向に搬送するコード搬送手段50を備える。
コード搬送手段50は、平行状態を保って搬送される繊維コード10の少なくとも隣接する繊維コード10同士が繊維コード10のコード延在方向b及びコード並び方向aに対し直角方向N(図4参照)に、例えば距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにして、隣接する繊維コード10同士が離間するように構成される。なお、コード延在方向b及びコード並び方向aに対し直角方向Nとしたが、厳密に直角方向である必要はない。
【0031】
繊維コード10の加工は、ボビン42に素線又は撚り線として巻付けられた繊維コード10をボビン42から巻出す巻出し手段35から開始される。
次の工程では、巻出し手段35において繊維コード10の巻出しが終了したときに、巻出しが終了したボビン42から搬送される繊維コード10のコード終了端10Aと新たなボビンから巻出されるコード開始端10Bを結節するエアスプライサー46を有する結節手段40が設けられる。
次の工程では、搬送される複数本の繊維コード10が隣接する繊維コード10同士が繊維コード10のコード延在方向bに対し略直角方向Nに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにするコード搬送手段50が設けられる。このコード搬送手段50についての詳細は後述する。
コード搬送手段50を経由した繊維コード10が再び平行状態を保ちつつ一方向に搬送されるときに繊維コード10にぶれが生じるおそれがあるために横ぶれを規制する規制部20による横ぶれ防止手段としての後段ロール7が設けられる。
次の工程では、平行状態を保ちつつ一方向に搬送される複数本のコードを接着溶剤61に浸漬させ、ディップロール9を有するディップ手段60が設けられる。
次の工程では、接着溶剤61が浸漬された複数本のコードを乾燥させる乾燥装置66を有する乾燥手段65が設けられる。
次の工程では、ボビン43を有し、乾燥した複数本の繊維コード10を巻取り手段70によって巻取られることにより、繊維コード10の加工の工程が終了する。
なお、各工程の間には図示しない自在に回転可能な搬送ロールが適宜設けられる。
【0032】
巻出し手段35では、加工される繊維コード10が、巻付けられているボビン42から巻出される。
巻出し手段35は、図外のターレットにボビン42が2つセットされ、一方のボビン42の巻出しが終了すると、ターレットを回転させて他方のボビン42を巻出し位置に配置して繊維コード10を巻出すことにより巻出しが継続的に行われる。なお、ターレットは搬送される繊維コード10の本数と同じ個数用意される。
繊維コード10の巻出しを継続的に行うために、巻出しが終了するボビン42から巻出される繊維コード10のコード終了端10Aと、新たなボビン42から巻出しが開始される繊維コード10のコード開始端10Bを結節する結節手段40が設けられる。
【0033】
結節手段40は、繊維コード10を搬送する経路の巻出し手段35の近傍に設けられ、エアスプライサー46やタイニングマシンと呼ばれる機械により繊維コード10のコード終了端10Aと新たな繊維コード10のコード開始端10Bを結節する。
エアスプライサー46は、巻出しの終了するボビン42から巻出される繊維コード10と切り替えられる新たなボビン42から巻出される繊維コード10との切替時間を短縮することができる。また、結節における繊維コード10の材料くず等の発生を抑制して、生産性を向上させる。なお、この結節は、コード搬送装置1を一時停止させて行われ、停止時間は1本の結節につき数秒から数十秒程度である。
【0034】
また、コード搬送装置1を停止させずに結節を行うには、図示しないが結節手段40と後述するコード搬送手段50との間にアキュームレータと呼ばれる装置を介在させれば良い。
アキュームレータは、搬送されるコードを一時的に蓄える装置で、コードを結節している時間の間は、アキュームレータからコード搬送手段50にコードを送出するという装置である。このアキュームレータは、一般に移動可能に設けられたロールなどを用いて構成される。
【0035】
図4はコード搬送手段50の拡大側面図を示し、図5はコード搬送手段50の拡大上面図を示す。図6は、図5における繊維コード10aの結び目12aと繊維コード10bの結び目12bの拡大図を示し、図7はコード搬送手段50の拡大斜視図を示す。
これら、図4〜図7を用いてコード搬送手段50について説明する。
コード搬送手段50は、結節された繊維コード10のコード終了端10Aとコード開始端10Bの結び目11に生じる余り部分の結節余剰端13が隣接する繊維コード10の結節余剰端13との絡まりを防止するために設けられる。
【0036】
図4に示すように、コード搬送手段50には、少なくとも隣接する繊維コード10が、繊維コード10のコード延在方向b及びコード並び方向aに対して直角方向Nに位置ずれした経路で搬送され、隣接する繊維コード10を距離Lだけ離間させるようにガイドするガイドロール5a,5b,5c,5d,5eが設けられる。
図7に示すように、この隣接する繊維コード10を離間させる距離Lは、搬入ロール6aで搬入される繊維コード10のコード間隔La、搬出ロール6bで搬出されるコード間隔Laよりも大きく設定される。
なお、ガイドロール5は図示しないが、コード並び方向aにその回転軸を向けて、回転自在にそれぞれ支持される。
本実施形態1において、ガイドロール5a〜5eは、コード延在方向b及びコード並び方向aに対して直角方向Nにそれぞれ異なる高さとなるように位置ずれさせて設けられる。
【0037】
つまり、ガイドロール5aはこのコード搬送手段50の前後に平行配置された搬入ロール6aと搬出ロール6bと同じ高さに配置される。ガイドロール5bはガイドロール5aより下方に配置される。ガイドロール5cはガイドロール5bより下方に配置される。ガイドロール5dはガイドロール5cより下方に配置される。ガイドロール5eはガイドロール5dより下方に配置される。
【0038】
図5に示すような複数本の繊維コード10、ここでは10本の繊維コード10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i,10jがガイドロール5a〜5bに掛けられて搬送される場合について詳説する。
例えば、図7に示すように、繊維コード10aはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5eの下方に掛けられる。
以上のように繊維コード10a〜10jをガイドロール5a〜5eに掛けることにより、繊維コード10a〜10jの少なくとも隣接する繊維コード10同士は、距離Lだけ離間されて、長さの異なる経路で搬送される。なお、隣接する繊維コード10同士は、一定の距離Lで離間する必要はなく、隣接する繊維コード10同士の絡み付きが防止できるように変更して良い。
【0039】
他の繊維コード10a〜10jのガイドロール5a〜5eへの掛け方として、例えば、繊維コード10aはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5dの下方に掛けられる。
このように配置すれば装置を小型化することができる。
以上のように繊維コード10a〜10jをガイドロール5a〜5eに対して順番に一つ飛ばしに掛けても良い。このようにしても少なくとも隣接する繊維コード10同士は、離間されて、長さの異なる経路で搬送される。
【0040】
なお、本実施形態では繊維コード10a〜10jの延在方向に対して略直角方向Nに沿ってガイドロール5a〜5eを配置したが、図8に示すように、延在方向に対し直角方向Nに対して角度α傾斜して配置しても、また各ガイドロール5の回転を支持する軸が、直線状に一列に並んで配置されなくても良い。
【0041】
上述したコード搬送手段50により搬送経路が分岐された繊維コード10a〜10jは、巻出し手段35から巻取り手段70までの経路において、それぞれ長さの異なる経路で搬送される。
これにより、例えば、全ての繊維コード10a〜10jが同時に結節手段40で結節されて結び目11a〜11jが形成された場合でも、繊維コード10a〜10jは、隣接する繊維コード10の結び目11同士が離間しているため、隣接する繊維コード10の結び目11同士の絡み付きを避けることができる。
また、図5に示すように、結節された繊維コード10a〜10jに形成された結び目11a〜11jは、結節直後にはコード並び方向aにほぼ一列に並んでいる。しかし、コード搬送手段50を経由して搬送された結び目11a〜11jは、結び目12a〜12jのような位置関係となり、コード搬送手段50は隣接する結び目12a〜12jの位置関係にずれを生じさせることができる。
【0042】
図6は、コード搬送手段50を経由したあとの繊維コード10aの結び目12aと繊維コード10bの結び目12bの位置の拡大図を示す。
図6に示すように、結び目12aの結節余剰端13,13のうち長い方を結節余剰端13aとし、結び目12bの結節余剰端13,13のうち長い方を結節余剰端13bとする。
このとき、結節余剰端13a,13bが絡み付かない位置関係とするには、結び目12aと結び目12bとを結ぶ直線での距離A1が、結節余剰端13a,13bの長さの和よりも大きくなるように、ガイドロール5aに対してガイドロール5bを離間させて設ければ良い。
【0043】
つまり、結節余剰端13a,13bが絡み付かない距離A1が得られるように、図4に示すような距離L1を調整してガイドロール5aとガイドロール5bを配置することにより、結び目12aの結節余剰端13aと結び目12bの結節余剰端13bとが絡まないようにすれば良い。
同様に、結節余剰端13b,13cが絡み付かない距離A2が得られるように、図4に示すような距離L2を調整してガイドロール5bとガイドロール5cを配置することにより、結び目12bの結節余剰端13bと結び目12cの結節余剰端13cとが絡まないようにすれば良い。
同様に、結節余剰端13c,13dが絡み付かない距離A3が得られるように、図4に示すような距離L3を調整してガイドロール5cとガイドロール5dを配置することにより、結び目12cの結節余剰端13cと結び目12dの結節余剰端13dとが絡まないようにすれば良い。
同様に、結節余剰端13d,13eが絡み付かない距離A4が得られるように、図4に示すような距離L4を調整してガイドロール5dとガイドロール5eを配置することにより、結び目12dの結節余剰端13dと結び目12eの結節余剰端13eとが絡まないようにすれば良い。
ガイドロール5eを経由した繊維コード10eとガイドロール5aを経由した繊維コード10fが搬送される経路の長さの差は、結び目12eと結び目12fを直線で結ぶ距離A5よりも長いことは明らかである。なお、繊維コード10f〜10jは、繊維コード10a〜10eの繰り返しのため説明は省略する。
ガイドロール5a〜5eに掛けられる繊維コード10a〜10jは、適宜、隣接するコードに形成される結び目12の結節余剰端13の長さに対応して繊維コード10を掛けるガイドロール5a〜5eを選び、隣接する繊維コード10と離間させれば良い。
【0044】
コード搬送手段50としてのガイドロール5a〜5eを経由した繊維コード10a〜10jは、搬出ロール6bの上面側に掛けられ、再び平行状態を保ちつつ並んで搬送される。
コード搬送手段50を経由したあとの繊維コード10a〜10jは、搬出ロール6bの後段に設けられた後段ロール7によって搬送される。
【0045】
図9は規制部20を備えた後段ロール7を示す。後段ロール7は、規制部20として形成された溝21を複数(ここでは搬送されるコードの本数分の溝21)備え、繊維コード10a〜10jを平行状態に保ちつつ横ぶれを規制又は抑制する。
【0046】
例えば、結び目12を有する繊維コード10が搬送されるときに、規制部20を持たない搬送ロールを結び目12が通過すると、繊維コード10に振動が生じる。
特に、搬送される繊維コード10が、素線繊維の撚り線として形成されている場合には、結び目が形成されるときに撚りの強さによって繊維コード10にねじれの力が生じてしまい、これによって繊維コード10は搬送中において回転が生じる。
また、結び目の有無に関らず、繊維コード10を搬送する速度が速いときには繊維コード10に生じる振動が顕著なものとなる。
これらを防止するために後段ロール7が設けられる。
【0047】
後段ロール7に規制部20として設けられた溝21は、繊維コード10を収容可能な大きさを有し、搬送される繊維コード10の本数分、かつ搬送される繊維コード10のコード間隔Laと等しい幅で後段ロール7の外周に形成される。繊維コード10を収容可能な大きさの溝21は、溝幅22と溝深さ23が結び目12の玉径15よりも大きくなるように後段ロール7に形成される。繊維コード10a〜10jは、この後段ロール7を通過することにより、横ぶれなどの振動が抑制されてコード間隔Laを維持したまま搬送される。
なお、この後段ロール7は、繊維コード10に加工を行うディップ手段60までの経路上に複数設けても良い。
【0048】
図10に規制部20を備えた後段ロール7の他の形態を示す。
図10に示すように、他の形態としての後段ロール7は、搬送する外周面にフランジ状の壁部26,26を形成して規制部20としても良い。
【0049】
後段ロール7に規制部20として形成されたフランジ状の壁部26,26は、繊維コード10を収容可能な大きさを有し、搬送される繊維コード10の本数分、かつ搬送される繊維コード10のコード間隔Laと等しい間隔で後段ロール7の外周に形成される。繊維コード10を収容可能な大きさのフランジ状の壁部26,26は、結び目12の玉径15よりも大きな溝幅27と結節余剰端13の一部までが収容できる溝深さ28に形成される。繊維コード10a〜10jは、この後段ロール7を通過することにより、横ぶれなどの振動が抑制されてコード間隔Laを維持したまま搬送される。
つまり、後段ロール7によって整列されながら搬送される繊維コード10は、ディップ手段60に搬送される。
【0050】
ディップ手段60は、繊維コード10に接着溶剤61を浸漬させる工程である。ディップ手段60において繊維コード10は、平行状態を保ちつつ一方向に搬送されたまま、ディップロール9にガイドされて接着溶剤61が満たされた浴槽62に浸漬される。ディップロール9は、浴槽62に満たした接着溶剤61にディップロール9の一部が浸かるように配置される。これにより、ディップロール9にガイドされる繊維コード10は、搬送されたまま加工される。ディップ手段60を経た繊維コード10は、乾燥手段65に入る。
【0051】
乾燥手段65は、ディップ加工された繊維コード10に浸漬した接着溶剤61を乾燥させる工程である。この乾燥手段65も、ディップ手段60と同様に繊維コード10を搬送したまま行われる。ディップ加工された繊維コード10は、乾燥手段65により十分乾燥された後、巻取り手段70により巻取られる。
【0052】
巻取り手段70では、ディップ加工済みの繊維コード10をボビン43に巻取る。ボビン43に巻取られた繊維コード10は、後の工程で用いられるディップ加工済み繊維コード部材となる。
なお、ディップ加工済みの繊維コード10の結び目12は切り落とされてボビン43に巻取られる。つまり、ボビン43には、繊維コード10が結び目12から結び目12までの単位で巻取られる。
このボビン43への巻取りによりコード搬送装置1の全ての工程が終了する。
【0053】
実施形態2
図11は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の工程や手段については説明を省略する。実施形態2では、実施形態1と同一構成からなるコード搬送装置1のコード搬送手段50に設けられるガイドロール5が、効率良い構成となるように配置した点にある。つまり、実施形態2におけるガイドロール5の配置は、実施形態1のコード搬送手段50で配置されたガイドロール5aを取り除いた点で異なる。
【0054】
実施形態2では、前後に平行配置された搬入ロール6aと搬出ロール6bの上面間を、搬送される繊維コード10を平行状態に保ちつつ一方向に搬送する経路として用いる。この経路とガイドロール5b〜5eによる経路とを用いて、繊維コード10が搬送される。これにより、コード搬送装置1のコード搬送手段50に設けるガイドロール5の数を少なくできる。
【0055】
具体的には、繊維コード10aは、ガイドロール5b〜5eに掛けずにそのまま搬出ロール6bへと掛け渡される。繊維コード10bは、ガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cは、ガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10dは、ガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10eは、ガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10fは、繊維コード10aと同様に、ガイドロール5b〜5eには掛けずにそのまま搬出ロール6bへと掛け渡される。繊維コード10gは、ガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10hは、ガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10iは、ガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10jは、ガイドロール5eの下方に掛けられる。
以上のように繊維コード10a〜10jがガイドロール5b〜5eを適宜使用して順番に掛けられることにより、隣接する繊維コード10同士を離間させて、長さの異なる経路で搬送することができ、隣接する繊維コード10同士の絡み付きを防止することができる。
【0056】
実施形態3
図12は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の構成については説明を省略する。実施形態3では、実施形態1と同一構成からなるコード搬送装置1のコード搬送手段50に設けられるガイドロール5に繊維コード10a〜10jが交互に掛けられる。つまり、実施形態3におけるガイドロール5の配置は、実施形態1のコード搬送手段50で配置されたガイドロール5c〜5eを取り除き、ガイドロール5a、5bのみを用いる点で異なる。
【0057】
具体的には、繊維コード10aは、ガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5bの下方に掛けられる。
以上のように繊維コード10a〜10jが、ガイドロール5a,5bに対して一つおきに異なるガイドロール5a,5bに順番に掛けられる。
これにより、少ないガイドロール5で効率良く繊維コード10a〜10jをガイドして、隣接する繊維コード10同士を離間させて、隣接する繊維コード10を長さの異なる経路で搬送することができ、隣接する繊維コード10同士の絡み付きを防止することができる。
本構成のようにガイドロール5を配置すれば、スペースを少なくできる。
【0058】
実施形態4
図13は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の構成については説明を省略する。実施形態4では、実施形態1と同一構成からなるコード搬送装置1のコード搬送手段50に設けられるガイドロール5が、各繊維コード10a〜10j毎に配置される。つまり、実施形態4におけるガイドロール5は、繊維コード10a〜10jの一本一本に対応するガイドロール5をガイドロール5a〜5jまで設けた形態となる。
【0059】
具体的には、繊維コード10aはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5fの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5gの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5hの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5iの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5jの下方に掛けられる。
以上のように、繊維コード10a〜10jは、それぞれ異なるガイドロール5a〜5jに掛けられる。
これにより、繊維コード10a〜10jは、ガイドロール5a〜5jに掛け間違えられることなく、隣接する繊維コード10同士を離間させて、すべての繊維コード10a〜10jを長さの異なる経路で搬送することができ、隣接する繊維コード10同士の絡み付きを防止することができる。
【0060】
実施形態5
図14は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の構成については説明を省略する。実施形態5では、複数本の繊維コード10を平行状態を保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段50を備えたコード搬送装置1において、平行状態にある少なくとも隣接する繊維コード10同士が、コード延在方向bに対して直角方向、つまりコード並び方向aに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、少なくとも隣接する繊維コード10同士が離間するように構成したことを特徴とする。
【0061】
実施形態1〜4に示した形態では、コード搬送手段50においてコード延在方向bとコード並び方向aに対し直角方向Nに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにガイドロール5を設けた。しかし、図14に示すように、実施形態5では、コード搬送手段50をコード並び方向aに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにガイドロール5を設けて、少なくとも隣接する繊維コード10同士が離間するようにした点で異なる。
【0062】
本実施形態5におけるコード搬送手段50は、図14に示すように構成することができる。搬入ロール6aを通過した繊維コード10が搬送されるコード並び幅Laを維持するように柵状のガイド部材19を設ける。柵状のガイド部材19を通過した繊維コード10は、コード並び方向aに設けられたガイドロール5a〜5jにそれぞれガイドされる。
具体的には、繊維コード10aはガイドロール5aのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。同様に繊維コード10bはガイドロール5bのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10cはガイドロール5cのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10dはガイドロール5dのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10eはガイドロール5eのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10fはガイドロール5fのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10gはガイドロール5gのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10hはガイドロール5hのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10iはガイドロール5iのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10jはガイドロール5jのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。
以上のようにガイドロール5a〜5jにガイドされた繊維コード10a〜10jは、隣接する繊維コード10同士が離間されて、長さの異なる経路で搬送されることにより、隣接する繊維コード10同士の絡み付きが防止される。
【0063】
以上、実施形態1〜5において本発明に係るコード搬送装置1のコード搬送手段50の形態について述べたが上記構成及び組み合わせに限らない。コード搬送装置1により搬送される繊維コード10の本数やガイドロール5の数量も上記の限りではない。例えば実施形態1〜4に示したように繊維コード10が搬送される下方にガイドロール5を配置するだけでなく、上方に配置しても良い。本発明のポイントは、搬送されるコードが、コード延在方向bに対して直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにガイドロール5を設けて、少なくとも隣接する繊維コード10同士が絡み付かないように離間させる構成にすることにある。
【0064】
また、コード搬送装置1によって搬送されて加工されるコードを繊維性の繊維コード10として、繊維コード10に接着溶剤61をコーティングするコーティング手段としてのディップ手段60を設けたが、コードとして、金属製のスチールコードを用い、コード搬送手段50の後部にスチールコードにめっきをコーティングするコーティング手段を設けても良い。
【0065】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードを平行状態に保ちつつ並べて一方向に搬送するコード搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば有機原料からなる繊維コードは、工業製品あるいはその原材料として幅広い分野で用いられている。例えば、ポリエステルやナイロンなどを原料とする合成繊維などによって構成されるゴム補強用の繊維コードは、空気入りタイヤやコンベアベルト、ホース、空気バネなどのゴム工業製品の補強材として用いられている。一般に上記繊維コードは、化学的に合成された原糸を撚り糸機で撚ることにより生産される。ゴム補強用として使用される繊維コードは、ゴムと密着するために必要な接着溶剤に漬浸する処理が施されてディッピングコードとなる。このディッピングコードを骨材としてゴムをコーティングしてゴム製品又は中間部材が製造される。このような繊維コードは、同時に複数本のコードがボビンなどから巻出されて搬送及び加工される。
【0003】
上記の繊維コードは、継続的に搬送及び加工される。繊維コードの搬送及び加工は、巻出しが終了したボビンから新たなボビンに切り替え、巻出しの終了する繊維コードの終了端と切り替えられた新たなボビンから巻出される繊維コードの開始端とを結節することにより繊維コードが継続的に行われる。
例えば、コードを搬送し加工する装置は特許文献1に示す技術が公開されており、図15に示すような装置が用いられている。また、搬送される繊維コードを結節する技術については特許文献2に示すものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−140123号公報
【特許文献2】特開2006−348420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図15に示すコードの搬送装置において、特許文献1及び特許文献2に記載の方法及び装置により結節されるコードには、結節部が形成される。この結節部の結び目の先端には、並進して搬送される隣接するコードの結び目の先端が接触して絡み付きが生じてしまう。この問題は、コードを搬送する速度にも依存するため、コードの搬送速度を速くして生産効率を向上させる場合に、安定的な生産を阻害する原因となっている。特に、繊維コードを搬送する経路の途中にコードが加工される工程が含まれるときには、搬送による不具合が、加工されたコードを使用する後の工程に影響を与えて、生産の停止など連鎖的に影響を及ぼして生産効率の著しい低下を引き起こすなどの問題を生じさせている。
また、結節部が存在しないコードの搬送にあっても、コードを複数本搬送する場合、コード同士が平行を保ちつつ近接状態となることから、コードの振動や風、気流などの影響を受けて、コードに横ぶれが発生し、隣接するコード同士に絡み付きが生じてしまう。
これらの問題を解決する方法として隣接するコード同士の幅を十分に確保してコードを搬送する方法が考えられる。しかしこの方法では、搬送されるコードの並び方向に広い空間を必要とするため現実的に難しい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、複数本のコードが搬送されるときに生じる隣接するコード同士の絡み付き及び結節部に起因するコード同士の絡み付きを防止するコード搬送装置及び搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態として、複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段を備えたコード搬送装置において、平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士が、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士が離間するように構成する。
本発明によれば、隣接するコード同士が、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士が離間するように構成されたことにより、隣接するコード同士が位置ずれして搬送された結果、隣接するコード同士の搬送される経路の長さが変更され、コードが搬送されるときに生じる隣接するコード同士の絡み付きを防止できる。
【0008】
本発明の他の形態として、少なくとも隣接するコードが、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路で搬送されるようにガイドするガイドロールで経路を形成するように構成する。
本発明によれば、コード延在方向に対し直角方向の経路で搬送されるようにガイドするガイドロールで経路を形成することにより、隣接するコードの一方をガイドロールにガイドさせて隣接するコードを離間させ、搬送される経路を異なる長さにすることができる。
【0009】
本発明の他の形態として、ガイドロールを各コード毎に個別に設けるように構成する。
本発明によれば、ガイドロールを各コード毎に個別に設けたことにより、各コードを掛け間違えることなくガイドロールに掛けることができ、各コードをすべて長さの異なる経路で搬送することができる。
【0010】
本発明の他の形態として、ガイドロールを隣接するコードに別々に設けるように構成する。
本発明によれば、ガイドロールを隣接するコードに別々に設けたことにより、少ないガイドロールの数で効率良く隣接するコードの搬送経路を離間し、長さの異なる経路で搬送することができる。
【0011】
本発明の他の形態として、コード搬送手段又はコード搬送手段の後段の後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けるように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段又はコード搬送手段の後段に位置する後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けることにより、隣接するコードの横ぶれが抑制され、隣接するコードの接触又は絡み付きを防止することができる。
【0012】
本発明の他の形態として、規制部は、コード収容可能な溝よりなるように構成する。
本発明によれば、規制部がコード収容可能な溝よりなることにより、コードを溝に沿って搬送させることが可能となり、コードの左右の横ぶれや隣接するコードの絡み付きを防止することができる。
【0013】
本発明の他の形態として、コード搬送手段は、前後に平行配置された搬入ロールと搬出ロールを備え、これら各ロールにコードが平行状態を保ちつつ掛け渡されて一方向に搬送されるように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段は、前後に平行配置された搬入ロールと搬出ロールとよりなり、これ等各ロールのコードが平行状態を保ちつつ掛け渡されて一方向に搬送されることにより、搬入ロールと搬出ロールの上面間を搬送経路の一つとして用いることができる。
【0014】
本発明の他の形態として、コード搬送手段の前段にコード終了端に新たなコード開始端を結節する結節装置を具備するように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段の前段に、コード終了端に新たなコード開始端を結節する結節装置を具備することにより、結節装置によってすばやくコード終了端に新たなコード開始端を結節してコードを継続的に搬送することができる。また、結節状態にあっても、後段に設けられたコード搬送手段により、隣接するコード同士の経路が離間されるので、隣接するコード同士の結節部の絡み付きが防止される。
【0015】
本発明の他の形態として、コード搬送手段の後段にコードをディッピングするディッピング手段を設けるように構成する。
本発明によれば、コード搬送手段の後方にコードをディッピングするディッピング手段を設けるように構成することにより、ディッピングや乾燥に伴う工程中のコードの変位により隣接するコード同士が絡み付くことなく搬送され、トラブルなくコードを搬送したまま接着溶剤を浸漬してコーティング処理することができる。
【0016】
本発明の他の形態として、コードは繊維又は金属からなる。
本発明によれば、コードが繊維又は金属からなることにより、素材に関らずコード状のものであれば隣接するコード同士が絡み付くことなく搬送され、トラブルなくコードを搬送したまま加工を行うことができる。
【0017】
本発明の他の形態として、コードは、撚り線である。
本発明によれば、コードが撚り線であるため、撚り線のコードの搬送に伴い、搬送中のコードに回転が生じやすいなどの特有の現象に対して、隣接するコード同士の絡み付きを防止できる。
【0018】
本発明の他の形態として、複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、搬送手段により一方向に搬送するコード搬送方法において、平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士を、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送し、この隣接するコード同士を離間するように搬送する。
本発明の方法によれば、隣接するコード同士をコード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士を離間するよう搬送することにより、隣接するコード同士が位置ずれして搬送された結果、隣接するコード同士の搬送される経路の長さが変更され、コードが搬送されるときに生じる隣接するコード同士の絡み付きを防止できる。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではなく、これらの特徴群の組み合わせもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るタイヤ構造断面図。
【図2】本発明の実施形態1に係るコード搬送装置の概略工程側面図。
【図3】本発明の実施形態1に係るコード搬送装置の概略工程上面図。
【図4】本発明の実施形態1に係るコード搬送手段の拡大側面図。
【図5】本発明の実施形態1に係るコード搬送手段の拡大上面図。
【図6】本発明の実施形態1に係る結び目拡大図。
【図7】本発明の実施形態1に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図8】本発明の実施形態1に係る他のコード搬送手段の拡大斜視図。
【図9】本発明の実施形態1に係る後段ロールを示す図。
【図10】本発明の実施形態1に係る他の形態の後段ロールを示す図。
【図11】本発明の実施形態2に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図12】本発明の実施形態3に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図13】本発明の実施形態4に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図14】本発明の実施形態5に係るコード搬送手段の拡大斜視図。
【図15】本発明に係るコード搬送装置の従来図。
【符号の説明】
【0021】
1 コード搬送装置、5 ガイドロール、6a 搬入ロール、6b 搬出ロール、
7 後段ロール、10 繊維コード、35 巻出し手段、40 結節手段、
50 コード搬送手段、60 ディップ手段、65 乾燥手段、70 巻取り手段、
T タイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態1
以下、本発明の実施形態1について説明する。
図1は、本発明に係るコード搬送装置により搬送・加工されるコードが用いられる例としてのタイヤTの概略断面図を示す。タイヤTは、概略、インナーライナーT1、カーカスT2、ベルトT3、ビードコードT4、ビードフィラーT5などによって構成される。
インナーライナーT1は、タイヤTの内圧を保持して空気がタイヤT内部から漏れないようにタイヤTの内圧を保持するためのゴム層である。
【0023】
カーカスT2は、プライコードT6と呼ばれる繊維コード10やスチールコードを骨格としてカーカスゴムに接着して形成される。繊維コード10としては、ポリエステルやレーヨンが多く用いられる。カーカスT2の補強材に使用される繊維コード10は、すだれ状に加工されて繊維コード補強材となる。このすだれ状の繊維コード補強材に対して両面からゴム部材を加熱しながら加圧することによりカーカスT2が形成される。カーカスT2に求められる性能は、繰り返しの屈曲変形を受けてもカーカスゴムと繊維コード10との密着性を保持し、耐熱性に優れていることである。カーカスT2は、タイヤTのビード部において外側に折り返され、ビードコードT4とビードフィラーT5を包み込むように形成される。
【0024】
ベルトT3は、カーカスT2の中央上部に配置され、タイヤTの内圧や回転による変形を抑え、路面からの入力を受け止めて衝撃を緩和する役目を持つ。ベルトT3の補強用コードの素材には、レーヨン、ポリエステル、ガラス繊維が用いられていたが、最近ではほとんどスチールコードが用いられている。このベルトT3は、ベルトゴムとスチールコードとを接着して形成される。ベルトT3に求められる性能は、ベルトT3の端部で繰り返しせん断方向の力を受けても、ベルトゴムとスチールコードとの密着性を保持し、耐熱性に優れていることである。
【0025】
ビードコードT4は、スチールコードなどからなり、ホイールリムとの内圧を保持したり、回転するタイヤTに作用するトルクに対してタイヤTとホイールリムとの間に滑りが生じないようにタイヤTをホイールリムに固定する役割を果たす。このビードコードT4の周囲には、ゴムを基本素材とするビードフィラーT5が設けられる。
【0026】
ビードフィラーT5は、硬質や軟質のゴムからなる部材で、ビード部におけるカーカスT2の折り返し部分を満たしてビード部分の補強部材の役割を果たす。
上述したように、タイヤTは、タイヤTを構成する各部のゴム部材を繊維コード10やスチールコードによって補強するFRR(ファイバー・レインフォースド・ラバー)構造によって必要な強度が達成される。
【0027】
図2は、コード搬送装置1において繊維コード10やスチールコードなどのコードに加工を施す加工開始から加工終了までの一連の工程の概略を示す。
上述した繊維コード10やスチールコードは、ベルトゴムやカーカスゴムなどとの密着性を向上させるために、図2に示すようなコード搬送装置1によって加工される。
例えば、繊維コード10の場合は、繊維コード10とカーカスゴムとの密着が促進するように、接着溶剤61が満たされた浴槽62に搬送しながら浸し、コーティングするディップ加工が施される。
【0028】
また、スチールコードの場合は、スチールコードとベルトゴムとの密着が促進するように、接着溶剤61又は防錆のためのめっき処理剤が満たされた浴槽62に搬送しながら浸しコーティングするディップ加工が施されて、スチールコード表面に接着溶剤61又はめっき処理剤によるコーティングが施される。
本実施形態1では、コード搬送装置1で加工されるコードとして繊維コード10に加工を施す形態について説明する。
【0029】
図3は、本発明に係るコードに加工を施すコード搬送装置1を概略的に示す概略工程図の上面図を示す。
図2、図3に示すコード搬送装置1は、加工を施す繊維コード10のコード並び方向aがほぼ水平となるように配置して、複数本の繊維コード10を平行状態に保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段50を構成した形態である。
なお、繊維コード10のコード並び方向aがほぼ水平となるように配置したが、搬送されるコードの数が多い場合には、コードを搬送する経路の空間的な占有を考慮して、搬送されるコードのコード並び方向aを鉛直方向に並べて搬送するようにコード搬送装置1を構成しても良い。
【0030】
コード搬送装置1は、巻き出し手段35から巻出される複数本、本実施形態では10本の繊維コード10を平行状態に保ちつつ並べて一方向に搬送するコード搬送手段50を備える。
コード搬送手段50は、平行状態を保って搬送される繊維コード10の少なくとも隣接する繊維コード10同士が繊維コード10のコード延在方向b及びコード並び方向aに対し直角方向N(図4参照)に、例えば距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにして、隣接する繊維コード10同士が離間するように構成される。なお、コード延在方向b及びコード並び方向aに対し直角方向Nとしたが、厳密に直角方向である必要はない。
【0031】
繊維コード10の加工は、ボビン42に素線又は撚り線として巻付けられた繊維コード10をボビン42から巻出す巻出し手段35から開始される。
次の工程では、巻出し手段35において繊維コード10の巻出しが終了したときに、巻出しが終了したボビン42から搬送される繊維コード10のコード終了端10Aと新たなボビンから巻出されるコード開始端10Bを結節するエアスプライサー46を有する結節手段40が設けられる。
次の工程では、搬送される複数本の繊維コード10が隣接する繊維コード10同士が繊維コード10のコード延在方向bに対し略直角方向Nに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにするコード搬送手段50が設けられる。このコード搬送手段50についての詳細は後述する。
コード搬送手段50を経由した繊維コード10が再び平行状態を保ちつつ一方向に搬送されるときに繊維コード10にぶれが生じるおそれがあるために横ぶれを規制する規制部20による横ぶれ防止手段としての後段ロール7が設けられる。
次の工程では、平行状態を保ちつつ一方向に搬送される複数本のコードを接着溶剤61に浸漬させ、ディップロール9を有するディップ手段60が設けられる。
次の工程では、接着溶剤61が浸漬された複数本のコードを乾燥させる乾燥装置66を有する乾燥手段65が設けられる。
次の工程では、ボビン43を有し、乾燥した複数本の繊維コード10を巻取り手段70によって巻取られることにより、繊維コード10の加工の工程が終了する。
なお、各工程の間には図示しない自在に回転可能な搬送ロールが適宜設けられる。
【0032】
巻出し手段35では、加工される繊維コード10が、巻付けられているボビン42から巻出される。
巻出し手段35は、図外のターレットにボビン42が2つセットされ、一方のボビン42の巻出しが終了すると、ターレットを回転させて他方のボビン42を巻出し位置に配置して繊維コード10を巻出すことにより巻出しが継続的に行われる。なお、ターレットは搬送される繊維コード10の本数と同じ個数用意される。
繊維コード10の巻出しを継続的に行うために、巻出しが終了するボビン42から巻出される繊維コード10のコード終了端10Aと、新たなボビン42から巻出しが開始される繊維コード10のコード開始端10Bを結節する結節手段40が設けられる。
【0033】
結節手段40は、繊維コード10を搬送する経路の巻出し手段35の近傍に設けられ、エアスプライサー46やタイニングマシンと呼ばれる機械により繊維コード10のコード終了端10Aと新たな繊維コード10のコード開始端10Bを結節する。
エアスプライサー46は、巻出しの終了するボビン42から巻出される繊維コード10と切り替えられる新たなボビン42から巻出される繊維コード10との切替時間を短縮することができる。また、結節における繊維コード10の材料くず等の発生を抑制して、生産性を向上させる。なお、この結節は、コード搬送装置1を一時停止させて行われ、停止時間は1本の結節につき数秒から数十秒程度である。
【0034】
また、コード搬送装置1を停止させずに結節を行うには、図示しないが結節手段40と後述するコード搬送手段50との間にアキュームレータと呼ばれる装置を介在させれば良い。
アキュームレータは、搬送されるコードを一時的に蓄える装置で、コードを結節している時間の間は、アキュームレータからコード搬送手段50にコードを送出するという装置である。このアキュームレータは、一般に移動可能に設けられたロールなどを用いて構成される。
【0035】
図4はコード搬送手段50の拡大側面図を示し、図5はコード搬送手段50の拡大上面図を示す。図6は、図5における繊維コード10aの結び目12aと繊維コード10bの結び目12bの拡大図を示し、図7はコード搬送手段50の拡大斜視図を示す。
これら、図4〜図7を用いてコード搬送手段50について説明する。
コード搬送手段50は、結節された繊維コード10のコード終了端10Aとコード開始端10Bの結び目11に生じる余り部分の結節余剰端13が隣接する繊維コード10の結節余剰端13との絡まりを防止するために設けられる。
【0036】
図4に示すように、コード搬送手段50には、少なくとも隣接する繊維コード10が、繊維コード10のコード延在方向b及びコード並び方向aに対して直角方向Nに位置ずれした経路で搬送され、隣接する繊維コード10を距離Lだけ離間させるようにガイドするガイドロール5a,5b,5c,5d,5eが設けられる。
図7に示すように、この隣接する繊維コード10を離間させる距離Lは、搬入ロール6aで搬入される繊維コード10のコード間隔La、搬出ロール6bで搬出されるコード間隔Laよりも大きく設定される。
なお、ガイドロール5は図示しないが、コード並び方向aにその回転軸を向けて、回転自在にそれぞれ支持される。
本実施形態1において、ガイドロール5a〜5eは、コード延在方向b及びコード並び方向aに対して直角方向Nにそれぞれ異なる高さとなるように位置ずれさせて設けられる。
【0037】
つまり、ガイドロール5aはこのコード搬送手段50の前後に平行配置された搬入ロール6aと搬出ロール6bと同じ高さに配置される。ガイドロール5bはガイドロール5aより下方に配置される。ガイドロール5cはガイドロール5bより下方に配置される。ガイドロール5dはガイドロール5cより下方に配置される。ガイドロール5eはガイドロール5dより下方に配置される。
【0038】
図5に示すような複数本の繊維コード10、ここでは10本の繊維コード10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i,10jがガイドロール5a〜5bに掛けられて搬送される場合について詳説する。
例えば、図7に示すように、繊維コード10aはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5eの下方に掛けられる。
以上のように繊維コード10a〜10jをガイドロール5a〜5eに掛けることにより、繊維コード10a〜10jの少なくとも隣接する繊維コード10同士は、距離Lだけ離間されて、長さの異なる経路で搬送される。なお、隣接する繊維コード10同士は、一定の距離Lで離間する必要はなく、隣接する繊維コード10同士の絡み付きが防止できるように変更して良い。
【0039】
他の繊維コード10a〜10jのガイドロール5a〜5eへの掛け方として、例えば、繊維コード10aはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5dの下方に掛けられる。
このように配置すれば装置を小型化することができる。
以上のように繊維コード10a〜10jをガイドロール5a〜5eに対して順番に一つ飛ばしに掛けても良い。このようにしても少なくとも隣接する繊維コード10同士は、離間されて、長さの異なる経路で搬送される。
【0040】
なお、本実施形態では繊維コード10a〜10jの延在方向に対して略直角方向Nに沿ってガイドロール5a〜5eを配置したが、図8に示すように、延在方向に対し直角方向Nに対して角度α傾斜して配置しても、また各ガイドロール5の回転を支持する軸が、直線状に一列に並んで配置されなくても良い。
【0041】
上述したコード搬送手段50により搬送経路が分岐された繊維コード10a〜10jは、巻出し手段35から巻取り手段70までの経路において、それぞれ長さの異なる経路で搬送される。
これにより、例えば、全ての繊維コード10a〜10jが同時に結節手段40で結節されて結び目11a〜11jが形成された場合でも、繊維コード10a〜10jは、隣接する繊維コード10の結び目11同士が離間しているため、隣接する繊維コード10の結び目11同士の絡み付きを避けることができる。
また、図5に示すように、結節された繊維コード10a〜10jに形成された結び目11a〜11jは、結節直後にはコード並び方向aにほぼ一列に並んでいる。しかし、コード搬送手段50を経由して搬送された結び目11a〜11jは、結び目12a〜12jのような位置関係となり、コード搬送手段50は隣接する結び目12a〜12jの位置関係にずれを生じさせることができる。
【0042】
図6は、コード搬送手段50を経由したあとの繊維コード10aの結び目12aと繊維コード10bの結び目12bの位置の拡大図を示す。
図6に示すように、結び目12aの結節余剰端13,13のうち長い方を結節余剰端13aとし、結び目12bの結節余剰端13,13のうち長い方を結節余剰端13bとする。
このとき、結節余剰端13a,13bが絡み付かない位置関係とするには、結び目12aと結び目12bとを結ぶ直線での距離A1が、結節余剰端13a,13bの長さの和よりも大きくなるように、ガイドロール5aに対してガイドロール5bを離間させて設ければ良い。
【0043】
つまり、結節余剰端13a,13bが絡み付かない距離A1が得られるように、図4に示すような距離L1を調整してガイドロール5aとガイドロール5bを配置することにより、結び目12aの結節余剰端13aと結び目12bの結節余剰端13bとが絡まないようにすれば良い。
同様に、結節余剰端13b,13cが絡み付かない距離A2が得られるように、図4に示すような距離L2を調整してガイドロール5bとガイドロール5cを配置することにより、結び目12bの結節余剰端13bと結び目12cの結節余剰端13cとが絡まないようにすれば良い。
同様に、結節余剰端13c,13dが絡み付かない距離A3が得られるように、図4に示すような距離L3を調整してガイドロール5cとガイドロール5dを配置することにより、結び目12cの結節余剰端13cと結び目12dの結節余剰端13dとが絡まないようにすれば良い。
同様に、結節余剰端13d,13eが絡み付かない距離A4が得られるように、図4に示すような距離L4を調整してガイドロール5dとガイドロール5eを配置することにより、結び目12dの結節余剰端13dと結び目12eの結節余剰端13eとが絡まないようにすれば良い。
ガイドロール5eを経由した繊維コード10eとガイドロール5aを経由した繊維コード10fが搬送される経路の長さの差は、結び目12eと結び目12fを直線で結ぶ距離A5よりも長いことは明らかである。なお、繊維コード10f〜10jは、繊維コード10a〜10eの繰り返しのため説明は省略する。
ガイドロール5a〜5eに掛けられる繊維コード10a〜10jは、適宜、隣接するコードに形成される結び目12の結節余剰端13の長さに対応して繊維コード10を掛けるガイドロール5a〜5eを選び、隣接する繊維コード10と離間させれば良い。
【0044】
コード搬送手段50としてのガイドロール5a〜5eを経由した繊維コード10a〜10jは、搬出ロール6bの上面側に掛けられ、再び平行状態を保ちつつ並んで搬送される。
コード搬送手段50を経由したあとの繊維コード10a〜10jは、搬出ロール6bの後段に設けられた後段ロール7によって搬送される。
【0045】
図9は規制部20を備えた後段ロール7を示す。後段ロール7は、規制部20として形成された溝21を複数(ここでは搬送されるコードの本数分の溝21)備え、繊維コード10a〜10jを平行状態に保ちつつ横ぶれを規制又は抑制する。
【0046】
例えば、結び目12を有する繊維コード10が搬送されるときに、規制部20を持たない搬送ロールを結び目12が通過すると、繊維コード10に振動が生じる。
特に、搬送される繊維コード10が、素線繊維の撚り線として形成されている場合には、結び目が形成されるときに撚りの強さによって繊維コード10にねじれの力が生じてしまい、これによって繊維コード10は搬送中において回転が生じる。
また、結び目の有無に関らず、繊維コード10を搬送する速度が速いときには繊維コード10に生じる振動が顕著なものとなる。
これらを防止するために後段ロール7が設けられる。
【0047】
後段ロール7に規制部20として設けられた溝21は、繊維コード10を収容可能な大きさを有し、搬送される繊維コード10の本数分、かつ搬送される繊維コード10のコード間隔Laと等しい幅で後段ロール7の外周に形成される。繊維コード10を収容可能な大きさの溝21は、溝幅22と溝深さ23が結び目12の玉径15よりも大きくなるように後段ロール7に形成される。繊維コード10a〜10jは、この後段ロール7を通過することにより、横ぶれなどの振動が抑制されてコード間隔Laを維持したまま搬送される。
なお、この後段ロール7は、繊維コード10に加工を行うディップ手段60までの経路上に複数設けても良い。
【0048】
図10に規制部20を備えた後段ロール7の他の形態を示す。
図10に示すように、他の形態としての後段ロール7は、搬送する外周面にフランジ状の壁部26,26を形成して規制部20としても良い。
【0049】
後段ロール7に規制部20として形成されたフランジ状の壁部26,26は、繊維コード10を収容可能な大きさを有し、搬送される繊維コード10の本数分、かつ搬送される繊維コード10のコード間隔Laと等しい間隔で後段ロール7の外周に形成される。繊維コード10を収容可能な大きさのフランジ状の壁部26,26は、結び目12の玉径15よりも大きな溝幅27と結節余剰端13の一部までが収容できる溝深さ28に形成される。繊維コード10a〜10jは、この後段ロール7を通過することにより、横ぶれなどの振動が抑制されてコード間隔Laを維持したまま搬送される。
つまり、後段ロール7によって整列されながら搬送される繊維コード10は、ディップ手段60に搬送される。
【0050】
ディップ手段60は、繊維コード10に接着溶剤61を浸漬させる工程である。ディップ手段60において繊維コード10は、平行状態を保ちつつ一方向に搬送されたまま、ディップロール9にガイドされて接着溶剤61が満たされた浴槽62に浸漬される。ディップロール9は、浴槽62に満たした接着溶剤61にディップロール9の一部が浸かるように配置される。これにより、ディップロール9にガイドされる繊維コード10は、搬送されたまま加工される。ディップ手段60を経た繊維コード10は、乾燥手段65に入る。
【0051】
乾燥手段65は、ディップ加工された繊維コード10に浸漬した接着溶剤61を乾燥させる工程である。この乾燥手段65も、ディップ手段60と同様に繊維コード10を搬送したまま行われる。ディップ加工された繊維コード10は、乾燥手段65により十分乾燥された後、巻取り手段70により巻取られる。
【0052】
巻取り手段70では、ディップ加工済みの繊維コード10をボビン43に巻取る。ボビン43に巻取られた繊維コード10は、後の工程で用いられるディップ加工済み繊維コード部材となる。
なお、ディップ加工済みの繊維コード10の結び目12は切り落とされてボビン43に巻取られる。つまり、ボビン43には、繊維コード10が結び目12から結び目12までの単位で巻取られる。
このボビン43への巻取りによりコード搬送装置1の全ての工程が終了する。
【0053】
実施形態2
図11は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の工程や手段については説明を省略する。実施形態2では、実施形態1と同一構成からなるコード搬送装置1のコード搬送手段50に設けられるガイドロール5が、効率良い構成となるように配置した点にある。つまり、実施形態2におけるガイドロール5の配置は、実施形態1のコード搬送手段50で配置されたガイドロール5aを取り除いた点で異なる。
【0054】
実施形態2では、前後に平行配置された搬入ロール6aと搬出ロール6bの上面間を、搬送される繊維コード10を平行状態に保ちつつ一方向に搬送する経路として用いる。この経路とガイドロール5b〜5eによる経路とを用いて、繊維コード10が搬送される。これにより、コード搬送装置1のコード搬送手段50に設けるガイドロール5の数を少なくできる。
【0055】
具体的には、繊維コード10aは、ガイドロール5b〜5eに掛けずにそのまま搬出ロール6bへと掛け渡される。繊維コード10bは、ガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cは、ガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10dは、ガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10eは、ガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10fは、繊維コード10aと同様に、ガイドロール5b〜5eには掛けずにそのまま搬出ロール6bへと掛け渡される。繊維コード10gは、ガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10hは、ガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10iは、ガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10jは、ガイドロール5eの下方に掛けられる。
以上のように繊維コード10a〜10jがガイドロール5b〜5eを適宜使用して順番に掛けられることにより、隣接する繊維コード10同士を離間させて、長さの異なる経路で搬送することができ、隣接する繊維コード10同士の絡み付きを防止することができる。
【0056】
実施形態3
図12は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の構成については説明を省略する。実施形態3では、実施形態1と同一構成からなるコード搬送装置1のコード搬送手段50に設けられるガイドロール5に繊維コード10a〜10jが交互に掛けられる。つまり、実施形態3におけるガイドロール5の配置は、実施形態1のコード搬送手段50で配置されたガイドロール5c〜5eを取り除き、ガイドロール5a、5bのみを用いる点で異なる。
【0057】
具体的には、繊維コード10aは、ガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5bの下方に掛けられる。
以上のように繊維コード10a〜10jが、ガイドロール5a,5bに対して一つおきに異なるガイドロール5a,5bに順番に掛けられる。
これにより、少ないガイドロール5で効率良く繊維コード10a〜10jをガイドして、隣接する繊維コード10同士を離間させて、隣接する繊維コード10を長さの異なる経路で搬送することができ、隣接する繊維コード10同士の絡み付きを防止することができる。
本構成のようにガイドロール5を配置すれば、スペースを少なくできる。
【0058】
実施形態4
図13は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の構成については説明を省略する。実施形態4では、実施形態1と同一構成からなるコード搬送装置1のコード搬送手段50に設けられるガイドロール5が、各繊維コード10a〜10j毎に配置される。つまり、実施形態4におけるガイドロール5は、繊維コード10a〜10jの一本一本に対応するガイドロール5をガイドロール5a〜5jまで設けた形態となる。
【0059】
具体的には、繊維コード10aはガイドロール5aの下方に掛けられる。繊維コード10bはガイドロール5bの下方に掛けられる。繊維コード10cはガイドロール5cの下方に掛けられる。繊維コード10dはガイドロール5dの下方に掛けられる。繊維コード10eはガイドロール5eの下方に掛けられる。繊維コード10fはガイドロール5fの下方に掛けられる。繊維コード10gはガイドロール5gの下方に掛けられる。繊維コード10hはガイドロール5hの下方に掛けられる。繊維コード10iはガイドロール5iの下方に掛けられる。繊維コード10jはガイドロール5jの下方に掛けられる。
以上のように、繊維コード10a〜10jは、それぞれ異なるガイドロール5a〜5jに掛けられる。
これにより、繊維コード10a〜10jは、ガイドロール5a〜5jに掛け間違えられることなく、隣接する繊維コード10同士を離間させて、すべての繊維コード10a〜10jを長さの異なる経路で搬送することができ、隣接する繊維コード10同士の絡み付きを防止することができる。
【0060】
実施形態5
図14は、本発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施形態1と同一の構成については説明を省略する。実施形態5では、複数本の繊維コード10を平行状態を保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段50を備えたコード搬送装置1において、平行状態にある少なくとも隣接する繊維コード10同士が、コード延在方向bに対して直角方向、つまりコード並び方向aに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、少なくとも隣接する繊維コード10同士が離間するように構成したことを特徴とする。
【0061】
実施形態1〜4に示した形態では、コード搬送手段50においてコード延在方向bとコード並び方向aに対し直角方向Nに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにガイドロール5を設けた。しかし、図14に示すように、実施形態5では、コード搬送手段50をコード並び方向aに距離L位置ずれした経路を介して搬送されるようにガイドロール5を設けて、少なくとも隣接する繊維コード10同士が離間するようにした点で異なる。
【0062】
本実施形態5におけるコード搬送手段50は、図14に示すように構成することができる。搬入ロール6aを通過した繊維コード10が搬送されるコード並び幅Laを維持するように柵状のガイド部材19を設ける。柵状のガイド部材19を通過した繊維コード10は、コード並び方向aに設けられたガイドロール5a〜5jにそれぞれガイドされる。
具体的には、繊維コード10aはガイドロール5aのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。同様に繊維コード10bはガイドロール5bのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10cはガイドロール5cのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10dはガイドロール5dのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10eはガイドロール5eのコード搬送方向に向かって左側にガイドされる。繊維コード10fはガイドロール5fのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10gはガイドロール5gのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10hはガイドロール5hのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10iはガイドロール5iのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。繊維コード10jはガイドロール5jのコード搬送方向に向かって右側にガイドされる。
以上のようにガイドロール5a〜5jにガイドされた繊維コード10a〜10jは、隣接する繊維コード10同士が離間されて、長さの異なる経路で搬送されることにより、隣接する繊維コード10同士の絡み付きが防止される。
【0063】
以上、実施形態1〜5において本発明に係るコード搬送装置1のコード搬送手段50の形態について述べたが上記構成及び組み合わせに限らない。コード搬送装置1により搬送される繊維コード10の本数やガイドロール5の数量も上記の限りではない。例えば実施形態1〜4に示したように繊維コード10が搬送される下方にガイドロール5を配置するだけでなく、上方に配置しても良い。本発明のポイントは、搬送されるコードが、コード延在方向bに対して直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにガイドロール5を設けて、少なくとも隣接する繊維コード10同士が絡み付かないように離間させる構成にすることにある。
【0064】
また、コード搬送装置1によって搬送されて加工されるコードを繊維性の繊維コード10として、繊維コード10に接着溶剤61をコーティングするコーティング手段としてのディップ手段60を設けたが、コードとして、金属製のスチールコードを用い、コード搬送手段50の後部にスチールコードにめっきをコーティングするコーティング手段を設けても良い。
【0065】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段を備えたコード搬送装置において、上記平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士が、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士が離間するように構成したことを特徴とするコード搬送装置。
【請求項2】
少なくとも隣接するコードが、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路で搬送されるようにガイドするガイドロールで上記経路を形成したことを特徴とする請求項1に記載のコード搬送装置。
【請求項3】
上記ガイドロールを各コード毎に個別に設けたことを特徴とする請求項2に記載のコード搬送装置。
【請求項4】
上記ガイドロールを隣接するコードに別々に設けたことを特徴とする請求項2に記載のコード搬送装置。
【請求項5】
上記コード搬送手段又は上記コード搬送手段の後段の後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項6】
上記規制部は、コード収容可能な溝よりなることを特徴とする請求項5に記載のコード搬送装置。
【請求項7】
上記コード搬送手段は、前後に平行配置された搬入ロールと搬出ロールを備え、これら各ロールに上記コードが平行状態を保ちつつ掛け渡されて一方向に搬送されることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項8】
上記コード搬送手段の前段に、コード終了端に新たなコード開始端を結節する結節装置を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項9】
上記コード搬送手段の後段にコードをディッピングするディッピング手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項10】
上記コードは、繊維又は金属からなることを特徴とする請求項1乃至請求項9いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項11】
上記コードは、撚り線であることを特徴とする請求項1乃至請求項10いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項12】
複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、搬送手段により一方向に搬送するコード搬送方法において、上記平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士を、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送し、この隣接するコード同士を離間するように搬送することを特徴とするコード搬送方法。
【請求項1】
複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、かつ一方向に搬送するコード搬送手段を備えたコード搬送装置において、上記平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士が、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送されるようにし、この隣接するコード同士が離間するように構成したことを特徴とするコード搬送装置。
【請求項2】
少なくとも隣接するコードが、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路で搬送されるようにガイドするガイドロールで上記経路を形成したことを特徴とする請求項1に記載のコード搬送装置。
【請求項3】
上記ガイドロールを各コード毎に個別に設けたことを特徴とする請求項2に記載のコード搬送装置。
【請求項4】
上記ガイドロールを隣接するコードに別々に設けたことを特徴とする請求項2に記載のコード搬送装置。
【請求項5】
上記コード搬送手段又は上記コード搬送手段の後段の後段ロールに、平行状態を保ちつつ送られるコードの横ぶれを規制する規制部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項6】
上記規制部は、コード収容可能な溝よりなることを特徴とする請求項5に記載のコード搬送装置。
【請求項7】
上記コード搬送手段は、前後に平行配置された搬入ロールと搬出ロールを備え、これら各ロールに上記コードが平行状態を保ちつつ掛け渡されて一方向に搬送されることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項8】
上記コード搬送手段の前段に、コード終了端に新たなコード開始端を結節する結節装置を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項9】
上記コード搬送手段の後段にコードをディッピングするディッピング手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項10】
上記コードは、繊維又は金属からなることを特徴とする請求項1乃至請求項9いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項11】
上記コードは、撚り線であることを特徴とする請求項1乃至請求項10いずれかに記載のコード搬送装置。
【請求項12】
複数本のコードを平行状態に保ちつつ並べ、搬送手段により一方向に搬送するコード搬送方法において、上記平行状態を保って搬送されるコードの少なくとも隣接するコード同士を、コード延在方向に対し直角方向に位置ずれした経路を介して搬送し、この隣接するコード同士を離間するように搬送することを特徴とするコード搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−174389(P2010−174389A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15890(P2009−15890)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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