説明

コーナーカットカートンのフラップ折り装置

【課題】フラップを二段階に折り込む際の形状精度を向上させることが可能なフラップ折り装置を提供する。
【解決手段】コンベアによって搬送されるコーナーカットカートンの搬送方向後側のフラップに、タッカ21を搬送方向前方に回転させつつ押し当ててそのフラップを二段階に折り込むフラップ折り装置において、タッカ21の外周には、フラップを折り込む際の回転方向における前方の端部に位置する初期接触部28と、回転方向の後方の端部に位置する後期接触部29と、初期接触部28と後期接触部29との間にて凸状に膨らんだ弧を描くように延びる中期接触部30とを設け、中期接触部30の中間部30aの曲率をその回転方向前後の領域30b、30cの曲率よりも大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーナーカットカートンのフラップを折り込む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の包装に使用するカートンとして、直方体の4つの角部を斜めに面取りした形状のコーナーカットカートンが実用に供されている。そのコーナーカットカートンの面取り部分は、カートンの底板及び天板のそれぞれの四隅を斜めにカットするとともに、カートンの側板の両端に連なる4枚のフラップ(内フラップと呼ばれることがある。)のそれぞれを、天板及び底板のカット部分に沿うように二段階に折り込んで形成される。コーナーカットカートンのフラップを折り込む装置としては、カートンの搬送方向前側(下流側)に位置するフラップを搬送経路の両側のガイドにて折り込む一方で、搬送方向後側(上流側)に位置するフラップはカムローラ、あるいは扇状のタッカにて折り込む装置が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3〜7が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3780249号公報
【特許文献2】特開2001−48123号公報
【特許文献3】実公平7−38085公報
【特許文献4】特開2004−59027号公報
【特許文献5】特開2001−48117号公報
【特許文献6】特開2002−19772号公報
【特許文献7】特許第3586658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフラップ折り装置は、そのカムローラあるいはタッカの形状がフラップの二段階の折り込み形状に十分に対応したものではなく、フラップの折り込み形状に比較的大きな誤差が生じることがある。フラップには側板との境界に一段目の折り目線が形成され、その一段目の折り目線よりも先端側に二段目の折り目線が形成されている。そのため、フラップが一段目の折り目線に沿って折り込まれると、タッカがフラップから離れて先端側のみを押し込む傾向が生じ易い。それにより、一段目の折り目線に沿ってフラップが十分に折り込まれていない段階でフラップが二段目の折り目線に沿って折り込まれ、その結果、一段目の折り込みが不十分となるおそれがある。その場合、カートンの天板及び底板の四隅のカット部分とフラップを折り込んで形成したコーナー面の上下縁部との間に隙間が空くといった不具合が生じる。
【0005】
そこで、本発明はフラップをその一段目の折り目線に沿って確実に折り込むことが可能なフラップ折り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンベア(11)によって搬送されるコーナーカットカートン(1)の搬送方向後側のフラップ(4)に、タッカ(21)を搬送方向前方に回転させつつ押し当てて、当該フラップを二段階に折り込むフラップ折り装置(20)であって、前記タッカの外周には、前記フラップを折り込む際の回転方向における前方の端部に位置する初期接触部(28)と、前記回転方向の後方の端部に位置する後期接触部(29)と、前記初期接触部と前記後期接触部との間にて凸状に膨らんだ弧を描くように延びる中期接触部(30)とが設けられ、前記中期接触部の中間部(30a)の曲率が、当該中間部よりも前記回転方向の前後の領域(30b、30c)の曲率よりも大きく設定されたコーナーカットカートンのフラップ折り装置としたものである。
【0007】
本発明のフラップ折り装置によれば、カートンのフラップにまずタッカの初期接触部を接触させてそのフラップに一段目の折り目線に沿った曲げ力を作用させることができる。続いて、タッカの中期接触部をフラップに接触させてフラップの弾性復元力による戻り作用を抑えつつフラップをさらに折り込むことができる。中期接触部の中間部の曲率がその前後の領域の曲率よりも大きく設定されているので、中期接触部には、その中間部が前後の領域と比較してこぶ状に膨らむような輪郭が付与され、それにより中期接触部をフラップに向かって比較的大きく突出させることができる。したがって、初期接触部によってフラップが曲げられた後、中期接触部をフラップに対して一段目の折り目線近傍から早期に接触させ、その中期接触部にて二段目の折り目線を曲げ癖が付かないように抑えつつ中期接触部を二段目の折り目線よりもフラップの先端側まで継続的にフラップと接触させてフラップを一段目の折り目線に沿って継続的に折り込むことができる。これにより、フラップを一段目の折り目線に沿って確実に折り込むことが可能となる。なお、二段目の折り目線は、カートンに容器等の被梱包物を収容した後、カートンの両端開口部を密封する過程で折り込むことができる。
【0008】
本発明のフラップ折り装置においては、前記初期接触部が丸みを帯びた形状であり、該初期接触部の曲率(1/Ra)が前記中期接触部の前記領域の曲率(1/Rc)よりも大きく設定されてもよい。これにより、初期接触部とフラップとの接触に伴ってフラップが一時的に強く押し込まれ、そのインパクトでフラップが一段目の折り目線に沿って折り込まれる。その後、中期接触部により二段目の折り目線に沿った曲げを抑えつつ、その中期接触部を利用してフラップを一段目の折り目線に沿って継続的に折り込むことができる。
【0009】
本発明のフラップ折り装置においては、前記中期接触部が、前記フラップの一段目の折り目線(4a)と二段目の折り目線(4b)との間から該二段目の折り目線を超えて前記フラップの先端側に至るまで、前記二段目の折り目線の曲げを抑えつつ当該フラップと接触接触できるように前記タッカと前記フラップとの位置関係が設定されてもよい。これによれば、中期接触部にてフラップの二段目の折り目線に沿った曲げを抑えつつ、一段目の折り目線に沿ってフラップを確実に折り込むことができる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明のフラップ折り装置においては、タッカの中期接触部の中間部の曲率をその回転方向前後の領域の曲率よりも大きく設定したため、中期接触部に対して、その中間部が前後の領域と比較してこぶ状に膨らむような輪郭を付与し、それにより中期接触部をフラップに向かって比較的大きく突出させることができる。それにより、中期接触部にてフラップの二段目の折り目線に沿った曲げを抑えつつ、フラップを一段目の折り目線に沿って確実に折り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コーナーカットカートンの一例を示す斜視図。
【図2】ケーサーに供給されるコーナーカットカートンの形態を示す斜視図。
【図3】本発明の一形態に係るフラップ折り装置が組み込まれたケーサーの部分平面図。
【図4】図3のケーサーを同図の矢印IV方向から見た部分正面図。
【図5】フラップ折り装置に設けられるタッカの平面図。
【図6】タッカが内フラップと接触して内フラップの折り込みが開始される様子を示す図。
【図7】図6の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【図8】図7の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【図9】図8の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【図10】図9の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【図11】図10の位置からタッカがさらに回転して内フラップから離れた様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を缶飲料の梱包用のコーナーカットカートンのフラップの折り込み処理に適用した一形態を説明する。図1に示すように、コーナーカットカートン(以下、カートンと略称することがある。)1は、複数本(一例として24本)の缶飲料2を縦横に並んだ状態で収容する胴部3と、胴部3の両端を閉じるように折り込まれて相互に貼り合わされる内フラップ4及び外フラップ5とを備えている。図1では、内フラップ4が折り込まれ、外フラップ5はまだ折り込まれていない状態を示している。また、胴部3の一方の側板3c及びこれに連なる天板3bを底板3aに対して直立するように折り曲げた状態を図2に示す。これらの図から明らかなように、胴部3は、缶飲料2の底側及び天側をそれぞれ覆う底板3a及び天板3bと、それらの底板3a及び天板3bの間に配置される一対の側板3cとを有している。内フラップ4は側板3cの両端に連なり、外フラップ5は底板3a及び天板3bのそれぞれの両端に連なっている。底板3a及び天板3bの四隅は斜めにカットされて面取り部3dが形成されている。各内フラップ4は、2本の罫線(折り目線)4a、4bを曲げの軸として、面取り部3dに沿うように二段に折り込まれている。したがって、内フラップ4及び外フラップ5を貼り合わせることにより、カートン1は直方体の4つの角部にコーナー面6が形成された形状の梱包容器として構成される。側板3cとの境界に位置する罫線4aが一段目の折り目線に、その罫線4aよりも内フラップ4の先端側に位置する罫線4bが二段目の折り目線にそれぞれ相当する。以下では、罫線4aをA罫線4aと、罫線4bをB罫線4bとそれぞれ称することがある。
【0014】
図2の段階まで折り込まれたカートン1は、図3及び図4に示したケーサー10に供給される。ケーサー10は、成形途中のカートン1上に缶飲料2を所定本数ずつ供給してカートン1の成形を完了し、それにより缶飲料2の梱包物を完成させる装置である。本形態のフラップ折り装置はそのケーサー10に組み込まれてケーサー10の一部を構成する。ケーサー10は、カートン1を直線的に搬送するコンベア11を有している。コンベア11には、図中の左側から図2に示した状態のカートン1が一つずつ順次搬入される。なお、カートン1の搬送方向は図2及び図3に矢印Aで示したように、天板3bに連なっている側の側板3cが搬送方向前方(下流側)を向くように定められている。
【0015】
コンベア11は、カートン1の底板3aが載置される搬送面12と、その搬送面12に沿ってカートン1を搬送する搬送機構13とを備えている。搬送機構13は、一例として搬送方向に沿って走行するチェーン13aに複数のフック(不図示)を搬送面12から突出するようにして搬送方向に所定のピッチで装着し、各フックにカートン1の搬送方向後側の側板3cを引っ掛けてカートン1を搬送するように構成される。搬送機構13にはチェーン13aを走行させるチェーン駆動機構13bと、搬送面12の一方の側縁(図3において下側の側縁)に沿ってカートン1を案内するサイドガイド14とが設けられている。サイドガイド14は、コンベア11による搬送経路の途中から設けられている。サイドガイド14の入口側、つまり搬送方向上流側の端部にはコンベア11の幅方向(搬送面12を横断する方向)外側に向かって円弧を描くように湾曲する導入部14aが形成されている。導入部14aは、カートン1の搬送方向前方に位置する内フラップ4を折り込むために設けられている。すなわち、搬送方向前方の内フラップ4は、カートン1の搬送に伴って、その根元(つまり、側板3cに連なる側)から順次導入部14aに接触してサイドガイド14の内側に取り込まれる。これにより、内フラップ4がA罫線4aに沿って折り込まれる。
【0016】
導入部14aの搬送方向上流側にはフラップ折り装置20が設けられている。フラップ折り装置20は、カートン1の搬送方向後方(上流側)の内フラップ4を折り込むために設けられている。フラップ折り装置20は、タッカ21と、そのタッカ21を回転駆動する駆動機構22とを備えている。タッカ21はその全体が平板状であり、内フラップ4と接触してこれを搬送方向前方に押し込むことにより、内フラップ4を折り込む手段として設けられている。駆動機構22は、タッカ21を駆動軸23の回りに図3の時計方向に回転駆動する。駆動機構22は、搬送機構13のチェーン駆動機構13bから、チェーン22a、伝達軸22b、ギアボックス22c等を介して伝達される回転運動を、アーム24の駆動軸23を中心とした水平面内の一定範囲の往復回転運動に変換してタッカ21を駆動する。タッカ21はアーム24の上面にボルト25を利用して一体回転可能に取り付けられている。タッカ21の往復回転運動は、一つのカートン1がフラップ折り装置20の設置箇所を通過する毎に一往復するようコンベア11の搬送運動と関連付けられている。なお、以下においては、タッカ21が時計方向に回転する場合、言い換えればタッカ21が内フラップ4に接触するときの回転方向を基準として回転方向の前後を区別する。
【0017】
図4から明らかなように、タッカ21は、内フラップ4と接触できるように搬送面12よりも高い位置に設けられている。また、図3に示したように、タッカ21の外周の回転軌跡Bは、サイドガイド14の導入部14aと一部重複する。そのため、図4に示したように、サイドガイド14の導入部14aには、タッカ21を通過させるためのスリット14bが形成されている。
【0018】
図5に示すように、タッカ21は、タッカ本体26と、そのタッカ本体26から延ばされた柄部27とを備えている。柄部27は、駆動機構22のアーム24と重ね合わされる部分であり、そこには、ボルト25を通すための2本の長孔27aが形成されている。一方、タッカ21のタッカ本体26は、内フラップ4と接触してこれを押さえ込む部分として設けられている。タッカ本体26の外周には、タッカ21の回転方向前方の端部に位置する初期接触部28と、回転方向後方の端部に位置する後期接触部29と、初期接触部28と後期接触部29との間にて凸状に膨らんだ弧を描くように延びる中期接触部30とが設けられている。初期接触部28及び後期接触部29は、タッカ本体26の両端部をタッカ21の外周側から、柄部27が存在する内周側に回り込むように丸めた形状である。初期接触部28、後期接触部29及び中期接触部30のそれぞれは、曲率が変化する位置P1及びP2を境として区分される。初期接触部28の曲率(曲率半径Raの逆数)は、後期接触部29のそれよりも小さく設定されている。
【0019】
中期接触部30の曲率は、その中間部30a、すなわち回転方向の中央部と、それよりも回転方向両側の領域30b、30cとで相違する。言い換えれば、中期接触部30内において曲率が変化する位置P3〜P4間が中間部30aであり、位置P1〜P3間が前側の領域30b、位置P4〜P2間が後側の領域30cである。中期接触部30の中間部30aの曲率は、領域30b、30cのそれよりも大きく設定されている。これにより、中期接触部30はその中間部30aがこぶ状に膨らみ、その中間部30aから両側の接触部28、29に向かってより小さな曲率で緩やかな弧を描く形状に形成されている。言い換えれば、中期接触部30は、その途中に曲率の極大部30aを有する曲線状の輪郭を有している。各接触部30の曲率は、折り込み対象の内フラップ4の寸法、剛性等に応じて適宜に設定してよいが、一例として、初期接触部28の曲率半径Raを後期接触部29の曲率半径Rbの2倍程度、中期接触部30の領域30b、30cの曲率半径Rcを初期接触部28のそれの5倍程度に設定することができる。
【0020】
次に、図6〜図11を参照してフラップ折り装置20の動作を説明する。図6に示したように、ケーサー10のコンベア11により搬送方向前方の内フラップ4がサイドガイド14の内側まで送り込まれると、タッカ21はその初期接触部28が搬送方向後側の内フラップ4に接触する位置まで回転する。続いて、図7に示したように、コンベア11によるカートン1の搬送に同期してタッカ21が内フラップ4を押し込むように時計方向(つまり、搬送方向前方)に回転し、それによりまず内フラップ4がA罫線4a(図2参照)に沿って折り込まれる。その後、図8に示すように、中期接触部30の回転方向前側の領域30bが内フラップ4と接触し、内フラップ4はA罫線4aを軸としてさらに折り込まれる。
【0021】
タッカ21が引き続き時計方向に回転することにより、タッカ21の中期接触部30の中間部30aが内フラップ4のA罫線4aとB罫線4bとの間にて内フラップ4と接触し、B罫線4bを超えてB罫線4bよりも内フラップ4の先端側に至るまで中期接触部30と内フラップ4との接触が継続される。それにより、B罫線4bに沿った曲げが生じないようにB罫線4bが抑えられつつ、内フラップ4とタッカ21との接触が継続される。このときの状態を図9に示す。それにより、内フラップ4にはA罫線4aを軸としてさらに明瞭な折り癖が付与され、かつB罫線4bに沿った曲げは阻止される。タッカ21の時計方向へのさらなる回転により、図10に示したようにタッカ21の中期接触部30の回転方向後側の領域30cが引き続き内フラップ4のB罫線4bに沿った曲げを抑えつつB罫線4bよりも先端側の領域まで移動する。その後、後期接触部29が内フラップ4と接触する。それにより、内フラップ4の弾性復元力による戻り作用を抑えつつ、サイドガイド14の導入部14aへと内フラップ4を円滑に導入させることができる。図11に示したように、タッカ21が内フラップ4から離れるまで時計方向に回転すると、搬送方向後側の内フラップ4がサイドガイド14の導入部14aよりもさらに搬送方向下流側の領域へと完全に取り込まれる。以降は、内フラップ4が搬送方向前側の内フラップ4と同様にA罫線4aに沿って折り込まれた形状に保持されつつ搬送される。カートン1がフラップ折り装置20の前を通過するとタッカ21が反時計方向に戻される。次のカートン1が搬入されると、再びタッカ21が時計方向に回転駆動されて図6の状態から内フラップ4の折り込みが開始される。
【0022】
なお、ケーサー10の図3に示した部分よりも搬送方向下流側の領域には、コンベア11の幅方向反対側(図3の上側)から飲料缶2を整列状態で送り込む機構が設けられている。その機構によって飲料缶2が送り込まれた後、カートン1の幅方向反対側の開口部の内フラップ4は図3及び図4に示したサイドガイド14及びフラップ折り装置20と同様の機構によりA罫線4aに沿って折り込まれる。内フラップ4のA罫線4aに沿った折り込みの完了後、外フラップ5が折り込まれて内フラップ4と接着される。このとき、カートン1上には飲料缶2が取り込まれているため、各内フラップ4は外フラップ5を介した押し込み力によりA罫線4aのみならず、B罫線4bに沿って折り込まれる。これにより、カートン1の4つの角部が正しく成形される。さらに、天板3bが折り込まれて搬送方向後側の側板3cの糊代3eと貼り合わされる。これにより、カートン1の成形が完了して飲料缶2の梱包物が完成する。
【0023】
以上に説明したように、本形態のフラップ折り装置20によれば、タッカ21の初期接触部28によって内フラップ4を一段目のA罫線4aに沿って折り込み、その後、中期接触部30にて内フラップ4の弾性復元力による戻りを抑えつつ、内フラップ4をA罫線4aに沿ってさらに強く折り込むことができる。その際、特に中期接触部30がB罫線4bを曲げ癖が付かないように抑えつつ内フラップ4上をその先端側に向かって移動する。そのため、タッカ21による折り込みの途中で内フラップ4がB罫線4bに沿って曲げられるおそれを排除することができる。したがって、内フラップ4をA罫線4aに沿って十分に折り込むことが可能となる。それにより、カートン1の完成時に、底板3a及び天板3bの面取り部3dと内フラップ4の面取り部3dとを隙間なく合わせてカートン1の角部の形状精度を向上させることができる。
【0024】
ちなみに、図5に想像線で示したように、中期接触部30を一様な曲率の緩やかな曲線状に形成した場合には、内フラップ4の折り込み中に、タッカがB罫線4bよりもA罫線4a側の領域から早期に離れ、内フラップ4のB罫線4bよりも先端側の領域にのみ折り込み力が作用してB罫線4bに沿った折り癖が付与され易い。その場合には、A罫線4aに沿った折り癖が不十分となり、A罫線4aの回りが膨らみ気味となって、内フラップ4と面取り部3dとの間に隙間が生じるといった不都合が生じるおそれがある。本形態のタッカ21によれば、中期接触部30の中間部30aがB罫線4bを曲げ癖が付かないように抑えつつ、そのB罫線4bの前後を中期接触部30が通過するために、A罫線4aに沿った十分な折り癖を付与することが可能である。
【0025】
なお、タッカ21を内フラップ4に対して上記の通りに接触させるためには、例えば駆動軸23に対するアーム24の回転方向の取付位置と、駆動軸23の回転中心からタッカ21の外周までの距離をボルト25と長孔27aによって調整すればよい。
【0026】
本発明は、上述した形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上記の形態ではタッカ21を往復回転させるものとしたが、時計方向に一周して元の位置に戻るようにタッカ21を駆動してもよい。タッカ21の駆動はコンベア11によるカートン1の搬送と同期するものであればよく、コンベア11から動力を伝達する例に限らず、例えば電気モータによりタッカ21をコンベア11と同期して回転駆動してもよい。本発明において、初期接触部及び後期接触部は必ずしも一定曲率で丸められた形状に限らず、多角形状、直線状といった変形が可能である。上記の形態では一枚のタッカ21を利用して内フラップ4を折り込んだが、二枚以上のタッカ21を上下方向に並べて配置し、それらを同期して回転させることにより内フラップ4を折り込んでもよい。複数のタッカ21を利用することにより、内フラップ4の高さ寸法の増加にも容易に対応することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 カートン
2 飲料缶
3 カートンの胴部
3a カートンの底板
3b カートンの天板
3c カートンの側板
3d カートンの面取り部
4 内フラップ
4a A罫線(一段目の折り目線)
4b B罫線(二段目の折り目線)
5 外フラップ
6 コーナー面
10 ケーサー
11 コンベア
12 搬送面
13 搬送機構
14 サイドガイド
14a 導入部
20 フラップ折り装置
21 タッカ
26 タッカ本体
27 柄部
29 後期接触部
30 中期接触部
30a 中間部
30b 中間部の前側の領域
30c 中間部の後側の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアによって搬送されるコーナーカットカートンの搬送方向後側のフラップに、タッカを搬送方向前方に回転させつつ押し当てて、当該フラップを折り込むフラップ折り装置であって、
前記タッカの外周には、前記フラップを折り込む際の回転方向における前方の端部に位置する初期接触部と、前記回転方向の後方の端部に位置する後期接触部と、前記初期接触部と前記後期接触部との間にて凸状に膨らんだ弧を描くように延びる中期接触部とが設けられ、
前記中期接触部の中間部の曲率が、当該中間部よりも前記回転方向の前後の領域の曲率よりも大きく設定されているコーナーカットカートンのフラップ折り装置。
【請求項2】
前記初期接触部が丸みを帯びた形状であり、該初期接触部の曲率が前記中期接触部の前記領域の曲率よりも大きく設定されている請求項1に記載のフラップ折り装置。
【請求項3】
前記中期接触部が、前記フラップの一段目の折り目線と二段目の折り目線との間から該二段目の折り目線を超えて前記フラップの先端側に至るまで、前記二段目の折り目線への曲げを抑えつつ当該フラップと接触できるように前記タッカと前記フラップとの位置関係が設定されている請求項1又は2に記載のフラップ折り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−105343(P2011−105343A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262570(P2009−262570)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】