説明

コールセンタにおけるバック引継ぎ支援方法及びバック引継ぎ支援システム並びにバック引継ぎ支援プログラム

【課題】本発明はバック引継ぎ支援システムに関し、フロント受付部からバック受付部へのスムーズな引継ぎを実現することを目的としている。
【解決手段】ユーザに納入したシステムのキーワードが記憶されたキーワードテーブルを有し、フロント受付部2に、タイムオーバ時にバック受付部5に切替える切替え手段26と、対応状況を入力する対応状況入力手段22と、対応音声情報を入力し音声テキストデータに変換する変換手段24と、モードを入力するモード入力手段22と、前記音声テキストデータから前記モードに従い引継ぎデータを作成する引継ぎデータ作成手段20とを設け、前記バック受付部5に、フロント受付部2からバック受付部5に切替え時に引継ぎデータを参照するデータ参照手段41とを設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコールセンタやコンタクトセンタにおけるバック引継ぎ支援方法及びバック引継ぎ支援システム並びにバック引継ぎ支援プログラムに関し、更に詳しくはユーザの依頼に効率的に応えることができるようにしたコールセンタやコンタクトセンタにおけるバック引継ぎ支援方法及びバック引継ぎ支援システム並びにバック引継ぎ支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客にあるシステムを納入した後に、顧客に納入したシステムが不具合になった時、顧客(ユーザ)は、システムを納入したメーカのサービス対応部門に電話をかけてくる。この場合において、ユーザからのコールにいちいち熟練したサービス担当者が対応することは効率が悪い。そこで、サービス部門をフロント受付部とバック受付部に分け、フロント受付部でユーザからのコールに対して対処し、フロント受付部で対処しきれない場合にバック受付部で対処する二重構造のシステムが用いられる。
【0003】
この場合において、フロント受付部には社内で短期間の訓練を受けた実務経験の少ない人を配置し、バック受付部には熟練したサービス担当者を配置する。通常は、ユーザからのコールに対してはフロント担当者の対応でも対処できる場合が多い。フロント受付部でフロント担当者が対処できなかった場合に、バック受付部のサービス担当者が引継ぐ。このような対処のやりかたは比較的効率がよい。
【0004】
従来のこの種のシステムとしては、以下に示すようなシステムが知られている。
対話音声データを入力する対話音声入力部と、前記対話音声データに音声認識処理を施して対話音声テキストデータに変換する音声テキスト変換部と、前記対話音声テキストデータ中の重要な文章群である対話文章群を抽出する対話文章抽出部と、前記対話の内容を聴取者が文章化した聴取音声テキストデータを入力する聴取テキスト入力部と、前記対話文章群から、前記聴取音声テキストデータの文章に対応していない差分文章群を出力する差分文章出力部とを備えたシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
このシステムによれば、一次オペレータが記した聴取音声テキストデータから抜け落ちた文章のみを対話音声テキストデータから抽出し、二次オペレータが、ユーザが所望する問い合わせを漏れなく把握することができ、二次オペレータの作業負担を軽減することができる。
【0006】
また、構内交換機を介して外線電話と接続する複数の電話機が設置されたコールセンタにおいて、オペレータが電話で顧客と応対する業務を支援するためのシステムであって、オペレータが使用するコンピュータにより構成されるオペレータ端末と、オペレータを補助する支援者が使用する支援者端末と、電話機とコンピュータとをそれらの使用者に対応付けして管理する端末管理手段と、所定の情報入力があると構内交換機を制御し、通話中にあるオペレータの電話機への回線を適宜な電話機に切り換える回線切換手段と、電話対応中のオペレータの送話音声をサンプリングしてデジタル音声データに変換する音声データ取得手段と、変換したデジタル音声データを所定のアルゴリズムに基づいて解析することでオペレータの困惑度合いを段階的に評価し、その評価結果を出力する困惑度評価手段と、困惑度評価手段が出力する評価結果を支援者端末に適宜に表示出力する困惑度表示手段と、オペレータの電話機における通話を支援者の聴取に供するための通話モニタ手段と、支援者端末において所定の利用者入力があると、複数の支援方法を選択可能にしてオペレータ端末に表示出力する支援方法提示手段と、オペレータ端末において前記複数の支援方法の一つを選択する利用者入力があると、当該選択された方法に基づく所定の支援処理を実行させる支援処理手段と、を備えたコールセンタにおけるオペレータ業務支援システムが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
このシステムによれば、感情解析技術を応用して抽出した「困惑」に基づいて、顧客の対応に窮しているオペレータを確実に補助することができる。
【特許文献1】特開2007−265131号公報(段落0038〜0058、図1)
【特許文献2】特開2007−4000号公報(段落00150036、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記引用文献1及び引用文献2記載の発明の何れも、リアルタイムにバック受付時間の短縮を図るものではない。また、前記システムでは、フロントからバックに受付切替えの際、フロント状況の把握に時間と工数とがかかっていた。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、ユーザのコールに対してフロント受付部からバック受付部へのスムーズな引継ぎを実現して、ユーザの顧客満足度を向上させることができるバック引継ぎ支援方法及びバック引継ぎ支援システム並びにバック引継ぎ支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)請求項1記載の発明は、ユーザからのコールを受け付けるフロント受付部と該フロント受付部で受け付けたコールを引き継ぐバック受付部で構成されるコールセンタにおけるバック引継ぎ支援方法であって、予めタイムオーバ時間に基づき設定された閾値を記憶するステップと、引継ぎデータの作成モードを設定するステップと、フロント者端末から対応状況を入力するステップと、対応音声入力情報を記録して音声テキストデータに変換するステップと、ユーザとフロント者との通話のタイムオーバを判定するステップと、前記対応入力情報からキーワードが記憶されたキーワードテーブルを選択するステップと、該キーワードテーブルの内容と音声テキストデータとを比較するステップと、比較の結果、一致したところから前記作成モードに従い引継ぎデータを作成するステップと、前記フロント受付部での対応がタイムオーバした時、或いはフロント受付部がバック受付部に対応処理を依頼した時、バック受付部に処理を引継ぐステップと、により構成されることを特徴とする。
【0011】
(2)請求項2記載の発明は、前記音声入力情報を音声テキストデータに変換する際に標準となる音声の大小/高低を求め、音声の大小/高低を判定し、これら音声が標準から求めた閾値を越えると特別な属性を付加することを特徴とする。
【0012】
(3)請求項3記載の発明は、ユーザからのコールを受け付けるフロント受付部と、該フロント受付部で受け付けたコールを引継ぐバック受付部とを備えたコールセンタにおけるバック引継ぎ支援システムであって、キーワードが記憶されたキーワードテーブルを有し、前記フロント受付部に、タイムオーバ時にバック受付部に切替える切替え手段と、バック受付部に切り替えたい時に切り替える切替え手段と、対応状況を入力する対応状況入力手段と、対応音声情報を入力し音声テキストデータに変換する変換手段と、モードを入力するモード入力手段と、前記音声テキストデータから前記モードに従い引継ぎデータを作成する引継ぎデータ作成手段とを設け、前記バック受付部に、フロント受付部からバック受付部に切替え時に引継ぎデータを参照するデータ参照手段とを設け、たことを特徴とする。
【0013】
(4)請求項4記載の発明は、前記フロント受付部の変換手段に、標準となる音声の大小/高低を求め、音声が大きくなった時或いは音声が高くなった時に特別な属性を付加する属性付加手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
(5)請求項5記載の発明は、ユーザからのコールを受け付けるフロント受付部と、該フロント受付部で受け付けたコールを引継ぐバック受付部とを備えたコールセンタにおけるバック引継ぎ支援システムで動作するプログラムであって、ユーザとフロント者との通話のタイムオーバ時を判断する閾値を記憶する処理と、タイムオーバ時にフロント受付部からバック受付部に切替える処理と、ユーザとフロント受付部との対応状況を入力する処理と、対応音声情報を記録し、音声テキストデータに変換する処理と、音声が大きくなった時或いは音声が高くなった時に特別な属性(アトリ)を付加する処理と、前記音声テキストデータからモードに従い引継ぎデータを作成する処理と、前記フロント受付部からバック受付部に切り替えた時に引継ぎデータを参照する処理と、をコンピュータで実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
(1)請求項1記載の発明によれば、キーワードテーブルの内容と音声テキストデータとを比較し、キーワードと対応する音声テキストデータの文字が一致した場合、その前後の音声テキストデータとを切り出して、引継ぎデータとしてバック受付部に送るので、バック受付部の熟練したサービス担当者はその引継ぎデータから問題点を把握することができ、適切な対応をとることができる。
【0016】
(2)請求項2記載の発明によれば、前記引継ぎデータに加えて、会話中の音声の大小/高低を判定し、これら音声が閾値を越えるとアトリを付加するようにしたので、このアトリが付加された音声テキストデータ部分もユーザシステムの不具合状況を判断するためのデータとして用いることが可能になる。
【0017】
(3)請求項3記載の発明によれば、作成した音声テキストデータと前記キーワードテーブルの内容とを比較して引継ぎデータを作り、バック受付部の熟練したサービス担当者はその引継ぎデータから問題点を把握することができ、適切な対応をとることができる。
【0018】
(4)請求項4記載の発明によれば、前記引継ぎデータに加えて、会話中の音声の大小/高低を判定し、これら音声が閾値を越えるとアトリを付加するようにしたので、このアトリが付加された音声テキストデータ部分もユーザシステムの不具合状況を判断するためのデータとして用いることが可能になる。
【0019】
(5)請求項5記載の発明によれば、キーワードテーブルの内容と音声テキストデータとを比較し、キーワードと対応する音声テキストデータの文字が一致した場合、その前後の音声テキストデータとを切り出して、引継ぎデータとしてバック受付部に送るので、バック受付部の熟練したサービス担当者はその引継ぎデータから問題点を把握することができ、適切な対応をとることができるバック引継ぎ支援プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明システムの構成概念図である。図において、1はユーザの持つ電話機である。2はユーザからのコールを受けるフロント受付部、3はバック受付部への引継ぎデータを作成する引継ぎデータ作成部である。4はユーザからの電話機によるコールに対して所定の処理を行なうフロント者端末である。この例では、#1〜#nまでn人のフロント者端末が配置されている場合を示している。
【0021】
10はフロント受付部2と接続され、キーワードテーブル、対応状況データ、機種名、カテゴリ名、音声データ、判断データ、タイムオーバ監視閾値等が格納されるデータベースである。ここで、音声データはユーザとフロント間の電話機によるやりとりが記憶されたデータのことである。ユーザとフロント受付部2間で音声によるやりとりが行なわれると、その音声データは逐次後述する音声テキストデータに変換され、音声データとして格納される。タイムオーバ監視閾値としては、ここでは例えば15分に設定されるが、15分に限るものではない。その他の値のタイム監視閾値が用いられてもよい。
【0022】
11は引継ぎデータ作成部3で作成された引継ぎデータである。該引継ぎデータとしては、例えば音声テキスト色付データや、全ての音声テキストデータの切り出しデータが用いられる。ここで、音声テキスト色付データは、全ての音声テキストをベースとして含み、更に切り出しデータ部分を一目で見て分かるように色付きにしたものである。このようにすれば、全音声テキストデータと、キーワード一致の部分の両方を人目で概観できる。音声テキスト切り出しデータは、前記キーワードテーブルの内容と、ユーザとフロント受付部とのやりとりを記憶した音声テキストデータとを比較して、キーワードテーブル内のキーワードに一致した音声テキストデータがあったら、そのキーワードの前後所定の範囲のやりとりが音声テキストデータとして切り出されたものである。
【0023】
5はユーザとのやりとりによりフロント受付部2で作成された引継ぎデータを受けるバック受付部である。6はバック受付部5と接続され、ユーザからの電話機によるコールに対してより専門的な処理を行なうバック者端末である。バック者端末6は、ここでは#1と#2の二人分の場合が示されているが、二人に限るものではない。
【0024】
バック者としては、実際にコールされたシステムについて技術的に詳しい知識を持つ人のことである。ここでは、フロント者n人に対してバック者二人で対応している場合を示している。そして、フロント受付部2とバック受付部5とでコールセンタを構成している。このように構成されたシステムを用いて、本発明の動作の概要を説明すると、以下の通りである。
【0025】
先ず、ユーザ電話機1からコールセンタに電話がかかってくる。コールセンタでは、先ず空いているフロント者端末4がユーザからのコールを受ける。このコールを受けたフロント者は、ユーザと稼動しているシステムの不具合について電話でシステムの状況等を問い合わせる。その時、フロント者端末4はデータベース10に記憶されている機種名、カテゴリ名等による対処のルールを読み出して、自分の端末の表示部上に表示させ、その表示に従って、ユーザとやりとりする。
【0026】
この時、ユーザとのやりとりは全て音声記録される。音声記録された内容は、コールセンタ内で音声デジタルデータに変換された後、音声テキストデータに変換される。このような一連の処理でユーザとの通話により不具合がなくなった場合は、フロント者端末4の仕事は終わって、次のコールの待ち体勢に入る。
【0027】
このようなフロント者端末4とユーザとのやりとりで不具合が解消されないまま所定時間、例えば15分が経過した時、又はフロント者では対処できないと判断してフロント者端末4がバック受付部に処理を要請した時、対処する主体がフロント者からバック者に切り替わる。この時、フロント受付部2からは、引継ぎデータ作成部3で作成された引継ぎデータがバック受付部5に送信される。
【0028】
バック者端末6は、引継ぎデータを参照してシステムの不具合の状況を把握した後、ユーザと電話でやりとりして不具合の回復を図る。この場合において、引継ぎデータに不具合のキーワードとなるテキスト文が濃度高く含まれているため、システムの不具合の状況を短時間で知ることができ、ユーザに対して適切な対処を促すことができる。これにより、システムの不具合は解消される。
【0029】
本発明によれば、ユーザのコールに対してフロント受付部2からバック受付部5へのスムーズな引継ぎを実現して、ユーザの顧客満足度を向上させることができる。
図2は本発明システムの一実施の形態を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。フロント受付部2において、4はフロント者端末、4aは該フロント者端末4と接続される通話用のマイク、4bは受話用のスピーカである。図では、フロント者端末4として#1と#2しか示されていないが、実際にはもっと多数のフロント者端末4が設けられている。また、各フロント者端末4には、各種コマンド等を入力するキーボードやマウス等の操作部(図示せず)が設けられている。更に、各種情報を表示するためのCRTやLCD等の表示部(図示せず)も設けられている。
【0030】
20はフロント受付部2の全体の動作を制御する制御部である。該制御部20としては、例えばコンピュータが用いられる。該制御部20において、21はタイムオーバを判断するタイムオーバ判断手段、22はフロント者端末4からの対応状況を入力する対応状況入力手段、23はフロント者とユーザとの会話音声を録音する音声録音手段である。該音声録音手段23としては、例えばテープレコーダ又はデジタル音声記録装置等が用いられる。
【0031】
24は該音声録音手段23に録音された会話音声を音声テキストデータに変換する音声テキスト変換手段である。該音声テキスト変換手段24としては、アナログ音声をデジタルデータに変換するA/D変換器と、該A/D変換器の出力を受けて音声テキストデータに変換する音声認識アルゴリズムが用いられる。25はユーザに設置されているシステムの機種やカテゴリを判定する機種・カテゴリ判定手段である。
【0032】
26はユーザとの通話をそれまでのフロント側からバック側に切り替えるためのバック切替手段、27はユーザ側からの音声とフロント側からの音声を音声テキストデータに変換したものと、データベース10に記憶されているキーワードテーブル中のキーワードとを照合するキーワード照合手段である。28は何らかの識別のために通話テキスト部分を特定の色に変換するテキスト色変換手段である。
【0033】
29は所定の予め決められたモードを実行するモード実行手段、30は引継ぎデータを作成する時に音声テキストデータから該当部分の文字を切り出す文字切出し手段、31は標準値を求めて音声の大小/高低を判定し、音声テキストデータの該当部分にアトリを添加する音声アトリ添加手段である。10はデータベースであり、例えばハードディスク装置(HDD)で構成される。該データベース10には、キーワードテーブル,対応状況データ,機種名,カテゴリ名,音声データ,判断データ,タイムオーバ監視閾値等が記憶される。該データベース10は前記制御部20と接続されている。12はフロント受付部2内に設けられた外部との通信を行なうための通信部である。
【0034】
バック受付部5において、13は外部との通信を行なうための通信部である。この通信部13を使用してフロント受付部2と通信してもかまわない。40は全体の動作を制御する制御部である。該制御部40としては、例えばコンピュータが用いられる。制御部40において、41はフロント受付部2から送られてくる引継ぎデータを参照する引継ぎデータ参照手段、42は引継ぎデータの対応する箇所を参照する対応情報参照手段、43はバック切り替え時の対応動作を行なうバック切替対応手段、44は所定の予め決められたモードを実行するモード実行手段である。45は制御部40と接続され、各種情報を表示する表示部である。該表示部45としては、例えばCRTやLCDが用いられる。
【0035】
6はバック者端末、6aは該バック者端末6と接続される通話用のマイク、6bは受話用のスピーカである。図では、バック者端末6として1台しか示されていないが、実際には複数のバック者端末6が設けられている。また、該バック者端末6には、各種コマンド等を入力するキーボードやマウス等の操作部(図示せず)が設けられている。なお、制御部40は通信回線を介してデータベース10にアクセスできるようになっている。
【0036】
50はユーザとの電話のやりとりを行なうためのネットワークである。該ネットワーク50としては、例えば公衆電話網やインターネット網等が用いられる。51は該ネットワーク50とフロント者端末4をつなぐ音声通信装置である。該音声通信装置51としては、例えばCTI装置(電話やFAXをコンピュータシステムと統合する装置)、PBX(構内交換機)やIVR装置(音声自動応答装置)等が用いられる。なお、バック受付部5のバック者端末6は、音声通信装置51を介してフロント者端末4と通信することも可能になっている。このように構成されたシステムの動作を説明すれば、以下の通りである。
【0037】
図3は本発明の動作の一例を示すフローチャートで、フロント受付部2側の動作を示している。システムとしては、図2に示すものを用いる。フロント者はフロント者端末4からモードを設定する(S1)。ここで、モードとしては、例えば以下の3つのモードがある。
(モード1):音声の大小/高低を判定するモードである。コールを受ける毎に標準値を新たに設定し、それと比較して判断する。音声の大小とは、音声が大きいか小さいかをいう。音声が大きい時には、システムの不具合に関連する通話記録であると判定するものである。音声の高低とは音声が高いか低いかをいう。音声が高くなった時にもシステムの不具合に関連する通話記録であると判定するものである。
(モード2):音声の大小/高低に加えて、キーワードの一致箇所を判定するモードである。ここで、キーワードの一致箇所とは、ユーザとのやりとりの通話記録データの中で、キーワードテーブルに記憶されているキーワードと文言が一致した箇所のことである。
(モード3):音声の大小/高低に加えて、キーワードの一致箇所を色変換するモードである。連続した音声通話情報の中でキーワードが一致した箇所の前後の領域を色変換して目立つようにするモードのことである。このモードは、制御部20内に記憶される。
【0038】
次に、制御部20はユーザからコール要求がきたかどうかをチェックする(S2)。具体的には音声通信装置51から発呼信号が送られてくるので、その発呼信号を元にコールがあったかどうかを判定する。次に、制御部20は空きのフロント者を選択する(S3)。具体的には空きのフロント者端末4を選択することになる。
【0039】
次に、制御部20は空きのフロント者端末4をフロント対応モードに設定する(S4)。次に、フロント者はフロント者端末4から対応状況を入力する(S5)。この対応状況の入力は対応状況入力手段22が行なう。図4は機種名等の入力とキーワードテーブルの関係を示す図である。フロント者は、フロント者端末4に付属の表示部を参照して対応状況を入力する。対応状況の入力には、機種名や、カテゴリ名や、版数名とがある。機種名、カテゴリ名、版数名はいずれも複数の候補がAに示すようにデータベース10に記憶されているので、それぞれの候補を機種名等を入力する窓から表示し、目的のものをプルダウンで選択する。操作部を用いてプルダウンすると、候補が表示されるので、マウスを用いてそれぞれの候補をクリックする。この結果、目的の対応状況が入力されることになる。又は手動で入力してもよい。
【0040】
データベース10の内部には、Bに示すようなキーワードテーブルが記憶されている。このキーワードは、機種やカテゴリ等毎にそれぞれのデータを記憶している。この結果、システムは予め用意されているキーワードテーブルの内から目的のキーワードテーブルを選択することになる。Cは常に選択される共通キーワードテーブルである。
【0041】
次に、制御部20は通常の音声量と周波数を把握する(S6)。この把握は、後述の引継ぎデータを作成する時の基準となる。次に、フロント者とユーザとのシステム不具合に関する通話のやりとりがなされると、その通話は音声録音手段23により録音される(S7)。続く音声テキスト変換手段24は、音声録音手段23で録音された内容を音声デジタルデータに変換した後、音声認識アルゴリズムにより文字データ(音声テキストデータ)に変換する(S8)。音声テキスト変換手段24は、音声データの内で大きい音声の音声テキストデータには、アトリを付加する。アトリの付加は、音声アトリ添加手段31によりなされる。
【0042】
以上のようにして、ユーザとフロント者との間でシステム不具合に対する音声でのやりとりがなされる。やりとりは、フロント者端末4とユーザとの間において、音声通信装置51を介してユーザの電話機1(図1参照)との間で行なわれる。
【0043】
制御部20は、その間に不具合が解消したかどうかをチェックする(S9)。解決した時には、ステップS2に戻り、次のユーザからのコールに備える。システム不具合が解消されなかった場合、タイムオーバ判断手段21は、ユーザとフロント者との通話がタイムオーバしたかどうかチェックする(S10)。この実施の形態では、タイムオーバを判定するための閾値を15分にとっているが、15分に限る必要はない。
【0044】
タイムオーバでない場合には、ステップS4に戻りフロント対応処理からやり直す。ただし、この場合はステップS6はスキップされる。タイムオーバした場合、或いはフロント者が自分で対処することは諦めて操作部からバック引継ぎを選択した場合には、フロント者或いは制御部20はユーザへバック切り替え通知を行なう(S11)。次に、制御部20は記憶部に記憶されているモードを読み出してどのモードであるか認識する(12)。次に、制御部20はバック引継ぎ支援ルーチンを実行する(S13)。ステップS13を実行した後は、制御は制御部40に移行する。
【0045】
次に、バック受付部5側の表示部45に支援ルーチンの情報を表示する。同時にバック者端末6に付属の表示部(図示せず)にも支援ルーチンの情報を表示する(S14)。バック者は、表示部に表示された支援ルーチン情報に基づいてユーザとの間でバック対応処理を行なう(S15)。制御部40はバック対応の結果、不具合が解決したかどうかチェックする(S16)。解決しない時は、バック対応処理を続行し、不具合が解決したら処理を終了する。
【0046】
次に、バック引継ぎ支援ルーチンについて説明する。バック引継ぎ支援ルーチンはフロント受付部2が行なう。先ず、機種・カテゴリ判定手段25によりフロント入力の機種とカテゴリ別を判断する(S21)。次に、制御部20は共通的なキーワードテーブルをデータベース10から取出す(S22)。ここで、キーワードテーブルは、図4に示すように、共通キーワードテーブルと機種・カテゴリ別のキーワードテーブルが構成されている。ここでは、キーワードテーブルCを取り出すものである。
【0047】
次に、機種・カテゴリ別のキーワードテーブルBを取り出す(S23)。次に、キーワード照合手段27は、文字データをキーワードテーブルで検索する(S24)。次に、図5を用いて文字データの検索処理について説明する。図において、Dはフロント者とユーザとのやりとりの音声テキストデータである。この音声テキストデータ中には、キーワードテーブルにあるキーワードが含まれている。
【0048】
このキーワードテーブルBは、機種名、カテゴリ、電源関係毎に設けられている。例えば、図に示す場合は、機種名、カテゴリ、電源関係と機種名、カテゴリ、xxx関係毎に別個に設けられている。図5に示す通話記録テキストデータは、この内の電源関係の不具合についての通話記録テキストデータである。この音声テキストデータには、高音アトリを▲で、大声アトリを▼でそれぞれ示している。この通話記録音声テキストデータでは、「ssssランプ」,「ggggランプ」,「uuuuメッセージ」,「qqqスイッチ」とかのキーワードがキーワードテーブルBに記憶されているキーワードと一致している。
【0049】
次に、制御部20はモードを判定する(S25)。モードは、ここでは前記したように、モード1〜モード3に別れている。モード実行手段29は、予め与えられているモードを実行する。文字切出し手段30は、モード1の場合には大声・高音のワードを切り出す(S26)。モード2の場合には大声・高音とキーワード一致音声テキストデータを切り出す(S27)。
【0050】
モードの3の場合には、テキスト色変換手段28は、全体の通話記録音声テキストデータを表示し、大声・高音とキーワード一致した領域を色変換する(S28)。これら各モードのうち、予め指定されたモードをモード実行手段29は実行する。そして、特定のモードが実行されたら、そのモードの実行により作成された引継ぎデータが、バック切替手段26によりバック受付部5側に通信部12,13を介して転送される(S29)。
【0051】
次にバック受付部5の動作について説明する。
バック受付部5側では、引継ぎデータが送られてくると、バック切替対応手段43がバック受付部5を動作モードに設定する。そして、引継ぎデータ参照手段41がこの引継ぎデータを参照すると共に、表示部45に表示する。バック者(熟練したサービス担当者)は、バック者端末6の表示部(図示せず)に表示された引継ぎデータを参照して、問題点を確認し、ユーザとの通話を行なう。この場合において、表示部には図6に示すような音声テキストデータが表示される。例1は機種名がaaa、カテゴリ名が電源関係のユーザとフロントの対応音声テキストデータのモード2の例を示し、例2は機種名がkbbb、カテゴリ名がOS異常関係のユーザと対応音声テキストデータのモード2の例を示している。
【0052】
このような引継ぎデータを参照して、バック者は音声通信装置51を介してユーザと通話し、不具合の回復に努める。不具合が解消したら、処理は終了する。なお、バック者は、必要な場合には、引継ぎデータのみならず、ユーザとフロント者との全会話音声データを参照することがあるので、対応情報参照手段42は、全音声データを表示部に表示するものである。モード実行手段44は、それぞれのモードにおける処理を実行する。
【0053】
上述の実施の形態では、モードをモード1〜モード3まで設けた場合を例にとっているが、本発明はこれに限るものではなく、もっとたくさんのモードを設定してもよい。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、キーワードテーブルの内容と音声テキストデータとを比較し、キーワードと対応する音声テキストデータの文字が一致した場合、その前後の音声テキストデータとを切り出して、引継ぎデータとしてバック受付部に送るので、バック受付部の熟練したサービス担当者はその引継ぎデータから問題点を把握することができ、適切な対応をとることができる。
【0054】
また、前記引継ぎデータに加えて、会話中の音声の大小/高低を判定し、これら音声が閾値を越えるとアトリを付加するようにしたので、このアトリが付加された音声テキストデータ部分もユーザシステムの不具合状況を判断するためのデータとして用いることが可能になる。
【0055】
また、作成した音声テキストデータと前記キーワードテーブルの内容とを比較して引継ぎデータを作り、バック受付部の熟練したサービス担当者はその引継ぎデータから問題点を把握することができ、適切な対応をとることができる。
【0056】
また、前記引継ぎデータに加えて、会話中の音声の大小/高低を判定し、これら音声が閾値を越えるとアトリを付加するようにしたので、このアトリが付加された音声テキストデータ部分もユーザシステムの不具合状況を判断するためのデータとして用いることが可能になる。
【0057】
更に、キーワードテーブルの内容と音声テキストデータとを比較し、キーワードと対応する音声テキストデータの文字が一致した場合、その前後の音声テキストデータとを切り出して、引継ぎデータとしてバック受付部に送るので、バック受付部の熟練したサービス担当者はその引継ぎデータから問題点を把握することができ、適切な対応をとることができるバック引継ぎ支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明システムの構成概念図である。
【図2】本発明システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】機種名等の入力とキーワードテーブルの関係を示す図である。
【図5】機種名aaa、カテゴリ名電源関係のユーザとフロントの対応音声テキストデータの例を示す図である。
【図6】キーワード一致照合テキストの例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
2 フロント受付部
4 フロント者端末
4a マイク
4b スピーカ
5 バック受付部
6 バック者端末
6a マイク
6b スピーカ
10 データベース
12 通信部
13 通信部
20 制御部
21 タイムオーバ判断手段
22 対応状況入力手段
23 音声録音手段
24 音声テキスト変換手段
25 機種・カテゴリ判定手段
26 バック切替手段
27 キーワード照合手段
28 テキスト色変換手段
29 モード実行手段
30 文字切出し手段
31 音声アトリ添加手段
40 制御部
41 引継ぎデータ参照手段
42 対応情報参照手段
43 バック切替対応手段
44 モード実行手段
45 表示部
50 ネットワーク
51 音声通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからのコールを受け付けるフロント受付部と該フロント受付部で受け付けたコールを引き継ぐバック受付部で構成されるコールセンタにおけるバック引継ぎ支援方法であって、
予めタイムオーバ時間に基づき設定された閾値を記憶するステップと、
引継ぎデータの作成モードを設定するステップと、
フロント者端末から対応状況を入力するステップと、
対応音声入力情報を記録して音声テキストデータに変換するステップと、
ユーザとフロント者とのタイムオーバを判定するステップと、
前記対応入力情報からキーワードが記憶されたキーワードテーブルを選択するステップと、
該キーワードテーブルの内容と音声テキストデータとを比較するステップと、
比較の結果、一致したところから前記作成モードに従い引継ぎデータを作成するステップと、
前記フロント受付部での対応がタイムオーバした時、或いはフロント受付部がバック受付部に対応処理を依頼した時、バック受付部に処理を引継ぐステップと、
により構成されるコールセンタにおけるバック引継ぎ支援方法。
【請求項2】
前記音声入力情報を音声テキストデータに変換する際に標準となる音声の大小/高低を求め、音声の大小/高低を判定し、これら音声が標準から求めた閾値を越えると特別な属性を付加することを特徴とする請求項1記載のコールセンタにおけるバック引継ぎ支援方法。
【請求項3】
ユーザからのコールを受け付けるフロント受付部と、該フロント受付部で受け付けたコールを引継ぐバック受付部とを備えたコールセンタにおけるバック引継ぎ支援システムであって、
キーワードが記憶されたキーワードテーブルを有し、
前記フロント受付部に、タイムオーバ時にバック受付部に切替える切替え手段と、バック受付部に切り替えたい時に切り替える手段切替え手段と、対応状況を入力する対応状況入力手段と、対応音声情報を入力し音声テキストデータに変換する変換手段と、モードを入力するモード入力手段と、前記音声テキストデータから前記モードに従い引継ぎデータを作成する引継ぎデータ作成手段とを設け、
前記バック受付部に、フロント受付部からバック受付部に切替え時に引継ぎデータを参照するデータ参照手段とを設け、
たことを特徴とするバック引継ぎ支援システム。
【請求項4】
前記フロント受付部の変換手段に、標準となる音声の大小/高低を求め、音声が大きくなった時或いは音声が高くなった時に特別な属性を付加する属性付加手段を設けたことを特徴とする請求項3記載のバック引継ぎ支援システム。
【請求項5】
ユーザからのコールを受け付けるフロント受付部と、該フロント受付部で受け付けたコールを引継ぐバック受付部とを備えたコールセンタにおけるバック引継ぎ支援システムで動作するプログラムであって、
ユーザとフロント者との通話のタイムオーバ時を判断する閾値を記憶する処理と、
タイムオーバ時にフロント受付部からバック受付部に切替える処理と、
ユーザとフロント受付部との対応状況を入力する処理と、
対応音声情報を記録し、音声テキストデータに変換する処理と、
音声が大きくなった時或いは音声が高くなった時に特別な属性を付加する処理と、
前記音声テキストデータからモードに従い引継ぎデータを作成する処理と、
前記フロント受付部からバック受付部に切り替えた時に引継ぎデータを参照する処理と、
をコンピュータで実行することを特徴とするコールセンタにおけるバック引継ぎ支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−232055(P2009−232055A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73592(P2008−73592)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(598057291)株式会社富士通エフサス (147)
【Fターム(参考)】