説明

ゴムホースの製法

【課題】アバタ等の外観不良が生じず、マンドレルの差し込み、抜き取り等の作業性に優れたゴムホースの製法を提供する。
【解決手段】マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿するに際し、マンドレルの外周面および未加硫ゴムホースの内周面の少なくとも一方に予め下記(X)の水性液を塗布する工程と、上記マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿した状態で未加硫ゴムホースを加硫する工程と、上記加硫工程を経た後で加硫されたゴムホースからマンドレルを引き抜く工程とを備えたゴムホースの製法である。
(X)下記(A)と(B)との混合液からなり、粘度が2000〜5000mPa・sの範囲に調整された水性液。
(A)水分量が40〜94重量%の範囲のシリコーン系エマルジョン。
(B)水溶性増粘剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムホースの製法に関するものであり、詳しくはフィラーホース等に用いられるゴムホースの製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、フィラーホース等に用いられるゴムホースは、マンドレルを用いて、マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿し、これを加硫した後、上記マンドレルを引き抜くことにより作製される。この場合、マンドレルと未加硫ゴムとの固着を防ぎ、マンドレルの差し込みや抜き取りを良好にするため、マンドレルの外周面等に離型剤が塗布され、使用されている。上記離型剤としては、一般に、シリコーンエマルジョン等の水系離型剤やシリコーンオイル等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−56132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記水系離型剤は、加硫後の洗浄性の点では、シリコーンオイルよりも優れているが、ゴムの加硫時の温度が水の沸点を超えるため、ゴムの加硫中に水系離型剤中の水分が沸騰して揮発する。そのため、揮発ガスにより未加硫ゴムホース(特に内面)に凹凸のアバタ(エアー溜まり)が発生し、外観不良になるという難点がある。一般に、ゴムホースがくの字状に屈曲している部分に水分が溜まりやすく、アバタ(エアー溜まり)が生じやすくなる。フィラーホースの場合には、接合部と接触する部位にアバタが存在すると、フィラーホースと接合部との間に隙間が生じ、燃料漏れを起こす等の危険がある。一方、上記シリコーンオイルは、マンドレルの差し込みや抜き取りの点では、上記水系離型剤よりも優れているが、洗浄工程でシリコーンオイルを充分に除去することができず、シリコーンオイルが残存するため、製品組み付け後にゴムホースの脱落(抜け)等が生じるおそれがある。また、上記シリコーンオイルは、水に溶けないため、水で洗浄することができず、有機溶媒で処理する必要もある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、アバタ等の外観不良が生じず、マンドレルの差し込み、抜き取り等の作業性に優れたゴムホースの製法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明のゴムホースの製法は、マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿するに際し、マンドレルの外周面および未加硫ゴムホースの内周面の少なくとも一方に予め下記(X)の水性液を塗布する工程と、上記マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿した状態で未加硫ゴムホースを加硫する工程と、上記加硫工程を経た後で加硫されたゴムホースからマンドレルを引き抜く工程とを備えているという構成をとる。
(X)下記(A)と(B)との混合液からなり、粘度が2000〜5000mPa・sの範囲に調整された水性液。
(A)水分量が40〜94重量%の範囲のシリコーン系エマルジョン。
(B)水溶性増粘剤。
【0007】
すなわち、本発明者らは、アバタ等の外観不良が生じず、作業性に優れたゴムホースを得るため、鋭意研究を重ねた。一般に、離型剤として使用されているシリコーンオイルは水に溶けないため洗浄性が悪く、また、シリコーンオイルが残存する等の問題がある。そのため、水で洗浄することができ、洗浄後に成分が残存しない、離型性に優れた水性液について実験を続けたところ、水分量が40〜94重量%の範囲のシリコーン系エマルジョンを用いると、水で容易に洗浄できるため、洗浄性に優れることを突き止めた。しかし、上記シリコーン系エマルジョンを単独で用いると、シリコーン系エマルジョン中の水分の揮散によるアバタの発生を充分に抑制することが困難である。そこで、上記シリコーン系エマルジョンに水溶性増粘剤を混合し、水性液の粘度を2000〜5000mPa・sの範囲に調整すると、水性液が、適度な「トロミ」を持つようになって、水分の揮散が上記水溶性増粘剤によって抑制されるため、水の沸点を超えた際でも激しく沸騰することがなくなる。そのため、アバタの発生を防止することができるとともに、マンドレルの差し込み、抜き取り等の作業性にも優れることを見いだし、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明は、水分量が40〜94重量%の範囲のシリコーン系エマルジョンと、水溶性増粘剤との混合液からなり、粘度が2000〜5000mPa・sの範囲に調整された水性液を用いて、離型処理を行っている。そのため、水分の揮散を上記水溶性増粘剤によって抑制でき、アバタの発生を防止することができるとともに、マンドレルの差し込みや抜き取り等の作業性が良好となる。また、上記シリコーン系エマルジョンと水溶性増粘剤を混合してなる水性液は、加硫後に水性液を完全に除去することができ、洗浄性に優れるため、製品組み付け後に、ゴムホースの脱落(抜け)等を防止することもできる。このように、本発明のゴムホースの製法によれば、不良率が低減し、製品機能が向上する。
【0009】
そして、上記水溶性増粘剤としては、未加硫ゴムホースや加硫後の製品に悪影響を与えず、環境の面(COD等)にも優れたセルロース系増粘剤が好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0011】
本発明のゴムホースの製法は、マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿するに際し、マンドレルの外周面および未加硫ゴムホースの内周面の少なくとも一方に予め下記(X)の水性液を塗布する工程と、上記マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿した状態で未加硫ゴムホースを加硫する工程と、上記加硫工程を経た後で加硫されたゴムホースからマンドレルを引き抜く工程とを備えている。
(X)下記(A)と(B)との混合液からなり、粘度が2000〜5000mPa・sの範囲に調整された水性液。
(A)水分量が40〜94重量%の範囲のシリコーン系エマルジョン。
(B)水溶性増粘剤。
【0012】
ここで、本発明において、水性液とは、水溶液ではなく、乳化液(エマルジョン)または懸濁液(サスペンジョン)のことをいい、好ましくは乳化液をいう。
【0013】
まず、上記特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)と、水溶性増粘剤(B成分)との混合液からなる水性液について説明する。
【0014】
上記特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)のシリコーン成分としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーンオイル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、マンドレルの差し込み性、抜き取り性の点で、ジメチルシリコーンが好ましい。
【0015】
上記特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)のシリコーン成分量は、シリコーン系エマルジョン(A成分)の全体量から、下記の水分量(40〜94重量%)を除いた量に相当する。なお、上記エマルジョン(A成分)中に分散剤等を配合する場合には、シリコーン系エマルジョン(A成分)の全体量から、水分量(40〜94重量%)と、分散剤等の配合量とを除いた量が、シリコーン成分量に相当する。
【0016】
本発明において、上記特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)の水分量は、40〜94重量%の範囲であり、好ましくは60〜80重量%の範囲である。すなわち、上記水分量が下限未満であると、洗浄性が劣り、逆に上記水分量が上限を超えると、マンドレルの差し込み性、抜き取り性が劣るからである。
【0017】
上記特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)とともに用いられる水溶性増粘剤(B成分)としては、例えば、セルロース系,タンパク質系,寒天,デンプン,多糖類等の天然系増粘剤や、ビニル系,ポリエステル系,ポリアミド系,ポリエーテル系,ポリグリコール系,ポリビニルグリコール系,ポリアルキレンオキサイド系,ポリアクリル酸系等の合成系増粘剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、未加硫ゴムホースや加硫後の製品に悪影響を与えず、環境の面(COD等)にも優れる点で、セルロース系増粘剤が好ましい。
【0018】
上記セルロース系増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0019】
上記ポリアクリル酸系増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0020】
上記水溶性増粘剤(B成分)の配合量は、A成分とB成分との混合液からなる水性液の粘度が、所定の範囲(2000〜5000mPa・s)になるように用いられる。具体的には、上記水溶性増粘剤(B成分)の配合量は、特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)中の水分量100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜3部の範囲が好ましく、特に好ましくは1.5〜2.5部の範囲である。
【0021】
つぎに、特定のシリコーン系エマルジョン(A成分)と、水溶性増粘剤(B成分)との混合液からなる水性液は、粘度が2000〜5000mPa・sの範囲であり、好ましくは3000〜4000mPa・sの範囲である。すなわち、上記水性液の粘度が下限未満であると、アバタ(エアー溜まり)が発生し、逆に上記水性液の粘度が上限を超えると、作業性(マンドレルの差し込みや抜き取り、洗浄性等)が悪くなるからである。
【0022】
上記水性液は、マンドレルの外周面および未加硫ゴムホースの内周面の少なくとも一方に予め塗布され、マンドレルの外周面と未加硫ゴムホースの内周面との両面に塗布される場合も含む。上記水性液の塗布方法としては、例えば、スプレーコーティング、ディッピング、刷毛塗り等があげられる。
【0023】
つぎに、上記ゴムホースの形成材料(ゴムホース用材料)について説明する。上記ゴムホース用材料の主要成分であるゴム成分としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、NBRとポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンド材料(NBR−PVC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム、天然ゴム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、ゴムホースの用途に応じて適宜選択して用いられる。
【0024】
なお、上記ゴムホース用材料には、上記ゴム成分の他、ステアリン酸、MgO、DBUナフトエ酸塩、カーボンブラック、可塑剤(エーテルエステル系可塑剤等)、加硫剤(硫黄等)、加硫促進剤(チアゾール系加硫促進剤等)等を必要に応じて適宜に配合しても差し支えない。
【0025】
これらゴムホース用材料は、各成分を所定の割合で配合し、バンバリー、ロール等を用いて混練することにより、調製される。そして、このゴムホース用材料を押し出し成形等により押し出し、未加硫ゴムホースを成形する。
【0026】
つぎに、上記未加硫ゴムホースを、前述の水性液中に所定時間(通常、1分間)浸漬する。つづいて、上記水性液に浸漬した未加硫ゴムホースを、マンドレルに嵌挿し、嵌挿した状態でスチーム加硫缶にて所定時間、加硫処理を行う。その後、加硫されたゴムホースから上記マンドレルを抜き取り、ゴムホース(加硫ゴムホース)を作製する。
【0027】
上記未加硫ゴムホースの加硫条件は、140〜170℃×15〜60分の範囲が好ましく、特に好ましくは150〜160℃×30〜45分の範囲である。
【0028】
なお、上記の製法では、未加硫ゴムホース側に水性液を塗布する方法について説明したが、マンドレル側(マンドレル側の外周面)に水性液をスプレーコーティング等により塗布しても差し支えない。また、未加硫ゴムホース側およびマンドレル側の両方に、水性液を塗布しても差し支えない。
【0029】
上記マンドレルの材質としては、例えば、金属製等のものが好ましい。
【0030】
また、上記マンドレルの直径は、マンドレルに嵌挿する未加硫ゴムホースの内径と略同様であり、通常、20〜50mm、好ましくは30〜40mmである。
【0031】
このようにして得られるゴムホースは、直径が、通常、25〜55mm、好ましくは35〜45mmであり、厚みが、通常、2〜10mm、好ましくは4〜6mmである。なお、上記ゴムホースは、単層構造に限定されず、2層以上の多層構造であっても差し支えない。
【0032】
また、本発明においては、ゴムホースの用途によるが、未加硫ゴムホースを加硫した後に、その外周面に補強糸等を編組しても差し支えない。
【0033】
このようにして得られるゴムホースは、例えば、フィラーホース、エバポホース、オイルホース、ターボエアホース等に用いることができる。
【実施例】
【0034】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す水性液の材料を準備した。
【0036】
〔シリコーン系エマルジョンA〕
ジメチルシリコーンエマルジョン(東レ・ダウコーニング社製、シリコーンエマルジョンDKQ−2、シリコーン成分量60重量%、水分量40重量%、粘度400mPa・s)。
【0037】
〔シリコーン系エマルジョンB〕
上記ジメチルシリコーンエマルジョンAを、水で希釈して、シリコーン成分量6重量%、水分量94重量%、粘度11mPa・sに調製した。
【0038】
〔シリコーン系エマルジョンa〕
上記ジメチルシリコーンエマルジョン(東レ・ダウコーニング社製、シリコーンエマルジョンDKQ−2)を濃縮した、ジメチルシリコーンエマルジョン(シリコーン成分量65重量%、水分量35重量%、粘度600mPa・s)。
【0039】
〔シリコーン系エマルジョンb〕
上記ジメチルシリコーンエマルジョンAを、水で希釈して、シリコーン成分量3重量%、水分量97重量%、粘度5mPa・sに調製した。
【0040】
〔水溶性増粘剤A〕
セルロース系増粘剤(CMC)(第一工業社製、セロゲン4H)
【0041】
〔水溶性増粘剤B〕
ポリアクリル酸系増粘剤(ポリアクリル酸)(日本触媒社製、アクアリックAS58)
【0042】
そして、上記シリコーン系エマルジョン、水溶性増粘剤を用い、下記のようにして水性液を調製した。
【0043】
〔水性液Aの調製〕
下記の表1に示すように、シリコーン系エマルジョンA100部に、水溶性増粘剤A1.2部(シリコーン系エマルジョンA中の水分量100部に対して、水溶性増粘剤A3部)を添加して、粘度2000mPa・sの水性液を調製した。なお、上記水性液の粘度は、室温(25℃)にてB型粘度計(東京計器社製、No.3)を使用して測定した。
【0044】
〔水性液B〜H、a〜fの調製〕
下記の表1および表2に示すように、配合成分および配合量を変更する以外は、水性液Aの調製に準じて、各水性液を調製した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
つぎに、上記水性液を用い、ゴムホースを製造した。
【0048】
〔実施例1〕
(ホース材料の調製)
NBR−PVC〔NBR/PVC=70/30(重量比)、AN量:33.5〕(日本ゼオン社製、ニポール1203JNS)100部と、ステアリン酸(花王社製、ルナックS30)1部と、MgO(協和化学社製、協和マグ♯150)10部と、DBUナフトエ酸塩(ダイソー社製、DA−500)2部と、SRF級カーボンブラック(東海カーボン社製、シーストS)30部と、エーテルエステル系可塑剤(旭電化社製、アデカサイザーRS107)25部と、硫黄(鶴見化学工業社製、金華印粉砕硫黄)1部と、チアゾール系加硫促進剤(OBS)としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)(大内新興化学工業社製、ノクセラーMSA−G)1部とを配合し、これらをバンバリー、ロールを用いて混練することにより、ホース材料(NBR−PVC材料)を調製した。
【0049】
(ゴムホースの製法)
押し出し成形により、未加硫ゴムホース(直径35mm、厚み5mm、長さ300mm)を作製した。つぎに、この未加硫ゴムホースを、上記水性液A中に1分間浸漬した。つづいて、この水性液に浸漬した未加硫ゴムホースを、マンドレル(金属製、直径35mm)に挿入し、その状態でスチーム加硫缶(関西ロール社製)にて160℃×35分加硫処理を行った。その後、加硫ゴムホースから上記マンドレルを抜き取り、ゴムホース(加硫ゴムホース)を作製した。
【0050】
〔実施例2〜8、比較例1〜6〕
下記の表3および表4に示すように、未加硫ゴムホースを浸漬する際の水性液の種類を変更する以外は、実施例1に準じて、ゴムホース(加硫ゴムホース)を作製した。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
このようにして得られた実施例および比較例のゴムホースを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を上記表3および表4に併せて示した。
【0054】
〔外観〕
各ゴムホースを切断し、外観を肉眼で観察した。評価は、アバタ(エアー溜まり)が発生したものを×、アバタが発生しなかったものを○とした。
【0055】
〔作業性〕
マンドレルの差し込み性や抜き取り性、水性液の洗浄性の各項目について評価を行った。
(差し込み性)
マンドレルを差し込む際に、現行法より力がいるものを×、力がいらないものを○とした。
【0056】
(抜き取り性)
マンドレルを抜き取る際に、現行法より力がいるものを×、力がいらないものを○とした。
【0057】
(洗浄性)
40℃のお湯にてゴムホースを30分間洗浄した。その後、指先をホース内に入れて、ヌメリ(シリコーン系エマルジョンの残渣)があったものを×、ヌメリがないものを○とした。
【0058】
上記表3および表4の結果から、実施例品はいずれも、アバタがなく外観が良好で、作業性にも優れていた。
【0059】
これに対して、比較例1,3品は、水性液の粘度が低すぎるため、外観が劣っていた。また、比較例2,4品は、水性液の粘度が高すぎるため、作業性が劣っていた。比較例5品は、シリコーン系エマルジョンの水分量が少なすぎるため、洗浄性に劣っていた。比較例6品は、シリコーン系エマルジョンの水分量が多すぎるため、差し込み性、抜き取り性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のゴムホースの製法によると、アバタ等の外観不良が生じず、マンドレルの差し込みや抜き取り、洗浄性等の作業性に優れたゴムホースを得ることができる。このように、本発明によれば、アバタ等が生じず、外観が良好な、フィラーホース,エバポホース,オイルホース,ターボエアーホース等のゴムホースを効率良く製造することができ、製品組み付け後のゴムホースの脱落(抜け)等を防止することもでき、安全性にも優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿するに際し、マンドレルの外周面および未加硫ゴムホースの内周面の少なくとも一方に予め下記(X)の水性液を塗布する工程と、上記マンドレルに未加硫ゴムホースを嵌挿した状態で未加硫ゴムホースを加硫する工程と、上記加硫工程を経た後で加硫されたゴムホースからマンドレルを引き抜く工程とを備えたことを特徴とするゴムホースの製法。
(X)下記(A)と(B)との混合液からなり、粘度が2000〜5000mPa・sの範囲に調整された水性液。
(A)水分量が40〜94重量%の範囲のシリコーン系エマルジョン。
(B)水溶性増粘剤。
【請求項2】
上記(B)の水溶性増粘剤が、セルロース系増粘剤である請求項1記載のゴムホースの製法。
【請求項3】
上記セルロース系増粘剤が、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムである請求項2記載のゴムホースの製法。

【公開番号】特開2010−30204(P2010−30204A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196261(P2008−196261)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】