サイドエアバッグ装置
【課題】 車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能を向上させることが可能なサイドエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】 サイドエアバッグ装置22のエアバッグ25を、インフレータ24からのガスにより車両のボディサイド部と搭乗者Pの胸部から頭部にかけての部位との間にて展開膨張するエアバッグ本体部26と、該エアバッグ本体部26から搭乗者Pの顔面前方に突出するように展開膨張するエアバッグ突出部27とを備えるように構成する。
【解決手段】 サイドエアバッグ装置22のエアバッグ25を、インフレータ24からのガスにより車両のボディサイド部と搭乗者Pの胸部から頭部にかけての部位との間にて展開膨張するエアバッグ本体部26と、該エアバッグ本体部26から搭乗者Pの顔面前方に突出するように展開膨張するエアバッグ突出部27とを備えるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に対する側方からの衝突により、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わったとき、エアバッグが搭乗者の側方で展開膨張されるようにしたサイドエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のサイドエアバッグ装置は、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わったときに、エアバッグを展開膨張させて搭乗者の頭部や胸部を保護することにより、搭乗者に加わる衝撃を緩和している。
【0003】
従来のサイドエアバッグ装置としては、衝突時に搭乗者の胸部及び頭部の側方でエアバッグが展開膨張するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。他に、搭乗者の頭部、胸部及び腹部の側方と、同腹部の前方でエアバッグが展開膨張するように構成されたサイドエアバッグ装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−114060号公報
【特許文献2】特開平7−329688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のサイドエアバッグ装置は、エアバッグが搭乗者の頭部の側方でのみ展開膨張するものであった。一方、特許文献2に記載のサイドエアバッグ装置は、搭乗者の側方及び腹部前方でのみ展開膨張するものであった。そして、近年のサイドエアバッグ装置には、車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能の向上が求められている。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能を向上させることが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガス発生源からのガスにより搭乗者の側方にて展開膨張するエアバッグを備えたサイドエアバッグ装置において、前記エアバッグは、エアバッグ本体部とエアバッグ突出部とを備えており、該エアバッグ本体部は車両のボディサイド部と搭乗者の側方との間で展開膨張させるとともに、該エアバッグ突出部は前記エアバッグ本体部から突出させて搭乗者の頭部前方で展開膨張させることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、車両の斜め前方からの衝突時には、エアバッグ突出部が搭乗者の頭部前方に展開膨張され、エアバッグ本体部が搭乗者の側方に展開膨張される。さらに、エアバッグ突出部は、エアバッグ本体部から突出するように構成されている。この結果、エアバッグは搭乗者の斜め前方を隙なく保護するように展開膨張される。したがって、該衝突による車室内への侵入物からの搭乗者の頭部に対する保護性能が向上される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグの車内側となる面上であって、前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との間は、面状テザーによって連結されていることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、面状テザーによってエアバッグが所定の立体形状に保持され、エアバッグ突出部が搭乗者の頭部前方で好適に展開膨張される。このとき、この面状テザーは衝撃の緩和にも利用される。したがって、搭乗者の頭部に対する保護性能がより一層向上される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着するとともに、これらの基布間を少なくとも2枚の帯状テザーにより連結して構成されたものであり、これらの帯状テザーは車外側の間隔が車内側の間隔に比べて長くなるように配設されていることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、車両の斜め前方からの衝突時に、帯状テザーによりエアバッグが車内側に湾曲するように展開膨張される。このため、エアバッグを構成するエアバッグ突出部を搭乗者の頭部前方へ好適に展開膨張させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着してなり、これら基布における前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との境界となる部位を屈曲部とし、その展開膨張に際し、該屈曲部で前記エアバッグ本体部に対して前記エアバッグ突出部が屈曲するように構成されたものであるとともに、前記屈曲部側となる前記エアバッグ本体部の端部を先端とし、該先端と対向する側となる前記エアバッグ本体部の端部を基端として、前記エアバッグ本体部を構成する基布における先端から基端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも長くされているうえ、前記屈曲部側となる前記エアバッグ突出部の端部を基端とし、該基端と対向する側となる前記エアバッグ突出部の端部を先端として、前記エアバッグ突出部を構成する基布における基端から先端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも短くされており、さらに前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布の前記長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態で、これら基布を縫着する起点シームが設けられていることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、エアバッグ突出部は、エアバッグ本体部に対し、屈曲部で屈曲されることにより、搭乗者の頭部前方で展開膨張されるように構成されている。これらエアバッグ本体部及びエアバッグ突出部は、それぞれを構成する各基布において、屈曲の外側に位置する基布と、屈曲の内側に位置する基布とでそれぞれ長さ寸法が異なっている。このため、エアバッグ本体部に対してエアバッグ突出部を屈曲させやすくすることができる。さらに、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部の間の屈曲部には、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部を構成する各基布の長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態で、これら基布を縫着する起点シームが設けられている。この起点シームは、エアバッグの展開膨張に際し、屈曲の起点となるため、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部を構成する各基布の長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態に維持することができる。その結果、エアバッグ本体部に対してエアバッグ突出部を、屈曲部で好適に屈曲させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布のうち、前記エアバッグ本体部で前記屈曲の内側に位置する基布の先端部と、前記エアバッグ突出部で前記屈曲の内側に位置する基布の基端部とを縫着する接合シームが設けられていることを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部を構成する各基布のうち、それぞれで屈曲の内側に位置する基布同士を縫着する接合シームが設けられている。このため、エアバッグの展開膨張に際し、基布がたるみやすくなる屈曲部の内側において、その基布のたるみを抑制することができ、エアバッグ本体部に対してエアバッグ突出部を良好に屈曲させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能を向上することが可能なサイドエアバッグ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の記載において、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における上下方向及び左右方向は、車両進行方向における上下方向及び左右方向と一致するものとする。
【0018】
図1には、車室内に配置された左側のフロントシート21が示されている。このフロントシート21は腰掛け部21aと背もたれ部21bとを備えている。フロントシート21の背もたれ部21bの車外側(左側)には、サイドエアバッグ装置22がケース23内に収容された状態で埋設されている。サイドエアバッグ装置22は、車両のボディサイド部の一部を構成する図示しないドアと対応するように配設されている。なお、図面においては、左側のフロントシート21のみを示したが、右側のフロントシートの右側においても、その背もたれ部の右側に同様のサイドエアバッグ装置22が内装されている。
【0019】
前記サイドエアバッグ装置22は、ケース23の内部に固定されたガス発生源としてのインフレータ24と、そのインフレータ24を被覆する袋状のエアバッグ25とを備えている。インフレータ24の内部には、エアバッグ25を展開膨張させるためのガス発生剤が収容されている。インフレータ24の上部には、ガス発生剤から発生するガスを噴出させるためのガス噴出口24aが形成されている。インフレータ24には、車両のボディサイド部に対する衝撃を検出するための図示しない衝撃センサが電気的に接続されている。つまり、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わると、前記センサからの検出信号に基づいてインフレータ24内のガス発生剤からガスが発生され、このガスがガス噴出口24aからエアバッグ25内に噴出供給されてエアバッグ25が展開膨張されるようになっている。
【0020】
図1〜図3に示すように、前記エアバッグ25は、織布等からなる左右一対の基布25a,25bを、それらの周縁において縫着することにより、全体として袋状をなすように形成され、通常は折り畳まれた状態でケース23内に収容されている。前記両基布25a,25bの外面、すなわち、前記エアバッグ25の外面には、搭乗者Pとの接触時に滑りにくくするために、シリコン樹脂コーティングが施されている。また、エアバッグ25の周縁部には、左右一対の基布25a,25bを縫糸で縫着してなる外周シーム25cが、その外周縁に沿って延びるように形成されている。
【0021】
なお、図1及び図2は、ガスを充填して最大展開膨張させたエアバッグ25を示しており、図3は、ガスを充填させることなく基布を展開させたエアバッグ25を示している。
エアバッグ25は、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを備えている。前記エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの側方、すなわち、車両のボディサイド部と搭乗者Pの胸部から頭部にかけての部位との間にて展開膨張するように構成されている。前記エアバッグ突出部27は、前記エアバッグ本体部26の前端から突出し、搭乗者Pの頭部前方にて展開膨張するように構成されている。
【0022】
エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの頭部から首部にかけての部位に対応する上膨張部28と、搭乗者Pの首部から胸部にかけての部位に対応する下膨張部29とを備えている。上膨張部28の中央部には、両基布25a,25bの内面間を連結するように一対の帯状テザー31が縫着されている。一対の帯状テザー31は、それぞれ左右方向に延びているとともに、前後方向に所定間隔をおいて互いにほぼ平行になるように配置されている。一対の帯状テザー31は、互いに同一幅となるように構成されている。
【0023】
前記エアバッグ突出部27は、前記上膨張部28の前端において、該上膨張部28と一体形成されている。上膨張部28とエアバッグ突出部27との間には、両基布25a,25b間を互いに隙間なく縫着接合することにより、上下方向に延びる区画シーム30が設けられている。すなわち、上膨張部28とエアバッグ突出部27とは、区画シーム30により区画されている。上膨張部28の内部とエアバッグ突出部27の内部とは、区画シーム30の上端側及び下端側において互いに連通されている。
【0024】
なお、エアバッグ突出部27は、前記上膨張部28、つまりは前記エアバッグ本体部26と一体形成されている。従って、エアバッグ25を形成する各基布25a,25bは、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを合わせた形状(本実施形態では逆L字状)をなすように、織布等を裁断することによってそれぞれ形成されている(図3を参照)。そして、前記外周シーム25cは、エアバッグ本体部26上に形成されたものと、エアバッグ突出部27上に形成されたものとが連続して繋がっており、一筆書き状に形成されている(図3を参照)。このようにエアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを一体形成することにより、これらを個別に形成した後に繋ぎ合わせる等の煩雑な作業が必要とならないため、エアバッグ25の製造の簡易化が図られている。加えて、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを一体形成することにより、エアバッグ25の最大展開膨張時におけるエアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27との境界部の強度向上、あるいは耐久性向上が図られている。
【0025】
図2及び図3に示すように、エアバッグ25には、エアバッグ突出部27の先端部の外面と上膨張部28の車内側の外面とを連結するようにほぼ長方形をなす面状テザー32が縫着されている。このとき、区画シーム30からエアバッグ突出部27の先端までの距離Aは、面状テザー32の幅Bよりも長くなっている。すなわち、エアバッグ25の展開膨張時に、面状テザー32はエアバッグ突出部27の先端部を車両後方へ引っ張るように構成されている。そしてこのとき、区画シーム30がいわゆるヒンジとして機能することにより、エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26に対し、ほぼ直角に屈曲された状態に保持されるようになっている。なお、図3においては、理解を容易にするため、エアバッグ25と面状テザー32とを別々に描いたが、実際には図2に示すように、面状テザー32はエアバッグ25に縫着されている。
【0026】
次に、前記のように構成されたサイドエアバッグ装置22についてその動作を図1〜図3に基づいて説明する。
さて、車両のボディサイド部に対する斜め前方からの衝突によりエアバッグ25が展開膨張される際には、エアバッグ本体部26は搭乗者Pの側方で展開膨張され、エアバッグ突出部27は搭乗者Pの頭部前方で展開膨張される。すなわち、エアバッグ25は、車室内で搭乗者Pの斜め前方となる位置に展開膨張される。このため、前記衝突により、例えば車室内へフロントピラーや衝突対象物等の侵入物が侵入してきた際の、搭乗者Pの頭部に対する保護性能を向上させることができる。また、面状テザー32は、展開膨張したエアバッグ本体部26及びエアバッグ突出部27により、張力(テンション)が加わった状態で展開される。したがって、面状テザー32により搭乗者Pとの広い接触面が確保され、該面状テザー32に加わる張力により衝撃が効果的に緩和される。
【0027】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)エアバッグ25は、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とで搭乗者Pの斜め前方に展開膨張される。すなわち、車両の斜め前方からの衝突時に、エアバッグ本体部26からエアバッグ突出部27が搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張されるため、該衝突による車室内への侵入物からの搭乗者の頭部(特に顔面)に対する保護性能を向上させることができる。
【0028】
(2)車両が斜め前方から衝突されてエアバッグ25が展開膨張した際に、エアバッグ25を面状テザー32によって、エアバッグ突出部27が搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張した状態である所定の立体形状に保持することができる。このため、搭乗者の頭部に対する保護性能をより一層向上させることができる。また、面状テザー32には張力が加わっているため、搭乗者Pとの接触時には衝撃を緩和することができる。
【0029】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この第2実施形態においては、前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0030】
図4は、第2実施形態のサイドエアバッグ装置22において、ガスを充填して最大展開膨張させた状態のエアバッグ25を示す側面図である。また、図5は、図4の5−5線におけるエアバッグ25の断面を示す端面図である。そして、図6(a),(b)は、ガスを充填して最大展開膨張させた状態のエアバッグ25において、それぞれエアバッグ突出部27を示す正面図及び背面図である。
【0031】
エアバッグ25は、織布等からなる左右一対の基布25a,25bを、それらの周縁において縫着することにより、全体として袋状をなすように形成され、通常は折り畳まれた状態でケース23内に収容されている。また、エアバッグ25の周縁部には、左右一対の基布25a,25bを縫糸で縫着してなる外周シーム25cが、その外周縁に沿って延びるように形成されている。ここで、左右一対の基布25a,25bのうち、基布25aは、搭乗者側に位置するものであり、基布25bは、該基布25aに対して車外側に位置するものである。
【0032】
なお、サイドエアバッグ装置22は、エアバッグ25を展開膨張させるべく、ガス発生源としてのインフレータ24を備えている。このインフレータ24は、エアバッグ25の内部に収容されている。また、インフレータ24において、ガスを噴出させるためのガス噴出口24aは、該インフレータ24の上部に配設されている。従って、インフレータ24は、ガスをガス噴出口24aからエアバッグ25内の上部に向かって噴出するように構成されている。
【0033】
エアバッグ25は、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを備えている。これらエアバッグ本体部26と、エアバッグ突出部27とは、一体的に繋がっている。エアバッグ本体部26と、エアバッグ突出部27との境界には、屈曲部35が設けられている。エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26に対し、この屈曲部35で屈曲されている。従って、エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの側方であって、車両のボディサイド部と搭乗者Pの胸部から頭部にかけての部位との間にて展開膨張するように構成されている。一方、エアバッグ本体部26に対して屈曲されたエアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26の前端(先端)から突出し、搭乗者Pの頭部前方にて展開膨張するように構成されている。
【0034】
なお、これ以降、エアバッグ本体部26においては、屈曲部35側の端部を先端とし、該先端と対向する端部、すなわちインフレータ24側の端部を基端とする。また、エアバッグ突出部27においては、屈曲部35側の端部を基端とし、該基端と対向する端部、すなわち搭乗者Pの頭部直近に位置する端部を先端とする。
【0035】
エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの頭部から胸部にかけての部位に対応する上膨張部28と、搭乗者Pの胸部から腹部にかけての部位に対応する下膨張部29とを備えている。これら上膨張部28と下膨張部29との境界において、搭乗者Pの胸部と対応する位置には、第1厚み規制部36aが設けられている。また、下膨張部29において、搭乗者Pの肘部と対応する位置には、第2厚み規制部36bが設けられている。これら第1厚み規制部36a及び第2厚み規制部36bは、両基布25a,25bの内面同士を接合するように、両基布25a,25bを縫着して形成されている。
【0036】
エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26の先端において、上膨張部28と一体形成されている。これらエアバッグ突出部27と上膨張部28との境界となる屈曲部35には、両基布25a,25b間を互いに隙間なく縫着接合することにより、起点シーム37が設けられている。この起点シーム37は、円形状に形成されており、エアバッグ突出部27は、該起点シーム37を起点として、上膨張部28に対して屈曲している。すなわち、上膨張部28とエアバッグ突出部27とは、屈曲部35において、起点シーム37により区画されている。また、上膨張部28の内部とエアバッグ突出部27の内部とは、起点シーム37の上部及び下部において互いに連通されている。
【0037】
基布25aは、エアバッグ25が展開膨張した場合に、エアバッグ突出部27がエアバッグ本体部26に対して屈曲されているため、屈曲部35において、エアバッグ突出部27の基端となる部分と、上膨張部28の先端となる部分とが互いに重ね合わされている。この基布25aが重ね合わされた部分には、接合シーム38が設けられている。この接合シーム38は、基布25aが重ね合わされた部分を互いに縫着することによって形成されている。また、この接合シーム38は、その内側に起点シーム37を囲むように、U字状に形成されている。
【0038】
図7(a),(b)は、ガスを充填することなく展開のみさせた状態のエアバッグ25を示す側面図である。なお、図7(a)は、エアバッグ25を車外側から見た状態を示す側面図であり、図7(b)は、エアバッグ25を搭乗者側から見た状態を示す側面図である。また、図7(c)は、図7(b)の7C−7C線におけるエアバッグ25の断面を示す端面図である。この図7(c)においては、構成を分かり易くするため、エアバッグ本体部26及びエアバッグ突出部27において、両基布25a,25bの内面同士を離隔して、展開のみさせた状態のエアバッグ25を模式的に図示している。従って、実際には、展開のみさせた状態のエアバッグ25において、両基布25a,25bは、互いに接触している。
【0039】
エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26と一体形成されているため、両基布25a,25bは、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを合わせた形状(本実施形態では略L字状)となるように、織布等を裁断してそれぞれ形成されている。従って、両基布25a,25bは、それぞれがエアバッグ本体部26と、エアバッグ突出部27とを構成する部位を有している。なお、外周シーム25cは、エアバッグ本体部26上に形成されたものと、エアバッグ突出部27上に形成されたものとが連続して繋がっており、一筆書き状に形成されている。
【0040】
ここで、基布25aにおいて、エアバッグ本体部26を構成する部位を第1本体基布26aとし、エアバッグ突出部27を構成する部位を第1突出基布27aとする。一方、基布25bにおいて、エアバッグ本体部26を構成する部位を第2本体基布26bとし、エアバッグ突出部27を構成する部位を第2突出基布27bとする。エアバッグ本体部26を構成する第1本体基布26a及び第2本体基布26bにおいては、エアバッグ25を展開膨張させた場合、第1本体基布26aが屈曲の内側に位置するものとなり、第2本体基布26bが屈曲の外側に位置するものとなる。また、エアバッグ突出部27を構成する第1突出基布27a及び第2突出基布27bにおいては、エアバッグ25を展開膨張させた場合、第1突出基布27aが屈曲の内側に位置するものとなり、第2突出基布27bが屈曲の外側に位置するものとなる。
【0041】
前述のように、起点シーム37は、屈曲部35となる部位において、両基布25a,25bを縫着することにより、形成されている。この起点シーム37の形成において、第2本体基布26bは、その基端から先端までの長さ寸法が、第1本体基布26aの基端から先端までの長さ寸法よりも長くされている。なお、第1本体基布26a及び第2本体基布26bにおいて、それぞれの基端は、外周シーム25cによって互いに縫着された箇所であり、それぞれの先端は、起点シーム37によって互いに縫着された箇所である。展開のみさせた状態のエアバッグ25においては、第2本体基布26bの長さ寸法を、第1本体基布26aの長さ寸法よりも長くしたことにより、第2本体基布26bの先端部が弛むこととなる。そして、この弛みをエアバッグ25の内側へ折り込むことにより、該第2本体基布26bの先端部には、第1タック39aが形成されている。
【0042】
一方、前記起点シーム37の形成において、第2突出基布27bは、その基端から先端までの長さ寸法が、第1突出基布27aの基端から先端までの長さ寸法よりも短くされている。なお、第1突出基布27a及び第2突出基布27bにおいて、それぞれの基端は、起点シーム37によって互いに縫着された箇所であり、それぞれの先端は、外周シーム25cによって互いに縫着された箇所である。展開のみさせた状態のエアバッグ25においては、第2突出基布27bの長さ寸法を、第1突出基布27aの長さ寸法よりも短くしたことにより、第1突出基布27aの基端部が弛むこととなる。この第1突出基布27aの基端部は、弛みを解消するべく、第2突出基布27bの基端部から離隔させた状態としてエアバッグ25の内側へ折り込まれている。そして、このエアバッグ25の内側へ折り込まれた第1突出基布27aの基端部により、第2タック39bが形成されている。また、この第2タック39bにおいては、第1突出基布27aの基端部と、第1本体基布26aの先端部とが互いに縫着されることにより、前記接合シーム38が形成されている。
【0043】
次に、前記構成のサイドエアバッグ装置22についてその動作を説明する。
さて、車両のボディサイド部に対する斜め前方からの衝突によりエアバッグ25が展開膨張される際には、まずエアバッグ本体部26が搭乗者Pの側方で展開膨張され、続いてエアバッグ突出部27が搭乗者Pの頭部前方で展開膨張される。
【0044】
エアバッグ本体部26の展開膨張に際し、エアバッグ25は、図7(c)に示された第1タック39aを広げるように、エアバッグ本体部26を膨張させる。この第1タック39aが広がることにより、エアバッグ本体部26内において車両前方向へ流動するガスは、該第1タック39aへ接触し、車両横方向へ流動するように整流される。このようにガスが整流された結果、エアバッグ突出部27は、車両横方向(搭乗者Pに接近する方向)へ展開膨張するように、ガスからの圧力(ガス圧)によって付勢される。
【0045】
このガス圧によるエアバッグ突出部27の付勢時において、起点シーム37は、両基布25a,25bを縫着して形成されたものであるため、これら両基布25a,25bの相互の位置ずれを防止する。また、第1本体基布26aの長さ寸法は、第2本体基布26bの長さ寸法よりも短いため(図7(c)参照)、該第1本体基布26aは、エアバッグ突出部27の基端部を車両後方へ引っ張るように、張力(テンション)を加える。その結果、ガス圧により付勢されたエアバッグ突出部27は、屈曲部35において起点シーム37を起点とし、エアバッグ本体部26に対して屈曲する。
【0046】
一方、エアバッグ突出部27の展開膨張に際し、エアバッグ25は、接合シーム38により、図7(c)に示された第2タック39bを広げることなく、エアバッグ突出部27を膨張させる。この接合シーム38によって第2タック39bの広がりが抑制されることにより、エアバッグ突出部27内において車両横方向へ流動するガスは、その流動方向を乱されることなく、エアバッグ突出部27の先端へ到達する。また、第2突出基布27bの長さ寸法は、第1突出基布27aの長さ寸法よりも短いため(図7(c)参照)、第2突出基布27bは、エアバッグ突出部27の先端部を車両前後方向へ位置ずれさせないように、張力(テンション)を加える。さらに、第2突出基布27bよりも長さ寸法を長くされた第1突出基布27aは、屈曲の内側となる方向へ膨張のための空間(膨張スペース)を生み出すことにより、エアバッグ突出部27の展開膨張に際し、該エアバッグ突出部27をエアバッグ本体部26に対して積極的に屈曲させる。その結果、エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26に対して屈曲された状態を保持しつつ、搭乗者Pの頭部前方にて展開膨張する。そして、エアバッグ25は、図4及び図5に示したように、展開膨張されることとなる。
【0047】
以上詳述した第2実施形態によれば、前記(1)に記載の効果に加え、次のような効果が発揮される。
(3)エアバッグ25は、屈曲部35において、起点シーム37が設けられている。この起点シーム37を基準とし、外周シーム25cまでの長さ寸法は、エアバッグ本体部26において、屈曲の外側となる第2本体基布26bが、屈曲の内側となる第1本体基布26aよりも、長くされている。一方、該長さ寸法は、エアバッグ突出部27において、屈曲の内側となる第1突出基布27aが、屈曲の外側となる第2突出基布27bよりも、長くされている。従って、エアバッグ本体部26に対してエアバッグ突出部27を、屈曲部35で容易に屈曲させることができる。
【0048】
(4)第1本体基布26aの先端部と、第1突出基布27aの基端部との間に、接合シーム38を設けたことにより、エアバッグ突出部27の展開膨張に際し、エアバッグ突出部27をエアバッグ本体部26に対し、確実に屈曲させることができる。なお、接合シーム38を省略した場合、第2タック39bが広がろうとする際、第1本体基布26aの先端部と、第1突出基布27aの基端部とが、互いの膨張スペースを奪い合うように膨張し、相互に押し合うおそれがある。つまり、前述した第1突出基布27aの膨張により、エアバッグ本体部26に対してエアバッグ突出部27を積極的に屈曲させることができなくなるおそれがある。
【0049】
(5)第2実施形態のエアバッグ25は、面状テザー32を使用することなく、起点シーム37及び接合シーム38により、エアバッグ本体部26に対してエアバッグ突出部27を屈曲させている。このため、第1実施形態に比べ、面状テザー32を省略可能な分、展開膨張されていない状態で、エアバッグ25の厚み寸法を薄くすることができ、該エアバッグ25を小型(コンパクト)に折り畳むことができる。その結果、折り畳まれたエアバッグ25をケース23内に収容しやすくすることができる。また、折り畳まれたエアバッグ25がコンパクトとなるため、サイドエアバッグ装置22の小型化を図ることができる。
【0050】
(変更例)
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第1実施形態において、前記面状テザー32は省略してもよい。
【0051】
・ 第1実施形態において、前記一対の帯状テザー31に代え、同部分を両基布25a,25b間を互いに隙間なく縫着接合したシームで構成してもよい。さらにこの場合、一対の帯状テザー31又はシームが3つ以上であってもよい。
【0052】
・ 各実施形態において、前記サイドエアバッグ装置22をフロントシート21の背もたれ部21b以外の場所、例えば、腰掛け部21a、ドアトリム、ヘッドレスト、フロントピラーあるいはダッシュボード等に配設してもよい。
【0053】
・ 各実施形態において、エアバッグ突出部27は、必ずしも上膨張部28の前端に配置する必要はなく、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とで搭乗者Pの斜め前方に展開膨張するのであれば何れに配置してもよい。例えば図8に示すように、エアバッグ突出部27を上膨張部28の前後方向における中間部で車内側の外面に設けてもよい。なお、図8では、第1実施形態と同様に一対の帯状テザー31を設けているが、第2実施形態のように、これら帯状テザー31を省略した構成としてもよい。
【0054】
・ 各実施形態において、エアバッグ突出部27とエアバッグ本体部26とは、必ずしも同じ基布から構成する必要はなく、例えば図9に示すように、エアバッグ突出部27とエアバッグ本体部26とを別体に構成してもよい。なお、図9では、第1実施形態と同様に一対の帯状テザー31を設けているが、第2実施形態のように、これら帯状テザー31を省略した構成としてもよい。
【0055】
・ 第1実施形態を変更して、図10に示すように、エアバッグ40を上膨張部42とエアバッグ突出部43とが前記一対の帯状テザー31のうちの前方側の帯状テザー31によって区画されるように構成してもよい。すなわち、エアバッグ40は、2枚の基布40a,40bを袋状に縫着することにより形成されているとともに、上膨張部42の内部において、両基布40a,40b間が一対の帯状テザー31によって連結されている。一対の帯状テザー31は、前後方向に所定間隔をおいて並設されており、前方側の帯状テザー31の前方側に隣接してエアバッグ突出部43が設けられている。つまり、上膨張部42とエアバッグ突出部43とは、前方側の帯状テザー31により区画されている。一対の帯状テザー31は、車外側の間隔が車内側の間隔に比べて長くなるように配設されている。
【0056】
このように構成すれば、車両の斜め前方からの衝突時に、エアバッグ40は、一対の帯状テザー31によって両基布40a,40bの展開が規制されることにより車内側に湾曲するように展開膨張される。このため、エアバッグ本体部41は、搭乗者Pの頭部及び胸部の側方で展開膨張され、エアバッグ突出部43は、搭乗者Pの頭部の前方に展開膨張される。すなわち、エアバッグ40は、搭乗者Pの斜め前方となる位置に展開膨張されるので、車両の斜め前方からの衝突による車室内への侵入物からの搭乗者Pの頭部に対する保護性能を向上させることができる。
【0057】
・ 第1実施形態を変更して、図11に示すように、エアバッグ50において、エアバッグ本体部51の上膨張部52と、エアバッグ突出部53とが、前記一対の帯状テザー31のうちの前方側の帯状テザー31によって区画されるように構成する。そして、上膨張部52の車内側の側面における後端部と、中央部とを、面状テザー54によって連結するとともに、上膨張部52の前端部とエアバッグ突出部53の前端部とを面状テザー55によって連結するように構成してもよい。
【0058】
このように構成すれば、エアバッグ50の展開膨張時に、該エアバッグ50を面状テザー54及び面状テザー55が設けられた部分において車内側に屈曲させることができ、エアバッグ突出部53を搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張させることができる。
【0059】
・ 第1実施形態を変更して、図12に示すように、エアバッグ60において、エアバッグ本体部61の上膨張部62とエアバッグ突出部63とが前記一対の帯状テザー31のうちの前方側の帯状テザー31によって区画されるように構成する。そして、エアバッグ60の車内側の側面において、上膨張部62の後端部とエアバッグ突出部63の前端部とを面状テザー64によって連結するように構成してもよい。
【0060】
このように構成すれば、エアバッグ60の展開膨張時に、該エアバッグ60を面状テザー64が設けられた部分において車内側に屈曲させることができ、エアバッグ突出部63を搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張させることができる。
【0061】
・ 第2実施形態において、接合シーム38は、必ずしもU字状に形成する必要はなく、第2タック39bの広がりを抑制可能であれば、何れの形状としてもよい。例えば、図13及び図14に示すように、起点シーム37を挟んで、上下一対の接合シーム38を設けるとともに、これら接合シーム38を半円状に形成してもよい。このように構成すれば、接合シーム38の形成を容易なものとすることができる。
【0062】
・ 第2実施形態において、接合シーム38を省略して構成してもよい。このように構成すれば、エアバッグ25の形成を容易なものとすることができる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)前記エアバッグは、エアバッグ本体部とエアバッグ突出部との間にシーム又は帯状テザーが設けられており、展開膨張時には該シーム又は帯状テザーが設けられた箇所で屈曲されるように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のサイドエアバッグ装置。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す側面図。
【図2】図1の2−2線端面図。
【図3】第1実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図4】第2実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す側面図。
【図5】図4の5−5線端面図。
【図6】(a)は第2実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す正面図、(b)は第2実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す背面図。
【図7】(a),(b)は、それぞれ膨張させることなく展開のみさせた第2実施形態のエアバッグを示す側面図、(c)は図7(b)の7C−7C線端面図。
【図8】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図9】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図10】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図11】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図12】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図13】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図14】図13の14−14線端面図。
【符号の説明】
【0064】
P…搭乗者、22…サイドエアバッグ装置、24…ガス発生源としてのインフレータ、25,40,50,60…エアバッグ、25a,25b,40a,40b…基布、26,41,51,61…エアバッグ本体部、26a…エアバッグ本体部を構成する基布であって屈曲の内側に位置する基布である第1本体基布、26b…エアバッグ本体部を構成する基布であって屈曲の外側に位置する基布である第2本体基布、27,43,53,63…エアバッグ突出部、27a…エアバッグ突出部を構成する基布であって屈曲の内側に位置する基布である第1突出基布、27b…エアバッグ突出部を構成する基布であって屈曲の外側に位置する基布である第2突出基布、31…帯状テザー、32,54,55,64…面状テザー、35…屈曲部、37…起点シーム、38…接合シーム。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に対する側方からの衝突により、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わったとき、エアバッグが搭乗者の側方で展開膨張されるようにしたサイドエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のサイドエアバッグ装置は、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わったときに、エアバッグを展開膨張させて搭乗者の頭部や胸部を保護することにより、搭乗者に加わる衝撃を緩和している。
【0003】
従来のサイドエアバッグ装置としては、衝突時に搭乗者の胸部及び頭部の側方でエアバッグが展開膨張するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。他に、搭乗者の頭部、胸部及び腹部の側方と、同腹部の前方でエアバッグが展開膨張するように構成されたサイドエアバッグ装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−114060号公報
【特許文献2】特開平7−329688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のサイドエアバッグ装置は、エアバッグが搭乗者の頭部の側方でのみ展開膨張するものであった。一方、特許文献2に記載のサイドエアバッグ装置は、搭乗者の側方及び腹部前方でのみ展開膨張するものであった。そして、近年のサイドエアバッグ装置には、車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能の向上が求められている。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能を向上させることが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガス発生源からのガスにより搭乗者の側方にて展開膨張するエアバッグを備えたサイドエアバッグ装置において、前記エアバッグは、エアバッグ本体部とエアバッグ突出部とを備えており、該エアバッグ本体部は車両のボディサイド部と搭乗者の側方との間で展開膨張させるとともに、該エアバッグ突出部は前記エアバッグ本体部から突出させて搭乗者の頭部前方で展開膨張させることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、車両の斜め前方からの衝突時には、エアバッグ突出部が搭乗者の頭部前方に展開膨張され、エアバッグ本体部が搭乗者の側方に展開膨張される。さらに、エアバッグ突出部は、エアバッグ本体部から突出するように構成されている。この結果、エアバッグは搭乗者の斜め前方を隙なく保護するように展開膨張される。したがって、該衝突による車室内への侵入物からの搭乗者の頭部に対する保護性能が向上される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグの車内側となる面上であって、前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との間は、面状テザーによって連結されていることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、面状テザーによってエアバッグが所定の立体形状に保持され、エアバッグ突出部が搭乗者の頭部前方で好適に展開膨張される。このとき、この面状テザーは衝撃の緩和にも利用される。したがって、搭乗者の頭部に対する保護性能がより一層向上される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着するとともに、これらの基布間を少なくとも2枚の帯状テザーにより連結して構成されたものであり、これらの帯状テザーは車外側の間隔が車内側の間隔に比べて長くなるように配設されていることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、車両の斜め前方からの衝突時に、帯状テザーによりエアバッグが車内側に湾曲するように展開膨張される。このため、エアバッグを構成するエアバッグ突出部を搭乗者の頭部前方へ好適に展開膨張させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着してなり、これら基布における前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との境界となる部位を屈曲部とし、その展開膨張に際し、該屈曲部で前記エアバッグ本体部に対して前記エアバッグ突出部が屈曲するように構成されたものであるとともに、前記屈曲部側となる前記エアバッグ本体部の端部を先端とし、該先端と対向する側となる前記エアバッグ本体部の端部を基端として、前記エアバッグ本体部を構成する基布における先端から基端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも長くされているうえ、前記屈曲部側となる前記エアバッグ突出部の端部を基端とし、該基端と対向する側となる前記エアバッグ突出部の端部を先端として、前記エアバッグ突出部を構成する基布における基端から先端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも短くされており、さらに前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布の前記長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態で、これら基布を縫着する起点シームが設けられていることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、エアバッグ突出部は、エアバッグ本体部に対し、屈曲部で屈曲されることにより、搭乗者の頭部前方で展開膨張されるように構成されている。これらエアバッグ本体部及びエアバッグ突出部は、それぞれを構成する各基布において、屈曲の外側に位置する基布と、屈曲の内側に位置する基布とでそれぞれ長さ寸法が異なっている。このため、エアバッグ本体部に対してエアバッグ突出部を屈曲させやすくすることができる。さらに、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部の間の屈曲部には、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部を構成する各基布の長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態で、これら基布を縫着する起点シームが設けられている。この起点シームは、エアバッグの展開膨張に際し、屈曲の起点となるため、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部を構成する各基布の長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態に維持することができる。その結果、エアバッグ本体部に対してエアバッグ突出部を、屈曲部で好適に屈曲させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布のうち、前記エアバッグ本体部で前記屈曲の内側に位置する基布の先端部と、前記エアバッグ突出部で前記屈曲の内側に位置する基布の基端部とを縫着する接合シームが設けられていることを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、エアバッグ本体部及びエアバッグ突出部を構成する各基布のうち、それぞれで屈曲の内側に位置する基布同士を縫着する接合シームが設けられている。このため、エアバッグの展開膨張に際し、基布がたるみやすくなる屈曲部の内側において、その基布のたるみを抑制することができ、エアバッグ本体部に対してエアバッグ突出部を良好に屈曲させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両に対する斜め前方からの衝突時における搭乗者の頭部に対する保護性能を向上することが可能なサイドエアバッグ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の記載において、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における上下方向及び左右方向は、車両進行方向における上下方向及び左右方向と一致するものとする。
【0018】
図1には、車室内に配置された左側のフロントシート21が示されている。このフロントシート21は腰掛け部21aと背もたれ部21bとを備えている。フロントシート21の背もたれ部21bの車外側(左側)には、サイドエアバッグ装置22がケース23内に収容された状態で埋設されている。サイドエアバッグ装置22は、車両のボディサイド部の一部を構成する図示しないドアと対応するように配設されている。なお、図面においては、左側のフロントシート21のみを示したが、右側のフロントシートの右側においても、その背もたれ部の右側に同様のサイドエアバッグ装置22が内装されている。
【0019】
前記サイドエアバッグ装置22は、ケース23の内部に固定されたガス発生源としてのインフレータ24と、そのインフレータ24を被覆する袋状のエアバッグ25とを備えている。インフレータ24の内部には、エアバッグ25を展開膨張させるためのガス発生剤が収容されている。インフレータ24の上部には、ガス発生剤から発生するガスを噴出させるためのガス噴出口24aが形成されている。インフレータ24には、車両のボディサイド部に対する衝撃を検出するための図示しない衝撃センサが電気的に接続されている。つまり、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わると、前記センサからの検出信号に基づいてインフレータ24内のガス発生剤からガスが発生され、このガスがガス噴出口24aからエアバッグ25内に噴出供給されてエアバッグ25が展開膨張されるようになっている。
【0020】
図1〜図3に示すように、前記エアバッグ25は、織布等からなる左右一対の基布25a,25bを、それらの周縁において縫着することにより、全体として袋状をなすように形成され、通常は折り畳まれた状態でケース23内に収容されている。前記両基布25a,25bの外面、すなわち、前記エアバッグ25の外面には、搭乗者Pとの接触時に滑りにくくするために、シリコン樹脂コーティングが施されている。また、エアバッグ25の周縁部には、左右一対の基布25a,25bを縫糸で縫着してなる外周シーム25cが、その外周縁に沿って延びるように形成されている。
【0021】
なお、図1及び図2は、ガスを充填して最大展開膨張させたエアバッグ25を示しており、図3は、ガスを充填させることなく基布を展開させたエアバッグ25を示している。
エアバッグ25は、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを備えている。前記エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの側方、すなわち、車両のボディサイド部と搭乗者Pの胸部から頭部にかけての部位との間にて展開膨張するように構成されている。前記エアバッグ突出部27は、前記エアバッグ本体部26の前端から突出し、搭乗者Pの頭部前方にて展開膨張するように構成されている。
【0022】
エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの頭部から首部にかけての部位に対応する上膨張部28と、搭乗者Pの首部から胸部にかけての部位に対応する下膨張部29とを備えている。上膨張部28の中央部には、両基布25a,25bの内面間を連結するように一対の帯状テザー31が縫着されている。一対の帯状テザー31は、それぞれ左右方向に延びているとともに、前後方向に所定間隔をおいて互いにほぼ平行になるように配置されている。一対の帯状テザー31は、互いに同一幅となるように構成されている。
【0023】
前記エアバッグ突出部27は、前記上膨張部28の前端において、該上膨張部28と一体形成されている。上膨張部28とエアバッグ突出部27との間には、両基布25a,25b間を互いに隙間なく縫着接合することにより、上下方向に延びる区画シーム30が設けられている。すなわち、上膨張部28とエアバッグ突出部27とは、区画シーム30により区画されている。上膨張部28の内部とエアバッグ突出部27の内部とは、区画シーム30の上端側及び下端側において互いに連通されている。
【0024】
なお、エアバッグ突出部27は、前記上膨張部28、つまりは前記エアバッグ本体部26と一体形成されている。従って、エアバッグ25を形成する各基布25a,25bは、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを合わせた形状(本実施形態では逆L字状)をなすように、織布等を裁断することによってそれぞれ形成されている(図3を参照)。そして、前記外周シーム25cは、エアバッグ本体部26上に形成されたものと、エアバッグ突出部27上に形成されたものとが連続して繋がっており、一筆書き状に形成されている(図3を参照)。このようにエアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを一体形成することにより、これらを個別に形成した後に繋ぎ合わせる等の煩雑な作業が必要とならないため、エアバッグ25の製造の簡易化が図られている。加えて、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを一体形成することにより、エアバッグ25の最大展開膨張時におけるエアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27との境界部の強度向上、あるいは耐久性向上が図られている。
【0025】
図2及び図3に示すように、エアバッグ25には、エアバッグ突出部27の先端部の外面と上膨張部28の車内側の外面とを連結するようにほぼ長方形をなす面状テザー32が縫着されている。このとき、区画シーム30からエアバッグ突出部27の先端までの距離Aは、面状テザー32の幅Bよりも長くなっている。すなわち、エアバッグ25の展開膨張時に、面状テザー32はエアバッグ突出部27の先端部を車両後方へ引っ張るように構成されている。そしてこのとき、区画シーム30がいわゆるヒンジとして機能することにより、エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26に対し、ほぼ直角に屈曲された状態に保持されるようになっている。なお、図3においては、理解を容易にするため、エアバッグ25と面状テザー32とを別々に描いたが、実際には図2に示すように、面状テザー32はエアバッグ25に縫着されている。
【0026】
次に、前記のように構成されたサイドエアバッグ装置22についてその動作を図1〜図3に基づいて説明する。
さて、車両のボディサイド部に対する斜め前方からの衝突によりエアバッグ25が展開膨張される際には、エアバッグ本体部26は搭乗者Pの側方で展開膨張され、エアバッグ突出部27は搭乗者Pの頭部前方で展開膨張される。すなわち、エアバッグ25は、車室内で搭乗者Pの斜め前方となる位置に展開膨張される。このため、前記衝突により、例えば車室内へフロントピラーや衝突対象物等の侵入物が侵入してきた際の、搭乗者Pの頭部に対する保護性能を向上させることができる。また、面状テザー32は、展開膨張したエアバッグ本体部26及びエアバッグ突出部27により、張力(テンション)が加わった状態で展開される。したがって、面状テザー32により搭乗者Pとの広い接触面が確保され、該面状テザー32に加わる張力により衝撃が効果的に緩和される。
【0027】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)エアバッグ25は、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とで搭乗者Pの斜め前方に展開膨張される。すなわち、車両の斜め前方からの衝突時に、エアバッグ本体部26からエアバッグ突出部27が搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張されるため、該衝突による車室内への侵入物からの搭乗者の頭部(特に顔面)に対する保護性能を向上させることができる。
【0028】
(2)車両が斜め前方から衝突されてエアバッグ25が展開膨張した際に、エアバッグ25を面状テザー32によって、エアバッグ突出部27が搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張した状態である所定の立体形状に保持することができる。このため、搭乗者の頭部に対する保護性能をより一層向上させることができる。また、面状テザー32には張力が加わっているため、搭乗者Pとの接触時には衝撃を緩和することができる。
【0029】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この第2実施形態においては、前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0030】
図4は、第2実施形態のサイドエアバッグ装置22において、ガスを充填して最大展開膨張させた状態のエアバッグ25を示す側面図である。また、図5は、図4の5−5線におけるエアバッグ25の断面を示す端面図である。そして、図6(a),(b)は、ガスを充填して最大展開膨張させた状態のエアバッグ25において、それぞれエアバッグ突出部27を示す正面図及び背面図である。
【0031】
エアバッグ25は、織布等からなる左右一対の基布25a,25bを、それらの周縁において縫着することにより、全体として袋状をなすように形成され、通常は折り畳まれた状態でケース23内に収容されている。また、エアバッグ25の周縁部には、左右一対の基布25a,25bを縫糸で縫着してなる外周シーム25cが、その外周縁に沿って延びるように形成されている。ここで、左右一対の基布25a,25bのうち、基布25aは、搭乗者側に位置するものであり、基布25bは、該基布25aに対して車外側に位置するものである。
【0032】
なお、サイドエアバッグ装置22は、エアバッグ25を展開膨張させるべく、ガス発生源としてのインフレータ24を備えている。このインフレータ24は、エアバッグ25の内部に収容されている。また、インフレータ24において、ガスを噴出させるためのガス噴出口24aは、該インフレータ24の上部に配設されている。従って、インフレータ24は、ガスをガス噴出口24aからエアバッグ25内の上部に向かって噴出するように構成されている。
【0033】
エアバッグ25は、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを備えている。これらエアバッグ本体部26と、エアバッグ突出部27とは、一体的に繋がっている。エアバッグ本体部26と、エアバッグ突出部27との境界には、屈曲部35が設けられている。エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26に対し、この屈曲部35で屈曲されている。従って、エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの側方であって、車両のボディサイド部と搭乗者Pの胸部から頭部にかけての部位との間にて展開膨張するように構成されている。一方、エアバッグ本体部26に対して屈曲されたエアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26の前端(先端)から突出し、搭乗者Pの頭部前方にて展開膨張するように構成されている。
【0034】
なお、これ以降、エアバッグ本体部26においては、屈曲部35側の端部を先端とし、該先端と対向する端部、すなわちインフレータ24側の端部を基端とする。また、エアバッグ突出部27においては、屈曲部35側の端部を基端とし、該基端と対向する端部、すなわち搭乗者Pの頭部直近に位置する端部を先端とする。
【0035】
エアバッグ本体部26は、搭乗者Pの頭部から胸部にかけての部位に対応する上膨張部28と、搭乗者Pの胸部から腹部にかけての部位に対応する下膨張部29とを備えている。これら上膨張部28と下膨張部29との境界において、搭乗者Pの胸部と対応する位置には、第1厚み規制部36aが設けられている。また、下膨張部29において、搭乗者Pの肘部と対応する位置には、第2厚み規制部36bが設けられている。これら第1厚み規制部36a及び第2厚み規制部36bは、両基布25a,25bの内面同士を接合するように、両基布25a,25bを縫着して形成されている。
【0036】
エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26の先端において、上膨張部28と一体形成されている。これらエアバッグ突出部27と上膨張部28との境界となる屈曲部35には、両基布25a,25b間を互いに隙間なく縫着接合することにより、起点シーム37が設けられている。この起点シーム37は、円形状に形成されており、エアバッグ突出部27は、該起点シーム37を起点として、上膨張部28に対して屈曲している。すなわち、上膨張部28とエアバッグ突出部27とは、屈曲部35において、起点シーム37により区画されている。また、上膨張部28の内部とエアバッグ突出部27の内部とは、起点シーム37の上部及び下部において互いに連通されている。
【0037】
基布25aは、エアバッグ25が展開膨張した場合に、エアバッグ突出部27がエアバッグ本体部26に対して屈曲されているため、屈曲部35において、エアバッグ突出部27の基端となる部分と、上膨張部28の先端となる部分とが互いに重ね合わされている。この基布25aが重ね合わされた部分には、接合シーム38が設けられている。この接合シーム38は、基布25aが重ね合わされた部分を互いに縫着することによって形成されている。また、この接合シーム38は、その内側に起点シーム37を囲むように、U字状に形成されている。
【0038】
図7(a),(b)は、ガスを充填することなく展開のみさせた状態のエアバッグ25を示す側面図である。なお、図7(a)は、エアバッグ25を車外側から見た状態を示す側面図であり、図7(b)は、エアバッグ25を搭乗者側から見た状態を示す側面図である。また、図7(c)は、図7(b)の7C−7C線におけるエアバッグ25の断面を示す端面図である。この図7(c)においては、構成を分かり易くするため、エアバッグ本体部26及びエアバッグ突出部27において、両基布25a,25bの内面同士を離隔して、展開のみさせた状態のエアバッグ25を模式的に図示している。従って、実際には、展開のみさせた状態のエアバッグ25において、両基布25a,25bは、互いに接触している。
【0039】
エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26と一体形成されているため、両基布25a,25bは、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とを合わせた形状(本実施形態では略L字状)となるように、織布等を裁断してそれぞれ形成されている。従って、両基布25a,25bは、それぞれがエアバッグ本体部26と、エアバッグ突出部27とを構成する部位を有している。なお、外周シーム25cは、エアバッグ本体部26上に形成されたものと、エアバッグ突出部27上に形成されたものとが連続して繋がっており、一筆書き状に形成されている。
【0040】
ここで、基布25aにおいて、エアバッグ本体部26を構成する部位を第1本体基布26aとし、エアバッグ突出部27を構成する部位を第1突出基布27aとする。一方、基布25bにおいて、エアバッグ本体部26を構成する部位を第2本体基布26bとし、エアバッグ突出部27を構成する部位を第2突出基布27bとする。エアバッグ本体部26を構成する第1本体基布26a及び第2本体基布26bにおいては、エアバッグ25を展開膨張させた場合、第1本体基布26aが屈曲の内側に位置するものとなり、第2本体基布26bが屈曲の外側に位置するものとなる。また、エアバッグ突出部27を構成する第1突出基布27a及び第2突出基布27bにおいては、エアバッグ25を展開膨張させた場合、第1突出基布27aが屈曲の内側に位置するものとなり、第2突出基布27bが屈曲の外側に位置するものとなる。
【0041】
前述のように、起点シーム37は、屈曲部35となる部位において、両基布25a,25bを縫着することにより、形成されている。この起点シーム37の形成において、第2本体基布26bは、その基端から先端までの長さ寸法が、第1本体基布26aの基端から先端までの長さ寸法よりも長くされている。なお、第1本体基布26a及び第2本体基布26bにおいて、それぞれの基端は、外周シーム25cによって互いに縫着された箇所であり、それぞれの先端は、起点シーム37によって互いに縫着された箇所である。展開のみさせた状態のエアバッグ25においては、第2本体基布26bの長さ寸法を、第1本体基布26aの長さ寸法よりも長くしたことにより、第2本体基布26bの先端部が弛むこととなる。そして、この弛みをエアバッグ25の内側へ折り込むことにより、該第2本体基布26bの先端部には、第1タック39aが形成されている。
【0042】
一方、前記起点シーム37の形成において、第2突出基布27bは、その基端から先端までの長さ寸法が、第1突出基布27aの基端から先端までの長さ寸法よりも短くされている。なお、第1突出基布27a及び第2突出基布27bにおいて、それぞれの基端は、起点シーム37によって互いに縫着された箇所であり、それぞれの先端は、外周シーム25cによって互いに縫着された箇所である。展開のみさせた状態のエアバッグ25においては、第2突出基布27bの長さ寸法を、第1突出基布27aの長さ寸法よりも短くしたことにより、第1突出基布27aの基端部が弛むこととなる。この第1突出基布27aの基端部は、弛みを解消するべく、第2突出基布27bの基端部から離隔させた状態としてエアバッグ25の内側へ折り込まれている。そして、このエアバッグ25の内側へ折り込まれた第1突出基布27aの基端部により、第2タック39bが形成されている。また、この第2タック39bにおいては、第1突出基布27aの基端部と、第1本体基布26aの先端部とが互いに縫着されることにより、前記接合シーム38が形成されている。
【0043】
次に、前記構成のサイドエアバッグ装置22についてその動作を説明する。
さて、車両のボディサイド部に対する斜め前方からの衝突によりエアバッグ25が展開膨張される際には、まずエアバッグ本体部26が搭乗者Pの側方で展開膨張され、続いてエアバッグ突出部27が搭乗者Pの頭部前方で展開膨張される。
【0044】
エアバッグ本体部26の展開膨張に際し、エアバッグ25は、図7(c)に示された第1タック39aを広げるように、エアバッグ本体部26を膨張させる。この第1タック39aが広がることにより、エアバッグ本体部26内において車両前方向へ流動するガスは、該第1タック39aへ接触し、車両横方向へ流動するように整流される。このようにガスが整流された結果、エアバッグ突出部27は、車両横方向(搭乗者Pに接近する方向)へ展開膨張するように、ガスからの圧力(ガス圧)によって付勢される。
【0045】
このガス圧によるエアバッグ突出部27の付勢時において、起点シーム37は、両基布25a,25bを縫着して形成されたものであるため、これら両基布25a,25bの相互の位置ずれを防止する。また、第1本体基布26aの長さ寸法は、第2本体基布26bの長さ寸法よりも短いため(図7(c)参照)、該第1本体基布26aは、エアバッグ突出部27の基端部を車両後方へ引っ張るように、張力(テンション)を加える。その結果、ガス圧により付勢されたエアバッグ突出部27は、屈曲部35において起点シーム37を起点とし、エアバッグ本体部26に対して屈曲する。
【0046】
一方、エアバッグ突出部27の展開膨張に際し、エアバッグ25は、接合シーム38により、図7(c)に示された第2タック39bを広げることなく、エアバッグ突出部27を膨張させる。この接合シーム38によって第2タック39bの広がりが抑制されることにより、エアバッグ突出部27内において車両横方向へ流動するガスは、その流動方向を乱されることなく、エアバッグ突出部27の先端へ到達する。また、第2突出基布27bの長さ寸法は、第1突出基布27aの長さ寸法よりも短いため(図7(c)参照)、第2突出基布27bは、エアバッグ突出部27の先端部を車両前後方向へ位置ずれさせないように、張力(テンション)を加える。さらに、第2突出基布27bよりも長さ寸法を長くされた第1突出基布27aは、屈曲の内側となる方向へ膨張のための空間(膨張スペース)を生み出すことにより、エアバッグ突出部27の展開膨張に際し、該エアバッグ突出部27をエアバッグ本体部26に対して積極的に屈曲させる。その結果、エアバッグ突出部27は、エアバッグ本体部26に対して屈曲された状態を保持しつつ、搭乗者Pの頭部前方にて展開膨張する。そして、エアバッグ25は、図4及び図5に示したように、展開膨張されることとなる。
【0047】
以上詳述した第2実施形態によれば、前記(1)に記載の効果に加え、次のような効果が発揮される。
(3)エアバッグ25は、屈曲部35において、起点シーム37が設けられている。この起点シーム37を基準とし、外周シーム25cまでの長さ寸法は、エアバッグ本体部26において、屈曲の外側となる第2本体基布26bが、屈曲の内側となる第1本体基布26aよりも、長くされている。一方、該長さ寸法は、エアバッグ突出部27において、屈曲の内側となる第1突出基布27aが、屈曲の外側となる第2突出基布27bよりも、長くされている。従って、エアバッグ本体部26に対してエアバッグ突出部27を、屈曲部35で容易に屈曲させることができる。
【0048】
(4)第1本体基布26aの先端部と、第1突出基布27aの基端部との間に、接合シーム38を設けたことにより、エアバッグ突出部27の展開膨張に際し、エアバッグ突出部27をエアバッグ本体部26に対し、確実に屈曲させることができる。なお、接合シーム38を省略した場合、第2タック39bが広がろうとする際、第1本体基布26aの先端部と、第1突出基布27aの基端部とが、互いの膨張スペースを奪い合うように膨張し、相互に押し合うおそれがある。つまり、前述した第1突出基布27aの膨張により、エアバッグ本体部26に対してエアバッグ突出部27を積極的に屈曲させることができなくなるおそれがある。
【0049】
(5)第2実施形態のエアバッグ25は、面状テザー32を使用することなく、起点シーム37及び接合シーム38により、エアバッグ本体部26に対してエアバッグ突出部27を屈曲させている。このため、第1実施形態に比べ、面状テザー32を省略可能な分、展開膨張されていない状態で、エアバッグ25の厚み寸法を薄くすることができ、該エアバッグ25を小型(コンパクト)に折り畳むことができる。その結果、折り畳まれたエアバッグ25をケース23内に収容しやすくすることができる。また、折り畳まれたエアバッグ25がコンパクトとなるため、サイドエアバッグ装置22の小型化を図ることができる。
【0050】
(変更例)
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第1実施形態において、前記面状テザー32は省略してもよい。
【0051】
・ 第1実施形態において、前記一対の帯状テザー31に代え、同部分を両基布25a,25b間を互いに隙間なく縫着接合したシームで構成してもよい。さらにこの場合、一対の帯状テザー31又はシームが3つ以上であってもよい。
【0052】
・ 各実施形態において、前記サイドエアバッグ装置22をフロントシート21の背もたれ部21b以外の場所、例えば、腰掛け部21a、ドアトリム、ヘッドレスト、フロントピラーあるいはダッシュボード等に配設してもよい。
【0053】
・ 各実施形態において、エアバッグ突出部27は、必ずしも上膨張部28の前端に配置する必要はなく、エアバッグ本体部26とエアバッグ突出部27とで搭乗者Pの斜め前方に展開膨張するのであれば何れに配置してもよい。例えば図8に示すように、エアバッグ突出部27を上膨張部28の前後方向における中間部で車内側の外面に設けてもよい。なお、図8では、第1実施形態と同様に一対の帯状テザー31を設けているが、第2実施形態のように、これら帯状テザー31を省略した構成としてもよい。
【0054】
・ 各実施形態において、エアバッグ突出部27とエアバッグ本体部26とは、必ずしも同じ基布から構成する必要はなく、例えば図9に示すように、エアバッグ突出部27とエアバッグ本体部26とを別体に構成してもよい。なお、図9では、第1実施形態と同様に一対の帯状テザー31を設けているが、第2実施形態のように、これら帯状テザー31を省略した構成としてもよい。
【0055】
・ 第1実施形態を変更して、図10に示すように、エアバッグ40を上膨張部42とエアバッグ突出部43とが前記一対の帯状テザー31のうちの前方側の帯状テザー31によって区画されるように構成してもよい。すなわち、エアバッグ40は、2枚の基布40a,40bを袋状に縫着することにより形成されているとともに、上膨張部42の内部において、両基布40a,40b間が一対の帯状テザー31によって連結されている。一対の帯状テザー31は、前後方向に所定間隔をおいて並設されており、前方側の帯状テザー31の前方側に隣接してエアバッグ突出部43が設けられている。つまり、上膨張部42とエアバッグ突出部43とは、前方側の帯状テザー31により区画されている。一対の帯状テザー31は、車外側の間隔が車内側の間隔に比べて長くなるように配設されている。
【0056】
このように構成すれば、車両の斜め前方からの衝突時に、エアバッグ40は、一対の帯状テザー31によって両基布40a,40bの展開が規制されることにより車内側に湾曲するように展開膨張される。このため、エアバッグ本体部41は、搭乗者Pの頭部及び胸部の側方で展開膨張され、エアバッグ突出部43は、搭乗者Pの頭部の前方に展開膨張される。すなわち、エアバッグ40は、搭乗者Pの斜め前方となる位置に展開膨張されるので、車両の斜め前方からの衝突による車室内への侵入物からの搭乗者Pの頭部に対する保護性能を向上させることができる。
【0057】
・ 第1実施形態を変更して、図11に示すように、エアバッグ50において、エアバッグ本体部51の上膨張部52と、エアバッグ突出部53とが、前記一対の帯状テザー31のうちの前方側の帯状テザー31によって区画されるように構成する。そして、上膨張部52の車内側の側面における後端部と、中央部とを、面状テザー54によって連結するとともに、上膨張部52の前端部とエアバッグ突出部53の前端部とを面状テザー55によって連結するように構成してもよい。
【0058】
このように構成すれば、エアバッグ50の展開膨張時に、該エアバッグ50を面状テザー54及び面状テザー55が設けられた部分において車内側に屈曲させることができ、エアバッグ突出部53を搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張させることができる。
【0059】
・ 第1実施形態を変更して、図12に示すように、エアバッグ60において、エアバッグ本体部61の上膨張部62とエアバッグ突出部63とが前記一対の帯状テザー31のうちの前方側の帯状テザー31によって区画されるように構成する。そして、エアバッグ60の車内側の側面において、上膨張部62の後端部とエアバッグ突出部63の前端部とを面状テザー64によって連結するように構成してもよい。
【0060】
このように構成すれば、エアバッグ60の展開膨張時に、該エアバッグ60を面状テザー64が設けられた部分において車内側に屈曲させることができ、エアバッグ突出部63を搭乗者Pの頭部前方に突出するように展開膨張させることができる。
【0061】
・ 第2実施形態において、接合シーム38は、必ずしもU字状に形成する必要はなく、第2タック39bの広がりを抑制可能であれば、何れの形状としてもよい。例えば、図13及び図14に示すように、起点シーム37を挟んで、上下一対の接合シーム38を設けるとともに、これら接合シーム38を半円状に形成してもよい。このように構成すれば、接合シーム38の形成を容易なものとすることができる。
【0062】
・ 第2実施形態において、接合シーム38を省略して構成してもよい。このように構成すれば、エアバッグ25の形成を容易なものとすることができる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)前記エアバッグは、エアバッグ本体部とエアバッグ突出部との間にシーム又は帯状テザーが設けられており、展開膨張時には該シーム又は帯状テザーが設けられた箇所で屈曲されるように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のサイドエアバッグ装置。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す側面図。
【図2】図1の2−2線端面図。
【図3】第1実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図4】第2実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す側面図。
【図5】図4の5−5線端面図。
【図6】(a)は第2実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す正面図、(b)は第2実施形態のエアバッグの展開膨張状態を示す背面図。
【図7】(a),(b)は、それぞれ膨張させることなく展開のみさせた第2実施形態のエアバッグを示す側面図、(c)は図7(b)の7C−7C線端面図。
【図8】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図9】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図10】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図11】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図12】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図13】変更例のエアバッグの展開膨張状態を示す端面図。
【図14】図13の14−14線端面図。
【符号の説明】
【0064】
P…搭乗者、22…サイドエアバッグ装置、24…ガス発生源としてのインフレータ、25,40,50,60…エアバッグ、25a,25b,40a,40b…基布、26,41,51,61…エアバッグ本体部、26a…エアバッグ本体部を構成する基布であって屈曲の内側に位置する基布である第1本体基布、26b…エアバッグ本体部を構成する基布であって屈曲の外側に位置する基布である第2本体基布、27,43,53,63…エアバッグ突出部、27a…エアバッグ突出部を構成する基布であって屈曲の内側に位置する基布である第1突出基布、27b…エアバッグ突出部を構成する基布であって屈曲の外側に位置する基布である第2突出基布、31…帯状テザー、32,54,55,64…面状テザー、35…屈曲部、37…起点シーム、38…接合シーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生源からのガスにより搭乗者の側方にて展開膨張するエアバッグを備えたサイドエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、エアバッグ本体部とエアバッグ突出部とを備えており、該エアバッグ本体部は車両のボディサイド部と搭乗者の側方との間で展開膨張させるとともに、該エアバッグ突出部は前記エアバッグ本体部から突出させて搭乗者の頭部前方で展開膨張させることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグの車内側となる面上であって、前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との間は、面状テザーによって連結されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着するとともに、これらの基布間を少なくとも2枚の帯状テザーにより連結して構成されたものであり、これらの帯状テザーは車外側の間隔が車内側の間隔に比べて長くなるように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着してなり、これら基布における前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との境界となる部位を屈曲部とし、その展開膨張に際し、該屈曲部で前記エアバッグ本体部に対して前記エアバッグ突出部が屈曲するように構成されたものであるとともに、
前記屈曲部側となる前記エアバッグ本体部の端部を先端とし、該先端と対向する側となる前記エアバッグ本体部の端部を基端として、前記エアバッグ本体部を構成する基布における先端から基端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも長くされているうえ、
前記屈曲部側となる前記エアバッグ突出部の端部を基端とし、該基端と対向する側となる前記エアバッグ突出部の端部を先端として、前記エアバッグ突出部を構成する基布における基端から先端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも短くされており、
さらに前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布の前記長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態で、これら基布を縫着する起点シームが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布のうち、前記エアバッグ本体部で前記屈曲の内側に位置する基布の先端部と、前記エアバッグ突出部で前記屈曲の内側に位置する基布の基端部とを縫着する接合シームが設けられていることを特徴とする請求項4に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項1】
ガス発生源からのガスにより搭乗者の側方にて展開膨張するエアバッグを備えたサイドエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、エアバッグ本体部とエアバッグ突出部とを備えており、該エアバッグ本体部は車両のボディサイド部と搭乗者の側方との間で展開膨張させるとともに、該エアバッグ突出部は前記エアバッグ本体部から突出させて搭乗者の頭部前方で展開膨張させることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグの車内側となる面上であって、前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との間は、面状テザーによって連結されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着するとともに、これらの基布間を少なくとも2枚の帯状テザーにより連結して構成されたものであり、これらの帯状テザーは車外側の間隔が車内側の間隔に比べて長くなるように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
前記エアバッグは、少なくとも2枚の基布を袋状に縫着してなり、これら基布における前記エアバッグ本体部と前記エアバッグ突出部との境界となる部位を屈曲部とし、その展開膨張に際し、該屈曲部で前記エアバッグ本体部に対して前記エアバッグ突出部が屈曲するように構成されたものであるとともに、
前記屈曲部側となる前記エアバッグ本体部の端部を先端とし、該先端と対向する側となる前記エアバッグ本体部の端部を基端として、前記エアバッグ本体部を構成する基布における先端から基端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも長くされているうえ、
前記屈曲部側となる前記エアバッグ突出部の端部を基端とし、該基端と対向する側となる前記エアバッグ突出部の端部を先端として、前記エアバッグ突出部を構成する基布における基端から先端までの長さ寸法は、屈曲の外側に位置する基布が、屈曲の内側に位置する基布よりも短くされており、
さらに前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布の前記長さ寸法をそれぞれ異ならせた状態で、これら基布を縫着する起点シームが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
前記屈曲部には、前記エアバッグ本体部及び前記エアバッグ突出部を構成する各基布のうち、前記エアバッグ本体部で前記屈曲の内側に位置する基布の先端部と、前記エアバッグ突出部で前記屈曲の内側に位置する基布の基端部とを縫着する接合シームが設けられていることを特徴とする請求項4に記載のサイドエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−8105(P2006−8105A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92898(P2005−92898)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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