説明

サウンド出力システム及びこのシステムの制御方法

【課題】必要なタイミングでサウンド出力を自動的に制御できるサウンド制御システムを提供する。
【解決手段】信号送信装置と携帯装置とで構成されるサウンド出力システムにおいて、前記信号送信装置はサウンド出力停止信号を送信し、前記携帯装置は、前記サウンド出力停止信号を受信する通信部を備え、サウンド出力中に前記通信部が前記サウンド出力停止信号を受信すると、前記サウンド出力を停止すると共に、前記サウンド出力停止信号を受信した旨の表示を前記表示器で表示するサウンド出力制御手段を更に備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音楽再生機能等のサウンド出力機能を有する携帯装置を備えたサウンド出力システムやこのシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽再生機能を制御するものの従来技術としては、特開2002−16675号公報に記載されているものがある。
【0003】
この公報に記載されているものは、着脱自在の記録メディアに記録されている音楽を再生できる機能を有する多機能電話機であり、その記録メディアの音楽を再生している最中に着信があった場合には、その音楽再生を自動的に停止し、イヤフォンから着信があったことを知らせることができるものである(公報の段落0014、0026、図1参照)。
【0004】
また、特開2002−199056号公報に記載されているものは、音楽再生機能つき携帯電話機で、音楽データを再生中に着信した場合には、音楽データの取り出しが停止される、つまり音楽データの再生を停止されることが記載されている(公報の段落0020、0021、0030、図1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−16675号公報
【特許文献2】特開2002−199056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の公報に記載されたものでは、音楽が自動的に停止するものではあるが、前記特許文献1に記載の多機能電話機も、特許文献2に記載の携帯電話機も、何れも着信したときのタイミングで音楽再生が停止されるもので、例えば公共交通機関に乗車したタイミングや大型商業施設に入ったタイミングで音楽再生を制御するものではない。公共交通機関や大型商業施設では、極めて重要な放送、例えば事故や火事あるいは避難誘導に関する放送がされることも考えられ、これらの放送がなされるタイミングで、音楽再生を制御するものではない。
【0007】
このため、上記の多機能電話機や携帯電話機を利用するユーザは、上記の公共交通機関や大型商業施設に入った場合、ユーザ自身が音量を小さめに制御したり、または、音楽再生を停止したり、あるいは、音楽の音量を調整せずに、視覚によって周囲の状況に絶えず注意を払うような方法をとるユーザもいる。このため、音楽再生を充分に楽しむことができない恐れがあった。
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためのものであって、必要なタイミングでサウンド出力を自動的に制御できるサウンド出力システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のサウンド出力システムは、
信号を送信する信号送信装置と、サウンド出力器及び表示器を有する携帯装置とで構成されるサウンド出力システムにおいて、
前記信号送信装置はサウンド出力停止信号を送信し、
前記携帯装置は、前記サウンド出力停止信号を受信する通信部を備と、
サウンド出力中に前記通信部が前記サウンド出力停止信号を受信すると、前記サウンド出力を停止すると共に、前記サウンド出力停止信号を受信した旨の表示を前記表示器で表示するサウンド出力制御手段とを備えたものである。
【0010】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記信号送信装置は、サウンド出力停止信号で停止された携帯装置のサウンド出力の停止状態を解除するサウンド出力停止解除信号も送信するものである。
【0011】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記サウンド出力が停止された状態を解除する停止解除手段を前記携帯装置に備えたものである。
【0012】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記サウンド出力を停止させる信号は重要度に応じてレベル分けされており、
このレベル分けされた信号の受信有効範囲を設定できる設定手段を前記携帯装置に備えたものである。
【0013】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記信号の受信有効範囲を設定できる設定手段は、サウンド出力停止信号のうち最重要レベルの信号以外の信号を受信有効範囲外に設定するものである。
【0014】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記信号送信装置は、アナウンス情報を含むアナウンス信号を更に送信し、
このアナウンス信号を受信すると、このアナウンス信号のアナウンス情報を再生し、音声出力及び/又は表示出力により報知するアナウンス再生手段を前記携帯装置に更に備えたものである。
【0015】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記携帯装置を、音声通話機能を備えた携帯通信端末としたものである。
【0016】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記携帯装置はサウンドの装置外への出力を、ヘッドフォンあるいはイヤーレシーバ用の端子だけで行っているものである。
【0017】
また、本発明のサウンド出力システムは、
前記信号送信装置は救急車や消防車等の緊急車両に配置されると共に、緊急車両の緊急走行中にサウンド出力停止信号を送信し、
前記携帯装置は乗用車等に配置されると共に、この乗用車のオーディオ出力装置として使用されるものである。
【0018】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
信号を送信する信号送信装置と、サウンド出力器及び表示器を有する携帯装置とで構成されるサウンド出力システムの制御方法において、
前記信号送信装置がサウンド出力停止信号を送信する停止信号送信ステップと、
サウンド出力中に前記サウンド出力停止信号を前記携帯装置が受信すると、前記サウンド出力を停止すると共に、前記サウンド出力停止信号を受信した旨の表示を前記表示器で表示する表示ステップとを備えたものである。
【0019】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
前記信号送信装置がサウンド出力停止解除信号を送信する解除信号送信ステップと、
前記携帯装置がサウンド出力停止中に前記サウンド出力停止解除信号を受信すると前記サウンド出力の停止状態を解除する停止解除ステップとを備えたものである。
【0020】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
前記携帯装置に備えた停止解除手段によってサウンド出力停止状態を解除する解除ステップを備えたものである。
【0021】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
前記サウンド出力停止信号は重要度に応じてレベル分けされており、
このレベル分けされた信号の受信有効範囲を前記携帯装置で設定できる受信有効範囲設定ステップを備えたものである。
【0022】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
前記受信有効範囲設定ステップは、サウンド出力停止信号のうち最重要レベルの信号以外の信号を受信有効範囲外に設定できるものである。
【0023】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
前記信号送信装置は、更にアナウンス情報を含むアナウンス信号を送信するアナウンス信号送信ステップと、
前記アナウンス信号を受信すると、このアナウンス信号からアナウンス情報を再生し、音声出力及び/又は表示出力により報知するアナウンス再生ステップとを備えたものである。
【0024】
また、本発明のサウンド出力システムの制御方法は、
救急車や消防車等の緊急車両に配置された前記信号送信装置から緊急走行中にサウンド出力停止信号を送信する送信ステップと、
乗用車等に配置された前記携帯装置が車用のオーディオ出力装置として使用される使用ステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0025】
このように構成されたサウンド出力システムやこのシステムの制御方法によれば次に記載するような効果を奏する。
【0026】
予め公共交通機関や大型商業施設などに設置される信号送信装置から送信される信号を携帯装置で受信すると、出力されていた音楽等のサウンド出力が停止されるため、ユーザは外部からの音を聞き取ることができ、公共交通機関や大型商業施設等での重要な放送を聞き逃す恐れを極力防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0028】
第1実施例を図1〜図5に示す。図1は第1実施例のサウンド出力システムとしての携帯端末を示す正面図、図2は同携帯端末の機能ブロック図、図3は同携帯端末の音楽再生停止制御部を示すブロック図、図4は同携帯端末の受信有効範囲設定メニュー表示時における画面の変遷を示す説明図、図5は同携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【0029】
図1において、101は携帯装置として利用される携帯端末で、この実施例では携帯電話に適用した例で説明する。尚、携帯装置のその他の適用例としては、PHS(Personal Handy-phone System)やPDA(Personal Digital Assistants、個人用携帯情報端末)やゲーム機などの携帯可能な装置が考えられる。
【0030】
102は表示部で、この表示部は液晶表示器を使用している。103は入力用のキー操作部で、このキーは数字キーや各種の機能キーや十字キーで構成されている。104は受話用のレシーバ、105は送話用のマイク、106は音楽等のサウンド出力を聴取するためのインナー型のイヤーレシーバ、107は出力用端子で、この出力端子はレシーバやヘッドフォンのプラグが挿入されるものである。
【0031】
図2において、201はCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)で、携帯端末の各部を制御するためのものであり、また、各種機能を実現するためのものである。例えば、後述する音楽再生部203や音楽再生停止制御部204と協働してサウンド出力制御手段や停止解除手段を実現したり、キー操作部103や表示部102や表示制御部205と協働してレベル分けされた信号の有効範囲を設定できる設定手段を実現したりする。
【0032】
202は無線通信部で、外部との無線通信を制御するものであり、後述のサウンド制御信号207も受信するものである。203は音楽再生部で、音楽を再生し出力するものである。204は音楽再生停止制御部で、この音楽再生停止制御部は再生中の音楽を強制停止したり、強制停止の状態を解除したりするためのものである。また、205は表示制御部で、この表示制御部205は表示部102の表示を制御するためのものである。
【0033】
206は信号送信装置で、この信号送信装置206は例えば公共交通機関や大型商業施設に設置されるものである。また、207はサウンド制御信号で、信号送信装置206から送信され、無線通信部202で受信されるものである。このサウンド制御信号207は、サウンド出力を強制的に停止させるためのサウンド出力停止信号と、サウンド出力が強制停止された状態の場合、この状態を解除するためのサウンド出力停止解除信号との2種類の信号がある。
【0034】
208は再生制御信号で、音楽再生停止制御部204から送信され、音楽再生部203や表示制御部205を制御するためのものである。そして、この再生制御信号208は、再生を停止させるための再生停止信号と、再生停止を解除するための再生停止解除信号の2種類の信号が設定されている。
【0035】
尚、携帯端末101は、音楽再生機能以外にも種々の機能を備えているが、本願の要旨から外れるため、その説明を省略する。
【0036】
図3において、この図3は音楽再生停止制御部204の内部を示すブロック図である。
【0037】
この図3において、301は信号判定部、302は受信レベル設定部、303は受信レベル比較部、304は停止制御部である。
【0038】
信号判定部301は無線通信部202と接続されており、信号送信装置206から受信したサウンド制御信号207がサウンド出力停止信号なのか、サウンド出力停止解除信号かを判定する機能を持つ。更に、サウンド出力停止信号に含まれる、報知情報の緊急度を示す停止レベルを識別する機能を持つ。受信レベル設定部302はキー操作部105の信号を入力し、受信し有効とする停止レベルの範囲(受信有効範囲)を、ユーザがこの携帯端末101で設定するためのものである。尚、停止レベルと受信有効範囲については後述する。
【0039】
受信レベル比較部303は、受信したサウンド制御信号207に含まれる停止レベルとユーザが受信レベル設定部302で設定した受信有効範囲レベルとを比較するものである。
【0040】
サウンド制御信号がサウンド出力停止信号であって、この信号の停止レベルが受信レベル設定部で設定した設定レベル以上であった場合は、この受信レベル比較部303は停止制御部304に再生停止命令を通知する。
【0041】
停止制御部304は、音楽再生部203と表示制御部205に接続され、再生停止信号208を出力してサウンド出力停止命令や、サウンド出力停止解除命令を、音楽再生部203や表示制御部205に通知するものである。サウンド出力停止状態の監視もこの停止制御部304で行う。
【0042】
前述のように、この携帯端末101を使用しているユーザは、キー操作によりサウンド制御信号207に含まれる停止レベルの受信有効範囲を設定できる。
【0043】
図4において、ユーザはキー操作をして、メニュー画面401を表示する。このメニュー画面401は、サウンド制御信号207の受信有効範囲を設定するためのメニューで、キー操作をして1から5に示している受信有効範囲を設定できるものである。画面401で、メニューの「6.ヘルプ」が反転表示されて選択されている状態でOKキーを押下した場合は、停止レベルの説明をするヘルプ画面402が表示され、停止レベルの内容を確認することができる。
【0044】
メニュー画面401や、へルプ画面402で示されているように、停止レベルが最重要レベルであるレベル5を設定範囲外にできないようにしている。つまり、停止レベルがレベル5の信号については必ず受信処理しなければならないように設定されている。
【0045】
これは、このレベルは非常時の緊急アナウンスや避難誘導などをアナウンスすることを意味する信号であって、ユーザに絶対に聞いてもらわなければならないため、このレベル5を受信有効範囲外に設定できないようにしている。
【0046】
各停止レベルに関し、公共交通機関に関するものを例にして説明すると、レベル1は、車内アナウンスで、例えば、雨天後で傘を忘れないようになどのアナウンスである。また、レベル2は、乗り継ぎの案内や、発車時刻のお知らせなどである。更に、レベル3は、遅れや事故や不通など運行状況に関するものである。また、レベル4は、レベル5に準じた緊急事態等の連絡であり、レベル5は非常時の緊急アナウンスや、避難誘導などである。
【0047】
このように構成された第1実施例の携帯端末101では、図5のフローチャートに示すように動作する。
【0048】
携帯端末101がサウンド制御信号を受信すると(ステップ501、以下「ステップ」をSと記載する)、最初に信号の種別を判定する(S502)。サウンド制御信号207にはサウンド出力停止信号とサウンド出力停止解除信号があり、信号判定部301はその判定を行う。
【0049】
S502で受信したサウンド制御信号がサウンド出力停止信号であると判定された場合は、この信号には、停止レベルが含まれているので、制御がS503に進み、停止レベルを読み出し、停止レベルの判定を行う。
【0050】
読み出した停止レベルとユーザが設定した受信有効範囲レベルとを比較し(S504)、読み出した停止レベルが、ユーザが設定したレベル以上であれば、サウンド出力の停止制御を行って(S505)、制御は終了する。
【0051】
この停止制御は、サウンド出力を強制停止し、表示部102に、サウンド出力停止信号を受信したため強制停止中であることを報知するための表示をするものである。表示の例としては、「サウンド出力停止信号を受信しましたので、サウンド出力を停止します。アナウンスにご注意下さい。」のように、文字によって表示することがあげられる。この表示をすることにより、音楽再生が停止したことは故障やバッテリー切れによるものでないことを暗に示唆し、ユーザの誤解を防止するようにすると共に、アナウンスへの注意を喚起している。
【0052】
表示部102の表示を見たユーザは、音楽再生が停止しているので、ヘッドフォンやインナー型のイヤーレシーバを使用していた場合でも、アナウンスがあると、そのアナウンスを確実に聞くことができる。
【0053】
S504の制御で、読み出した停止レベルが、ユーザが設定した受信有効範囲レベル未満であれば、S505の停止制御を行うことなく終了、つまり何も制御をせず終了する。
【0054】
受信したサウンド制御信号がサウンド出力停止信号の場合は以上のように制御されるが、受信したサウンド制御信号がサウンド出力停止解除信号である場合には、次のように動作する。
【0055】
S502で、受信した信号がサウンド出力停止解除信号であると判定された場合は、制御がS506に進み、ここで、携帯端末101がサウンド出力の強制停止中か否かを判定する。強制停止中の意味は、音楽再生中にサウンド出力停止信号を受信して強制的に音楽再生が停止されている状態の意味で、ユーザが自分自身で音楽再生を停止したものは含まれない。このS506を設けている理由は、携帯端末101がサウンド出力停止解除信号を受信したことで、強制停止状態でないにも関わらず、サウンドの出力が開始されてしまうような誤動作を防止するためのものである。
【0056】
尚、強制停止中かユーザが停止操作をして停止中なのかを識別するためには、前述した強制停止制御(S505)において、別途設置したメモリに強制停止フラグをたてる制御を行えばよい。そして、S506の処理においてそのフラグを識別して、強制停止フラグが立っている場合は強制停止中で、立っていないで停止中の場合はユーザが停止操作をして停止中であると判断することができる。
【0057】
S506で携帯端末が強制停止中であると判定されると、制御がS507に進み、停止制御を解除する。
【0058】
また、ユーザによっては、サウンド出力停止信号を受信し、音楽が強制停止された場合に、この強制停止された状態を解除したいと思うことがあるので、この場合には、強制停止された状態を手動で解除することができるようになっている。この場合は、キー操作部103に設けた強制停止解除専用のキーを押すことにより、この強制停止の解除が行われる。
【0059】
尚、強制停止の手動による解除方法としては、この強制停止解除専用のキーを使用する方法以外にも、キー操作によって、メニューを呼出し、そのメニュー画面に従って強制停止された状態を解除する方法や、特定のキー2つを同時に何秒間か押して解除する方法などが考えられるが、この実施例では、強制停止解除専用のキーを設ける例で説明した。
【0060】
サウンド出力停止の状態が解除されると、解除前に利用していたサウンド出力が再開される。また、サウンド出力停止信号を受信した強制停止の状態であることを示す表示も消される。
【0061】
このように動作する第1実施例のサウンド出力システムによれば、音楽再生機能を備えた携帯端末101で、音楽を再生して、その音楽をヘッドフォン等で聞きながら、ユーザは移動できる。そして、公共交通機関や大型の商業施設に入ると、その公共交通機関や商業施設に配置されている信号送信装置206からサウンド制御信号207が送信される。このサウンド制御信号207が、サウンド出力停止信号である場合は、音楽再生が停止されると共に表示部102にサウンド出力停止信号を受信した旨が表示される。このため、ヘッドフォンやイヤーレシーバを利用して音楽を聴取しているユーザにも、車内アナウンスや、非常時の連絡放送を、確実に聞くことができる。
【0062】
また、サウンド出力停止信号には数段階の停止レベルを設定し、ユーザは必要以上に音楽再生が停止することのないように、携帯端末101に停止レベルの受信有効範囲を設定することができるようにしたので、ユーザが望む停止レベルのときに音楽再生を強制停止させることができる、柔軟性のあるサウンド出力制御装置を提供することができる。
【0063】
尚、この実施例では、サウンド出力として、音楽再生時の出力について説明したが、これ以外のサウンド出力として、音楽以外のオーディオ再生時の出力や、ラジオ聴取時の音声出力や、テレビ機能使用時の音声出力などがあるが、説明は省略する。
【0064】
次に、第2実施例について、図6と図7に基づいて説明する。尚、第1実施例と同じ構成については同一の符号を付すと共に詳しい説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
【0065】
図6は第2実施例の携帯端末の制御ブロック図を示す。この図6に示す206Aは信号送信装置、207はサウンド制御信号、604はアナウンス信号である。信号送信装置206Aは、公共交通機関や大型商業施設に配置され、信号送信装置206Aはサウンド制御信号207とアナウンス信号604とを同時に送信するものである。また、601はアナウンス再生部で、アナウンス信号内のアナウンス情報から音声出力や表示出力できる信号を生成し、アナウンス再生信号602、603を表示制御部205や端子107へ出力するものであり、アナウンス再生手段を実現するためのものである。
【0066】
また、図7は第2実施例の携帯電話の動作を示すフローチャートで、第1実施例の図5と異なるのは、制御ステップのS701を備えている点である。
【0067】
図7において、S501でサウンド制御信号207を受信し、S502で受信した制御信号がサウンド出力停止信号であると判定されると、S503で停止レベルの判定を行う。S504で受信した停止レベルと設定レベルとの比較を行い、受信した停止レベルが設定値以上であれば、S505で停止制御を行い、更に、S701でアナウンス情報を画面表示すると共に、アナウンス情報を音声出力する。
【0068】
このように、受信したサウンド制御信号の停止レベルが、ユーザの設定した受信有効範囲のレベル以上のものであれば、そのときに受信したアナウンス情報を画面表示すると共に、音声出力するので、ユーザにアナウンス情報を確実に報知することができる。
【0069】
特に、ヘッドフォンやイヤーレシーバを使用して音楽を聞いているユーザに対し、音楽を停止すると共に、アナウンス情報を音声出力しているので、ユーザに対してアナウンス情報を強制的に聞かせることができ、アナウンス情報をユーザに確実に伝えることができる。
【0070】
そして、S504で受信したサウンド制御信号の停止レベルが設定値未満と判定されると、制御ステップのS505やS701を行うことなく終了する。
【0071】
また、S502で受信した制御信号がサウンド出力停止解除信号であると判定された場合は、S506で強制停止中か否かを判定し、強制停止中であれば、S507で停止制御解除を行い、また、S508でユーザからの手動による解除制御が行われた場合も、S507で停止制御解除を行う。
【0072】
また、S506で強制停止中でない場合は、制御ステップS507を行うことなく終了する。
このアナウンス情報は、アナウンス再生部601によって、表示部102にアナウンス情報を表示し、音楽再生部203からサウンド出力にて表示する。
【0073】
この第2実施例のサウンド出力システムは、アナウンス情報を表示出力及び音声出力で報知しているが、表示出力のみ、あるいは、音声出力のみで報知するようにしても構わない。
【0074】
次に、第3実施例について図8に基づいて説明する。
【0075】
図8は第3実施例のサウンド出力システムを示す。図8に示す801は緊急車両としての救急車、802は乗用車である。
【0076】
救急車801には、前述の信号送信装置206Aが搭載されており、サイレンを鳴らし、また赤色灯804及びヘッドライト805を点灯する救急走行に連動して、信号送信装置206Aはサウンド制御信号207のうちサウンド出力停止信号207Aを送信するものである。
【0077】
乗用車802には、携帯装置101Aが搭載されており、この装置は、音声出力用のスピーカ803と共に、オーディオ出力装置の一部として組み込まれている。このため、信号送信装置206Aからのサウンド制御信号207を受信し、この信号がサウンド出力停止信号であると、使用していたサウンド出力、例えば音楽再生機能、音楽再生以外のオーディオ再生、ラジオ聴衆機能、テレビ聴衆機能のサウンド出力が強制的に停止されるものである。このため、スピーカ803からの音声出力が止まる。
【0078】
このように構成されたサウンドシステムでは、救急車801は、その救急走行中に、サイレンを鳴らし、赤色灯804及びヘッドライト805を点灯させ、更に、信号送信装置206Aからサウンド出力停止信号207Aを送信する。この救急車801の近くの乗用車802、は、救急車801からのサウンド出力停止信号207Aを受信すると、使用していたサウンド出力が強制的に停止され、スピーカ803からの音声が停止する。このため、乗用車802の運転手は、救急車801のサイレンや、「右に曲がります」とか「直進します」などの拡声器でのアナウンスを、聞き逃す恐れや、聞き損ねる恐れを、極力防止することができる。
【0079】
尚、緊急車両としては、救急車801の他に、消防車、パトロールカー等が考えられ、これら緊急車両に、信号送信装置を搭載しても構わない。
【0080】
この第3実施例の場合、救急車801から送信されたサウンド出力停止信号207Aをサウンド出力中に受信した乗用車802は、サウンド出力が強制的に停止される。しかし、救急車801が走行して離れてしまえば、強制停止の必要が無くなり、強制停止の状態のままにしておくのは、サウンド出力を使用する機能、例えば、音楽再生機能等を利用できなくなるので、この強制停止の状態を解除する必要がある。これを解除するためには、サウンド停止解除信号を受信するか、あるいはユーザによる停止状態の解除操作が必要となる。
【0081】
サウンド停止解除信号の受信は期待できないため、ユーザによる停止状態の解除作業が必要になる。ユーザ自身が乗用車802の運転をしているため、ユーザの解除作業は、危険であり、あまり望ましいことではない。
【0082】
このため、このような第3実施例のものでは、サウンド出力を停止させる制御はサウンド出力停止信号の受信から一定時間だけ継続する制御とすると良い。サウンド出力停止信号を入力すると、例えば、5分間だけは強制停止状態が継続するが、この時間が経過すると、停止状態が自動的に解除され、停止前に利用していた音楽再生機能等が、再開されるため、ユーザが運転しながら解除作業を行う必要はない。
【0083】
また、緊急車両から送信されるサウンド出力停止信号207Aの送信アンテナに指向性を持たせ、前方方向にのみ強度の高い信号を送信するようにしてもよい。この場合には、サウンド出力システムにおいて、サウンド出力停止信号207Aの受信信号強度が一定値以下にまで下がったときに停止解除状態と判定して強制停止解除を実行できるようにすることができる。そのため、緊急車両との位置関係だけでサウンド出力の停止、停止解除を柔軟に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施例の携帯端末を示す正面図である。
【図2】同携帯端末の機能ブロック図である。
【図3】同携帯端末の音楽再生停止制御部を示すブロック図である。
【図4】同携帯端末の受信有効範囲設定メニュー表示時における画面の変遷を示す説明図である。
【図5】同携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施例の携帯端末を示す機能ブロック図である。
【図7】同第2実施例の携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施例のサウンド出力システムを示す説明図である。
【符号の説明】
【0085】
101 携帯端末
101A 携帯端末
102 表示部
103 キー操作部
104 レシーバ
105 マイク
106 レシーバ
107 端子
201 CPU
202 無線通信部
203 音楽再生部
204 音楽再生停止制御部
205 表示制御部
206 信号送信装置
206A 信号送信装置
207 サウンド制御信号
207A サウンド出力停止信号
208 再生制御信号
208A 再生制御信号
301 信号判定部
302 受信レベル設定部
303 停止レベル比較部
304 停止制御部
601 アナウンス再生機能
602 アナウンス再生信号
603 アナウンス再生信号
604 アナウンス信号
801 救急車
802 自動車
803 スピーカ
804 赤色灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を送信する信号送信装置と、サウンド出力器及び表示器を有する携帯装置とで構成されるサウンド出力システムにおいて、
前記信号送信装置はサウンド出力停止信号を送信し、
前記携帯装置は、前記サウンド出力停止信号を受信する通信部と、
サウンド出力中に前記通信部が前記サウンド出力停止信号を受信すると、前記サウンド出力を停止すると共に、前記サウンド出力停止信号を受信した旨の表示を前記表示器で表示するサウンド出力制御手段とを備えたことを特徴とするサウンド出力システム。
【請求項2】
前記信号送信装置は、サウンド出力停止信号で停止された携帯装置のサウンド出力の停止状態を解除するサウンド出力停止解除信号も送信することを特徴とする請求項1記載のサウンド出力システム。
【請求項3】
前記サウンド出力が停止された状態を解除する停止解除手段を前記携帯装置に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のサウンド出力システム。
【請求項4】
前記サウンド出力停止信号は重要度に応じてレベル分けされており、
このレベル分けされた信号の受信有効範囲を設定できる設定手段を前記携帯装置に備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のサウンド出力システム。
【請求項5】
前記信号の受信有効範囲を設定できる設定手段は、サウンド出力停止信号のうち最重要レベルの信号以外の信号を受信有効範囲外に設定することを特徴とする請求項4記載のサウンド出力システム。
【請求項6】
前記信号送信装置は、アナウンス情報を含むアナウンス信号を更に送信し、
このアナウンス信号を受信すると、このアナウンス信号のアナウンス情報を再生し、音声出力及び/又は表示出力により報知するアナウンス再生手段を前記携帯装置に
更に備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のサウンド出力システム。
【請求項7】
前記携帯装置は音声通話機能を備えた携帯通信端末であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のサウンド出力システム。
【請求項8】
前記携帯装置はサウンドの装置外への出力を、ヘッドフォンあるいはイヤーレシーバ用の端子だけで行っていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のサウンド出力システム。
【請求項9】
前記信号送信装置は救急車や消防車等の緊急車両に配置されると共に、緊急車両の緊急走行中に前記サウンド出力停止信号を送信し、
前記携帯装置は乗用車等に配置されると共に、この乗用車のオーディオ出力装置として使用される
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のサウンド出力システム。
【請求項10】
信号を送信する信号送信装置と、サウンド出力器及び表示器を有する携帯装置とで構成されるサウンド出力システムの制御方法において、
前記信号送信装置がサウンド出力停止信号を送信する停止信号送信ステップと、
サウンド出力中に前記サウンド出力停止信号を前記携帯装置が受信すると、前記サウンド出力を停止すると共に、前記サウンド出力停止信号を受信した旨の表示を前記表示器で表示する表示ステップと
を備えたことを特徴とするサウンド出力システムの制御方法。
【請求項11】
前記信号送信装置がサウンド出力停止解除信号を送信する解除信号送信ステップと、
前記携帯装置がサウンド出力停止中に前記サウンド出力停止解除信号を受信すると前記サウンド出力停止状態を解除する停止解除ステップと
を備えたこと特徴とする請求項10記載のサウンド出力システムの制御方法。
【請求項12】
前記携帯装置に備えた停止解除手段によってサウンド出力停止状態を解除する解除ステップを備えたことを特徴とする請求項10又は11に記載のサウンド出力システムの制御方法。
【請求項13】
前記サウンド出力停止信号は重要度に応じてレベル分けされており、
このレベル分けされた信号の受信有効範囲を前記携帯装置で設定できる受信有効範囲設定ステップを備えたことを特徴とする請求項10乃至12の何れかに記載のサウンド出力システムの制御方法。
【請求項14】
前記受信有効範囲設定ステップは、サウンド出力停止信号のうち最重要レベルの信号以外の信号を受信有効範囲外に設定できることを特徴とする請求項10乃至13記載のサウンド出力システムの制御方法。
【請求項15】
前記信号送信装置は、更にアナウンス情報を含むアナウンス信号を送信するアナウンス信号送信ステップと、
前記アナウンス信号を受信すると、このアナウンス信号からアナウンス情報を再生し、音声出力及び/又は表示出力により報知するアナウンス再生ステップと
を備えたことを特徴とする請求項10乃至14の何れかに記載のサウンド出力システムの制御方法。
【請求項16】
救急車や消防車等の緊急車両に配置された前記信号送信装置から緊急走行中にサウンド出力停止信号を送信する送信ステップと、
乗用車等に配置された前記携帯装置が車用のオーディオ出力装置として使用される使用ステップと
を備えたことを特徴とする請求項10乃至15の何れかに記載のサウンド出力システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−306329(P2008−306329A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149941(P2007−149941)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】