説明

サブ波長格子及び表示装置

【課題】 アレイ化を可能にする程度の小型の構成により機械的な変位を与えることにより少ない素子による画素化を可能にできるサブ波長格子と、このサブ波長格子を使用した表示装置を提供する。
【解決手段】 格子周期を波長よりも小さくしたサブ波長格子において、格子の一単位当たり少なくとも一つの所定間隙S2を構成する少なくとも二対の梁体1,2,3,4と、この梁体の間隙方向にテンションを付与するアクチュエータとを備えるサブ波長格子を構成する。上記サブ波長格子を梁体の長さ方向および間隙方向に配設してなる光変調器7と、この光変調器に対して光を放射する光源8とを備える表示装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブ波長格子及び表示装置に関し、具体的には、格子構造に機械的変位を加えることにより、透過光の波長を変調するサブ波長格子と、このサブ波長格子を利用する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を応用した電子デバイスが急速に発展している状況において、表示装置またはスキャナ等の光学デバイスについてもMEMS技術が応用されつつある。その例としては、MEMSデバイスにより、ピクセルごとに入射光を変調するものがあり、変調の機構としては、DMD(Digital
Micromirror Device)のように微小ミラーを使用するものや、GLV(Grating Light Valve)のように回折格子を使用するものがあった。
【0003】
これらのDMDまたはGLVをレーザーと組み合わせた投影型の表示装置は、液晶をはじめとする従来方式に比較して高い色再現性を示し、また、高速動作が可能であるという点においても優れている。このことは、高速動作において顕著であり、鮮鋭でなめらかに動く映像を表現できるものである。
【0004】
ところが、DMDやGLVなどの反射光特性を利用する場合には、素子に対してレーザーを投射するための光学系、および、変調された光を投影するための光学系の構造が複雑となり、表示装置としての製品の小型化が困難となるものであった。また、各種光学系を構成するための部品数が増えることによって配置調整等にも時間がかかり、高額なものとなっていた。他方、透過光特性を利用する液晶においては、カラーフィルタ、電極および偏光フィルタ等を積層する必要性から、多層化による光の効率低下が問題となり得るものとなっていた。
【0005】
また、最近では、光の波長以下の周期構造(サブ波長構造)をもった光学素子の研究が行われ、高い波長選択性や特殊屈折効果など新しい現象が報告されている。これらの周期構造は、波長により決定されており、その特定波長に対する共振構造であることから、周期を僅かに変えることによって極めて大きな光出力応答の変化を得ることができ、優れた波長選択性能を実現できるものである。
【0006】
ところで、上記サブ波長構造を発現させるサブ波長格子を可視領域の光に適用して、特定波長を取り出すように構成したカラーフィルタが報告されている(特許文献1および非特許文献1参照)。しかし、この技術は、ガラス基板上にシリコンをパターニングした構造であるため、透過光を調整できるものではなかった。
【0007】
そこで、MEMSアクチュエータにより、サブ波長格子に機械的な変位を加えるものとして、可視光用の可変強度変調器(非特許文献2参照)および赤外通信用の波長透過フィルタ(非特許文献3参照)が開発されるに至った。なお、回折格子における周期を可変するためのアクチュエータとしては特許文献2があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−41555号公報
【特許文献2】特開2008−176127号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Y.Kanamori,et al, IEEEPhotonics Technology Letters, VOL.18, No.20, pp.2126-218, 2006.
【非特許文献2】J.L.Skinner et al, J. VacuumScience & Technology B26(6), pp.2139-2144,2008
【非特許文献3】X.M.Zhang, et al, Transducers& Eurosensors ’07, June. 10-14, 2007, Lyon, France, pp.2417-2420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のとおり、非特許文献2及び3は、MEMSアクチュエータを使用してサブ波長格子に機械的な変位を加えるものであるが、前者は、周期的に配列した中空のナノホールにアクチュエータを積層し、ナノホールの中空部に向かってシリコン薄膜を撓ませ、空気とシリコン酸化膜の屈折率差を利用して変調を行う構成である。従って、格子構造の変化に比べて変調度が小さく、シリコン薄膜を大きく変化させることが要求されるために、シリコン薄膜の変形に対する耐久性が問題となるものであった。
【0011】
他方、後者は、格子ピッチ方向に駆動を行うMEMSアクチュエータを用いることから、当該アクチュエータによって格子ピッチを可変にするものであり、僅かな形状変化により共振構造を変えることができるものであった。しかしながら、アクチュエータは、数mmサイズの占有面積で構成されるため、結果的にサブ波長格子フィルタの面積よりも大きくなり、アレイ化することは困難なものであることが推察されるものであった。
【0012】
また、表示装置に使用するカラーフィルタは、RBGの三色によって他種類の色彩を実現しているが、これらを可能にするためには、ブラックマトリックス(BM)およびRBGの三原色画素が使用されていた。しかし、上記三色および黒色を少ない素子によって実現するものではなく、装置の小型を可能にするためには、少ない数の素子によって黒色および三原色を出現させる構成の装置が切望されていた。
【0013】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、アレイ化を可能にする程度の小型の構成により機械的な変位を与えることにより少ない素子による画素化を可能にできるサブ波長格子と、このサブ波長格子を使用した表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明に至ったものである。
【0015】
すなわち、サブ波長格子にかかる本発明は、格子周期を波長よりも小さくしたサブ波長格子において、格子の一単位当たり少なくとも一つの所定間隙を構成する少なくとも二対の梁体と、この梁体の間隙方向にテンションを付与するアクチュエータとを備え、上記間隙により特定波長のみを透過させ、および上記間隙を変化させて異なる特定波長のみを透過させることを特徴とするサブ波長格子を要旨としている。
【0016】
このような構成によれば、波長よりも小さくした格子周期により、投射された光のうち特定波長のみの透過を可能にする。また、間隙の両側に設けられた対の梁体を接近させることにより、二対の梁体の間に構成される間隙は拡張し、共振構造を消失させることにより透過波長スペクトルの変調を可能にする。
【0017】
上記構成において、アクチュエータは、静電引力により間隙幅を変化させるアクチュエータにより構成することができる。このような構成により、MEMS技術による微細なアクチュエータを基板上に作製することができるとともに、僅かな間隙の変化によって変調を可能にする。
【0018】
他方、表示装置にかかる本発明は、前記請求項1または2に記載のサブ波長格子を前記梁体の長さ方向および間隙方向に配設してなる光変調器と、この光変調器に対して光を放射する光源とを備え、上記光変調器を透過した特定波長の透過光により表示させることを特徴とする表示装置を要旨とするものである。
【0019】
上記構成により、サブ波長格子と透過した特定波長によるRBG三色を表現させることができ、これらの波長をアクチュエータの作動によって変調することが可能となる。
【0020】
また、本発明は、前記請求項1または2に記載のサブ波長格子を使用する表示装置であって、第一の周期および間隙で作製された第一のサブ波長格子と、第二の周期および間隙で作製された第二のサブ波長格子とを、交互に前記梁体の長さ方向および間隙方向に配設してなる光変調器と、この光変調器に対して光を放射する光源とを備え、上記光変調器を透過した特定波長の透過光により表示させることを特徴とする表示装置を要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、第一のサブ波長格子を透過する波長スペクトルは、比較的波長が短いものとし、第二のサブ波長格子を透過する波長スペクトルは、比較的波長が長いものとすることにより、広範囲の波長スペクトルを二種類のサブ波長格子により表現させることができる。
【0022】
さらに、上記発明において、前記第一のサブ波長格子は400nm以下から530nmの範囲の波長を選択的に透過するサブ波長格子であり、前記第二のサブ波長格子は530nmから650nm以上の範囲の波長を選択的に透過するサブ波長格子である構成とすることができる。
【0023】
このような構成であれば、第一のサブ波長格子では、紫外線から緑色の波長スペクトルを透過させることができ、第二のサブ波長格子では、緑色から赤外線までの波長スペクトルを透過させることができる。従って、第一のサブ波長格子では400nm以下の波長を透過させると同時に、第二のサブ波長格子では650nm以上の波長を透過させることにより、黒を表現することが可能となる。また、第一のサブ波長格子において480nmの波長(青)を透過し、第二のサブ波長格子では650nm以上の波長(黒)を透過させることにより、青を表現することができることとなり、第一のサブ波長格子では400nm以下の波長(黒)を透過させ、第二のサブ波長格子において580nmの波長(赤)を透過させることにより、赤を表現することができることとなる。
【発明の効果】
【0024】
サブ波長格子にかかる本発明によれば、MEMS技術によりアレイ化するこができ、一対の梁体を静電引力により引き寄せることで、隣接する対の梁体との間隙を変化させることができる。このように、微細な構成によって梁体に対する機械的な変位を与えることにより、一単位の間隙を透過する波長スペクトルを変調してRBG三色を可視化することができ、これにより、少ない素子による画素化を可能にすることができる。
【0025】
また、表示装置にかかる本発明によれば、上記のようなサブ波長格子における効果に加え、サブ波長格子による光変調器を透過した特定波長による画像表示が可能となる。特に、RBG三色を一単位の素子(1素子または2素子)によって可視化することができることから、一画素に必要な素子の数を少なくすることができるとともに、高いフィルファクタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】サブ波長格子の構成を示す概念図である。
【図2】サブ波長格子の梁体の変位の状態を示す概念図である。
【図3】分光透過率の測定図である。
【図4】光変調器のサブ波長格子の状態を示す概念図である。
【図5】分光透過率の予想図である。
【図6】表示装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、サブ波長格子の実施形態を示す模式図である。図1(a)に示すように、梁体1,2は、二本で一対となるように作製され、その幅方向には、僅かな間隙S1が形成されている。さらに一対の梁体1,2には幅方向に複数の梁体が配設され、隣接する一対の梁体3,4との間(具体的には相対する梁体2,3の間)において間隙S2が形成されている。これらの梁体1,2,3,4・・・は、いずれも中空基板5の縁部51,52に両端支持梁となる状態で設けられており、支持部分(梁体両端)は、酸化膜6が介在されている。
【0028】
これらの作製には、MEMS技術が使用され、パターニングおよびエッチング技術等により、基板上に梁体1,2,3,4・・・を形成するものである。これらの技術を使用することにより、現実に作製したところ、例えば、梁体の全長を300μm〜350μm、幅を約4μmに作製でき、くびれ部11,12,31,22の幅を約2μm、長さを約50μmに作製することができた。また、このときの間隙S1は約1.5μmとすることができた。なお、この寸法は、一例であって、これらに限定されるものではない。
【0029】
次に、個々の梁体について詳述する。梁体1,2(梁体3,4も同様)は、両端近傍にくびれ部11,12,21,22が形成されており、間隙S1を接近させる際にサスペンションとして機能する。すなわち、図1(b)に示すように、一対の梁体1,2の片方にプラス電圧を印加し、他方をグラウンドに接続することにより、両梁体1,2を静電引力により引き寄せ、一対の梁1,2の間隙S1を収縮させることができるのである。このとき、隣接する梁体3,4との間隙S2は、逆に拡張することとなるのである。
【0030】
このように、アクチュエータは、梁体1,2,3,4・・・そのものの形状によって主たる部分が構成されており、この梁体1,2,3,4・・・に対して電圧を印加させる電源部との接続によって全体が構成されているものである。
【0031】
次に、特定波長の透過構造について説明する。図2(a)は、上記梁体1,2,3,4に電圧を印加しない状態を示し、図2(b)は、電圧を印加した状態を示している。この図2(a)に示すように、電圧が印加されていない状態においては、格子構造によって決定する波長のみが透過するものである。上記格子構造では、例えば、格子幅を240nm、周期を710nmとすることにより、透過波長は、480nmをピークとするものであった(図3(a)参照)。すなわち、この状態における青色を表現することができるものである。
【0032】
そして、梁体1,2,3,4に電圧を印加することにより、対をなす梁体の間隙S1を縮小し、隣接する梁体との間隙S2を拡張することにより、透過波長のスペクトルを変調する。例えば、上記の格子構造における状態から梁体に電圧を印加し、静電引力により変位した距離Xを45nmとする場合には、透過波長のピークは540nmを示し(図3(b)参照)、距離Xを60nmとする場合には、透過波長のピークは580nmを示す(図3(c)参照)。従って、上記間隙S2の変位により、緑色および赤色を表現することができるものである。なお、格子間の間隙S1,S2の変位は、電圧印加のONおよびOFFによってのみ操作する場合は、二種類の波長スペクトルを変調することとなるが、印加電圧のレベルを二段階とすることにより、上述のように複数の三色を表現できることとなる。
【0033】
上記のように、本実施形態によれば、格子間の間隙S1,S2を機械的に変位させ、透過波長スペクトルを変調することができるものであるから、複数段階に間隙を変位させることにより、各種の色彩を表現することができるものである。しかも、MEMS技術により微細に作製できるアクチュエータを備えることから、小型の素子を提供することができる。
【0034】
次に、前記サブ波長格子を使用した光変調器について説明する。光変調器は、上記素子を間隙方向に複数配置してなる構成である。光変調器には、梁体の間隙を変位させるための電極を備えている。この光変調器では、一つの素子によりRBG三原色を表出させることができるが、予め間隙および周期を調整した素子をマトリックスにして色調を表現するものであってもよい。
【0035】
なお、サブ波長の透過スペクトルの計算にはRCWA(Rigorous
Coupled Wave Analysis)法を用いて、格子幅および間隙を決定することができるが、現実には、分光透過率を測定することによって最適値を判断することになる。サブ波長格子の実施形態において示した数値はその一例である。また、共振現象は格子前後のレイヤによって変化し、二層の屈折率が重要な要素となるが、空気やガラスは低屈折率体であることから、基板にガラスを使用せず、中空の基板を使用することができる。ガラスを排除することで、屈折率差の僅かな増加およびガラスによる反射をなくすことができ、効率化を図ることができる。
【0036】
このように、単一の素子(サブ波長格子)により構成した光変調器によって、480nm(青)、530nm(緑)および580nm(赤)の波長スペクトルを透過させるように構成する場合のほかに、二種類の素子(サブ波長格子)を混合して配置する光変調器を構成することも可能である。すなわち、第一の素子(サブ波長格子)では、比較的波長の短いスペクトルを透過させ、第二の素子(サブ波長格子)では、比較的波長の長いスペクトルを透過させるのである。
【0037】
このとき、例えば、第一の素子(サブ波長格子)は紫外線スペクトル(400nm以下)から緑色の波長スペクトル(530nm)までの範囲で変調可能とし、第二の素子(サブ波長格子)では、緑色の波長スペクトル(530nm)から赤外線スペクトル(650nm以上)の範囲で変調可能とするものである。このように第一および第二の素子(サブ波長格子)を使用することにより、黒色を容易に表現させることが可能となる。つまり、単一の素子(サブ波長格子)により、広域の波長を透過できるように間隙の幅を可変とすることは、格子を構成する梁体の変位幅が大きくなるが、二種類の素子(サブ波長格子)を併用することにより、上記変位幅を小さくすることができる。そして、第一の素子(サブ波長格子)では、紫外線スペクトル以上を透過させ、第二の素子(サブ波長格子)では、赤外線スペクトル以下を透過させることによって、いずれの素子(サブ波長格子)も紫外線または赤外線による黒を表現することができるのである。
【0038】
上記のような第一および第二の素子(サブ波長格子)によって光変調器を構成する場合には、サブ波長格子の格子幅および間隙を調整する必要がある。すなわち、図4に示すように、第一の素子(サブ波長格子)は、格子幅をa1、周期をΛ1として構成し、第二の素子(サブ波長格子)は、格子幅をa2、周期をΛ2として、異なる波長スペクトルを透過可能にするものである。そして、この格子幅a1,a2および周期Λ1,Λ2を、例えば、交互に配置することにより、それぞれの素子(サブ波長格子)が黒を表見させることができるとともに、他の中間色をも表現させることができるのである。
【0039】
例えば、第一の素子(サブ波長格子)は、電圧の印加のない状態において400nm以下(紫外線領域)の波長スペクトルを透過させものであり(図5(a)参照)、第二の素子(サブ波長格子)は、電圧印加のない状態で530nm(緑色)の波長スペクトルを透過させるもの(図5(b)参照)によって構成することができる。この構成において、青を表現するときには、第一の素子(サブ波長格子)について電圧を印加して、480nm(青色)の波長スペクトルを透過させ、第二の素子(サブ波長格子)についても電圧を印加して、650nm以上(赤外線領域)の波長スペクトルを透過させるのである。また、赤を表現する場合には、第一の素子(サブ波長格子)については電圧を印加させず、400nm以下(紫外線領域)の波長スペクトルを透過させ、第二の素子(サブ波長格子)は電圧を印加させて580nm(赤)の波長スペクトルを透過させるのである。
【0040】
なお、第一の素子(サブ波長格子)は、400nm〜530nmの範囲で透過される波長を変化可能であることから、紫外線領域から緑色の中間に存在する紫などを表現することも可能であり、また、第二の素子(サブ波長格子)は、530nm〜650nmの範囲で透過する波長を変化させることができることから、その中間に存在する黄色や橙色などを表現することができる。
【0041】
次に、表示装置の実施形態について説明する。図6は、表示装置の一例を示す概念図である。この図に示すように、本実施形態の表示装置は、上述のような光変調器7、すなわち、サブ波長格子にかかる実施形態を有する光変調器7を使用するものである。そして、本実施形態の表示装置は上記の光変調器7に対して光を投射する光源としてバックライト8を備えるものである。バックライト8の偏光光は導光板9によって光変調器7の全体に投射され、この光が光変調器7を透過することによって色が表現されるのである。光変調器7に配設される個々の素子(サブ波長格子)に対しては、電圧印加のON・OFFおよび印加される電圧の大きさが調整されるものである。
【0042】
本実施形態は、上記のような構成であるから、可変のサブ波長格子が可視領域において実現され、光学フィルタや複雑な光学系を必要としない表示装置を構成することとなる。
【0043】
本発明の実施形態は以上に説明したとおりであるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の態様をとることは可能である。例えば、本実施形態のアクチュエータは、梁体の形成によって中心部分を構成しているが、他の構成により梁体を機械的に変位させるアクチュエータの構成を採用することもできる。なお、本発明の実施形態は、MEMS技術を使用して基板上に梁体を形成するものであり、MEMS技術の進歩により、さらに高精度または微細な梁体が形成でき、また、間隙S1,S2の変位を制御させることができる場合にも、本発明に採用することは可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 梁体
5 基板
6 酸化膜
7 光変調器
8 バックライト
9 導光板
11,12,21,22 くびれ部(サスペンション部)
51,52 基板縁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子周期を波長よりも小さくしたサブ波長格子において、格子の一単位当たり少なくとも一つの所定間隙を構成する少なくとも二対の梁体と、この梁体の間隙方向にテンションを付与するアクチュエータとを備え、上記間隙により特定波長のみを透過させ、および上記間隙を変化させて異なる特定波長のみを透過させることを特徴とするサブ波長格子。
【請求項2】
前記アクチュエータは、静電引力により間隙幅を変化させるアクチュエータである請求項1記載のサブ波長格子。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載のサブ波長格子を前記梁体の長さ方向および間隙方向に配設してなる光変調器と、この光変調器に対して光を放射する光源とを備え、上記光変調器を透過した特定波長の透過光により表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記請求項1または2に記載のサブ波長格子を使用する表示装置であって、
第一の周期および間隙で作製された第一のサブ波長格子と、第二の周期および間隙で作製された第二のサブ波長格子とを、交互に前記梁体の長さ方向および間隙方向に配設してなる光変調器と、
この光変調器に対して光を放射する光源とを備え、
上記光変調器を透過した特定波長の透過光により表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記第一のサブ波長格子は400nm以下から530nmの範囲の波長を選択的に透過するサブ波長格子であり、前記第二のサブ波長格子は530nmから650nm以上の範囲の波長を選択的に透過するサブ波長格子であることを特徴とする請求項4記載の表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−99936(P2011−99936A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253409(P2009−253409)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】