説明

サンシェード

【課題】 広がりのある開放感を得ることができると共に、着座する乗員の好みを満たすことが可能なサンシェードを提供することを目的とする。
【解決手段】 車両のルーフ15に形成されたサンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rrを車室内側からサンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrにより覆うサンシェードであって、前記ルーフ15の車室内側に、前記ルーフ15側部に設けたルーフサイドレール3間を前席、後席間上で連結する連結部6が設けられ、この連結部6にサンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrが格納可能に構成されると共に、該連結部6から引き出し可能に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のサンルーフに設けられたサンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両にあっては、乗員の開放感を高めるためにサンルーフを備えたものがあるが、サンルーフ車両の中にはさらにこのサンルーフを車室内側からサンシェードで覆うようにしたものがある。サンシェードを取り付けるにあたっては、例えば。車両前後方向に分割されたサンシェードを互いに重なるように配置したものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−217023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、前後のサンシェードの収納スペースが前後の何れかに位置するために、前後の窓との間を収納スペースにより画成してしまい、広がりのある開放感が得難い場合がある。
また、例えば、運転席側の乗員は日光を浴びたくはないが、助手席の乗員は日光を浴びたいというように、着座する乗員の好みを十分に満たすことができない場合がある。
【0004】
そこで、この発明は、広がりのある開放感を得ることができると共に、着座する乗員の好みを満たすことが可能なサンシェードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、車両のルーフ(例えば、実施形態におけるルーフ部15)に形成されたサンルーフ(例えば、実施形態におけるサンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rr)を車室内側からサンシェード本体(例えば、実施形態におけるサンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rr)により覆うサンシェードであって、前記ルーフの車室内側に、前記ルーフ側部に設けたルーフサイドレール(例えば、実施形態におけるルーフサイドレール3)間を前後の座席(例えば、実施形態における前席SF、後席SR)間上で連結する連結部(例えば、実施形態における連結部6)が設けられ、この連結部にサンシェード本体が格納可能に構成されると共に、該連結部から引き出し可能に設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、サンシェード本体を連結部に格納した場合には、前側あるいは後側のウインドウガラスとサンシェード本体が格納された状態となっているサンルーフとが連続的に形成することが可能となる。
また、前後の座席でサンシェードの使用・不使用を使い分けることが可能となる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記連結部から車両前後方向に向かって左右の座席(例えば、実施形態における右席Sl、左席Sr)間上に延びる延設部(例えば、実施形態における延設部9)が設けられ、前記サンシェード本体は前記延設部によって車両幅方向に分割配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、左右の座席でサンシェードの使用・不使用を使い分けることが可能となる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記連結部および前記延設部のうち少なくとも連結部内が空調用ダクト(例えば、実施形態における閉断面構造部6h)として形成されると共に、前記連結部および前記延設部の何れか一方に吹き出し口(例えば、実施形態における吹き出し口13)が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、座席ごとの乗員に向けて空調風を設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、サンシェード本体を連結部に格納した場合には、前側あるいは後側のウインドウガラスとサンシェード本体が格納された状態となっているサンルーフとが連続的に形成されるため、広がりのある良好な開放感が得られるという効果がある。また、前後の座席でサンシェードの使用・不使用を使い分けることができるため、前後の座席の乗員の好みに合わせた使用ができる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、左右の座席でサンシェードの使用・不使用を使い分けることができるため、左右の座席の乗員の好みに合わせた使用ができる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、座席ごとの乗員に向けて空調風を設定することができるため、着座した各乗員の好みに合わせた空調風の吹き出しを可能とすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、車両1はフロントピラー2からルーフサイドレール3を経てリヤピラー4に至る部分が連続した外観で構成される車両であり、これらフロントピラー2からルーフサイドレール3を経てリヤピラー4に至る部分は車体上部両側部の車体骨格部を構成している。
これら車両上部の両側部に配置されたフロントピラー2からルーフサイドレール3を経てリヤピラー4に至る部位にはウインドウガラス部5が配置されている。つまり、このウインドウガラス部5は、従来のフロントウインドウガラスとリヤウインドウガラスとルーフとが一体となったものである。
【0010】
左右のルーフサイドレール3,3間には、車室内側に前後の座席SF、SR間上で両ルーフサイドレール3,3を連結する連結部6がセンターピラー7,7を前後で跨いで取り付けられている。したがって、この連結部6の前側がフロントウインドウガラス部5Fとして形成され、連結部6の後側がリヤウインドウガラス部5Rとして構成され、これらフロントウインドウガラス部5Fとリヤウインドウガラス部5Rとの間がルーフ部15(ルーフ)として構成されている。
連結部6は車両前後方向に一定の幅を備え車体骨格部材としても機能する閉断面構造部であって、内部に後述するサンシェード本体8…が格納可能な車両前後方向の幅寸法に設定されている。
【0011】
連結部6には、ウインドウガラス部5の裏側、つまりウインドウガラス部5を車室内から覆うための左右の前側サンシェード本体8Fl,8Frと左右の後側サンシェード本体8Rl,8Rrが後述する延設部9を跨いで左右に各々格納可能に支持されると共に、連結部6から引き出し可能に設けられている。
つまり、図3に示すように各サンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrを連結部6に格納した状態では、ウインドウガラス部5のうち連結部6の前側部分を構成するフロントウインドウガラス部5Fはルーフ部15まで延びることで、フロントウインドウガラス部5Fと前側のサンルーフ10Fとが一体となった連続した開放感のある外観を形成し、ウインドウガラス部5のうち連結部6の後側部分を構成するリヤウインドウガラス部5Rはルーフ部15まで延びることで、リヤウインドウガラス部5Rと後側のサンルーフ10Rとが一体となった連続した開放感のある外観を形成している。
【0012】
各サンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrは、遮光性のある樹脂材料(あるいは布材料等であってもよい)から形成され、図4に示すように連結部6から引き出してウインドウガラス部5の前後方向略中央部を車室内側から覆った場合に、上方からの光を遮ることができ、あたかも通常のルーフ部15が存在するような環境を作り出せるようになっており、一方、連結部6に格納されて(図5に右側のみ開放した状態を示す)ウインドウガラス部5の遮光状態を解除した場合には、上方からの光を透光することで、フロントウインドウガラス部5Fあるいはリヤウインドウガラス部5Rに連なる継ぎ目のないサンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rrを形成するような環境を作り出せるようになっている。なお、サンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrに若干の透光性を備えた部材を用いてもよい。
【0013】
連結部6には、車両幅方向中央部に車両前後方向に向かって左右の座席Sl,Sr間上に延びる延設部9が設けられている。連結部6から前側に延びる延設部9の前延部9Fはフロントピラー2の上端部付近に至る部位まで延出し、連結部6から後側に延びる延設部9の後延部9Rはリヤピラー4の上端部付近に至る部位まで延出している。なお、延設部9の前延部9Fの前端部にはルームミラー11が取り付けられ、延設部9の後延部9Rの下面にはルームランプユニット12が配置されている。
この延設部9により、前側サンシェード本体8Fは車両幅方向にも分割され、前側左サンシェード本体8Flと前側右サンシェード本体8Frとで構成されることとなり、また、後側サンシェード本体8Rも車両幅方向に分割されて、後側左サンシェード本体8Rlと後側右サンシェード本体8Rrとで構成されることとなる。
【0014】
つまり、連結部6と延設部9とにより挟まれる部分に4つのサンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rrが形成され、このサンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rrを個別に覆うために、サンシェード本体8…は、前側左サンシェード本体8Flと前側右サンシェード本体8Frと後側左サンシェード本体8Rlと後側右サンシェード本体8Rrとに4分割されて構成されている。具体的には、前側左サンシェード本体8Flと後側左サンシェード本体8Rlは共に左側のルーフサイドレール3の内側縁と連結部6の左側縁とに両端部をスライド可能に支持された状態で、連結部6の左半部に格納可能かつ引き出し可能に設けられ、前側右サンシェード本体8Ffrと後側右サンシェード本体8Rrは共に右側のルーフサイドレール3の内側縁と連結部6の右側縁とに両端部をスライド可能に支持された状態で、連結部6の右半部に格納可能かつ引き出し可能に設けられている。
【0015】
ここで、各サンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrは、前後方向に分割される複数枚構成(例えば、3枚構成)の板材で互いに上下に重なり合うようにして連結部6に格納されているが、各サンシェード本体8Fl,8Fr,8Rl,8Rrを一枚構成の板材で形成してもよい。
【0016】
ところで、図1、図2に示すように、延設部9は断面略逆台形状の閉断面構造部9hで形成され、連結部6の閉断面構造部6h(空調用ダクト)内と連通している。延設部9の後延部9Rの下面の両側には傾斜面9mが左右に形成され、各傾斜面9mには空調風の吹き出し口13が開閉可能かつ吹き出し方向を可変可能に形成されている。また、延設部9の前延部9Fの両側の各傾斜面9mにも同様に空調風の吹き出し口13が形成されている。
そして、車両前部に配置された空調装置14のダクト14aがフロントピラー2、ルーフサイドレール3を経て連結部6の閉断面構造部6hに連通接続され、さらに延設部9の閉断面構造部9hに連通しているため、空調装置14からの空調風が延設部9の各吹き出し口13…から前席左座席SFl、前席右座席SFr、後席左座席SRl、後席右座席SRrに向かって吹き出されるようになっている。
【0017】
上記実施形態によれば、前側左サンシェード本体8Flや前側右サンシェード本体8Frを連結部6内に格納した場合には、フロントウインドウガラス部5Fと、前側左サンシェード本体8Flや前側右サンシェード本体8Frを格納したことにより露出するサンルーフ10Fl,10Frにより継ぎ目なく連続的に開放された前側のルーフ環境を作り出すことができ、後側左サンシェード本体8Rlや後側右サンシェード本体8Rrを連結部6内に格納した場合には、リヤウインドウガラス部5Rと、後側左サンシェード本体8Rlや後側右サンシェード本体8Rrを格納したことにより露出するサンルーフ10Rl,10Rrにより継ぎ目なく連続的に開放された後側のルーフ環境を作り出すことができるため、広がりのある良好な開放感が得られる。
【0018】
また、このように前側左サンシェード本体8Flや前側右サンシェード本体8Fr、後側左サンシェード本体8Rlや後側右サンシェード本体8Rrを個別に連結部6に格納でき、あるいは連結部6から引き出すことができるため、前席左座席SFl、前席右座席SFr、後席左座席SRl、後席右座席SRrでサンシェード本体8の使用・不使用を使い分けることができる、各席に着座する乗員の好みを満たすことができる使用を実現できる。
とりわけ、左座席SFl,SRlと右座席SFr,SRrでサンシェード本体8の使用・不使用を使い分けることができるため、従来であれば、サンルーフ10を使用するときには左右の乗員に好みの違いがあっても、左右何れかの乗員がサンルーフ10の開放を希望すれば、サンルーフ10の開放を希望しない乗員はそれに対して従わざるを得なかったが、左右の座席の乗員の好みに合わせて左右別々に使用・不使用を使い分けることができる点で利便性が高まる。
【0019】
そして、前側左サンシェード本体8Flや前側右サンシェード本体8Fr、後側左サンシェード本体8Rlや後側右サンシェード本体8Rrに対応して、各席に個別に吹き出し口13から空調風を吹き出すことができるため、空調風の吹き出し環境においても着座した各乗員の好みを満たすことができる。
なお、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、延設部9に吹き出し口13を設ける替わりに、連結部6の前壁と後壁に吹き出し口13を設けるようにしてもよい。この場合には、延設部9内を連結部6と連通する閉断面構造部とする必要はない。
また、サンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rrがフロントウインドウガラス部5Fとリヤウインドウガラス部5Rと一体である場合を例に説明したが、サンルーフ10Fl,10Fr,10Rl,10Rrがフロントウインドウガラス部5Fとリヤウインドウガラス部5Rと別体である構造のものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施形態の車両の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態の車両を車室内から見た斜視図である。
【図3】この発明の実施形態のサンシェード本体を格納した状態を示す要部斜視図である。
【図4】この発明の実施形態のサンシェード本体を引き出した状態を示す要部斜視図である。
【図5】この発明の実施形態の右側のサンシェード本体を格納し、左側のサンシェード本体を引き出したた状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
3 ルーフサイドレール
6 連結部
8Fl,8Fr,8Rl,8Rr サンシェード本体
6h 閉断面構造部(空調用ダクト)
9 延設部
10Fl,10Fr,10Rl,10Rr サンルーフ
13 吹き出し口
15 ルーフ部(ルーフ)
SF 前席
SR 後席
Sl 左席
Sr 右席

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成されたサンルーフを車室内側からサンシェード本体により覆うサンシェードであって、前記ルーフの車室内側に、前記ルーフ側部に設けたルーフサイドレール間を前後の座席間上で連結する連結部が設けられ、この連結部にサンシェード本体が格納可能に構成されると共に、該連結部から引き出し可能に設けられていることを特徴とするサンシェード。
【請求項2】
前記連結部から車両前後方向に向かって左右の座席間上に延びる延設部が設けられ、前記サンシェード本体は前記延設部によって車両幅方向に分割配置されていることを特徴とする請求項1に記載のサンシェード。
【請求項3】
前記連結部および前記延設部のうち少なくとも連結部内が空調用ダクトとして形成されると共に、前記連結部および前記延設部の何れか一方に吹き出し口が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のサンシェード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−83929(P2007−83929A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276718(P2005−276718)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】