説明

サービス提供方法およびその方法を利用可能な放送受信端末

【課題】 放送番組を視聴したユーザに限定してサービスを提供するのは難しい。
【解決手段】 受信部10は、本放送とは別にデータ放送を受信する。透かし画像取得部40は、データ放送から取得した広告画像をメモリ50に保存する。広告画像は番組の放送時間帯に数回にわたって配信されており、ユーザが番組を視聴している間に、複数の広告画像がメモリ50に自動的に保存される。透かし抽出部60は、メモリ50に保存された複数の広告画像の各々から透かしを抽出する。透かし抽出部60は、配信順序において先の透かし画像から透かしとして抽出した復号鍵を次の透かし画像からの透かし抽出に利用するという、復号鍵を用いた連鎖的な透かし抽出を行い、最後に配信された広告画像から特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報SIDを透かしとして抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ放送を利用したサービス提供技術に関し、特に電子透かしを用いたサービス提供方法およびその方法を利用可能な放送受信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビジョン放送を受信する機能をもった携帯電話やカーナビゲーションシステムが実用段階に入っている、地上デジタルテレビジョン放送では、データ放送を利用して視聴者へ各種サービスを提供することができる。放送局が視聴者にプレゼントなどのサービスを提供する際、番組放送中にサービス享受方法を案内し、視聴者がはがきや電話などでサービスの申し込みをするという方法が一般的に利用されている。番組のスポンサーが番組の前後や途中で放送される広告を通じて視聴者に特定のサービスを提供する場合も同様である。
【0003】
特許文献1には、広告の可聴音信号にクーポンデータを合成した合成音電気信号を放送によって送出し、放送された合成音電気信号から抽出されたクーポンデータを放送の受信者からコンピュータネットワークを介して受け取るシステムを開示する。
【特許文献1】特開2002−150102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放送局や広告主は、番組または広告を見た人にだけ特典を与えることにより、番組の視聴率を上げ、広告による宣伝効果を高めたい。しかしながら、上記のように番組や広告でサービスの申し込み手順を案内する方法を採用した場合、番組または広告を視聴していない人であっても、その申し込み手順を他の情報ルートから知得することでサービスの申し込みをすることができる。そのため、番組の視聴者に限定してサービスを提供することはできないという問題があった。
【0005】
また、別の問題として、番組や広告でサービスの申し込み手順を知った視聴者であっても、その番組を最初から最後まで視聴したとは限らず、サービスの案内がされた時間帯だけしか番組を視聴していない可能性がある。番組全体を見なくてもサービスを享受できるとなれば、視聴者に番組を全部見ようという動機を与えることができず、プレゼントなどのサービスを提供することが必ずしも番組の視聴率向上や広告による宣伝効果の増大にはつながらない。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたもので、その目的は、視聴者に限定したサービスを提供することのできるサービス提供方法およびその方法を利用可能な放送受信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の放送受信端末は、放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される複数の透かし画像を取得する透かし画像取得部と、取得された前記複数の透かし画像の各々から復号鍵を用いて透かしを抽出する透かし抽出部とを含む。前記透かし抽出部は、一の透かし画像から前記復号鍵を透かしとして抽出し、抽出した前記復号鍵を別の透かし画像からの透かし抽出に利用することにより、前記複数の透かし画像から前記復号鍵を用いた連鎖的な透かし抽出を行い、連鎖の最後の透かし画像から特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を透かしとして抽出する。
【0008】
本発明の別の態様もまた、放送受信端末である。この放送受信端末は、複数の透かし画像を撮影する撮影部と、放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される透かし抽出プログラムを利用して、前記撮影部により撮影された前記複数の透かし画像の各々から透かしを抽出する透かし抽出部と、前記複数の透かし画像の各々から抽出された透かしを合成することにより、特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を生成する合成部とを含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様もまた、放送受信端末である。この放送受信端末は、放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される、前記放送番組の識別情報が透かしとして埋め込まれた透かし画像を取得する透かし画像取得部と、当該放送受信端末の識別情報と前記透かし画像の取得日時に関する情報とを透かしとして前記透かし画像にさらに埋め込む透かし埋め込み部とを含む。前記透かし画像には元々、放送番組の識別情報が透かしとして埋め込まれているが、当該放送受信端末の識別情報と前記透かし画像の取得日時に関する情報とが透かしとしてさらに埋め込まれることにより、前記透かし画像は、二重に透かしが埋め込まれた画像となる。この二重透かし入りの画像を表示する表示部をさらに含んでもよい。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、サービス提供方法である。この方法は、放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して断続的に配信される複数の透かし画像を配信順に取得し、配信順序において先の透かし画像から復号鍵を透かしとして抽出し、抽出した前記復号鍵を配信順序において次の透かし画像に利用することにより、配信順に前記複数の透かし画像から前記復号鍵を用いた連鎖的な透かし抽出を行い、最後に配信された透かし画像から特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を透かしとして抽出する。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、サービス提供方法である。この方法は、放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される透かし抽出プログラムを利用して、撮影された前記複数の透かし画像の各々から透かしを抽出し、抽出された前記透かしを合成することにより、特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を取得する。
【0012】
本発明のさらに別の態様もまた、サービス提供方法である。この方法は、放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される、前記放送番組の識別情報が透かしとして埋め込まれた透かし画像を取得し、当該放送受信端末の識別情報と当該透かし画像の取得日時に関する情報とを透かしとして前記透かし画像にさらに埋め込むことにより、特定のサービスを利用するために必要な画像データを生成する。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、放送番組の視聴者に限定したサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係る放送受信端末100の構成図である。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた電子透かし抽出機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0016】
受信部10は、放送局から送信される放送波を受信し、復調する。受信部10は、復調された画像信号を画像復号部20に与える。画像復号部20は、画像信号を復号して画像を再生し、表示部30に与える。表示部30は、画面に再生された画像を出力する。
【0017】
受信部10は、本放送とは別にデータ放送帯域を流れるデータ放送を受信する。データ放送は、本放送の番組中に番組に関する各種情報や広告などの情報を提供するために用いられる。ユーザは番組を視聴している時間帯に、データ放送として配信される番組に関する情報や広告画像などを表示画面で見ることができる。
【0018】
本実施の形態では、データ放送として、電子透かしが埋め込まれた広告画像や透かし抽出プログラムが配信される。透かし画像取得部40は、受信部10がデータ放送帯域で受信した広告画像をメモリ50に保存する。広告画像は番組の放送時間帯に数回にわたって配信されており、ユーザが番組を視聴している間に配信される複数の広告画像がメモリ50に自動的に保存される。受信部10がデータ放送帯域で受信した透かし抽出プログラムは、透かし抽出部60に供給される。
【0019】
透かし抽出部60は、受信部10から供給された透かし抽出プログラムを利用して、メモリ50に保存された複数の広告画像P(i=1,2,…,n)の各々から透かしを抽出する。透かしは暗号鍵を用いて広告画像に埋め込まれているため、広告画像から透かしを抽出するためには復号鍵を透かし抽出プログラムの入力として与える必要がある。
【0020】
透かし抽出部60は、第i番目の復号鍵Kを用いて、第i番目の広告画像Pから第(i+1)番目の復号鍵Ki+1を透かしとして抽出する。抽出した第(i+1)番目の復号鍵Ki+1は、メモリ50に保持され、透かし抽出部60が第(i+1)番目の広告画像Pi+1から透かしを抽出する際に利用される。このように、透かし抽出部60は、配信順序において先の透かし画像から透かしとして抽出した復号鍵を次の透かし画像からの透かし抽出に利用するという、復号鍵を用いた連鎖的な透かし抽出を行う。
【0021】
透かし抽出部60は、最後に配信された広告画像Pから特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報SIDを透かしとして抽出し、サービス識別情報SIDを送信部90に与える。送信部90は、サービス識別情報SIDを無線データ通信によりサーバに送信する。
【0022】
このように、番組放送中に配信される複数の広告画像がメモリ50に保存されると、放送受信端末100は、保存された複数の広告画像から復号鍵を用いて連鎖的に透かしを抽出し、最後に配信された広告画像からサービス識別情報SIDを取得する。ユーザは、得られたサービス識別情報SIDをサーバに送信することで、特定のサービスを享受することができるようになる。たとえば、ユーザは、サービス識別情報SIDをサーバに送信することにより、音楽や映像などのデジタルコンテンツをサーバからダウンロードしたり、番組のスポンサーが提供する商品を割引で購入できるクーポンを取得するなどのサービスを受けることができるようになる。
【0023】
図2は、受信部10が受信する本放送とデータ放送の関係を説明する図である。同図の例では、本放送の番組は、20時から21時までの時間帯に放送されている。この例では、番組の開始時刻の20時に透かし抽出プログラム200が配信され、20時10分、20時20分、20時35分、および20時50分に断続的に複数の広告画像として静止画P、P、P、およびPが配信されている(符号201〜204)。また、番組の終了時刻の21時に最初の静止画Pからの透かし抽出に利用する復号鍵Kが配信されている(符号205)。
【0024】
ユーザが本放送の番組を視聴している間に、データ放送で配信される透かし抽出プログラム200、静止画P〜P(符号201〜204)、および最初の静止画P用の復号鍵K(符号205)の各データがメモリ50に格納される。ユーザが本放送の番組を視聴するのを途中で止めたり、番組の途中から視聴を始めたりした場合は、データ放送で配信されるデータの内、一部しか取得することができない。
【0025】
図3は、透かし抽出部60が複数の静止画P〜Pから連鎖的に透かしを抽出してサービス識別情報SIDを取得する手順を説明する図である。透かし抽出部60は、まず静止画P用の復号鍵K(符号205)を用いて、静止画P(符号201)から静止画P用の復号鍵K(符号206)を透かしとして抽出する。
【0026】
次に、透かし抽出部60は、静止画P用の復号鍵K(符号206)を用いて、静止画P(符号202)から静止画P用の復号鍵K(符号207)を透かしとして抽出する。
【0027】
同様に、透かし抽出部60は、静止画P用の復号鍵K(符号207)を用いて、静止画P(符号203)から静止画P用の復号鍵K(符号208)を透かしとして抽出する。最後に、透かし抽出部60は、静止画P用の復号鍵K(符号208)を用いて、最後の静止画P(符号204)からサービスID(符号209)を透かしとして抽出する。
【0028】
このように、配信された複数の広告画像から配信順に連鎖的に透かし抽出を行うことによりサービス識別情報が取得されるため、番組を途中で見るのをやめたり、番組の一部しか視聴していないユーザは、サービス識別情報を取得することができない。
【0029】
複数の広告画像から連鎖的に透かしを抽出する手順には、いくつかの変形が考えられる。たとえば、図3の手順では、最初の静止画Pから透かしを抽出するために、復号鍵Kを必要としたが、最初の静止画Pからは復号鍵なしで透かしを抽出できるように、透かしの埋め込み方法を変更してもよい。この場合、図2において、番組の終了時刻で最初の静止画用の復号鍵Kを配信する必要はなくなるため、静止画Pを受信した時刻から透かしの抽出を開始することができ、以降、静止画P、P、Pのそれぞれを受信した時刻で、一つ前の静止画から抽出した復号鍵を用いてリアルタイムで透かしの抽出が可能となり、最後に配信された静止画Pを受信した時点で直ちにサービス識別情報を取得することができる。
【0030】
また、連鎖的に透かしを抽出する順序は、必ずしも配信順序でなくてもよい。配信される透かし抽出プログラムに、透かしを抽出する広告画像の順序を格納しておき、抽出プログラムに指定された順序にしたがって複数の広告画像から透かしを連鎖的に抽出してもよい。また、本実施の形態では、透かし抽出プログラムをデータ放送の一部として取得したが、透かし抽出プログラムは、予め放送受信端末100にインストールされていてもよい。この場合は、透かし抽出プログラムをデータ放送から取得するという作業が不要となる。また、メモリカードなどを利用して事前に透かし抽出プログラムを取得してもよい。
【0031】
本実施の形態によれば、本放送の番組に連動するデータ放送を利用して、番組の放送時間帯に透かしの入った広告画像などの静止画が複数配信される。そのため、ユーザは放送受信端末100において本放送の番組を最初から最後まで視聴しなければ、すべての静止画を取得することができない。番組中に配信された複数の静止画から連鎖的に透かしを抽出することで最終的に特定のサービスを受けるためのサービス識別情報が得られるため、番組を全部視聴したユーザに限定して、特定のサービスを提供することができる。また、広告媒体にサービス識別情報を透かしとして埋め込むことにより、ユーザが広告を見る機会が増え、広告宣伝効果を高めることができる。
【0032】
実施の形態2
図4は、実施の形態2に係る放送受信端末100の構成図である。実施の形態1の放送受信端末100は、データ放送から透かし画像を取得したが、実施の形態2の放送受信端末100は、撮影により透かし画像を取得する。実施の形態1と共通する構成については、同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0033】
受信部10は、データ放送から透かし抽出プログラムを受信し、透かし抽出部60に与える。撮影部35は、当該端末に付属のCCD(Charge-Coupled Device)カメラなどにより透かしの入った画像を撮影し、透かし画像取得部40に与える。透かし画像取得部40は、撮影された透かし画像をメモリ50に格納する。
【0034】
透かし抽出部60は、受信部10から供給される透かし抽出プログラムを利用して、メモリ50に格納された複数の透かし画像P(i=1,2,…,n)の各々から透かしWを抽出し、メモリ50に格納する。
【0035】
サービスID合成部70は、メモリ50に保持された複数の透かしWを合成して、サービス識別情報SIDを生成し、送信部90に与える。送信部90は、サービス識別情報SIDを無線データ通信によりサーバに送信する。
【0036】
実施の形態2では、一例として、次のようなサービスをユーザに提供する。
【0037】
(1)スタンプラリー
番組放送中に、データ放送帯域を利用して、番組の視聴者にスタンプラリーの開催を案内する。スタンプラリーは、一般に、複数の指定された場所を訪れてスタンプを収集し、収集したスタンプを提示することでユーザに何らかの特典が得られるものである。本実施の形態では、このスタンプラリーを透かし画像を用いて電子的に実現する。
【0038】
放送局は、番組の視聴者にデータ放送により透かし抽出プログラムを放送受信端末100に配信する。ユーザは、放送受信端末100を携帯して、複数の指定された場所を訪れ、その場所に提示されている印刷物を放送受信端末100に付属のCCDカメラなどで撮影する。
【0039】
たとえば、ユーザは、電車に乗って指定された複数の駅を訪れ、各駅の構内に提示されたポスターを撮影する。このポスターには駅のIDやサービスを受けるために接続するサイトのURL(Uniform Resource Locator)が透かしとして埋め込まれている。撮影された画像は、放送受信端末100のメモリ50に格納される。
【0040】
透かし抽出部60は、メモリ50に格納された複数の撮影画像の各々から駅のIDを透かしとして抽出する。サービスID合成部70は、透かし抽出部60により抽出された駅のIDを合成することでサービス識別情報SIDを生成する。
【0041】
また、透かし抽出部60は、メモリ50に格納された撮影画像からサービス提供サイトのURLを取得する。送信部90は、サービス提供サイトのURLにアクセスして、サービス識別情報SIDを送信する。放送受信端末100は、サービス提供サイトから所定のサービスを受けることができる。
【0042】
ユーザが指定された場所をすべて訪れて透かし画像を撮影しなければ、有効なサービス識別情報SIDを生成することができないように構成してもよい。また、ユーザが制限時間内に訪れた指定場所の数に応じてサービスを提供するように構成してもよい。
【0043】
本実施の形態の放送受信端末100によるスタンプラリーでは、データ帯域を利用して透かし抽出プログラムのダウンロードが可能であり、指定場所でポスター等を撮影するだけで、スタンプに相当するデータを取得することができ、スタンプラリーを電子的に実施することができる。スタンプの収集シートを作成するコストを削減し、また、スタンプが収集されたかどうかを確認するコストも削減することができる。
【0044】
(2)販売促進キャンペーン
実施の形態2は、番組で広告された商品にシールなどで応募券を添付し、応募券を撮影することで、懸賞などに応募するシステムにも応用することができる。
【0045】
図5は、放送受信端末100による懸賞の応募手順を説明する図である。この図において、放送受信端末100により商品の応募券を撮影することにより、応募番号を取得する手順を説明する。
【0046】
ユーザは、放送受信端末100において番組放送を視聴したときに、データ放送として商品の広告と懸賞応募についての案内も視聴している。ここでは、商品の例として飲料商品220を想定する。
【0047】
小売店で販売される飲料商品220にはシールの形で応募券222が貼り付けられている。ユーザが飲料商品220を購入後、シールをはがすと、応募券222の裏側には模様の印刷画像224が印刷されている。模様の印刷画像224には、商品ID、懸賞応募サイトのURL、および1桁の応募用数字が透かしとして埋め込まれている。
【0048】
ユーザは、放送受信端末100の撮影部35により模様の印刷画像224を撮影することにより撮影画像226を取得する。透かし抽出部60は、取得した撮影画像226から商品ID、懸賞応募サイトのURL、および応募用数字を透かしとして抽出する。ここでは、応募用数字として「5」が抽出される(符号228)。
【0049】
透かし抽出部60は、抽出した商品ID、懸賞応募サイトのURL、および応募用数字をメモリ50に記憶する。
【0050】
ユーザが、複数個の飲料商品220を購入し、応募券の裏側の模様画像を撮影することにより、複数の応募用数字が取得され、メモリ50内に順次蓄積される。図5の例では、メモリ50に応募用の数字が格納され、数字列「53741268」が形成されている(符号230)。
【0051】
送信部90は、懸賞応募に必要な所定の桁数の数字列がメモリ50に形成されると、懸賞応募サイトのURLにアクセスして、商品IDとともにメモリ50内の数字列を応募番号として送信することで懸賞に応募する。
【0052】
図5に示す手順では、ユーザは応募券から透かしとして抽出した応募用数字を表示画面で確認することができる。そのため、ユーザは、透かしとして取得した数字を自分で好きな順番に並べ替えたり、自由に組み合わせて、ロト(くじ)のように応募することもできる。また、懸賞応募サイトでは、応募番号の数字列に含まれる異なる数字の個数によって、抽選の当選倍率を変えたり、あるいは、異なる数字の個数が所定の数に満たない場合は、商品の購入に対する貢献度が低いと判断し、抽選の対象から外すようにしてもよい。
【0053】
また、上記の説明では、応募券には透かしとして1桁の数字が埋め込まれていたが、2桁以上の数字が埋め込まれてもよく、また数字の代わりにアルファベットが埋め込まれていてもよい。応募券の撮影画像から数字、文字等何らかの記号を透かしとして取得し、その記号を組み合わせることで応募が行われるように構成することができる。
【0054】
また、上記の説明では、商品にシールとして応募券が貼られ、応募券の裏側に透かし画像が印刷されていたが、商品の付録として提供されるカードなどの画像に透かしが埋め込まれていてもよく、また、商品の包装に印刷された画像に透かしが埋め込まれていてもよい。ただし、透かしが埋め込まれた画像は、購入前のユーザが容易に撮影できないように印刷されているものとする。
【0055】
図6は、放送受信端末100による懸賞の別の応募手順を説明する図である。図5の手順とは違い、透かし抽出部60が撮影画像226から抽出した応募用数字228をユーザは確認することができない。また、応募用数字228は、メモリ50内に蓄積され、数字列230が形成されるが、数字列230もユーザは確認することができない。応募用数字228と数字列230は、ユーザが参照できないようにプロテクトされている(符号232)。数字列230にすべての種類の数字が揃ったとき、応募処理がなされる。同図の例では、0、1、3、4、5、7、8の数字が既に収集されているが、他の数字2、6、9が揃っていないため、応募処理がなされない。
【0056】
図6の手順においても、応募券には透かしとして数字以外にアルファベットが埋め込まれていてもよい。所定の種類の数字、文字等の記号を集めることで懸賞の応募が可能となるため、効果的に商品の販売を促進することができる。また、図6の手順において、所定の数字、文字等の記号に静止画や動画等のコンテンツを対応づけておき、ユーザが携帯端末にて電子透かしを抽出した際には、抽出した記号に対応したコンテンツをユーザに提供することも可能である。これにより、ユーザに対し、次回の購入意欲をかき立てる効果が期待できる。
【0057】
実施の形態3
図7(a)、(b)は、実施の形態3に係るデータ放送を利用したサービス提供システムの構成を説明する図である。
【0058】
図7(a)に示すように、放送局300から放送される番組を放送受信端末100は受信する。放送受信端末100は、本放送の番組とは別にデータ放送を受信する。放送受信端末100は、データ放送を通して商品や景品のクーポンの画像を受信し、画面に表示する。ユーザは、画面に表示されたクーポン画像をメモリに保存する。
【0059】
図7(b)に示すように、ユーザは保存したクーポン画像を画面に表示した状態で、商品の小売店に提示し、店頭でリーダ312によりクーポン画像を読み取ってもらう。このクーポン画像には透かし情報が埋め込まれている。店頭の端末310は、ネットワーク経由で透かし検出サーバ320にクーポン画像を透かし画像として送信する。透かし検出サーバ320は、透かし画像から透かし情報を検出して、クーポンの正当性を検証し、判定結果を端末310に返信する。透かし検出サーバ320によりクーポンが正当であると判定された場合に、小売店はユーザに商品または景品を提供する。
【0060】
図8は、実施の形態3に係る放送受信端末100の構成図である。実施の形態1および2と共通する構成については、同符号を付して説明を適宜省略する。透かし画像取得部40は、データ放送から透かしの入ったクーポン画像を取得し、メモリ50に記憶する。透かし埋め込み部80は、当該端末のIDとクーポン画像の保存時刻をさらに透かしとしてクーポン画像Pに埋め込み、二重透かし画像Qを生成し、メモリ50に保存する。表示部30は、メモリ50に格納された二重透かし画像Qを画面に表示する。
【0061】
図9(a)〜(c)は、放送受信端末100がデータ放送からクーポン画像を取得して、サービスの提供を受ける手順を説明する図である。
【0062】
図9(a)は、放送受信端末100の表示画面240を説明する図である。表示画面240の上部には、本放送の番組の画面242が表示されている。表示画面の下部には、データ放送により受信された2つのクーポン画像244、246が表示されている。第1のクーポン画像244は、商品「チョコレート」を小売店で10パーセント引きで購入することのできるクーポンである。第2のクーポン画像246は、特定の販売店にて携帯電話のストラップを景品として入手することのできるクーポンである。各クーポン画像244、246には、本放送の番組IDと当該商品または景品のIDとが透かしとして埋め込まれている。
【0063】
ユーザは、放送受信端末100を利用して本放送の番組の視聴中に、たとえば、第1のクーポン画像244を選んで保存する指示を行う。透かし画像取得部40は、ユーザが選択した第1のクーポン画像244をメモリ50に保存する。このとき、透かし埋め込み部80は、メモリ50から第1のクーポン画像244を読み取り、図9(b)に示すように、第1のクーポン画像244の保存時刻250と当該端末のID252とを第1のクーポン画像244に透かしとして埋め込み、メモリ50に保存する。端末ID252は、放送受信端末100が携帯電話の場合、携帯電話番号であってもよい。
【0064】
ユーザは、商品を購入するために小売店に行き、メモリ50内に保持された第1のクーポン画像244を選択して、画面に表示して小売店に提示する。画面に表示された第1のクーポン画像244は、リーダ312により読み取られ、小売店の端末310に入力される。端末310は、第1のクーポン画像244を透かし検出サーバ320に送信する。透かし検出サーバ320は、第1のクーポン画像244から番組ID254、画像保存時刻250および端末ID252を透かしとして抽出する。
【0065】
透かし検出サーバ320は、番組ID254を照合し、さらには画像保存時刻250が番組放送時間帯であるかどうかを調べることにより、ユーザが本放送を視聴中に第1のクーポン画像244を取得したかどうかを確認することができ、クーポン画像のコピーなどによる不正入手を検出することができる。
【0066】
さらに、透かし検出サーバ320は、端末ID252を照合することで、ユーザがサービスを享受する資格を有しているかどうかを判定することができる。また、透かし検出サーバ320は、端末ID252をクーポンの識別情報と対応づけて記憶しておくことで、ユーザが当該クーポンを使用する回数を制限することができる。
【0067】
上記の説明では、保存時刻と端末が透かしとして埋め込まれたクーポン画像を放送受信端末100の画面に表示し、スキャナによってクーポン画像を店頭の端末310に入力したが、放送受信端末100に記憶されたクーポン画像を有線や無線通信等の何らかの通信手段によって端末310に送信するように構成してもよい。本実施の形態では、データ放送の画面の一部にクーポン画像が表示されている例を示したが、データ放送の画面の全領域を用いてクーポン画像を表示してもよい。この場合は、データ放送の画面からクーポン画像を切り出す作業が省略できる。また、本実施の形態では、番組IDがデータ放送画面内の画像に透かしとして埋め込まれていたが、番組IDは、本放送の画面においてキャプチャーされる静止画像に埋め込まれていてもよい。この場合は、透かしを埋め込み可能な領域が、データ放送領域だけでなく、本放送のデジタル領域にまで拡張されるため、埋め込みビット数を増やすことができる。
【0068】
本実施の形態のデータ放送を利用したサービス提供システムによれば、放送された番組を視聴したユーザにデータ放送を通じてクーポン画像を提供することで、番組を視聴したユーザに限定して、特定のサービスを提供することができる。また、放送受信端末100のIDが透かしとしてクーポン画像に埋め込まれることにより、端末IDによりサービス提供の可否を判断することができる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1に係る放送受信端末の構成図である。
【図2】図1の受信部が受信する本放送とデータ放送の関係を説明する図である。
【図3】図1の透かし抽出部が複数の静止画から連鎖的に透かしを抽出してサービス識別情報を取得する手順を説明する図である。
【図4】実施の形態2に係る放送受信端末の構成図である。
【図5】図4の放送受信端末による懸賞の応募手順を説明する図である。
【図6】図4の放送受信端末による懸賞の別の応募手順を説明する図である。
【図7】実施の形態3に係るデータ放送を利用したサービス提供システムの構成を説明する図である。
【図8】実施の形態3に係る放送受信端末の構成図である。
【図9】図8の放送受信端末がデータ放送からクーポン画像を取得して、サービスの提供を受ける手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0071】
10 受信部、 20 画像復号部、 30 表示部、 35 撮影部、 40 透かし画像取得部、 50 メモリ、 60 透かし抽出部、 70 サービスID合成部、 80 透かし埋め込み部、 90 送信部、 100 放送受信端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される複数の透かし画像を取得する透かし画像取得部と、
取得された前記複数の透かし画像の各々から復号鍵を用いて透かしを抽出する透かし抽出部とを含み、
前記透かし抽出部は、一の透かし画像から前記復号鍵を透かしとして抽出し、抽出した前記復号鍵を別の透かし画像からの透かし抽出に利用することにより、前記複数の透かし画像から前記復号鍵を用いた連鎖的な透かし抽出を行い、連鎖の最後の透かし画像から特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を透かしとして抽出することを特徴とする放送受信端末。
【請求項2】
前記複数の透かし画像は、前記放送番組の放送時間帯に断続的に配信されることを特徴とする請求項1に記載の放送受信端末。
【請求項3】
前記透かし抽出部は、配信順序において先の透かし画像から前記復号鍵を透かしとして抽出し、抽出した前記復号鍵を配信順序において次の透かし画像に利用することにより、配信順に前記複数の透かし画像から前記復号鍵を用いた前記連鎖的な透かし抽出を行い、配信順序において最後の透かし画像から前記サービス識別情報を透かしとして抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信端末。
【請求項4】
複数の透かし画像を撮影する撮影部と、
放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される透かし抽出プログラムを利用して、前記撮影部により撮影された前記複数の透かし画像の各々から透かしを抽出する透かし抽出部と、
前記複数の透かし画像の各々から抽出された透かしを合成することにより、特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を生成する合成部とを含むことを特徴とする放送受信端末。
【請求項5】
放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される、前記放送番組の識別情報が透かしとして埋め込まれた透かし画像を取得する透かし画像取得部と、
当該放送受信端末の識別情報と前記透かし画像の取得日時に関する情報とを透かしとして前記透かし画像にさらに埋め込む透かし埋め込み部とを含むことを特徴とする放送受信端末。
【請求項6】
放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して断続的に配信される複数の透かし画像を配信順に取得し、配信順序において先の透かし画像から復号鍵を透かしとして抽出し、抽出した前記復号鍵を配信順序において次の透かし画像に利用することにより、配信順に前記複数の透かし画像から前記復号鍵を用いた連鎖的な透かし抽出を行い、最後に配信された透かし画像から特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を透かしとして抽出することを特徴とするサービス提供方法。
【請求項7】
放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される透かし抽出プログラムを利用して、撮影された前記複数の透かし画像の各々から透かしを抽出し、抽出された前記透かしを合成することにより、特定のサービスを利用するために必要なサービス識別情報を取得することを特徴とするサービス提供方法。
【請求項8】
放送番組の放送時間帯にデータ放送帯域を利用して配信される、前記放送番組の識別情報が透かしとして埋め込まれた透かし画像を取得し、当該放送受信端末の識別情報と当該透かし画像の取得日時に関する情報とを透かしとして前記透かし画像にさらに埋め込むことにより、特定のサービスを利用するために必要な画像データを生成することを特徴とするサービス提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−295249(P2006−295249A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109110(P2005−109110)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】