説明

サービス提供装置、サービス提供方法、サービス提供プログラムおよびサービス提供システム

【課題】ユーザのスキルに関係なく、どのようなユーザであっても簡単に利用できるサービスを提供することを課題とする。
【解決手段】サービス提供装置は、電気通信番号を挿入したVoIP接続要求をユーザ端末から受信した場合に、電気通信番号に対応するサービス識別子をユーザ端末に送信し、確立されたVoIP通信を識別するcallセッション情報を取得する。そして、サービス提供装置は、ユーザ端末がサービス提供装置との間でサービスを利用する際に行う通信を識別するWebセッション情報を、取得されたcallセッション情報に対応づけて格納するとともに、Webセッション情報をユーザ端末に送信した後、サービス識別子に対応するサービスの利用要求をユーザ端末から受信した場合に、当該利用要求がcallセッション情報に対応づけて格納されるWebセッション情報を用いた通信で要求されたことを条件に、サービス識別子に対応するサービスをユーザ端末装置に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークに接続される複数の端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供するサービス提供装置が、当該サービスを制御するサービス提供システム、サービス提供方法およびサービス提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IP(Internet Protocol)で制御されるネットワークに接続する端末に提供されるサービスとして、いわゆるWebサービスがある。ここで、Webサービスとは、一般に、WWW(World Wide Web)関連技術を適用することで、アプリケーションの機能をネットワーク経由で実現するサービスのことをいう。
【0003】
例えば、Webサービスでは、利用者がインターネット上のWebページにアクセスするのに際して、Webページの識別情報であるURI(Uniform Resource Identifier)が使われている。そして、このようなURIを利用したWebアクセスには、URIをIPアドレスに変換するDNS(Domain Name System)が利用されており、そうすることにより、利用者は、IPアドレスを意識することなく、URIという識別子を利用したWebアクセスを行うことができる。
【0004】
最近では、VoIP(Voice over IP)などIP電話の普及により、電話番号をキーとしてDNSを検索することにより、その電話番号に対応している利用可能なアプリケーションをURI形式で得ることができるENUMが利用され、このENUMを用いて、上記したWebサービスを提供するサービス形態も提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“The E.164 to Uniform Resource Identifiers(URI) Dynamic Delegation Discovery System(DDDS) Application(ENUM)”、[online]、[平成20年9月18日検索]、インターネット<http://www.ietf.org/rfc/rfc3761.txt>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の技術を用いたサービスでは、ITリテラシーの低い人には利用しにくく、サービス自体の普及も期待できないという課題があった。
【0007】
具体的には、DNSを用いた場合であっても、ENUMを用いた場合であっても、所望のWebサービスを利用するためには、Webブラウザを起動して、所望のWebページのURIを所定の書式(例えば、http:からはじまる形式など)で所定の場所(例えば、アドレス欄など)に入力する必要がある。そのため、DNSやENUMを用いたサービス提供では、パソコンを使い慣れていない高齢者などのITリテラシーの低い人には、利用しにくいサービスである。
【0008】
また、昨今のIT技術の進化、一般的に利用できるITサービスの種類、ITの社会への浸透などを考慮すると、ITリテラシーの低いユーザにサービスを提供し、このようなユーザを確保することが他のサービスとの差別化を図るのに非常に重要である。ところが、従来の技術を用いたサービスでは、上記したように、ITリテラシーの低い人には利用しにくいので、他のサービスとの差別化を図ることも難しく、サービス自体の普及も期待できない。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、スキルに関係なく、ユーザが簡単に利用できるサービスを提供することが可能であるサービス提供装置、サービス提供方法、サービス提供プログラムおよびサービス提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークに接続される端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供するサービス提供装置であって、電気通信番号が挿入されたIP電話接続要求を端末装置から受信した場合に、前記電気通信番号に対応するサービスを一意に識別するサービス識別子を当該端末装置に送信する識別子送信手段と、前記端末装置との間でIP電話通信が確立された場合に、確立されたIP電話通信を一意に識別する第1通信情報を、当該確立されたIP電話通信から取得する第1通信情報取得手段と、前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報に対応づけて第2通信情報記憶手段に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信する第2通信情報格納手段と、前記サービス識別子に対応するサービスの利用要求を前記端末装置から受信した場合に、当該利用要求が前記第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶手段に格納される第2通信情報を用いた通信で要求されたことを条件に、前記サービス識別子に対応するサービスを前記端末装置に提供するサービス提供手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スキルに関係なく、ユーザが簡単に利用できるサービスを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係るサービス提供システムの概要を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係るサービス提供システムにおけるサービス提供装置とユーザ端末それぞれの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、ユーザ情報DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図4】図4は、サービスDBに記憶される情報の例を示す図である。
【図5】図5は、セッションDBに記憶される情報の例を示す図である。
【図6】図6は、実施例1に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】図7は、実施例1に係るサービス提供システムにおいて、セキュリティレベルを向上させたサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8】図8は、実施例2に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【図9】図9は、実施例2に係るサービス提供システムにおいて、セキュリティレベルを向上させたサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【図10】図10は、実施例3に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れ(その1)を示すシーケンス図である。
【図11−1】図11−1は、ユーザ端末に提供するWebページの例を示す図である。
【図11−2】図11−2は、ユーザ端末に提供するWebページの遷移例を示す図である。
【図11−3】図11−3は、ユーザ端末に提供するWebページの遷移例を示す図である。
【図12】図12は、実施例3に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れ(その2)を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るサービス提供装置、サービス提供方法、サービス提供プログラムおよびサービス提供システムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例で用いる主要な用語、実施例1に係るサービス提供システムの概要、実施例1に係るサービス提供システムの構成、実施例1に係るサービス提供システムによる処理の手順、実施例1の効果を順に説明し、続いて、他の実施例について説明する。
なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[用語の説明]
最初に、以下の実施例で用いる主要な用語を説明する。本願が開示するサービス提供システムは、ネットワークを介してサービスを利用するユーザ端末と、ネットワークを介してユーザ端末にサービスを提供するサービス提供装置とを有する。なお、それぞれの装置の台数を限定する必要はなく、任意の台数をシステムに構成させることができる。
【0015】
「サービス」とは、いわゆるWebサービス(WWW関連技術を適用することで、アプリケーションの機能をネットワーク経由で実現するサービス)のことである。インターネットなどIPによって制御されるネットワークにおいて、「サービス提供装置」がサービスを制御し、ネットワークに接続する「端末」が「サービス」の提供を受けるという関係にある。
【0016】
このうち、ユーザ端末とは、Webブラウザなどを有しており、インターネットなどに接続してサービス(アプリケーション)を実行できる装置であり、例えば、パーソナルコンピュータに限られるものではなく、PDA、PHS、携帯電話などの移動体端末であってもよい。また、SIPプロキシとは、ユーザ端末から受信したSIP通信に関する各種情報をサービス提供装置に転送する装置である。このSIPプロキシは、複数のサービス提供装置と接続されていてもよく、その場合、ユーザ端末から受信するSIP通信に含まれる情報(例えば、通信を識別する識別子など)に基づいて、該当のサービス提供装置に転送することもできる。また、SIPプロキシは、地域ごとに備えることもでき、例えば、首都圏のユーザ端末からSIP通信があったときには、該当のサービス提供装置に転送するなどして、複数のサービス提供装置のうち該当の装置に転送を実現することもできる。
【0017】
また、サービス提供装置は、SIP通信を行うSIPサーバ機能と、WebブラウザによりWebページなどのサービスを提供するWebサーバ機能を有するサーバ装置である。このサービス提供装置は、実施例で説明するように、電話番号とWebサービスとを結びつけることにより、一つのサーバ機能に複数のWebサーバ機能を有することができる。また、SIPサーバ機能とWebサーバ機能とを一つの筐体で実現している必要はなく、別々の筐体で実現されていてもよい。
【実施例1】
【0018】
[サービス提供システムの概要]
次に、図1を用いて、実施例1に係るサービス提供システムの概要を説明する。図1は、実施例1に係るサービス提供システムの概要を説明するための図である。
【0019】
実施例1に係るサービス提供システムは、上記したように、ネットワークに接続される複数の端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供するサービス提供装置が、当該サービスを制御することを概要とするものであり、特に、ユーザのスキルに関係なく、どのようなユーザであっても簡単に利用できるサービスを提供することができる。
【0020】
具体的に説明すると、サービス提供システムのサービス提供装置は、電気通信番号が挿入されたVoIP接続要求をユーザ端末から受信した場合に、電気通信番号に対応するサービスを一意に識別するサービス識別子をユーザ端末に送信する(図1の(1)と(2)参照)。
【0021】
例えば、ユーザ端末は、SIP通信のINVITE信号に電話番号「0399999999」を付加して送信し、SIPプロキシは、これを受信して接続されるサービス提供装置に転送する。そして、サービス提供装置は、受信したINVITE信号に付加された電話番号「0399999999」に対応する識別子「IPアドレスA」をデータベースから取得して、INVITE信号の応答である200OK信号に付加して送信し、SIPプロキシは、これを受信して接続されユーザ端末に転送する。なお、サービス提供装置は、受信したINVITE信号に付加された電話番号「0399999999」に対応する識別子として、自装置がWebサービスを提供している場合には自装置のIPアドレスを付加して送信してもよい。
【0022】
続いて、サービス提供装置は、ユーザ端末との間でVoIP通信が確立された場合に、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報(特許請求の範囲に記載の「第1通信情報」)を当該VoIP通信から取得する。そして、サービス提供装置は、ユーザ端末が当該サービス提供装置との間でサービスを利用する際に行う通信を一意に識別するWebセッション情報(特許請求の範囲に記載の「第2通信情報」)を、取得されたcallセッション情報に対応づけてデータベースに格納するとともに、当該Webセッション情報をユーザ端末に送信する(図1の(3)と(4)参照)。
【0023】
例えば、上記したように、ユーザ端末とサービス提供装置との間で、SIPプロキシを介してINVITE信号と200OK信号とが送受信されると、ユーザ端末とサービス提供装置との間にVoIP通信(ここでは、SIP通信)が確立される。すると、サービス提供装置は、確立されたSIP通信から当該通信を一意に識別する識別子としてcallセッション情報(例えば、111)を取得する。そして、サービス提供装置は、ユーザ端末からのWeb通信要求時に、Web通信を識別するWebセッション情報(例えば、abc)を払出してユーザ端末に送信するとともに、取得したcallセッション情報(例えば、111)を対応付けて格納する。
【0024】
その後、サービス提供装置は、サービス識別子に対応するサービスの利用要求をユーザ端末から受信した場合に、当該利用要求がcallセッション情報に対応づけて格納されるWebセッション情報を用いた通信で要求されたことを条件に、サービス識別子に対応するサービスをユーザ端末に提供する(図1の(5)と(6)参照)。
【0025】
例えば、サービス提供装置は、上記したようにcallセッション情報とWebセッション情報とを対応付けて格納した後、SIP通信が確立されているユーザ端末からWebセッション情報(abc)とサービス識別子(例えば、IPアドレスA、電話番号、サブアドレスなど)とが含まれるWebアクセスを受け付けた場合、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報(abc)に対応付けられたcallセッション情報が記憶されているか否かを判定する。そして、サービス提供装置は、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報(abc)に対応付けられたcallセッション情報を記憶している場合、受け付けたWebアクセスに含まれるサービス識別子(IPアドレスA)に対応するWebページをユーザ端末に表示する。
【0026】
このように、実施例1に係るサービス提供システムのユーザ端末側では、Webページを表示させたい店舗などの電話番号を入力して発信するという使い慣れたインタフェースの使い慣れた操作のみによって所望のWebページを取得することができる結果、ユーザのスキルに関係なく、どのようなユーザであっても簡単に利用できるサービスを提供することができる。
【0027】
また、実施例1に係るサービス提供システムのサービス提供装置側では、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報(abc)に対応付けられたcallセッション情報を記憶している場合、つまり、現在SIP通信中のユーザ端末からのWebアクセスに対してのみWebページを応答するので、不正なユーザを排除することができ、システム全体のセキュリティを高く保つことができる。
【0028】
[サービス提供システムの構成]
次に、図2を用いて、実施例1に係るサービス提供システムの構成を説明する。図2は、実施例1に係るサービス提供システムにおけるサービス提供装置とユーザ端末それぞれの構成を示すブロック図である。
【0029】
(サービス提供装置100の構成)
実施例1に係るサービス提供システムにおけるサービス提供装置100は、図2に示すように、通信制御I/F部110と、記憶部120と、制御部130とを有する汎用的なサーバ装置である。
【0030】
かかる通信制御I/F部110は、HTTP(HyperText Transfer Protocol)通信用の一般的なインタフェースおよびライブラリを備え、ユーザ端末200との間で情報を送受信する。具体的には、通信制御I/F部110は、後述する識別子送信部131がユーザ端末200からcallセッション情報を受信する通信や、後述するWebセッション情報払出部134がユーザ端末200にWebセッション情報を送信する通信や、後述するサービス提供部135がユーザ端末200にサービスを提供する通信などを行う。なお、実施例1においては、上記したいずれの通信もHTTPで行われるものとして説明するが、中でも、サービス提供部135による通信はWebサービスに関係する通信であるという意味で、「Web通信」と呼ぶ。
【0031】
記憶部120は、制御部130における各種制御に用いられる情報や他の装置と通信を行うためのルーティング情報などを記憶し、特に、図2に示すように、ユーザ情報DB121と、サービスDB122と、セッションDB123とを有する。なお、セッションDB123は、特許請求の範囲に記載の「第2通信情報記憶手段」に対応する。
【0032】
ユーザ情報DB121は、サービス提供システムにより提供されるサービスを利用するユーザ情報を記憶する。具体的には、ユーザ情報DB121は、図3に示すように、「ID、電話番号、氏名、会員状態、最終アクセス日時」として「1000001、0311111111、特許太郎、会員、2008/9/8 13:30:00」や「1000002、0322222222、特許花子、非会員、2008/9/8 13:30:23」などと記憶する。なお、図3は、ユーザ情報DBに記憶される情報の例を示す図である。
【0033】
ここで記憶される「ID」とは、ユーザ情報DB121に記憶される各レコード(言い換えると、ユーザ情報)を識別するための情報であり、「電話番号」とは、記憶されるユーザの連絡先を示す電話番号であり、「氏名」とは、ユーザを特定するユーザの名前である。また、「会員状態」とは、当該ユーザが当該サービスを利用する会員であるか非会員であるかを区別するための情報であり、これにより、サービス提供側は、徴収する料金を変えるなど、任意にサービス形態を作成することができる。また、「最終アクセス日時」とは、当該ユーザがサービス提供装置100に最後にアクセスした日時を示す情報である。
【0034】
サービスDB122は、ユーザ端末に提供するサービスを記憶する。具体的には、サービスDB122は、図4に示すように、サービスを一意に識別する「電話番号」に対応付けて「識別子、サブアドレス、URL、提供会社、有効期限」などを記憶する。例えば、サービスDB122は、「電話番号、識別子、サブアドレス、URL、提供会社、有効期限」として「0399999999、10.0.0.1、-、/guidance.html、なし、なし」、「0399999999、10.0.0.1、*5512、/service/top.html、A社、2008/11/8」や「0511111111、1.2.3.4、-、/music-service.html、A社、なし」などと記憶する。なお、図4は、サービスDBに記憶される情報の例を示す図である。
【0035】
ここで記憶される「電話番号」とは、ユーザ端末に提供するサービスに対応付けられている電話番号であり、ユーザ端末はこれを指定することで所望のサービスを利用することができる。また、「識別子」とは、ユーザ端末に提供するサービスを一意に識別する識別子であり、例えば、IPアドレスやドメイン名、電話番号などである。また、「サブアドレス」とは、同じ識別子で提供されるサービスを区別するための情報であり、これにより、一つの識別子(IPアドレスやドメイン名)で複数のサービスを区別して提供することができ、IPアドレスや電話番号などを有効活用することができる。また、「URL」とは、Uniform Resource Locatorの略であり、ユーザ端末に提供されるWebページを示す。また、「提供会社」とは、当該サービスを提供する会社を示す情報であり、「有効期限」とは、当該サービスが提供される期限を示す情報であり、例えば、有効期限=2008/11/8の場合、2008/11/8まで当該サービスが提供されることを示している。
【0036】
セッションDB123は、Webセッション情報をcallセッション情報と対応づけて記憶する。具体的には、セッションDB123は、まず、後述するcallセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報を記憶し、次に、後述するWebセッション情報払出部134によって払い出されたWebセッション情報をcallセッション情報と対応づけて記憶する。また、セッションDB123が記憶したこれらのセッション情報は、後述するサービス提供部135による処理に利用されるなどする。
【0037】
ここで、callセッション情報とは、確立されたSIP通信を識別するためのユニークな情報(識別子)であり、Webセッション情報とは、サービス提供装置がサービスを提供する際の通信であるWeb通信を識別するためのユニークな情報(識別子)である。
【0038】
また、セッション情報は、単にSIP通信とWeb通信とを識別するのみならず、端末間で確立された通信が、他の端末間で確立された通信とは異なる通信であることをも識別する。これを言い換えると、callセッション情報とは、端末間でSIPによって確立された通信を一意に識別する情報であり、Webセッション情報とは、端末間で確立されたWeb通信を一意に識別する情報である。callセッション情報としては、SIP通信に含まれる情報である『Call-ID』、または、『From』、『To』、『tag』、もしくは、これらの組合せを用いる手法や、SIP通信に含まれるその他の情報を組合せて用いる手法などが考えられ、SIPによって確立された通信を一意に識別することが可能な情報を用いる手法であれば、どのような手法でもよい。一方、Webセッション情報としては、ユーザ端末200がWeb通信を行う際に利用するブラウザに付与された情報である『セッションID』(CookieのIDなど)を用いる手法などが考えられる。なお、これらのcallセッション情報やWebセッション情報は、一般的には確立されたセッションごとにユニークに生成されるものであり、通常のアプリケーション利用の範囲では、競合しないものである。
【0039】
セッションDB123の説明に戻ると、セッションDB123は、例えば、図5に示すように、「ID、会員ID、callセッション情報、Webセッション情報、サービス開始日時、サービス終了日時」として「1、1000001、123、abc、2008/9/8 11:30:00、2008/9/8 13:30:00」や「2、1000003、245、aabc、2008/9/8 11:31:40、2008/9/8 12:13:00」などと記憶する。なお、図5は、セッションDBに記憶される情報の例を示す図である。
【0040】
ここで記憶される「ID」とは、セッションDB123に記憶される各レコードを識別するための情報であり、「会員ID」とは、Webセッション情報が払出されたユーザが会員(図3参照)である場合に、当該会員を識別する情報である。また、「callセッション情報」とは、callセッション情報取得部132が確立されたSIP通信から取得したセッション情報であり、「Webセッション情報」とは、callセッション情報取得部132により取得されて格納されたcallセッション情報に対応付けて払出されたセッション情報である。また、「サービス開始日時」とは、ユーザ端末200が払出されたWebセッション情報を用いてサービスの利用を開始した日時であり、「サービス終了日時」とは、ユーザ端末200が払出されたWebセッション情報を用いたサービスを終了した日時である。
【0041】
図2に戻り、制御部130は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、識別子送信部131と、callセッション情報取得部132と、判定部133と、Webセッション情報払出部134と、サービス提供部135とを有し、これによってサービス提供装置100における各種制御を行う。なお、識別子送信部131は、特許請求の範囲に記載の「識別子送信手段」に対応し、callセッション情報取得部132は、特許請求の範囲に記載の「第1通信情報取得手段」に対応し、判定部133は、特許請求の範囲に記載の「通信情報判定手段」に対応し、Webセッション情報払出部134は、特許請求の範囲に記載の「第2通信情報格納手段」に対応し、サービス提供部135は、特許請求の範囲に記載の「サービス提供制御手段」に対応する。
【0042】
識別子送信部131は、電気通信番号を挿入したVoIP接続要求をユーザ端末200から受信した場合に、電気通信番号に対応するサービスを一意に識別するサービス識別子をユーザ端末200に送信する。具体的には、識別子送信部131は、電話番号「0399999999」が付加されたSIP通信のINVITE信号を受信した場合に、図4に示したサービスDB122を参照しつつ、電話番号「0399999999」に対応する識別子(10.0.0.1)を取得してユーザ端末200に送信する。
【0043】
また、識別子送信部131は、受信したVoIP接続要求から発側の電話番号を特定し、特定した電話番号とユーザ情報DB121とから、VoIP接続要求を送信したユーザを特定することができる。そして、識別子送信部131は、特定したユーザに関する情報を後述するWebセッション情報払出部134に出力する。
【0044】
callセッション情報取得部132は、ユーザ端末200との間でVoIP通信が確立された場合に、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報を当該VoIP通信から取得する。具体的には、callセッション情報取得部132は、ユーザ端末200とサービス提供装置100との間で、SIPプロキシを介してINVITE信号と200OK信号とが送受信されてVoIP通信(ここでは、SIP通信)が確立されると、確立されたSIP通信に含まれる情報から当該通信を一意に識別する識別子としてcallセッション情報(例えば、111)を取得する。そして、callセッション情報取得部132は、取得したcallセッション情報を後述する判定部133やWebセッション情報払出部134に出力する。
【0045】
例えば、callセッション情報収集部132は、callセッション情報としては、SIP通信に含まれる情報である『Call-ID』、または、『From』、『To』、『tag』、もしくは、これらの組合せを収集したり、SIP通信に含まれるその他の情報の組合せを収集したりなどする。
【0046】
判定部133は、ユーザ端末200からcallセッション情報を受信して、当該受信したcallセッション情報とcallセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報とが一致するか否かを判定する。具体的には、判定部133は、識別子送信部131により200OK信号がユーザ端末200に送信されてVoIP通信(ここでは、SIP通信)が確立されるとともに、callセッション情報取得部132によりcallセッション情報が取得された後、ユーザ端末200が確立されたVoIP通信から取得したcallセッション情報を通信制御I/F部110を介してユーザ端末200から受信する。
【0047】
そして、判定部133は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報とcallセッション情報取得部132により取得されて通知されたcallセッション情報とが一致するか否かを判定し、その結果をWebセッション情報払出部134に出力する。
【0048】
Webセッション情報払出部134は、判定部133により一致すると判定された場合に、ユーザ端末200が当該サービス提供装置100との間でサービスを利用する際に行う通信を一意に識別するWebセッション情報を、callセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報に対応づけてセッションDB123に格納するとともに、当該Webセッション情報をユーザ端末200に送信する。
【0049】
具体的には、Webセッション情報払出部134は、判定部133によりユーザ端末200から受信したcallセッション情報(例えば、123)とcallセッション情報取得部132により取得されて通知されたcallセッション情報(例えば、123)とが一致すると判定された場合に、ユーザ端末200が当該サービス提供装置100との間で利用するWeb通信を一意に識別するWebセッション情報(例えば、abc)を払出す。
【0050】
そして、Webセッション情報払出部134は、払出したWebセッション情報と(例えば、abc)callセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報(例えば、123)とを対応づけてセッションDB123に格納するとともに、払出したWebセッション情報(例えば、abc)をユーザ端末200に送信する。なお、Webセッション情報払出部134は、セッションDB123に格納する際に、識別子送信部131により取得されて通知されたユーザ情報(例えば、会員IDなど)もさらに対応付けて格納する。
【0051】
一方、判定部133によりユーザ端末200から受信したcallセッション情報(例えば、123)とcallセッション情報取得部132により取得されて通知されたcallセッション情報(例えば、123)とが一致しないと判定された場合に、Webセッション情報払出部134は、不正なユーザ端末からの通信と判定して、確立したWeb通信に対してWebサービスを提供しない制御を行う。
【0052】
サービス提供部135は、サービス識別子に対応するサービスの利用要求をユーザ端末200から受信した場合に、当該利用要求がcallセッション情報に対応づけてセッションDB123に格納されるWebセッション情報を用いた通信で要求されたことを条件に、サービス識別子に対応するサービスをユーザ端末200に提供する。
【0053】
具体的には、サービス提供部135は、Webセッション情報払出部134によりcallセッション情報とWebセッション情報とを対応付けて格納された後、VoIP通信が確立されているユーザ端末200からWebセッション情報(例えば、abc)とサービス識別子(例えば、10.0.0.1)とが含まれるWebアクセスを受け付ける。続いて、サービス提供部135は、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報(例えば、abc)に対応付けられたcallセッション情報がセッションDB123に記憶されているか否かを判定する。
【0054】
そして、サービス提供部135は、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報(例えば、abc)に対応付けられたcallセッション情報がセッションDB123に記憶されている場合、受け付けたWebアクセスに含まれるサービス識別子(例えば、10.0.0.1)に対応するWebページ(例えば、/guidance.html)をサービスDB122から取得してユーザ端末200に表示出力する。
【0055】
一方、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報に対応付けられたcallセッション情報がセッションDB123に記憶されていない場合、サービス提供部135は、不正なユーザ端末からのWebアクセスであると判定し、Webサービスを提供しない制御を行う。
【0056】
(ユーザ端末200の構成)
実施例1におけるユーザ端末200は、図2に示すように、入力部201と、出力部202と、入出力制御I/F部203と、SIPAPL部210と、情報表示機能部220とを有する汎用的なPC(Personal Computer)や携帯電話、PDA、ブラウザ機能付き電話機などの端末装置である。
【0057】
入力部201は、SIPAPL部210や情報表示機能部220に用いられる情報や、各種処理をするための操作指示などを、番号キー、キーボード、マウス、マイクなどによって入力する。例えば、入力部201は、サービス提供装置100との間でSIPによって通信を確立するにあたり、SIP−URI(Uniform Resource Identifier)の元になる電話番号を、キーボードによって入力するなどする。
【0058】
出力部202は、SIPAPL部210や情報表示機能部220による各種処理の結果や、各種処理をするための操作指示などを、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどに出力する。例えば、出力部202は、後述するサービス利用部225によってサービス提供装置100からサービス提供を受けた際に、当該サービスの内容をディスプレイに表示するなどする。
【0059】
入出力制御I/F部203は、入力部201と、出力部202と、SIPAPL部210と、情報表示機能部220との間における情報転送を制御する。
【0060】
SIPAPL部210は、ユーザ端末200において、SIPによって通信を確立する過程の通信(SIP通信)や、SIPによって確立された通信を行う部であり、特に、図2に示すように、SIP通信部211と、制御部212とを有するアプリケーションである。
【0061】
SIP通信部211は、SIP用の一般的なインタフェースおよびライブラリを備え、サービス提供装置100などの他の装置との間で(SIPプロキシを介するなどして)情報を送受信する。具体的には、SIP通信部211は、サービス提供装置100との間でSIPによって確立される通信の情報などを送受信する。なお、SIP通信部211は、特許請求の範囲に記載の「送信手段」と「受信手段」に対応する。
【0062】
また、SIP通信部211は、電気通信番号を挿入したVoIP接続要求をサービス提供装置に送信したり、送信したVoIP接続要求に含まれる電気通信番号に対応する識別子であって、Webサービスを識別するWeb識別子を受信したりする。具体的には、SIP通信部211は、ユーザの指示操作によりサービス提供装置100に対してVoIP接続要求を送信するのに際して、入力部201などにより受け付けられた電話番号を当該VoIP接続要求に付加して送信する。また、SIP通信部211は、送信したVoIP接続要求に含まれる電話番号に対応するWeb識別子としてIPアドレスやドメイン名などを受信し、受信したWeb識別子を情報表示機能部220に出力する。
【0063】
制御部212は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、callセッション情報収集部213と、起動指示部214とを有し、これらによってSIPAPL部210における各種制御を行う。なお、callセッション情報収集部213は、特許請求の範囲に記載の「第1通信情報取得手段」に対応する。
【0064】
callセッション情報収集部213は、サービス提供装置100との間でVoIP通信が確立された場合に、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報を収集する。具体的には、callセッション情報収集部213は、サービス提供装置100との間でSIPによって確立された通信を一意に識別するcallセッション情報を、SIP通信に含まれる情報から収集する。また、callセッション情報収集部213は、収集したcallセッション情報を、起動指示部214に伝達する。例えば、callセッション情報収集部213は、callセッション情報としては、SIP通信に含まれる情報である『Call-ID』、または、『From』、『To』、『tag』、『IPアドレス』、もしくは、これらの組合せを収集したり、SIP通信に含まれるその他の情報の組合せを収集するなどする。
【0065】
起動指示部214は、情報表示機能部220を起動する指示を行う。具体的には、起動指示部214は、callセッション情報収集部213によってcallセッション情報を伝達されると、情報表示機能部220を起動する指示(情報表示機能部220が起動している場合には、後述するcallセッション情報送信部223を起動する指示など)を行うとともに、サービス提供装置100のURLやcallセッション情報をcallセッション情報送信部223に伝達する。
【0066】
情報表示機能部220は、ユーザ端末200において、HTTP通信を行うブラウザであり、特に、図2に示すように、HTTP通信部221と、制御部222とを有する。
【0067】
HTTP通信部221は、HTTP通信用の一般的なインタフェースおよびライブラリを備え、サービス提供装置100との間で情報を送受信する。具体的には、HTTP通信部221は、後述するcallセッション情報送信部223からサービス提供装置100にcallセッション情報を送信する通信や、後述するWebセッション情報取得部224がサービス提供装置100からWebセッション情報を受信する通信や、後述するサービス利用部225がサービス提供装置100からサービス提供を受ける通信などを行う。
【0068】
制御部222は、内部メモリにルーティング情報などを記憶して各種通信を制御するとともに、図2に示すように、callセッション情報送信部223と、Webセッション情報受信部224と、サービス利用部225とを有し、これらによって情報表示機能部220における各種制御を行う。なお、callセッション情報送信部223とWebセッション情報取得部224は、特許請求の範囲に記載の「第2通信情報取得手段」に対応し、サービス利用部225は、特許請求の範囲に記載の「サービス要求手段」に対応する。
【0069】
callセッション情報送信部223は、callセッション情報収集部213により取得されたcallセッション情報をサービス提供装置100に送信する。具体的には、callセッション情報送信部223は、起動指示部214からサービス提供装置100のURLやcallセッション情報を伝達されると、URLで示されるサービス提供装置100にcallセッション情報を送信する。例えば、ユーザ端末200がサービス提供装置100のURLを予め記憶部に記憶していることで、callセッション情報送信部223が当該URLで示されるサービス提供装置100にcallセッション情報を送信する。
【0070】
Webセッション情報取得部224は、callセッション情報送信部223により送信されたcallセッション情報と対応付けられたWebセッション情報をサービス提供装置100から取得する。具体的には、Webセッション情報取得部224は、サービス提供装置100からWebセッション情報(例えば、abc)を受信し、受信したWebセッション情報をサービス利用部225に伝達する。
【0071】
サービス利用部225は、サービス提供装置100によって提供されるサービスの提供を受け、サービスを利用する。具体的には、サービス利用部225は、Webセッション情報取得部224によって伝達されたWebセッション情報(例えば、abc)とSIP通信部211から伝達された識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)とを、HTTP通信を行うブラウザに付与してサービス提供装置100にWebアクセスを行う。その後、サービス利用部225は、サービス提供装置100に送信したWeb識別子に対応するサービスがサービス提供装置100から提供された場合、当該サービス提供を受けるために、サービス提供装置100との間でWeb通信を行う。
【0072】
[サービス提供システムによる処理(その1)]
次に、図6を用いて、サービス提供システムによる処理を説明する。図6は、実施例1に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【0073】
図6に示すように、ユーザ端末200やサービス提供装置100の電源が起動されると、それぞれの装置からSIPプロキシに対して「REGISTER」信号が送信され、その応答として「200 OK」信号がSIPプロキシからそれぞれの装置に送信されるREGISTER処理が実行される(ステップS101〜ステップS104)。このとき、一般的なSIP プロキシの動作と同様に、たとえばダイジェスト認証などを利用してユーザ端末やサービス提供者装置を認証しても良い。その場合には、不正なユーザ端末やサービス提供者装置がIP電話サービスを利用することを防止することが可能である。
【0074】
その後、ユーザ端末200のSIPAPL部210は、ユーザの指示操作によりサービス提供装置100に対してVoIP接続要求を示す「INVITE」信号を送信するのに際して、入力部201などにより受け付けられた電話番号を当該「INVITE」信号に付加して送信する(ステップS105)。そして、SIPプロキシは、この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信して、サービス提供装置100に転送する(ステップS106)。
【0075】
この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信したサービス提供装置100は、受信した「INVITE」信号に付加された電話番号に対応する識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)をサービスDB122から取得して(ステップS107)、「INVITE」信号の応答である「200 OK」信号に付加してSIPプロキシに送信し(ステップS108)、SIPプロキシは、この識別子が付加された「200 OK」信号をユーザ端末200に転送する(ステップS109)。
【0076】
そして、ユーザ端末200は、送信した「INVITE」信号に対応する「200 OK」信号を受信したことから、「ACK」信号をSIPプロキシを介してサービス提供装置100に送信する(ステップS110とステップS111)。このように、ユーザ端末200とサービス提供装置100との間で、「INVITE」、「200 OK」、「ACK」の各信号がやり取りされることにより、ユーザ端末200とサービス提供装置100との間に音声通話(SIP通信)が確立される(ステップS112)。
【0077】
その後、サービス提供装置100は、ユーザ端末200との間でVoIP通信が確立された場合に、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報を当該VoIP通信から取得する(ステップS113)。
【0078】
また、ユーザ端末200のSIPAPL部210は、サービス提供装置100との間でVoIP通信が確立された場合に、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報を収集し、収集したcallセッション情報とサービス提供装置100から受信した識別子(IPアドレス)とを情報表示機能部220に通知する(ステップS114)。そして、起動指示部214は、情報表示機能部220を起動する指示を行う(ステップS115)。
【0079】
続いて、情報表示機能部220は、起動指示部214から伝達されたサービス提供装置100のURLで示されるサービス提供装置100に、callセッション情報収集部213により取得されて通知されたcallセッション情報を送信する(ステップS116)。
【0080】
すると、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報(具体的には、callセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報)とが一致するか否かを判定する(ステップS117)。
【0081】
そして、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報とが一致する場合に、ユーザ端末200がサービスを利用する際に行う通信を行うためのWebセッション情報を、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報(具体的には、callセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報)に対応づけてセッションDB123に格納するとともに、当該Webセッション情報をユーザ端末200に送信する(ステップS118とステップS119)。
【0082】
その後、ユーザ端末200の情報表示機能部220は、callセッション情報送信部223により送信されたcallセッション情報と対応付けられたWebセッション情報をサービス提供装置100から取得し、取得したWebセッション情報と識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)とを、HTTP通信を行うブラウザに付与してサービス提供装置100にWebアクセスを行う(ステップS120)。
【0083】
これを受信したサービス提供装置100は、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報に対応付けられたcallセッション情報がセッションDB123に記憶されている場合、受け付けたWebアクセスに含まれる識別子に対応するWebページをサービスDB122から取得してユーザ端末200に表示出力する(ステップS121とステップS122)。
【0084】
そうすることにより、ユーザ端末200は、所望のサービスをサービス提供装置100から提供され、サービスを利用することができる(ステップS123)。
【0085】
[サービス提供システムによる処理(その2)]
次に、図7を用いて、図6に示した処理のセキュリティレベルを上げた例について説明する。図7は、実施例1に係るサービス提供システムにおいて、セキュリティレベルを向上させたサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【0086】
なお、図6と図7は、ほとんど同じ処理の流れであるので、ここでは、図6とは異なる処理についてのみ説明する。図7に示すように、図6と同様、ユーザ端末200とサービス提供装置100との間で、SIPプロキシを介して「INVITE」信号および「200 OK」信号がやり取りされてREGISTER処理が実行される(ステップS201〜ステップS204)。
【0087】
その後、ユーザ端末200のSIPAPL部210は、ユーザの指示操作によりサービス提供装置100に対してVoIP接続要求を示す「INVITE」信号を送信するのに際して、入力部201などにより受け付けられた電話番号を当該「INVITE」信号に付加して送信する(ステップS205)。続いて、SIPプロキシは、この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信して、サービス提供装置100に転送する(ステップS206)。
【0088】
そして、図6とは異なり、この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信したサービス提供装置100は、ステップS205とステップS206において、受信した「INVITE」信号に付加された電話番号に対応する識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)をサービスDB122から取得するとともに、当該「INVITE」信号からユーザ端末200のIPアドレスを取得する(ステップS207)。
【0089】
その後は、図6と同様、サービス提供装置100からユーザ端末200に対して識別子が付加された「200 OK」信号が送信されて、サービス提供装置100とユーザ端末200との間にVoIP通信が確立され、ユーザ端末200からcallセッション情報がサービス提供装置100に送信される(ステップS208〜ステップS216)。
【0090】
この後、図6とは異なり、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報(具体的には、callセッション情報取得部132により取得されたcallセッション情報)とが一致するか否かを判定するとともに、ステップS216でcallセッション情報が送信された際のIPアドレスとステップS207で取得したIPアドレスとが一致するか否かを判定する(ステップS217)。
【0091】
そして、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報とが一致するとともに、ステップS216でcallセッション情報が送信された際のIPアドレスとステップS207で取得したIPアドレスとが一致する場合に、図6と同様、Webセッション情報がユーザ端末200に対して払い出されてサービスが提供される(ステップS218〜ステップS223)。
【0092】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、Webページを表示させたい店舗などの電話番号を入力して発信するという使い慣れたインタフェースの使い慣れた操作のみで所望のWebページを取得することができる結果、ユーザのスキルに関係なく、どのようなユーザであっても簡単に利用できるサービスを提供することができる。
【0093】
また、実施例1によれば、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報に対応付けられたcallセッション情報を記憶している場合、つまり、現在SIP通信中のユーザ端末からのWebアクセスに対してのみWebページを応答するので、不正なユーザを排除することができ、システム全体のセキュリティを高く保つことができる。
【0094】
また、従来のサービスなどにおいては、当該サービスを利用するにあたり、ユーザ端末の利用者は、会員IDやパスワード等を入力しなければならなかったが、実施例1によれば、端末の利用者は、SIP通信の発信操作(例えば、番号入力)という簡易な操作のみで、Webサービスを利用することができる。また、日付やサブアドレス毎に提供するサービスを変更できることで、同一の電話番号(IPアドレス)で受けるサーバでも、日によって違うサービスを提供することが可能となる。
【実施例2】
【0095】
ところで、実施例1では、ユーザ端末200にSIP機能と情報表示機能の両方が備わっている場合について説明したが、SIP機能と情報表示機能とは別の筐体で実現されていてもよい。
【0096】
そこで、実施例2では、実施例1で図示したユーザ端末200がユーザ端末と電話機と別の筐体で実現され、それぞれの装置とSIPプロキシとの間にHGW(ゲートウェイ装置)を有するシステム構成の場合について説明する。なお、ここでは、実施例1と同様、通常の処理の流れ(その1)と、セキュリティレベルを上げた例(その2)について説明する。
【0097】
[実施例2に係るサービス提供システムによる処理(その1)]
まず、図8を用いて、サービス提供システムによる処理を説明する。図8は、実施例2に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【0098】
図8に示すように、HGWやサービス提供装置100の電源が起動されると、それぞれの装置からSIPプロキシに対して「REGISTER」信号が送信され、その応答として「200 OK」信号がSIPプロキシからそれぞれの装置に送信されるREGISTER処理が実行される(ステップS301〜ステップS304)。
【0099】
その後、電話機は、ユーザの指示操作によりサービス提供装置100に対してVoIP接続要求を示す「INVITE」信号を送信するのに際して、入力部201などにより受け付けられた電話番号を当該「INVITE」信号に付加して送信する(ステップS305とステップS306)。そして、SIPプロキシは、この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信して、サービス提供装置100に転送する(ステップS307)。
【0100】
この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信したサービス提供装置100は、受信した「INVITE」信号に付加された電話番号に対応する識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)をサービスDB122から取得して(ステップS308)、「INVITE」信号の応答である「200 OK」信号に付加してSIPプロキシに送信し(ステップS309)、SIPプロキシは、この識別子が付加された「200 OK」信号をHGWを介して電話機に転送する(ステップS310とステップS311)。
【0101】
そして、電話機は、送信した「INVITE」信号に対応する「200 OK」信号を受信したことから、「ACK」信号をHGWおよびSIPプロキシを介してサービス提供装置100に送信する(ステップS312〜ステップS314)。このように、電話機とサービス提供装置100との間で、「INVITE」、「200 OK」、「ACK」の各信号がやり取りされることにより、電話機とサービス提供装置100との間に音声通話(SIP通信)が確立される(ステップS315)。
【0102】
その後、サービス提供装置100は、HGW(電話機)との間でVoIP通信が確立された場合に、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報を当該VoIP通信から取得する(ステップS316)。
【0103】
また、ユーザ端末200は、サービス提供装置100との間でVoIP通信が確立された場合に、ユーザの指示操作によりWebブラウザを起動して、自動的にHGWにアクセスする(ステップS317)。すると、HGWは、確立されたVoIP通信を一意に識別するcallセッション情報を収集し、収集したcallセッション情報とサービス提供装置100から受信した識別子(IPアドレス)とをユーザ端末200に通知する(ステップS318)。
【0104】
続いて、ユーザ端末200は、HGWから伝達されたサービス提供装置100のURLで示されるサービス提供装置100に、HGWにより取得されて通知されたcallセッション情報をHGWに送信し(ステップS319)、これを受信したHGWは、NAT変換を行って(ステップS320)、受信したcallセッション情報をサービス提供装置100に送信する(ステップS321)。
【0105】
すると、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報とが一致するか否かを判定する(ステップS322)。
【0106】
そして、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報とが一致する場合に、ユーザ端末200がサービスを利用する際に行う通信を行うためのWebセッション情報を、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報に対応づけてセッションDB123に格納するとともに、当該Webセッション情報をユーザ端末200に送信する(ステップS323とステップS324)。
【0107】
その後、ユーザ端末200は、送信したcallセッション情報と対応付けられたWebセッション情報をサービス提供装置100からHGWを介してNAT変換などがされて取得し、取得したWebセッション情報と識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)とを、HTTP通信を行うブラウザに付与してサービス提供装置100にWebアクセスを行う(ステップS325)。
【0108】
これを受信したHGWは、NAT変換を行って(ステップS326)、受信したcallセッション情報をサービス提供装置100に送信する(ステップS327)。
【0109】
そして、サービス提供装置100は、受け付けたWebアクセスに含まれるWebセッション情報に対応付けられたcallセッション情報がセッションDB123に記憶されている場合、受け付けたWebアクセスに含まれる識別子に対応するWebページをサービスDB122から取得してユーザ端末200に表示出力する(ステップS328とステップS329)。
【0110】
そうすることにより、ユーザ端末200は、所望のサービスをサービス提供装置100からHGWを介して提供され、サービスを利用することができる(ステップS330)。
【0111】
[実施例2に係るサービス提供システムによる処理(その2)]
次に、図9を用いて、図8に示した処理のセキュリティレベルを上げた例について説明する。図9は、実施例2に係るサービス提供システムにおいて、セキュリティレベルを向上させたサービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【0112】
なお、図8と図9は、ほとんど同じ処理の流れであるので、ここでは、図8とは異なる処理についてのみ説明する。図9に示すように、図8と同様、HGWとサービス提供装置100との間で、SIPプロキシを介して「INVITE」信号および「200 OK」信号がやり取りされてREGISTER処理が実行される(ステップS401〜ステップS404)。
【0113】
その後、電話機は、ユーザの指示操作によりサービス提供装置100に対してVoIP接続要求を示す「INVITE」信号を送信するのに際して、ユーザの指示操作により受け付けられた電話番号を当該「INVITE」信号に付加して送信する(ステップS405)。続いて、HGWは、受信した信号をSIPプロキシに送信し(ステップS406)、SIPプロキシは、この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信して、サービス提供装置100に転送する(ステップS407)。
【0114】
そして、図8とは異なり、この電話番号が付加された当該「INVITE」信号を受信したサービス提供装置100は、ステップS406とステップS407において、受信した「INVITE」信号に付加された電話番号に対応する識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)をサービスDB122から取得するとともに、当該「INVITE」信号からHGWのIPアドレスを取得する(ステップS408)。
【0115】
その後は、図8と同様、サービス提供装置100から電話機に対して識別子が付加された「200 OK」信号が送信されて、サービス提供装置100とHGWとの間にVoIP通信が確立され、ユーザ端末200からcallセッション情報がサービス提供装置100に送信される(ステップS409〜ステップS421)。
【0116】
この後、図8とは異なり、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報とが一致するか否かを判定するとともに、ステップS421でcallセッション情報が送信された際のIPアドレスとステップS408で取得したIPアドレスとが一致するか否かを判定する(ステップS422)。
【0117】
そして、サービス提供装置100は、ユーザ端末200から受信したcallセッション情報と、確立したVoIP通信から自装置で取得したcallセッション情報とが一致するとともに、ステップS421でcallセッション情報が送信された際のIPアドレスとステップS408で取得したIPアドレスとが一致する場合に、図8と同様、Webセッション情報がユーザ端末200に対して払い出されてサービスが提供される(ステップS423〜ステップS430)。
【0118】
[実施例2による効果]
このように、実施例2によれば、1台のHGW(ゲートウェイ装置)の配下に、複数にユーザ端末が接続されている場合であっても、SIP通信を行っているネットワークに対してのみWebページを応答することができ、複数の端末を同時に使うなど、ユーザの利便性も向上する。
【0119】
例えば、実施例2の手法によれば、1台のHGWの配下に、SIPAPLや情報表示端末が複数接続されている場合であっても、言い換えると、1つの代表SIP−URIの配下に、複数のUA(User Agent)が存在する場合であっても、SIP通信を確立したSIP端末(SIPAPL)と組で利用される情報表示端末のWebセッション情報を特定することができることから、一時的な関係に基づいたサービス提供を実現することが可能になる。
【実施例3】
【0120】
また、本願が開示するサービス提供システムは、ユーザ端末に提供したWebページの選択状況に応じた様々なサービスを提供することができる。そこで、実施例3では、図10〜図12を用いて、実施例1と実施例2のそれぞれの構成において、サービス提供手法を具体的に説明する。
【0121】
[実施例3に係るサービス提供システムによる処理(その1)]
まず、図10を用いて、サービス提供システムによる処理を説明する。図10は、実施例3に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れ(その1)を示すシーケンス図である。
【0122】
図10に示すように、図6や図7などの処理が実行されることにより、サービス提供装置100からユーザ端末200に対してサービス提供が実行される状況となった場合(ステップS501)、ユーザ端末200では、サービス提供装置100から取得したWebページを所定の間隔でリロードやJava(登録商標)Script非同期通信することにより、サービス提供装置側100からのイベント通知を受信する(ステップS502)。
【0123】
そして、ユーザ端末200は、Webページ上に表示される番号をユーザの操作により受け付けて(ステップS503)、受け付けた(選択された)番号をサービス提供装置100に送信する(ステップS504)。すると、サービス提供装置100では、ユーザ端末200により選択された番号に対応するサービスを特定し(ステップS505)、特定したサービスをユーザ端末200に提供する(ステップS506)。
【0124】
例えば、ユーザ端末200の情報表示機能部220は、図11−1に示すようWebページを表示しており、このページ上で[9]が選択されると、サービス提供装置100では、「/voice/top.wav」を実行することにより、当該ページの音声読み上げをIP電話を通じて伝達する。
【0125】
また、ユーザ端末200は、Webページ上に表示される別の番号をプッシュ番号として受け付けた場合(ステップS507)、受け付けた(選択された)番号をPB信号としてサービス提供装置100に送信する(ステップS508)。すると、サービス提供装置100では、このPB信号から選択されたサービスを特定し(ステップS509)、特定したサービスをユーザ端末200に提供する(ステップS510とステップS511)。
【0126】
例えば、ユーザ端末200は、図11−1に示すようなWebページを表示しており、SIPAPL部210により[2]が選択されると、選択された[2]をPB信号としてサービス提供装置100に送信し、サービス提供装置100では、図11−2に示すように、「どうなるこうなる勝手投票所」のWebページ「/html/vote.html」をユーザ端末200の情報表示機能部220に応答する。
【0127】
また、例えば、ユーザ端末200は、図11−1に示すようなWebページを表示しており、SIPAPL部210により[3]が選択されると、選択された[3]をPB信号としてサービス提供装置100に送信し、サービス提供装置100では、図11−3に示すように、「今度は○○が危ない」のWebページ「/html/warning.html」をユーザ端末200の情報表示機能部220に応答する。
【0128】
なお、図11−1は、ユーザ端末に提供するWebページの例を示す図であり、図11−2と図11−3は、ユーザ端末に提供するWebページの遷移例を示す図である。
【0129】
[実施例3に係るサービス提供システムによる処理(その2)]
次に、図12を用いて、サービス提供システムによる処理を説明する。図12は、実施例3に係るサービス提供システムにおけるサービス提供処理の流れ(その2)を示すシーケンス図である。
【0130】
図12に示すように、図8や図9などの処理が実行されることにより、サービス提供装置100からユーザ端末に対してサービス提供が実行される状況となった場合(ステップS601)、ユーザ端末では、サービス提供装置100から取得したWebページを所定の間隔でリロードやJava(登録商標)Script非同期通信することにより、サービス提供装置側100からのイベント通知を受信する(ステップS602)。
【0131】
そして、ユーザ端末は、Webページ上に表示される番号をユーザの操作により受け付けて、受け付けた(選択された)番号をHGWに送信し(ステップS603)、HGWでは、これにNAT変換を行ってサービス提供装置100に送信する(ステップS604とステップS605)。すると、サービス提供装置100では、ユーザ端末により選択された番号に対応するサービスを特定し(ステップS606)、特定したサービスを電話機に提供する(ステップS607)。
【0132】
また、電話機でユーザ端末に表示されるWebページ上の別の番号が選択されると、当該選択された番号がPB信号としてHGWを介してサービス提供装置100に送信される(ステップS608とステップS609)。すると、サービス提供装置100では、このPB番号から選択されたサービスを特定し(ステップS610)、特定したサービスをHGWに送信する(ステップS611とステップS612)。そして、HGWは、これにNAT変換などを行ってユーザ端末に送信し、ユーザ端末では新たなWebページが表示される(ステップS613)。
【0133】
[実施例3による効果]
このように、実施例3によれば、Webページを用いた簡単な操作でユーザがそのときに欲するサービスを特定して、そのサービスを提供することができる結果、ユーザのスキルに関係なく、どのようなユーザであっても簡単に利用できるサービスを提供することができる。さらに、どのようなユーザにも簡単にサービスが利用できるので、当該サービス提供システムの普及および利用者の拡大が見込まれる。
【0134】
更に、実施例3によれば、Webページの内容をIP電話システムを通じて伝達できるため、PCの設定如何に関わらず内容を通知することが可能となる。つまり、PCでの音声再生が、アプリ、PCそのものの設定、デバイスの設定、マイクの音量など様々なものに影響されることに対し、音声は確実な音量で伝えられる。更に、Webページの遷移を電話機操作のみで行えることで、誰にでも簡単にサービスを利用させることが可能となる。
【実施例4】
【0135】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0136】
[パラメータ交換]
例えば、上記実施例では、発信者番号にあわせたIPアドレス情報を返信する例を示したが、例えば、通常のIP電話システムで行われている範囲であっても適用は可能である。具体的には、SIPのやり取りにおいては、VoIP通信確立のみを目的とした情報を交換する。このとき、ユーザ端末はサービス提供装置とのVoIP通信の確立に利用したIPアドレス情報、Callセッション情報を取得し、Callセッション情報をパラメータとしたHTTP通信をサービス提供装置のIPアドレス(具体的には、通常のHTTPに利用される80番ポート)に対して送信することで、Web通信を確立する。
【0137】
[NAT変換]
また、上記した実施例では、HGWにおいてNAT変換が実施される場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、閉域網とインターネットとの境に位置するファイアウォールやIDSなどの別の通信機器が実行するようにしてもよい。また、実施例で記載したNAT変換は、特別な処理を実行するものではなく、一般的なNAT変換、つまり、一つのグローバルなIPアドレスを複数のコンピュータで共有するためのグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの変換である。
【0138】
[通信プロトコルの選択]
上記の実施例においては、第1の通信が、SIPによってセッションが確立される過程の通信であり、第2の通信が、Web通信(HTTP通信)であることを想定してきたが、本発明はこれに限られるものではない。電気通信番号で接続される第1の通信によって確立されるセッションとIP通信接続にて接続される第2の通信のセッションとが互いに異なるセッションであれば、具体的な通信プロトコルはいずれでもよい。
【0139】
[callセッション情報の再利用]
また、サービス提供装置は、Webセッション情報を用いてサービスが提供された際に、提供されたサービスに関する情報と、当該Webセッション情報に対応づけてセッション情報記憶部に格納されているcallセッション情報とを対応づけ、当該対応づけを予め設定された有効期間とともに記憶部に格納する。また、サービス提供装置は、端末が、有効期間内に、記憶部によって記憶されているcallセッション情報を指定してサービス提供装置との間でWeb通信を行うと、当該callセッション情報を検索キーとして記憶部を検索し、当該callセッション情報に対応づけて格納されているサービスに関する情報を取得する。そして、サービス提供装置は、サービスに関する情報を取得すると、当該情報に基づいて、当該端末に対するサービスを制御する。この場合には、有効期間内であれば、過去にSIPによって同一の通信を確立した端末各々の一時的な通信関係(過去の通信関係)に基づいて、サービスを制御することが可能になる。
【0140】
例えば、端末は、Webサービスの初回利用時に用いたcallセッション情報を端末内に保存しておき、一方、サービス提供装置は、当該callセッション情報に対応づけて、いつ、誰と、どのタイミングで接続した端末であるか、端末の利用データは何か、等を保存しておいたとする。すると、端末が、次回利用時に、このcallセッション情報を用いてサービス提供装置にアクセスすれば、サービス提供装置は、これらの情報に基づいて、サービス提供を再制御することができる。
【0141】
[システム構成等]
また、上記の実施例においては、SIPプロキシとサービス提供装置とが物理的に異なる装置で実現されている事例を説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。SIPプロキシとサービス提供装置とは物理的に同一の装置で実現されていてもよく、また、同一の事業者で運営されていてもよい。
【0142】
また、上記の実施例においては、単一のSIPプロキシがSIP信号(SIPの具体的な信号、INVITE、200 OKなどの種類、および、From、Toなどのパラメータを含む)を仲介する事例を説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。複数のSIPプロキシがSIP信号を仲介する事例や、NGN(Next Generation Network)におけるAS(Application Server)などがSIP信号を仲介する事例にも、本発明を同様に適用することができる。
【0143】
また、上記の実施例2などでは、SIPAPLと情報表示端末との間の情報伝達を代行するとともに、サービス提供の対象となる情報表示端末を特定する装置としての役割を、HGWが行う手法について説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、SIPAPLにWebサーバ相当の機能が備えられれば、SIPAPLと情報表示端末との間の情報伝達が可能になり、情報表示端末からSIPAPLに向かってcallセッション情報取得の処理を行うことで、サービス提供の対象となる情報表示端末を特定することも可能になる(HGWが不要な構成となる)。
【0144】
また、実施例2において、SIPプロキシが、HGWにサービス提供装置のURLを通知する手法を説明したが、仮に、SIPAPLがWebサーバ相当の機能を備える場合には、SIPプロキシが、SIPAPL自体にサービス提供装置のURLを通知する手法を用いることもできる。
【0145】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0146】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0147】
なお、本実施例で説明したサービス提供方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、本発明に係るサービス提供装置、サービス提供方法、サービス提供プログラムおよびサービス提供システムは、ネットワークに接続される複数の端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供するサービス提供装置が、当該サービスを制御することに有用であり、特に、ユーザのスキルに関係なく、どのようなユーザであっても簡単に利用できるサービスを提供することに適する。
【符号の説明】
【0149】
1 IPネットワーク
100 サービス提供装置
110 通信制御I/F部
120 記憶部
121 ユーザ情報DB
122 サービスDB
123 セッションDB
130 制御部
131 識別子送信部
132 callセッション情報収集部
133 判定部
134 Webセッション情報払出部
135 サービス提供部
200 ユーザ端末
201 入力部
202 出力部
203 入出力制御I/F部
210 SIPAPL部
211 SIP通信部
212 制御部
213 callセッション情報収集部
214 起動指示部
220 情報表示機能部
221 HTTP通信部
222 制御部
223 callセッション情報送信部
224 Webセッション情報取得部
225 サービス利用部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供するサービス提供装置であって、
電気通信番号が挿入されたIP電話接続要求を端末装置から受信した場合に、前記電気通信番号に対応するサービスを一意に識別するサービス識別子を当該端末装置に送信する識別子送信手段と、
前記端末装置との間でIP電話通信が確立された場合に、確立されたIP電話通信を一意に識別する第1通信情報を、当該確立されたIP電話通信から取得する第1通信情報取得手段と、
前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報に対応づけて第2通信情報記憶手段に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信する第2通信情報格納手段と、
前記サービス識別子に対応するサービスの利用要求を前記端末装置から受信した場合に、当該利用要求が前記第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶手段に格納される第2通信情報を用いた通信で要求されたことを条件に、前記サービス識別子に対応するサービスを前記端末装置に提供するサービス提供手段と、
を備えたことを特徴とするサービス提供装置。
【請求項2】
前記端末装置から第1通信情報を受信して、当該受信した第1通信情報と前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報とが一致するか否かを判定する通信情報判定手段をさらに備え、
前記第2通信情報格納手段は、前記通信情報判定手段により一致すると判定された場合に、前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶手段に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信することを特徴とする請求項1に記載のサービス提供装置。
【請求項3】
前記IP電話接続要求を受信した際に取得したIPアドレスと、前記端末装置から第1通信情報を受信した際に取得したIPアドレスとが一致するか否かを判定するアドレス判定手段をさらに備え、
前記第2通信情報格納手段は、前記アドレス判定手段により一致すると判定された場合に、前記アドレス判定手段により前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶手段に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信することを特徴とする請求項1または2に記載のサービス提供装置。
【請求項4】
前記サービス提供手段は、前記サービスとしてWebページを前記端末装置に提供した後に、前記端末装置がWebページ上に記載されるサービスを選択する操作すると、当該操作に対応するサービスを前記端末装置に提供することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のサービス提供装置。
【請求項5】
ネットワークに接続される端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供することに適したサービス提供方法であって、
電気通信番号が挿入されたIP電話接続要求を端末装置から受信した場合に、前記電気通信番号に対応するサービスを一意に識別するサービス識別子を当該端末装置に送信する識別子送信工程と、
前記端末装置との間でIP電話通信が確立された場合に、確立されたIP電話通信を一意に識別する第1通信情報を、当該確立されたIP電話通信から取得する第1通信情報取得工程と、
前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得工程により取得された第1通信情報に対応づけて第2通信情報記憶部に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信する第2通信情報格納工程と、
前記サービス識別子に対応するサービスの利用要求を前記端末装置から受信した場合に、当該利用要求が前記第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶部に格納される第2通信情報を用いた通信で要求されたことを条件に、前記サービス識別子に対応するサービスを前記端末装置に提供するサービス提供工程と、
を含んだことを特徴とするサービス提供方法。
【請求項6】
ネットワークに接続される端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供することをコンピュータに実行させるサービス提供プログラムであって、
電気通信番号が挿入されたIP電話接続要求を端末装置から受信した場合に、前記電気通信番号に対応するサービスを一意に識別するサービス識別子を当該端末装置に送信する識別子送信手順と、
前記端末装置との間でIP電話通信が確立された場合に、確立されたIP電話通信を一意に識別する第1通信情報を、当該確立されたIP電話通信から取得する第1通信情報取得手順と、
前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得工程により取得された第1通信情報に対応づけて第2通信情報記憶部に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信する第2通信情報格納手順と、
前記サービス識別子に対応するサービスの利用要求を前記端末装置から受信した場合に、当該利用要求が前記第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶部に格納される第2通信情報を用いた通信で要求されたことを条件に、前記サービス識別子に対応するサービスを前記端末装置に提供するサービス提供手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするサービス提供プログラム。
【請求項7】
ネットワークに接続される端末装置に当該ネットワーク上のサービスを提供するサービス提供装置が、当該サービスを制御するサービス提供システムであって、
前記端末装置は
電気通信番号を挿入したIP電話接続要求をサービス提供装置に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信されたIP電話接続要求に含まれる電気通信番号に対応する識別子であって、前記サービスを識別するサービス識別子を受信する受信手段と、
前記サービス提供装置との間でIP電話通信が確立された場合に、確立されたIP電話通信を一意に識別する第1通信情報を取得する第1通信情報取得手段と、
前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報を前記サービス提供装置に送信し、前記第1通信情報と対応付けられた第2通信情報をサービス提供装置から取得する第2通信情報取得手段と、
前記第2通信情報取得手段により取得された第2通信情報を用いた通信で、前記受信手段により受信されたサービス識別子に対応するサービスの提供を前記サービス提供装置に要求するサービス要求手段と、を備え、
前記サービス提供装置は、
前記電気通信番号が挿入されたIP電話接続要求を端末装置から受信した場合に、前記電気通信番号に対応するサービス識別子を当該端末装置に送信する識別子送信手段と、
前記端末装置との間でIP電話通信が確立された場合に、確立されたIP電話通信を一意に識別する第1通信情報を、当該確立されたIP電話通信から取得する第1通信情報取得手段と、
前記端末装置から受信した第1通信情報と、前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により第1通信情報が一致すると判定された場合に、前記端末装置が当該サービス提供装置との間で前記サービスを利用する際に行う通信を一意に識別する第2通信情報を、前記第1通信情報取得手段により取得された第1通信情報に対応づけて第2通信情報記憶手段に格納し、前記端末装置からのサービス要求時に当該第2通信情報を前記端末装置に送信する第2通信情報格納手段と、
前記サービス識別子に対応するサービスの利用要求を前記端末装置から受信した場合に、当該利用要求が前記第1通信情報に対応づけて前記第2通信情報記憶手段に格納される第2通信情報を用いた通信で要求されたことを条件に、前記サービス識別子に対応するサービスを前記端末装置に提供するサービス提供手段と、
を備えたことを特徴とするサービス提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−186262(P2010−186262A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29006(P2009−29006)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】