説明

サーボ制御装置

【課題】実際の応答を見ながら複数の演算器のうち最適な構成を選択し、最短時間応答や最小オーバシュートを実現するサーボ制御装置を提供する。
【解決手段】指令にフィルタ処理をする指令フィルタ(103)と、フィルタ処理後の指令を変換し新たな指令を生成する指令変換器(101)と、フィルタ処理後の指令からフィードフォワードトルク指令を生成するフィードフォワード演算器(102)と、を備え、指令変換器は、制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力を選択するスイッチを備え、前記フィードフォワード演算器は、制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の逆特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力を選択できるスイッチを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象モデルのパラメータが未知の場合や、モデル化誤差が大きい場合も良好な位置決め特性を実現できるサーボ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサーボ制御装置は、制御対象を伝達関数モデルで近似し、その逆特性をもつようにフィードフォワードを構成することで、目標位置指令と制御対象の位置を一致させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は特許文献1に開示された従来の電動機制御装置のフィードフォワード回路のブロック図である。図5において、240はωrの4重根を持つ4次のローパスフィルタからなる指令フィルタ。212はフィルタ通過後の指令refを入力し、位置指令信号prefに対して負荷機械の回転位置を理想的に応答させるようなフィードフォワードトルク信号τfをフィードフォワードトルク信号生成フィルタ241で演算し、そのときの予想される電動機回転位置の応答を応答目標位置信号xfとして応答目標電動機位置信号生成フィルタ242で演算し出力する回路である。
【0004】
ここで制御対象を2慣性系メカで近似した場合、電動機トルクtrefから電動機回転速度までの伝達関数G(s)および電動機トルクtrefから負荷機械2の回転速度までの伝達関数G(s)は、機械系の総イナーシャJ、反共振周波数ωz、共振周波数ωpを用いて、それぞれ上記の式(1)で表される。
【0005】
【数1】

【0006】
この場合は、フィードフォワードトルク信号生成フィルタ241は応答目標負荷位置信号refを入力し、総イナーシャJの推定値であるイナーシャ推定値Jeおよび共振周波数ωpの推定値である推定共振周波数ωpeを用いてG(s)の逆関数の微分に相当する式(2)を用いることによりフィードフォワードトルク信号τfを出力する。
【0007】
【数2】

【0008】
次に、応答目標電動機位置信号生成フィルタ242は応答目標負荷位置信号refを入力し、機械系の反共振周波数ωzの推定値ωzeを用いて、G(s)とG(s)の比に相当する次の式(3)の演算により電動機回転位置xfbの応答目標信号である応答目標位置信号xfを出力する。
【0009】
【数3】

【0010】
上記のようにフィードフォワード回路212がフィルタ通過後の位置指令信号refを入力してフィードフォワードトルク信号τfと応答目標位置信号xfを出力することにより、位置指令信号prefに対して負荷機械回転位置xLはオーバーシュート無く良好な形で応答し、またその応答の速さは目標値応答速度調整パラメータωrの調整によって任意に変えることができる。
【0011】
このように、従来のサーボ装置は、制御対象を伝達関数モデルで近似し、その逆特性をもつようにフィードフォワードを構成することで、目標位置指令と制御対象の位置を良好な形で応答させるのである。
【特許文献1】特開2002−186269号公報(第12頁、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のサーボ制御装置は、制御対象を伝達関数モデルで近似し、その逆特性をもつようにフィードフォワードを構成するようになっているため、伝達関数を近似した際に、実際の制御対象に対してモデル化誤差が大きい場合、特に、伝達関数の次数や構造自体が間違っている場合など、そのままの伝達関数を用いて逆特性をもつフィードフォワードをしても、位置決め特性をよくすることが出来ないという問題があった。
【0013】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、実際の制御対象に対するモデル化誤差が大きい場合でも、実際の応答を見ながら複数の演算器の構成を選択し、最短時間応答や最小オーバシュートを実現するサーボ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、指令と制御対象の検出値をもとに、制御対象が所望の動作を実現するように制御演算を行い、トルク指令を生成し前記制御対象を駆動するサーボ制御装置において、 前記指令にフィルタ処理をする指令フィルタと、フィルタ処理後の指令を変換し新たな指令を生成する指令変換器と、フィルタ処理後の指令からフィードフォワードトルク指令を生成するフィードフォワード演算器と、を備え、前記指令変換器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力を選択するスイッチを備え、前記フィードフォワード演算器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の逆特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力を選択できるスイッチを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、指令と制御対象の検出値をもとに、制御対象が所望の動作を実現するように制御演算を行い、トルク指令を生成し前記制御対象を駆動するサーボ制御装置において、前記指令にフィルタ処理をする指令フィルタと、フィルタ処理後の指令を変換し新たな指令を生成する指令変換器と、フィルタ処理後の指令からフィードフォワードトルク指令を生成するフィードフォワード演算器と、を備え、前記指令変換器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力それぞれにゲインを乗じたのち加算する加算器を備え、前記フィードフォワード演算器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の逆特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力それぞれにゲインを乗じたのち加算する加算器を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のサーボ制御装置において、前記制御対象の検出値と、実際に制御したい状態量が異なる場合、前記指令変換器は、前記複数の演算器に加え、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの一部の特性および、前記制御対象のトルク指令から制御したい状態量までを近似した伝達関数モデルの一部の逆特性を演算する演算器を備え、前記フィードフォワード演算器は、前記複数の演算器に加え、前記制御対象のトルク指令から制御したい状態量までを近似した伝達関数モデルの一部の逆特性を演算する演算器を備えることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3記載のサーボ制御装置において、前記指令変換器内のスイッチおよび前記フィードフォワード演算器内のスイッチの全ての組み合わせで、実際に制御対象を動作させ、最適な応答をする組み合わせを決定することを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載のサーボ制御装置において、前記最適な応答をする組み合わせは、実際の応答の位置決め時間が最短か、またはオーバシュートが最小になるような組み合わせであること特徴とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項3記載のサーボ制御装置において、前記記ゲインを調整する際に、実際に制御対象を動作させ、実際の応答を見ながら調整することを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6記載のサーボ制御装置において、前記ゲインを調整する際に、実際の応答の位置決め時間が最短か、またはオーバシュートが最小になるように調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によると、制御対象を伝達関数モデルで近似した際の伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する複数の演算器の出力をスイッチで切り替えることができ、制御対象の伝達関数モデルのパラメータだけでなく構成までも変えることができるため、調整時の自由度が増し、制御対象モデルのパラメータが未知の場合や、モデル化誤差が大きい場合に、伝達関数モデルのパラメータのみで調整する場合に比べ最短時間や最小オーバシュートなどの位置決め応答を実現することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、制御対象を伝達関数モデルで近似した際の伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する複数の演算器の出力全てにゲインを乗じて総和を求めることができ、複数の制御対象の構成を少しずつ考慮することができ、調整時の自由度が増し、制御対象モデルのパラメータが未知の場合や、モデル化誤差が大きい場合も、伝達関数モデルのパラメータのみで調整する場合に比べ、最短時間や最小オーバシュートなどの位置決め応答を実現することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、実際に制御したい状態量が検出値と異なる場合も、それを考慮したフィードフォワード制御を行えるため、検出値と制御したい状態量が異なる場合も最短時間応答や最小オーバシュートなどの位置決め特性が得られる。
また、請求項4乃至7に記載の発明によると、実際の応答を見ながら調整できるため、制御対象モデルのパラメータが未知の場合や、モデル化誤差が大きい場合も調整により微調整でき、最短時間応答や最小オーバシュートなどの位置決め特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明のサーボ制御装置のブロック図である。図において、1は制御対象を表し、103は位置指令prefをフィルタ処理し滑らかにする指令フィルタを表す。ここで指令フィルタは指令を滑らかにするものなら何でも良く、従来のように4次のローパスフィルタを用いても良いし、移動平均フィルタなどを用いても良い。101はフィルタ通過後の位置指令refを制御対象の伝達特性に基づいて変換し変換後の指令xrを出力する指令変換器である。102はフィードフォワード演算器を表し、制御対象の伝達特性に基づいてトルクフィードフォワード信号tffを演算する。100は制御器を表し、変換後の指令xrおよび、制御対象の位置検出値xfbを入力し、制御演算を行いトルク指令trを出力する。出力されたtrとトルクフィードフォワード信号tffを加算し、最終的なトルク指令値trefを操作量として出力する。図1では、トルク指令を電流指令に変換する電流制御器および、制御対象の値を検出する検出器は省略している。
【0019】
図2は、101の指令変換器と102のフィードフォワード演算器の詳細を説明する図である。
【0020】
まず、指令変換器101の内容を説明する。
図中10は制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの一部の特性のみを演算する演算器Bを表す。11は制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性G1(s)・G2(s)と、制御対象のトルク指令から制御したい状態量までを近似した伝達関数モデルの一部の特性G3(s)の逆特性を演算する演算器Cを表す。12は入力された指令と演算器Bの出力と演算器Cの出力を切り替えるスイッチを表す。
【0021】
次に、フィードフォワード変換器102について説明する。
図中6は制御対象を伝達関数モデルで近似した伝達関数モデルG1(s)・G2(s)の逆特性を演算するFF演算器Aを表す。7は伝達関数モデルG1(s)・G2(s)の一部の特性G2(s)を省いた伝達関数G1(s)の逆特性を演算するFF演算器Bを表す。8は制御対象のトルク指令から制御したい状態量までを近似した伝達関数モデルの一部の特性G3(s)の逆特性を演算するFF演算器Cを表す。9はFF演算器Aと、前記FF演算器Bと、前記FF演算器Cの出力を切り替えるFFスイッチを表す。
【0022】
本発明が従来技術と異なる部分は、10の演算器Bと11の演算器Cと12のスイッチと7のFF演算器Bと8のFF演算器Cと9のFFスイッチを備えた部分である。
【0023】
図4に制御器100内部の処理の一例を示す。3は位置制御器を表し、2は速度制御器を表す、4と5はラプラス演算子Sであり、微分を表す。Kpは位置ループ比例ゲインを表し、Kvは速度ループ比例ゲイン、Kiは速度ループ積分ゲインを表す。また、Jはノミナルイナーシャ値を表すものとする。
【0024】
このように、本実施例では、制御器100で位置比例、速度比例積分制御、さらに、速度フィードフォワードを構成しているが、制御器ではどのような制御を行っても良く、単純にPID制御を行っても良い。
【0025】
以下に、具体的に制御対象を剛体および電流制御部をTfを時定数とする一次遅れフィルタで近似した場合の例を示す。
まず、制御対象の伝達関数モデルは式(4)のようになる。
【0026】
【数4】


この場合、図2に示す、それぞれの記号は式(5)のようになる。
【0027】
【数5】

【0028】
この例の場合G1(s)が剛体のモータモデル、G2(s)が電流制御部を近似したモデルであるが、Tfが十分に小さい時はG2(s)の特性は無視できる。また、非線形な摩擦が存在した場合は、かえってG2(s)のフィルタ特性は考慮しないで、オーバシュート気味にトルクフィードフォワードを作成したほうが結果として位置決め特性が良い場合がある。よって、スイッチはAとBの両方を試してみて、位置決め特性のいいほうを選択すればよいのである。また、この場合、検出値と制御したい状態量が同じであるため、G3(s)は1になる。
【0029】
このように、本発明の構成にしておくことで、制御対象の伝達関数モデルに無視できる要素や、未知の外乱等があった場合、一部の項を無視して、フィードフォワードを構成できるため、伝達関数モデルのパラメータのみで調整する場合に比べ、調整の自由度が増え、最適なフィードフォワード制御を実現でき、良好な位置決め特性が得られるのである。
【実施例2】
【0030】
次に制御対象が2慣性系+むだ時間であった場合の例を示す。この場合、指令refから制御対象の検出値であるモータ位置xfbまでの制御対象の伝達関数モデルは式(6)のようになる。また、指令refから負荷位置までの伝達関数モデルは式(7)のようになる。
【0031】
【数6】

【0032】
【数7】



ここで、Dはダンピング係数、Kはバネ定数、J1は2慣性系の1次側イナーシャ、J2は二次側イナーシャを表すものとする。
この場合、図2に示す、それぞれの記号は式(8)のようになる。
【0033】
【数8】



この場合、制御したい状態量が検出値であるモータ位置の場合は、はスイッチでBを選択すれば、制御対象の位置検出値をむだ時間の分だけ無視して指令に追従させることができる。
【0034】
また、制御したい状態量が負荷位置の場合は、スイッチをCにしておけば負荷位置をむだ時間の分だけ無視して指令に追従させることができるのである。
また、制御したい状態量が負荷位置であり、且つダンピング係数Dが十分小さく無視したい場合は式(9)のように各伝達関数を選んでも良い。
【0035】
【数9】



この場合はスイッチをBにすることで、制御対象の負荷位置をダンピング係数Dの分だけ無視して指令に追従させることができる。
【0036】
このように、本発明ではG3(s)を考慮できるようになっているため、制御したい状態量が検出値と異なる場合も、指令と制御したい状態量を一致させるようにフィードフォワードを構成でき、どのような制御対象を制御する際も、最適なフィードフォワードを実現できるのである。
【実施例3】
【0037】
図3は第2実施例の構成を示す図である。実施例1との違いは、指令変換器101のスイッチ9および、フィードフォワード制御器102内のFFスイッチの替わりに、13、14、15、16、17、18に示すゲインと19、20に示す加算器を備えた点である。
【0038】
図のように、それぞれの信号にゲインα、β、γを乗じて加算器で総和を求め出力する。ここで、基本的にはαとβとγの総和は1とするが、実際には、制御対象の伝達関数モデルの近似誤差があるため、かならずしも総和を1とする必要は無い。また、図3では、13と16、14と17、15と18は同じゲインを乗じているが、これらも調整によって、別の値に設定しても良い。
このように制御対象を伝達関数モデルで近似した際の伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する複数の演算器の出力全てにゲインを乗じて総和を求めることができ、複数の制御対象の構成を少しずつ考慮することができ、調整時の自由度が増し、制御対象モデルのパラメータが未知の場合や、モデル化誤差が大きい場合も、伝達関数モデルのパラメータのみで調整する場合に比べ、良好な位置決め応答を実現することができるのである。
【0039】
また、これらのゲインを調整する際には、実際に機械を動作させてみて、実際の応答の位置決め時間が出来るだけ短くなるように、あるいは、実際の応答のオーバシュートが出来るだけ小さくなるように調整すれば、動作させる指令に合った最適なゲイン設定が可能である。
【0040】
このように、実際の応答を見ながらゲインを調整できる構成をしているので、モデル化誤差がある場合も、動作させる指令に合った最適なゲイン設定をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
指令変換器とフィードフォワード演算器内部で、制御対象の伝達関数モデルに基づいた複数の演算器の出力を選択あるいは、重みをかけて総和を求めてフィードフォワード制御するため、制御対象モデルのパラメータが未知なときやモデル化誤差があった場合も最適な動作を実現できるので、工作機やロボットのように電動機の制御だけでなく油圧式の機械や化学プラントの制御という用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のサーボ制御装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施例を示すサーボ制御装置のブロック図
【図3】本発明の第2の実施例を示すサーボ制御装置のブロック図
【図4】本発明の制御器を示すブロック図
【図5】従来のサーボ制御装置のブロック図
【符号の説明】
【0043】
1 制御対象
2 速度制御器
3 位置制御器
・ 微分要素
6 FF演算器A
7 FF演算器B
8 FF演算器C
9 FFスイッチ
10 演算器B
11 演算器C
12 スイッチ
13、14、15、16、17、18 ゲイン
19、20 加算器
100 制御器
101 指令変換器
102 フィードフォワード演算器
103 指令フィルタ
212 フィードフォワード回路
240 指令フィルタ
241 フィードフォワードトルク信号生成フィルタ
242 応答目標電動機位置信号生成フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令と制御対象の検出値をもとに、制御対象が所望の動作を実現するように制御演算を行い、トルク指令を生成し前記制御対象を駆動するサーボ制御装置において、
前記指令にフィルタ処理をする指令フィルタと、フィルタ処理後の指令を変換し新たな指令を生成する指令変換器と、フィルタ処理後の指令からフィードフォワードトルク指令を生成するフィードフォワード演算器と、を備え、
前記指令変換器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力を選択するスイッチを備え、
前記フィードフォワード演算器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の逆特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力を選択できるスイッチを備えたことを特徴とするサーボ制御装置。
【請求項2】
指令と制御対象の検出値をもとに、制御対象が所望の動作を実現するように制御演算を行い、トルク指令を生成し前記制御対象を駆動するサーボ制御装置において、
前記指令にフィルタ処理をする指令フィルタと、フィルタ処理後の指令を変換し新たな指令を生成する指令変換器と、フィルタ処理後の指令からフィードフォワードトルク指令を生成するフィードフォワード演算器と、を備え、
前記指令変換器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力それぞれにゲインを乗じたのち加算する加算器を備え、
前記フィードフォワード演算器は、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの特性の一部の逆特性を演算する演算器を複数備えており、複数の演算器の出力それぞれにゲインを乗じたのち加算する加算器を備えたことを特徴とするサーボ制御装置。
【請求項3】
前記制御対象の検出値と、実際に制御したい状態量が異なる場合、
前記指令変換器は、前記複数の演算器に加え、前記制御対象のトルク指令から検出値までを近似した伝達関数モデルの一部の特性および、前記制御対象のトルク指令から制御したい状態量までを近似した伝達関数モデルの一部の逆特性を演算する演算器を備え、
前記フィードフォワード演算器は、前記複数の演算器に加え、前記制御対象のトルク指令から制御したい状態量までを近似した伝達関数モデルの一部の逆特性を演算する演算器を備えることを特徴とする請求項1または2記載のサーボ制御装置。
【請求項4】
前記指令変換器内のスイッチおよび前記フィードフォワード演算器内のスイッチの全ての組み合わせで、実際に制御対象を動作させ、最適な応答をする組み合わせを決定することを特徴とする請求項3記載のサーボ制御装置。
【請求項5】
前記最適な応答をする組み合わせは、実際の応答の位置決め時間が最短か、またはオーバシュートが最小になるような組み合わせであること特徴とする請求項4記載のサーボ制御装置。
【請求項6】
前記ゲインを調整する際に、実際に制御対象を動作させ、実際の応答を見ながら調整することを特徴とする請求項3記載のサーボ制御装置。
【請求項7】
前記ゲインを調整する際に、実際の応答の位置決め時間が最短か、またはオーバシュートが最小になるように調整することを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−237916(P2009−237916A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83493(P2008−83493)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】