説明

シェーディング補正装置、方法、及びプログラム

【課題】 検査対象基板に応じて適応的にシェーディング補正係数を修正し、各工程や機種毎に基準濃度基板を用意することなしに、適切なシェーディング補正が行えるようにする。
【解決手段】 基準濃度基板2aを用いてシェーディング補正係数を求め、シェーディング補正係数記憶部22に記憶させておく。検査対象基板2の検査を行う際に、シェーディング強弱比較部23で、シェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象基板2からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較し、シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、シェーディング補正係数を修正する。シェーディング補正部25で修正されたシェーディング補正係数で補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ムラやラインセンサの感度ムラ等によって発生する撮像対象物の輝度ムラを補正するシェーディング補正装置、方法、及びプログラムに関するもので、特に、撮像対象物の輝度変化に適応して処理することのできるものに係わる。
【背景技術】
【0002】
ディジタル複写機やスキャナでは、ラインセンサ又は被写体を一方向に動かしながら、ラインセンサにより被写体を1ライン毎に撮像して、2次元画像を構築している。このような装置では、照明ムラやラインセンサカメラの撮像素子の感度ムラなどに起因する輝度ムラを除去するために、シェーディング補正が行われている。
【0003】
また、特許文献1には、事前に撮像していたシェーディング補正係数算出画像とターゲット撮像直前の同一撮像画像であるシェーディング画像において、ターゲット撮像直前シェーディング画像の輝度が事前シェーディング補正係数算出画像と比較して所定レベルにない場合は粉塵等の汚れがあるとみなして、所定レベルとの差分値を加算してシェーディング補正値を修正するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、第1の蓄積時間で撮像したシェーディング補正係数算出画像の白黒レベルの最大レンジをもとに算出した正規化係数を、第2の蓄積期間で撮像した画像データの黒レベル画像を0基準とした撮像データに乗算してシェーディング補正を行うものが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、シェーディング補正係数算出画像において各CCDライン毎の平均輝度±n×標準偏差以外の輝度値は適正輝度値に置換してシェーディング補正係数算出に利用するというものが開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、半導体ウェハやLCD(Liquid Crystal Display)パネルの検査を行うために、検査対象基板を一方向に動かしながら、ラインセンサカメラにより検査対象基板を1ライン毎に撮像するようにしたものが開示されている。また、特許文献4には、照明ムラやラインセンサカメラの撮像素子のバラツキなどに起因する画像ムラを予め画像ムラ記憶部に記憶しておき、この画像ムラ情報を用いて画像ムラ除去部によりラインセンサカメラにより撮像した被検査体の画像から画像ムラを除去することが開示されている。
【0007】
図18は、このような従来のシェーディング補正の基本構成を示す機能ブロック図である。図18において、検査対象基板102の検査を行うに先立ち、基準濃度基板102aが用意され、この基準濃度基板102aを用いて、シェーディング黒レベル画像と、シェーディング白レベル画像が取得される。シェーディング黒レベル画像は照明を消した状態で得られる画像である。シェーディング白レベル画像は照明を点けた状態で得られる画像である。このシェーディング黒レベル画像とシェーディング白レベル画像はシェーディング補正係数算出部121に送られ、シェーディング補正係数算出部121で、輝度勾配とオフセットがシェーディング補正係数として求められる。求められたシェーディング補正係数は、シェーディング補正係数記憶部122に記憶される。
【0008】
検査対象基板102の検査を行う際には、検査対象基板102の検査対象画像がシェーディング補正部125に送られる。また、シェーディング補正係数記憶部122からシェーディング補正係数が読み出され、このシェーディング補正係数がシェーディング補正部125に送られる。シェーディング補正部125で、シェーディング補正係数記憶部122から読み出されたシェーディング補正係数を用いて、検査対象基板102のシェーディング補正が行われる。
【特許文献1】特開2001−186342号公報
【特許文献2】特開平10−075353号公報
【特許文献3】特開平07−184048号公報
【特許文献4】特開2001−91473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図18に示したように、半導体ウェハやLCDパネルの検査を行う装置では、事前に基準濃度基板102aが用意され、この基準濃度基板102aを用いてシェーディング補正係数が算出され、算出されたシェーディング補正係数を使って、検査対象基板102の画像から画像ムラを除去するようにしている。この基準濃度基板102aは、検査対象基板102と同様のものを用いることが望ましい。
【0010】
ところが、特に、LCDパネルでは、工程数や機種が非常に多く、シェーディング補正対象の基板と全く同じ機種や工程等の基準濃度基板を用意することが運用上困難なことが多い。このため、従来では、類似構造の基準濃度基板102aから求めたシェーディング補正係数をそのまま用いて、シェーディング補正を行っている。ところが、類似構造の基準濃度基板102aから求めたシェーディング補正係数をそのまま用いてシェーディング補正を行った場合、基準濃度基板102aのシェーディングの強弱と検査対象基板102のシェーディングの強弱との違いから、適切なシェーディング補正が行われない部分が発生し、シェーディング補正が過度に行われたり、シェーディング補正が不足したりすることがある。
【0011】
上述の課題を鑑み、本発明は、検査対象板に応じて適応的にシェーディング補正係数を修正することにより、各工程や機種毎に基準濃度基板を用意することなしに、適切なシェーディング補正が行えるようにしたシェーディング補正装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、ラインセンサにより読み取った検査対象板の撮像画像に対してシェーディング補正処理を行うシェーディング補正装置であって、事前に基準濃度板を用いてシェーディング補正係数を算出するシェーディング補正係数算出部と、シェーディング補正補正係数算出部で基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を記憶するシェーディング補正係数記憶部と、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較するシェーディング強弱比較部と、シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、シェーディング補正係数を修正するシェーディング補正係数修正部と、シェーディング補正係数修正部により修正したシェーディング補正係数を用いて、検査対象板からの撮像画像におけるシェーディングを補正するシェーディング補正部とを備えるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、シェーディング強弱比較部は、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比とを比較するようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、シェーディング強弱比較部は、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比と、検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比とを比較するようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、更に、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディングの強弱を判断するシェーディング強弱判定部を有し、シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1〜3の発明において、更に、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断する輝度強弱判定部を有し、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、ラインセンサにより読み取った検査対象板の撮像画像に対してシェーディング補正処理を行うシェーディング補正方法であって、事前に基準濃度板を用いてシェーディング補正係数を算出しておき、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を記憶し、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較し、シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、シェーディング補正係数を修正し、この修正したシェーディング補正係数を用いて、検査対象板からの撮像画像におけるシェーディングを補正するようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、シェーディング強弱の比較は、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比とを比較するようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項6の発明において、シェーディング強弱の比較は、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比と、検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比とを比較するようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項6〜8の発明において、更に、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディングの強弱を判断し、シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項6〜8の発明において、更に、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断し、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、ラインセンサにより読み取った検査対象板の撮像画像に対してシェーディング補正処理を行うシェーディング補正プログラムであって、事前に基準濃度板を用いてシェーディング補正係数を算出するシェーディング補正係数算出ステップと、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を記憶するシェーディング補正係数記憶ステップと、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較するシェーディング強弱比較ステップと、シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、シェーディング補正係数を修正するシェーディング補正係数修正ステップと、この修正したシェーディング補正係数を用いて、検査対象板からの撮像画像におけるシェーディングを補正するシェーディング補正ステップとを実行させるようにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、シェーディング強弱比較ステップは、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比とを比較するようにしたことを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項11の発明において、シェーディング強弱比較ステップは、基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比と、検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比とを比較するようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項14の発明は、請求項11〜13の発明において、更に、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、シェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディングの強弱を判断するシェーディング強弱判断ステップを有し、シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしたことを特徴とする。
【0026】
請求項15の発明は、請求項11〜13の発明において、更に、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断輝度強弱判定ステップを有し、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較し、シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、シェーディング補正係数を修正している。このように、検査対象板からの撮像画像により、シェーディング補正係数を適応的に修正しているので、検査対象とする検査対象板と全く同じ機種や工程等の基準濃度基板を用意しなくても、適切にシェーディング補正処理が行える。
【0028】
また、本発明によれば、基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、換算した輝度値からシェーディングの強弱を判断し、シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしている。これにより、特に、ラインセンサカメラの撮像画像で特有の白スジや黒スジの部分をシェーディング補正係数の修正対象とすることができる。
【0029】
また、本発明によれば、検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断し、検査対象板からの撮像画像が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしている。これにより、シェーディング補正係数の修正対象領域から、例えば配線領域のような部分を除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
1.検査装置の概要.
図1は、本発明が適用できる検査装置の概略構成を示している。図1において、1は照明部、2は検査対象基板、3はラインセンサカメラである。照明部1は、光源及び光学系を有し、検査対象基板2に対して所定の入射角で照明光を照射するものである。照明部1は、コントローラ10の制御の下に、照明駆動部12により点灯制御される。
【0031】
検査対象基板2は、欠陥検査が行われる被検査対象の基板である。ここでは、検査対象基板2は例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルである。検査対象基板2は、一軸ステージ4上に載置されている。一軸ステージ4は、コントローラ10の制御の下に、ステージ駆動部11により、矢印方向に移動可能とされる。
【0032】
検査対象基板2を挟んで、照明部1に対向した位置に、ラインセンサカメラ3が配置される。ラインセンサカメラ3の撮像素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを用いられる。一軸ステージ4により検査対象基板2が矢印方向に移動され、この検査対象基板2の移動に同期して、ラインセンサカメラ3により、検査対象基板2の光学像が1ライン毎に撮影される。
【0033】
ラインセンサカメラ3の撮像出力は、アンプ5により増幅され、A/D(Analog to Digital)コンバータ6によってディジタル信号に変換される。このディジタル画像データは、シェーディング補正回路7に供給される。シェーディング補正回路7で、照明部1からの照明のムラ(以下、照明系ムラと称する)、ラインセンサカメラ3の撮像素子の感度ムラ(以下、撮像系ムラと称する)に対するシェーディング処理が行われる。
【0034】
シェーディング補正回路7によりシェーディング補正された画像データは、インターフェース回路8において所定のフォーマットに従った信号に変換され、外部のコンピュータ等に出力される。
【0035】
このように、この検査装置には、照明系ムラ及び撮像系ムラにより生じる輝度のムラを補正するためのシェーディング補正回路7が設けられている。特に、ラインセンサカメラ3により検査対象基板2の光学像を撮像して検査を行う検査装置では、照度系ムラ、撮像系ムラにより、撮像画像に特有の白スジや黒スジの発生することがある。シェーディング補正回路7により、このような撮像画像に特有の白スジや黒スジの発生が抑制される。
【0036】
2.シェーディング補正回路.
次に、シェーディング補正回路7について詳述する。図2は、本発明が適用されたシェーディング補正回路7の一例の動作に基づく機能ブロック図を示すものである。
【0037】
図2に示すように、本発明が適用されたシェーディング補正回路7は、シェーディング補正係数算出部21と、シェーディング補正係数記憶部22と、シェーディング強弱比較部23と、シェーディング補正係数修正部24と、シェーディング補正部25とを含む。
【0038】
シェーディング補正係数算出部21は、基準濃度基板2aの撮像信号を用いて補正係数を算出するものである。すなわち、事前に、全体が一様の基準濃度とされた基準濃度基板2aが用意される。この基準濃度基板2aとしては、検査対象基板2と同様のものを用意するのが理想的であるが、検査対象基板2と全く同じ機種や工程等の基準濃度基板2aを用意することは運用上困難なことが多く、その場合には、基準濃度基板2aとして、検査対象基板2と類似構造の基準濃度基板2aを用いることができる。本発明が適用されたシェーディング補正回路7では、後に詳述するように、検査対象基板2から得られた検査対象画像を用いてシェーディング補正係数を適応的に修正することにより、対象とする検査対象基板2と同様のものを用いなくても、適切にシェーディング補正処理が行える。
【0039】
シェーディング補正係数を算出する際には、基準濃度基板2aが一軸ステージ4(図1)上に載置される。この基準濃度基板2aの画像がラインセンサカメラ3で撮像され、基準濃度基板2aのシェーディング黒レベル画像及びシェーディング白レベル画像がシェーディング補正係数算出部21に取り込まれる。シェーディング黒レベル画像は、照明を消した状態で得られる画像である。シェーディング白レベル画像は、照明を点けた状態で得られる画像である。
【0040】
シェーディング補正係数算出部21は、シェーディング黒レベル画像及びシェーディング白レベル画像を用いて、以下のようにして、シェーディング補正係数を算出する。
【0041】
輝度勾配=(白レベル画像ライン平均輝度−黒レベル画像ライン平均輝度)/(白レベル画像全体平均輝度−黒レベル画像全体平均輝度) …(1)
オフセット=黒レベル画像ライン平均輝度−(輝度勾配×黒レベル画像全体平均輝度) …(2)
シェーディング補正輝度=(シェーディング補正前輝度−オフセット)/輝度勾配 …(3)
【0042】
シェーディング補正係数算出部21により、シェーディング黒レベル画像、シェーディング白レベル画像により、(1)式に示すような演算により、輝度勾配が求められる。また、(2)に示すような演算により、オフセットが求められる。また、(3)に示すような特性関数式に、補正前の輝度を入力すると、シェーディング補正された輝度を求めることができる。
【0043】
図3は、上述のシェーディング補正係数算出部21におけるシェーディング補正係数の算出ステップを示すフローチャートである。図3において、白レベル画像と黒レベル画像の各同一ライン位置の各平均輝度が求められる(ステップS1)。各ライン位置の2つの平均輝度から、上述の(1)式、(2)式に示すような演算により、シェーディング補正係数(輝度勾配とオフセット)が求められる(ステップS2)。求められた輝度勾配とオフセットを作用させる所望の特性関数式(式(3))が設定される(ステップS3)。
【0044】
図2において、このようにして事前に求められたシェーディング補正係数は、シェーディング補正係数記憶部22に記憶される。
【0045】
検査対象基板2の検査を行う際には、検査対象基板2が一軸ステージ4(図1)上に載置される。この検査対象基板2の画像がラインセンサカメラ3で撮像され、検査対象画像が得られる。この検査対象画像がシェーディング強弱比較部23に送られる。
【0046】
前述したように、シェーディング補正係数記憶部22には、事前に、全体が一様の基準濃度とされた基準濃度基板2aを用いて算出したシェーディング補正係数(輝度勾配及びオフセット)が蓄積されている。シェーディング補正係数記憶部22から、シェーディング補正係数が読み出される。このシェーディング補正係数がシェーディング補正係数修正部24に送られると共に、シェーディング強弱比較部23に送られる。
【0047】
基準濃度基板2aは、検査対象となっている検査対象基板2と同様のものを用意するのが理想的であるが、検査対象基板2と全く同じ機種や工程等の基準濃度基板を用意することは運用上困難なことが多く、この場合には、基準濃度基板2aとして、検査対象基板2と類似構造の基準濃度基板が用られる。よって、シェーディング補正係数記憶部22から読み出されたシェーディング補正係数と、検査対象基板2のシェーディング補正を行うのに最適なシェーディング補正係数とでは、ずれが生じている可能性がある。
【0048】
シェーディング強弱比較部23は、事前に基準濃度基板2aを撮像して得られたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、検査対象基板2から得られた検査対象画像の輝度値に発生するシェーディングの強弱とを比較している。そして、シェーディング補正係数修正部24で、両者のシェーディング強弱に合わせて、シェーディング補正係数が適応的に修正される。適応的なシェーディング補正係数の修正については、後に、詳述する。
【0049】
シェーディング補正係数修正部24で適応的に修正されたシェーディング補正係数がシェーディング補正部25に送られる。また、検査対象基板2の検査対象画像がシェーディング補正部25に送られる。シェーディング補正部25で、このように修正されたシェーディング補正係数を用いて、検査対象基板2からの検査対象画像に対してシェーディング補正処理が行われる。
【0050】
以上説明したように、本発明が適用されたシェーディング補正回路7では、事前に基準濃度基板2aを撮像して得られたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この輝度値に換算したシェーディング補正係数の強弱と、検査対象基板2から得られた検査対象画像の輝度値に発生するシェーディングの強弱とを比較して、両者のシェーディング強弱に合わせて、適応的にシェーディング補正係数を修正し、この修正されたシェーディング補正係数により、シェーディング補正を行っている。このように、シェーディング補正係数記憶部22から読み出されたシェーディング補正係数をそのまま用いるのではなく、検査対象基板2から得られた検査対象画像に応じてシェーディング補正係数を修正しつつ適切なシェーディング補正処理をするので、基準濃度基板2aとして検査対象基板2と類似構造の基準濃度基板が用いられている場合にも、過剰または過小に輝度が補正されることがなくなる。
【0051】
3.シェーディング補正係数の修正
3−1.輝度の強度比を用いた例
上述のように、本発明が適用されたシェーディング補正回路7では、シェーディング強弱比較部23で、事前に基準濃度基板2aを撮像して得られたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値の強弱と、検査対象基板2を撮像して得られた検査対象画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較して、両者のシェーディング強弱に合わせて、適応的にシェーディング補正係数を修正している。このようなシェーディング補正係数の適応的な修正処理について詳述する。
【0052】
図4は、図2におけるシェーディング強弱比較部23の一例を示すものである。図4に示すように、基準濃度基板2aにより算出されたシェーディング補正係数は、輝度換算値算出部31に送られる。また、輝度換算値算出部31には、一定輝度値が送られる。輝度換算値算出部31で、シェーディング補正係数と、一定輝度値とから、以下のような演算により、輝度換算値が求められる。
輝度換算値=一定輝度値×輝度勾配+オフセット …(4)
【0053】
つまり、シェーディング補正後の輝度は、前述の(3)式の特性関数で示したように、
シェーディング補正輝度=(シェーディング補正前輝度−オフセット)/輝度勾配 …(3)
として求められる。この式を変形すると、
シェーディング補正前輝度=シェーディング補正輝度×輝度勾配+オフセット
となる。
【0054】
シェーディング補正後には、輝度が一定になることから、反対に、以下のようにシェーディング補正輝度として一定輝度値を入力すると、基準濃度基板2aを撮影したときの補正前輝度値が換算できる。
輝度換算値=一定輝度値×輝度勾配+オフセット
【0055】
なお、(4)式では、シェーディング補正前輝度に任意の一定輝度値を入力しているので、(4)式で求められる輝度換算値は、そのレベルは基準濃度基板2aを撮像したときの輝度値と異なるが、そのレベルの変化は、基準濃度基板2aを撮像したときの輝度値を反映したものとなる。
【0056】
なお、一定輝度値としてはどのような値を用いても良いが、画素データを8ビットでディジタル化した場合、256階調となるので、この場合、100〜150程度の階調を示す輝度値が適当であると考えられる。
【0057】
図4において、輝度換算値算出部31で、(4)式により、シェーディング補正係数に対応する輝度換算値が求められる。この輝度換算値が強度比算出部32に送られる。
【0058】
強度比算出部32で、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値により、シェーディング補正対象ラインの輝度の平均値と、その近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比が算出され、この強度比が強度比比較部33に送られる。
【0059】
一方、強度比算出部34には、実際に検査対象基板2から得られた検査対象画像が送られる。強度比算出部34で、検査対象基板2の検査対象画像により、シェーディング補正対象ラインの輝度の平均値と、その近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比が算出され、この強度比が強度比比較部33に送られる。
【0060】
強度比比較部33で、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比とが比較される。この比較出力がシェーディング補正係数修正部24(図2)に送られる。
【0061】
シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比とが同様であれば、基準濃度基板2aを撮像したときに生じたであろうシェーディングと、検査を行っている検査対象基板2により生じるシェーディングとが一致していると考えられ、この場合には、シェーディング補正係数記憶部22に記憶されているシェーディング補正係数をそのまま使って、検査対象基板2のシェーディング補正を最適に行えると考えられる。
【0062】
これに対して、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比とが相違している場合には、基準濃度基板2aを撮像したときに生じたであろうシェーディングと、検査を行っている検査対象基板2により生じるシェーディングとは相違していると考えられ、この場合には、両者が近づくように、シェーディング補正係数を修正する必要がある。
【0063】
修正するための数式はいろいろと考えられるが、基本的に、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比が、実際の検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比に近づくように、シェーディング補正係数が修正されれば良い。
【0064】
例えば、実際の検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比が、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比に比べて小さいなら、シェーディング補正係数の強度勾配は、それに応じて、小さな強度勾配に修正されることになる。なお、シェーディング補正係数の輝度勾配に限定されず、オフセットも同時に修正するように操作しても構わない。
【0065】
図5は、このようなシェーディング補正係数の修正処理を示すフローチャートである。図5において、シェーディング補正係数と一定輝度値を用いて、(4)式により、輝度換算値が求められる(ステップS11)。この輝度換算値から、シェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ライン(処理対象ラインの両隣領域)の輝度の平均値との強度比(=近傍周辺ライン平均輝度/処理対象ライン平均輝度)が算出される(ステップS12)。なお、ラインとは1ラインとは限らず、複数ラインで構成されたある程度の幅をもつラインでも良い。
【0066】
また、検査対象基板2の検査対象画像から、シェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ライン(処理対象ラインの両隣領域)の輝度の平均値との強度比(=近傍周辺ライン平均輝度/処理対象ライン平均輝度)が算出される。(ステップS13)。
【0067】
そして、ステップS12で求められたシェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比と、ステップS13で求められた検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比とが近づくように、シェーディング補正係数の輝度勾配が修正される(ステップS14)。
【0068】
以上のように、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値により求められるシェーディング補正対象ラインとその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、検査対象基板2の検査対象画像から得られるシェーディング補正対象ラインとその近傍周辺ラインの輝度との強度比とが近づくように、シェーディング補正係数の輝度勾配を修正することで、シェーディング補正係数が最適に修正できる。
【0069】
3−2.ヒストグラム輝度比を用いた例.
図6は、シェーディング強弱比較部23の他の例を示すものである。図4に示したシェーディング強弱比較部23の一例では、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺ラインの輝度の平均値との強度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度の平均値とその近傍周辺部の輝度の平均値との強度比とを比較して、シェーディング補正係数を修正している。これに対して、この例では、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比とを比較して、シェーディング補正係数を修正している。
【0070】
図6において、シェーディング補正係数が輝度換算値算出部41に送られる。また、輝度換算値算出部41には、一定輝度値が送られる。輝度換算値算出部41で、シェーディング補正係数記憶部22から読み出されたシェーディング補正係数と、一定輝度値とから、(4)式に示した演算により、輝度換算値が求められる。この輝度換算値がヒストグラム輝度比算出部42に送られる。
【0071】
ヒストグラム輝度比算出部42で、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値の各画素データにより、シェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比とが求められる。
【0072】
つまり、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値により、シェーディング補正対象ラインのヒストグラムが求められる。この結果、図7(A)に示すようになヒストグラムが得られたとする。そして、シェーディング補正対象ラインの近傍周辺ラインの各画素データの輝度のヒストグラムが求められる。この結果、図7(B)に示すようになヒストグラムが得られたとする。この場合、図7(C)に示すように、輝度ヒストグラムの輝度軸をずらしながら、その相関値を計算して、最も相関値の高くなった輝度ずらし量が求められる。そして、この輝度ずらし量から、ヒストグラム比が
ヒストグラム比=(処理ライン平均輝度+輝度ずらし量)/処理対象ライン平均輝度
として求められる。
【0073】
図6において、ヒストグラム輝度比算出部42で求められた、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比は、ヒストグラム輝度比比較部43に送られる。
【0074】
一方、ヒストグラム輝度比算出部44には、実際に検査対象基板2から得られた検査対象画像が送られる。ヒストグラム輝度比算出部44で、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比が算出される。ヒストグラム輝度比の算出は、図7に示した通りである。このヒストグラム輝度比がヒストグラム輝度比比較部43に送られる。
【0075】
ヒストグラム輝度比比較部43で、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比とが比較される。この比較出力がシェーディング補正係数修正部24(図2)に送られる。
【0076】
シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比とが同様であれば、基準濃度基板2aを撮像したときに生じたであろうシェーディングと、検査を行っている検査対象基板2により生じるシェーディングとが一致していると考えられ、この場合には、シェーディング補正係数記憶部22に記憶されているシェーディング補正係数をそのまま使って、検査対象基板2のシェーディング補正を最適に行えると考えられる。
【0077】
これに対して、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比と、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比とが相違している場合には、基準濃度基板2aを撮像したときに生じたであろうシェーディングと、検査を行っている検査対象基板2により生じるシェーディングとは相違していると考えられ、この場合には、両者が近づくように、シェーディング補正係数を修正する必要がある。
【0078】
修正するための数式はいろいろと考えられるが、基本的に、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比が、実際の検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比に近づくように、シェーディング補正係数が修正されれば良い。
【0079】
例えば、実際の検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比が、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比に比べて小さいなら、シェーディング補正係数の強度勾配は、それに応じて、小さな強度勾配に修正されることになる。なお、シェーディング補正係数の輝度勾配に限定されず、オフセットも同時に修正するように操作しても構わない。
【0080】
図8は、このようなシェーディング補正係数の修正処理を示すフローチャートである。図8において、シェーディング補正係数と一定輝度値を用いて、(4)式により、輝度換算値が求められる(ステップS21)。この輝度換算値から、シェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとが求められる。そして、輝度ヒストグラムの輝度軸をずらしながら、その相関値を計算して、最も相関値の高くなった輝度ずれ量から、ヒストグラム比(ヒストグラム比=(処理ライン平均輝度+輝度ずらし量)/処理対象ライン平均輝度)が計算される(ステップS22)。なお、ラインとは1ラインとは限らず、複数ラインで構成されたある程度の幅をもつラインでも良い。
【0081】
また、検査対象基板2の検査対象画像から、検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムと、その近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとが求められる。そして、輝度ヒストグラムの輝度軸をずらしながら、その相関値を計算して、最も相関値の高くなった輝度ずれ量から、ヒストグラム比(ヒストグラム比=(処理ライン平均輝度+輝度ずらし量)/処理対象ライン平均輝度)が計算される(ステップS23)。
【0082】
そして、ステップS22で求められたシェーディング補正係数から求められた輝度換算値によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比と、ステップS23で求められた検査対象基板2の検査対象画像によるシェーディング補正対象ラインの輝度ヒストグラムとその近傍周辺ラインの輝度ヒストグラムとのヒストグラム輝度比が近づくように、シェーディング補正係数の輝度勾配が修正される(ステップS24)。
【0083】
4.シェーディング補正係数の修正対象の特定.
次に、シェーディング補正係数の修正対象の特定について説明する。ラインセンサカメラ3の撮像画像には、特有の白スジや黒スジが発生し易く、このような白スジや黒スジをシェーディング処理により確実に除去することが望まれる。そこで、白スジや黒スジが発生していると考えられる部分を、シェーディング補正係数の修正対象とすることが考えられる。
【0084】
図9は、シェーディング補正強弱判定部26及び係数修正処理対象抽出部27を更に設け、シェーディング補正の強弱を判定し、シェーディング補正係数の修正対象をシェーディング補正が強い部分に特定するようにしたものである。
【0085】
つまり、白スジや黒スジが発生していると考えられる部分では、シェーディング補正が強く施される。シェーディング補正強弱判定部26は、このようなシェーディング補正が強く施される部分を特定するものである。シェーディング補正強弱判定部26で、シェーディング補正係数から、シェーディング補正が強く施される部分が判断される。このシェーディング補正強弱判定部26の判定結果が係数修正処理対象抽出部27に送られる。係数修正処理対象抽出部27で、シェーディング補正強度が所定レベル以上の部分が処理対象部分として抽出される。シェーディング補正係数修正部24では、係数修正処理対象抽出部27で特定された部分を処理対象として、シェーディング補正係数修正処理が行われる。
【0086】
図10は、シェーディング補正強弱判定部26の構成を示す機能ブロック図である。図10において、シェーディング補正強弱判定部26は、輝度換算値算出部51と、輝度分布生成部52と、抽出対象判定部53からなる。
【0087】
輝度換算値算出部51に、シェーディング補正係数が送られる。また、輝度換算値算出部51には、一定輝度値が送られる。輝度換算値算出部51で、(4)式により、輝度換算値が算出される。
【0088】
この輝度換算値が輝度分布生成部52に送られる。輝度分布生成部52で、全ての画面に渡る輝度換算値のヒストグラムが作成される。そして、この輝度換算値のヒストグラムから、平均値と標準偏差が求められる。
【0089】
このようにして求められた輝度換算値のヒストグラムが図11に示すようになったとすると、この輝度換算値の中央部分は平均値の輝度であるから、シェーディング補正は殆ど行われない。これに対して、輝度換算値の分散の両端の値は、平均値から外れているので、それだけ強くシェーディング補正が行われる。シェーディング補正係数の修正が特に必要なのは、白スジや黒スジが発生していると考えられる部分で、この部分はシェーディング強いことから、このヒストグラムにおいて、平均値±nX標準偏差の範囲外にあるラインが処理対象ラインとされる。nXは、2σ〜3σ程度の値である。
【0090】
図10において、輝度分布生成部52で求められた輝度分散は、抽出対象判定部53に送られる。抽出対象判定部53は、このようにしてシェーディング補正がどの程度の強度で行われるかのチェック判定をライン毎に行い、シェーディング補正強度が高いと判断されるラインを処理対象ラインとして抽出する。これにより、白スジや黒スジが発生していると考えられる部分を特定して、シェーディング補正係数の修正の対象とすることができる。
【0091】
図12は、このようなシェーディング補正強弱判定処理を示すフローチャートである。図12において、(4)式により、シェーディング補正係数と一定輝度値とから、(4)式により、輝度換算値が算出される(ステップS31)。この輝度換算値から、全ラインの平均値と標準偏差が求められる(ステップS32)。そして、平均値±nX標準偏差の範囲外にあるラインが処理対象ラインとして抽出される(ステップS33)。
【0092】
5.シェーディング補正係数の修正対象の領域の特定.
ところで、検査対象基板2は、全体が均一の濃度ではなく、下地パターン上に何らかのパターンが存在する。この例では、図13に示すように、検査対象基板2として、LCDパネルを用いており、LCDパネルには、周辺配線パターン70の部分がある。よって、例えばLCDパネルの場合には、検査対象であるTFT(Thin Film Transistor)画像部を、他の周辺配線領域と分割して、TFT画素部だけを処理対象領域とする必要がある。また、コピー複写機などで用紙上に文字が印刷されているものを処理対象画像とする場合は、文字領域以外の用紙上のみを処理対象領域とする必要がある。
【0093】
図14は、更に、輝度強弱判定部28及び係数修正処理対象領域抽出部29を設け、シェーディング補正係数の修正処理の対象領域を限定できるようにしたものである。
【0094】
つまり、図14において、検査対象基板2の検査対象画像が輝度強弱判定部28に送られる。輝度強弱判定部28で、検査対象基板2から得られた検査対象画像のうち、所定の輝度の範囲にある領域が判断される。
【0095】
輝度強弱判定部28の判断結果が係数修正処理対象領域抽出部29に送られる。係数修正処理対象領域抽出部29で、検査対象基板2から得られた検査対象画像のうち所定の輝度の範囲にある領域が、処理対象領域として抽出される。
【0096】
周辺配線パターン70の部分では、他の部分に比べて、輝度が大きく異なる。そこで、輝度強弱判定部28では、検査対象基板2から得られた検査対象画像輝度のうち特定輝度範囲をもつ領域を判定し、係数修正処理対象領域抽出部29で、シェーディング補正係数の修正の処理対象を、特定輝度範囲をもつ領域に限定するようにしている。
【0097】
なお、ここでは、シェーディング補正係数の修正の処理対象を、特定輝度範囲をもつ領域に限定しているのであり、シェーディング補正そのものを限定しているわけではない。シェーディング補正係数の修正の処理対象から外れた領域では、シェーディング補正係数記憶部22から読み出されたシェーディング補正係数をそのまま使って、シェーディング補正処理を行うことができる。
【0098】
図15は、輝度強弱判定部28の構成を示す機能ブロック図である。図15に示すように、輝度強弱判定部28は、輝度ヒストグラム生成部61と抽出領域判定部62とを含んでいる。
【0099】
図15において、検査対象基板2の検査対象画像が輝度ヒストグラム生成部61に送られる。輝度ヒストグラム生成部61で、検査対象基板2から得られた検査対象画像輝度のヒストグラムが求められる。この輝度ヒストグラムが抽出領域判定部62に送られる。抽出領域判定部62で、所定の輝度範囲が抽出される。
【0100】
すなわち、輝度ヒストグラム生成部61で、図16に示すような輝度ヒストグラムが生成された場合には、輝度の平均を中心とした特定部分の範囲が対象領域とされる。輝度の平均から大きく外れた部分は、配線領域と考えられ、対象領域から外される。
【0101】
図17は、このような輝度強弱判定処理を示すフローチャートである。図17において、検査対象基板2の検査対象画像から輝度ヒストグラムが生成される(ステップS41)。この輝度ヒストグラムから、所定の輝度範囲を持つ領域が求められる(ステップS42)。
【0102】
なお、配線パターン70の領域が予め分かっているなら、この配線パターン70の領域の位置情報を入力し、配線パターン70の領域を処理対象からの外すようにしても良い。
【0103】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0104】
また、本発明は、本発明の機能を実現するためのプログラムを実行するソフトウェアで構成できると共に、同様の機能を実現するハードウェアで構成することもできる。ソフトウェアでの実現例は、フローチャートで示す通りであり、ハードウェアでの実現例は、機能ブロック図に示す通りである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、ラインセンサカメラを用いてLCDパネルや半導体ウェハの検査を行う検査装置のシェーディング補正に用いられる他、ディジタル複写機やスキャナ、ファクシミリ等、ラインセンサを用いて画像を取り込み際のシェーディング補正に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明が適用できる検査装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明が適用されたシェーディング補正回路の一例の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】シェーディング補正係数の算出の説明に用いるフローチャートである。
【図4】本発明が適用されたシェーディング補正回路におけるシェーディング強弱比較部の一例の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明が適用されたシェーディング補正回路におけるシェーディング強弱比較部の一例の説明に用いるフローチャートである。
【図6】本発明が適用されたシェーディング補正回路におけるシェーディング強弱比較部の他の例の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明が適用されたシェーディング補正回路におけるシェーディング強弱比較部の他の例の説明に用いるフラフである。
【図8】本発明が適用されたシェーディング補正回路におけるシェーディング強弱比較部の他の例の説明に用いるフローチャートである。
【図9】本発明が適用されたシェーディング補正回路の他の例の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明が適用されたシェーディング補正回路の他の例におけるシェーディング補正強弱判定部の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】本発明が適用されたシェーディング補正回路の他の例におけるシェーディング補正強弱判定部の説明に用いるグラフである。
【図12】本発明が適用されたシェーディング補正回路の他の例におけるシェーディング補正強弱判定部の説明に用いるフローチャートである。
【図13】検査対象基板の説明図である。
【図14】本発明が適用されたシェーディング補正回路の更に他の例の構成を示す機能ブロック図である。
【図15】本発明が適用されたシェーディング補正回路の更に他の例における輝度強弱判定部の構成を示す機能ブロック図である。
【図16】本発明が適用されたシェーディング補正回路の更に他の例における輝度強弱判定部の説明に用いるグラフである。
【図17】本発明が適用されたシェーディング補正回路の更に他の例における輝度強弱判定部の説明に用いるフローチャートである。
【図18】従来のシェーディング補正回路の一例の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0107】
21 シェーディング補正係数算出部
22 シェーディング補正係数記憶部
23 シェーディング強弱比較部
24 シェーディング補正係数修正部
25 シェーディング補正部
26 シェーディング補正強弱判定部
27 係数修正処理対象抽出部
28 輝度強弱判定部
29 係数修正処理対象領域抽出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインセンサにより読み取った検査対象板の撮像画像に対してシェーディング補正処理を行うシェーディング補正装置であって、
事前に基準濃度板を用いてシェーディング補正係数を算出するシェーディング補正係数算出部と、
前記シェーディング補正係数算出部で前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を記憶するシェーディング補正係数記憶部と、
前記基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較するシェーディング強弱比較部と、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、前記シェーディング補正係数を修正するシェーディング補正係数修正部と、
前記シェーディング補正係数修正部により修正したシェーディング補正係数を用いて、前記検査対象板からの撮像画像におけるシェーディングを補正するシェーディング補正部と
を備えるようにしたことを特徴とするシェーディング補正装置。
【請求項2】
前記シェーディング強弱比較部は、前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、
前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比とを比較するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシェーディング補正装置。
【請求項3】
前記シェーディング強弱比較部は、前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、
前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比とを比較するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシェーディング補正装置。
【請求項4】
更に、前記基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディングの強弱を判断するシェーディング強弱判定部を有し、
前記シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしたことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載のシェーディング補正装置。
【請求項5】
更に、前記検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断する輝度強弱判定部を有し、
前記検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしたことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載のシェーディング補正装置。
【請求項6】
ラインセンサにより読み取った検査対象板の撮像画像に対してシェーディング補正処理を行うシェーディング補正方法であって、
事前に基準濃度板を用いてシェーディング補正係数を算出しておき、
前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を記憶し、
前記基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較し、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、前記シェーディング補正係数を修正し、
この修正したシェーディング補正係数を用いて、前記検査対象板からの撮像画像におけるシェーディングを補正する
ようにしたことを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項7】
前記シェーディング強弱の比較は、前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、
前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比とを比較するようにしたことを特徴とする請求項6に記載のシェーディング補正方法。
【請求項8】
前記シェーディング強弱の比較は、前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、
検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比とを比較するようにしたことを特徴とする請求項6に記載のシェーディング補正方法。
【請求項9】
更に、前記基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディングの強弱を判断し、前記シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしたことを特徴とする請求項6、7、又は8に記載のシェーディング補正方法。
【請求項10】
更に、前記検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断し、前記検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしたことを特徴とする請求項6、7、又は8に記載のシェーディング補正方法。
【請求項11】
ラインセンサにより読み取った検査対象板の撮像画像に対してシェーディング補正処理を行うシェーディング補正プログラムであって、
事前に基準濃度板を用いてシェーディング補正係数を算出するシェーディング補正係数算出ステップと、
前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を記憶するシェーディング補正係数記憶ステップと、
前記基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数から輝度値を換算し、この換算した輝度値のシェーディングの強弱と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とを比較するシェーディング強弱比較ステップと、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値のシェーディングの強弱と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値のシェーディングの強弱とが近づくように、前記シェーディング補正係数を修正するシェーディング補正係数修正ステップと、
この修正したシェーディング補正係数を用いて、前記検査対象板からの撮像画像におけるシェーディングを補正するシェーディング補正ステップと
を実行させるようにしたことを特徴とするシェーディング補正プログラム。
【請求項12】
前記シェーディング強弱比較ステップは、前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、
前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比を求め、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度との強度比とを比較するようにしたことを特徴とする請求項11に記載のシェーディング補正プログラム。
【請求項13】
前記シェーディング強弱比較ステップは、前記基準濃度板を用いて算出したシェーディング補正係数を輝度値に換算し、このシェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、
検査対象板からの撮像画像の輝度値によりシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比を求め、
前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比と、前記検査対象板からの撮像画像の輝度値によるシェーディング補正対象ラインの輝度とその近傍周辺ラインの輝度とのヒストグラム輝度比とを比較するようにしたことを特徴とする請求項11に記載のシェーディング補正プログラム。
【請求項14】
更に、前記基準濃度板を用いて算出されたシェーディング補正係数を輝度値に換算し、前記シェーディング補正係数から換算した輝度値によりシェーディングの強弱を判断するシェーディング強弱判定ステップを有し、
前記シェーディングの強弱に応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象を特定するようにしたことを特徴とする請求項11、12、又は13に記載のシェーディング補正プログラム。
【請求項15】
更に、前記検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかを判断輝度強弱判断ステップを有し、
前記検査対象板からの撮像画像の輝度が所定の範囲にあるかどうかに応じて、シェーディング補正係数の修正処理対象領域を特定するようにしたことを特徴とする請求項11、12、又は13に記載のシェーディング補正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−119805(P2006−119805A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305443(P2004−305443)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】