説明

システム航跡測定装置および航跡割当・航跡誤差補正処理方法

【課題】複数のセンサから得られる複数のセンサ航跡を用いて、正確な、センサ航跡の航跡誤差推定、航跡割当およびシステム航跡を生成する。
【解決手段】ローカル航跡とリモート航跡のペアで航跡の組合せを作成し、各組合せの航跡ペアの差分を取って、組合せごとに算出したペアの差分の2乗和の最小値を1つ選択し、その最小値に対応する組合せを航跡割当とし、またペアの差分の2乗の頻度分布の最頻値の中から航跡バイアス誤差分散を算出する航跡割当処理部と、ローカル航跡とリモート航跡の航跡ランダム誤差分散と、航跡バイアス誤差分散に基づいて航跡バイアス誤差を算出する航跡誤差推定処理部と、航跡バイアス誤差分に基づいて補正した補正したリモート航跡とローカル航跡を重み付け統合してシステム航跡を生成する航跡統合処理部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ローカルセンサから得られるローカル航跡とリモートセンサから得られるリモート航跡の航跡割当、およびリモート航跡のローカル航跡に対するバイアス誤差補正を行うシステム航跡測定装置、および航跡割当・航跡誤差補正処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この発明に関連する技術として、特許文献1に、複数のセンサによって取得される複数の目標に係わる探知データから高い信頼性を有する目標の航跡を生成するようにした情報処理装置の記載がある。この技術について以下に説明する。上記情報処理装置の処理する航跡を測定する複数センサによる観測状況を図42に示し、上記情報処理装置が適用されるシステム構成を図43に示す。これらの図においては、説明を簡単にするため、2つの目標に対して、2台のセンサを用いた例を挙げている。しかしながら、上記情報処理装置は、実際には、目標は1つ以上または目標がいない場合も想定し、センサは1台以上を想定する。
図42は、複数のセンサL,Aで同時に複数の目標T1,T2を観測している状況を表す。ローカルセンサLとリモートセンサAとしては、レーダ、IR(Infrared Ray)センサ、EW(Electronic Warfare)等のセンサを想定している。ローカルセンサL、リモートセンサAは、いずれも自身で追尾処理を行うことを前提とする。ローカルセンサLは、今、観測ビームLB1により観測し、得られた目標T1の観測値を用いてその航跡LB1T1を生成している。また、リモートセンサAは、観測ビームAB1により観測し、得られた目標T1と目標T2の観測値を用いて航跡AB1T1と航跡AB1T2を生成している。
【0003】
図43において、ローカルセンサLで生成したローカル航跡、リモートセンサAで生成したリモート航跡のそれぞれは、フュージョンセンタ3に入力される。フュージョンセンタ3では、ローカル航跡とリモート航跡の比較を行い、ローカル航跡とリモート航跡が同一航跡、すなわち同一目標から観測される航跡であるか否かを判定する。そして、同一航跡と判定したローカル航跡とリモート航跡については、航跡の統合を行い、システムとしての航跡、すなわちシステム航跡を生成する。また、同一航跡と判定されなかったものについては、統合を行わず別々のシステム航跡を生成する。ここで、ローカル航跡とリモート航跡を同一の航跡か否か判定することを以降、「同一航跡判定」と呼ぶことにする。
【0004】
次に、図42の状況のときに、図43のシステムを適用した場合の処理の流れを説明する。
まず、目標T1、目標T2をそれぞれ、ローカルセンサLの持つ観測ビームLB1、リモートセンサの持つ観測ビームAB1で観測する。その結果、ローカルセンサLでは、航跡LB1T1、リモートセンサAでは、リモート航跡AB1T1とリモート航跡AB1T2が得られたとする。フュージョンセンタ3では、得られたローカル航跡LB1T1、リモート航跡AB1T1とAB1T2から、同一航跡判定の候補となるペアを作成する。この同一航跡判定の候補となるペア作成のことを以降、「航跡割当」と呼ぶこととする。そして、同一航跡と判定されたペアについては統合し、システム航跡を作成する。この場合、理想的には、ローカル航跡LB1T1とリモート航跡AB1T1が同一航跡と判定した後に、その2航跡を統合してできるシステム航跡と、リモート航跡AB1T2のみからなるシステム航跡の計2つのシステム航跡ができることが望ましい。
【0005】
【特許文献1】特許第3518046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の情報処理装置を用いた航跡割当とシステム航跡の生成方法によれば、センサから出力されるセンサ航跡(自身のセンサで得られる観測値のみを使用して、その自身のセンサが持っている追尾処理により生成する航跡、以降「センサ航跡」と呼ぶ)の航跡のランダム誤差および航跡のバイアス誤差である航跡誤差を考慮して、センサ航跡の航跡割当を行っていない。また、センサ航跡の航跡誤差の推定を行っていない。そのため、誤った航跡割当を行う可能性がある。そして、誤った航跡割当を行ったため、システム航跡の精度が劣化するといった問題がある。
【0007】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、複数のセンサから得られる複数のセンサ航跡を用いて、正確な、センサ航跡の航跡誤差推定、センサ航跡の航跡割当およびシステム航跡生成を行うシステム航跡測定装置、および航跡割当・航跡誤差補正処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るシステム航跡測定装置は、ローカルセンサおよびリモートセンサのそれぞれが目標および誤目標などを含んだ観測値から生成した目標の航跡に基づいてシステム航跡を測定するシステム航跡測定装置において、ローカル航跡とリモート航跡のペアを作成し、作成したペアを組み合わせて航跡の組合せを作成し、各組合せを構成するペアについて差分を取って、組合せごとにペアの差分の2乗和を算出し、算出した組合せ毎のペアの差分の2乗和の中から最小値を1つ選択し、当該選択した最小値に対応する組合せを航跡割当とし、次に、算出した航跡割当に対応するペアの差分で、差分の2乗の頻度分布を取り、当該差分の2乗の頻度分布の中から最頻値を航跡バイアス誤差分散として算出する航跡割当処理部と、算出された航跡割当を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアにおけるローカル航跡の持つ航跡ランダム誤差分散とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散、および航跡割当処理部で算出された航跡バイアス誤差分散に基づいて、航跡バイアス誤差を算出する航跡誤差推定処理部と、航跡割当処理部で算出された航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、航跡誤差推定処理部で算出された航跡バイアス誤差分に基づいて補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を、リモート航跡のランダム誤差分散、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散を考慮して重み付け統合してシステム航跡を生成する航跡統合処理部と、航跡統合処理部から出力されたシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を、それぞれの管理番号で関連付けて表示を行う表示処理部を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、センサから出力されるセンサ航跡(ローカル航跡およびリモート航跡)、センサ航跡の航跡誤差(航跡のバイアス誤差、ローカル航跡のランダム誤差、リモート航跡のランダム誤差)を考慮してセンサ航跡の航跡割当を行うため、正確なセンサ航跡の航跡誤差推定、正確なセンサ航跡の航跡割当および正確なシステム航跡生成が可能となる。また、航跡割当だけではなく、航跡誤差推定も同時に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
図1において、センサ10は、レーダ、IRセンサ等で構成され、ローカルセンサ、リモートセンサからなる複数台のセンサを表すものとする。システム航跡測定装置は、航跡割当処理部20、航跡誤差推定処理部30、航跡統合処理部40、表示処理部50を備えている。
センサ10は、各センサ自身で、目標および誤目標などを含んだ観測値を取得して、センサ航跡(ローカル航跡、リモート航跡)をそれぞれ生成し、それらのセンサ航跡を航跡割当処理部20に入力する。航跡割当処理部20では、センサ10から得られるローカル航跡とリモート航跡のペアを作成し、このペアを組み合わせて航跡の組合せを作成する。この場合、航跡の組合せは全ての可能性を考えて作成される。
【0011】
ここで、航跡割当処理部20における航跡の組合せの作成例を図2により説明する。図2はペアとなりうるローカル航跡とリモート航跡の例示しており、L1、L2、L3はローカル航跡であり、記号△で表している。同様に、R1、R2、R3はリモート航跡であり、記号×で表している。これらの航跡から作成されるペアは、下記のようにP1〜P9の9通りとなる。
ペアP1(L1−R1)
ペアP2(L1−R2)
ペアP3(L1−R3)
ペアP4(L2−R1)
ペアP5(L2−R2)
ペアP6(L2−R3)
ペアP7(L3−R1)
ペアP8(L3−R2)
ペアP9(L3−R3)
さらに、これらのペアを用いて作成できる航跡の組合せは、下記のようにC1〜C6の6通りとなる。
組合せC1[(L1−R1),(L2−R2),(L3−R3)]
組合せC2[(L1−R1),(L2−R3),(L3−R2)]
組合せC3[(L1−R2),(L2−R1),(L3−R3)]
組合せC4[(L1−R2),(L2−R3),(L3−R1)]
組合せC5[(L1−R3),(L2−R1),(L3−R2)]
組合せC6[(L1−R3),(L2−R2),(L3−R1)]
【0012】
航跡割当処理部20では、次に、組合せを構成しているペアについてそれぞれ差分を取り、各組合せについて、ペアの差分の2乗和を求める処理を行う。上記例で、例えばペアP1(L1−R1)の差分をΔλL1−R1のように表し、組合せC1〜C6のペアの差分の2乗和をσλC1〜σλC6とすると、以下のようになる。
σλC1=(ΔλL1−R1)2 +(ΔλL2−R2)2 +(ΔλL3−R3)2
σλC2=(ΔλL1−R1)2 +(ΔλL2−R3)2 +(ΔλL3−R2)2
σλC3=(ΔλL1−R2)2 +(ΔλL2−R1)2 +(ΔλL3−R3)2
σλC4=(ΔλL1−R2)2 +(ΔλL2−R3)2 +(ΔλL3−R1)2
σλC5=(ΔλL1−R3)2 +(ΔλL2−R1)2 +(ΔλL3−R2)2
σλC6=(ΔλL1−R3)2 +(ΔλL2−R2)2 +(ΔλL3−R1)2
【0013】
さらに、航跡割当処理部20では、上記のように算出した複数の「組合せに対するペアの差分の2乗和」の中から最小値を1つ選択する。その1つ選択した最小値をσλminとすると、そのσλminに相当する組合せを、航跡割当結果とする。上記例でいえば、2乗和σλC1〜σλC6の中で、最小値σλminがσλC3であったとした場合、航跡割当結果は組合せC3[(L1−R2),(L2−R1),(L3−R3)]となる。
【0014】
さらに、航跡割当処理部20では、航跡割当結果におけるペアの差分の中で、差分の2乗の頻度分布を取り、差分の2乗の頻度分布から、その最頻値(Δλmode)2 を算出する。ペアの差分の2乗の頻度分布を表す概念図を図3に示す。図3は差分の2乗の頻度分布(ヒストグラム)例を表しており、横軸は差分の2乗を表し、縦軸は事前に決める区間(パラメータ)における頻度を表す。この例では、区間3の場合が最頻値を取ること表している。
例えば、組合せC3[(L1−R2),(L2−R1),(L3−R3)]の各ペア(L1−R2)、(L2−R1)、(L3−R3)の差分の2乗は、(ΔλL1−R2)2 、(ΔλL2−R1)2 、(ΔλL3−R3)2 である。この中で、差分の2乗のある区間を決めて、最頻値を算出する。
航跡割当処理部20は、最終的に、最頻値(Δλmode)2 を航跡バイアス誤差分散として、航跡誤差推定処理部30へ出力する。また、航跡割当処理部20からは、航跡割当結果も航跡誤差推定処理部30へ出力する。
【0015】
航跡誤差推定処理部30では、航跡割当処理部20から入力される航跡バイアス誤差分散と航跡割当結果に基づいて航跡バイアス誤差の推定を行う。この場合、航跡バイアス誤差の推定は、航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、ローカル航跡の持つ航跡ランダム誤差分散とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散、および航跡割当処理部20から入力される航跡バイアス誤差分散を基にして行われる。航跡誤差推定処理部30からは、航跡割当結果、航跡バイアス誤差分散、航跡ランダム誤差分散、航跡バイアス誤差が航跡統合処理部40に出力される。
【0016】
航跡統合処理部40では、航跡割当結果であるリモート航跡とローカル航跡のペアについて、航跡バイアス誤差分を考慮して補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を重み付け統合してシステム航跡を生成する。重み付け統合は、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散、リモート航跡の航跡ランダム誤差分散、航跡バイアス誤差分散を考慮して行われる。航跡統合処理部40において算出するシステム航跡、そして、ローカル航跡、リモート航跡は表示処理部50に出力される。
表示処理部50では、航跡統合処理部40から入力されるシステム航跡、ローカル航跡、リモート航跡を、オペレータに表示する。ここで、システム航跡の管理番号、ローカル航跡の管理番号、リモート航跡の管理番号を基に、システム航跡がどのローカル航跡およびリモート航跡と関連を持っているかを考慮してオペレータに表示する。
【0017】
図4は実施の形態1に係るシステム航跡測定装置の動作例を示すフローチャートである。
まず、処理が開始されると、航跡割当処理部20において、ローカルセンサからローカル航跡、リモートセンサからリモート航跡をそれぞれ取得する(ステップST1)。次に、ローカル航跡とリモート航跡のペアおよび組合せを作成する(ステップST2)。作成した組合せ毎に、ペアの差の2乗和を計算する(ステップST3)。組合せ毎に計算した、ペアの差の2乗和の最小値を選択する(ステップST4)。次に、ペアの差の2乗和の最小値に基づく組合せを航跡割当結果と決定する(ステップST5)。そして、航跡割当結果におけるペアの差の2乗の頻度分布より最頻値を算出し(ステップST6)、航跡割当結果におけるペアの差の2乗の最頻値を、航跡バイアス誤差の分散と決定する(ステップST7)。
【0018】
次に、航跡誤差推定処理部30において、航跡割当結果である各ローカル航跡とリモート航跡のペアについて、ローカル航跡の持つ航跡ランダム誤差分散、リモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散に基づいて、航跡バイアス誤差を推定する(ステップST8)。次に、航跡統合処理部40において、航跡割当結果であるリモート航跡とローカル航跡のペアについて、航跡バイアス誤差分を考慮して補正したリモート航跡を算出し、ローカル航跡と重み付け統合することにより、システム航跡を生成する。重み付け統合は、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散、リモート航跡の航跡ランダム誤差分散、航跡ランダム誤差分散を考慮して行う(ステップST9)。次に、表示処理部50において、システム航跡の管理番号、ローカル航跡の管理番号を基に、システム航跡がどのローカル航跡およびリモート航跡と関連を持っているかを考慮して、システム航跡、ローカル航跡、リモート航跡をオペレータに表示する(ステップST10)。次に、航跡の時刻を見て、その時刻が終了時刻か否かを判断し、終了時刻と判定された場合、終了とする。また、終了でないと判断した場合、時刻のカウンタを1つ足して、次の時刻の処理を行う(ステップST11、ST12)。
【0019】
以上のように、この実施の形態1によれば、センサから出力されるセンサ航跡(ローカル航跡およびリモート航跡)、センサ航跡の航跡誤差(航跡のバイアス誤差、ローカル航跡のランダム誤差、リモート航跡のランダム誤差)を考慮して、センサ航跡の航跡割当を行うため、正確なセンサ航跡の航跡誤差推定と、正確なセンサ航跡の航跡割当と、正確なシステム航跡生成が可能となる。また、この実施の形態1により、航跡割当だけではなく、航跡誤差推定も同時に行うことが可能である。
【0020】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態2は、実施の形態1の構成に対して組合せ制限制御部60を新たに設けたものである。
組合せ制限制御部60で行う制御の説明に用いる、ローカル航跡とリモート航跡の関係を図6および図7に示す。これらの図6および図7はいずれも図2のシナリオ例を基にしたものである。ここで、図2のシナリオ例では、ローカル航跡L1とリモート航跡R1が同一目標からの航跡を、ローカル航跡L2とリモート航跡R2が同一目標からの航跡を、さらに、ローカル航跡L3とリモート航跡R3が同一目標からの航跡を表すものと仮定する。つまり、ローカル航跡とリモート航跡の真のペアが(L1−R1)、(L2−R2)、(L3−R3)となるものとしている。また、図6および図7の標記で、四角点線はローカル航跡L1、L2、L3を含むローカル航跡群を表し、楕円点線はリモート航跡R1、R2、R3を含むリモート航跡群を表す。また、図6の片矢印はリモート航跡をローカル航跡に合わせ込むこと(合わせ込む処理を「シフト」と呼ぶこととする。)を表し、図7の両矢印はローカル航跡とリモート航跡の差を表すものとする。
【0021】
図6は、リモート航跡群におけるリモート航跡R1を基準として、ローカル航跡群におけるローカル航跡L2に合わせ込む処理を表している。つまり、リモート航跡R1をローカル航跡L2にシフトすると共に、R2、R3も同様に、R1からL2にシフトさせる量およびR1からL2への同一方向にシフトさせる処理を表している。シフトの方法としては、直線的にシフトさせる方法、或る点を基準として回転させる方法を想定する。図7は、図6によるシフト後のローカル航跡とリモート航跡の状態を表している。図6のように、リモート航跡群におけるリモート航跡R1を基準として、ローカル航跡群におけるローカル航跡L2に合わせ込むような誤ったシフトを行った場合、図7に示すように、実際の真の組合せと大きな差が生じる筈である。
【0022】
一方、図6および図7で説明したシフト例に対して、図8および図9に示すシフト例を説明する。図8は、リモート航跡群におけるリモート航跡R1を基準として、ローカル航跡群におけるローカル航跡L1に合わせこむ処理を表している。つまり、リモート航跡R1をローカル航跡L1にシフトすると共に、R2、R3も同様に、R1からL1にシフトさせる量およびR1からL1への同一方向にシフトさせる処理を表している。図8のように、リモート航跡群におけるリモート航跡R1を基準として、ローカル航跡群におけるローカル航跡L1に正しくシフトを行った場合、図9に示すように、実際の真の組合せとは大きな差が生じない筈である。
【0023】
そこで、組合せ制限制御部60では、航跡割当処理部20に、次のような処理を行わせるための制御信号を生成する。航跡割当処理部20において、リモート航跡群の基準とする1つのリモート航跡を、これに対応するローカル航跡群のローカル航跡にΔX(ΔXは、リモート航跡群における、或る1つのリモート航跡と、ローカル航跡群における、或る1つのローカル航跡の位置の差である。)だけシフトさせる処理を行い、この処理に並行して、リモート航跡群とローカル航跡群に含まれる他のそれぞれ対応するローカル航跡とリモート航跡の合わせ込みも行う。合わせ込みの後、合わせ込んだローカル航跡とリモート航跡同士をペアとする航跡の組合せに対するペアの差分の2乗和を取り、ペアの差分の2乗和が最小値を取る組合せを航跡割当結果とする。また、当該合わせ込みの基準としたリモート航跡とローカル航跡の合わせ込む前の位置の差ΔXから、ΔX算出に用いたリモート航跡のランダム誤差分とΔX算出に用いたローカル航跡のランダム誤差分を引いた値を2乗して航跡バイアス誤差分散とする。
【0024】
以上のように、この実施の形態2によれば、センサから出力されるセンサ航跡(ローカル航跡およびリモート航跡)、センサ航跡の航跡誤差(航跡のバイアス誤差、ローカル航跡のランダム誤差、リモート航跡のランダム誤差)を考慮して、センサ航跡の航跡割当を行うため、正確なセンサ航跡の航跡誤差推定、正確なセンサ航跡の航跡割当および正確なシステム航跡生成が可能となる。また、この実施の形態2により、航跡割当だけではなく、航跡誤差推定も同時に行うことが可能である。
【0025】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態3は、実施の形態1の構成に対して航跡誤差算出制御部70を新たに設けたものである。
航跡誤差算出制御部70で行う制御を説明するための、ローカル航跡群の重心とリモート航跡群の重心の関係を図11に示す。図11において、ローカル航跡群(ローカル航跡L1〜L3)の重心Lgを○印で表し、リモート航跡群(リモート航跡R1〜R3)の重心Rgを□印で表す。また、両矢印は、ローカル航跡群の重心Lgとリモート航跡群の重心Rgの差分を表す。
【0026】
航跡誤差算出制御部70では、ローカル航跡群の重心Lgとリモート航跡群の重心Rgの差を航跡バイアス誤差ΔYとして算出し、航跡割当処理部20と航跡誤差推定処理部30に入力する。航跡割当処理部20では、制御信号として与えられた航跡バイアス誤差ΔY分をリモート航跡群から差し引いたものと、ローカル航跡群の組合せを考慮し、リモート航跡とローカル航跡のペアの差分の2乗和が最小となるような組合せを航跡割当結果とし、その航跡割当結果を航跡誤差推定処理部30に入力する。航跡誤差推定処理部30では、ローカル航跡群の重心Lgとリモート航跡群の重心Rgの差を、そのまま航跡バイアス誤差ΔYとする処理を行う。
【0027】
以上のように、この実施の形態3によれば、ローカル航跡群の重心とリモート航跡群の重心の差を航跡バイアス誤差とすることにより、航跡割当の高速化と航跡誤差推定処理の処理が可能となり、システム全体の演算負荷を軽くすることができる。
【0028】
実施の形態4.
図12はこの発明の実施の形態4によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態4は、実施の形態1の構成に対して、新たに組合せ結果DB(データベース)90を設けたものである。
組合せ結果DB90は、航跡割当処理部20で行った、各時刻におけるローカル航跡とリモート航跡の組合せの全結果、およびその全結果に基づくローカル航跡とリモート航跡のペアの差分の2乗を保持する手段である。
【0029】
航跡割当処理部20では、センサ10からスキャンによりローカル航跡とリモート航跡入力された場合、組合せ結果DB90から、過去Nスキャン分(Nは事前にユーザが決めるパラメータ)のリモート航跡とローカル航跡のペアからなる組合せの全結果、およびその過去Nスキャン分の航跡の組合せの全結果におけるリモート航跡とローカル航跡の差分の2乗を読出す。そして、今回のスキャンによるローカル航跡とリモート航跡に関する処理において、過去Nスキャン分のリモート航跡ローカル航跡のペアからなる組合せの全結果を含めて、組合せごとにペアの差分の2乗和を算出し、算出した差分の2乗和の中から最小値を1つ選択し、当該選択した最小値に対応する組合せを航跡割当結果として算出する。また、組合せ結果DB90から読み出した過去Nスキャン分の航跡の組合せの全結果におけるリモート航跡とローカル航跡の差分の2乗を含めて、図3で示したような、リモート航跡とローカル航跡の差分の2乗の分布を作成し、その中で最頻値を航跡バイアス誤差分散として算出する。さらに、今回の処理で決定された、リモート航跡とローカル航跡のペアからなる組合せの全結果、およびその航跡の組合せの全結果におけるリモート航跡とローカル航跡のペアの差分の2乗を、組合せ結果DB90に蓄積する。
【0030】
以上のように、この実施の形態4によれば、航跡割当処理部において、過去のスキャン分を含めた処理情報用いて、ローカル航跡とリモート航跡の組合せの航跡割当を算出すると共に、航跡バイアス誤差分散を決めるようにしたので、正確なセンサ航跡の航跡誤差推定、正確なセンサ航跡の航跡割当および正確なシステム航跡生成が可能である。また、この実施の形態4により、航跡割当だけではなく、航跡誤差推定も同時に行うことが可能である。
【0031】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態5は、実施の形態1の構成に対して粗ゲート制御部110を新たに設けたものである。
ローカル航跡とリモート航跡の組合せ単位のクラスタ化と、この実施の形態5により処理を行う単位の粗ゲート化の例を図14に示す。図14が示す状態は、ローカル航跡をL1、L2、L3、リモート航跡をR1、R2、R3の3航跡とし、航跡L3、R3が、他の航跡L1、R1、L2、R2から十分距離が離れていることを想定している。
【0032】
粗ゲート制御部110では、各ローカル航跡を中心とした粗ゲート処理を行う。ここで、粗ゲート処理とは、ローカル航跡を中心とし、或る事前に決めた距離内に、リモート航跡が入るか否かの判定を行う処理のことである。この粗ゲート処理によって、リモート航跡がローカル航跡を中心とした或る事前に決めた距離内に入った場合、当該リモート航跡はローカル航跡と同一目標による航跡とみなすことができる。例えば、ローカル航跡L1を中心とした粗ゲートを決めた場合、リモート航跡R1が同一目標による航跡とみなすことができる。図14では、粗ゲートの形状を矩形としているが、楕円等、各種形状としてもよい。また、粗ゲートの大きさも、ローカル航跡の精度およびリモート航跡の精度を考慮して決めればよい。
【0033】
図14に示す状態では、ローカル航跡L1を中心とした粗ゲートとローカル航跡L2を中心とした粗ゲートがリモート航跡R1を共有する状況を表している。このように粗ゲート同士が重なり、リモート航跡を共有する状態になったものを一まとめとすることをクラスタと呼ぶ。航跡割当処理部20で行っているローカル航跡とリモート航跡のペアの組合せ処理は、このクラスタ単位で行う。クラスタの概念を採り入れると、航跡L3、R3が、他の航跡L1、R1、L2、R2に比べ、十分距離が離れている場合、L1、L2、R1、R2をクラスタ1に属する航跡、他方のL3、R3をクラスタ2に属する航跡として分けて考えることができる。このようにクラスタの概念を採り入れることにより、ローカル航跡とリモート航跡の組合せ数を低減することができる。
【0034】
この実施の形態5においては、粗ゲート制御部110から粗ゲートを設定するための制御信号を航跡割当処理部20に入力する。すると、航跡割当処理部20は、各ローカル航跡を中心にした粗ゲートをそれぞれ設定し、リモート航跡が、設定した粗ゲートに入るか否かを判定し、必要に応じてローカル航跡とリモート航跡の組合せの纏まりをクラスタ化し、生成したクラスタ毎に、実施の形態1で述べた手順に従って、航跡割当および航跡バイアス誤差分散を算出する。
【0035】
以上のように、この実施の形態5によれば、粗ゲートを各ローカル航跡について設定し、設定した粗ゲートの状況に応じてクラスタを作成するようにしているので、ローカル航跡とリモート航跡の組合せ計算数を低減できるため、正確なセンサ航跡の航跡誤差推定、正確なセンサ航跡の航跡割当および正確なシステム航跡生成を維持したまま、システム全体の演算時間の低減を可能にする。
【0036】
実施の形態6.
図15はこの発明の実施の形態6によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態6は、実施の形態1の構成に対して航跡数制限制御処理部120を新たに設けたものである。
航跡数制限制御処理部120では、センサ10から入力されるセンサ航跡に含まれる目標位置ベクトルおよび目標速度ベクトルに基づいて目標の現在位置および移動方向を算出し、予め地理的に決めておいた評価点に向かっているローカル航跡およびリモート航跡をのみを、航跡割当処理部20における処理対象のセンサ航跡として抽出する処理を行う。そして、その処理対象のセンサ航跡を航跡割当処理部20に入力することで、航跡割当処理部20が対象となるローカル航跡およびリモート航跡に対して所定の処理を行う。
【0037】
以上のように、この実施の形態6によれば、予め地理的に決めておいた評価点に向かっているセンサ航跡のみ、処理の対象とすることにより、航跡割当を行うローカル航跡およびリモート航跡の数を低減することができるため、システム全体の演算負荷を下げることができる。
【0038】
実施の形態7.
図16はこの発明の実施の形態7によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態7は、実施の形態1の構成に対して航跡バイアス誤差オイラー角制御部130を新たに設けたものである。
この実施の形態7で行う、回転角から航跡バイアス誤差を推定する方法を図17に示す。図17において、実線で示されるx−y−zはローカルセンサの直交座標、点線で示されるx’−y’−z’はリモートセンサの直交座標である。ここで、ローカルセンサの直交座標の変換座標がリモートセンサの直交座標とみなした場合、z’軸は、x軸周りの回転角dxを与えた場合のz軸を表し、y’軸はx軸周りの回転角dyを与えた場合のy軸を表す。この場合、回転角(オイラー角)は航跡バイアス誤差として推定することができる。
【0039】
航跡バイアス誤差オイラー角制御部130では、図17のように、ローカル航跡に対するリモート航跡の航跡バイアス誤差が回転角dx、dy、dzによる場合を想定し、回転角dx、dy、dzを航跡バイアス誤差として推定する処理をするための制御信号を生成し、航跡誤差推定部30に入力する。航跡誤差推定部30では、この制御信号に基づいて、回転角dx、dy、dzを航跡バイアス誤差として算出する。
【0040】
以上のように、この実施の形態7によれば、航跡バイアス誤差がオイラー角による場合の航跡バイアス誤差の推定精度が向上し、結果的にシステム航跡の精度が向上する。
【0041】
実施の形態8.
図18はこの発明の実施の形態8によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態8は、実施の形態1の構成に対して航跡バイアス誤差直交座標制御部140を新たに設けたものである。
この実施の形態8で行う、航跡バイアス誤差を推定する方法を図19に示す。図19において、実線で示されるx−y−zはローカルセンサの直交座標、点線で示されるx’−y’−z’はリモートセンサの直交座標である。ローカル航跡位置を[x,y,z]、リモート航跡位置を[x’,y’,z’]としたとき、ローカル航跡位置とリモート航跡位置には、x=x’+δx、y=y’+δy、z=z’+δzの関係があることになる。すなわち、リモートセンサの直交座標は、ローカルセンサの直交座標に対してバイアス誤差[δx、δy、δz]を持つ座標ということになる。したがって、この直交座標のバイアス誤差は、求めるべき航跡バイアス誤差とみなすことができる。
【0042】
航跡バイアス誤差直交座標制御部140では、図19のように、ローカル航跡に対して、ローカルセンサの直交座標上におけるリモート航跡が、x軸、y軸、z軸方向にバイアス誤差δx、δy、δzを持つリモートセンサの直交座標上にある場合に、このリモートセンサの直交座標のバイアス誤差を算出し、この直交座標のバイアス誤差を航跡バイアス誤差として推定する処理を行わせるための制御信号を、航跡誤差推定部30に入力する。航跡誤差推定部30では、この制御信号信に従った処理を行うことにより、求めた直交座標のバイアス誤差δx、δy、δzを航跡バイアス誤差として推定する。
【0043】
以上のように、この実施の形態8によれば、ローカルセンサとリモートセンサの直交座標のバイアス誤差を算出して航跡バイアス誤差とするようにしたので、航跡バイアス誤差の推定精度が向上し、結果的にシステム航跡の精度が向上する。
【0044】
実施の形態9.
図20はこの発明の実施の形態9によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態9は、実施の形態1の構成に対して航跡バイアス誤差極座標制御部150を新たに設けたものである。
この実施の形態9で行う、航跡バイアス誤差を推定する方法を図21に示す。
図21において、実線で示されるx−y−zはローカルセンサの直交座標、点線で示されるx’−y’−z’はリモートセンサの直交座標である。ここで、ローカル航跡およびリモート航跡を極座標表示で表すと、ローカル航跡位置を[R,E,Az]、リモート航跡位置を[R’,E’,Az’]とすると、ローカル航跡位置とリモート航跡位置には、R=R’+δR、E=E’+δE、Az=Az’+δAzの関係があることになる。すなわち、リモートセンサの極座標は、ローカルセンサの極座標に対してバイアス誤差[δR、δE、δAz]を持つ座標であるということができる。したがって、この極座標のバイアス誤差は、求めるべき航跡バイアス誤差とみなすことができる。
【0045】
航跡バイアス誤差極座標制御部150では、図21のように、ローカル航跡に対して、ローカルセンサの極座標上におけるリモート航跡が、各極方向(R、E、Az方向)にバイアス誤差δR、δE、δAzを持つリモートセンサの極座標上にある場合に、このリモートセンサの極座標のバイアス誤差を算出し、この極座標のバイアス誤差を航跡バイアス誤差として推定する処理を行わせるための制御信号を、航跡誤差推定部30に入力する。航跡誤差推定部30では、この制御信号信に従った処理を行うことにより求めた極座標のバイアス誤差δR、δE、δAzを航跡バイアス誤差として推定する。
【0046】
以上のように、この実施の形態9によれば、ローカルセンサとリモートセンサの極座標のバイアス誤差を算出して航跡バイアス誤差とするようにしたので、航跡バイアス誤差の推定精度が向上し、結果的にシステム航跡の精度が向上する。
【0047】
実施の形態10.
図22はこの発明の実施の形態10によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態10は、実施の形態1で用いた航跡割当処理部20および航跡誤差推定処理部30に代えて、それぞれ異なる処理を行う航跡割当処理部202および航跡誤差推定処理部302を設けたものである。
ここでは、複数のローカル航跡の集合をローカル航跡群(以下、ローカル航跡群L、あるいは単に航跡群Lと呼ぶ)とし、また、リモート航跡の集合をリモート航跡群(以下、リモート航跡群R、あるいは単に航跡群Rと呼ぶ)とする。また、ローカル航跡とリモート航跡の対をペアと呼び、ペアの集合を組合せと呼ぶ。組合せに関しては、ペアが成立しない場合、例えば、ローカル航跡群とリモート航跡群の航跡数が異なる場合に、ローカル航跡またはリモート航跡の一方しかない場合も組合せの数として含まれるものとする。
【0048】
航跡割当処理部202における処理について説明する。
航跡割当処理部202では、まず、ローカル航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、リモート航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量ρを設定し、設定した航跡シフト量分だけリモート航跡群をローカル航跡群にシフトさせて、ローカル航跡とリモート航跡のペアをN個(Nは0以上の整数)以上含む組合せを抽出する。説明上、「ローカル航跡のそれぞれを中心としたゲート内にリモート航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする」という内容で説明を行うが、これは、逆に「リモート航跡のそれぞれを中心としたゲート内にローカルのいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする」という内容にすることもできる。つまり、以降の説明において、特に断りのない限り、リモートをローカル、ローカルをリモートに置き換えても処理が可能であることを前提としたものである。また、航跡シフト量ρは、説明上、図および文章の中においてスカラー表現で記載するが、多次元のベクトルでもよい。例えば、極座標の場合の航跡シフト量は、距離、仰角、方位角からなる3次元のベクトルで定義してもよいし、あるいは、距離、仰角からなる2次元のベクトル、距離、方位角からなる2次元のベクトル、仰角、方位角からなる2次元のベクトル、そして、距離の1次元のスカラー、仰角の1次元のスカラー、方位角の1次元のスカラーで定義してもよい。直交座標、オイラー角などの他の座標系でも同様である。また、極座標での航跡シフト量、直交座標での航跡シフト量を結合したベクトルで、新たに航跡シフト量を定義してもよい。
【0049】
図23はローカル航跡を中心としたゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せを抽出する処理方法について示す。図において、L1、L2、L3はローカル航跡群Lに含まれるローカル航跡、またR1、R2、R3、R4はリモート航跡群Rに含まれるリモート航跡である。図23(a)は、航跡シフト前のローカル航跡群とリモート航跡群を表し、図23(b)は、航跡シフト後のローカル航跡群とリモート航跡群を表す。
図23(a)の状態において、リモート航跡群Rをローカル航跡群Lに航跡シフト量ρだけシフトさせる。シフトの方法は、例えば、リモート航跡群R中の任意のリモート航跡を、ローカル航跡群L中の任意のローカル航跡に向かって合わせ込むことにより行う。ここでは、リモート航跡群R中のリモート航跡R1を、ローカル航跡群L中のローカル航跡L1に向かって航跡シフト量ρ分シフトさせる様子を示している。シフトを行った後の図23(b)において、ローカル航跡のゲート内にリモート航跡が入るか否かを判定し、ローカル航跡のゲート内に入ったリモート航跡は、ゲートを構成しているローカル航跡と、ゲート内に入ったリモート航跡をペアとみなす。例えば、図23(b)におけるリモート航跡R1はローカル航跡L1のゲート内に入ったので、ローカル航跡L1とリモート航跡R1はペアである。同様に、ローカル航跡L2とリモート航跡R2、ローカル航跡L3とリモート航跡R3もペアである。但し、リモート航跡R4は、どのローカル航跡のゲート内にも入らないため、ペアが成立しない。つまり、図23(b)では、L1とR1、L2とR2、L3とR3の各ペアをペア1、ペア2、ペア3としたとき、ペア1、ペア2、ペア3からなる組合せができたことになる。
【0050】
航跡割当処理部202では、上述のように航跡シフトの処理を実施し、シフトの大きさおよび方向を任意に変え、航跡シフト量を変化させる毎に決まる組合せ、つまり航跡シフトに応じて決まる組合せを求めていく。この航跡シフトに応じて決まる組合せは0個以上ある。航跡シフトに応じて決まる組合せの例を図24に示す。この図24は、図23のような複数のローカル航跡を持つ航跡群Lと複数のリモート航跡を持つ航跡群Rによる組合せの例である。図24(a)は、航跡シフト量を変化させた結果、L3とR1がペアとなるケースを表している。また、図24(b)は、航跡シフト量を変化させた結果、L3とR1、L2とR4がペアとなるケースを表している。
次に、航跡割当処理部202では、航跡シフトに応じて決まる、複数個ある組合せの内、ペアがN個(Nは0以上の整数)以上ある場合の組合せを抽出する。一方、ペアがN個以上ある組合せが、1つも得られない場合は、航跡シフト量を再設定し再度シフト処理を行う。
【0051】
さらに、航跡割当処理部202では、複数の抽出した組合せにおいて、それぞれ抽出した組合せ中の不当なペアを除く処理を行い、ペアの差の2乗和を算出する。ここで、図25を用いて不当なペアの存在例について説明する。この図25では、本来、L1とR1、L2とR2、L3とR3が真のペアである場合に、ある航跡シフトを実施した結果、L1とR1がペア、L3とR3がペア、L2とR4がペアとなるケースを表している。図25の場合だと、不当なペアはL2とR4であるので、除く処理を行う。不当なペアを除く方法としては、例えば、組合せ中のペアの差を算出し、全体のペアの差と比較して、異常な値のペア差を持つペアを不当なペアとして除けばよい。不当なペアであるL2とR4を除いた後、残ったペアL1とR1、L3とR3からペアの差の2乗和を算出する。
さらに、航跡割当処理部202は、このようにして各組合せで算出したペアの差の2乗和が最小となる組合せを航跡割当結果として計算して後述の航跡誤差推定処理部302に与える。
【0052】
図26に、航跡割当処理部202の動作フローを示す。
まず、処理が開始されると、ローカルセンサからローカル航跡、リモートセンサからリモート航跡をそれぞれ取得する(ステップST11)。次に、航跡割当処理部202において、航跡シフト量ρの初期設定を行う(ステップST12)。次に、航跡群L又は航跡群Rのいずれか一方を固定した上で、他方の航跡群全体をシフトさせる。ここでは、以降、航跡群Lを固定して、航跡群Rを航跡シフト量ρ分シフトする例で説明することとする。そして、航跡群Rをシフトした後、航跡群Lのメンバである各ローカル航跡の中に、航跡群Rのメンバである各リモート航跡が、ローカル航跡を中心としたゲート内に入るか否かを調べる。ゲート内に入る場合、ローカル航跡とリモート航跡のペアが成立する。そして、ゲート内にリモート航跡が最大限入る組合せを抽出する(ステップST13)。次に、ゲート内にリモート航跡が最大限入る組合せ中のペアの個数がN個以上かを調べる(ステップST14)。ペアの個数がN個未満の場合、航跡シフト量ρを別な値に再設定を行う処理(ステップST15)を経て、ステップST13の処理を再度行うようにする。一方、ペアの個数がN個以上の場合、組合せ毎に、不当なペアを除いて、ペアの差の2乗和を算出する(ステップST16)。次に、算出した組合せ毎のペアの差の2乗和が最小となる組合せを決定し、航跡割当結果として、ローカル航跡群とリモート航跡群の組合せと共に航跡誤差推定処理部302に出力する(ステップST17)。
【0053】
航跡誤差推定処理部302では、航跡割当処理部202から与えられたローカル航跡群とリモート航跡群の組合せを用いて航跡バイアス誤差の分散を求める。次に、この求めた航跡バイアス誤差の分散、航跡割当結果(組合せ毎のペアの差の2乗和が最小となる組合せ)、ローカル航跡の持つ航跡ランダム誤差分散とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散に基づいて航跡バイアス誤差の算出を行う。最終的に、航跡ランダム誤差分散、航跡バイアス誤差分散、航跡バイアス誤差および航跡割当結果を航跡統合処理部40に与える。
【0054】
以上のように、この実施の形態10によれば、ローカル航跡群とリモート航跡群の航跡割当に関し、ローカル航跡とリモート航跡の数が異なる場合であっても、ローカル航跡とリモート航跡のペアを生成することができる。また、航跡シフトにより、ゲート内に入る航跡をペアの対象とするので、妥当なペアを生成することが可能である。そして、不当なローカル航跡とリモート航跡のペアを除いて、組合せにおけるペアの差の2乗和を算出するので、組合せの評価指標であるペアの差の2乗和は妥当な値を算出することが可能となり、結果として、妥当な航跡割当を行うことが可能となる。さらに、妥当な航跡割当を行うことが可能であるため、航跡統合処理部40での航跡バイアス誤差の分散、航跡バイアス誤差の算出値を妥当な値で算出することが可能である。
【0055】
実施の形態11.
図27はこの発明の実施の形態11によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態11は、実施の形態10で用いた航跡割当処理部202に代えて、一部異なる処理を行う航跡割当処理部203を設けたものである。
航跡割当処理部203における処理について説明する。
航跡割当処理部203では、まず、上記図23および図24を用いて説明した処理を行う。すなわち、航跡群Lを固定した上で、航跡群R全体を航跡シフト量ρ分シフトし、ローカル航跡を中心としたゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せを抽出する。次に、ローカル航跡を中心としたゲート内にリモート航跡が入る個数、つまり、組合せ中のペアがN個(Nは0以上の整数)以上かを調べる。そして、組合せ中のペアがN未満の場合、航跡シフト量ρを再設定する。ここまでは、実施の形態10の航跡割当処理部202と同じである。
【0056】
一方、組合せ中のペアがN個以上のときは、この実施の形態11の航跡割当処理部203の場合は、上記図3のように、組合せ毎にペアの差の2乗の頻度分布を作成する。次に、このペアの差の2乗の頻度分布をモニタリングして、頻度分布の形状が不当な形状の場合、その組合せを無効とする。一方、頻度分布の形状が妥当な形状の場合、その組合せを有効として選択する。また、頻度分布が妥当な形状を持つ組合せがない場合は、航跡シフト量ρを再設定して組合せを作り直す。
ここで、組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布の形状の例を図28に示す。図28(a)は頻度分布が妥当な形状、図28(b)、(c)は頻度分布が不当な形状の例を表す。頻度分布の形状が妥当である場合とは、ローカル航跡とリモート航跡のペアが妥当な場合である。つまり、ローカル航跡とリモート航跡が同一目標からの航跡であると考えられ、組合せ中のどのペアについても、ペアの差が一定となるはずである。そのため、ローカル航跡とリモート航跡のペアが正確に生成されていれば、図28(a)のような頻度分布の形状になるはずである。一方、頻度分布が不当な形状、例えば、図28(b)のように、ペアの差の2乗の頻度の値がどの区間でも一定な場合、また図28(c)図32のように、頻度のピークが複数ある場合は、ローカル航跡とリモート航跡のペア生成が誤っている可能性がある。
頻度分布の形状が妥当な形状を持つ組合せがあり、かつその組合せが複数ある場合には、航跡割当処理部203は、その組合せが持つ頻度分布の形状から頻度の低い不当なペアを除去して、ペアの差の2乗和を算出し、さらに、ペアの差の2乗和が最小となる組合せを抽出し、航跡割当結果として航跡誤差推定処理部302へ送る。
【0057】
図29に、航跡割当処理部203の動作フローを示す。図29は、上記図26のステップST14とST16の処理の間に、ステップST141とST142の処理が追加されたフローとなる。したがって、主に異なる処理ステップについて説明する。
ステップST14の処理において、ゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せ中のペアの個数がN個以上の場合、組合せ毎に、ペアの差の2乗の頻度分布を作成する(ステップSTST141)。次に、組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布が妥当な形状であるかを調べ(ステップST142)、妥当な形状を持つ組合せがない場合は、航跡シフト量ρの再設定を行い(ステップST15)、組合せを再度作成する処理に入る。一方、組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布が不当な形状である場合は、組合せ毎に、不当なペアを除いて、ペアの差の2乗和を算出する(ステップST16)。
【0058】
以上のように、この実施の形態11によれば、ローカル航跡とリモート航跡のペアの差の2乗の頻度分布の形状モニタリングする、つまり、ペアの差の2乗の頻度分布を組合せがよいかどうかの評価指標に用いることにより、妥当な組合せを抽出することが可能となり、結果として、妥当な航跡割当を行うことが可能である。さらに、妥当な航跡割当を行うことが可能であるため、航跡統合処理部40での航跡バイアス誤差の分散、航跡バイアス誤差の算出値を妥当な値で算出することが可能となる。
【0059】
実施の形態12.
図30はこの発明の実施の形態12によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図27に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態12は、実施の形態11で用いた航跡割当処理部203に対して組合せ評価制御部190を設けたものである。
組合せ評価制御部190の処理機能について説明する。
組合せ評価制御部190は、組合せ中に不当な形状のペアがある場合は除去して、各組合せで残った妥当なペアの差の2乗和を算出する航跡割当処理部203の処理として、ペアの差の2乗の頻度分布における最頻値を含む上位α%(αは100以下の正の実数)の範囲に基づいてペアの差の2乗和を算出するよう航跡割当処理部203を制御する手段である。
実施の形態11で説明したように、航跡割当処理部203では、当該設定した航跡シフト量分だけ一方の航跡群(例えば、ローカル航跡群L)に対して他方の航跡群(例えば、リモート航跡群R)をシフトさせてローカル航跡とリモート航跡の対であるペアをN個(Nは0以上の整数)以上含む組合せを抽出して、組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布を算出し、算出したペアの差の2乗の頻度分布の形状から妥当な形状を持つ組合せを取得し、取得したそれぞれの組合せ中に不当な形状のペアがある場合は除去して、各組合せで残った妥当なペアの差の2乗和を算出する処理を行っている。この場合の組合せ毎の頻度分布を用いた不当なペアを除去して、ペアの差の2乗和を算出する処理に、この実施の形態12を適用した概念を図31に示す。
【0060】
組合せ評価制御部190は、航跡割当処理部203がペアの差の2乗和を算出する際、図31に示すように、ペアの差の2乗の頻度分布における最頻値を含む上位α%の範囲に基づいてペアの差の2乗和を算出させるための制御信号を航跡割当処理部203に与えるようにする。ここで、ペアの差の2乗の頻度分布における最頻値を含む上位α%を妥当と仮定したら、(100−α)%の不当なペアを除去することと同じ意味である。したがって、航跡割当処理部203は、このペアの差の2乗の頻度分布における最頻値を含む上位α%の範囲に基づいて算出したペアの差の2乗和を用いて、ペアの差の2乗和が最小となる組合せを航跡割当結果として抽出して航跡誤差推定処理部302に出力することになる。
【0061】
以上のように、この実施の形態12によれば、組合せにおける不当なペアを除去するために、ペアの差の2乗の頻度分布における最頻値を含む上位α%の範囲に基づいて、組合せの評価指標であるペアの差の2乗和を算出するようにしたので、例えば、最頻値の母数が少ない場合でも、不当なペアを除いて、妥当な組合せの評価指標を算出することができる。そのため、結果として、妥当な航跡割当を行うことが可能である。さらに、妥当な航跡割当を行うことが可能であるため、航跡統合処理部40での航跡バイアス誤差の分散、航跡バイアス誤差の算出値を妥当な値で算出することが可能となる。なお、この実施の形態12の組合せ評価制御部190を、後述する実施の形態13の航跡割当処理部204に対して適用しても同様な効果を奏する。
【0062】
実施の形態13.
図32はこの発明の実施の形態13によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態13は、実施の形態11の航跡割当処理部203に代えて、一部異なる処理を行う航跡割当処理部204を設けたものである。
航跡割当処理部204における処理について説明する。
航跡割当処理部204では、まず、航跡群Lを固定した上で、航跡群R全体を航跡シフト量ρ分シフトし、ローカル航跡を中心としたゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せを抽出する。次に、ローカル航跡を中心としたゲート内にリモート航跡が入る個数、つまり、組合せ中のペアがN個(Nは0以上の整数)以上かを調べる。そして、組合せ中のペアがN未満の場合、航跡シフト量ρを再設定する。一方、組合せ中のペアがN個以上のときは、組合せ毎に、ペアの差の2乗の頻度分布を作成する。ここまでは、実施の形態11の航跡割当処理部203と同じである。
【0063】
航跡割当処理部204の場合は、次に、ある組合せの頻度分布に注目して、頻度分布の上位2個のピークが1ピークになるようにピーク差を考慮して、航跡シフト量ρを変化させて頻度分布を再計算する。この処理方法について図33に示す。例えば、図33(a)のように、頻度分布のピークが複数個ある場合に、頻度分布のピークが1つになるまで航跡シフト量ρの変更を実施する。頻度分布のピークを1つする際の航跡シフト量ρの設定方法は、例えば、ピーク差を考慮した範囲で適切な航跡シフト量ρを設定する。また、航跡シフト量を数通り設定して、探索により、頻度分布のピークを1つにするような航跡シフト量ρを決めるなどの方法も考えられる。図33(b)のように、頻度分布のピークを1つにした後、妥当な組合せを取得する。
次に、実施の形態11の航跡割当処理部203と同様に、取得したそれぞれの組合せ中に不当な形状のペアがある場合は、不当なペアを除いて、ペアの差の2乗和を算出する。そして、不当なペアを除いた組合せから求めたペアの差の2乗和が、最小となる場合の組合せを航跡割当結果として航跡誤差推定処理部302に与える。
【0064】
図34に、航跡割当処理部204の動作フローを示す。図34は、上記図29のステップST142の処理に代えてステップST143とST144の処理を設けたフローとなる。したがって、主に異なる処理ステップについてのみ説明する。
ゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せ中のペアの個数がN個以上の場合において、ステップST141の処理では組合せ毎に、ペアの差の2乗の頻度分布を作成するが、作成されたペアの差の頻度分布に複数のピークがある組合せが存在した場合には、この頻度分布の上位2個のピーク差を考慮して、航跡シフト量ρを変化させ、頻度分布を再計算する(ステップST143)。次に、再計算された頻度分布のピークが1個になったかを調べる(ステップST144)。頻度分布のピークが1個になっていない場合は、ステップST143の処理に戻り、頻度分布を再計算する。一方、頻度分布のピークが1個の場合は、組合せ毎に、不当なペアを除いて、ペアの差の2乗和を算出する(ステップST16)。
【0065】
以上のように、この実施の形態13によれば、ペアの差の頻度分布をモニタリングして、ペアの差の頻度分布の複数のピークから、ピークが1つになるような航跡シフト量を再設定するようにしたので、妥当な組合せ、つまり妥当な航跡割当を行うことが可能となる。
【0066】
実施の形態14.
図35はこの発明の実施の形態14によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態14は、実施の形態10の航跡割当処理部202に対して航跡シフト量制御処理部210を設けたものである。
次に、航跡シフト量制御処理部210の処理機能について説明する。
航跡シフト量制御処理部210は、ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方(例えば、ローカル航跡群)における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群(例えば、リモート航跡群)の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群(リモート航跡群)を一方の航跡群(ローカル航跡群)にシフトさせる航跡割当処理部202の処理後において、さらにランダム誤差を考慮した航跡シフト量を設定して、他方の航跡群(リモート航跡群)を、当該ランダム誤差を考慮した航跡シフト量分再シフトさせてから組合せを抽出するよう航跡割当処理部202を制御する手段である。
航跡割当処理部202では、上記実施の形態10で説明したように、ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方で、ローカル航跡またはリモート航跡を中心としたゲート内に他方の航跡群のリモート航跡またはローカル航跡が最大個数入るような航跡シフト量を設定した後、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせてローカル航跡とリモート航跡の対であるペアをN個(Nは0以上の整数)以上含む組合せを抽出する処理を行っている。しかし、リモート航跡群中のリモート航跡をローカル航跡群中のローカル航跡へ合わせ込む処理において、ペアができないケースが生じる場合がある。これは、逆に、ローカル航跡をリモート航跡に合わせ込む場合にも同様に起こる問題である。
【0067】
この問題の発生理由と航跡シフト量制御処理部210による解決方法について図36により説明する。図36(a)は航跡シフト前、図36(b)は航跡シフト後を表している。また、図36(c)は、図36(b)の航跡シフト後に、航跡シフト量制御処理部210により、ランダム誤差を考慮した航跡シフトを行った場合のペアの生成状況を表している。ここで、航跡群Lの構成メンバはローカル航跡L1、L2、L3、航跡群Rの構成メンバはリモート航跡R1、R2、R3、R4とし、L1とR1、L2とR2、L3とR3はそれぞれ、同一の目標から生成された航跡と仮定する。
今、図36(a)において、R1をL1に合わせこむように航跡シフト量ρを設定し、航跡群Rを航跡群Lにシフトすると、図36(b)に示すように、R1がL1に合わせ込まれる。図36(b)において、R1はL1を中心としたゲートに入っているので、L1とR1をペアとみなす。同様に、R3がL3を中心としたゲートに入っているので、L3とR3をペアとみなす。しかし、R2はL2を中心としたゲートに入っていないので、本来L2とR2はペアとなるべきであるが、ペアとみなされない。このような状況になるのは、ローカル航跡、リモート航跡がそれぞれ、ローカルセンサとリモートセンサが持つランダム誤差、例えば、観測誤差等の影響を受けているからである。
このようなランダム誤差の影響でペアが成立しないケースを改善するには、図36(a)から図36(b)に移る際に設定した航跡シフト量ρに加え、さらに図36(c)に示すように、ランダム誤差を考慮した航跡シフト量Δρを設定して航跡群Rをシフトさせるようにしてやればよい。図36(c)において、図36(b)でペアが成立しなかったL2とR2は、ランダム誤差を考慮した航跡シフト量Δρを設定し、航跡群Rをシフトさせることにより、L2を中心としたゲートにR2を入れることができるようになる。
そのため、航跡シフト制御処理部210では、航跡割当処理部202がリモート航跡をローカル航跡に合せ込むように航跡シフト量ρを設定して航跡群Rをシフトさせた後、さらに、ランダム誤差を考慮した航跡シフト量Δρを設定して航跡群Rを、航跡シフト量Δρ分再度シフトさせて組合せを作成するよう航跡割当処理部202を制御するようにする。
【0068】
以上のように、この実施の形態14によれば、リモート航跡をローカル航跡に合せ込むように航跡シフトとした後、さらに、ランダム誤差を考慮した航跡シフトを行うようにしたので、ランダム誤差の影響でゲートを外す航跡がゲート内に入るようになり、妥当なペアを作成することが可能となり、結果的に妥当な組合せを作成することが可能になる。なお、航跡シフト量制御処理部210を、実施の形態11の航跡割当処理部203あるいは実施の形態13の航跡割当処理部204に対して適用しても同様な効果を奏する。
【0069】
実施の形態15.
図37はこの発明の実施の形態15によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態15は、実施の形態10で用いた航跡割当処理部202に対してゲート内航跡選択制御処理部220を設けたものである。
次に、ゲート内航跡選択制御処理部220の処理機能について説明する。
航跡割当処理部202では、ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方(例えば、ローカル航跡群)における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群(例えば、リモート航跡群)の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群(リモート航跡群)を一方の航跡群(ローカル航跡群)にシフトさせる処理を行っている。ゲート内航跡選択制御処理部220では、航跡割当処理部202の上記処理において、ローカル航跡(またはリモート航跡)を中心としたゲート内にリモート航跡(またはローカル航跡)が複数入った場合、ゲートの中心から最も近いものをペアとなる相手として選択するよう航跡割当処理部202を制御する。
したがって、この実施の形態15によれば、ローカル航跡(またはリモート航跡)を中心としたゲート内にリモート航跡(またはローカル航跡)が複数入った場合、ペアを一意に決めることが可能となる。
【0070】
実施の形態16.
図38はこの発明の実施の形態16によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態16は、実施の形態10で用いた航跡割当処理部202に対して祖ゲート使用航跡数制限処理部230を設けたものである。
次に、祖ゲート使用航跡数制限処理部230の処理機能について説明する。
航跡割当処理部202では、ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方(例えば、ローカル航跡群)における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群(例えば、リモート航跡群)の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群(リモート航跡群)を一方の航跡群(ローカル航跡群)にシフトさせる処理を行っている。祖ゲート使用航跡数制限処理部230では、航跡割当処理部202の上記処理におけるローカル航跡群中のローカル航跡数およびリモート航跡群中のリモート航跡数を、粗ゲートにより限定するよう航跡割当処理部202を制御する。粗ゲートの中心は、オペレータの指定した中心位置、事前に設定したエリアの中心位置、あるいはシステムで注目目標と判断した目標位置を設定することが考えられる。この粗ゲートにより、ローカル航跡群、リモート航跡群の各航跡数が限定されるため、組合せを生成する演算の低減が図れる。
以上のように、この実施の形態16によれば、粗ゲートにより、ローカル航跡とリモート航跡のペアリングを行うエリアを限定して、ローカル航跡群中のローカル航跡およびリモート航跡群中のリモート航跡の数を絞るようにしたので、組合せを生成する演算時間を低減することが可能となる。なお、祖ゲート使用航跡数制限処理部230を、実施の形態11の航跡割当処理部203あるいは実施の形態13の航跡割当処理部204に対して適用しても同様な効果を奏する。
【0071】
実施の形態17.
図39はこの発明の実施の形態17によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態17は、実施の形態10で用いた航跡割当処理部202に対して航跡群重心使用合わせ込み制御処理部240を設けたものである。
次に、航跡群重心使用合わせ込み制御処理部240の処理機能について説明する。
航跡割当処理部202では、ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方(例えば、ローカル航跡群)における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群(例えば、リモート航跡群)の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群(リモート航跡群)を一方の航跡群(ローカル航跡群)にシフトさせる処理を行っている。航跡群重心使用合わせ込み制御処理部240では、航跡割当処理部202の上記処理において、航跡群Lおよび航跡群Rのそれぞれの重心を求め、航跡シフト量ρを、航跡群R(または航跡群L)の重心を航跡群L(または航跡群R)の重心に合わせ込む値に設定して、航跡群R(または航跡群L)を航跡群L(または航跡群R)にシフトさせるよう航跡割当処理部202を制御する。航跡群Rの重心および航跡群Lの重心は、航跡群の代表点相当である。そのため、航跡群Rの重心を航跡群Lの重心に合わせ込むことで、航跡群R中の各リモート航跡を航跡群L中の各ローカル航跡に合わせ込む処理数を減すことができる。したがって、組合せを生成するための演算時間の低減を図ることができる。
以上のように、この実施の形態17によれば、両航跡群の重心を用いて合わせ込みを行うようにしたので、組合せ生成に要する演算時間の低減化を可能にする。なお、航跡群重心使用合わせ込み制御処理部240を、実施の形態11の航跡割当処理部203あるいは実施の形態13の航跡割当処理部204に対して適用しても同様な効果を奏する。
【0072】
実施の形態18.
図40はこの発明の実施の形態18によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図22に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態18は、実施の形態10で用いた航跡割当処理部202に対して航跡シフト範囲制御処理部250を設けたものである。
次に、航跡シフト範囲制御処理部250の処理機能について説明する。
航跡割当処理部202では、ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方(例えば、ローカル航跡群)における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群(例えば、リモート航跡群)の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群(リモート航跡群)を一方の航跡群(ローカル航跡群)にシフトさせる処理を行っている。航跡シフト範囲制御処理部250では、航跡割当処理部202の上記処理において、航跡群Lと航跡群Rの最大値および最小値から航跡シフトの範囲を決め、その決めた航跡シフトの範囲内で航跡群のシフトを行わせるよう航跡割当処理部202を制御する。ここで、航跡群Lと航跡群Rの最大値および最小値の決め方は、例えば、航跡バイアス誤差を仮定している座標系における、航跡位置の最大値、最小値などで決める。あるいは、航跡バイアス誤差を定義している座標系以外の座標系で、航跡位置の最大値、最小値を決定してもよい。このように、航跡シフト範囲制御処理部250により航跡シフトの範囲を制限することにより、むやみやたらに航跡シフトを行う手間が省け、結果として、組合せ生成に要する演算時間の低減化を図ることができる。
以上のように、この実施の形態18によれば、航跡群Lと航跡群Rの最大値および最小値から航跡シフトの範囲を決め、その決めた航跡シフトの範囲を限定するようにしたので、航跡群のシフを行う手間、つまり、組合せ生成に要する演算時間の低減が可能となる。なお、航跡シフト範囲制御処理部250を、実施の形態11の航跡割当処理部203あるいは実施の形態13の航跡割当処理部204に対して適用しても同様な効果を奏する。
【0073】
実施の形態19.
図41はこの発明の実施の形態19によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図32に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態19は、実施の形態13で用いた航跡割当処理部204に対して航跡シフト各軸制御処理部260を設けたものである。
次に、航跡シフト各軸制御処理部260の処理機能について説明する。
航跡シフト各軸制御処理部260は、組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布に複数のピークがある組合せが存在した場合には、そのピークが1つになるように航跡シフト量を再設定して航跡シフトを行った後、ペアの差の2乗の頻度分布を再計算する航跡割当処理部204の処理において、各軸での航跡シフトの頻度分布のピーク差に応じてそれぞれの軸方向の航跡シフト量を再設定しピークが1つになるよう航跡シフトを行うよう航跡割当処理部204を制御する手段である。
ここで、航跡シフト量ρを定義する座標系は、極座標でも、直交座標でもオイラー角で定義してもよい。また、ベクトルの次元は何次元でもよい。航跡シフト各軸制御処理部260では、航跡シフト量ρとして、例えば直交座標における2次元のベクトルを用いる。つまり、航跡シフトをx軸、y軸で行うことを想定する。
【0074】
まず、航跡シフト各軸制御処理部260は、航跡シフト量ρを、x軸で動かしたときのペアの差の2乗の頻度分布を作成させるための制御信号を航跡割当処理部204に与える。ここでのペアの差は、x軸での差とする。また、x軸で動かす場合の航跡シフト量ρはρ=[ρx,0]である。制御信号を受けた航跡割当処理部204では、x軸でのペアの差の2乗の頻度分布を作成するようにし、図33に示すように、x軸上でのピーク差を見る。同様に、航跡シフト各軸制御処理部260は、航跡シフト量ρを、y軸で動かしたときのペアの差の2乗の頻度分布を作成させるための制御信号を航跡割当処理部204に与える。ここでのペアの差は、y軸での差とする。また、y軸で動かす場合の航跡シフト量ρはρ=[0,ρy]である。航跡割当処理部204では、航跡シフト量ρを、y軸で動かしたときのペアの差の2乗の頻度分布を作成するようにし、図33のように、y軸上でのピーク差を見る。そして、航跡割当処理部204は、x軸でのペアの差の2乗の頻度分布及びy軸でのペアの差の2乗の頻度分布を同時または交互に、x軸での航跡シフトおよびy軸での航跡シフトを変化させることにより、x軸でのペアの差の2乗の頻度分布およびy軸のペアの差の2乗の頻度分布のピークが同時に1つになるx軸上での航跡シフト量[ρx,0]、y軸上での航跡シフト量[0,ρy]、つまり、航跡シフト量[ρx,ρy]を探す。このように、航跡シフト各軸制御処理部260により各軸での航跡シフトの頻度分布を見ながら、航跡割当処理部204が各軸での航跡シフトの頻度分布のピーク差に応じてそれぞれの軸方向の航跡シフト量の再設定を行って、ピークが1つになるよう航跡シフトを行い、抽出した組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布を再計算するので、組合せの精度の向上が図れる。
【0075】
以上のように、この実施の形態19によれば、各軸での航跡シフトの頻度分布を見ながら、各軸での航跡シフトの頻度分布のピーク差に応じてそれぞれの軸方向の航跡シフト量の再設定を行うので、抽出した組合せの精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態1によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るローカル航跡とリモート航跡の例を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るペアの差分の2乗の頻度分布を表す概念図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るシステム航跡測定装置の動作例を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】リモート航跡をローカル航跡に誤ってシフトさせる例を示す説明図である。
【図7】図6によるシフト後のローカル航跡とリモート航跡の状態を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る、リモート航跡をローカル航跡に正しくシフトさせる例を示す説明図である。
【図9】図8によるシフト後のローカル航跡とリモート航跡の状態を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態3によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る、ローカル航跡群の重心とリモート航跡群の重心の関係を表す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態5によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係る、ローカル航跡とリモート航跡のクラスタ化と処理単位の粗ゲート化の例を表す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態6によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態7によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態7に係る回転角から航跡バイアス誤差を推定する方法を表す説明図である。
【図18】この発明の実施の形態8によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図19】この発明の実施の形態8に係る航跡バイアス誤差を推定する方法を表す説明図である。
【図20】この発明の実施の形態9によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図21】この発明の実施の形態9に係る航跡バイアス誤差を推定する方法を表す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態10によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図23】この発明の実施の形態10の航跡割当処理部による航跡ペアの組合せを生成する処理方法を示す説明図である。
【図24】この発明の実施の形態10の航跡割当処理部において航跡シフトに応じて決まる航跡ペアの組合せの例を示す説明図である。
【図25】この発明の実施の形態10の航跡割当処理部で抽出した組合せに含まれる不当な航跡ペアの例を示す説明図である。
【図26】この発明の実施の形態10に係る航跡割当処理部の動作を示すフローチャートである。
【図27】この発明の実施の形態11によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図28】この発明の実施の形態11の航跡割当処理部で算出した組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布の形状例を示す説明図である。
【図29】この発明の実施の形態11に係る航跡割当処理部の動作を示すフローチャートである。
【図30】この発明の実施の形態12によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図31】この発明の実施の形態12に係る組合せ評価制御部を適用した場合の航跡割当処理部の処理方法が概念を示す説明図である。
【図32】この発明の実施の形態13によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図33】この発明の実施の形態13に係る航跡割当処理部による処理法を示す説明図である。
【図34】この発明の実施の形態13に係る航跡割当処理部の動作を示すフローチャートである。
【図35】この発明の実施の形態14によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図36】この発明の実施の形態14に係る航跡シフト制御処理部による処理法を示す説明図である。
【図37】この発明の実施の形態15によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図38】この発明の実施の形態16によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図39】この発明の実施の形態17によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図40】この発明の実施の形態18によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図41】この発明の実施の形態19によるシステム航跡測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図42】従来の航跡測定に適用される複数センサによる観測状況を表す説明図である。
【図43】従来の航跡割当を行うシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
10 センサ、20,202,203,204 航跡割当処理部、30,302 航跡誤差推定処理部、40 航跡統合処理部、50 表示処理部、60 組合せ制限制御部、70 航跡誤差算出制御部、90 組合せ結果DB、110 粗ゲート制御部、120 航跡数制限制御処理部、130 航跡バイアス誤差オイラー角制御部、140 航跡バイアス誤差直交座標制御部、150 航跡バイアス誤差極座標制御部、190 組合せ評価制御部、210 航跡シフト量制御処理部、220 ゲート内航跡選択制御処理部、230 祖ゲート使用航跡数制限処理部、240 航跡群重心使用合わせ込み制御処理部、250 航跡シフト範囲制御処理部、260 航跡シフト各軸制御処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルセンサおよびリモートセンサのそれぞれが目標および誤目標などを含んだ観測値から生成した目標の航跡に基づいてシステム航跡を測定するシステム航跡測定装置において、
ローカル航跡とリモート航跡のペアを作成し、作成したペアを組み合わせて航跡の組合せを作成し、各組合せを構成するペアについて差分を取って、組合せごとにペアの差分の2乗和を算出し、算出した差分の2乗和の中から最小値を1つ選択し、当該選択した最小値に対応する組合せを航跡割当とし、次に、算出した航跡割当に対応するペアの差分で、差分の2乗の頻度分布を取り、当該差分の2乗の頻度分布の最頻値の中から航跡バイアス誤差分散を算出する航跡割当処理部と、
前記算出された航跡割当を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアにおけるローカル航跡の持つ航跡ランダム誤差分散とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散、および前記航跡割当処理部で算出された航跡バイアス誤差分散に基づいて、航跡バイアス誤差を算出する航跡誤差推定処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、前記航跡誤差推定処理部で算出された航跡バイアス誤差分に基づいて補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を、リモート航跡のランダム誤差分散、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散を考慮して重み付け統合してシステム航跡を生成する航跡統合処理部と、
前記航跡統合処理部から出力されたシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を、それぞれの管理番号で関連付けて表示を行う表示処理部を備えたことを特徴とするシステム航跡測定装置。
【請求項2】
リモート航跡群の基準とするリモート航跡を、これに対応するローカル航跡群のローカル航跡に合わせ込む処理を行うことに並行して、前記リモート航跡群とローカル航跡群に含まれる他のそれぞれ対応するローカル航跡とリモート航跡の合わせ込みを行い、合わせ込んだローカル航跡とリモート航跡同士をペアとする航跡の組合せを用いて航跡割当を算出すると共に、当該合わせ込みの基準としたリモート航跡とローカル航跡の合わせ込む前の位置の差から、合わせ込みに用いたリモート航跡のランダム誤差分とローカル航跡のランダム誤差分を引いた値を2乗したものから航跡バイアス誤差分散として算出させるよう航跡割当処理部を制御する組合せ制限制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項3】
リモート航跡群の重心とローカル航跡群の重心の差を航跡バイアス誤差として算出する航跡誤差算出制御部を備え、
航跡割当処理部は、前記航跡誤差算出制御部で算出された航跡バイアス誤差を航跡の組合せを構成するペアの差分とし、組合せごとにペアの差分の2乗和を算出して、当該2乗和が最小となるような組合せを航跡割当とし、
航跡誤差推定処理部は、前記航跡誤差算出制御部で算出された航跡バイアス誤差を、求めるべき航跡バイアス誤差としてそのまま出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項4】
スキャンした各時刻におけるローカル航跡とリモート航跡の組合せの全結果、およびその全結果に基づくローカル航跡とリモート航跡のペアの差分の2乗を蓄積保持する組合せ結果データベースを備え、
航跡割当処理部は、現時刻のスキャンによる処理の際、過去のスキャン分のローカル航跡とリモート航跡の組合せの全結果、およびその全結果に基づくローカル航跡とリモート航跡のペアの差分の2乗を前記組合せ結果データベースから読み出して、これらの過去のデータを含めてローカル航跡とリモート航跡の航跡割当と航跡バイアス誤差分散の計算を行い、かつ、今回の処理で決定された、リモート航跡とローカル航跡のペアからなる組合せの全結果、およびその航跡の組合せの全結果におけるリモート航跡とローカル航跡のペアの差分の2乗を前記組合せ結果データベースに蓄積することを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項5】
各ローカル航跡を中心とした粗ゲートをそれぞれ設定し、設定した粗ゲートに入るローカル航跡とリモート航跡の組合せの纏まりをクラスタ化するよう航跡割当処理部を制御する粗ゲート制御部を備え、
前記航跡割当処理部は、生成したクラスタ毎に航跡割当および航跡バイアス誤差分散を算出することを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項6】
ローカル航跡とリモート航跡に含まれる目標位置ベクトルおよび目標速度ベクトルに基づいて目標の現在位置および移動方向を算出し、算出した目標の現在位置および移動方向から、予め地理的に決めておいた評価点に向かっているローカル航跡およびリモート航跡のみを抽出する航跡数制限制御処理部を備え、
航跡割当処理部は、航跡数制限制御処理部で抽出されたローカル航跡とリモート航跡に対して航跡割当および航跡バイアス誤差分散を算出することを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項7】
ローカルセンサの直交座標を変換した座標をリモートセンサの直交座標とみなした場合のオイラー角を算出し、当該オイラー角を航跡バイアス誤差と推定するように航跡誤差推定処理部を制御する航跡バイアス誤差オイラー角制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項8】
ローカル航跡に対して、ローカルセンサの直交座標上におけるリモート航跡が、その各軸方向にバイアス誤差を持つリモートセンサの直交座標上にある場合に、このリモートセンサの直交座標のバイアス誤差を算出し、当該直交座標のバイアス誤差を航跡バイアス誤差として推定する処理を行わせるよう航跡誤差推定処理部を制御する航跡バイアス誤差直交座標制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項9】
ローカル航跡に対して、ローカルセンサの極座標上におけるリモート航跡が、その各極方向にバイアス誤差を持つリモートセンサの極座標上にある場合に、このリモートセンサの極座標のバイアス誤差を算出し、当該極座標のバイアス誤差を航跡バイアス誤差として推定する処理を行わせるよう航跡誤差推定部を制御する航跡バイアス誤差極座標制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム航跡測定装置。
【請求項10】
ローカルセンサからのローカル航跡とリモートセンサからのリモート航跡をそれぞれ取得するステップと、
ローカル航跡とリモート航跡のペアおよび組合せを作成するステップと、
組合せ毎にペアの差の2乗和を計算するステップと、
組合せ毎に計算したペアの差の2乗和の最小値を選択するステップと、
ペアの差の2乗和の最小値に基づく組合せを航跡割当と決定するステップと、
決定された航跡割当におけるペアの差の2乗和の頻度分布より最頻値を算出するステップと、
決定された航跡割当におけるペアの差の2乗和の最頻値を、航跡バイアス誤差分散と決定するステップと、
決定された航跡割当である各ローカル航跡とリモート航跡のペアについて、ローカル航跡の持つ航跡ランダム誤差分散、リモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散に基づいて、航跡バイアス誤差を推定するステップと、
決定された航跡割当であるリモート航跡とローカル航跡のペアについて、航跡バイアス誤差分を考慮して補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡を、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散、リモート航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡ランダム誤差分散を考慮してローカル航跡と重み付け統合することによりシステム航跡を生成するステップと、
生成されたシステム航跡の管理番号、ローカル航跡の管理番号を基に、当該システム航跡がどのローカル航跡およびリモート航跡と関連を持っているかを考慮してシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を表示するステップを有したことを特徴とする航跡割当と航跡誤差補正処理方法。
【請求項11】
ローカルセンサおよびリモートセンサのそれぞれが目標および誤目標などを含んだ観測値から生成した目標の航跡に基づいてシステム航跡を測定するシステム航跡測定装置において、
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせてローカル航跡とリモート航跡のペアをN個(Nは0以上の整数)以上含む組合せを抽出し、抽出したそれぞれの組合せ中にある不当なペアを除く処理を行った後、各組合せで残った妥当なペアの差の2乗和を算出し、各組合せの中から、算出したペアの差の2乗和が最小となる場合の組合せを航跡割当結果として抽出する航跡割当処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果であるローカル航跡群とリモート航跡群の組合せを用いて航跡バイアス誤差の分散を求め、当該求めた航跡バイアス誤差の分散、航跡割当結果、ローカル航跡とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散に基づいて航跡バイアス誤差を算出する航跡誤差推定処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、前記航跡誤差推定処理部で算出された航跡バイアス誤差分に基づいて補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を、リモート航跡のランダム誤差分散、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散を考慮して重み付け統合してシステム航跡を生成する航跡統合処理部と、
前記航跡統合処理部から出力されたシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を、それぞれの管理番号で関連付けて表示を行う表示処理部を備えたことを特徴とするシステム航跡測定装置。
【請求項12】
ローカルセンサおよびリモートセンサのそれぞれが目標および誤目標などを含んだ観測値から生成した目標の航跡に基づいてシステム航跡を測定するシステム航跡測定装置において、
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせてローカル航跡とリモート航跡のペアをN個(Nは0以上の整数)以上含む組合せを抽出し、抽出した組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布を算出し、算出したペアの差の2乗の頻度分布の形状から妥当な形状を持つ組合せを取得し、取得したそれぞれの組合せ中に不当な形状のペアがある場合は除去した後、各組合せで残った妥当なペアの差の2乗和を算出し、各組合せの中から、算出したペアの差の2乗和が最小となる組合せを航跡割当結果として抽出する航跡割当処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果であるローカル航跡群とリモート航跡群の組合せを用いて航跡バイアス誤差の分散を求め、当該求めた航跡バイアス誤差の分散、航跡割当結果、ローカル航跡とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散に基づいて航跡バイアス誤差を算出する航跡誤差推定処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、前記航跡誤差推定処理部で算出された航跡バイアス誤差分に基づいて補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を、リモート航跡のランダム誤差分散、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散を考慮して重み付け統合してシステム航跡を生成する航跡統合処理部と、
前記航跡統合処理部から出力されたシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を、それぞれの管理番号で関連付けて表示を行う表示処理部を備えたことを特徴とするシステム航跡測定装置。
【請求項13】
ローカルセンサおよびリモートセンサのそれぞれが目標および誤目標などを含んだ観測値から生成した目標の航跡に基づいてシステム航跡を測定するシステム航跡測定装置において、
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせてローカル航跡とリモート航跡のペアをN個(Nは0以上の整数)以上含む組合せを抽出し、抽出した組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布を算出し、算出したペアの差の2乗の頻度分布に複数のピークがある組合せが存在した場合には、そのピークが1つになるような航跡シフト量を再設定して航跡シフトを行った後、ペアの差の2乗の頻度分布を再計算して妥当な組合せを取得し、取得したそれぞれの組合せ中に不当な形状のペアがある場合は除去した後、各組合せで残った妥当なペアの差の2乗和を算出し、各組合せの中から、算出したペアの差の2乗和が最小となる組合せを航跡割当結果として抽出する航跡割当処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果であるローカル航跡群とリモート航跡群の組合せを用いて航跡バイアス誤差の分散を求め、当該求めた航跡バイアス誤差の分散、航跡割当結果、ローカル航跡とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散に基づいて航跡バイアス誤差を算出する航跡誤差推定処理部と、
前記航跡割当処理部で算出された航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、前記航跡誤差推定処理部で算出された航跡バイアス誤差分に基づいて補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を、リモート航跡のランダム誤差分散、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散を考慮して重み付け統合してシステム航跡を生成する航跡統合処理部と、
前記航跡統合処理部から出力されたシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を、それぞれの管理番号で関連付けて表示を行う表示処理部を備えたことを特徴とするシステム航跡測定装置。
【請求項14】
組合せ中に不当な形状のペアがある場合は除去して、各組合せで残った妥当なペアの差の2乗和を算出する航跡割当処理部の処理として、ペアの差の2乗の頻度分布における最頻値を含む上位α%(αは100以下の正の実数)の範囲に基づいてペアの差の2乗和を算出するよう前記航跡割当処理部を制御する組合せ評価制御部を備えたことを特徴とする、請求項12または請求項13記載のシステム航跡測定装置。
【請求項15】
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせる航跡割当処理部の処理後において、さらにランダム誤差を考慮した航跡シフト量を設定して、前記他方の航跡群を、当該ランダム誤差を考慮した航跡シフト量分再シフトさせてから組合せを抽出するよう前記航跡割当処理部を制御する航跡シフト量制御処理部を備えたことを特徴とする請求項11から請求項13のうちのいずれか1項記載のシステム航跡測定装置。
【請求項16】
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせる航跡割当処理部の処理において、前記ゲート内に他方の航跡群の航跡が複数入った場合には、前記ゲートの中心から最も近くにある他方の航跡群の航跡をペアとなる相手として選択するよう前記航跡割当処理部を制御するゲート内航跡選択制御処理部を備えたことを特徴とする請求項11から請求項13のうちのいずれか1項記載のシステム航跡測定装置。
【請求項17】
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせる航跡割当処理部の処理において、ローカル航跡群中のローカル航跡数およびリモート航跡群中のリモート航跡数を、粗ゲートにより限定するよう前記航跡割当処理部を制御する祖ゲート使用航跡数制限処理部を備えたことを特徴とする請求項11から請求項13のうちのいずれか1項記載のシステム航跡測定装置。
【請求項18】
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせる航跡割当処理部の処理において、ローカル航跡群およびリモート航跡群のそれぞれの重心を求め、前記航跡シフト量を各々の重心を合わせ込む値に設定して航跡群をシフトさせるよう前記航跡割当処理部を制御する航跡群重心使用合わせ込み制御処理部を備えたことを特徴とする請求項11から請求項13のうちのいずれか1項記載のシステム航跡測定装置。
【請求項19】
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせる航跡割当処理部の処理において、ローカル航跡群およびリモート航跡群の最大値および最小値から航跡シフトの範囲を決め、決めた航跡シフトの範囲内で、航跡群のシフトを行わせるよう前記航跡割当処理部を制御する航跡シフト範囲制御処理部を備えたことを特徴とする請求項11から請求項13のうちのいずれか1項記載のシステム航跡測定装置。
【請求項20】
組合せ毎のペアの差の2乗の頻度分布に複数のピークがある組合せが存在した場合には、そのピークが1つになるように航跡シフト量を再設定して航跡シフトを行った後、ペアの差の2乗の頻度分布を再計算する航跡割当処理部の処理において、各軸での航跡シフトの頻度分布のピーク差に応じてそれぞれの軸方向の航跡シフト量を再設定しピークが1つになるよう航跡シフトを行うよう前記航跡割当処理部を制御する航跡シフト各軸制御処理部を備えたことを特徴とする請求項13記載のシステム航跡測定装置。
【請求項21】
ローカルセンサからローカル航跡、リモートセンサからリモート航跡をそれぞれ取得するステップと、
航跡シフト量ρの初期設定を行うステップと、
ローカル航跡群およびリモート航跡群のいずれか一方における航跡のそれぞれを中心としたゲート内に、他方の航跡群の航跡のいずれかがペアとなるように最大限入れるようにする航跡シフト量を設定し、当該設定した航跡シフト量分だけ他方の航跡群を一方の航跡群にシフトさせてローカル航跡とリモート航跡のペアを含む組合せを抽出するステップと、
抽出したゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せ中のペアの個数がN個以上かを調べるステップと、
抽出したゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せ中のペアの個数がN個未満の場合には、N個以上となるまで航跡シフト量ρを再設定して再シフトおよび組合せを抽出する処理を行うステップと、
抽出したゲート内にリモート航跡が最大個数入る組合せ中のペアの個数がN個以上の場合には、組合せ毎に、不当なペアを除いて、ペアの差の2乗和を算出するステップと、
算出した組合せ毎のペアの差の2乗和が最小となる組合せを決定し、航跡割当結果として出力するステップと、
航跡割当結果であるローカル航跡群とリモート航跡群の組合せを用いて航跡バイアス誤差の分散を求め、当該求めた航跡バイアス誤差の分散、航跡割当結果、ローカル航跡とリモート航跡の持つ航跡ランダム誤差分散に基づいて航跡バイアス誤差を算出するステップと、
航跡割当結果を構成するローカル航跡とリモート航跡の各ペアについて、前記航跡誤差推定処理部で算出された航跡バイアス誤差分に基づいて補正したリモート航跡を算出し、当該補正したリモート航跡とローカル航跡を、リモート航跡のランダム誤差分散、ローカル航跡の航跡ランダム誤差分散および航跡バイアス誤差分散を考慮して重み付け統合してシステム航跡を生成するステップと、
生成されたシステム航跡の管理番号、ローカル航跡の管理番号を基に、当該システム航跡がどのローカル航跡およびリモート航跡と関連を持っているかを考慮してシステム航跡、ローカル航跡およびリモート航跡を表示するステップを有したことを特徴とする航跡割当と航跡誤差補正処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2007−309926(P2007−309926A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110703(P2007−110703)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】