シャッタ装置
【課題】二つの撮像光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、部品点数を大幅に低減でき得るシャッタ装置を提供する。
【解決手段】シャッタ基板32には、二つのシャッタ開口34a,34bが形成されている。このシャッタ基板32の前方には、シャッタ羽根62a,62bと、絞り板70と、が設けられている。シャッタ羽根62a,62bは、カムピン56が始点位置から中間位置、または、中間位置から終点位置の間を往復移動する際に、それぞれ1回以上のシャッタ開閉動作を行う。絞り板70は、カムピン56が始点位置から中間位置の間にいる際には小絞り開口72a,72bがシャッタ開口34a,34bに対応する位置に、カムピン56が中間位置から終点位置の間にいる際には開放絞り開口74a,74bがシャッタ開口34a,34bに対応する位置に移動する。
【解決手段】シャッタ基板32には、二つのシャッタ開口34a,34bが形成されている。このシャッタ基板32の前方には、シャッタ羽根62a,62bと、絞り板70と、が設けられている。シャッタ羽根62a,62bは、カムピン56が始点位置から中間位置、または、中間位置から終点位置の間を往復移動する際に、それぞれ1回以上のシャッタ開閉動作を行う。絞り板70は、カムピン56が始点位置から中間位置の間にいる際には小絞り開口72a,72bがシャッタ開口34a,34bに対応する位置に、カムピン56が中間位置から終点位置の間にいる際には開放絞り開口74a,74bがシャッタ開口34a,34bに対応する位置に移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの撮影光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の撮像光学系を備えたカメラが提案されている。撮像光学系が複数の場合、当然、シャッタ機構や絞り機構も複数となる。このとき、各撮像光学系ごとにシャッタ機構、絞り機構を設けることは部品点数の増加、制御の複雑化、撮像装置の大型化などを招くため望ましくない。そこで、従来から、複数の撮像光学系を有するカメラにおいて、シャッタ機構または絞り機構を、複数の撮像光学系で共通化する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、一つの絞り部材で三つのレンズの絞りを調整する技術が開示されている。また、特許文献2には、二つのレンズに対応する二つのシャッタ羽根を連結して一体化し、当該一体化されたシャッタ羽根を駆動することで二つのレンズのシャッタ開閉を行う技術が開示されている。これらの技術によれば、複数の撮像光学系を備えるカメラにおけるシャッタまたは絞りに関する部品点数を削減することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−328173号公報
【特許文献2】特開平5−134331号公報
【特許文献3】特開2005−62780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術によっても、シャッタ部材および絞り部材をそれぞれ個別に駆動する必要があり、部品点数を効果的に削減できているとは言い難かった。特許文献3には、シャッタ部材および絞り部材の駆動機構を共通化した技術が開示されている。しかし、この特許文献3は、撮像光学系が単一の場合にのみ有効な技術であり、複数の撮像光学系を備えるカメラでは有効とは言い難かった。
【0005】
そこで、本発明では、二つの撮像光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、部品点数を大幅に低減でき得るシャッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャッタ装置は、二つの撮影光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、二つの撮影光学系に対応して二つのシャッタ開口が形成されたシャッタ基板と、二つのシャッタ開口を同時に開閉可能なシャッタ部材と、開放絞り開口および小絞り開口がそれぞれ二つずつ形成された絞り板と、単一のモータからの駆動力を受けて、始点位置から中間位置を経由して終点位置まで延びる移動経路に沿って往復移動可能なカムピンと、を備えており、シャッタ部材は、カムピンが挿通されるシャッタ用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置の間を往復移動、および、中間位置から終点位置までの間を往復移動する際にそれぞれ一回以上の開閉動作を行うべくシャッタ部材の駆動を規定するシャッタ用カム孔を備えており、絞り板は、カムピンが挿通される絞り用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置までの間に位置する際には二つの開放絞り開口が、カムピンが中間位置から終点位置までの間に位置する際には二つの小絞り開口が、それぞれ対応するシャッタ開口の正面に位置するべく絞り板の駆動を規定する絞り用カム孔を備えていることを特徴とする。
【0007】
好適な態様では、シャッタ部材は、回動することにより前記二つのシャッタ開口を同時に開閉する一対のシャッタ羽根を備えており、各シャッタ羽根には、カムピンの移動に伴い当該シャッタ羽根を回動させるシャッタ用カム孔が形成されている。
【0008】
他の好適な態様では、カムピンが、直線移動する場合に、絞り板は、カムピンの移動方向に開放絞り開口および小絞り開口が隣接して形成されており、絞り用カム孔は、カムピンの移動方向に延び、始点位置から中間位置または中間位置から終点位置までの長さより僅かに短い長さを有する長孔である。この場合、絞り板に形成される二つの開放絞り開口のうち少なくとも一つは、絞り板端部に形成された切り欠きであることが望ましい。
【0009】
他の好適な態様では、さらに、絞り板の一部に係合することで当該絞り板の移動を阻害する停止位置規制部材であって、一定以上の力が付加された際には弾性変形により絞り板との係合を解除する停止位置規制部材を備え、絞り板は、二つの開放絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置、および、二つの小絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置に移動した際に、前記係合部材と係合する被係合部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、単一のモータからの出力を受けて移動するカムピンで、シャッタ部材および絞り板の駆動を実現している。そのため、二つの撮像光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置の部品点数を大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態であるデジタルカメラ10の概略構成を示すブロック図である。このデジタルカメラ10は、互いに異なる光軸に沿って配設された二つの撮像光学系12a,12bを備えている。各撮像光学系12a,12bには、複数のレンズ群13a,13bが設けられている。そして、この複数のレンズ群13a,13bをレンズ用駆動モータ28によって光軸に沿って移動させることで変倍動作や焦点調節動作が実現されている。また、二つの撮像光学系12a,12bには、単一のシャッタ装置30が設けられている。このシャッタ装置30は、後に詳説するように、二つの撮像光学系12a,12bそれぞれのシャッタ機構および絞り機構を共通化し、ユニット化したものである。このシャッタ装置30は、単一の駆動モータ(図示せず)により絞り動作およびシャッタ動作を実現している。
【0012】
各撮像光学系12a,12bにより集光された被写体光は、各撮像光学系12a,12bに対応して設けられたCCD14a,14bにより光電変換され、画像信号として画像処理部16に出力される。画像処理部16は、得られた画像信号に所定の信号処理、例えば、A/D変換や、画素加算処理、ホワイトバランス処理、γ補正処理、JPEG変換処理などを施すことにより画像データを生成する。生成された画像データは、LCD20に表示されたり、外部メモリ18に記憶されたりする。
【0013】
制御部22は、ユーザインターフェース24を介して入力されるユーザからの指示に応じてカメラ全体を制御する。具体的には、画像処理部16やLCD20の駆動を制御する。また、レンズ用駆動モータ28やシャッタ装置30に搭載された駆動モータ等を駆動するモータ駆動回路26に指示を出力し、レンズ群13a,13bやシャッタ装置30の動作も制御する。
【0014】
次に、このデジタルカメラ10で用いられるシャッタ装置30について詳説する。図2は、シャッタ装置30の分解斜視図である。このシャッタ装置30は、既述したとおり、二つの撮像光学系12a,12bそれぞれのシャッタ機構および絞り機構を共通化し、ユニット化したものである。すなわち、従来、二つの撮像光学系を備えるカメラにおいては、各撮像光学系ごとにシャッタ機構および絞り機構を設けていた。しかしながら、各撮像光学系ごとにシャッタ機構および絞り機構を設けることは、駆動モータの増加や所要スペースの増加などを招き、結果として、カメラ全体としてのコストアップや大型化を招いていた。本実施形態では、かかる問題を解決するために、二つの撮像光学系12a,12bのシャッタ機構および絞り機構を共通化したシャッタ装置30を用いている。
【0015】
このシャッタ装置30は、シャッタ基板32、シャッタ羽根対60、絞り板70、移動板50、および、筐体(図2では筐体の前面82aおよび背面82bのみを図示)を備えている。シャッタ基板32には、第一撮像光学系12aで集光される被写体光を透過させる第一シャッタ開口34a、および、第二撮像光学系12bで集光される被写体光を透過させる第二シャッタ開口34bが、所定の間隙を介して形成されている。二つのシャッタ開口34a,34bの間には、後述するカムピン56の移動を許容する第一移動孔36が形成されている。また、第一シャッタ開口34aの左側には、移動ピン48の移動を許容する第二移動孔38が形成されている。カムピン56および移動ピン48は、いずれも対応する移動孔36,38の範囲内で移動する。したがって、シャッタ基板32は、カムピン56および移動ピン48に直接、接触することはなく、カムピン56および移動ピン48が移動してもシャッタ基板32の位置は変動しない。
【0016】
シャッタ基板32の上端および下端には、前後に張り出した張出部40が形成されている。この張出部40は、後述する絞り板70および移動板50の移動方向をガイドするガイド部材として機能する。また、第一移動孔36の上側および下側には、シャッタ羽根62a,62bの外周形状に対応した形状の凸部42が形成されている。この凸部42によりシャッタ羽根は回動可能に支持される。
【0017】
シャッタ基板32の背面には移動板50が設けられている。移動板50は、駆動モータ44の駆動により横方向(二つのシャッタ開口34a,34bの隣接方向)に直線移動する板材である。この移動板50の略中央には、カムピン56が突出形成されている。カムピン56は、シャッタ基板32に形成された第一移動孔36を通過して、シャッタ羽根62a,62bおよび絞り板70に形成されたカム孔68a,68b,76に挿通されるピンである。このカムピン56が移動板50の移動に伴い、直線移動することで、シャッタ羽根62a,62bおよび絞り板70が駆動される。なお、図2においては、カムピン56の挿通位置を示すため、実際より長めに図示している。カムピン56の移動に伴う各部の移動の様子については後に詳説する。
【0018】
カムピン56の両側には、シャッタ開口34a,34bを遮蔽しないために設けられた透過開口52a,52bが形成されている。この透過開口52a,52bは、移動板50が直線移動してもシャッタ開口34a,34bを遮蔽しないようにするために、シャッタ開口34a,34bに比べて十分に大きく形成されている。
【0019】
移動板50の端部付近には、移動ピン48が挿通される長孔54が形成されている。移動ピン48は、駆動モータ44により回動する回動アーム46の先端に設けられたピンである。長孔54に挿通された状態で移動ピン48が円弧状に移動すると、移動ピン48の上下方向の移動成分は長孔54により吸収され、移動ピン48の左右方向の移動成分は移動板50に伝達される。そして、左右方向の移動成分が移動板50に伝達されることにより、移動板50の直線移動が実現される。なお、この移動板50の移動の様子についても後に詳説する。
【0020】
シャッタ基板32の前方にはシャッタ羽根対60が設けられている。シャッタ羽根対60は、二つのシャッタ開口34a,34bを同時に開閉するもので、第一シャッタ羽根62aおよび第二シャッタ羽根62bから構成されている。各シャッタ羽根62a,62bには、二つのシャッタ開口34a,34bを同時に遮蔽できる程度の長さの羽根部66と、羽根部66の中央に設けられた円形の中央部64を有している。中央部64には、略円弧状のカム孔68a,68bが形成されており、このカム孔68a,68bに挿通されたカムピン56が移動することでシャッタ羽根62a,62bが回動するようになっている。そして、シャッタ羽根62a,62bの回動により、羽根部66の角度が可変することで、シャッタ開口34a,34bの開閉が実現されている。
【0021】
また、シャッタ羽根対60の前方には、さらに、絞り板70が設けられている。絞り板70には、二つの小絞り開口72a,72b、および、二つの開放絞り開口74a,74bが形成されている。二つの小絞り開口72a,72bは、いずれも、対応するシャッタ開口34a,34bより小さい円形の開口であり、その隣接間隔は二つのシャッタ開口34a,34bの隣接間隔と等しくなっている。この二つの小絞り開口72a,72bが、それぞれ、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置すると、シャッタ開口34a,34bの一部が絞り板により遮蔽され、小絞り状態となる。
【0022】
一方、二つの開放絞り開口74a,74bのうち、第二シャッタ開口34bに対応する第二開放絞り開口74bは、第二小絞り開口72bの左側に設けられた円形孔である。また、第一シャッタ開口34aに対応する第一開放絞り開口74aは絞り板70の左側端部に形成された半円状の切り欠きである。この二つの開放絞り開口74a,74bの隣接間隔は、二つのシャッタ開口34a,34bの隣接間隔と等しくなっている。そして、この二つの開放絞り開口74a,74bが、それぞれ、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置した場合には、シャッタ開口34a,34bは絞り板70で遮られることがないため、絞り開放状態となる。なお、本実施形態で、一方の開放絞り開口74aを切り欠きとしているのは、絞り板70の横方向長さを短縮し、ひいては、シャッタ装置30の小型化を図るためである。
【0023】
第二開放絞り開口74bと第一小絞り開口72aとの間には、カムピン56が挿通されるカム孔76が形成されている。このカム孔76は、横方向、すなわち、カムピン56の移動方向に長尺な略矩形である。そして、カムピン56がカム孔76の横方向長さ以上の距離分だけ横方向に直線移動すると、当該カムピン56により絞り板70が押されて横方向に直線移動する仕組みとなっている。
【0024】
絞り板70の上端には、クリック体80が係合するV字状溝78a,78bが所定の間隔を開けて、二つ形成されている。クリック体80は、横方向に移動する絞り板70の停止位置を規制する停止位置規制部材として機能するもので、V字状溝78a,78bに係合可能な形状となっている。このクリック体がV字状溝78a,78bに係合することで、絞り板の停止位置が規制される。ただし、このクリック体80は、絞り板70の移動により一定以上の力が付加されると上下方向に撓みを生じる程度の弾性を備えている。そして、この撓みによりV字状溝78a,78bとの係合が解除され、絞り板70の移動が許容される。
【0025】
シャッタ基板32や移動板50、シャッタ羽根対60、絞り板70は、筐体に収容されシャッタ装置30としてユニット化される。筐体の前面82aおよび後面82bには、シャッタ開口34a,34bを遮蔽しないための透過開口84が形成されており、被写体光の透過を許容している。また、カムピン56や移動ピン48の移動を許容するための移動孔86、駆動モータ44の突出を許容するモータ孔88なども形成されており、薄型でありながら、各部の駆動を許容する構成となっている。
【0026】
次に、カムピン56の移動動作について図3から図5を用いて詳説する。図3から図5は、それぞれ、カムピン56が始点位置、中点位置、終点位置に位置した際における移動板50とシャッタ基板32の概略正面図である。図3〜図5においては、移動板50は破線で、駆動モータ44および回動アーム46は二点鎖線で図示している。
【0027】
本実施形態において、カムピン56は、第一シャッタ開口34a寄りの位置に設定された始点位置Paから、第二シャッタ開口34b寄りの位置に設定された終点位置Pcへと直線移動する。この始点位置Paから終点位置Pcへの移動の際には、始点位置Paと終点位置Pcのほぼ中間に設定された中間位置Pbを経由する。
【0028】
カムピン56の直線移動は、回動アーム46の回動、ひいては、移動ピン48の円弧状移動により実現されている。既述したとおり、移動ピン48は、移動板50の端部付近に形成された長孔54に挿通されている。
【0029】
カムピン56が始点位置Pa、すなわち、左寄りの位置にあるとき、移動ピン48も左寄りの位置にある。この状態で、駆動モータ44の駆動により回動アーム46が時計周り方向に回動すると、移動ピン48は、円弧状の軌跡を描きながら、徐々に、右側へと移動する。このとき、移動ピン48の移動の縦方向成分は、縦方向に長尺な長孔54により吸収される。一方、移動ピン48の移動の横方向成分は、長孔54で吸収されることなく、移動板50に伝達される。換言すれば、移動板50は、移動ピン48により右側へと押されて直線移動する。その結果、図4に図示するように、移動板50に設けられたカムピン56も右側へと移動し、中間位置Pbへと至る。
【0030】
さらに回動アーム46を時計周り方向に回動させると、移動板50、ひいては、カムピン56は、さらに右側へと移動する。そして、図5に図示するように、カムピン56は終点位置Pcへと至る。一方、この図5の状態から、駆動モータ44を逆回転させて回動アーム46を反時計周り方向に回動させると、カムピン56は、終点位置Pcから、中間位置Pbを経由して、始点位置Paへと移動する。
【0031】
ここで、図3〜図5から明らかなように、カムピン56が始点位置Paから終点位置Pcまでのいずれの位置にあっても、移動板50はシャッタ開口34a,34bを遮蔽しない。すなわち、移動板50には、シャッタ開口34a,34bに対して十分に大きい透過開口52a,52bが形成されており、移動板50が直線移動しても、シャッタ開口34a,34bは透過開口52a,52bの開口内に位置するようになっている。
【0032】
次に、このカムピン56の移動に伴うシャッタ羽根対60の駆動の様子について図6、図7を用いて説明する。図6、図7は、シャッタ開口34a,34bとシャッタ羽根対60との概略正面図である。なお、図6、図7においては、見易さのため第二シャッタ羽根62bは破線で、シャッタ開口34a,34bは二点鎖線で図示している。
【0033】
図6(A)に図示するように、カムピン56が始点位置Paに位置している場合、当該カムピン56は、シャッタ羽根62a,62bのカム孔68a,68bの端部付近に位置している。そして、このとき、二つのシャッタ羽根62a,62bが互いに為す角度は大きく、二つのシャッタ開口34a,34bは開放状態となっている。
【0034】
この状態から、カムピン56が中間位置Pb側(右側)へと移動していくと、カムピン56の挿通状態を維持するべく、カム孔68a,68b、ひいては、シャッタ羽根62a,62bの姿勢が徐々に変更される。具体的には、二つのシャッタ羽根62a,62bは、互いに為す角度が小さくなるように徐々に回動する。そして、図6(B)に図示するように、カムピン56が中間位置Pb近傍まで移動すると、二つのシャッタ羽根62a,62bにより、二つのシャッタ開口34a,34bは、完全に遮蔽された閉鎖状態になる。
【0035】
この状態から、再び、カムピン56を始点位置Paへと移動させると、図6(A)に図示した状態、すなわち、二つのシャッタ開口34a,34bが開放された状態に戻る。つまり、カムピン56が始点位置Paから中間位置Pbの間を往復移動することにより、二つのシャッタ開口34a,34bの開閉動作が実現されている。
【0036】
一方、図6(B)の状態から、カムピン56をさらに終点位置Pc側(右側)へと移動させた場合を考える。この場合、カムピン56が中間位置Pbを越えたときから、二つのシャッタ羽根62a,62bの為す角度が徐々に大きくなっていく。そして、カムピン56が終点位置Pcに到達すると、図7(A)に図示するように、二つのシャッタ羽根62a,62bの為す角度は十分に大きくなり、二つのシャッタ開口34a,34bは開放状態となる。この状態から、再び、カムピン56を中間位置Pb側(左側)へと移動させると、二つのシャッタ羽根62a,62bの為す角度は、徐々に小さくなっていく。そして、図7(B)に図示するように、カムピン56が中間位置Pb近傍に達した時点で二つのシャッタ開口34a,34bが完全に遮蔽された閉鎖状態になる。換言すれば、カムピン56が中間位置Pbから終点位置Pcの間を往復移動することにより、二つのシャッタ開口34a,34bの開閉動作が実現されている。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、カムピン56を、始点位置Paから中間位置Pbまでの間、あるいは、中間位置Pbから終点位置Pcまでの間において往復移動させることにより、二つのシャッタ開口34a,34bの開閉動作が行われる。
【0038】
次に、カムピン56の移動に伴う絞り板70の駆動の様子について図8、図9を用いて説明する。図8、図9は、シャッタ開口34a,34bと絞り板70との概略正面図である。なお、図8、図9において、シャッタ開口34a,34bは二点鎖線で図示している。
【0039】
はじめに、絞り板70に形成されたカム孔76の大きさについて簡単に説明する。既述したように絞り孔のカム孔76は、横方向に長尺な略矩形となっている。このカム孔76の横方向長さは、始点位置Paから中間位置Pbまでの長さ、あるいは、中間位置Pbから終点位置Pcまでの長さより僅かに短い程度となっている。
【0040】
このカム孔76に挿通されたカムピン56が始点位置Paに位置している場合の様子を図8(A)に図示する。この場合、絞り板70は、二つの小絞り開口72a,72bが二つのシャッタ開口34a,34bの正面になるような位置にある。また、絞り板70のカム孔76は、その左側端部がカムピン56近傍に位置し、その右側端部が中間位置Pbより僅かに始点位置Pa寄り(左寄り)に位置している。さらに、クリック体80は、絞り板70の上端の右寄りに形成された第一V字状溝78aに係合している。
【0041】
この状態でカムピン56を中間位置Pb側(右側)へと徐々に移動させた場合を考える。この場合、図8(B)に図示するように、カムピン56を中間位置Pb近傍まで移動させたとしても、カムピン56と絞り板70は接触しない。そのため、カムピン56が中間位置Pb近傍まで移動したとしても、絞り板70は移動せず、二つの小絞り開口72a,72bは二つのシャッタ開口34a,34bの正面に位置したままとなる。
【0042】
この図8(B)の状態、すなわち、カムピン56が中間位置Pbより僅かに始点位置Pa寄り(左寄り)の状態から、さらに、カムピン56を終点位置Pc側(右側)へと移動させると、カムピン56に押されて絞り板70が終点位置Pc側へと移動しようとする。このとき、第一V字状溝78aに係合するクリック体80により絞り板70の移動はある程度規制される。しかし、一定以上の力が、絞り板70からクリック体80に付加されると、クリック体80は上下方向に撓みを生じる。そして、この撓みにより、クリック体80と第一V字状溝78aとの係合が解除され、絞り板70の移動が許容される。
【0043】
カム孔76の右側端面を押しながらカムピン56が終点位置Pcまで到達した状態を図9(A)に図示する。この図9(A)から明らかなとおり、カムピン56が終点位置Pcまで到達すると、絞り板70に形成された二つの開放絞り開口74a,74bは、それぞれ、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置する。つまり、絞り開放状態となる。また、第一V字状溝78aとの係合関係が解除されたクリック体80は、第二V字状溝78bと係合する。これにより、絞り板70の更なる移動が規制され、開放絞り開口74a,74bとシャッタ開口34a,34bとの相対位置関係が維持される。
【0044】
ここで、カムピン56が終点位置Pcに位置している場合、カム孔76の左側端部は中間位置Pbよりわずかに終点位置Pc寄り(右寄り)の位置になる。この状態から、カムピン56を中間位置Pb側(左側)に移動させた場合を考える。この場合、カムピン56が中間位置Pbより僅かに終点位置寄りの位置に移動するまでの間、カムピン56は絞り板70と接触しないため、絞り板70の移動は発生しない。そのため、カムピン56が終点位置Pcから中間位置Pb近傍まで往復移動しても、絞りの状態は変化しない。一方、カムピン56が中間位置Pbを越えて移動すれば、絞りの状態は、開放状態から小絞り状態に変化する。
【0045】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、カムピン56を、中間位置Pbを越えて移動させた場合にのみ絞り状態を切り替えることができる。換言すれば、カムピン56の移動範囲が中間位置Pbを跨がない限り、絞り状態の切り替えは発生しない。一方、上述したように、シャッタ羽根対60は、カムピン56を、始点位置Paから中間位置Pb、あるいは、中間位置Pbから終点位置Pcの間、換言すれば、絞り切り替えが発生しない範囲で往復移動させることによりシャッタ開閉動作を行う。そのため、絞り状態を切り替えることなくシャッタ開閉動作を行うことが可能となる。また、絞り状態を切り替えた後でも、その切り替え後の絞り状態を維持したまま、シャッタ開閉動作を行うことができる。
【0046】
これについて、図10、図11を用いて簡単に説明する。図10、図11は、シャッタ開口34a,34bと絞り板70、および、シャッタ羽根対60の概略正面図であり、既出の図6,図7および図8,図9を重複図示したものである。
【0047】
図10(A)および図10(B)に図示するとおり、カムピン56が始点位置Paから中間位置Pb近傍まで移動すると、二つのシャッタ羽根62a,62bは互いに為す角度を小さくする方向に回動し、シャッタ開口34a,34bを遮蔽する。一方、このとき、絞り板70は、カムピン56に接触しないため、移動しない。そのため、二つの小絞り開口72a,72bは、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置したままとなる。つまり、カムピン56を始点位置から中間位置の間で往復移動させれば、小絞り状態でシャッタを開閉することができる。
【0048】
一方、ユーザ等から絞り状態を小絞り状態から開放状態へ切り替えることが指示されれば、カムピン56を終点位置Pcまで移動させる。カムピン56を終点位置Pcまで移動させると図11(A)に図示するように、絞り板70が移動し、二つの開放絞り開口74a,74bが対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置し、絞り開放状態になる。この絞り開放状態で、シャッタ開閉したい場合には、図11(A)、図11(B)に図示するように、カムピン56を終点位置Pcから中間位置Pbの間で往復移動させればよい。
【0049】
つまり、本実施形態によれば、カムピン56の移動範囲を適宜、調節することにより、絞り状態の切り替え動作、および、シャッタの開閉動作の両方が実現できる。ここで、カムピン56は、単一の駆動モータ44からの出力を受けて移動する。換言すれば、本実施形態において、絞り状態の切り替え動作、および、シャッタの開閉動作に必要なモータは一つのみとなる。その結果、複数のモータを必要としていた従来技術に比べて、シャッタ開閉および絞り切り替えを行うシャッタ装置のサイズを低減でき、コストも低減できる。
【0050】
なお、上記説明したシャッタ装置は一例であり、適宜、形状や駆動態様等を変更してもよい。例えば、カムピン56の移動方向や、絞り板70に形成された開口72a,72b74a,74bの隣接方向、絞り板70やシャッタ羽根62a,62bに形成されたカム孔76,68a,68bの形状などは、適宜、変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】シャッタ装置の分解斜視図である。
【図3】カムピンが始点位置に位置した際における移動板とシャッタ基板の概略正面図である。
【図4】カムピンが中間位置に位置した際における移動板とシャッタ基板の概略正面図である。
【図5】カムピンが終点位置に位置した際における移動板とシャッタ基板の概略正面図である。
【図6】シャッタ開口とシャッタ羽根対との概略正面図であって、(A)はカムピンが始点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図7】シャッタ開口とシャッタ羽根対との概略正面図であって、(A)はカムピンが終点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図8】シャッタ開口と絞り板との概略正面図であって、(A)はカムピンが始点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図9】シャッタ開口と絞り板との概略正面図であって、(A)はカムピンが終点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図10】シャッタ開口と絞り板とシャッタ羽根対の概略正面図であって、(A)はカムピンが始点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図11】シャッタ開口と絞り板とシャッタ羽根対の概略正面図であって、(A)はカムピンが終点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【符号の説明】
【0052】
10 デジタルカメラ、12 各撮像光学系、16 画像処理部、18 外部メモリ、22 制御部、24 ユーザインターフェース、26 モータ駆動回路、30 シャッタ装置、32 シャッタ基板、34 シャッタ開口、44 駆動モータ、46 回動アーム、48 移動ピン、50 移動板、54 長孔、56 カムピン、60 シャッタ羽根対、62 シャッタ羽根、68,76 カム孔、70 絞り板、72 小絞り開口、74 開放絞り開口、78 V字状溝、80 クリック体、Pa 始点位置、Pb 中間位置、Pc 終点位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの撮影光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の撮像光学系を備えたカメラが提案されている。撮像光学系が複数の場合、当然、シャッタ機構や絞り機構も複数となる。このとき、各撮像光学系ごとにシャッタ機構、絞り機構を設けることは部品点数の増加、制御の複雑化、撮像装置の大型化などを招くため望ましくない。そこで、従来から、複数の撮像光学系を有するカメラにおいて、シャッタ機構または絞り機構を、複数の撮像光学系で共通化する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、一つの絞り部材で三つのレンズの絞りを調整する技術が開示されている。また、特許文献2には、二つのレンズに対応する二つのシャッタ羽根を連結して一体化し、当該一体化されたシャッタ羽根を駆動することで二つのレンズのシャッタ開閉を行う技術が開示されている。これらの技術によれば、複数の撮像光学系を備えるカメラにおけるシャッタまたは絞りに関する部品点数を削減することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−328173号公報
【特許文献2】特開平5−134331号公報
【特許文献3】特開2005−62780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術によっても、シャッタ部材および絞り部材をそれぞれ個別に駆動する必要があり、部品点数を効果的に削減できているとは言い難かった。特許文献3には、シャッタ部材および絞り部材の駆動機構を共通化した技術が開示されている。しかし、この特許文献3は、撮像光学系が単一の場合にのみ有効な技術であり、複数の撮像光学系を備えるカメラでは有効とは言い難かった。
【0005】
そこで、本発明では、二つの撮像光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、部品点数を大幅に低減でき得るシャッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャッタ装置は、二つの撮影光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、二つの撮影光学系に対応して二つのシャッタ開口が形成されたシャッタ基板と、二つのシャッタ開口を同時に開閉可能なシャッタ部材と、開放絞り開口および小絞り開口がそれぞれ二つずつ形成された絞り板と、単一のモータからの駆動力を受けて、始点位置から中間位置を経由して終点位置まで延びる移動経路に沿って往復移動可能なカムピンと、を備えており、シャッタ部材は、カムピンが挿通されるシャッタ用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置の間を往復移動、および、中間位置から終点位置までの間を往復移動する際にそれぞれ一回以上の開閉動作を行うべくシャッタ部材の駆動を規定するシャッタ用カム孔を備えており、絞り板は、カムピンが挿通される絞り用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置までの間に位置する際には二つの開放絞り開口が、カムピンが中間位置から終点位置までの間に位置する際には二つの小絞り開口が、それぞれ対応するシャッタ開口の正面に位置するべく絞り板の駆動を規定する絞り用カム孔を備えていることを特徴とする。
【0007】
好適な態様では、シャッタ部材は、回動することにより前記二つのシャッタ開口を同時に開閉する一対のシャッタ羽根を備えており、各シャッタ羽根には、カムピンの移動に伴い当該シャッタ羽根を回動させるシャッタ用カム孔が形成されている。
【0008】
他の好適な態様では、カムピンが、直線移動する場合に、絞り板は、カムピンの移動方向に開放絞り開口および小絞り開口が隣接して形成されており、絞り用カム孔は、カムピンの移動方向に延び、始点位置から中間位置または中間位置から終点位置までの長さより僅かに短い長さを有する長孔である。この場合、絞り板に形成される二つの開放絞り開口のうち少なくとも一つは、絞り板端部に形成された切り欠きであることが望ましい。
【0009】
他の好適な態様では、さらに、絞り板の一部に係合することで当該絞り板の移動を阻害する停止位置規制部材であって、一定以上の力が付加された際には弾性変形により絞り板との係合を解除する停止位置規制部材を備え、絞り板は、二つの開放絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置、および、二つの小絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置に移動した際に、前記係合部材と係合する被係合部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、単一のモータからの出力を受けて移動するカムピンで、シャッタ部材および絞り板の駆動を実現している。そのため、二つの撮像光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置の部品点数を大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態であるデジタルカメラ10の概略構成を示すブロック図である。このデジタルカメラ10は、互いに異なる光軸に沿って配設された二つの撮像光学系12a,12bを備えている。各撮像光学系12a,12bには、複数のレンズ群13a,13bが設けられている。そして、この複数のレンズ群13a,13bをレンズ用駆動モータ28によって光軸に沿って移動させることで変倍動作や焦点調節動作が実現されている。また、二つの撮像光学系12a,12bには、単一のシャッタ装置30が設けられている。このシャッタ装置30は、後に詳説するように、二つの撮像光学系12a,12bそれぞれのシャッタ機構および絞り機構を共通化し、ユニット化したものである。このシャッタ装置30は、単一の駆動モータ(図示せず)により絞り動作およびシャッタ動作を実現している。
【0012】
各撮像光学系12a,12bにより集光された被写体光は、各撮像光学系12a,12bに対応して設けられたCCD14a,14bにより光電変換され、画像信号として画像処理部16に出力される。画像処理部16は、得られた画像信号に所定の信号処理、例えば、A/D変換や、画素加算処理、ホワイトバランス処理、γ補正処理、JPEG変換処理などを施すことにより画像データを生成する。生成された画像データは、LCD20に表示されたり、外部メモリ18に記憶されたりする。
【0013】
制御部22は、ユーザインターフェース24を介して入力されるユーザからの指示に応じてカメラ全体を制御する。具体的には、画像処理部16やLCD20の駆動を制御する。また、レンズ用駆動モータ28やシャッタ装置30に搭載された駆動モータ等を駆動するモータ駆動回路26に指示を出力し、レンズ群13a,13bやシャッタ装置30の動作も制御する。
【0014】
次に、このデジタルカメラ10で用いられるシャッタ装置30について詳説する。図2は、シャッタ装置30の分解斜視図である。このシャッタ装置30は、既述したとおり、二つの撮像光学系12a,12bそれぞれのシャッタ機構および絞り機構を共通化し、ユニット化したものである。すなわち、従来、二つの撮像光学系を備えるカメラにおいては、各撮像光学系ごとにシャッタ機構および絞り機構を設けていた。しかしながら、各撮像光学系ごとにシャッタ機構および絞り機構を設けることは、駆動モータの増加や所要スペースの増加などを招き、結果として、カメラ全体としてのコストアップや大型化を招いていた。本実施形態では、かかる問題を解決するために、二つの撮像光学系12a,12bのシャッタ機構および絞り機構を共通化したシャッタ装置30を用いている。
【0015】
このシャッタ装置30は、シャッタ基板32、シャッタ羽根対60、絞り板70、移動板50、および、筐体(図2では筐体の前面82aおよび背面82bのみを図示)を備えている。シャッタ基板32には、第一撮像光学系12aで集光される被写体光を透過させる第一シャッタ開口34a、および、第二撮像光学系12bで集光される被写体光を透過させる第二シャッタ開口34bが、所定の間隙を介して形成されている。二つのシャッタ開口34a,34bの間には、後述するカムピン56の移動を許容する第一移動孔36が形成されている。また、第一シャッタ開口34aの左側には、移動ピン48の移動を許容する第二移動孔38が形成されている。カムピン56および移動ピン48は、いずれも対応する移動孔36,38の範囲内で移動する。したがって、シャッタ基板32は、カムピン56および移動ピン48に直接、接触することはなく、カムピン56および移動ピン48が移動してもシャッタ基板32の位置は変動しない。
【0016】
シャッタ基板32の上端および下端には、前後に張り出した張出部40が形成されている。この張出部40は、後述する絞り板70および移動板50の移動方向をガイドするガイド部材として機能する。また、第一移動孔36の上側および下側には、シャッタ羽根62a,62bの外周形状に対応した形状の凸部42が形成されている。この凸部42によりシャッタ羽根は回動可能に支持される。
【0017】
シャッタ基板32の背面には移動板50が設けられている。移動板50は、駆動モータ44の駆動により横方向(二つのシャッタ開口34a,34bの隣接方向)に直線移動する板材である。この移動板50の略中央には、カムピン56が突出形成されている。カムピン56は、シャッタ基板32に形成された第一移動孔36を通過して、シャッタ羽根62a,62bおよび絞り板70に形成されたカム孔68a,68b,76に挿通されるピンである。このカムピン56が移動板50の移動に伴い、直線移動することで、シャッタ羽根62a,62bおよび絞り板70が駆動される。なお、図2においては、カムピン56の挿通位置を示すため、実際より長めに図示している。カムピン56の移動に伴う各部の移動の様子については後に詳説する。
【0018】
カムピン56の両側には、シャッタ開口34a,34bを遮蔽しないために設けられた透過開口52a,52bが形成されている。この透過開口52a,52bは、移動板50が直線移動してもシャッタ開口34a,34bを遮蔽しないようにするために、シャッタ開口34a,34bに比べて十分に大きく形成されている。
【0019】
移動板50の端部付近には、移動ピン48が挿通される長孔54が形成されている。移動ピン48は、駆動モータ44により回動する回動アーム46の先端に設けられたピンである。長孔54に挿通された状態で移動ピン48が円弧状に移動すると、移動ピン48の上下方向の移動成分は長孔54により吸収され、移動ピン48の左右方向の移動成分は移動板50に伝達される。そして、左右方向の移動成分が移動板50に伝達されることにより、移動板50の直線移動が実現される。なお、この移動板50の移動の様子についても後に詳説する。
【0020】
シャッタ基板32の前方にはシャッタ羽根対60が設けられている。シャッタ羽根対60は、二つのシャッタ開口34a,34bを同時に開閉するもので、第一シャッタ羽根62aおよび第二シャッタ羽根62bから構成されている。各シャッタ羽根62a,62bには、二つのシャッタ開口34a,34bを同時に遮蔽できる程度の長さの羽根部66と、羽根部66の中央に設けられた円形の中央部64を有している。中央部64には、略円弧状のカム孔68a,68bが形成されており、このカム孔68a,68bに挿通されたカムピン56が移動することでシャッタ羽根62a,62bが回動するようになっている。そして、シャッタ羽根62a,62bの回動により、羽根部66の角度が可変することで、シャッタ開口34a,34bの開閉が実現されている。
【0021】
また、シャッタ羽根対60の前方には、さらに、絞り板70が設けられている。絞り板70には、二つの小絞り開口72a,72b、および、二つの開放絞り開口74a,74bが形成されている。二つの小絞り開口72a,72bは、いずれも、対応するシャッタ開口34a,34bより小さい円形の開口であり、その隣接間隔は二つのシャッタ開口34a,34bの隣接間隔と等しくなっている。この二つの小絞り開口72a,72bが、それぞれ、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置すると、シャッタ開口34a,34bの一部が絞り板により遮蔽され、小絞り状態となる。
【0022】
一方、二つの開放絞り開口74a,74bのうち、第二シャッタ開口34bに対応する第二開放絞り開口74bは、第二小絞り開口72bの左側に設けられた円形孔である。また、第一シャッタ開口34aに対応する第一開放絞り開口74aは絞り板70の左側端部に形成された半円状の切り欠きである。この二つの開放絞り開口74a,74bの隣接間隔は、二つのシャッタ開口34a,34bの隣接間隔と等しくなっている。そして、この二つの開放絞り開口74a,74bが、それぞれ、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置した場合には、シャッタ開口34a,34bは絞り板70で遮られることがないため、絞り開放状態となる。なお、本実施形態で、一方の開放絞り開口74aを切り欠きとしているのは、絞り板70の横方向長さを短縮し、ひいては、シャッタ装置30の小型化を図るためである。
【0023】
第二開放絞り開口74bと第一小絞り開口72aとの間には、カムピン56が挿通されるカム孔76が形成されている。このカム孔76は、横方向、すなわち、カムピン56の移動方向に長尺な略矩形である。そして、カムピン56がカム孔76の横方向長さ以上の距離分だけ横方向に直線移動すると、当該カムピン56により絞り板70が押されて横方向に直線移動する仕組みとなっている。
【0024】
絞り板70の上端には、クリック体80が係合するV字状溝78a,78bが所定の間隔を開けて、二つ形成されている。クリック体80は、横方向に移動する絞り板70の停止位置を規制する停止位置規制部材として機能するもので、V字状溝78a,78bに係合可能な形状となっている。このクリック体がV字状溝78a,78bに係合することで、絞り板の停止位置が規制される。ただし、このクリック体80は、絞り板70の移動により一定以上の力が付加されると上下方向に撓みを生じる程度の弾性を備えている。そして、この撓みによりV字状溝78a,78bとの係合が解除され、絞り板70の移動が許容される。
【0025】
シャッタ基板32や移動板50、シャッタ羽根対60、絞り板70は、筐体に収容されシャッタ装置30としてユニット化される。筐体の前面82aおよび後面82bには、シャッタ開口34a,34bを遮蔽しないための透過開口84が形成されており、被写体光の透過を許容している。また、カムピン56や移動ピン48の移動を許容するための移動孔86、駆動モータ44の突出を許容するモータ孔88なども形成されており、薄型でありながら、各部の駆動を許容する構成となっている。
【0026】
次に、カムピン56の移動動作について図3から図5を用いて詳説する。図3から図5は、それぞれ、カムピン56が始点位置、中点位置、終点位置に位置した際における移動板50とシャッタ基板32の概略正面図である。図3〜図5においては、移動板50は破線で、駆動モータ44および回動アーム46は二点鎖線で図示している。
【0027】
本実施形態において、カムピン56は、第一シャッタ開口34a寄りの位置に設定された始点位置Paから、第二シャッタ開口34b寄りの位置に設定された終点位置Pcへと直線移動する。この始点位置Paから終点位置Pcへの移動の際には、始点位置Paと終点位置Pcのほぼ中間に設定された中間位置Pbを経由する。
【0028】
カムピン56の直線移動は、回動アーム46の回動、ひいては、移動ピン48の円弧状移動により実現されている。既述したとおり、移動ピン48は、移動板50の端部付近に形成された長孔54に挿通されている。
【0029】
カムピン56が始点位置Pa、すなわち、左寄りの位置にあるとき、移動ピン48も左寄りの位置にある。この状態で、駆動モータ44の駆動により回動アーム46が時計周り方向に回動すると、移動ピン48は、円弧状の軌跡を描きながら、徐々に、右側へと移動する。このとき、移動ピン48の移動の縦方向成分は、縦方向に長尺な長孔54により吸収される。一方、移動ピン48の移動の横方向成分は、長孔54で吸収されることなく、移動板50に伝達される。換言すれば、移動板50は、移動ピン48により右側へと押されて直線移動する。その結果、図4に図示するように、移動板50に設けられたカムピン56も右側へと移動し、中間位置Pbへと至る。
【0030】
さらに回動アーム46を時計周り方向に回動させると、移動板50、ひいては、カムピン56は、さらに右側へと移動する。そして、図5に図示するように、カムピン56は終点位置Pcへと至る。一方、この図5の状態から、駆動モータ44を逆回転させて回動アーム46を反時計周り方向に回動させると、カムピン56は、終点位置Pcから、中間位置Pbを経由して、始点位置Paへと移動する。
【0031】
ここで、図3〜図5から明らかなように、カムピン56が始点位置Paから終点位置Pcまでのいずれの位置にあっても、移動板50はシャッタ開口34a,34bを遮蔽しない。すなわち、移動板50には、シャッタ開口34a,34bに対して十分に大きい透過開口52a,52bが形成されており、移動板50が直線移動しても、シャッタ開口34a,34bは透過開口52a,52bの開口内に位置するようになっている。
【0032】
次に、このカムピン56の移動に伴うシャッタ羽根対60の駆動の様子について図6、図7を用いて説明する。図6、図7は、シャッタ開口34a,34bとシャッタ羽根対60との概略正面図である。なお、図6、図7においては、見易さのため第二シャッタ羽根62bは破線で、シャッタ開口34a,34bは二点鎖線で図示している。
【0033】
図6(A)に図示するように、カムピン56が始点位置Paに位置している場合、当該カムピン56は、シャッタ羽根62a,62bのカム孔68a,68bの端部付近に位置している。そして、このとき、二つのシャッタ羽根62a,62bが互いに為す角度は大きく、二つのシャッタ開口34a,34bは開放状態となっている。
【0034】
この状態から、カムピン56が中間位置Pb側(右側)へと移動していくと、カムピン56の挿通状態を維持するべく、カム孔68a,68b、ひいては、シャッタ羽根62a,62bの姿勢が徐々に変更される。具体的には、二つのシャッタ羽根62a,62bは、互いに為す角度が小さくなるように徐々に回動する。そして、図6(B)に図示するように、カムピン56が中間位置Pb近傍まで移動すると、二つのシャッタ羽根62a,62bにより、二つのシャッタ開口34a,34bは、完全に遮蔽された閉鎖状態になる。
【0035】
この状態から、再び、カムピン56を始点位置Paへと移動させると、図6(A)に図示した状態、すなわち、二つのシャッタ開口34a,34bが開放された状態に戻る。つまり、カムピン56が始点位置Paから中間位置Pbの間を往復移動することにより、二つのシャッタ開口34a,34bの開閉動作が実現されている。
【0036】
一方、図6(B)の状態から、カムピン56をさらに終点位置Pc側(右側)へと移動させた場合を考える。この場合、カムピン56が中間位置Pbを越えたときから、二つのシャッタ羽根62a,62bの為す角度が徐々に大きくなっていく。そして、カムピン56が終点位置Pcに到達すると、図7(A)に図示するように、二つのシャッタ羽根62a,62bの為す角度は十分に大きくなり、二つのシャッタ開口34a,34bは開放状態となる。この状態から、再び、カムピン56を中間位置Pb側(左側)へと移動させると、二つのシャッタ羽根62a,62bの為す角度は、徐々に小さくなっていく。そして、図7(B)に図示するように、カムピン56が中間位置Pb近傍に達した時点で二つのシャッタ開口34a,34bが完全に遮蔽された閉鎖状態になる。換言すれば、カムピン56が中間位置Pbから終点位置Pcの間を往復移動することにより、二つのシャッタ開口34a,34bの開閉動作が実現されている。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、カムピン56を、始点位置Paから中間位置Pbまでの間、あるいは、中間位置Pbから終点位置Pcまでの間において往復移動させることにより、二つのシャッタ開口34a,34bの開閉動作が行われる。
【0038】
次に、カムピン56の移動に伴う絞り板70の駆動の様子について図8、図9を用いて説明する。図8、図9は、シャッタ開口34a,34bと絞り板70との概略正面図である。なお、図8、図9において、シャッタ開口34a,34bは二点鎖線で図示している。
【0039】
はじめに、絞り板70に形成されたカム孔76の大きさについて簡単に説明する。既述したように絞り孔のカム孔76は、横方向に長尺な略矩形となっている。このカム孔76の横方向長さは、始点位置Paから中間位置Pbまでの長さ、あるいは、中間位置Pbから終点位置Pcまでの長さより僅かに短い程度となっている。
【0040】
このカム孔76に挿通されたカムピン56が始点位置Paに位置している場合の様子を図8(A)に図示する。この場合、絞り板70は、二つの小絞り開口72a,72bが二つのシャッタ開口34a,34bの正面になるような位置にある。また、絞り板70のカム孔76は、その左側端部がカムピン56近傍に位置し、その右側端部が中間位置Pbより僅かに始点位置Pa寄り(左寄り)に位置している。さらに、クリック体80は、絞り板70の上端の右寄りに形成された第一V字状溝78aに係合している。
【0041】
この状態でカムピン56を中間位置Pb側(右側)へと徐々に移動させた場合を考える。この場合、図8(B)に図示するように、カムピン56を中間位置Pb近傍まで移動させたとしても、カムピン56と絞り板70は接触しない。そのため、カムピン56が中間位置Pb近傍まで移動したとしても、絞り板70は移動せず、二つの小絞り開口72a,72bは二つのシャッタ開口34a,34bの正面に位置したままとなる。
【0042】
この図8(B)の状態、すなわち、カムピン56が中間位置Pbより僅かに始点位置Pa寄り(左寄り)の状態から、さらに、カムピン56を終点位置Pc側(右側)へと移動させると、カムピン56に押されて絞り板70が終点位置Pc側へと移動しようとする。このとき、第一V字状溝78aに係合するクリック体80により絞り板70の移動はある程度規制される。しかし、一定以上の力が、絞り板70からクリック体80に付加されると、クリック体80は上下方向に撓みを生じる。そして、この撓みにより、クリック体80と第一V字状溝78aとの係合が解除され、絞り板70の移動が許容される。
【0043】
カム孔76の右側端面を押しながらカムピン56が終点位置Pcまで到達した状態を図9(A)に図示する。この図9(A)から明らかなとおり、カムピン56が終点位置Pcまで到達すると、絞り板70に形成された二つの開放絞り開口74a,74bは、それぞれ、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置する。つまり、絞り開放状態となる。また、第一V字状溝78aとの係合関係が解除されたクリック体80は、第二V字状溝78bと係合する。これにより、絞り板70の更なる移動が規制され、開放絞り開口74a,74bとシャッタ開口34a,34bとの相対位置関係が維持される。
【0044】
ここで、カムピン56が終点位置Pcに位置している場合、カム孔76の左側端部は中間位置Pbよりわずかに終点位置Pc寄り(右寄り)の位置になる。この状態から、カムピン56を中間位置Pb側(左側)に移動させた場合を考える。この場合、カムピン56が中間位置Pbより僅かに終点位置寄りの位置に移動するまでの間、カムピン56は絞り板70と接触しないため、絞り板70の移動は発生しない。そのため、カムピン56が終点位置Pcから中間位置Pb近傍まで往復移動しても、絞りの状態は変化しない。一方、カムピン56が中間位置Pbを越えて移動すれば、絞りの状態は、開放状態から小絞り状態に変化する。
【0045】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、カムピン56を、中間位置Pbを越えて移動させた場合にのみ絞り状態を切り替えることができる。換言すれば、カムピン56の移動範囲が中間位置Pbを跨がない限り、絞り状態の切り替えは発生しない。一方、上述したように、シャッタ羽根対60は、カムピン56を、始点位置Paから中間位置Pb、あるいは、中間位置Pbから終点位置Pcの間、換言すれば、絞り切り替えが発生しない範囲で往復移動させることによりシャッタ開閉動作を行う。そのため、絞り状態を切り替えることなくシャッタ開閉動作を行うことが可能となる。また、絞り状態を切り替えた後でも、その切り替え後の絞り状態を維持したまま、シャッタ開閉動作を行うことができる。
【0046】
これについて、図10、図11を用いて簡単に説明する。図10、図11は、シャッタ開口34a,34bと絞り板70、および、シャッタ羽根対60の概略正面図であり、既出の図6,図7および図8,図9を重複図示したものである。
【0047】
図10(A)および図10(B)に図示するとおり、カムピン56が始点位置Paから中間位置Pb近傍まで移動すると、二つのシャッタ羽根62a,62bは互いに為す角度を小さくする方向に回動し、シャッタ開口34a,34bを遮蔽する。一方、このとき、絞り板70は、カムピン56に接触しないため、移動しない。そのため、二つの小絞り開口72a,72bは、対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置したままとなる。つまり、カムピン56を始点位置から中間位置の間で往復移動させれば、小絞り状態でシャッタを開閉することができる。
【0048】
一方、ユーザ等から絞り状態を小絞り状態から開放状態へ切り替えることが指示されれば、カムピン56を終点位置Pcまで移動させる。カムピン56を終点位置Pcまで移動させると図11(A)に図示するように、絞り板70が移動し、二つの開放絞り開口74a,74bが対応するシャッタ開口34a,34bの正面に位置し、絞り開放状態になる。この絞り開放状態で、シャッタ開閉したい場合には、図11(A)、図11(B)に図示するように、カムピン56を終点位置Pcから中間位置Pbの間で往復移動させればよい。
【0049】
つまり、本実施形態によれば、カムピン56の移動範囲を適宜、調節することにより、絞り状態の切り替え動作、および、シャッタの開閉動作の両方が実現できる。ここで、カムピン56は、単一の駆動モータ44からの出力を受けて移動する。換言すれば、本実施形態において、絞り状態の切り替え動作、および、シャッタの開閉動作に必要なモータは一つのみとなる。その結果、複数のモータを必要としていた従来技術に比べて、シャッタ開閉および絞り切り替えを行うシャッタ装置のサイズを低減でき、コストも低減できる。
【0050】
なお、上記説明したシャッタ装置は一例であり、適宜、形状や駆動態様等を変更してもよい。例えば、カムピン56の移動方向や、絞り板70に形成された開口72a,72b74a,74bの隣接方向、絞り板70やシャッタ羽根62a,62bに形成されたカム孔76,68a,68bの形状などは、適宜、変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】シャッタ装置の分解斜視図である。
【図3】カムピンが始点位置に位置した際における移動板とシャッタ基板の概略正面図である。
【図4】カムピンが中間位置に位置した際における移動板とシャッタ基板の概略正面図である。
【図5】カムピンが終点位置に位置した際における移動板とシャッタ基板の概略正面図である。
【図6】シャッタ開口とシャッタ羽根対との概略正面図であって、(A)はカムピンが始点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図7】シャッタ開口とシャッタ羽根対との概略正面図であって、(A)はカムピンが終点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図8】シャッタ開口と絞り板との概略正面図であって、(A)はカムピンが始点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図9】シャッタ開口と絞り板との概略正面図であって、(A)はカムピンが終点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図10】シャッタ開口と絞り板とシャッタ羽根対の概略正面図であって、(A)はカムピンが始点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【図11】シャッタ開口と絞り板とシャッタ羽根対の概略正面図であって、(A)はカムピンが終点位置に、(B)はカムピンが中間位置近傍に位置する場合の図である。
【符号の説明】
【0052】
10 デジタルカメラ、12 各撮像光学系、16 画像処理部、18 外部メモリ、22 制御部、24 ユーザインターフェース、26 モータ駆動回路、30 シャッタ装置、32 シャッタ基板、34 シャッタ開口、44 駆動モータ、46 回動アーム、48 移動ピン、50 移動板、54 長孔、56 カムピン、60 シャッタ羽根対、62 シャッタ羽根、68,76 カム孔、70 絞り板、72 小絞り開口、74 開放絞り開口、78 V字状溝、80 クリック体、Pa 始点位置、Pb 中間位置、Pc 終点位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの撮影光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、
二つの撮影光学系に対応して二つのシャッタ開口が形成されたシャッタ基板と、
二つのシャッタ開口を同時に開閉可能なシャッタ部材と、
開放絞り開口および小絞り開口がそれぞれ二つずつ形成された絞り板と、
単一のモータからの駆動力を受けて、始点位置から中間位置を経由して終点位置まで延びる移動経路に沿って往復移動可能なカムピンと、
を備えており、
シャッタ部材は、カムピンが挿通されるシャッタ用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置の間を往復移動、および、中間位置から終点位置までの間を往復移動する際にそれぞれ一回以上の開閉動作を行うべくシャッタ部材の駆動を規定するシャッタ用カム孔を備えており、
絞り板は、カムピンが挿通される絞り用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置までの間に位置する際には二つの開放絞り開口が、カムピンが中間位置から終点位置までの間に位置する際には二つの小絞り開口が、それぞれ対応するシャッタ開口の正面に位置するべく絞り板の駆動を規定する絞り用カム孔を備えている
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッタ装置であって、
シャッタ部材は、回動することにより前記二つのシャッタ開口を同時に開閉する一対のシャッタ羽根を備えており、
各シャッタ羽根には、カムピンの移動に伴い当該シャッタ羽根を回動させるシャッタ用カム孔が形成されている
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャッタ装置であって、
カムピンが、直線移動する場合に、
絞り板は、カムピンの移動方向に開放絞り開口および小絞り開口が隣接して形成されており、
絞り用カム孔は、カムピンの移動方向に延び、始点位置から中間位置または中間位置から終点位置までの長さより僅かに短い長さを有する長孔である
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシャッタ装置であって、
絞り板に形成される二つの開放絞り開口のうち少なくとも一つは、絞り板端部に形成された切り欠きであることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシャッタ装置であって、さらに、
絞り板の一部に係合することで当該絞り板の移動を阻害する停止位置規制部材であって、一定以上の力が付加された際には弾性変形により絞り板との係合を解除する停止位置規制部材を備え、
絞り板は、二つの開放絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置、および、二つの小絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置に移動した際に、前記係合部材と係合する被係合部を有する
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項1】
二つの撮影光学系を備えるカメラに用いられるシャッタ装置であって、
二つの撮影光学系に対応して二つのシャッタ開口が形成されたシャッタ基板と、
二つのシャッタ開口を同時に開閉可能なシャッタ部材と、
開放絞り開口および小絞り開口がそれぞれ二つずつ形成された絞り板と、
単一のモータからの駆動力を受けて、始点位置から中間位置を経由して終点位置まで延びる移動経路に沿って往復移動可能なカムピンと、
を備えており、
シャッタ部材は、カムピンが挿通されるシャッタ用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置の間を往復移動、および、中間位置から終点位置までの間を往復移動する際にそれぞれ一回以上の開閉動作を行うべくシャッタ部材の駆動を規定するシャッタ用カム孔を備えており、
絞り板は、カムピンが挿通される絞り用カム孔であって、カムピンが始点位置から中間位置までの間に位置する際には二つの開放絞り開口が、カムピンが中間位置から終点位置までの間に位置する際には二つの小絞り開口が、それぞれ対応するシャッタ開口の正面に位置するべく絞り板の駆動を規定する絞り用カム孔を備えている
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッタ装置であって、
シャッタ部材は、回動することにより前記二つのシャッタ開口を同時に開閉する一対のシャッタ羽根を備えており、
各シャッタ羽根には、カムピンの移動に伴い当該シャッタ羽根を回動させるシャッタ用カム孔が形成されている
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャッタ装置であって、
カムピンが、直線移動する場合に、
絞り板は、カムピンの移動方向に開放絞り開口および小絞り開口が隣接して形成されており、
絞り用カム孔は、カムピンの移動方向に延び、始点位置から中間位置または中間位置から終点位置までの長さより僅かに短い長さを有する長孔である
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシャッタ装置であって、
絞り板に形成される二つの開放絞り開口のうち少なくとも一つは、絞り板端部に形成された切り欠きであることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシャッタ装置であって、さらに、
絞り板の一部に係合することで当該絞り板の移動を阻害する停止位置規制部材であって、一定以上の力が付加された際には弾性変形により絞り板との係合を解除する停止位置規制部材を備え、
絞り板は、二つの開放絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置、および、二つの小絞り開口が二つのシャッタ開口に対応する位置に移動した際に、前記係合部材と係合する被係合部を有する
ことを特徴とするシャッタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−33108(P2008−33108A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208080(P2006−208080)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
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