説明

シャープネス強調

二次元強調関数(HEF;VEF)は、同じ第1の空間方向に動作する第1のエッジディテクタ(HHP;VHP)及び第2のエッジディテクタ(HBP;VBP)の両方の出力信号に基づいて入力信号(L(m,n))のためのピーキング係数(CX;CY)を決定する。このような態様で、第1の空間方向で入力信号(L(m,n))中で発生しうる全種類の境界が区別される。二次元強調関数(HEF;VEF)は、出力信号(ZX,DX;ZY,DY)の異なった組合せに、ピーキングの量を決定する値を割り当てる。異なった種類の境界に対して異なる二次元強調関数(HEF;VEF)によって割り当てられる値を選択してそれぞれの種類の境界に最も良くフィットするピーキングの所望の量を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープネス強調の方法、シャープネス強調回路、及び、このようなシャープネス強調回路を有するディスプレイ装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、例えば液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)等のマトリクスディスプレイ上の静止画像及びビデオシーケンスのシャープネス強調に関連する。
【背景技術】
【0003】
国際特許公開公報第00/42772号は、「アンシャープマスキングに似た態様」で輝度エッジにオーバーシュートを加えることによるシャープネス強調の方法を開示する。加えられるオーバーシュートの量は、局所的な画像の統計値に依存する。
【0004】
上記の方法は、入力画像信号を水平方向にフィルタリングして水平ハイパスフィルタリングされた入力画像信号を得る、空間水平ハイパスフィルタを用いる。入力画像信号は、静止画像若しくは動画又はこれらの組み合わせを有してよい。上記の方法は、更に、入力画像信号を垂直方向にフィルタリングして垂直ハイパスフィルタリングされた入力画像信号を得る、空間垂直ハイパスフィルタを用いる。水平ハイパスフィルタリングされた入力画像信号は、水平ピーキング係数で乗算されて水平にピークを有する(horizontally peaked)画像信号が得られる。垂直ハイパスフィルタリングされた入力画像信号は、垂直ピーキング係数で乗算されて垂直にピークを有する(vertically peaked)画像信号が得られる。水平にピークを有する画像信号及び垂直にピークを有する画像信号が加算されてピークを有する画像信号が得られる。
【0005】
以下で、水平ピーキング係数を生成する方法が説明される。垂直ピーキング係数は同様に決定される。バンドパスフィルタは、入力信号を水平方向にフィルタリングして、バンドパスフィルタリングされた入力信号が得られる。非線形関数は、バンドパスフィルタリングされた入力信号を、バンドパスフィルタリングされた入力信号の振幅に応じた値を持つ制御信号に変換する。平行したステップにおいて、細線強調回路は、水平ハイパスフィルタリングされた入力画像信号及び垂直ハイパスフィルタリングされた入力画像信号の両方に基づいて、水平、垂直又は斜めの細線の何れが存在するかを検出する。オーバーピーキング制御関数は、検出された細線に基づいて細線制御信号を供給する。細線が検出されると、細線制御信号が、ローパスフィルタを介して水平ピーキング係数として供給される。細線が検出されなければ、非線形関数によって供給される制御信号が、ローパスフィルタを介して水平ピーキング係数として供給される。
【0006】
このシャープネス強調方法の欠点は、細線強調回路の存在にもかかわらず、シャープネス強調が、シャープなエッジ及びオーバーシュートを有するエッジにとっては強すぎるということである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改善されたシャープネス強調を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、請求項1に記載のシャープネス強調の方法を提供する。本発明の第2の側面は、請求項19に記載のシャープネス強調回路を提供する。本発明の第3の側面は、請求項20に記載のディスプレイ装置を提供する。有利な実施例は、従属請求項に規定される。
【0009】
現在、PCディスプレイ及びテレビジョンディスプレイ(LCD TV、プラズマTV等)における画像及びビデオシーケンスのシャープネス強調処理への関心が増加している。これは、スクリーンの局所領域が、例えばディテールの可視性を向上する及び/又はコントラストを改善するためにハイライトされたアプリケーションにおいて、特にあてはまる。CRT又はTV装置のために幾つかのアルゴリズムが開発されたが、これらの有効性は、急激に市場に浸透したLCD又は他のマトリクスディスプレイ(例えばプラズマディスプレイパネル、有機発光ダイオード等)の場合には低下する。低い有効性の主な理由は、高レベルのコントラスト及びマトリクスディスプレイシステムの異なったアパーチャ特性であり、これらは、強調アルゴリズムのアーチファクトをよりよく見えるようにする。
【0010】
本発明の第1の側面によるシャープネス強調の方法において、二次元強調関数であるピーキング関数は、同じ空間方向に動作する第1のエッジディテクタ信号及び第2のエッジディテクタ信号の両方に基づくピーキング係数を決定する。2つの異なったエッジディテクタの使用は、更なる異なった種類のエッジを検出することを許可する。二次元強調関数は、第1のエッジディテクタ信号及び第2のエッジディテクタ信号の両方の値に依存する値を持つピーキング係数を発生させる。
【0011】
好適には、ディテクタは、特定の空間方向において入力画像中に発生しうる全ての異なった種類の境界、例えば、ゆっくり傾斜するエッジ、スムーズに曲がるエッジ、シャープなエッジ、オーバーシュートを有するエッジ及び細線、を区別するのに十分な情報が得られるように選択される。第1のエッジディテクタ信号及び第2のエッジディテクタ信号の異なった組み合わせに基づいて、従来技術におけるよりも多くの異なった種類の境界を検出することが可能なので、異なった境界のピーキングは改善される。
【0012】
請求項2に規定される実施例において、二次元強調関数であるピーキング関数は、ハイパスフィルタリングされた入力画像信号及びバンドパスフィルタリングされた入力画像信号の両方に基づいてピーキング係数を決定する。
【0013】
ハイパスフィルタ及びバンドパスフィルタの出力信号は、合わせて、入力画像において発生しうる全ての異なった種類の境界、例えば、ゆっくり傾斜するエッジ、スムーズに曲がるエッジ、シャープなエッジ、オーバーシュートを有するエッジ及び細線、を区別するのに十分な情報を提供すると思われる。二次元強調関数は、ピーキングの量を決定する値を、ハイパスフィルタリングされた入力画像信号及びバンドパスフィルタリングされた入力画像信号の異なった組み合わせに割り当てる。ハイパスフィルタリングされた入力画像信号及びバンドパスフィルタリングされた入力画像信号の異なった組み合わせに基づいて、全ての異なった種類の境界を検出することが可能なので、異なった種類の境界に対して、二次元強調関数によって割り当てられる異なった値を選択して、各種類の境界に最も良くフィットする所望の量のピーキングを得ることが可能である。
【0014】
これは、従来技術のアルゴリズムに匹敵するシャープネス強調のレベルを得ると同時に以下の改善点を追加することを許可する。細線及びスムーズな又はシャープなエッジの強調の処理の不連続性は、最小化される。(オーバーシュートを有するエッジを引き起こす)何らかのピーキングアルゴリズム又はフィルタによって既に処理された実像に対して他のアルゴリズムによって挿入される過剰なオーバーシュートは、制限される。そして、強調処理の後の斜めの細線における「階段現象」の可視性は制限される。
【0015】
請求項3に規定される実施例において、ハイパスフィルタリング及びバンドパスフィルタリングは、入力画像信号の水平成分に実行され、これは、通常、ラインごとにアドレスされるピクセルのラインが延びる方向である。水平強調関数は、水平ピーキング係数の出力値を提供する。出力値は、水平ハイパスフィルタリングされた信号及び水平バンドパスフィルタリングされた信号の値の入力組合せに依存する。
【0016】
請求項4に規定される実施例において、水平強調関数は、シャープなエッジ、オーバーシュートを既に持つエッジ及び細線についても水平方向に最適なシャープネス強調を許可する値を有する。
【0017】
請求項5に規定される実施例において、更に、垂直ハイパスフィルタリング及び垂直バンドパスフィルタリングは、入力画像信号の垂直成分に実行され、これは、通常、入力画像信号のラインが互いに続く方向である。垂直強調関数は、垂直ピーキング係数の出力値を提供して、垂直ハイパスフィルタリングされた信号及び垂直バンドパスフィルタリングされた信号の値の組み合わせを入力する。このとき、シャープネス強調は、水平及び垂直の両方の方向において最適化される。
【0018】
請求項6に規定される実施例において、垂直強調関数は、シャープなエッジ、オーバーシュートを既に持つエッジ及び細線に対して垂直方向に最適なシャープネス強調を許可する値を持つ。
【0019】
請求項7に規定される実施例において、水平補正係数は、水平ハイパスフィルタリングされた信号を水平ピーキング係数で乗算することによって得られ、垂直補正係数は、垂直ハイパスフィルタリングされた信号を垂直ピーキング係数で乗算することによって得られる。合計補正係数は、水平補正係数及び垂直補正係数の合計である。入力画像信号のシャープネス強調は、合計補正係数を入力画像信号に加えることによって得られる。
【0020】
請求項8に規定される実施例において、合計補正係数は、水平及び垂直補正係数の重み付けされた合計である。水平補正係数の重み係数は、垂直補正係数の値に依存し、逆もまた成り立つ。垂直補正係数の値が所定の閾値レベルよりも大きくなれば、水平重み係数は低下する。同様に、水平補正係数の値が所定の閾値よりも大きくなれば、垂直重み係数は低下する。これは、角及び孤立したピクセルの過剰な強調が回避されるという利点がある。
【0021】
請求項9に規定される実施例において、水平及び/又は垂直強調関数は、入力画像信号における雑音のレベルに応じて修正される。これは、ピーキングの量が、検出された雑音の量に依存するという利点がある。高レベルの雑音では、ピーキングの量は低下して雑音の可視性が低下する。
【0022】
請求項16に規定される実施例において、入力信号のサンプルに第1の空間方向で動作する2つのハイパスフィルタは、エッジディテクタとして用いられる。
【0023】
請求項17に規定される実施例において、第1の空間方向は、水平方向である。請求項17に規定される内容は、第1の空間方向のみにおける入力信号のピーキングに関するが、入力信号の追加のピーキングを、通常は垂直方向である第2の空間方向に実行することは可能である。好適には、垂直方向において使用される2つのハイパスフィルタは、水平方向において使用される2つのハイパスフィルタと同一である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のこれらの及び他の側面は、以下で説明される実施例を参照して説明され明らかにされる。
【0025】
異なった図における同一参照番号は、同一の機能を実行する同一の信号又は同一の要素を参照する。
【0026】
図1は、本発明の実施例によるシャープネス強調回路のブロック図を示す。
【0027】
入力画像信号L(m,n)は、マトリクスディスプレイDIに表示されるべき(図9を参照)であり、このマトリクスディスプレイDIは、水平方向(nで示される)に多くの(Xに等しい)ディスプレイピクセル(ディスプレイ素子)を持ち、垂直方向(mで示される)に多くの(Yに等しい)ピクセルを持つ。入力画像信号L(m,n)に属する入力画像ピクセル(ディスプレイピクセルに表示されるべきビデオピクセル)は、整数m及びnの組によって示される。ここで、
1≦m≦Y、1≦n≦X
である。
【0028】
特定のビデオピクセルは対応するディスプレイピクセルに表示されるべきなので、以下で、ピクセルという用語は、ビデオ及びディスプレイピクセルの両方のために用いられる。
【0029】
入力画像信号L(m,n)は、位置(m,n)に位置するピクセルの輝度に関連する量を表す。例えば、L(m,n)は以下の式で計算され、
L(m,n)=0.289R(m,n)+0.597G(m,n)+0.114B(m,n)
ここで、
R(m,n), G(m,n), B(m,n)は、それぞれ、1に正規化されたピクセルm,nの赤、緑及び青の輝度値である。
【0030】
水平ハイパスフィルタHHPは、入力画像信号L(m,n)をフィルタリングして、水平ハイパスフィルタリングされた信号ZXを得る(以下ではZX(m,n)とも称される)。水平バンドパスフィルタHBPは、入力画像信号L(m,n)をフィルタリングして、水平バンドパスフィルタリングされた信号DXを得る(以下ではDX(m,n)とも称される)。水平強調関数回路HEは、水平強調関数HEFを実行し(図4及び8を参照)、これは、水平ハイパスフィルタリングされた信号ZX及び水平バンドパスフィルタリングされた信号DXを水平ピーキング係数CXに変換する。入力画像信号L(m,n)の各値に対して、水平ピーキング係数CXは、水平ハイパスフィルタリングされた信号ZX及び水平バンドパスフィルタリングされた信号DXの両方の値に基づいた値である。乗算器MXは、水平ピーキング係数CXを水平ハイパスフィルタリングされた信号ZXで乗算して水平修正係数DEXを得る。
【0031】
垂直ハイパスフィルタVHPは、入力画像信号L(m,n)をフィルタリングして、垂直ハイパスフィルタリングされた信号ZYを得る(以下ではZY(m,n)とも称される)。垂直バンドパスフィルタVBPは、入力画像信号L(m,n)をフィルタリングして、垂直バンドパスフィルタリングされた信号DYを得る(以下ではDY(m,n)とも称される)。垂直強調関数回路VEは、垂直強調関数VEFを実行し(図4及び8を参照)、これは、垂直ハイパスフィルタリングされた信号ZY及び水平バンドパスフィルタリングされた信号DYを水平ピーキング係数CYに変換する。入力画像信号L(m,n)の各値に対して、垂直ピーキング係数CYは、垂直ハイパスフィルタリングされた信号ZY及び垂直バンドパスフィルタリングされた信号DYの両方の値に基づいた値である。乗算器MYは、垂直ピーキング係数CYを垂直ハイパスフィルタリングされた信号ZYで乗算して垂直修正係数DEYを得る。
【0032】
加算器SU1は、水平修正係数DEX及び垂直修正係数DEYを加算して合計修正係数CWCを得る。好適には、この合算は、重み係数を用いて実行される。水平修正係数DEXは水平重み係数で乗算され、垂直修正係数DEYは垂直重み係数で乗算され、これらの乗算された修正係数は合計される。
【0033】
乗算器MU1は、合計修正係数CWCを、ピーキングの全体量を決定する制御値OFで乗算して修正係数TCFを得る。制御値OFは、ユーザにより、該ユーザの所望どおりにピーキングの量を制御するようにセットされることができる。
【0034】
加算器SU2は、修正係数TCFを入力画像信号L(m,n)に加算して、ピーキング強調された入力画像信号L(m,n)である出力信号u(m,n)を得る。
【0035】
オプショナルな雑音推定器NLDは、入力画像信号L(m,n)における雑音のレベルを推定して、雑音の推定された標準偏差ro(m,n)を得る。修正回路MPFは、水平強調関数回路HE及び垂直強調関数回路VEに制御信号EVを供給して、検出された雑音の量に依存して水平強調関数HEF及び垂直強調関数VEFを修正する。水平強調関数HEF及び垂直強調関数VEFを、検出された雑音の量に応じて異なったように修正することが可能である。
【0036】
好適な実施例において、水平及び垂直方向のハイパスフィルタは、以下のフィルタにより実現される。
【数3】

バンドパスフィルタは、以下のように実現される。
【数4】

【0037】
強調関数回路HE,VEは、好適には、二次元有理関数ブロックである。
【0038】
簡単のため、以下では、シャープネス強調回路の動作は、水平方向においてのみ説明される。好適には、シャープネス強調は、垂直方向にも実行される。垂直方向のシャープネス強調回路の動作は、水平方向と同じ態様で実行される。
【0039】
フィルタリングされた信号DX及びZXの絶対値|DX|及び|ZX|は、入力画像信号L(m,n)において発生する異なった種類のエッジを区別するのに用いられる。単独で用いられたら、ハイパスフィルタリングされた信号ZXは、細線(1ピクセルの太さを持つ線)と、シャープなエッジ又はオーバーシュートを持つエッジとの間で区別することを許可しない。なぜなら、それらの値はこれらの場合の全てにおいて高いからである。同様に、バンドパスフィルタリングされた信号DXは、細線の発生に関する情報を提供しない。なぜなら、その出力は、細線についてはほぼゼロになるからである。ハイパスフィルタリングされた信号ZX及びバンドパスフィルタリングされた信号DXの両方の組み合わせによって、図2に示されるように、スムーズなエッジ、シャープなエッジ、細線及びオーバーシュートを持つエッジの間で区別することが可能である。
【0040】
ハイパスフィルタHHP及びバンドパスフィルタHBPの代わりに、他のエッジディテクタを用いることが可能である。例えば、他のエッジディテクタは、水平空間方向で動作する2つのハイパスフィルタHHP及びHBPであり、これらは以下によって規定される。
【数5】

再び、水平方向で発生する全てのエッジを検出することが可能であり、これは以下で説明される。水平方向の細線は以下の場合に検出される。
【数6】

急勾配のエッジは以下の場合に検出される。
【数7】

水平方向のスムーズなエッジは以下の場合に検出される。
【数8】

水平方向のオーバーシュートを有するエッジは以下の場合に検出される。
【数9】

二次元水平強調関数HEFを規定する基準は、既に説明されたエッジセンサ(ハイパスフィルタ及びバンドパスフィルタ)について用いられた基準と類似する。
【0041】
同様に、2つの対応するハイパスフィルタは、両方とも、垂直方向に動作するように用いられてもよい。
【0042】
図2は、どの種類のエッジがハイパスフィルタリング及びバンドパスフィルタリングされた入力画像信号のどの組み合わせに関連するかを示す概略図である。垂直軸は、ハイパスフィルタリングされた入力画像信号ZXの絶対値|ZX|を表し、水平軸は、バンドパスフィルタリングされた入力画像信号DXの絶対値|DX|を表す。図2に示される上昇しているエッジの、そして、対応する降下するエッジ(示されない)の絶対値|ZX|及び|DX|は、同一である。
【0043】
スムーズなエッジについては、|ZX|の値は小さく、|DX|の値は高く、これは、図2において0<|ZX|<|DX|によって示される。シャープなエッジについては、|ZX|及び|DX|の両方の値が高く、これらは等しいか又はほぼ等しくなることができ、これは、図2において|ZX|>0及び
【数10】

によって示される。細線は、|DX|の小さい値及び|ZX|の高い値によって特徴付けられ、これは、図2において0<|DX|<|ZX|によって示される。オーバーシュートを有するエッジは高い値の|ZX|及び平均値の|DX|を有し、これは、図2において0<|DX|<|ZX|によって示される。
【0044】
従って、|ZX|及び|DX|の値によって、エッジの全ての可能な構成を検出することが可能である。本発明の好適な実施例において、値|ZX|及び|DX|は、上記で規定された式を用いて決定される。これは、3ピクセルウィンドウの値(ピクセル値L(m−1,n), L(m,n), L(m+1,n))しか用いられなくてよいことを意味する。
【0045】
このとき、|ZX|及び|DX|平面の位置に応じて、全ての可能なエッジ間で区別することが可能であり、|ZX|及び|DX|平面の位置に応じて異なった値をピーキング係数CXに割当てることが可能である。
【0046】
図3は、二次元強調関数の値の模式的な分布を示す。
【0047】
G. Scognamiglio他による刊行物「Picture enhancement in video and block-coded image sequences」, IEEE Trans. on Consumer Electronics, vol. 45, no. 3, pp. 680-689, August 1999において用いられた有理関数は、雑音感度及びスムーズなエッジの過剰なオーバーシュートに関して良いパフォーマンスを示す。
【0048】
本発明による好適な実施例において、|DX|軸に沿う二次元強調関数HEFは、従来技術の有理関数になるように選択される。更に、細線は、スムーズなエッジと同様に処理されるべきである。これは、過剰な雑音増幅と、高いコントラストの細線において起こる、輝度値のクリッピングによって生じるディテールの損失との両方を防止するために必要である。この場合(即ち|ZX|軸に沿った場合)、従来技術とは異なったパラメータを有する有理関数が、改善された結果を提供するために用いられなければならない。
【0049】
ステップエッジは、細線よりも少なく強調されるべきである。なぜなら、ステップエッジは、しばしば、完全には水平又は垂直でない細線に隣接するピクセルにおいて起こり、また、過剰な強調は、デジタル画像における「階段現象」の主な原因だからである。
【0050】
オーバーシュートを有するエッジの場合、非常に低いレベルの強調を維持して、この状況において出現し得る明るすぎる境界を回避することが望ましい。この欠点は、取得段階での後処理におそらく起因する、オーバーシュートによって既に強調されたエッジを有する画像及びビデオシーケンスにおいて特に目立つ。この場合、更なるシャープネス強調処理は有害である可能性がある。なぜなら、これは、オーバーシュートを強調し、画像を不自然にする可能性があるからである。
【0051】
図3に示されるマップは、|DX|及び|ZX|の値に依存するシャープネス強調の所望のレベルの実施例を示す。文字Lは、|DX|及び|ZX|平面においてシャープネス強調が低くあるべき領域を、Mは、シャープネス強調が中程度であるべき領域を、Hは、シャープネス強調が高くあるべき領域を識別する。
【0052】
図4は、二次元強調関数の1つの実施例を示す。
【0053】
好適な実施例において、二次元強調関数HEFは、|DX|及び|ZX|平面全体に亘って連続的である。関数HEFの値は、原点の近くでは、雑音増幅を回避すべくゼロに近く、|DX|及び|ZX|の高い値に対しては、既によく見えるエッジの追加の強調を避けるべく、低下する。図4に示される二次元強調関数HEFは、図3に示される値の分布の実現の一例であり、図3に示される基本的な分布を実現する他の非線形関数が用いられてもよい。
【0054】
二次元強調関数は、連続関数の均一又は不均一サンプリングであってよい値を記憶するルックアップテーブル(LUT)によって実現されて良い。CXの出力値は、記憶された(サンプリングされた)値の双一次補間回路によって得られる。
【0055】
図5は、水平及び垂直修正係数を合計するための重み係数を示す。
【0056】
図5−Aは、水平重み関数HWFを垂直修正値DEYの関数として示す。示される実施例において、水平重み関数HWFは、垂直修正値DEYの低い値について値1から開始する。水平重み関数HWFは、垂直修正値DEYの所定値から線形的に減少し、垂直閾値THYで値0.5に達する。水平重み関数HWFは、垂直閾値THYよりも高い垂直修正値DEYの値については値0.5を維持する。
【0057】
図5−Bは、垂直重み関数VWFを垂直修正値DEXの関数として示す。示される実施例において、垂直重み関数VWFは、水平修正値DEXの低い値について値1から開始する。垂直重み関数VWFは減少し、水平閾値THXで値0.5に達する。そして、垂直重み関数VWFは、水平閾値THXよりも高い水平修正値DEXの値については値0.5を維持する。
【0058】
水平重み関数HWFによって乗算される水平修正値DEX及び垂直重み関数VWFによって乗算される垂直修正値DEYは合計される。従って、垂直修正係数DEYが垂直閾値THYよりも大きければ、水平重み関数HWFはより小さく、水平修正値DEXの寄与は、角及び孤立したピクセルの過剰な強調を避けるために低減される。このようにして、雑音の可視性を制限することが可能である。水平重み係数及び垂直重み係数が同一である必要はない。
【0059】
図6は、入力信号L(m,n)の平均値vgl(m,n)を見積もるためのコンボリューションマスクの実施例を示す。この平均値vgl(m,n)は、入力信号L(m,n)の雑音レベルの標準偏差ro(m,n)を推定するために用いられる。
【0060】
雑音推定器NLDは、入力画像信号L(m,n)に存在する雑音レベルを評価する。二次元強調関数HEF及びVEFは、雑音の強調を回避するために、推定された雑音レベルに基づいて修正される。
【0061】
例えば、雑音のレベルの標準偏差ro(m,n)は、以下に従って推定されてよい:
【数11】

ここで、vgl(m,n)は、中心が位置m,nのピクセルPIである3x3ピクセルウィンドウ内のピクセルPIの輝度値の平均値の近似値である。
【0062】
平均値vgl(m,n)は、vgl(m,n)=L(m,n)**W1によって決定されてもよい。**はコンボリューションを示し、W1は、3x3ピクセルウィンドウ内のピクセルPIのそれぞれのための重み係数を示すコンボリューションマスクである。図6は、コンボリューションマスクW1の実施例を示す。
【0063】
図7は、標準偏差の推定のヒストグラムの例を示す。
【0064】
図7に示される実施例において、雑音のレベルの標準偏差ro(m,n)のヒストグラムは以下の式によって計算される。
【数12】

ここで、|{…}|は、組{…}の要素の数を示す。ヒストグラムのこの実施例において、kmax=32である。
【0065】
雑音ro(m,n)の標準偏差の推定値は、ヒストグラムのモードパラメータ(以下ではMと呼ばれる)である、即ち、ヒストグラムのピークに対応するkの値である。例えば、図7は、追加された雑音を有する画像のヒストグラムを示し、ここで、雑音の標準偏差は5であり、モードパラメータMの値は5である。Mの値は、二次元強調関数HEF及び/又はVEFを制御するのに用いられる。
【0066】
図8は、雑音の多い入力画像信号のための二次元強調関数の実施例を示す。
【0067】
好適な実施例において、図4に示される二次元関数HEF,VEFは、所定値Mminより低いパラメータMの値を有する入力画像信号L(m,n)について用いられ、図8に示される二次元関数HEF,VEFは、所定値Mmaxより高いパラメータMの値を有する入力画像信号L(m,n)のために用いられる。図8の二次元関数HEF,VEFは、|DX|及び|ZX|のより高い値にシフトされ、そのバンド、即ち、二次元関数HEF,VEFが最大値を取る範囲は、図4の二次元関数HEF,VEFに対して低減される。Mの中程度の値(即ちMmin<M<Mmax)については、ピーキング係数CXは、図4及び図8に示される二次元関数の対応する値を補間することによって決定される。
【0068】
数学的には、好適な実施例において、各ピクセルPIに対して、ピーキング係数CXの値は以下のように得られる。
【数13】

ここで、CX1(m,n)は図4に示される二次元関数HEF,VEFの値であり、CX2(m,n)は図8に示される二次元関数HEF,VEFであり、|ZX|=|ZX(m,n)|且つ|DX|=|DX(m,n)|である。
【0069】
図9は、本発明によるシャープネス強調回路を有するマトリクスディスプレイ装置の実施例を示す。
【0070】
マトリクスディスプレイ装置は、選択電極SEL及びデータ電極が交差する交点に関連するピクセルPIのアレイを備えたマトリクスディスプレイDIを有する。マトリクスディスプレイDIは、通常水平方向に延びる選択電極SELの方向にXピクセルを有し、通常垂直方向に延びるデータ電極DELの方向にYピクセルを有する。マトリクスディスプレイDIのピクセルPIの位置は、左上のピクセルPIの1,1から右下のピクセルPIのY,Xまでにわたる2つの数m,nによって示される。数mは、データ電極DELに沿う位置を示し、従ってこの実施例では垂直位置を示す。数nは、選択電極SELに沿う位置を示し、従ってこの実施例では水平方向を示す。
【0071】
選択ドライバSDは、選択電極SELに選択信号を供給する。データドライバDDは、データ電極DELにデータ信号を供給する。コントローラCOは、制御信号CS1をデータドライバDDに、制御信号CS2を選択ドライバSDに、供給する。通常、コントローラCOは、選択ドライバSDを制御してピクセルPIをラインごとに選択させ、データドライバを制御して適切なデータ電圧をピクセルPIの選択されたラインに平行に供給させる。
【0072】
シャープネス強調回路SEは、入力画像信号L(m,n)を受信し、強調されたデータ信号u(m,n)をデータドライバDDに供給する。入力画像信号L(m,n)は、ラインごとにXサンプルを持ち、マトリクスディスプレイDIのピクセルPIの数に合うYラインを持つ、時間離散信号である。入力画像信号L(m,n)のサンプルは、通常(ビデオ)ピクセルと呼ばれる。マトリクスディスプレイDIのディスプレイピクセルPIも、通常ピクセルと呼ばれる。このように、ピクセルによって、ビデオ及びディスプレイピクセルの両方が示されることができる。用語L(m,n)は、位置m,nにおける入力画像信号及びピクセルPIの輝度の両方を示すために用いられる。用語ピクセル及びL(m,n)の意味は、文脈から明白である。
【0073】
上述の実施例は、本発明を制限するのではなく説明しているのであり、当業者は、添付の請求項の範囲から離れることなく代替の実施例を設計することができることに注意されたい。
【0074】
請求項において、括弧内に配置されたいかなる引用符号も当該請求項を制限するように解釈されてはならない。「有する(comprising)」なる用語は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの個別素子を有するハードウェアにより、及び適切にプログラムされたコンピュータ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)によって実行されることができる。幾つかの手段を列挙している装置請求項において、複数のこれらの手段を、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具体化することもできる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において記載されているという事実のみでは、これらの手段の組合せが有利に用いられることができないということを示すことにはならない。
【0075】
本発明は、両方とも同一の第1の空間方向に動作する、第1のエッジディテクタ及び第2のエッジディテクタの両方の出力信号に基づいて、入力信号のためのピーキング係数を決定する二次元強調関数を提供する。このよう態様で、入力信号中に第1の空間方向で発生しうる全ての異なった種類の境界は区別される。二次元強調関数は、ピーキングの量を決定する値を出力信号の異なった組み合わせに割り当てる。異なった種類の境界に対して、二次元強調関数によって割り当てられる異なった値を選択して、それぞれの種類の境界に最も良くフィットする所望の量のピーキングを得ることができる。
【0076】
最後に、本発明の好適な実施例において、シャープネス強調の方法は、ハイパスフィルタ及びバンドパスフィルタ、又は、天然画像において発生する全てのエッジ構成、即ち、スムーズなエッジ、シャープなエッジ、細線及びオーバーシュートを有するエッジを区別することができる同等のディテクタによって制御される二次元関数を用いる。二次元関数は、上記の異なった種類のエッジのそれぞれに適用される強調を別個に制御することを許可する。更に、好適には、二次元関数は、入力画像信号の雑音レベルに依存して適応される。好適には、入力画像信号雑音を測定する方法は、3x3ピクセルウィンドウ上で評価された標準偏差のヒストグラムを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例によるシャープネス強調回路のブロック図を示す。
【図2】どの種類のエッジがハイパスフィルタリング及びバンドパスフィルタリングされた入力画像信号のどの組み合わせに関連するかを示す概略図を示す。
【図3】二次元強調関数の値の図式的な分布を示す。
【図4】二次元強調関数の実施例を示す。
【図5A】水平補正係数を合計するための重み係数を示す。
【図5B】垂直補正係数を合計するための重み係数を示す。
【図6】入力画像信号における雑音レベルの標準偏差を推定するのに用いられる輝度の平均値を近似するためのコンボリューションマスクの実施例を示す。
【図7】標準偏差の推定のヒストグラムの一例を示す。
【図8】雑音が多い入力画像信号のための二次元強調関数の実施例を示す。
【図9】本発明によるシャープネス強調回路を備えたマトリクスディスプレイ装置の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のシャープネス強調の方法であって、
第1の空間方向で前記入力信号におけるエッジの第1のサブセットを検出して、第1のディテクタ信号を得るステップと、
前記第1の空間方向で、前記第1のサブセットとは異なる、前記入力信号におけるエッジの第2のサブセットを検出して、第2のディテクタ信号を得るステップと、
ピーキング係数を、当該ピーキング係数に対する値を前記第1のディテクタ信号及び前記第2のディテクタ信号の値の組み合わせに割り当てる所定の二次元強調関数を用いることにより、決定するステップと、
前記第1のディテクタ信号を前記ピーキング係数で乗算してピークを有する信号を得るステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシャープネス強調の方法において、
エッジの前記第1のサブセットを検出する前記ステップは、前記入力画像信号をハイパスフィルタリングしてハイパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
エッジの前記第2のサブセットを検出する前記ステップは、前記入力画像信号をバンドパスフィルタリングしてバンドパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
所定の二次元強調関数を用いることにより前記ピーキング係数を決定する前記ステップは、前記ピーキング係数の値を前記ハイパスフィルタリングされた信号及び前記バンドパスフィルタリングされた信号の値の組み合わせに割り当てるように適応され、
前記ハイパスフィルタリングされた信号を前記ピーキング係数に基づく乗算係数で乗算する
方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシャープネス強調の方法において、
ハイパスフィルタリングする前記ステップは、前記入力画像信号の水平成分を水平ハイパスフィルタリングして水平ハイパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
バンドパスフィルタリングする前記ステップは、前記入力画像信号の前記水平成分を水平バンドパスフィルタリングして水平バンドパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
前記ピーキング係数を決定する前記ステップは、水平ピーキング係数に対する値を前記水平ハイパスフィルタリングされた信号及び前記水平バンドパスフィルタリングされた信号の値の組合せに割り当てるための二次元水平強調関数を用いるステップを有する、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載のシャープネス強調の方法において、前記水平強調関数は、
(i)前記水平ハイパスフィルタリングされた信号の値及び前記水平バンドパスフィルタリングされた信号の値が実質的に等しい、
(ii)前記水平ハイパスフィルタリングされた信号の前記値が第1の所定の値よりも大きい、又は、
(iii)前記水平バンドパスフィルタリングされた信号の前記値が第2の所定の値より大きい
場合に比較的低い値を有し、(i)が有効でなければ、前記水平強調関数は、
(iv)前記水平ハイパスフィルタリングされた信号の前記値が前記第1の所定の値より小さい、又は、
(v)前記水平バンドパスフィルタリングされた信号の前記値が前記第2の所定の値より小さい
場合に比較的高い値を有する、
方法。
【請求項5】
請求項3に記載のシャープネス強調の方法において、当該方法は、更に、
前記入力画像信号の垂直成分を垂直ハイパスフィルタリングして垂直ハイパスフィルタリングされた信号を得るステップと、
前記入力画像信号の前記垂直成分を垂直バンドパスフィルタリングして垂直バンドパスフィルタリングされた信号を得るステップと、
を有し、
前記ピーキング係数を決定する前記ステップは、垂直ピーキング係数に対する値を前記垂直ハイパスフィルタリングされた信号及び前記垂直バンドパスフィルタリングされた信号の値の組合せに割り当てるための二次元垂直強調関数を用いるステップを有する、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシャープネス強調の方法において、前記垂直強調関数は、
(i)前記垂直ハイパスフィルタリングされた信号の値及び前記垂直バンドパスフィルタリングされた信号の値が実質的に等しい、
(ii)前記垂直ハイパスフィルタリングされた信号の前記値が比較的大きい、又は
(iii)前記垂直バンドパスフィルタリングされた信号の前記値が比較的大きい
場合に比較的低い値を有し、前記垂直強調関数は、
(iv)前記垂直ハイパスフィルタリングされた信号の前記値が比較的小さく且つ(i)が有効でない、又は、
(v)前記垂直バンドパスフィルタリングされた信号の前記値が比較的小さく且つ(i)が有効でない
場合に比較的高い値を有する、方法。
【請求項7】
請求項5に記載のシャープネス強調の方法において、乗算する前記ステップは、
前記水平ハイパスフィルタリングされた信号を前記水平ピーキング係数で乗算して水平補正係数を得るステップと、
前記垂直ハイパスフィルタリングされた信号を前記垂直ピーキング係数で乗算して垂直補正係数を得るステップと、
前記水平補正係数及び前記垂直補正係数を合計して合計補正係数を得るステップと、
前記入力画像信号に前記合計補正係数を合計するステップと、
を有する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載のシャープネス強調の方法において、
前記水平補正係数及び前記垂直補正係数を合計する前記ステップは、前記水平補正係数を水平重み係数で、前記垂直補正係数を垂直重み係数で重み付けするステップを有し、
前記水平重み係数は、前記垂直補正係数が第1の閾値を上回るとより低い値を有し、
前記垂直重み係数は、前記水平補正係数が第2の閾値を上回るとより低い値を有する、方法。
【請求項9】
請求項7に記載のシャープネス強調の方法において、更に、
前記入力画像信号に存在する雑音のレベルを決定するステップと、
雑音の強調を低減するために雑音の前記レベルに依存して前記水平ピーキング係数及び/又は垂直ピーキング係数を修正するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
請求項9に記載のシャープネス強調の方法において、雑音の前記レベルを決定する前記ステップは、前記雑音の標準偏差を推定するステップを有する、方法。
【請求項11】
請求項3に記載のシャープネス強調の方法において、前記入力画像信号は、ピクセルのマトリクスによって形成される画像を表し、前記マトリクスのピクセルの位置は添字m,nによって規定され、ここで、前記添字nは水平位置を示し、前記添字mは垂直位置を示し、前記水平ハイパスフィルタリングは、Zx(m,n)=2L(m,n)−L(m,n−1)−L(m,n+1)によって規定されるラプラシアンフィルタリングを有し、前記水平バンドパスフィルタリングは、Dx(m,n)=L(m,n+1)−L(m,n−1)によって規定されるフィルタリングを有し、L(m,n)は、位置m,nのピクセルの輝度に関連し、L(m,n−1)は、位置m,n−1のピクセルの輝度に関連し、L(m,n+1)は、位置m,n+1でピクセルの輝度に関連する、方法。
【請求項12】
請求項5に記載のシャープネス強調の方法において、前記入力画像信号は、ピクセルのマトリクスによって形成される画像を表し、前記マトリクスのピクセルの位置は添字m,nによって規定され、ここで、前記添字nは水平位置を示し、前記添字mは垂直位置を示し、前記垂直ハイパスフィルタは、Zy(m,n)=2L(m,n)−L(m−1,n)−L(m+1,n)によって規定されるラプラシアンフィルタを有し、前記垂直バンドパスフィルタは、フィルタDy(m,n)=L(m+1,n)−L(m−1,n)であり、L(m,n)は、位置m,nのピクセルの輝度に関連し、L(m−1,n)は、位置m−1,nのピクセルの輝度に関連し、L(m+1,n)は、位置m+1,n+1でピクセルの前記輝度に関連する、方法。
【請求項13】
請求項10に記載のシャープネス強調の方法において、前記標準偏差を推定する前記ステップは、3x3ピクセルウィンドウについて各ピクセルに対して以下のように決定し、
【数1】

ここでvgl(m,n)は、前記3x3ピクセルウィンドウ中の前記ピクセルの輝度値の平均値の近似である、方法。
【請求項14】
請求項13に記載のシャープネス強調の方法において、前記平均値は、vgl(m,n)=L(m,n)**W1によって決定され、**はコンボリューションを示し、W1は、前記3x3ピクセルウィンドウ中の前記ピクセルのそれぞれのための重み係数を示すコンボリューションマスクである、方法。
【請求項15】
請求項14に記載のシャープネス強調の方法において、前記各ピクセルに対して、以下の式によってヒストグラムが計算され、
【数2】

ここで、|{…}|は、組{…}の要素の数を示し、前記雑音レベルの標準偏差の推定された値は前記ヒストグラム中の最高値に対応する値k=Mであり、前記水平ピーキング係数及び前記垂直ピーキング係数は、前記推定された値に依存する、方法。
【請求項16】
請求項1に記載のシャープネス強調の方法において、
エッジの前記第1のサブセットを検出する前記ステップは、前記入力画像信号をハイパスフィルタリングして第1のハイパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
エッジの前記第2のサブセットを検出する前記ステップは、前記入力画像信号をハイパスフィルタリングして第2のハイパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
所定の二次元強調関数を用いることにより前記ピーキング係数を決定する前記ステップは、前記ピーキング係数のための値を前記第1のハイパスフィルタリングされた信号及び前記第2のハイパスフィルタリングされた信号の組み合わせに割り当てるように適応され、
前記第1のハイパスフィルタリングされた信号を前記ピーキング係数で乗算する、
方法。
【請求項17】
請求項16に記載のシャープネス強調の方法において、
前記第1のハイパスフィルタリングのステップは、前記入力画像信号の水平成分を水平ハイパスフィルタリングして第1の水平ハイパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
前記第2のハイパスフィルタリングのステップは、前記入力画像信号の前記水平成分を水平ハイパスフィルタリングして第2の水平バンドパスフィルタリングされた信号を得るステップを有し、
前記ピーキング係数を決定する前記ステップは、水平ピーキング係数の値を前記第1の水平ハイパスフィルタリングされた信号及び前記第2の水平バンドパスフィルタリングされた信号の値の組合せに割り当てるための二次元水平強調関数を用いることを有する、
方法。
【請求項18】
請求項17に記載のシャープネス強調の方法において、更に、
前記入力画像信号の垂直成分を第1の垂直ハイパスフィルタリングして第1の垂直ハイパスフィルタリングされた信号を得るステップと、
前記入力画像信号の前記垂直成分を第2の垂直ハイパスフィルタリングして第2の垂直バンドパスフィルタリングされた信号を得るステップと、
前記ピーキング係数を決定する前記ステップは、所定の二次元垂直強調関数を用いて垂直ピーキング係数の値を前記垂直ハイパスフィルタリングされた信号及び前記第2の垂直ハイパスフィルタリングされた信号の値の組合せに割り当てるステップを有する、方法。
【請求項19】
第1の空間方向で前記入力信号のエッジの第1のサブセットを検出して、第1のディテクタ信号を得るための第1のエッジディテクタと、
前記第1の空間方向で、前記第1のサブセットとは異なる、前記入力信号のエッジの第2のサブセットを検出して、第2のディテクタ信号を得る第2のエッジディテクタと、
ピーキング係数を、当該ピーキング係数の値を前記第1のディテクタ信号及び前記第2のディテクタ信号の値の組み合わせに割り当てる所定の二次元強調関数を用いることにより、決定するための手段と、
前記第1のディテクタ信号を前記ピーキング係数で乗算してピークを有する信号を得るための乗算器と、
を有するシャープネス強調回路。
【請求項20】
マトリクスディスプレイ及び請求項19に記載のシャープネス強調回路を有するディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−504312(P2006−504312A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546233(P2004−546233)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004318
【国際公開番号】WO2004/039063
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】