説明

シリコーンゴムスポンジの製造方法

【課題】 シリコーンゴムスポンジの製造方法を提供する。
【解決手段】 水と無機系増粘剤からなる混合物と乳化剤とを含んでなり、せん断速度10s−1で測定された25℃における粘度がせん断速度100s−1で測定された25℃における粘度の1.5〜6.0倍であることを特徴とする、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を25〜90℃に加熱して含水状態のシリコーンゴム成形体を得、次いで、100〜300℃に加熱してシリコーンゴム成形体から水を除去することを特徴とするシリコーンゴムスポンジの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴムスポンジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムスポンジは耐熱性、耐候性に優れ、軽量であり熱伝導率も低いことから自動車部品;複写機やプリンター等の画像形成装置のロールやベルト;各種シール部品に使用されている。従来、熱分解性有機発泡剤や各種の揮発成分を配合したシリコーンゴム組成物がシリコーンゴムスポンジの製造に使用されていたが、HAVやオーブン中で発泡硬化させた場合、セルの均一性に乏しく、100μm以下の微細な気泡のスポンジを得ることが困難であり、得られるシリコーンゴムスポンジの表面平滑性が乏しいという問題があった。
【0003】
また、発泡済みの樹脂中空粉体やガラスバルーンなどの中空粉体を配合した液状シリコーンゴム組成物を用いたシリコーンゴムスポンジは、スポンジの硬さを低くすることが難しく弾性に富んだスポンジを得ることが難しかったり、得られるスポンジが独立気泡構造のため熱による体積変化が大きくなったりするという問題があった。
【0004】
特開2004−346248号公報や特開2008−214625号公報には、ヒドロシリル化反応架橋性のシリコーンゴム組成物、スメクタイトクレーを含有する水および乳化剤からなるシリコーンゴム用エマルション組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−346248号公報
【特許文献2】特開2008−214625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スポンジ表面に平滑なスキン層を有し、微細で均一な連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシリコーンゴムの製造方法は、水と無機系増粘剤からなる混合物と乳化剤とを含んでなり、せん断速度10s−1で測定された25℃における粘度がせん断速度100s−1で測定された25℃における粘度の1.5〜6.0倍であることを特徴とする、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を25〜90℃に加熱して含水状態のシリコーンゴム成形体を得、次いで、100〜300℃に加熱してシリコーンゴム成形体から水を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、表面が平滑であり、微細で均一な連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジを効率的に製造することができるという特徴を有する。また、本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、シリコーンゴムスポンジと金属や有機樹脂などの基体からなる積層体、複数のシリコーンゴムスポンジ層が積層された積層体、シリコーンゴムスポンジ上に他の弾性材料などからなる層が積層された積層体などを効率よく製造することができるという特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法について詳細に説明する。
【0010】
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、特定の粘度を有し、水と無機系増粘剤からなる混合物と乳化剤とを含んでなることを特徴とするヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を用いることを特徴とする。
【0011】
水と無機系増粘剤からなる混合物は、本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化した後、混合物中の水が硬化物中から除去されることでシリコーンゴムをシリコーンゴムスポンジとするための成分である。水は清浄であればよく、その種類は制限されない。例えば、水道水、井戸水、イオン交換水、蒸留水などが例示され、イオン交換水であることが好ましい。水と無機系増粘剤からなる混合物の配合量は、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物に対して、5〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
【0012】
無機系増粘剤は、天然または合成の無機系増粘剤であり、水と混合することで水のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物への分散を容易にし、分散状態を安定させるために配合される。具体的には、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライトおよびノントロナイト等の粘土鉱物を主成分とするベントナイトなどの天然または合成のスメクタイトクレー;および、これらとポリアクリル酸のようなアニオン性ポリマーなどとからなる親水性複合物が例示される。その配合量は、水100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0013】
中でも、ベントナイト(モンモリロナイト)、ヘクトライトクレー、サポナイトクレーなどのスメクタイトクレーであることが好ましい。水に分散させたときの粘度の上昇が大きく、後述する乳化剤の使用量を少なくすることができるからである。このような、スメクタイトクレーとしては、例えば水熱合成品であるスメクトン(登録商標:クニミネ工業(株)製)、ルーセンタイト(登録商標:コープケミカル(株)製)、天然精製品であるクニピア(登録商標:クニミネ工業(株)製)、ベンゲル(登録商標:(株)ホージュン製)、ベントン(登録商標:エレメンティス(株)製)、ビーガム(登録商標:バンダービルト社製)等が入手可能である。これらのスメクタイトクレーのpHはシリコーンゴムスポンジの耐熱性を維持する点からpH5.0〜9.0であることが好ましい。
【0014】
乳化剤は、水をヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物に高度に分散し、分散状態を安定させるために配合される。乳化剤は、従来公知のものが使用でき、アニオン系、カチオン系、両性イオン系及びノニオン系のいずれでもよい。具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドのようなノニオン系界面活性剤;ポリシロキサン・ポリオキシエチレングラフト共重合体のようなオルガノポリシロキサンからなるノニオン系界面活性剤;脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩のようなカチオン系界面活性剤;高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩のようなアニオン系界面活性剤;カルボキシベタイン型またはグリシン型の両性イオン系界面活性剤が例示される。中でも、ヒドロシリル化反応に影響が少ないことからノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
【0015】
これらの乳化剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。乳化剤のHLB値(2種以上を併用するときは、その重量平均HLB値)が、1以上10以下のものが好ましく、1.5以上6未満であることがより好ましく、3.5以上6未満であることが特に好ましい。乳化剤の配合量は、特に限定されず適宜調整できるが、一般的にはヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物中、0.02〜15質量%の範囲内であることが好ましい。
【0016】
ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物としては、下記の成分から少なくともなる組成物であることが好ましい。
(A)アルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
(D)乳化剤 0.1〜15質量部、
(E)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)
および
(F)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
【0017】
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンであり、本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の主剤である。
【0018】
(A)成分の粘度は25℃において、0.1〜100Pa・sであることが好ましく、0.1〜40Pa・sの範囲がより好ましい。(A)成分のオルガノポリシロキサンのシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよく、また両者の混合物でもよいが、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しから成る、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであることが好ましい。なお、(A)成分のポリジオルガノシロキサンは、極少量の分子鎖末端が水酸基に置換されていてもよい。
【0019】
(A)成分中のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。また、(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等の、通常、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の、非置換又は置換の1価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。
【0020】
(A)成分は(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さないポリジオルガノシロキサンと(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサンからなることが好ましい。(A1)成分と(A2)成分の配合比は(A1):(A2)=0:100〜90:10の範囲であることが好ましく、(A1):(A2)=0:100〜75:25の範囲であることがより好ましく、(A1):(A2)=10:90〜50:50の範囲であることがさらに好ましい。
【0021】
(B)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の架橋剤である。ケイ素原子に結合した水素原子は末端シロキサン単位、および/または、ポリマー鎖中のシロキサン単位に位置することができる。このオルガノポリシロキサンは直鎖状のシロキサンポリマーであることが好ましく、RHSiO2/2単位、および/または、RXSiO1/2単位(これらの式中、Rは、上記(A)成分における、アルケニル基以外の有機基と同様の炭素数1〜10の、好ましくは炭素数1〜8の、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。Xは水素原子もしくはRを表す。)を分子中に必須に含有し、RSiO2/2単位を任意に含有するものである。
【0022】
(B)成分中に存在するケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル数の合計量は、前記(A)成分中のアルケニル基1個当たり、0.4〜20個であることが好ましく、1.5〜5.0個であることがより好ましい。したがって、前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の相対量は、この関係が維持されるように、例えば、1〜1000質量部の範囲で適宜決定されることが好ましい。
【0023】
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物は、前記のとおりである。(C)成分の好ましい配合量は、(A)成分100質量部に対して10〜250質量部であり、好ましくは20〜200質量部であり、より好ましくは40〜150質量部である。(C)成分の配合量が10質量部未満であると、本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋硬化してなるシリコーンゴムがシリコーンゴムスポンジとなり難く、250質量部を超えると、形成されるシリコーンゴムスポンジの強度が損なわれるからである。
【0024】
(D)成分の乳化剤は、前記のとおりである。(D)乳化剤の好ましい配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜15質量部であり、好ましくは0.2〜3質量部である。
【0025】
(E)ヒドロシリル化反応触媒としては、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒及びロジウム系触媒から選ばれる少なくとも1種の触媒であることが好ましく、より具体的には、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、これらを熱可塑性樹脂中に分散させた粉末状白金系触媒などの白金系触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が使用され、特に好ましくは白金系触媒である。(E)成分は触媒として有効量(いわゆる触媒量)であればよく、具体的には、例えば前記(A)及び(B)成分の合計量に対して触媒の量(金属元素分として)が質量換算で0.01〜500ppm、好ましくは0.1〜100ppm程度の割合で配合される。
【0026】
(F)硬化遅延剤は、本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の硬化速度や作業可使時間を調整するための成分であり、具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールなどの炭素−炭素三重結合を有するアルコール誘導体;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどのエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサンなどのアルケニル基含有低分子量シロキサン;メチル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、ビニル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シランなどのアルキン含有シランが例示される。
【0027】
(F)成分の配合量は、本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の使用方法や成形方法に応じて適宜選択される。一般的な配合量としては、(A)成分100質量部に対して0.001質量部〜5質量部の範囲である。
【0028】
本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物から形成されるシリコーンゴムスポンジの強度を向上させるという点から、さらに(G)補強性シリカ微粉末を配合することが好ましい。(G)成分としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカ及び沈降シリカが好適である。また、これらのシリカ微粉末は、例えば鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、各種オルガノシラン等で表面処理されたものであってもよい。補強性シリカ微粉末の比表面積は、50〜350m2/g、特に80〜250m2/gであることが好ましい。なお、比表面積は、例えばBET吸着法により求めることができる。
【0029】
(G)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、20質量部以下(即ち、0〜20質量部)であることが好ましく、より好ましくは0〜15質量部、さらに好ましくは0〜10質量部である。
【0030】
その他に、従来シリコーンゴムに添加配合することが周知とされる各種の添加剤、例えば、ヒュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、結晶性シリカ、珪藻土、アスベスト、アルミノ珪酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤;これらの充填剤をオルガノシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理したもの;アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを配合してもよい。また必要に応じて顔料、耐熱剤、難燃剤、内部離型剤、可塑剤、受酸剤、無官能のシリコーンオイル等のシリコーンゴム組成物に公知の添加剤を配合してもよい。また、本発明のシリコーンゴム組成物は水を含むので、防腐剤や防錆剤を配合してもよい。
【0031】
本発明のヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて(G)成分およびその他の任意成分を均一に混合することで製造することができる。しかし、保存安定性の点から、複数の個別の組成物としてパッケージ・保存することが好ましい。なお、これらの個別に保存される複数の組成物は、シリコーンゴムスポンジ形成時に混合され、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて(G)成分およびその他の任意成分を含有するヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物として使用される。前記個別に保存される複数の組成物は、(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないことが好ましい。
【0032】
このようなヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物としては、(I)(A)成分、(D)成分、(E)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物が例示される。
【0033】
前記個別に保存される複数の組成物は、それぞれ、(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないようにして、上記(A)〜(F)成分あるいはこれらに必要に応じて(G)成分および各種添加剤を均一に混合して調製することができる。ここで使用するミキサーとしてはホモミキサー、パドルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、真空混合攪拌ミキサーが例示されるが、特に限定されるものではない。なお、(G)成分を配合する場合は、予め、(A)成分の一部と(G)成分とを配合したシリカマスターバッチを調製した後、残余の(A)成分と他の成分を混合することが好ましい。
【0034】
このような個別に保存される複数の組成物は、500〜3000rpmで回転する攪拌羽根などの分散機構を備えた混合装置に個別に保存された複数の組成物を投入、混合し、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を予め所定量調製してタンクなどに貯蔵する方法や、個別に保存された複数の組成物をそれぞれ個別にタンクなどに貯蔵し、各タンクに接続された計量供給ポンプなどにより、スタティックミキサーやピンミキサー、連続乳化装置などのダイナミックミキサーなどの混合装置に連続的に供給・混合するなどして、ヒドロシリル化反応スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物とすることができる。
【0035】
ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の25℃における粘度は、せん断速度10s−1で1〜100Pa・sであることが好ましく、5〜60Pa・sであることがさらに好ましい。また、せん断速度10s−1における25℃の粘度は、せん断速度100s−1における25℃の粘度の1.5倍〜6.0倍の範囲であることが好ましく、2.0倍〜5.0倍の範囲であることがより好ましい。これは、せん断速度10s−1における25℃の粘度がせん断速度100s−1における25℃の粘度の1.5倍以上であると、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物をコーティングまたはキャスティングして加熱硬化させる際に、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の形状保持が十分となるからである。一方、せん断速度10s−1における25℃の粘度がせん断速度100s−1における25℃の粘度の6.0倍以内であると、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物をコーティングまたはキャスティングして加熱硬化させる際に、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の表面を平滑にすることが容易となるからである。ここで、せん断速度10s−1における25℃の粘度とせん断速度100s−1における25℃の粘度は、レオメータ(TAインスツルメンツ社製アドバンスドレオメーターAR500)を用い、半径2cmの2°コーンプレートを用いて測定することができる。
【0036】
ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の硬化特性は、JIS K6300−2に規定されたダイ加硫試験A法に準じて測定することができる。ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の硬化特性は、目的とするシリコーンゴムスポンジの性情やその製造設備、シリコーンゴムスポンジ積層体を製造する場合は組み合わせる基材等によって適宜選択することができるが、例えば、70℃で30分間の条件で検出された最大トルクを最大トルクとし、最大トルクの10%および90%のトルクに到達する時間をそれぞれT−10、T−90とすると、T−10は0.5〜25分であることが好ましく、T−90は1〜25分であることが好ましい。また、90℃で15分間の条件で検出された最大トルクを最大トルクとし、最大トルクの10%および90%のトルクに到達する時間をそれぞれT−10、T−90とした場合は、T−10は0.1〜3分であることが好ましく、T−90は0.2〜3分であることが好ましい。
【0037】
ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物は、25〜90℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜80℃で加熱することで含水状態のシリコーンゴム成形体を形成する。ここで、加熱温度が25℃以上であると、含水状態のシリコーンゴム成形体を得るための成形時間を適当な範囲の長さとすることができる。一方、加熱温度が90℃以下であると、得られるシリコーンゴムスポンジの気泡が過大になったり不均一になったりすることを防止することができる。
【0038】
また、含水状態のシリコーンゴム成形体を得る際の加熱は、25〜90℃の温度範囲で数段階に温度を変えて加熱するステップキュアを行うことが好ましい。ステップキュアは、2段階で行ってもよく、3段階以上に温度を変化させてもよく、25〜90℃の温度範囲で連続的に温度を変化させてもよい。例えば、25〜90℃、好ましくは40〜60℃で3〜120分の加熱の後に、60〜90℃で5〜60分加熱するステップキュアが例示される。得られるシリコーンゴムスポンジの気泡が過大になったり不均一になったりすることを防止しながら、成形時間を短縮できるからである。
【0039】
また、含水状態のシリコーンゴム成形体を形成する際の加熱条件によって、得られるシリコーンゴムスポンジ表面の無発泡ゴム層(以下スキン層という)の厚さを調整することができる。本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法によれば、任意の厚さの気泡を含まない無発泡のシリコーンゴム層がシリコーンゴムスポンジ層上に形成された構造を効率よく製造することができる。なお、スキン層を形成するためには、スキン層を形成させる表面を大気圧に開放した状態で含水状態のシリコーンゴム成形体を形成することが好ましい。
【0040】
スキン層の厚さは、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の硬化特性や、使用する硬化触媒の種類、含水状態のシリコーンゴム成形体を形成する際の加熱条件を適宜調整することがで調製することができる。例えば、硬化がより遅いスポンジ形成性シリコーンゴム組成物を用いた場合は、スキン層が厚くなる傾向がある。また、熱可塑性樹脂中に白金系触媒を分散させた粉末状白金系触媒を白金系触媒として使用したヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物は、使用した熱可塑性樹脂の軟化温度以下では極端に硬化が遅くなる傾向があるので、スキン層の厚いシリコーンゴムスポンジを容易に得ることができる。
【0041】
ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物は、グラビアコート、ナイフコート、ブレードコート、スプレー、キャスティング等により、樹脂フィルム等の剥離性基材上にコーティングしたり、合成繊維織布、樹脂フィルム、金属、ガラスクロス、弾性体などの基体上にコーティングしたり、天蓋部など少なくとも一部が大気圧に開放された容器に注入したりした後、上記の温度範囲で加熱することにより、含水状態のシリコーンゴム成形体とすることができる。
【0042】
ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性シリコーンゴム組成物をコーティングまたはキャスティングする厚さは、目的とするシリコーンゴムスポンジのゴム弾性を有効に利用する点で0.05〜80mmの厚さであることが好ましく、特に0.1〜50mmの厚さでコーティングまたはキャスティングすることが好ましい。
【0043】
このようにして得られた含水状態のシリコーンゴム成形体から、水を除去することによりシリコーンゴムスポンジを得ることができる。含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去する方法は、特に限定されないが、100〜300℃、好ましくは120℃〜250℃で加熱して水を除去することが好ましい。なお、合成繊維織布、樹脂フィルム、金属板、ガラスクロスなどの基体上にスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物をコーティングし熱風や赤外線等により基体上に含水状態のシリコーンゴム成形体を連続的に形成する場合などでは、水の除去も同時に進行する場合もある。しかし、均一で微細な気泡を有するシリコーンゴムスポンジを得るためには、このような連続的な成形工程においても、90℃以下の温度でスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の含水状態をできるだけ保ちながら硬化させ、次いで100℃以上好ましくは120〜250℃で加熱して含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去することが好ましい。
【0044】
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法により基体上にシリコーンゴムスポンジ層を有する積層体を製造することができる。基体としては、金属棒、金属板、金属網、ガラス板、ガラスクロス、有機樹脂、有機樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、合成繊維織布、各種弾性体が例示される。積層体の製造には、必要に応じて接着面の改質を行ったりプライマーや接着剤を使用したりすることができる。
【0045】
また、本発明の方法により製造されたシリコーンゴムスポンジ上に第2のシリコーン弾性体層を積層することもできる。シリコーンゴムスポンジ上に積層されるシリコーン弾性体層はヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物により形成されることが好ましいが、本発明の方法により製造されたシリコーンゴムスポンジであってもよい。このような積層体は層間が強固に密着するので特にプライマー等を使用する必要はないが、必要に応じて、プライマーや接着剤を使用してもよい。本発明の方法により製造されたシリコーンゴムスポンジ上に第2のシリコーン弾性体層を積層する際には、事前にシリコーンゴムスポンジ表面を水またはアセトンなどの溶剤で洗浄することが好ましい。なお、第2のシリコーン弾性体層は、基体上に本発明の方法により形成されたシリコーンゴムスポンジの上に形成されてもよい。
【0046】
また、本発明の方法により製造されたシリコーンゴムスポンジ上に他の素材からなる第2の層を積層することもできる。シリコーンゴムスポンジ上に積層される層は、熱可塑性エラストマー、ゴムや有機樹脂のような弾性体からなる弾性体層であることが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂のラテックス、ダイエルラテックス、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、EPラバー、EPDM、ニトリルゴム、ポリウレタン樹脂、フッ素ゴム、各種熱可塑性エラストマーが例示される。積層体の製造の際には、必要に応じて接着面の改質を行ったりプライマーや接着剤を使用したりすることができる。本発明の方法により製造されたシリコーンゴムスポンジ上に他の層を積層する際には、事前にシリコーンゴムスポンジ表面を水またはアセトンなどの溶剤で洗浄することが好ましい。なお、上記の他の素材からなる第2の層は、基体上に本発明の方法により形成されたシリコーンゴムスポンジの上に形成されてもよい。
【0047】
本発明の方法により製造されたシリコーンゴムスポンジ上にさらに他層を積層する際には、必要に応じて、当該シリコーンゴムスポンジ層のスキン層を除去してから他層を積層してもよい。
【実施例】
【0048】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例中粘度は25℃における測定値である。
<密度>
得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を、圧縮成型機を用いて90℃/10分間硬化させ、含水状態の試験片を得た。含水状態の試験片をオーブン中で200℃/4時間加熱し水を除去して、密度および硬さ測定用の試験片を得た。得られた試験片の密度をJIS K6268に準じて測定した。
<硬さ(Asker C)>
上記方法で得られた試験片の硬さをJIS K7312に規定されたタイプC硬さ試験機を用いた試験方法に準ずる方法で測定した。厚さ6mmの試験片を使用した。
<粘度>
得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物のせん断速度1s−1、10s−1、100s−1における25℃の粘度をレオメータ(TAインスツルメンツ社製アドバンスドレオメーターAR500)を用い、半径2cmの2°コーンプレートを用いて測定した。
<硬化特性>
得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の硬化特性をJIS K6300-2に規定されたダイ加硫試験A法に準じて70℃、30分間;90℃、15分間の2条件でキュラストメーターV型(株式会社オリエンテック製)を用いて測定した。それぞれの条件で検出された最大トルクを最大トルクとして、最大トルクの10%、50%、90%のトルクに到達する時間をT−10、T−50、T−90として測定した。
【0049】
<スキン層>
得られたスポンジ試験片をカミソリ刃で切断し、実体光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製デジタルマイクロスコープKH−7700)を用いてスキン層の厚みを測定し、同時にスキン層表面の平滑性を確認した。また、得られたスポンジ試験片の表面のスキン層を目視観察して、表面が平滑であるか確認し、断面の平滑性と表面の平滑性の両方が確認された場合を平滑と評価した。
<気泡状態>
得られたスポンジ試験片の断面を目視にて観察し、断面全体に渡って気泡状態が均一なものを均一と評価した。
<平均気泡サイズ>
得られたスポンジ試験片をカミソリ刃で切断した中心部分を実体光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製デジタルマイクロスコープKH−7700)を用いて倍率200倍で観察し、0.04mm面積当り(気泡の数は200〜300個程度)の気泡の直径を測定して平均(数平均)を求め平均気泡径を測定した。
【0050】
[調製例1]
粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン 100質量部、BET比表面積225m/gのフュームドシリカ 40質量部、ヘキサメチルジシラザン 7質量部、水 2質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%) 0.2質量部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、減圧下200℃で2時間加熱処理して流動性のあるシリカマスターバッチを調製した。
【0051】
[調製例2]
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%) 71.4質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、ノニオン系界面活性剤(ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、商品名:カオーホモテックスSP−200V、花王社製、HLB3.0) 0.1質量部、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 0.6質量部、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約4000ppm) 0.4質量部、および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物1を調製した。
【0052】
[調製例3]
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%) 57.3質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、動粘度63mm/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.70質量%) 13.1質量部、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 1.2質量部、硬化遅延剤としてエチニルシクロヘキサノール 0.03質量部、および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物2を調製した。
【0053】
[調整例4]
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%) 71.4質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を白金金属原子として0.4質量%含有する、軟化点が85℃である熱可塑性シリコーン樹脂からなる平均粒子径が1μmの微粒子状白金系触媒 1.8質量部および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物3を調製した。
【0054】
[調製例5]
スメクタイトクレー(有機ポリマー複合親水性精製ベントナイト(pH6.5)、(株)ホージュン製) 1質量部とイオン交換水 99質量部をホモミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と無機系増粘剤の混合物である組成物(c-1)を調製した。
【0055】
[実施例1〜4]
調製例2で調製した組成物1、調製例3で調製した組成物2、調整例4で調製した組成物3、および、調製例4で調製した組成物(c-1)を表1の配合比でデンタルミキサーに投入し、25℃で均一に混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物1〜4を調製した。得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の粘度と70℃および90℃での硬化特性を測定した。また、得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物1〜4をポリエステルフィルム上に厚さ6mmとなるように塗布し、60℃で1時間オーブン中で加熱し、さらに80℃で10分間加熱して、含水状態のシリコーン成型体を得た。得られた含水状態のシリコーン成型体を200℃で4時間加熱して水を除去してシリコーンゴムスポンジを得た。得られたシリコーンゴムスポンジの表面の平滑性を目視で確認し、厚さを測定し、次いで断面を観察して、スキン層の平滑性と厚さ、スポンジ層の気泡の均一性と気泡の平均直径を測定した。その結果を表1に示した。
【0056】
[実施例5、6]
調製例2で調製した組成物1、調製例3で調製した組成物2、調整例4で調製した組成物3、および、調製例4で調製した組成物(c-1)を表2の配合比でデンタルミキサーに投入し、25℃で均一に混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製した。得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物をポリエステルフィルム上に厚さ6mmとなるように塗布し、40℃で72時間オーブン中で加熱して、含水状態のシリコーン成型体を得た。得られた含水状態のシリコーン成型体を200℃で4時間加熱して水を除去してシリコーンゴムスポンジを得た。得られたシリコーンゴムスポンジの表面の平滑性を目視で確認し、厚さを測定し、次いで断面を観察し、スキン層の平滑性と厚さ、スポンジ層の気泡の均一性と気泡の平均直径を測定した。その結果を表2に示した。
【0057】
[実施例7〜10]
実施例1〜4で調製したシリコーンゴムスポンジ表面をアセトンで洗浄した後、それぞれのシリコーンゴムスポンジのスキン層上に、対応する実施例1〜4で調整したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物1〜4を厚さ6mmとなるように塗布し、60℃で1時間オーブン中で加熱、さらに80℃で10分間加熱して、含水状態のシリコーン成型体を形成した。得られた積層体を200℃で4時間加熱して水を除去してシリコーンゴムスポンジ積層体を得た。得られたシリコーンゴムスポンジ積層体は強固に一体化しており、剥離試験の結果は、シリコーンゴムスポンジ層の破壊であり、層間の剥離は認められなかった。
【0058】
[実施例11〜14]
実施例1〜4で調製したシリコーンゴムスポンジ表面をアセトンで洗浄した後、ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング株式会社製、DY35−1307A/B:硬さ15(JIS−A)、比重1.27)をそれぞれ厚さ2mmとなるように塗布し、オーブン中で150℃で1時間加熱して積層体を得た。得られたシリコーンゴム層とシリコーンゴムスポンジ層からなる積層体は強固に一体化しており、剥離試験の結果は、シリコーンゴムスポンジ層の破壊であり、層間の剥離は認められなかった。



























【0059】
【表1】
















【0060】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法によれば、表面に平滑なスキン層を有する連続気泡構造のシリコーンゴムスポンジを効率よく製造できるので、シリコーンゴム、シリコーンゴムスポンジ、他のエラストマーや熱可塑性樹脂、熱硬化性有機樹脂との積層体の製造に有用である。このような積層体は、電子写真複写機、レーザビームプリンター、オンデマンド印刷機、ファクシミリ等の画像形成装置に使用されるロールやベルトの弾性材料や、断熱材、吸音材、クッション、パッキン、ガスケット、パッドなどの高温下で使用されるスポンジ用途に好適に使用される。ロールやベルトとしては、現像ロール、加圧ロール、ヒートロールが例示される。特には、電子写真複写機、レーザビームプリンター、オンデマンド印刷機、ファクシミリ等の画像形成装置において、転写紙などの転写材上に転写されたトナー画像を加熱・加圧により定着させる定着部に用いられる定着用部材、特に定着用ロールやベルトに好適に使用することができる。
また、本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、電気導電性や熱伝導性を付与したシリコーンゴムスポンジの製造にも好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と無機系増粘剤からなる混合物と乳化剤とを含んでなり、せん断速度10s−1で測定された25℃における粘度がせん断速度100s−1で測定された25℃における粘度の1.5〜6.0倍であることを特徴とする、ヒドロシリル化反応硬化型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を25〜90℃に加熱して含水状態のシリコーンゴム成形体を得、次いで、100〜300℃に加熱してシリコーンゴム成形体から水を除去することを特徴とするシリコーンゴムスポンジの製造方法。
【請求項2】
無機系増粘剤がスメクタイトクレーであることを特徴とする請求項1記載のシリコーンゴムスポンジの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された製造方法で得られたシリコーンゴムスポンジ。
【請求項4】
基体上に、請求項1または請求項2に記載された製造方法で得られたシリコーンゴムスポンジが積層された積層体。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載された製造方法で得られたシリコーンゴムスポンジ上に第2の弾性体層が積層された積層体。
【請求項6】
第2の弾性体層が請求項1または請求項2に記載された製造方法で得られたシリコーンゴムスポンジである請求項5に記載の積層体。

【公開番号】特開2011−168728(P2011−168728A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35481(P2010−35481)
【出願日】平成22年2月21日(2010.2.21)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】