説明

シリコーン布地ケア剤を含む液体洗濯洗剤組成物

本発明は、洗浄用水性液体洗濯洗剤組成物とそれによって洗濯された布地への布地ケア効果の付与に関する。このような組成物は、(A)少なくとも1つの洗浄性界面活性剤、(B)窒素含有アミノ又はアンモニウム官能化ポリシロキサン及び窒素非含有非官能化ポリシロキサン類を含むシリコーンブレンドの液滴、及び(C)洗浄性酵素、移染抑制剤、蛍光増白剤、泡抑制剤、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤を含む。シリコーンブレンドの官能化ポリシロキサン成分は、比較的低い、すなわち30モル%未満の含有量の反応性/硬化性基、0.05重量%〜0.50重量%の範囲の窒素含有量及び0.00002m/s〜0.2m/sの範囲の粘度を有する。窒素非含有非官能化ポリシロキサン物質の粘度は、0.01m/秒〜2.0m/秒の範囲である。このような組成物は、コアセルベート相形成ポリマー類及び/又はカチオン性付着助剤を追加的に含まなくてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地ケア剤としての官能化シリコーン物質を含む液体洗濯洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が布地を洗濯する場合、優れた洗浄効果を望むだけではなく、洗濯方法での優れた布地ケア効果の付与も求める。そのような布地ケア効果は、しわ低減効果、しわ防止効果、しわ除去効果、布地柔軟化効果、布地感触改良効果、衣類形状保持効果、衣類形状回復効果、弾力性改善効果、アイロンがけ性向上効果、色ケア効果、耐磨耗効果、けば立ち防止効果、又はこれらの任意の組み合わせの1つ以上によって例示することができる。布地洗浄性能及び追加の布地ケア効果(例えば布地柔軟化効果)の両方を提供する洗剤組成物は、「一つ二役(2-in-1)」洗剤組成物及び/又は「洗いながら柔軟化する」組成物として知られている。
【0003】
液体洗剤組成物中のアニオン性洗浄性界面活性剤、及び多くのカチオン性布地ケア剤(例えば、第四級アンモニウム布地柔軟化剤類)の非相溶性により、洗剤業界は必ずしも性質上カチオン性でない布地ケア剤を利用する代替組成物を処方してきた。かかるタイプの代替布地ケア剤の1つは、シリコーン、すなわちポリシロキサンを主成分とする物質である。シリコーン物質は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のような非官能化タイプ及び官能化シリコーン類を含み、洗濯方法の洗浄サイクル中に布地上に沈着し得る。このように沈着したシリコーン物質は、それらが付着した布地に各種の利点を提供することができる。このような利点には、既に述べたものが含まれる。
【0004】
非官能化シリコーン類は洗剤と良好な相溶性を有しても、欠点がある。このような非官能化シリコーン類は、繊維材料に直接適用された場合に優れた布地ケア効果を実現することができるが、液体洗濯洗剤中では効果的に作用しないことが分かっている。この問題は複雑であり、界面活性剤の存在下での不適切な沈着、不十分な拡散、不適切なエマルション安定性及び他の要因を含む。このような非官能化物質が効果的に沈着しない場合、シリコーンの多くの部分が洗浄される布地、例えば、衣類の上に均等及び均一に沈着されるのではなく、洗浄の最後で配水管へ失われる。
【0005】
特に望ましい沈着及び布地質感(substantivity)の改善を提供できる特種なシリコーンの1つは、官能化、窒素含有シリコーン類を含む。ポリシロキサン鎖中のシリコーン原子の有機置換基が、1つ以上のアミノ及び/又は第四級アンモニウム成分を含む物質がある。この状況で、「アミノ」及び「アンモニウム」という用語は、最も一般的にはポリシロキサン鎖に共有結合した、又はポリシロキサン鎖中で共有結合した少なくとも1つの置換又は非置換のアミノ又はアンモニウム部分があり、該共有結合がSi−N結合以外であることを意味する。例えば、−[Si]−O−CR’−NR、−[Si]−O−CR’−NR−[Si]−OCR’−N、−[Si]−OCR’−NHR−[Si]−O−CR’−NHR−[Si]−CR’−NR等の部分で示され、ここで、−[Si]−は、ポリシロキサン鎖の1個のシリコーン原子を表す。布地ケア及び布地処理剤としてのアミノ及びアンモニウム官能化シリコーン類は、例えば、欧州特許出願第150,872号、同577,039号、同1,023,429号、同1,076,129号及びPCT国際公開特許WO02/018528に記載されている。
【0006】
この様な官能化、含窒素シリコーン類は、ある量及び程度の布地ケア効果を付与するために、他のものに含ませて、及びそれ自体として使用可能である。しかし、このような官能化シリコーン類はまた欠点も有する。例えば、それらが洗剤成分と化学的に反応可能であることが知られている。反応機構について十分に記載された文献は無いが、原理上はアミノ官能性基そのものの反応とともに、このような官能化ポリマー内に存在する硬化性基との反応も含む。安定性の問題を避けながら洗剤中に反応性又は硬化性シリコーン類をうまく含ませる技術は相反関係にある。種々の洗浄組成物中に、一方では、硬化性又は反応性部分を有することが望ましいことを示す文献が存在し、他方ではあらゆる反応性部分(ここでは、アンモニウム又はアミノ官能性基を含む)を避けることが望ましいことを示す文献が存在する。
【0007】
布地ケア剤として有用な官能化、含窒素シリコーン物質は、窒素置換されたアルコキシシラン類又はアルコキシシロキサン類を出発材料として調製することができる。(例えば、欧州特許出願第269,886号及び米国特許出願第6,093,841号を参照のこと。)このような調製は、出発材料の加水分解とそれに続く触媒平衡及び非官能化シロキサン類との縮合を含むことができる。含まれる方法及び使用される条件に応じて、結果として得られるアミノ又はアンモニウム官能化シリコーン類は、このような反応生成物物質中のシロキサン鎖のシリコーン原子上、特に、その末端シリコーン原子上に反応基を含む。このような反応基は、元々は出発物質のシラン及びシロキサン中に存在する−H、−OH及び−OR部分を含むことができる。従来技術の観点から、現在のところ、構造全体を予測すること、及び特にどの程度の反応基の量が安定で、効果的な布地ケア効果を提供する液体洗濯洗剤組成物に対応できるかを予測することはできない。しかし、製造上の理由から望ましいことが判明した上述の様な合成ルートが、改善された布地ケア洗剤の提供に適用することができるためには、この問題を解決することが極めて望ましい。
【0008】
官能化シリコーン最終生成物から反応基を除去する方法は、これらの最終生成物を「非反応性」にする働きがある。しかし、このような追加方法は、良好な液体洗剤布地ケア効果の性能と安定性のために必要最低限で実施するのが望ましく、さもなければこの方法は、無駄が多くコスト高となる。好ましい布地ケア液体洗濯洗剤を選択するための、シリコーン類の混和性ブレンドの正しい組成を、構造並びに窒素含有量及び反応基含有量等の要因の観点から決定する問題は、現在では解決されている。
【0009】
結果として得られる官能化シリコーン物質が、布地ケア剤として又はその一部として液体洗剤組成物内で使用された場合に、いかなる濃度の残留反応基が、問題を引き起こすかが現在では判明している。これらの反応基を含むシリコーン類の使用が積み重なると、官能化シリコーン類それ自体の非活性化及び/又は液体洗剤組成物の他の成分の非活性化を引き起こす。反応基を大量に含む官能化シリコーン類を液体洗剤中で使用すると、さらに液体洗剤生成物の保管中により大きな分子量の、より高粘度の、又は拡散不能のポリマー物質となり、このことは言い換えると布地ケア効果が直ちに又は保管中時間の経過とともに大きく減少したり、あるいは失われたりすることにもなる。
【0010】
このような問題は、液体洗濯洗剤生成物中で、ある種のアミノ及びアンモニウム官能化シリコーン物質を含むシリコーンブレンド好ましくは混和性シリコーン類の液滴を、ある種の非官能化ポリシロキサン類と組み合わせて使用することで、打ち消され又は最小化されるとの知見が得られている。使用されるアミノ及びアンモニウム官能化シリコーン類は、その中のある種の反応性部分の存在を最小化するような方法で調整されるものである。これらの選択したアミノ及びアンモニウム官能化シリコーン類は、またアミン及び/又はアンモニウム官能性部(窒素含有量で定量される)及びシリコーン濃度、及び好ましくは分子量について特定の比率を有する。理論に拘束されるものではないが、窒素含有量は基本的に官能化及び非官能化シリコーン類の混和性獲得能力と結びついており、2つのブレンドの組合せは相乗的に作用する。さらに、必要とされる反応基含有量は少量である必要があるが、ゼロである必要はない。これは、少なくともある程度は、官能化シリコーンを他の洗剤組成物成分との相互作用から保護するための非官能化シリコーンの能力に起因していると考えられている。更に、官能化及び非官能化シリコーン類を組み合わせて使用することで、布地上へのシリコーン物質の沈着を促進させるためのカチオン性付着助剤又はコアセルベート相形成ポリマーを含ませる必要が無い液体洗剤生成物を処方することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は多くの利点を提供する。第1に、優れた布地ケア効果、特に柔軟性及び操作性(handle)を有する改良された水性液体洗濯洗剤が得られる。第2に、シリコーンの浪費が回避される。第3に、より高価で複雑な官能化シリコーン類を適度な量で使用することができる。第4に、該組成物は安定であり、それらの意図する工業目的に効果的である。他の利点には、該組成物が白色の繊維材料を黄色に染めず、さらに、衣類に不均一に沈着したり外観が許容範囲以上に悪化したりすることもない点が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、そのような組成物を使用した洗浄及び洗濯された布地への布地ケア効果の付与に適した水性(例えば、4重量%以上の水を含む)液体洗濯洗剤組成物に関する。このような組成物は、
(A)アニオン性界面活性剤類、非イオン性界面活性剤類、双性イオン性界面活性剤類、両性界面活性剤類、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの洗浄性界面活性剤と、
(B)ここでブレンドが、アミノ及び/又はアンモニウム官能化ポリシロキサン類並びに窒素非含有非官能化ポリシロキサン類である、シリコーン物質のブレンドの液滴と、
(C)洗浄性酵素類、移染抑制剤類、蛍光増白剤類、泡抑制剤類、及びこれらの組み合わせより選択される少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤とを含む。
【0013】
使用される特種のアミノ及び/又はアンモニウム官能化ポリシロキサン物質は、調製される官能化ポリシロキサン物質内の硬化性/反応性基をそのまま残す方法によって調製されるものである。好ましくは、かかる方法は、前記官能化ポリシロキサン物質が、含窒素アルコキシシラン及び/又はアルコキシシロキサン出発材料の加水分解、並びにこれらの加水分解した出発材料の触媒平衡、及び縮合を含む。使用される方法の、結果として得られる官能化ポリシロキサン物質内の反応性/硬化性基を残す傾向にも関わらず、このような物質は更に、残留するこのような反応性/硬化性基の量を減少させ最少化させる方法で処理されなければならない。事実、使用されるアミノ及び/又はアンモニウム官能化ポリシロキサン物質は、30%未満の硬化性/反応性基含有シリコーン原子と反応性/硬化性基非含有末端シリコーン原子とのモル比を有していなければならない。ここで、官能化シリコーン類の合成は、硬化性/反応性基適正含有量に必ずなるようにされるが、それは理論的にはゼロであり得、より経済的には、少量及び許容量に維持されるゼロでない量であり得る。このようなアミノ及び/又はアンモニウム官能化ポリシロキサン物質は、更に0.05重量%〜0.5重量%の範囲の窒素含有量、及び20℃で0.00002m/秒〜2.0m/秒の範囲の粘度を有する。
【0014】
シリコーンブレンドの一部を形成する、窒素非含有非官能化ポリシロキサン物質は、0.01m/秒〜2.0m/秒の範囲の粘度を有する。それは、シリコーンブレンド内の官能化シロキサン類と非官能化シロキサン類の重量比が、100:1〜1:100になるような量で存在する。官能化シリコーン及び窒素非含有非官能化ポリシロキサン物質は、官能化シリコーンの窒素規定含有量にて好ましくは完全に混和性である。これは、該物質いずれか単独よりも布地ケア効果(例えば、皮膚への繊維材料の柔軟性又は感触)にとってより効果的な、結果として得られるブレンドの液滴となる。
【0015】
これらの組成物は、基本的にコアセルベート相形成ポリマーを含まない。同様に、このような組成物は、基本的にカチオン性付着助剤を含まない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本明細書の液体洗濯洗剤組成物の必須及び任意成分類は、組成物の形態、調製及び利用と共に、以下に詳細に記述される。本説明中、すべての濃度と比率は、特に記述しない限り、液体洗濯洗剤の重量を基準とするものである。本明細書のある種の組成物、例えば液体洗濯洗剤とは独立して調製したシリコーンエマルション類の百分率は、これらの組成物を作成するために組み合わされる全成分の重量に対する百分率である。窒素のような基本組成物の百分率(%N)は、言及されたシリコーンに対する重量百分率である。
【0017】
ポリマー類の分子量は、他で特に記述しない限り、数平均分子量である。粒径範囲は、粒径中央値の範囲である。例えば、0.1μm〜200μmの粒径範囲とは、0.1μmの下限、及び200μmの上限を有する粒径中央値のことを言う。粒径は、コールター社(Coulter Corporation)(米国フロリダ州マイアミ33196(Miami, Florida, 33196, USA))からのコールター(Coulter)LS230レーザー回折粒径分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyser)を使用して、レーザー散乱技術によって測定されることができる。
【0018】
粘度は、剪断速度21秒−1において、キャリメド社(Carrimed)CSL2レオメーターによって測定される。m/秒で表される粘度に、1,000,000を乗じて、センチストークス(cSt)での等価値を得ることができる。cStで表された粘度を1,000,000で除して、m/秒での等価値を得ることができる。さらに、運動粘度は下記換算を使って、絶対粘度に変換することができる。センチストークスで与えられる動粘度に密度(グラム/cm)を乗じて、センチポアズ(cp又はcps)での絶対粘度を得る。
【0019】
本明細書において引用されるすべての文献は、関連部分が、参考文献としてここに含まれる。いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを承認するものとして考慮されるべきではない。
【0020】
(A)界面活性剤
本組成物は、一必須成分として、アニオン性界面活性剤類、非イオン性界面活性剤類、双性イオン性界面活性剤類、両性界面活性剤類、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む。家庭の自動洗濯機で実施されるような通常の洗濯方法中の布地洗浄を実現するために通常使用される界面活性剤成分は、任意の濃度で使用することができる。好適な界面活性剤成分濃度は、組成物の5重量%〜80重量%、好ましくは7重量%〜65重量%、より好ましくは10重量%〜45重量%の範囲である。
【0021】
従来の洗濯洗剤組成物に用いられていることが知られているあらゆる洗浄性界面活性剤を本発明の組成物中に使用してよい。このような界面活性剤は、例えば「界面活性剤科学シリーズ(Surfactant Science Series)」(第7巻、W.M.リンフィールド(W. M. Linfield)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker編))に開示されているようなものを含む。本明細書の組成物中で用いるのに好適な、アニオン性、非イオン性、双性イオン性、両性又は混合界面活性剤類の非限定の例は、「乳化剤及び洗剤(Emulsifiers and Detergents)」(マカッチャン(McCutcheon)著、1989年、年報、M.C.出版社(M. C. Publishing Co.)刊)並びに米国特許第5,104,646号、同5,106,609号、同3,929,678号、同2,658,072号、同2,438,091号及び同2,528,378号に開示されている。
【0022】
本明細書中で有用な好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸類及びそれらの塩類、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質を含む。このような物質は、一般的に10〜18個の炭素原子をアルキル基中に含む。本明細書で使用される好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコシキレート非イオン性界面活性剤を含む。アルコールアルコキシレート類は、次の一般式に相当する物質である。
(C2mO)OH
(式中、RはC〜C16のアルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である。好ましくは、Rはアルキル基であり、第1級又は第2級であってもよく、約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含む。好ましくは、アルコキシル化脂肪族アルコール類も、1分子当たりに約2〜12個のエチレンオキシド部分、より好ましくは1分子当たりに約3〜10個のエチレンオキシド部分を含むエトキシル化物質である。)
【0023】
(B)シリコーン成分
本発明の組成物は、基本的にある種のシリコーン物質のブレンドの液滴を含む。このシリコーン物質のブレンドは、アミノ及び/又はアンモニウム基含有官能化ポリシロキサン物質、並びに窒素非含有非官能化ポリシロキサン物質の両方を含む。(本発明の説明のために、「ポリシロキサン」及び「シリコーン」なる用語は、本明細書中では同義的に用いられることができる。)
【0024】
シリコーンブレンド内で使用される官能化及び非官能化ポリシロキサン類の両方が、次の基から選択されるシロキシ単位から構成されている。
【化1】

(式中、R置換基は、互いに同一又は異なり得る有機遊離基を表す。)本発明で使用するアミノ又はアンモニウム基含有官能化ポリシロキサン類は、少なくとも1つのR基が基本的にアミノ又は第四級部分の形態での窒素を含み、所望により及び追加的にアミノ−アミドを形成するようにアミド部分の形態の窒素を含んでよい。本発明で使用する非官能化ポリシロキサン類は、どのR基もアミノ又は第四級アンモニウム部分の形態での窒素により置換されていない。
【0025】
各種ポリシロキサン類のR基は、これら各種ポリシロキサン物質について後述する追加の1つ以上の一般式でさらに詳細に定義するようなものに対応する。しかし、これらいくつかのシロキシ単位の種類のためのこれらの記号Q、T、D及びMは、官能化ポリシロキサン類の調製の説明において、これらの官能化物質内の反応基を極力簡略化するように使用される。これらの記号Q、T、D及びMは、これらの物質の調製のNMRモニタリング並びに反応基濃度の決定及び確定のためのNMR技術の使用の説明にも使用される。
【0026】
(b1)官能化ポリシロキサン:
本発明の目的では、官能化シリコーンは、SiO基の繰り返しを含み、各々直線、櫛状又は分岐構造を有する分子のポリマー混合物である。該分子は、シリコーン原子に直接結合していない少なくとも1個の窒素原子を含む官能性置換基を含む。本発明の組成物に用いるために選択される官能化シリコーン類は、アミノ官能化シリコーン類を含み、例えば、少なくとも1つの一級アミン、二級アミン又は三級アミンを含むシリコーン分子が存在する。四級化アミノ官能化シリコーン類、すなわち四級アンモニウムシリコーン類も、本発明の目的で官能化シリコーン類の定義に含まれる。アミノ基は、任意の公知の方法により変性されたり、妨害されたり又はブロックされたりすることができ、これにより例えば、物質に過剰の窒素が含有されている場合に、アミノシリコーン布地ケア剤により処理された布地が黄変するという既知の現象を防止、又は低減する。
【0027】
シリコーンブレンドの官能化シリコーン成分は、一般的には直鎖又は分枝鎖のポリシロキサン化合物であり、アミノ又はアンモニウム基を側基(すなわち、アミノ又はアンモニウム基が記号D又はTで表される一般式で表示される)、又は鎖末端(すなわち、アミノ又はアンモニウム基は記号Mで表される一般式で表示される)に含む。更に、このような官能化シリコーン類では、硬化性/反応性基含有シリコーン原子と硬化性/反応性基非含有末端シリコーン原子とのモル比、例えば、ヒドロキシ及びアルコキシ基含有シリコーン原子とヒドロキシ又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子とのモル比は、0%〜30%(すなわち0.3モル分率)以下である。これは、好ましい実施例において、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満の、少量ではあるがゼロではないレベルで含む。例えば、20重量%の濃度にて重水素化クロロホルムなどの溶媒中に溶解され、そのままの(希釈されておらず、処方されていない)官能化シリコーン上で同定される、かかる低量の反応基は、適切には、おおよそ実用的な分析検出閾値(核磁気共鳴)から30%以下である。
【0028】
本明細書での「ヒドロキシル及びアルコキシ基含有シリコーン原子」は、Si−OH又はSi−OR基を含むすべてのM、D、T及びQ基を意味する。(シリコーン原子上に−OH又は−OR置換基を含むD基は、一般的にポリシロキサン鎖の末端Si原子を含むことに注意されたい。)「ヒドロキシル又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子」とは、Si−OH又はSi−OR基を含まないすべてのM基を意味する。ヒドロキシル及びアルコキシ基含有シリコーン原子とヒドロキシル又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子のこのモル比は、便宜上本発明では、核磁気共鳴(NMR)分光法、好ましくはH−NMR及び29Si−NMR、特に好ましくは29Si−NMRによって同定される。本発明では、このヒドロキシル及びアルコキシ基含有シリコーン原子とヒドロキシル又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子とのモル比は、便宜上29Si−NMRの対応するシグナルの積分値の比である。
【0029】
本発明で使用するモル比は、例えば以下の式Bを有し、式中、R=メチル、アミノプロピル及びメトキシである官能化シリコーンの場合、以下で表されるシフトにてシグナル積分値(I)の比から決定することができる。
−11ppm(D−OH=(CH(HO)SiO−)、
−13ppm(D−OMe=(CH(CHO)SiO−)及び
7ppm(M=(CHSiO−)。
従って、比=(I−11ppm+I−13ppm)/I7ppm×100%。(本発明の目的のため、このモル比は、官能化シリコーン内の硬化性/反応性基の百分率含有量としての百分率として表現される。)
【0030】
他のアルコキシ基、例えば、エトキシ場合、29Si−NMRのシグナルがそれに応じて割り当てられ得る。NMR使用者は、異なった置換シロキシ単位に対して対応する化学シフトを容易に割り当てることができる。29Si−NMR法に加えて、H−NMR法を使用することも可能である。適切なNMRの条件、手順及び要因の一式は、以下の実施例でさらに説明する。赤外分光法も使用できる。
【0031】
本発明によれば、ヒドロキシル及びアルコキシ基含有シリコーン原子とヒドロキシル又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子とのモル比が20%未満であるだけでなく、反応基を有するすべてのシリコーン原子と反応性M基とのモル比が20%以下であることが更に好ましい。本発明との関係における限界値0%は、好ましくはシリコーン原子含有反応基がNMR分光法又は赤外分光法などの好適な分析法によっては、もはや検出できないことを意味する。反応基を有しないか、極めて限定されたレベルでそれを有する官能化シリコーン物質の調製の観点では、このような反応基を有しない化学構造の単なる表示を自動的には行わないことに注意されたい。むしろ、本発明で提供されているように、これらの物質の合成手順を採用することで、反応基含有量は実際には確実に規定レベルにしなければならない。
【0032】
本発明に関しては、非反応鎖で終端処理したM基は、本発明での洗剤処方環境では、形成される物質の分子量が結果として増加する共有結合を形成できない構造を示す。このような非反応性構造の場合、例えば、置換基Rは、所望によりN、O、S及びハロゲンで置換可能な、Si−Cに結合したアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル及びアリールラジカルを含む。置換基は、好ましくはメチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びエチルシクロヘキシルのようなC〜C12のアルキルラジカルである。
【0033】
本発明に関して、硬化性/反応性基を持つM、D、T及びQ構造体は、特にアミノ基又は第四級窒素部分非含有構造を意味し、表し、それは、本発明の洗剤処方環境では、共有結合を形成することができ、それにより増加した分子量の物質を生成できる。このような構造では、優勢な硬化性/反応性基は、述べた様にSi−OH及びSiOR単位であり、さらにまたエポキシ及び/又は≡SiH及び/又はアシルオキシシリル基、及び/又はSi−N−Cに結合したシリルアミン類及び/又はSi−N−Siに結合したシラザン類である。アルコキシ基含有シリコーン単位の例は、ラジカル:≡SiOCH、≡SiOCHCH、≡SiOCH(CH、≡SiOCHCHCHCH及び≡SiOCである。アシルオキシシリルラジカルの例は、≡SiOC(O)CHである。シリルアミン基として、≡SiN(H)CHCH=CHが、シラザン単位として≡SiN(H)Si(CHが、例として挙げられる。
【0034】
例えば、洗剤処方中に生じる上記硬化性/反応性基の主要な反応(この反応は、官能化シリコーンの分子量を望ましくない増加につながる)は、それに続く、もともと官能化シリコーン内には存在しない新しいSiOSi結合が形成される、縮合及び脱離である。あるいは、洗剤処方中に、例えば不揮発性ポリヒドロキシ化合物、ポリカルボキシ化合物又はその塩類、スルホン酸又はその塩類、モノアルキルサルフェート、モノアルキルエーテルサルフェート、カルボン酸又はその塩類及びカーボネート類と激しい相互作用が生じ、制御不能の反応又は上述の特にSi−OH及びSiOR基などの反応基との反応により、分子量が増加した物質が生成し、アミノシロキサンの配位が生じる。これは、本発明と関連して必須となる化学反応又は相互作用の的確な性質ではない。むしろ、反応性/硬化性基含有シリコーン原子と反応性/硬化性基非含有シリコーン原子とのモル比、すなわち、ヒドロキシル及びアルコキシ基含有シリコーン原子とヒドロキシル又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子とのモル比が、例えば相対的に長期間にわたって洗剤マトリックス内で特定の限界値より大きい場合には、生じるこれらの変化によって、アミノ及び/又はアンモニウムポリシロキサンによって提供される布地利益効果が減少するというのが事実である。
【0035】
本発明で使用され、必要量の反応基を有する官能化シリコーン類は、
(i)アルコキシシラン類又はアルコキシシロキサン類の加水分解と、
(ii)触媒平衡及び縮合と、
(iii)例えば、不活性ガスの流れのような共留剤による、反応系からの縮合生成物の除去と、
を含む方法により調製することができる。
【0036】
この加水分解/平衡併合方法を使用して、本明細書の官能化シリコーン類を例えば、一方では有機官能アルコキシシラン類又はアルコキシシロキサン類から、そして他方では非官能化アルコキシシラン類又はアルコキシシロキサン類から調製することができる。有機官能アルコキシシラン類又は非官能化アルコキシシラン類の代わりに、例えばアルキルアミノシラン類、アルキルシラザン類、アルキルカルボキシシラン類、クロロシラン類等のような加水分解性基をシリコーン上に有する他のシラン類を、加水分解/平衡併合方法に使用することができる。
【0037】
この調製手順に従って、アミノ官能アルコキシシラン類、水、M、D、T及びQ単位含有の対応シロキサン類並びに基本平衡触媒をまず最初に適切な比率と量で互いに混合することができる。次に、十分かつ一定に混合させながら、60℃〜230℃まで加熱する。アルコール類が、アルコキシシラン類から分離され、次に水が徐々に除去される。これら揮発性成分及び望ましくない反応基の大量の縮合の除去は、高温での反応手順の使用及び/又は真空の適用によって促進することができる。
【0038】
反応基、特に必要に応じて大量となる、シリコーン原子上のヒドロキシル基及びアルコキシ基の除去を進めるために、反応混合物から共留剤を用いて特に水とアルコール類のような蒸発性縮合生成物を除去することを含む、さらなる方法工程によりこれが可能になることが分かっている。官能化ポリシロキサンを調製するために本発明で利用可能な共留剤は、窒素のようなキャリアガス、低沸点溶媒、又はオリゴマー状態のシラン類、又はシロキサン類である。蒸発性縮合生成物の除去は、好ましくは平衡にならない共沸蒸留により実施される。これらの共沸蒸留に好適な共留剤は、例えば、標準圧力(1バール)下で約40〜200℃の沸点範囲の共留剤類を含む。ブタノール、ペンタノール及びヘキサノールなどの高級アルコール類、例えば塩化メチレン及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族化合物類、ヘキサメチルジシロキサン、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンなどのシロキサン類が好ましい。所望のアミノシロキサン類の調製は、NMR分光法又はFTIR分光法などの好適な方法により測定することができ、本発明の範囲内にある反応基の含有量が求められることにより終了する。
【0039】
この加水分解/平衡方法のある実施形態において、所望のアミノアルキルアルコキシシラン類は、前の反応において、ハロゲノアルキル、エポキシアルキル及びイソシアナトアルキルで官能化されたアルコキシシラン類から調製することができる。この手順は、必要となるアミノアルキルアルコキシシラン類が市販されていない場合にうまく利用できる。好適なハロゲノアルキルアルコキシシラン類の例は、クロロメチルメチルジメトキシシラン及びクロロプロピルメチルジメトキシシランであり、エポキシアルキルアルコシキシラン類の例は、グリシジルプロピルメチルジメトキシシランであり、イソシアネートで官能化されたシラン類の例は、イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン及びイソシアネートプロピルトリエトキシシランである。アミノ官能化合物への官能化も、シラン類又は平衡したシロキサン類の段階で実施することができる。
【0040】
アンモニア、又は一級、二級及び三級アミノ基を含む構造体は、アミノ官能化シラン類、及びシロキサン類の調製にて使用することができる。特に関心のあるジプライマリアミン類、ここで特に、1,6−ジアミノヘキサン及び1,12−ジアミノドデカンようなジプライマリアルキルアミン類、及びDとEDシリーズ(ハンツマン社(Huntsman Corp.))製ジャファミン(Jeffamine)(登録商標)のようなポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーをベースにしたジプライマリアミン類を使用できる。アミノエチルエタノールアミンのような一級−二級ジアミン類も更に好ましい。N,N−ジメチルプロピレンジアミンのような一級−三級ジアミン類もさらに好ましい。N−メチルピペラジン及びビス−(N,N−ジメチルプロピル)アミンのような二級−三級ジアミンは、好適なアミンのさらなるグループを表す。トリメチルアミン、N―メチルモルホリン及びN,N−ジメチルエタノールアミンのような第三級アミン類もまた好ましい。イミダゾール、N−メチルイミダゾール、アミノプロピルイミダゾール、アニリン及びN―メチルアニリンのような芳香族アミン類もまた有利に利用できる。合成が実施された後、これらのアミノアルキルアルコキシシラン類は前述の加水分解/平衡併合方法で使用される。
【0041】
該加水分解/平衡併合方法に代えて、2段階方法手順も引き続いて行うことができる。アミノ基を大量に含むシロキサン前駆体を、別個の第一工程で調製する。このシロキサン前駆体が、反応基、例えばシラノール及びアルコキシシラン基を実質的に含まないことが重要である。アミノ基を大量に含むこのシロキサン前駆体の合成は、既に述べた加水分解/縮合/平衡の概念を使用して実施される。比較的大量のアミノ官能アルコキシシラン、水及びM、D、T及びQ単位を含む比較的少量のシロキサン類、加えて基本平衡触媒を最初に適切な比率及び量にて互いに混合する。一定速度で完全に混合させながら、次に60℃〜230℃まで加熱し、アルコール類をアルコキシシラン類から分離し、次に水を前述の通り徐々に除去する。反応基を含むアミノ基を大量に含むこのシロキサン前駆体の組成は、滴定、NMR分光法、又はFTIR分光法などの好適な方法により決定できる。
【0042】
第二の、別個の平衡工程で、塩基又は酸触媒反応の下で、M,D,T及びQ単位を含むアミノ基、及びシロキサン類を大量に含むこのシロキサン前駆体から、実際の目的生成物が調製できる。反応基の最終含有量を最小化するという条件に従って、既に述べた様に高温、及び/又は真空下での共沸蒸留により、これを再実施することができる。この二段階法の主要な利点は、最終平衡が実質的に例えば水及びアルコール類の除去と一緒に進み、出発物質中の反応基の量が少なく既知であるということである。前述したアミノアルキルアルコキシシラン合成は、二段階合成と順次に実施することにより行うことができる。
【0043】
必要な比較的低含有量の反応性/硬化性基を有することに加えて、本発明で使用する官能化シリコーン類は、0.05%〜0.50%の範囲のアミン/アンモニウム官能性部(%)、すなわち窒素含有量又はNの重量%もまた有していなければならない。より好ましくは、窒素含有量は0.10%〜0.45%の範囲である。最も好ましくは、窒素含有量は0.3%〜0.4%の範囲である。窒素含有量は、直接的な元素分析又はNMRなどの従来からの分析技術により決定できる。
【0044】
特定の硬化性/反応性基および窒素含有量特性を持っていることに加えて、本発明で使用する官能化シリコーン物質にはさらに一定の粘性特性を有していなければならない。特に、本発明で使用する官能化ポリシロキサン物質は、0.00002m/s(20℃にて20センチストークス)〜0.2m/s(20℃にて200,000センチストークス)、好ましくは0.0015m/s(20℃にて1500センチストークス)〜0.1m/s(20℃にて100,000センチストークス)、より好ましくは0.002m/s(20℃にて2000センチストークス)〜0.01m/s(20℃にて10,000センチストークス)の粘度を有する。
【0045】
好ましい官能化シリコーン類は、さらに3.3E−21g〜1.7E−19g(2,000ダルトン〜100,000ダルトン)、好ましくは2.5E−20g〜8.3E−20g(15,000ダルトン〜50,000ダルトン)、最も好ましくは3.3E−20g〜6.6E−20g(20,000ダルトン〜40,000ダルトン)、最も好ましくは4.2E−20g〜5.8E−20g(25,000ダルトン〜35,000ダルトン)の範囲の分子量を有する。
【0046】
本発明の組成物に用いるのに好ましい官能化シリコーンの例としては、一般式(A)に合致するものが挙げられるが、これに限定されない:
【化2】

(式中、Gはフェニル又はC〜Cのアルキル、好ましくはメチル、aは0又は1〜3の値を有する整数、好ましくは0、bは、0、1又は2、好ましくは1、nは49〜1299、好ましくは100〜1000、より好ましくは150〜600の数字、mは1〜50、好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3の整数、n及びmの合計は50〜1300、好ましくは150〜600の数字であり、Rは、一般式C2qLに従う一価の遊離基であり、(式中、qは2〜8の値を有する整数であり、Lは以下の基から選択される):−N(R)CH−CH−N(R、−N(R、(式中、Rは水素、フェニル、ベンジル、ヒドロキシアルキル又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくはC〜C20のアルキルラジカルである。))
【0047】
式(A)に対応する好ましいアミノシリコーンを、次式(B)に示す:
【化3】

(式中、Rは独立してC〜Cのアルキル、ヒドロキシアルキル及びこれらの組み合わせより選ばれ、好ましくはメチルから選ばれる。また、式中、n及びmは既に定義されている。) 両R基がメチルの場合、上記ポリマーは「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られている。
【0048】
(b1)非官能化シリコーン:
本発明の目的のため、非官能化シリコーンは、SiO基並びに炭素、水素及び酸素を含む置換基を繰り返し含有するポリマーである。それ故、本発明の組成物での使用に選択される非官能化シリコーン類には、いかなる非イオン性、非架橋、窒素非含有、非環式シリコーンポリマーをも含む。
【0049】
好ましくは、該非官能化シリコーン類は、式(I)を有する非イオン性の窒素非含有シリコーンポリマーより選ばれる。
【化4】

(式中、Rは独立して、1〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基、2〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルケニル基、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、7〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル及びアリールアルケニル基及びこれらの組み合わせ、1〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基より成る群から選択され、2〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルケニル基、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、7〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、アリールアルキル、7〜20個の炭素原子を有するアリールアルケニル基で、式中、指標wは窒素非含有シリコーンポリマーの粘度が0.01m/S(20℃で10,000センチストークス)〜2.0m/秒(20℃で2,000,000センチストークス)、より好ましくは0.05m/秒(20℃で50,000センチストークス)〜1.0m/秒(20℃で1,000,000センチストークス)の間になるような値を有する。)
【0050】
より好ましくは、非官能化シリコーンは、式(I)を有し、Rはメチル、フェニル及びフェニルアルキル、最も好ましくはメチルの群の中より選ばれる、直鎖、非イオン性シリコーン類から選ばれる。
【0051】
式(I)の窒素非含有シリコーンポリマー類の非限定の例は、シリコーン(Silicone)200流体シリーズ(ダウ・コーニング社(Dow Corning))及びベイシロン(Baysilone)流体M600,000及び100,000(バイエル(Bayer)AG社)を含む。
【0052】
(b3)シリコーンブレンド
官能化及び非官能化シリコーン類のブレンドは、これら2種類のシリコーンを適切な所望の比率で単に一緒に混合することにより形成することができる。これら必須の2種類のシリコーン物質は、それらの組成物が本明細書で指定した通りである場合、好ましくは混和性液体である。次に、該シリコーンブレンドを攪拌しながらそのまま本明細書の洗剤組成物へ加えて、洗剤組成物内にシリコーンブレンドの液滴を形成することができる。
【0053】
一般に、シリコーンブレンド内の官能化ポリシロキサン物質と非官能化ポリシロキサン物質との重量比は、100:1〜1:100の範囲である。より好ましくは、該ブレンドは、官能化及び非官能化シリコーン類を1:25〜5:1、より好ましくは1:20〜1:1、最も好ましくは1:15〜1:2の重量比で含む。
【0054】
本明細書の洗剤組成物中で使用される官能化及び非官能化ポリシロキサン類のブレンドは、好ましくは「混和性」でもある。本発明の目的のため、このようなシリコーンブレンド類は100:1〜1:100の広範囲の重量比で混合した場合に、自由に混和して20℃にて相分離が無ければ、「混和性」である。
【0055】
液体洗剤内に液滴として存在するシリコーンブレンド類は、2種類の必須シリコーンを液体洗剤組成物の残部に加える前にそれらを混合するという多くの異なる方法で、液体洗剤組成物へ処方することができる。それらは「希釈せず」に混合してブレンドに形成され、より好ましくは、「シリコーンエマルション」としてシリコーンブレンドを液体洗剤中に加えることができる。本明細書の「シリコーンエマルション」は、他で明らかにされない限り、水とさらに他の乳化剤、殺生物剤、増粘剤、溶剤等の補助剤とブレンドされた必須シリコーンの組み合わせである。該シリコーンエマルションは安定であり得、この場合、洗剤工場での取り扱いに実用的に便利で、輸送に都合の良い有用な商品である。シリコーンエマルションは、不安定でもあり得る。例えば、ブレンドされたシリコーン類の一時的なシリコーンエマルションは、洗剤工場の希釈されていないシリコーンから造ることができ、そしてこの一時的なシリコーンエマルションは、次に本明細書中で指定された粒径を有する液滴の分散体になるように液体洗剤の残部と混合して、実質的に均一な結果にする。(液体洗剤中の成分の百分率について述べる場合、本明細書中では、変換は組成物の「シリコーンブレンド」部分の必須シリコーン類のみを問題にし、すべてのマイナー成分、例えば乳化剤類、殺生物剤類、溶剤類等は、処方の非シリコーン成分レベルと併せて説明される。)
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、シリコーンブレンドは水及び乳化剤と乳化され、洗剤組成物の別個の成分として使用できるエマルションを形成する。このような予備形成された水中油型エマルションは、他の成分に追加されることができ、本発明の最終液体洗濯洗剤組成物が形成される。
【0057】
シリコーンブレンドと乳化剤の重量比は、一般的には500:1〜1:50の間、より好ましくは200:1〜1:1の間、最も好ましくは2:1を超える。水中油型エマルション内のシリコーンブレンドの濃度は、一般的にはエマルションの5重量%〜60重量%、より好ましくはエマルションの35重量%〜50重量%である。シリコーン製造設備から液体洗剤製造設備への輸送に便利な好ましいシリコーンブレンドエマルションは、典型的に水、乳化剤及び細菌発育阻止剤のようなマイナー成分の好適な輸送ブレンドの残部とともに、これらの量のシリコーンを含む。このような組成物内のシリコーンブレンドと水との重量比は、一般的に1:50〜10:1の範囲内にあり、より好ましくは1:10〜1:1である。
【0058】
本発明の他の全成分と化学的及び物理的に相溶するあらゆる乳化剤が、ここでの使用に適しており、一般的に乳化剤は広範囲のHLB、例えば1〜100のHLBを有することができる。典型的に、乳化剤のHLBは2〜20の範囲内である。カチオン性乳化剤類、非イオン性乳化剤類及びその混合物は、本明細書中で有用である。乳化剤類は、さらにシリコーン乳化剤類又は非シリコーン乳化剤類でもよい。有用な乳化剤類は、さらに2及び3成分の乳化剤混合物を含む。本発明は、2つの乳化剤又は3つの乳化剤が追加され、シリコーンブレンドを形成する実施形態を含む。
【0059】
非イオン性乳化剤:
本明細書に用いるのに好適な非イオン性乳化剤の1つは、「一般的な」ポリエーテルアルキル非イオン性物質を含む。これらは、ネオドール(Neodol)23−5(シェル社(Shell)から)及びスロバゾール(Slovasol)458(サゾール社(Sasol)から)のようなアルコールエトキシレート類を含む。その他の好適な非イオン性乳化剤としては、米国特許第4,565,647号(レナド(Llenado)、1986年1月21日発行)に開示されているもののような、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子、より好ましくは10〜12個の炭素原子を含有する疎水性基及び多糖類、例えば、1.3〜10、好ましくは1.3〜3、最も好ましくは1.3〜2.7の糖単位を含有するポリグリコシド親水性基を有するアルキルポリグルコシド系の乳化剤が挙げられる。5〜6個の炭素原子を有する任意の還元糖、例えばグルコース、ガラクトース及びガラクトシル部分は、グルコシル部分に代えて使用することができる(所望により、疎水基が2、3、4等の位置に結合され、グルコシド又はガラクトシドとは対照的にグルコース又はガラクトースに位置づけする)。糖間結合は、例えば追加の糖単位のある位置と元の糖単位上の2、3、4及び/又は6の位置の間にあり得る。
【0060】
好ましいアルキルポリグリコシド類は、次式を有する。
O(C2nO)(グリコシル)
(式中、Rは、アルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニル及びこれらの組み合わせの群の中より選ばれ、アルキル基は6〜30個、好ましくは8〜16個、より好ましくは10〜12個の炭素原子を有し、nは2又は3、好ましくは2であり、tは0〜10、好ましくは0、xは1.3〜10、好ましくは1.3〜3、最も好ましくは1.3〜2.7である。)グリコシルは、好ましくはグルコースから誘導される。これらの化合物を調製するには、初めにアルコール又はアルキルポリエトキシアルコールが形成され、次にグルコース又はグルコース源と反応させて、グルコシドを形成する(1位で結合)。次いで追加グリコシル単位をそれらの1位と、先行するグリコシル単位の2、3、4及び/又は6位、好ましくは主に2位との間で結合させることができる。この種の化合物及び洗剤中でのこの種の化合物の使用は、欧州特許公報第0070077号、同0075996号、同0094118号、及びPCT国際公開特許WO98/00498に開示されている。
【0061】
シリコーンブレンドエマルションを作るために有用な非イオン性乳化剤の他の種類は、ソルビタンエステル類(例えば、スパン(Span)80(ユニケマ社(Uniqema)より)、クリル(Crill)4(クローダ社(Croda)より))及びエトキシル化ソルビタンエステル類のような他のポリオール界面活性剤を含む。ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、Myrj59(ユニケマ社(Uniqema)より))及びエトキシル化グリセロールエステル類も脂肪族アミド類/アミン類、及びエトキシル化脂肪族アミド類/アミン類として使用してよい。
【0062】
カチオン性乳化剤:
本発明のシリコーンブレンド内で用いるのに好適なカチオン性乳化剤類は、少なくとも1つの四級窒素、及び1つの長鎖ヒドロカルビル基を有する。2個、3個又は4個の長鎖ヒドロカルビル基を含む化合物類もまた含まれている。このようなカチオン性乳化剤の例は、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、又はそれらのヒドロキシアルキル置換類似化合物、好ましくは、式、Rを有する化合物を含む。R、R、R及びRは、C〜C26のアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ベンジル、アルキルベンジル、アルケニルベンジル、ベンジルアルキル、ベンジルアルケニルから独立して選択され、Xは、アニオンである。ヒドロカルビル基R、R、R及びRは、独立して、一般式(CO)Hの基(式中、xは1〜15、好ましくは2〜5の値を有する)によって、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化又はプロポキシル化、より好ましくはエトキシル化することができる。R、R又はRの1つ以下が、ベンジルであるべきである。ヒドロカルビル基R、R、R及びRは、独立して、1つ以上の、好ましくは2つのエステル基([−O−C(O)−]、[−C(O)−O−])及び/又はアミド基([O−N(R)−]、[−N(R)−O−])(式中、Rは、上記のRとして定義される)を含むことができる。アニオンXは、ハロゲン化物、メチルスルフェート、アセテート、及びリン酸塩、好ましくはハロゲン化物及びメチルスルフェート、より好ましくは塩化物及び臭化物から選ばれてよい。R、R、R及びRヒドロカルビル鎖は、様々なヨウ素価、好ましくは0〜140のヨウ素価で、完全に飽和される又は不飽和であることができる。各長鎖アルキル又はアルケニル基の少なくとも50%は、主に直鎖であるが、分枝鎖及び/又は環状の基も含まれる。
【0063】
ヒドロカルビル長鎖を1つのみ含むカチオン性乳化剤の場合、Rに好ましいアルキル鎖長は、C12〜C15であり、R、R及びRに好ましい基は、メチル及びヒドロキシエチルである。
【0064】
2つ若しくは3つ、又は更には4つのヒドロカルビル長鎖を含むカチオン性乳化剤に対し、好ましい全体の鎖長はC18であるが、短鎖の、例えばC12、C14、C16及びもう少し長鎖の、例えばC20の鎖を0でない割合で有する鎖長の組み合わせが非常に望ましい場合もある。
【0065】
好ましいエステル含有乳化剤は、次の一般式を有する:
{(RN((CHER
(式中、各R基は独立して、C1〜4のアルキル、ヒドロキシアルキル又はC2〜4のアルケニルから選ばれ、各Rは独立してC8〜28のアルキル又はアルケニル基から選ばれ、Eはエステル部分、すなわち−OC(O)−又は−C(O)O−であり、nは0〜5の整数であり、Xは好適なアニオン、例えば塩化物、メトサルフェート及びこれらの組み合わせである。)
【0066】
好ましいエステル含有カチオン性乳化剤の第2の種類は、式:{(RN(CHCH(O(O)CR)CHO(O)CRによって表すことができる(式中、R、R、X及びnは、上記のように定義される)。この後者の部類は、1,2−ビス[硬化タローオイルオキシ]−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリドによって例示することができる。
【0067】
本発明のブレンド内で使用するのに適したカチオン性乳化剤は、水溶性、水分散性又は非水溶性のいずれかであることができる。
【0068】
シリコーン乳化剤:
本明細書中で有用なシリコーン乳化剤類は、非イオン性であり、窒素を全く含まず、前述のどの非官能化シリコーン類も含まない。シリコーン乳化剤類の例は、「シリコーン界面活性剤(Silicone Surfactants)」(界面活性剤科学シリーズ(Surfactant Science Series)、第86巻、ランダル M.ヒル(Randal M. Hill)編、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)社、ニューヨーク、1999年刊)に記載されている。特に、第2章、「シリコーンポリエーテルコポリマー:合成方法及び化学的組成物(Silicone Polyether Copolymers:Synthetic Methods and Chemical Compositions)」並びに第1章、「シロキサン界面活性剤(Siloxane Surfactants)」を参照のこと。
【0069】
特に好適なシリコーン乳化剤類は、前述の化学構造式Iを有するものに対応するポリアルコキシル化シリコーン類であり、式中、Rは前述した定義及び一般式(II)を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基から選択される。
−(CHO(CO)(CO) (II)
(式中、少なくとも1つのRは、ポリ(エチレンオキシ/プロピレンオキシ)コポリマー基のようなものであり、各Rは独立して水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル及びアセチル基から成る群より選択され、指標wは結果として得られるシリコーン乳化剤の粘度が、0.00002m/秒〜0.2m/秒になるような値を有する。)
【0070】
乳化剤希釈剤:
乳化剤は、シリコーンブレンドの乳化前に、所望により溶媒又は溶媒系によって希釈されてもよい。典型的には、希釈された乳化剤は、予備形成されたシリコーンブレンドに加えられる。好適な溶媒は、水性又は非水性であることができ、水のみ又は有機溶媒のみ及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましい有機溶媒は、一価アルコール類、二価アルコール類、多価アルコール類、エーテル類、アルコキシル化エーテル類、環状ジメチルシロキサン類のような低粘度シリコーン含有溶媒、及びこれらの組み合わせを含む。好ましいものは、グリセロール、グリコール類、ポリアルキレングリコールのようなポリアルキレングリコール類、ジアルキレングリコールモノC〜Cのエーテル類、及びこれらの組み合わせである。さらにより好ましいものは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの組み合わせである。極めて好ましいのは、溶媒の組み合わせ、特にエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールのような低級脂肪族アルコール類及び/又は1,2−プロパンジオール、又は1,3−プロパンジオールのようなジオール類、又はこれらの組み合わせとジアルキレングリコールモノC〜Cのエーテル類、及び/又はグリコール類、及び/又は水との組み合わせである。好適な一価アルコール類は、特にC〜Cのアルコール類を含む。
【0071】
(b4)洗剤組成物内のシリコーンブレンド
前述の通りシリコーンブレンドは、一般的に液体洗剤組成物の0.05重量%〜10重量%からなる。より好ましくは、該シリコーンブレンドは、液体洗剤組成物の0.1重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.25重量%〜3.0重量%、最も好ましくは0.5重量%〜2.0重量%からなる。シリコーンブレンドは、一般に他の液体洗剤組成物成分の一部又は全部へ攪拌しながら追加し、ブレンドをその中に分散させる。
【0072】
本明細書の液体洗剤組成物内には、追加された乳化剤が存在又は不存在のシリコーンブレンドが液滴の形態で存在する。洗剤組成物内、及びシリコーンブレンドから形成されたエマルション内では、このような液滴は一般的に0.5μm〜300μm、より好ましくは0.5μm〜100μm、及びより好ましくは0.6μm〜50μmのシリコーン粒径中央値を有する。前述のとおり、粒径は、コールター社(Coulter Corporation)(米国フロリダ州マイアミ33196(Miami,Florida,33196,USA))からのコールター(Coulter)LS230レーザー回折粒径分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyser)を使用して、レーザー散乱技術によって測定されることができる。粒径は、粒径の中央値を計算して、体積加重%モードで測定される。別の粒径測定方法は、ニコン社(Nikon)(登録商標)(日本、東京都)が製造した顕微鏡、型式ニコン(Nikon)(登録商標)E−1000(倍率700倍)を使用した、顕微鏡によるものである。
【0073】
(C)水性塩基及び非シリコーン洗濯補助剤
本発明の液体洗剤組成物は、洗浄性酵素、移染抑制剤、蛍光増白剤、泡抑制剤、及びこれらの組み合わせより選ばれる追加の非シリコーン洗濯補助剤に加えて、水を含まなければならない。
【0074】
(c1)水
本明細書の液体洗剤組成物は、本来水性である。従って、本明細書の洗剤組成物は、少なくとも4重量%の水を含む。より好ましくはこのような組成物は、少なくとも20重量%の水、更に一層好ましくは少なくとも50重量%の水を含む。
【0075】
(c2)酵素
洗濯補助剤は、1つ以上の洗浄性酵素も含んでよい。本明細書に用いるのに好適な洗浄性酵素としては、バチルスからのサブチリシン類のようなプロテアーゼ類(例えば、サブチリス、レンタス、リケニフォルミス、アミロリケファシエンス(BPN、BPN’)、アルカロフィラス(alcalophilus))、例えばエスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、エバラーゼ(Everlase)(登録商標)、及びサビナーゼ(Savinase)(登録商標)(ノボザイムズ(Novozymes))、BLAP、及び変異型(ヘンケル(Henkel))が挙げられる。プロテアーゼ類については、欧州特許第130756号、PCT国際公開特許WO91/06637、同WO95/10591、及び同WO99/20276にさらに開示されている。アミラーゼ類(α及び/又はβ)は、PCT国際公開特許WO94/02597及び同WO96/23873に開示されている。市販品の例は、ピュラフェクトOxAm(Purafect Ox Am)(登録商標)(ジェネンコア社(Genencor))、並びにターマミル(Termamyl)(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)、及びデュラミル(Duramyl)(登録商標)(すべてノボザイムズ社(Novozymes)より)である。セルラーゼ類としては、細菌性又は真菌性セルラーゼ類、たとえばヒュミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)により生成されるもの、特にDSM1800、例えば50Kda、及び43kD(ケアザイム(Carezyme)(登録商標))が挙げられる。同じく好適なセルラーゼ類は、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)からのEGIIIセルラーゼである。好適なリパーゼ類には、シュードモナス(Pseudomonas)及びクロモバクター(Chromobacter)群によって産生されるものが挙げられる。好ましいのは、例えば、ノボザイムズ社(Novozymes)からのリポラーゼ(登録商標)、リポラーゼウルトラ(登録商標)、リポプライム(登録商標)及びリペックス(登録商標)である。クチナーゼ類[EC3.1.1.50]、及びエステラーゼ類も好適である。カルボヒドラーゼ類、例えば、マンナン分解酵素(米国特許第6060299号)、ペクテートリアーゼ(PCT国際公開特許WO99/27083)、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(PCT国際公開特許WO96/33267)、キシログルカナーゼ(PCT国際公開特許WO99/02663)。最終的にエンハンサーと共に用いられる漂白酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、オキシゲナーゼ類(例えば、カテコール、1,2−ジオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ(PCT国際公開特許WO95/26393)、(非ヘム)ハロペルオキシダーゼ類が挙げられる。
【0076】
洗剤組成物における性能を最適化するためにタンパク質/遺伝工学技術を介して野生型酵素を変性させることは、一般的な方法である。使用される時、これらの酵素は通常、純酵素(組成物の重量%)の0.0001重量%〜2.0重量%、好ましくは0.0001重量%〜0.5重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の濃度で存在する。
【0077】
酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物類、ホウ素化合物類及び置換ホウ酸類、芳香族ホウ酸エステル類、ペプチド類、及びペプチド誘導体類、ポリオール類、低分子量カルボキシレート類、比較的疎水性の有機化合物類[例えば特定のエステル類、ジアルキルグリコールエーテル類、アルコール類又はアルコールアルコキシレート類]、カルシウムイオン源に追加したアルキルエーテルカルボキシレート、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低級脂肪族アルコール類及びカルボン酸類、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩類、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びPEG、リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸、又はその塩類、ポリヘキサメチレンビグアニド、又はN,N−ビス−3−アミノプロピルドデシルアミン若しくは塩、並びにこれらの組み合わせのようないかなる既知の安定剤系も使用して安定化できる。
【0078】
本発明の組成物の液体マトリクス内では、第2酵素類のタンパク質分解酵素による分解は、プロテアーゼ可逆的阻害物質類(例えば、ペプチド又はタンパク質型、特にIV族変性サブチリシン阻害物質、及びプラスミノストレピン、ロイペプチン、ペプチドトリフルオロメチルケトン類、ペプチドアルデヒド類)によって避けることができる。
【0079】
(c3)移染抑制剤
洗濯補助剤は、1つの布地から別の布地への染料の移動の抑制に有効な1つ以上の物質も含んでよい。一般的に、このような移染抑制剤は、ポリビニルピロリドンポリマー類、ポリアミンN−オキシドポリマー類、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー類、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ類、及びこれらの組み合わせを含む。使用される場合、これらの試剤類は典型的には、組成物の0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.05重量%〜2重量%の濃度で存在する。
【0080】
より具体的には、本明細書に用いるのに好ましいポリアミンN−オキシドポリマー類は、次の構造式を有する単位を含有する:R−A−Z(式中、ZはN−O基が結合できる、又は該N−O基が重合可能単位の一部を形成できる、又は該N−O基が両方の単位に結合できる重合可能単位であり、Aは次の構造の1つである:−NC(O)−、−C(O)O−、−S−、−O−、−N=、xは0又は1であり、Rは、N−O基の窒素が結合できる、又はN−O基がこれらの基の一部である、脂肪族、エトキシル化脂肪族類、芳香族類、複素環式若しくは脂環式基又はこれらのいずれかの組み合わせである。)好ましいポリアミンN−オキシド類は、Rがピリジン、ピロール、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、及びそれらの誘導体類のような複素環基であるものである。
【0081】
N−O基は、次の一般的構造で表される。
【化5】

(式中、R、R、Rは脂肪族、芳香族、複素環式若しくは脂環式基又はこれらの組み合わせであり、x、y及びzは0又は1であり、N−O基の窒素は前記の基のいずれかに結合する、又はその一部を形成することができる。)ポリアミンN−オキシド類のアミンオキシド単位は、pKa<10、好ましくはpKa<7、より好ましくはpKa<6を有する。
【0082】
形成されるアミンオキシドポリマーが水溶性であり、移染阻害特性を有する限り、いかなるポリマー主鎖も使用することができる。好適なポリマー主鎖の例は、ポリビニル類、ポリアルキレン類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリアクリレート類、及びこれらの組み合わせである。これらのポリマー類は、ひとつのモノマーの種類がアミンN−オキシドであり、他の種類のモノマーがN−オキシドである、ランダム又はブロックコポリマーを含む。アミンN−オキシドポリマー類は、典型的には10:1〜1:1,000,000のアミンとアミンN−オキシドとの比を有する。しかし、ポリアミンオキシドポリマー内に存在するアミンオキシド基の数は、適切な共重合又は適切なN−酸化の程度によって変化することができる。ポリアミンオキシド類は、ほとんどどの重合度でも得ることができる。典型的には、平均分子量は、500〜1,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、最も好ましくは5,000〜100,000の範囲内である。この好ましい一群の物質は、「PVNO」と呼ぶことができる。
【0083】
本発明の組成物内及び本明細書の家庭内での洗濯を実施するための方法において有益な、最も好ましいポリアミンN−オキシドは、平均分子量50,000及びアミンとアミンN−オキシドとの比1:4を持つポリ(4−ビニルピリジン−N−オキシド)である。
【0084】
N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールポリマー類のコポリマー類(「PVPVI」類と呼ばれる)も本明細書に用いるのに好ましい。好ましくは、該PVPVIは、5,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜200,000、最も好ましくは10,000〜20,000の平均分子量を有する。(平均分子量範囲は、本明細書に参考として組み込まれる、「現代的ポリマーキャラクタライゼイション手法(Modern Methods of Polymer Characterization)」(化学分析(Chemical Analysis)(バース(Barth)ら、第113巻))に記載されている光散乱により決定される。PVPVIコポリマーは、典型的には1:1〜0.2:1、より好ましくは0.8:1〜0.3:1、最も好ましくは0.6:1〜0.4:1のN−ビニルイミダゾールとN−ビニルピロリドンとのモル比を有する。PVPVIコポリマー類は、典型的にはN−ビニルイミダゾールとN−ビニルピロリドンとのモル比が1:1〜0.2:1、より好ましくは0.8:1〜0.3:1、最も好ましくは0.6:1〜0.4:1。 これらのコポリマーは、直鎖又は分枝鎖であり得る。
【0085】
本発明の組成物は、5,000〜400,000、好ましくは5,000〜200,000、より好ましくは5,000〜50,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(「PVP」)も使用してよい。PVPは、洗剤分野の当業者に公知である(例えば、欧州特許出願第262,897号及び同第256,696号を参照のこと)。PVP含有組成物は、500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(「PEG」)も含むことができる。好ましくは、洗浄溶液中で使用されるppm基準でのPEGとPVPとの比は、2:1〜50:1、より好ましくは3:1〜10:1である。
【0086】
(c4)蛍光増白剤
本明細書の組成物は、0.01重量%〜2.0重量%の蛍光増白剤を含んでよい。好適な蛍光増白剤は、スチルベン光沢剤を含む。スチルベン光沢剤は、アルキレン鎖によって分離された2個のアリール基を持つ芳香族化合物類である。蛍光増白剤は、米国特許第4,309,316号、同第4,298,490号、同5,035,825号及び同5,776,878号にてより詳細に開示されている。
【0087】
(c5)泡抑制剤
組成物は、組成物の0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の量で存在する泡抑制系を含んでよい。本明細書で使用されるのに好適な泡抑制系は、シリコーン系消泡化合物類及び2−アルキルアルカノール消泡化合物類を含めた、任意の公知の消泡化合物を含んでもよい。好ましいシリコーン消泡化合物類は、一般的にシリカと配合され、シロキサン類、特にトリメチルシリル末端ブロック単位を有するポリジメチルシロキサン類を含む。他の好適な消泡剤化合物類は、モノカルボン脂肪酸類、及びその可溶性塩類が含まれ、これらは米国特許第2,954,347号に開示されている。好ましい粒子状泡抑制系は、欧州特許出願第0210731号に開示されている。好ましい粒子状泡抑制系は、欧州特許出願第0210721号に開示されている。
【0088】
(D)除外された/最少化されたコアセルベート相形成ポリマー又はカチオン性付着助剤
本発明の液体洗濯洗剤組成物は、いかなるコアセルベート相形成ポリマー及びカチオン性付着助剤も本質的に含んではならない。本質的に含まないとは、組成物の0.01重量%未満、好ましくは0.005重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満を意味し、最も好ましくはコアセルベート相形成ポリマー、及びいかなるカチオン性付着助剤も完全に、又は全く含まないことを意味する。
【0089】
本発明の目的のため、コアセルベート相形成ポリマーは、いかなる組成物成分とも反応、相互作用、錯体の形成、又はコアセルベートを形成して、コアセルベート相を形成する任意のポリマー物質である。用語「コアセルベート相」は、例えば、「アドバンスト コロイド インターフェース サイエンス(Adv.Colloid Interface Sci.)」(L.ピクレル(L. Piculell)、B.リンドマン(B. Lindman)著、第41巻、1992年刊)及び「水溶液中の界面活性剤類及びポリマー類」(B.ジョンソン(B. Jonsson)、B.リンドマン(B. Lindman)、K.ホルムベルグ(Holmberg)及びB.クロンバーブ(B. Kronberb)著、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley&Sons Ltd)、1998年刊)に開示されているような分野の当業者に公知の別個のポリマー相のすべての種類を含む。コアセルベーションの仕組み及びすべてのその特定の形態については、「水性媒体中の界面張力(Interfacial Forces in Aqueous Media)」(C.J.バン オス(C.J. van Oss)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)著、1994年刊、245〜271頁)に詳細に記載されている。「コアセルベート相」なる用語を使用する場合には、このような用語はしばしば文字通り「複合コアセルベート相(complex coacervate phase)」又は「関連相分離(associated phase separation)」とも呼ばれることが理解されよう。
【0090】
さらに本発明の目的のため、カチオン性付着助剤は、カチオン性、官能性置換基を有し、洗濯操作の間に布地上への1つ以上の布地ケア剤の沈着を高め又は促進する働きをするポリマーである。すべてではないが、多くのカチオン性付着助剤は、コアセルベート相形成ポリマー類でもある。陽イオン性付着助剤がコアセルベートを形成してもしなくても、又はコアセルベート相形成ポリマーが付着助剤として作用してもしなくても、これらの2つのポリマー種のいずれも本発明の洗剤組成物中に多量に存在することはできない。
【0091】
(E)他の任意的な組成物成分
本発明の組成物は、液体キャリア、シトレート、及び脂肪酸塩類のような有機カルボキシレートビルダー類を含む洗剤ビルダー類及びキレート剤、硬化ヒマシ油及びその誘導体類のような安定剤及び構造体(structurants)、連結剤(coupling agent)、布地直接香料(fabric substantive perfumes)、カチオン性窒素含有洗浄性界面活性剤、プロ香料、漂白剤、漂白活性化剤類、漂白触媒、酵素安定化系、汚れ放出ポリマー類、水溶性ポリアクリレート類、アクリレート/マレエートコポリマー類等を含む、分散剤類又は高分子有機ビルダー類、染料、着色剤、硫酸ナトリウムのような充填剤塩類、トルエンスルホネート類、クメンスルホネート類、及びナフタレンスルホネート類のようなヒドロトロープ類、光活性化物類、加水分解型界面活性剤類、防腐剤類、酸化防止剤類、収縮防止剤類、しわ防止剤類、殺菌剤類、殺真菌剤類、色スペックル類、着色ビーズ類、球状物類又は押出品類、日焼け止め剤類、フッ素化化合物類、粘土類、パールエッセンス剤類、発光剤類又は化学発光剤類、腐食防止剤及び/又は器具保護剤類、アルカリ性供給源類又はその他のpH調整剤類、可溶化剤類、担体類、加工助剤類、顔料類、フリーラジカルスカベンジャー類、並びにpH制御剤類のような1つ以上の任意の組成物成分を任意に含んでもよい。好適な物質としては、米国特許第5,705,464号、同5,710,115号、5,698,504号、5,695,679号、5,686,014号及び同5,646,101号に記載されているようなものが挙げられる。
【0092】
(F)液体洗剤組成物の製造方法
本発明の液体洗剤組成物は、当業者に既知の任意の好適な方法により調製することができ、また一般に結合又は追加の順番は任意でよい。述べたように、シリコーンブレンドは一般的に予備形成され、次に液体洗剤成分の残部に追加される。
【実施例】
【0093】
以下の非限定的な例は、本発明を例示するものである。
【0094】
最終的な液体洗濯洗剤組成物は、予備形成されたシリコーンブレンド(これは任意に乳化剤で乳化される)と、少なくとも1つの界面活性剤及び更に少なくとも1つの追加の必要な非シリコーン洗濯補助剤とを組み合わせることによって配合される。界面活性剤及び洗濯補助剤は、所望により、任意に乳化され、予備形成されたシリコーンブレンドと組み合わせる前に所望により事前に混合してよい。
【表1】

(1)マーリパル(Marlipal)1415/8.1(サゾール社(Sasol)より)
(2)ネオドール(Neodol) 23−9(シェル社(Shell)より)
(3)C12〜C14のアルキルジメチルアミンオキシド(プロクター・アンド・ギャンブル社(P&G)より)、31%活性水溶液として供給
【0095】
シリコーンブレンド用アミノポリシロキサンの調製
1)アミノ基を大量に含む前駆体の調製
アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン1,003.3g(3.86モル)、組成物M2D25のシロキサン1,968g及びKOH10%強度メタノール溶液29.7gを四首フラスコ内にて、室温で撹拌させながら互いに混合する。脱イオン水139g(7.72モル)を滴加し、濁った混合物にし、温度を46℃まで上げる。3時間かけて温度を125℃まで徐々に上げ、メタノール含有留出物(363g)を80℃で除去する。116℃まで冷却した後、水139gを再度加え、次に温度を3時間かけて150℃まで上昇させ、留出物238gを得る。新たに110℃まで冷却した後、水139gを加え、150℃まで3時間かけて上昇させ、留出物259gを得る。最後に、オイル真空下で150℃まで沸騰させて、成分を除去する(123g)。黄色い、透明の油2,383gが得られる。
【0096】
得られた生成物は、NMR分光法を使って反応基含有量を分析する。そのような方法は、以下の要因を含む。
(1)機種:ブルーカー社(Bruker)DPX−400 NMRスペクトロメーター
(2)周波数:400MHz
(3)標準試料:テトラメチルシラン(TMS)
(4)溶媒:CDC13(重水素化クロロホルム)
(5)濃度:H−1の場合 0.2%、Si−29の場合 20%
(6)パルスシーケンス:ZGIZ(ブルーカー(Bruker))、Si−29−NMRスペクトル、10秒の緩和遅延時間
【0097】
これらの特性を有するNMRを使用して、以下の分析を行った。
1.95OH0.025OCH30.025D*7.9736.9
ここで、D*=SiCHCHCHNHCHCHNHである。
【0098】
(2)反応性/硬化性基の含有量が少ないアミノシリコーンの調製
工程1で調製したようなアミノ基を豊富に含む前駆物質200.6g(47.7ミリモル)、組成物M2D6.9のシロキサン101g(152.3ミリモル)、D4、6,321g及びKOH10%強度エタノール溶液1.66gを、最初に四首フラスコ内に室温で攪拌しながら入れ、該混合物を180℃で3時間加熱する。120℃に冷却後、さらにKOH10%強度エタノール溶液1.66gを追加する。該混合物を、次に180℃にて更に3時間加熱する(この時点で測定した試料の粘度は、20℃にて2,940mPa)。ウォーターポンプの真空を180℃で適用し、D4を沸騰させて10分間還流させる。水滴を内部に含む60gのD4を、水分離器内で除去する。この操作を、2、4及び6時間後に繰り返す。30℃に冷却後、酢酸0.36gを触媒に加えて中和する。150℃まで沸騰させたすべての成分を、その後オイル真空下で除去する。上記のNMR分光法により決定された、4,470mPas(20℃)の粘度の無色アミノシロキサン5,957g及び組成物、
D*2.16447
(式中、D*=SiCHCHCHNHCHCHNH2)
が、得られる。このような物質は、0.34重量%の窒素含有量を有し、末端硬化性/反応性基の百分率比は実質的に0%である。
【0099】
シリコーンエマルション(エマルション E1)の調製:工程2のアミノシリコーン15.0gを、PDMS0.6m/秒(20℃で600,000センチストークス、GE(登録商標)Visc−600M)45.0gに添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター(IKA Labortechnik Eurostar)出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0100】
工程2のアミノシリコーン14.3gを、PDMS0.6m/秒と一緒にネオドール(Neodol)25−3(シェル社(Shell)より)(エトキシル化アルコール非イオン性乳化剤(emulsifier))7.15gに添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター(IKA Labortechnik Eurostar)出力調節−粘度ラボミキサー)で250RPMにて15分間攪拌する。
【0101】
同一量の水7.14gを3回10分ごとに加え、その間250RPMで撹拌する。
【0102】
最後の水7.14gを加え、攪拌速度を400RPMまで増加させる。該混合物をこの速度で40分間攪拌する。
【0103】
シリコーンエマルション(エマルション E2)の調製:工程2のアミノシリコーン15.0gを、PDMS0.6m/秒(20℃で600,000センチストークス、GE(登録商標)Visc−600M)45.0gに添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター(IKA Labortechnik Eurostar)出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0104】
工程2のアミノシリコーン30.0gとPDMS0.6m/秒のブレンドを、クリル4ソルビタンオレエート(クローダ社(Croda)より)4.30gに添加し、通常の実験用ブレードミキサーで300RPMにて15分間攪拌する。
【0105】
クローデト(Crodet) S100 PEG−100ステアレート(25%水溶液)(クローダ社(Croda)より)11.6gを添加し、混合物を15分間、1000RPMにて攪拌する。
【0106】
水5.1gを10分の時間幅で、1000RPMにて攪拌しながら滴加し、水を添加した後に、該混合物をさらに30分間、1000RPMにて攪拌する。
【0107】
1.45%ナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液27.0gを添加し、該混合物を15分間、500RPMにて攪拌する。
【0108】
シリコーンエマルション(エマルション E3)の調製:工程2のアミノシリコーン15.0gを、PDMS0.1m/秒(20℃で100,000センチストークス、GE(登録商標)Visc−100M)45.0gに添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター(IKA Labortechnik Eurostar)出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0109】
工程2のアミノシリコーンとPDMS0.1m/秒のブレンド19.25gを、ネオドール(Neodol)25−3(シェル社(Shell)より)1.15g及びスロバゾール(Slovasol)458(サゾール社(Sasol)より)(エトキシル化非イオン性アルコール(ethoxylated alcohol nonionic))4.6gと混合し、10分間、300RPMにて攪拌する。
【0110】
水10.0gを加え、該混合物を30分間、300RPMにて攪拌する。
【0111】
同一量の水5.0gを3回、水を加えるごとに10分間隔で、300RPMで攪拌しながら加える。
【0112】
シリコーンエマルション(エマルション E4)の調製:GE(登録商標)SF1923アミノシリコーン、6.0gを、PDMS0.6m/s(20℃で600,000センチストークス;GE(登録商標)Visc−600M)54.0gに添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター(IKA Labortechnik Eurostar)出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0113】
工程2のアミノシリコーンとPDMS0.6m/秒のブレンド19.25gを、ネオドール(Neodol)25−3(シェル社(Shell)より)4.6g及びスロバゾール(Slovasol)458(サゾール社(Sasol)より)(エトキシル化非イオン性アルコール(ethoxylated alcohol nonionic))1.15gと混合し、10分間、300RPMにて攪拌する。
【0114】
水10.0gを加え、該混合物を30分間、300RPMにて攪拌する。
【0115】
同一量の水5.0gを3回、水を加えるごとに10分間隔で、300RPMで攪拌しながら加える。
【0116】
最終洗剤組成物
最終液体洗濯洗剤組成物を形成するための2つのプレミックスの組み合わせA1及びE1(エントリー1)又はA1及びE2(エントリー2)又はA1及びE3(エントリー3)又はA1及びE4(エントリー4)又はA2及びE1(エントリー5)又はA2及びE2(エントリー6)又はA2及びE3(エントリー7)又はA2及びE4(エントリー8)又はA3及びE1(エントリー9)又はA3及びE2(エントリー10)又はA3及びE3(エントリー11)又はA3及びE4(エントリー12):
104.9gのプレミックスE1をプレミックスA1又はA2又はA3のいずれか1500gに加え、通常の実験用ブレードミキサーで15分間、350RPMで攪拌する。
【0117】
78.0gのプレミックスE2をプレミックスA1又はA2又はA3のいずれか1500gに加え、通常の実験用ブレードミキサーで15分間、350RPMで攪拌する。
【0118】
エマルションE1、E2、E3及びE4のすべてにおいて、生成物A1、A2又はA3内の平均粒径は、2μm〜20μm(m)範囲にある。
【0119】
組成物エントリー1〜12の液体洗濯洗剤組成物すべてが、完全に調合した組成物として、そして洗濯サイクル中の希釈形態で、優れた生成物安定性を示す。組成物エントリー1〜12の液体洗濯洗剤組成物はすべて、布地が自動洗濯機のドラムに追加され、その後従来の様式で洗濯される場合に、優れた布地洗浄及び布地ケア性能を提供する。
【0120】
エントリー1〜12の組成物は、それと共に処理される布地に与えられる布地柔軟化効果に関して特に有利である。このことは、白い布地上に提供される布地柔軟化効果と比較して、実際の布地柔軟化効果がより向上している色付き布地について特に言えることである。エントリー1、2、3、10、11及び12の組成物もまた、それで処理される布地に与えられる耐磨耗効果、及び毛羽立ち防止効果に関して有利である。エントリー1,2,3,10,11及び12の組成物は、そこで処理される布地に与えられる色ケア効果に関して特に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン性界面活性剤類、非イオン性界面活性剤類、双性イオン性界面活性剤類、両性界面活性剤類、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤と、
(B)
(i)
(a)硬化性/反応性基を、生成される官能化ポリシロキサン物質内にそのまま残す方法によって調製され、
(b)30%未満の硬化性/反応性基含有シリコーン原子と反応性/硬化性基非含有末端シリコーン原子とのモル比を有し、
(c)0.05重量%〜0.50重量%の窒素含有量を有し、
(d)20℃にて、0.00002m/s〜0.2m/sの範囲の粘度を有する、アミン又はアンモニウム基を含む官能化ポリシロキサン物質と、
(ii)0.01m/s〜2.0m/sの粘度を有し、前記ブレンド内に、官能化ポリシロキサン物質と非官能化ポリシロキサン物質との重量比が、100:1〜1:100の範囲になるような量で存在する、窒素を含まない非官能化ポリシロキサン物質と、 を含む、シリコーン物質のブレンドの液滴と、
(C)洗浄性酵素、移染抑制剤、蛍光増白剤、泡抑制剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤と、
を含み、洗浄及びこのような組成物を使用して洗濯した布地への布地ケア効果の付与に適し、更に、基本的にコアセルベート相形成ポリマーを含有せず、基本的にカチオン性付着助剤を含有しない、水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記官能化ポリシロキサン物質が、含窒素アルコキシシラン及び/又はアルコキシシロキサン出発材料の加水分解、並びにこれら加水分解した出発材料の触媒平衡、及び縮合を含む方法によって調製され、20%未満、好ましくは10%未満の硬化性/反応性基含有シリコーン原子と反応性/硬化性基非含有末端シリコーン原子とのモル比を有する、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が、
(A)5重量%〜80重量%のアニオン性界面活性剤類、非イオン性界面活性剤類、又はこれらの組み合わせと、
(B)0.05重量%〜10重量%の混和性である前記シリコーンブレンドと、
(C)少なくとも20重量%の水、及び0.0001重量%〜2重量%の酵素成分、及び/又は0.01重量%〜10重量%の移染剤、及び/又は0.01重量%〜2重量%の蛍光増白剤、及び/又は0.01重量%〜15重量%の泡抑制剤を含む、請求項1又は2に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記官能化ポリシロキサン物質が、1.0%未満のヒドロキシル及び/又はアルコキシ含有シリコーン原子とヒドロキシル又はアルコキシ基非含有末端シリコーン原子とのモル比を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項5】
前記官能化ポリシロキサンが、2,000〜100,000の範囲の分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記シリコーンブレンド内の官能化ポリシロキサンと非官能化ポリシロキサンとの重量比が、1:20〜1:1の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記シリコーンブレンドが、乳化剤及び水と組み合わされ、洗剤組成物の別個の成分として追加するのに好適な水中油型エマルションへと予備形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記エマルションが、前記エマルションの5重量%〜60重量%のシリコーンブレンドを含む、請求項7に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記エマルション内のシリコーンブレンドと乳化剤との重量比が、200:1〜1:1の範囲であり、シリコーンブレンドと水との重量比が、1:50〜10:1の範囲である、請求項7又は8に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
前記エマルションを形成するために使用する乳化剤が、アルコールエトキシレート類、アルキルポリグルコシド類、エトキシル化及び非エトキシル化ソルビタンエステル類、エトキシル化及び非エトキシル化脂肪酸エステル類、エトキシル化及び非エトキシル化脂肪族アミン類、及びアミド類、エトキシル化グリセロールエステル類、並びにポリアルコキシル化ポリシロキサン類より選択される、請求項7〜9のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項11】
前記組成物内の前記シリコーンブレンド液滴の粒径中央値が、0.5〜300μmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項12】
前記シリコーンブレンド内での前記官能化ポリシロキサンが、次式:
【化1】

(式中、Rは、独立してC〜Cのアルキル、ヒドロキシアルキル、及びこれらの組み合わせより選択され、好ましくはメチルであり、nは49〜1299、好ましくは100〜1000、より好ましくは150〜600の数字であり、mは1〜50、好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3の整数であり、nとmの合計は50〜1300、好ましくは150〜600の数字である)を有するアミノポリシロキサンを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項13】
前記アミノポリシロキサンが、0.30重量%〜0.40重量%の窒素含有量を有し、0.0015m/s〜0.1m/s、好ましくは0.002m/s〜0.01m/sの粘度を有する、請求項10に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項14】
前記非官能化ポリシロキサンが、ポリジメチルシロキサンであり、0.5m/s〜1.0m/sの範囲の粘度を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項15】
(A)
(i)
(a)硬化性/反応性基を、生成される官能化ポリシロキサン物質内にそのまま残す方法によって調製され、
(b)30%未満硬化性/反応性基含有シリコーン原子と反応性/硬化性基非含有末端シリコーン原子とのモル比を有し、
(c)0.05重量%〜0.50重量%の窒素含有量を有し、
(d)20℃にて、0.00002m/s〜0.2m/sの範囲の粘度を有する、アミン又はアンモニウム基を含む官能化ポリシロキサン物質と、
(ii)0.01m/s〜2.0m/sの粘度を有し、前記ブレンド内に、官能化ポリシロキサン物質と非官能化ポリシロキサン物質との重量比が100:1〜1:100の範囲になるような量で存在する、窒素非含有非官能化ポリシロキサン物質と、
を含む、エマルションの5重量%〜60重量%の混和性シリコーン物質のブレンドと、
(B)シリコーンブレンドと乳化剤の重量比が、200:1〜1:1の範囲となる量で存在する乳化剤と、
(C)シリコーンブレンドと水の重量比が1:50〜10:1の範囲となる量で存在する水と、
を含み、前記のシリコーンブレンドが、前記エマルション中に0.5〜300μmの範囲の中央値寸法の液滴の形態で分散される、水性液体洗濯洗剤組成物への組込みに好適なエマルションである、シリコーン系布地ケア剤の水中油型エマルション。

【公表番号】特表2007−532716(P2007−532716A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507304(P2007−507304)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/001005
【国際公開番号】WO2005/105969
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】