説明

シリコーン系重合体粒子を含有するシリコーン系硬化性組成物

【課題】 長時間にわたる貯蔵安定性に優れ、なおかつ熱硬化時に速やかに硬化するシリコーン系硬化性組成物を得ることを目的とする。
【解決手段】 (A)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン、
(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子、
(D)ヒドロシリル化触媒、
(E)アミン
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定性に優れたシリコーン系硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルケニル基を含有するポリシロキサン化合物と、ヒドロシリル基を含有するポリシロキサン化合物、表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子およびヒドロシリル化触媒からなる付加型シリコーン系硬化性組成物は、高い機械的強度と透明性を両立した材料であり、またヒドロシリル化反応によって硬化が進むため、反応時間が短く、また硬化に伴う反応副生成物が発生しないことなどの利点がある。(特開2007−131758)
しかし、そのままでは室温での貯蔵安定性が悪いため、種々の硬化遅延剤を配合して使用することが一般的である。硬化遅延剤の具体例としては、アセチレンアルコールや、脂肪族不飽和結合、有機リン化合物等が挙げられる。
しかしこれらの硬化遅延剤では、室温での貯蔵安定性について一定の効果を挙げられるが、その効果は必ずしも十分ではなく、また熱硬化させた際に、付加型シリコーン系硬化性組成物を速やかに硬化する能力が不十分であった。
【0003】
また特定の構造を有するイミダゾリウム塩を硬化遅延剤として使用することも提案されているが(特開2007−154042)、入手性が困難であった。
【特許文献1】特開2007−131758
【特許文献2】特開2007−154042
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、貯蔵安定性に優れ、なおかつ熱硬化時に速やかに硬化するシリコーン系硬化性組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下に示すシリコーン系硬化性材料において、貯蔵安定性改良剤としてアミンを添加することで、長時間にわたる貯蔵安定性に優れる組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。本発明のシリコーン系硬化性材料は、以下の構成によるものである。
【0006】
(A)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン、
(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子、
(D)ヒドロシリル化触媒、
(E)アミン
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物(請求項1)。
【0007】
(A)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン、
(B)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(C)成分である表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子を、ヒドロシリル化反応させて得られる(F)粒子−オルガノポリシロキサン変性体、
(D)ヒドロシリル化触媒、
(E)アミン
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物(請求項2)。
【0008】
(G)アセチレンアルコールを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項3)。
【0009】
(C)成分が、表面にアルケニル基を含有するシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項4)。
【0010】
(C)成分が、体積平均粒径が0.005〜3.0μmのシリコーン粒子(C−1)に、アルコキシシラン縮合物(C−2)が被覆した、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項5)。
【0011】
(C−1)成分であるシリコーン粒子が、一般式(1)
SiO(4−m)/2(1)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位からなり、上記一般式(1)でm=2の構造単位が(C−1)成分全体の70モル%以上を占めているオルガノシロキサンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項6)。
【0012】
(C)成分が、(C−1)成分であるシリコーン粒子8〜97重量%に対して、(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が3〜92重量%被覆した重合体(ただし、(C−1)成分と(C−2)成分を合わせて100重量%)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項7)。
【0013】
(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が、下記(a)成分および/または下記(b)成分および/または下記(c)成分からなり、なおかつ(C−2)成分全体に占める(a)成分の重量が50重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項8)。
【0014】
(a)成分:一般式(2)
【0015】
【化5】

(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(3)
【0016】
【化6】

(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【0017】
【化7】

(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0018】
(A)成分が、一般式(5)
SiO4/2(5)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(6)
SiO1/2(6)
(式中、Rはアルケニル基、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有する重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項9)。
【0019】
(E)成分が、1分子中に2個の窒素原子を含有するアミンである請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項10)。
【0020】
(E)成分のアミンが、以下の一般式(7)に示す構造を有するものである請求項1〜10のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項11)。
【0021】
【化8】

(式中、R〜Rは任意の炭化水素基あるいは水素原子であり、Rは任意のアルキレン基)
(E)成分がN、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンである請求項1〜11のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項12)。
【0022】
(G)成分のアセチレンアルコールが、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールのうちから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項3〜12のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項13)。
【0023】
(H)接着性付与剤を含有する請求項1〜13のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物(請求項14)。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、貯蔵安定性に優れたシリコーン系硬化性組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明について詳細に説明する。
<(A)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン>
本発明における(A)成分は、(B)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと共に硬質シリコーン樹脂マトリクスを形成し、ヒドロシリル化反応により硬化するものであれば特に限定はしない。硬化後は硬度が高く、透明性に優れたものが好ましい。
【0026】
また(A)成分は、一般式(5)
SiO4/2(5)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(6)
SiO1/2(6)
(式中、Rはアルケニル基、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有する重合体が好ましいものとして例示される。主構造に一般式(5)で表される4官能性の構造単位を用いると、高い架橋密度の主骨格が得られるため、熱硬化後の組成物の強度および硬度を高くすることができて有利である。その主構造の末端を一般式(6)で表される1官能性の構造単位で封鎖すると、ヒドロシリル化反応による組成物の架橋点となるアルケニル基を簡便な方法で導入する事ができて有利であり、またRのアルケニル基と、アルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基の比率を調節することで、(A)成分中のアルケニル基の量を調節する事ができるため、任意の架橋密度が簡便な方法で得られるので優れている。
【0027】
前記アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等であり、入手性、また、耐熱性・耐光性の観点からビニル基が好ましい。
【0028】
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基である。中でも、耐熱性や耐光性の観点からメチル基が好ましい。
【0029】
この(A)成分は、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有していれば良いが、(A)成分中のアルケニル基の含有量は0.1〜10モル/kg、特に0.5〜9モル/kgであることが好ましい。0.1モル/kg以下では硬化組成物が十分な硬度が得られず、10モル/kg以上では架橋密度が高すぎて耐熱衝撃性が低下する。
【0030】
更に上記(A)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
【0031】
また本発明に用いる(A)成分の他に、硬化物の硬度を低下させない範囲で、アルケニル基を有する直鎖状、分岐鎖状、環状のポリシロキサンを添加することもできる。
<(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン>
本発明における(B)成分は、(A)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン樹脂マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
【0032】
直鎖状の(B)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
【0033】
また環状の(B)成分の例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
【0034】
また三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(5)
SiO4/2(5)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(8)
SiO1/2(8)
(式中、Rは水素原子、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、(A)成分との相溶性が良好で、硬度が高い硬化物を得られることから好ましいものとして例示される。
【0035】
上記一般式(8)のアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基である。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基が好ましい。
【0036】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、前述の(A)成分のアルケニル基に対して(B)成分のヒドロシリル基が50〜500モル%、好ましくは100〜200モル%となる割合であることが望ましい。
【0037】
更に上記(B)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。このような(B)成分を使用すると、後述の(C)成分と反応させて得られる(F)成分を、取り扱いが容易な液状にすることができる。
<(C)表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子>
(C)成分は、前記(A)成分および(B)成分から成るマトリクス樹脂に配合して用いることができ、その場合、マトリクス樹脂が持つ特徴である、高い硬度や透明性を維持したまま耐冷熱衝撃性や機械的応力緩和能を向上させたシリコーン系組成物を得ることができる。
【0038】
さらに本発明における(C)成分は、表面にアルケニル基を含有するので、(B)成分である、一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ヒドロシリル化反応させることで、後述の(F)粒子−オルガノポリシロキサン変性体を得ることができる。得られた(F)成分も、高い硬度や透明性を維持したまま耐冷熱衝撃性を向上させたシリコーン系組成物を得ることができる。
【0039】
本発明における(C)成分は、表面にアルケニル基を有しているシリコーン系重合体粒子であれば特に制限はないが、特に、シリコーン粒子をコアとし、アルコキシシラン縮合物が被覆したシェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であって、表面にアルケニル基を有する粒子を好適なものとして例示することができる。前記コア成分であるシリコーン粒子と、シェル成分であるアルコキシシラン縮合物の組成比を最適化することで、(C)成分の屈折率とマトリクス樹脂の屈折率を合わせることによりシリコーン系組成物全体の透明性を維持することができ、さらにシェル成分とマトリクスとの間の相溶性が向上して組成物の強度改善に有利である。
以下、表面にアルケニル基を含有するシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子(以下、コアシェル粒子と略す)について、詳しく説明する。
【0040】
前記コアシェル粒子は、コア成分にシェル成分が被覆したものであれば良く、組成等に特に限定はないが、コア成分8〜97重量%の存在下に、シェル成分3〜92重量%を縮合反応させた重合体であることが好ましい(ただし、コア成分とシェル成分を合わせて100重量%)。さらには、コア成分10〜95重量%の存在下に、シェル成分5〜90重量%を縮合反応させることが好ましい。コア成分が8重量%以下では、(C)成分の屈折率が、マトリクスの屈折率と大きく相違して組成物の透明性が損なわれることがあり、またシェル成分が3重量%以下ではマトリクスとの相溶性が不十分になることがある。
【0041】
本発明に用いるコア成分の製造方法には、特に限定はないが、通常の乳化重合、分散重合、溶液重合などでも得ることが可能であり、粒径の制御が可能である点や、操作の簡便性等の点を考慮すると、乳化重合で得ることが好ましい。
本発明に用いるコア成分は、通常の乳化重合でも得られるが、より粒子径の小さい粒子を得ることができ、さらにラテックス状態での粒子径分布が狭くできる利点などからもシード重合を利用することができる。シード重合に用いるシードポリマーは特に限定は無いが、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンやブタジエン−アクリロニトリルゴム等のゴム成分、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体やスチレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体を用いることができる。
【0042】
コア成分は、一般式(1)
SiO(4−m)/2(1)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位からなり、上記一般式(1)でm=2の構造単位が(C−1)成分全体の70モル%以上を占めているオルガノシロキサンである。
【0043】
またコア成分は、上記一般式(1)でm=2の構造単位が、コア成分の70モル%以上を占めていることが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上を占めていることが好ましい。70モル%以下ではコア成分の柔軟性が損なわれるため、硬化組成物全体の耐熱衝撃性が低下したりする場合がある。
【0044】
コア成分はオルガノシロキサンの重合により得ることができるが、そのオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状および環状構造のいずれであってもよいが、入手の容易さやコストの観点から、環状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。
【0045】
オルガノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。これらオルガノシロキサンは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。
【0047】
またコア成分の分子の末端がシラノール基であることが好ましい。分子の末端にシラノール基を有していることで、後述のシェル成分との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子を得ることができる。
【0048】
コア成分は、例えば、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、アルカリ性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応が速く進行するため有利である。たとえば上記のオルガノシロキサンを含んだ各種原料を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHを酸成分で5以下、好ましくは4以下に調整し、加熱して重合させる。この際に用いる酸成分としては、安定して乳化重合を進行させることができ、またそれ自身も乳化能を併せ持つものが好ましく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホコハク酸などが例示されうる。
【0049】
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを任意の値に調整してもよく、また原料の一部を仕込んでpHを任意の値に調整したエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。重合時のpHについては特に制限されるものではないが、重合が十分に進行することから、pH=5以下、特にpH=4以下に調整するのが好ましい。逐次追加する場合、そのままの状態、または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度を速くすることができるので、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。反応温度、時間に特に制限はないが、反応制御の容易さから反応温度は0〜100℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは3〜50時間である。
【0050】
酸性条件下で重合を行う場合、通常、コア成分の骨格を形成しているSi−O−Si結合は、切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量のコア成分が生成しやすくなる。したがって、高分子量のコア成分を得るためには、加熱により重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の低揮発分のオルガノシロキサンのコア成分への転化率を意味する。
【0051】
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、各種原料を乳化分散させるために必要な量であれば良く、通常原料の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。
【0052】
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使用することができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とするコア成分の粒子径などに応じて適宜調整すればよい。充分な乳化能が得られ、かつ得られるコア成分と、それから得られる、前記(C)成分であるシリコーン系重合体粒子の物性に悪影響を与えないという点から、エマルジョン中に0.005〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.05〜15重量%用いるのが好ましい。
【0053】
コア成分の粒子径は、乳化剤の使用量の増減など、通常の乳化重合技術を用いて制御することが可能である。例えば、適切な濃度でアルキルベンゼンスルホン酸を用いて乳化重合を行うことで、比較的小粒径のシリコーン粒子を安定して得ることができる。ラテックス状態のシリコーン粒子の体積平均粒径は、0.005μm〜3.0μmの範囲であれば良く、0.01μm〜2.0μmが好ましく、0.050μm〜0.095μmがより好ましい。体積平均粒径が0.005μm未満のものを安定的に得ることは難しく、3.0μmを越えると硬化組成物の透明性が悪くなる場合がある。なお、体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
【0054】
本発明に用いるコア成分の合成の際に、必要によっては架橋剤、グラフト交叉剤と言われるものを添加することもできる。
【0055】
本発明のコア成分の合成に用いることができる架橋剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性架橋剤、さらにはこれら架橋剤のアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を挙げることができる。
【0056】
これら架橋剤は、必要に応じ、1種若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。この架橋剤の添加量は、オルガノシロキサン100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。架橋剤の添加量が10重量部より多いと、コア成分の柔軟性が損なわれるため、シリコーン系組成物の低温での耐熱衝撃性が低下する場合がある。また架橋剤の添加量を調節することで、架橋度を変化させることによりコア成分の弾性を任意に調節することができる。
【0057】
本発明に用いることができるグラフト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
【0058】
上記コアシェル粒子におけるシェル成分となるアルコキシシラン縮合物は、コア成分の表面を被覆することで前記(A)成分と前記(B)成分との相溶性を確保して、(C)成分をシリコーン系組成物中に均一に分散させ、あるいはシリコーン系組成物の強度向上のために使用される成分である。
【0059】
本発明に用いるアルコキシシラン縮合物は、以下の一般式(2)で表される2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(3)で表される3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(4)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)等を用いて得ることができる。これらは単独でも2種類以上でも用いることができる。
【0060】
【化9】

(一般式(2)において、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)
【0061】
【化10】

(一般式(3)において、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)
(c)成分:一般式(4)
【0062】
【化11】

(一般式(4)において、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)
本発明におけるシェル成分であるアルコキシシラン縮合物は、一般式(2)で表される2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(3)で表される3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(4)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物を用いたものとを混合した物を用いて加水分解・縮合して得られるシェルが好ましい。
そのなかでも、一般式(2)で表現できる2官能性のアルコキシシラン化合物およびその部分縮合物を、(C−2)成分の50%以上(重量基準)を使用したものが、シリコーン系硬化性組成物全体の応力緩和の能力を向上できる点、(A)および(B)成分からなるマトリクスとの相溶性に優れる点から特に好ましい。
【0063】
また上記の特徴を妨げない範囲で一般式(9)で表される1官能性アルコキシシラン化合物を用いることができる。これらは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
【0064】
【化12】

一般式(9)において、R12はアルキル基を示し、R13、R14、R15は同一または異なる一価の有機基を示す。
【0065】
上記一般式(2)、(3)、(4)および(9)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。またアルコキシ基以外の一価の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基等があげられる。
【0066】
またここでアルケニル基を含む、一般式(2)、(3)、(4)および(9)のように表現できる化合物あるいはそのアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を用いれば、(C)成分にアルケニル基を導入でき、このアルケニル基が(B)成分との間でヒドロシリル化反応により結合を形成するため、後述の(F)成分である粒子−オルガノポリシロキサン変性体を得ることができ、組成物の高い透明性や硬度を維持しながら耐熱衝撃性を向上させることができるので好ましい。
【0067】
本発明に用いるアルコキシシラン化合物の具体的な化合物としては、前記の架橋剤、グラフト交叉剤と同じもの、あるいはそのアルコキシ基を縮合させた部分縮合物が挙げられる。
【0068】
アルコキシシラン化合物を用いてシェル成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
【0069】
またシェル成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、アルカリ条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
【0070】
乳化重合によって得られた(C)成分であるシリコーン系重合体粒子のラテックスから粒子を分離する方法としては、特に限定は無いが、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
さらに本発明においては、(C)成分の粒子を水系ラテックスから取り出して、有機溶剤中に一次粒径のまま再分散させることが可能であることから、緩凝集・再分散法を用いるのが好ましい。
【0071】
ここでいう緩凝集・再分散法とは、以下のような方法である。まず粒子を含む水系ラテックス溶液に、水に部分可溶な有機溶剤、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)やケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)などを加えることで、ラテックス中の粒子の乳化状態を解き、粒子どうしを緩凝集させる。さらに遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体が分散可能な有機溶剤に再分散させる方法である。
【0072】
この方法によって得られる、有機溶剤中に(C)成分が均一に分散した溶液を使用すれば、後述の(F)成分を合成する際に、(B)成分と(C)成分を均一に反応させる事ができて、粒子がマトリクス樹脂中に均一に分散した硬化組成物を得ることができるので好ましい。
【0073】
本発明ではアルケニル基を(C)成分の表面により効果的に導入するために、表面処理を行うことができる。このアルケニル基が(B)成分との間でヒドロシリル化反応により結合を形成するため、後述の(F)成分である粒子−オルガノポリシロキサン変性体を得ることができ、組成物の高い透明性や硬度を維持しながら耐熱衝撃性を向上させることができるので好ましい。
【0074】
(C)成分の表面に導入するアルケニル基の量は、0.01〜10モル/kg、特に0.05〜9モル/kgであることが好ましい。0.01モル/kg以下では、後述の(F)成分を合成する際に、(B)成分と十分に反応することができないため、組成物中に(C)成分が均一に分散する事ができずに透明性が低下することがある。逆に10モル/kg以上では官能基密度が高すぎて、後述の(F)成分を合成する際にゲル状の組成物になってしまい、配合が困難になることがある。
【0075】
このアルケニル基を(C)成分の表面に導入する際の表面処理剤としては、アルケニル基を有するシリル化剤を用いることができる。具体的にはアルケニルシラン、例えばクロロジメチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、トリクロロビニルシラン、テトラメチルジビニルジシロキサンが挙げられる。上記アルケニル基を有するシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
また表面処理を行わないと、(C)成分の表面にはアルコキシ基由来のシラノール基が多数残存しているため、組成物中に配合した際に(B)成分の発泡の原因となったり、(B)成分と(C)成分とのヒドロシリル化反応による架橋反応を阻害したりする原因となる場合がある。
【0077】
このような問題を解決するための表面処理剤としては、前記のアルケニル基を有するシリル化剤、およびこれと併用する形で、その他の表面処理剤を使用してもよい。その他の表面処理剤としては、アルケニル基を持たないシリル化剤を用いることができる。具体的にはアルキルシラン、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチル(ジ)シラザン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランが挙げられる。上記シリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリル化剤の総添加量は、(C)成分100重量部に対して、2〜1000重量部であることが好ましく、10〜400重量部であることがより好ましい。シリル化剤の添加量が2重量部より少ないと、(C)成分表面のシラノール基を十分減少させることができず、(C)成分とマトリクスとの親和性を十分に確保することができないおそれがある。またシリル化剤の添加量が1000重量部より多いと(C)成分表面のシラノール基と反応できなかったシリル化剤が不純物として組成物中に混入するおそれがある。
<(D)ヒドロシリル化触媒>
本発明における(D)成分であるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加量は、(A)成分に対し、白金原子として0.01〜1000ppmの範囲とすることが望ましい。
<(E)アミン>
(E)成分であるアミン化合物は、1分子中に少なくとも1個の窒素原子を有するアミン化合物であってヒドロシリル化の硬化遅延剤として働くものであれば特に限定無く使用することができる。室温での貯蔵安定性と熱硬化時の硬化速度のバランスの観点からは、1分子中に2個の窒素原子を含有するアミン化合物であることが好ましい。また、以下の一般式(7)で表されるものであることが好ましい。
【0078】
【化13】

(式中、R〜Rは任意の炭化水素基あるいは水素原子であり、Rは任意のアルキレン基)
好ましい(E)成分の具体例としては、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が挙げられる。これらの中でも、N、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがより好ましい。
【0079】
(E)成分の使用量としては特に制限はないが、(D)成分のヒドロシリル化触媒に対して、1〜50モル当量の範囲で用いることが好ましい。使用量が多すぎると(D)成分のヒドロシリル化触媒の活性を落とし、また、少なすぎると貯蔵安定性が下がる。(E)成分のアミン化合物は単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
<(F)粒子−オルガノポリシロキサン変性体>
本発明において(F)成分を合成することは、(C)成分である粒子を、(A)成分と(B)成分からなるシリコーン樹脂マトリクスに均一に分散させるための手段であり、このマトリクスが硬質シリコーン樹脂である場合において、マトリクスが元々有している高い透明性や硬度を維持しながら耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0080】
また(F)成分の合成方法は、(B)成分および(C)成分を、両成分が可溶な溶剤に溶解させた後、(C)成分のアルケニル基の一部と(B)成分のヒドロシリル基の一部を、後述の(D)成分であるヒドロシリル化触媒の存在下で反応させ、溶媒を留去することにより得られる。両成分が可溶な溶剤の具体例としては、トルエン、ヘキサン、キシレンなどが挙げられる。
(F)成分の合成に用いる(B)成分と(C)成分の使用量としては、10重量部:90重量部〜90重量部:10重量部が好ましく、20重量部:80重量部〜80重量部:20重量部がさらに好ましい。(F)成分の合成に用いる(D)成分の使用量は、(C)成分に対し、白金原子として0.01〜1000ppmの範囲とすることが好ましい。
【0081】
(C)成分のアルケニル基の一部と(B)成分のヒドロシリル基の一部を反応させる温度としては、(D)成分の存在下、温度10〜180℃、さらに好ましくは、20℃〜150℃とすることが好ましい。温度が低すぎると、反応が進行せず、温度が高くなりすぎると必要以上の反応が進行して、得られた(F)成分がゲル化して、室温で液状のものが得られなくなりハンドリングが困難となる。
【0082】
また(F)成分は、取り扱いが容易であることから、ヒドロシリル化反応後に溶媒を留去した後、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
<(G)アセチレンアルコール>
(G)成分のアセチレンアルコールは、分子内にアセチレン結合を有する不飽和アルコールであり、例えば一般式(10)
【0083】
【化14】

で示される構造を有するものである。特に、これらアセチレンアルコール類においては、RあるいはRのかさ高さが貯蔵安定性に大きく関与しており、RあるいはRがかさ高いものが高温での貯蔵安定性に優れることから好ましい。しかし、かさ高いものになりすぎると、貯蔵安定性には優れるものの、硬化性が悪くなるという欠点があり、貯蔵安定性と硬化性のバランスのとれたアセチレンアルコールを選ぶことが重要である。RあるいはRは同一でも異なっていてもよいが、通常、水素原子又は炭素数1〜25の炭化水素基であるが、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましい。貯蔵安定性と硬化性のバランスのとれたアセチレンアルコールの例としては、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール等があげられる。
【0084】
(G)成分の使用量としては、(A)成分および(B)成分に均一に分散する限りにおいては、ほぼ任意に選ぶことができるが、(D)成分のヒドロシリル化触媒に対して、2〜10000モル当量の範囲で用いることが好ましい。
【0085】
(G)成分のアセチレンアルコールは単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0086】
本発明においては、反応過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、(E)成分や(G)成分とは別の硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
【0087】
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
【0088】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、マレイン酸ジメチルが好ましい。
【0089】
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜10モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
<(H)接着性付与剤>
本発明における(H)成分である接着性付与剤は、シリコーン系硬化性組成物から得られる硬化物に接着性を付与する成分である。
【0090】
本発明における(H)成分としては、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好適に使用することが可能である。
【0091】
前記、シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。前記官能基については、中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。具体的に例示すると、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0092】
前記、ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0093】
前記、チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル)−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
また、アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
【0094】
本発明における(H)接着性付与剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加量は、(A)成分および(B)成分からなるマトリクスの総量の0.05〜30重量%であることが好ましい。また、接着性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
【0095】
<組成物>
本発明のシリコーン系組成物の特性を改質する目的で、各種樹脂を添加してもよい。当該樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
また、本発明のシリコーン系硬化性組成物には、必要に応じて各種フィラーを添加してもよい。フィラーを添加すると、材料の高強度化や難燃性向上などに効果がある。フィラーとしては、微粒子状のものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカなどの各種シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。その他、粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどのフィラーも使用することができる。
【0097】
フィラーを添加する方法としては、例えば、アルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマー又はオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド又はハロゲン化物等を、本発明のシリコーン系硬化性組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法等も挙げることができる。
【0098】
本発明で得られるシリコーン系硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
【0099】
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
【0100】
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
【0101】
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0102】
本発明のシリコーン系硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0103】
本発明のシリコーン系硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0104】
本発明のシリコーン系硬化性組成物には、その他、難燃剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、加工安定剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0105】
本発明のシリコーン系硬化性組成物は、上記各成分を混合等することにより得られる。
【0106】
また、本発明のポリシロキサン系組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、各成分を単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
【0107】
反応温度としては種々設定できるが、下限25℃、上限300℃の温度範囲が好ましく、下限30℃、上限280℃がより好ましく、下限35℃、上限260℃がさらに好ましい。反応温度が25℃より低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が300℃より高いと製品の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。
【0108】
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点で好ましい。
【0109】
反応時の圧力も必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧又は減圧状態で反応させることもできる。
【0110】
本発明のシリコーン系硬化性組成物は、成形体として使用することができる。成型方法としては、既存の液状樹脂に用いられる方法であれば特に限定されない。例えば、押出成型、圧縮成型、ブロー成型、真空成型、射出成型、液状射出成型、注型成型などがある。
【0111】
硬化物の接着力は、長期間使用していくことにより、光や熱がかかり、樹脂自体が劣化して低下していく傾向にある。本発明の硬化物は、メタルハライドランプによる1平方メートルあたり50MJ照射後(耐光性試験)における硬化物(厚みが10〜40μm)の接着力が、上記照射前における硬化物の接着力(初期状態の接着力)に比べて70%以上であることが好ましく、80%以上あることがより好ましい。このような接着力を示すことは、紫外線を長時間当てても接着力が低下しないことを明示し、長期間にわたって良好な接着性を維持することを実現できるような、優れた接着性を有することが示される。本発明における接着力の評価は、耐久性の指標として、初期状態と一定の条件下で保存したものの接着力の差を提示する方法(米国 MIL STD−883)を参考にしておこなっている。ここでの接着力としては、具体的に、例えば、ダイシェア接着強度を用いる。
【0112】
本発明の硬化性組成物は、光学用材料として用いることができる。ここで言うコーティング剤とは、各種基材の上に付着させ、各種機能発現を目的に用いる材料一般を示す。例えば、各種塗料や、保護膜、平坦化膜、封止剤、モールド剤等が挙げられる。
【0113】
本発明の硬化性組成物は、光学用材料として用いることができる。ここで言う光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
【0114】
具体例としては、カラーフィルター保護膜、TFT平坦化膜、基板材料のような液晶表示装置に用いられる材料や、封止剤、ダイボンド剤等の発光ダイオード(LED)に用いられる材料が挙げられる。さらに、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、カラーフィルター等やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0115】
また、LED表示装置に使用されるLED素子のモールド剤、LEDの封止剤、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0116】
また、カラーPDP(プラズマディスプレイ)の反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料等やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤接着剤等も挙げられる。また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0117】
その他、光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、受光センサー部、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0118】
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光センシング機器のレンズ用材料、各種フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0119】
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルールやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0120】
その他光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用及び家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0121】
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料も挙げられる。
【0122】
自動車・輸送機分野では、自動車用ヘッドランプ・テールランプ・室内ランプ等のランプ材料、ランプリフレクタ、ランプレンズ、外装板・インテリアパネル等の各種内外装品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、鉄道車輌用の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、航空機の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【0123】
建築分野では、ガラス中間膜、ガラス代替品等も挙げられる。
【0124】
農業用では、ハウス被覆用フィルムも挙げられる。
【0125】
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
【実施例】
【0126】
以下の実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<試験方法>
シリコーン系硬化性組成物を配合直後と、温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間保存した後に、組成物にゲル化が見られないものを○、一部でもゲル化が見られるものを×と評価した。また、同時に各経過時間において、150℃でのスナップアップタイム(加熱開始からゲル化するまでの時間)を計測した。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、チッ素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.008μm)を含むラテックスを得た。
【0127】
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、15分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン100重量部からなる混合物をホモミキサーにて、7000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を5時間かけて連続追加した。さらに2時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーンコア粒子(体積平均粒径0.085μm)を含むラテックスを得た。
【0128】
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシリコーンコア粒子80重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。これとは別に、純水50重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを5重量%水溶液で0.6重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン16.2重量部((CHSiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して10.0重量部に相当)、トリメトキシメチルシラン20.3重量部(CHSiO3/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して10.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて7000rpmで5分間強制乳化した後に、60分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま8時間攪拌することで、シリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.087μm)を含むラテックスを得た。
(合成例2)
合成例1で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックス(樹脂固形分濃度22重量%)の樹脂固形分25.0重量部に対してメチルエチルケトン200重量部を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で6000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿をメチルエチルケトン/メタノール=1/1 (vol/vol)の混合溶媒に分散させて洗浄した後、遠心分離機で6000rpm、5分間遠心沈降させた。この洗浄を合計3回行った後、得られた沈殿25.0重量部にトルエン475重量部を加えて、シリコーン系重合体粒子のトルエン分散溶液を得た。
【0129】
試薬追加用ラバーセプタム、窒素吹込口、窒素吹出口、温度計、マグネティックスターラー用撹拌子を備えた四つ口フラスコに、得られたシリコーン系重合体粒子のトルエン分散溶液500重量部(うち樹脂固形分25.0重量部)を仕込んで、室温で撹拌しながらビニルジメチルクロロシラン1.0重量部、トリメチルクロロシラン49.0重量部を滴下した。この溶液を室温で3時間撹拌した。さらに得られた溶液を分液漏斗に移して純水500重量部を加えて撹拌した後に水層を捨てるという洗浄操作を、トルエン層が中性になるまで繰り返した。こうして粒子表面のシラノール基が表面処理されてビニル基およびメチル基になった(C)成分である、表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.082μm)のトルエン分散溶液を得た。
(合成例3)
合成例2で得られた(C)成分である、表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子のトルエン分散溶液を、ロータリーエバポレータ−でトルエンを留去した。すると室温で液状の(C)成分である、表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子を得た。
(合成例4)
合成例2で得られた(C)成分である、表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子のトルエン分散溶液の樹脂固形分25.0重量部に対して、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を51.6重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)を15.5重量部を加えて溶解させ、これに、(D)成分である白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.00172重量部を加えた。このようにして得られた溶液を60℃で3時間加温・撹拌したのち、室温まで冷却した。こうして(F)成分である、粒子−オルガノポリシロキサン変性体のトルエン分散溶液を得た。
(合成例5)
合成例4で得られた(F)成分である、粒子−オルガノポリシロキサン変性体のトルエン分散溶液に、(E)成分であるN、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.00987重量部を加えて撹拌した。このようにして得られた溶液について、ロータリーエバポレータ−でトルエンを留去し、液状の組成物を得た。
(合成例6)
合成例4で得られた(F)成分である、粒子−オルガノポリシロキサン変性体のトルエン分散溶液に、(E)成分であるN、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.00987重量部と、(G)成分である1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.00764重量部を加えて撹拌した。このようにして得られた溶液について、ロータリーエバポレータ−でトルエンを留去し、室温で液状の組成物を得た。
(合成例7)
合成例4で得られた(F)成分である、粒子−オルガノポリシロキサン変性体のトルエン分散溶液に、(G)成分である1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.00764重量部を加えて撹拌した。このようにして得られた溶液について、ロータリーエバポレータ−でトルエンを留去し、室温で液状の組成物を得た。
(実施例1)
(A)成分である分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)を32.9重量部と、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を51.6重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)を15.5重量部加えて、合成例3で得られた(C)成分である表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子25.0重量部を混ぜ合わせ、(E)成分であるN、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.00987重量部、(H)成分である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニング製SH6040を5.0重量部と、同じくほう酸トリメチルを1.0重量部加えてから混ぜ合わせ、これに(D)成分である、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.00172重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。この液状混合物を用いてゲル化の有無、およびスナップアップタイムの計測を行った。各種評価結果を表1に示す。
(実施例2)
(G)成分である1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.00764重量部を加えた他は実施例1と同様の操作を行い、液状混合物を得た。この液状混合物を用いてゲル化の有無、およびスナップアップタイムの計測を行った。各種評価結果を表1に示す。
(実施例3)
合成例5で得られた(E)および(F)成分を含む液状の組成物92.1重量部に対して、(A)成分である分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)を32.9重量部を混ぜ合わせ、(H)成分である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニング製SH6040を5.0重量部と、同じくほう酸トリメチルを1.0重量部加えてから混ぜ合わせ、これに(D)成分である、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.00172重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。この液状混合物を用いてゲル化の有無、およびスナップアップタイムの計測を行った。各種評価結果を表1に示す。
(実施例4)
(G)成分である1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.00764重量部を加えた他は実施例3と同様の操作を行い、液状混合物を得た。この液状混合物を用いてゲル化の有無、およびスナップアップタイムの計測を行った。各種評価結果を表1に示す。
(比較例1)
(A)成分である分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)を32.9重量部と、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を51.6重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)を15.5重量部加えて、合成例3で得られた(C)成分である表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子25.0重量部を混ぜ合わせ、(G)成分である1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.00764重量部、(H)成分である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニング製SH6040を5.0重量部と、同じくほう酸トリメチルを1.0重量部加えてから混ぜ合わせ、これに(D)成分である、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.00172重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。この液状混合物を用いてゲル化の有無、およびスナップアップタイムの計測を行った。各種評価結果を表1に示す。
(比較例2)
合成例7で得られた(F)および(G)成分を含む液状の組成物92.1重量部に対して、(A)成分である分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)を32.9重量部を混ぜ合わせ、(H)成分である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニング製SH6040を5.0重量部と、同じくほう酸トリメチルを1.0重量部加えてから混ぜ合わせ、これに(D)成分である、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.00172重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。この液状混合物を用いてゲル化の有無、およびスナップアップタイムの計測を行った。各種評価結果を表1に示す。
【0130】
【表1】

表1より、アセチレンアルコール単独では十分な貯蔵安定性が得られないが、アミンとアセチレンアルコールを併用した系、およびアミンを単独使用した硬化性組成物は貯蔵安定性に優れ、なおかつ、時間の経過による硬化遅延を起こさないことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン、
(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子、
(D)ヒドロシリル化触媒、
(E)アミン
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物。
【請求項2】
(A)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン、
(B)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(C)成分である表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子を、ヒドロシリル化反応させて得られる(F)粒子−オルガノポリシロキサン変性体、
(D)ヒドロシリル化触媒、
(E)アミン
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物。
【請求項3】
(G)アセチレンアルコールを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項4】
(C)成分が、表面にアルケニル基を含有するシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項5】
(C)成分が、体積平均粒径が0.005〜3.0μmのシリコーン粒子(C−1)に、アルコキシシラン縮合物(C−2)が被覆した、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項6】
(C−1)成分であるシリコーン粒子が、一般式(1)
SiO(4−m)/2(1)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位からなり、上記一般式(1)でm=2の構造単位が(C−1)成分全体の70モル%以上を占めているオルガノシロキサンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項7】
(C)成分が、(C−1)成分であるシリコーン粒子8〜97重量%に対して、(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が3〜92重量%被覆した重合体(ただし、(C−1)成分と(C−2)成分を合わせて100重量%)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項8】
(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が、下記(a)成分および/または下記(b)成分および/または下記(c)成分からなり、なおかつ(C−2)成分全体に占める(a)成分の重量が50重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
(a)成分:一般式(2)
【化1】

(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(3)
【化2】

(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【化3】

(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【請求項9】
(A)成分が、一般式(5)
SiO4/2(5)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(6)
SiO1/2(6)
(式中、Rはアルケニル基、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有する重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項10】
(E)成分が、1分子中に2個の窒素原子を含有するアミンである請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項11】
(E)成分のアミンが、以下の一般式(7)に示す構造を有するものである請求項1〜10のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【化4】

(式中、R〜Rは任意の炭化水素基あるいは水素原子であり、Rは任意のアルキレン基)
【請求項12】
(E)成分がN、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンである請求項1〜11のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項13】
(G)成分のアセチレンアルコールが、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールのうちから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項3〜12のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
【請求項14】
(H)接着性付与剤を含有する請求項1〜13のいずれか1項に記載のシリコーン系硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−191119(P2009−191119A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31406(P2008−31406)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】