説明

シリコーン組成物を含有する物品、およびそのような物品の製造方法

本開示は、第1の層と第2の層とを含む物品に関する。第1の層は、シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含み、水素化物含有シロキサンはシリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在し、第2の層はフルオロポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、選択的接着性を有する物品、およびその物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性シリコーン組成物は、自動車産業から医療機器までの範囲の種々の用途において使用されている。多くの場合、これらのシリコーン組成物は、ポリマー、金属、またはガラスの基材などの種々の基材とともに使用される。たとえば、シリコーン組成物は、種々のポリマー基材の上のコーティングまたは積層体として使用される。
【0003】
典型的には、シリコーン組成物と基材との間にプライマーが使用される。プライマーを使用すると、得られるシリコーン含有部品の揮発性有機汚染物質(VOC)含有率が増加する。さらに、プライマーを使用すると、製造プロセスの工程数が増加する。たとえば、最初に基材表面にプライマーが塗布され、シリコーン組成物と基材との間の接着を促進し材料のVOC含有率を低下させるためのプリベークおよびポストベークが必要となる。得られる、プライマーを含有するシリコーン/基材の組み合わせは、シリコーン組成物の基材に対する接着性を増加させることができるが、得られる材料は、プライマー中のVOC含有率のためにVOCの工業規格に合格することがほとんどなくなるであろう。
【0004】
プライマーを使用しなければ、通常は揮発性有機汚染物質の量が減少する。残念ながら、そのシリコーン配合物は、製造プロセス中に基材への接着で問題が生じることがあり、得られる製品は、指定された使用に適さなくなる。シリコーンゴムを広範な基材材料に接着するために、市販の自己接着性シリコーンゴムを使用することができる。特に、典型的な自己接着性シリコーン配合物は、ポリマー基材と、典型的には金属ローラーであるラミネーターとの両方に接着し得る。シリコーン配合物の金属ローラーへの接着を最小限にするために、通常、金属ロールラミネーターは、シリコーン配合物が製造装置に固着するのを防止するために、定期的に保守しコーティングで処理する必要がある。その結果、製造者は、プライマーを有するシリコーン材料と自己接着性シリコーン材料との間、すなわち、より多くの揮発性有機汚染物質量と製造装置の定期的な保守との間で選択の余地が残ることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善されたシリコーン配合物、およびシリコーンを含む物品の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の一実施形態においては、物品は、第1の層および第2の層を含む。第1の層は、シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含み、水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する。第2の層はフルオロポリマーを含む。第1の層は、第2の層に対して少なくとも約10.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を有する。
【0007】
別の代表的な一実施形態においては、物品は、第1の層および第2の層を含む。第1の層は、シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含み、水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する。第2の層はフルオロポリマーを含む。この物品は、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC MS)によって測定して4−メチル−2−ペンタノンが実質的に検出されない揮発性有機汚染物質(VOC)量を有する。
【0008】
一実施形態においては、管は、フルオロポリマーを含むライナーを含む。ライナーの上には結合層が重ねられる。結合層は、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを含むシリコーン材料を含み、水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する。結合層の上には補強層が重ねられる。補強層は、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを含むシリコーン材料であって、水素化物含有シロキサンが、シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在するシリコーン材料と、シリコーン材料中に実質的に埋め込まれた少なくとも1つのポリエステル補強部材とを含む。補強層の上にはカバー層が重ねられる。カバー層は、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを含むシリコーン材料を含み、水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する。
【0009】
さらなる代表的な一実施形態においては、物品の製造方法は、第1の層を提供するステップと、第2の層を提供して物品を形成するステップとを含む。第1の層は、シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含み、水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマーの約0.4重量%〜約2.0重量%で存在する。第2の層は、第1の層の上に直接配置され、フルオロポリマーを含む。
【0010】
添付の図面を参照することによって本開示をより十分に理解することができ、その多数の特徴および利点が当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】代表的な選択接着機構の図である。
【図2】代表的な多層物品の図である。
【図3】代表的な多層管の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の一実施形態においては、シリコーン材料は、シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含む。一般に、水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマーが加えられたあらゆる水素化物含有シロキサンに対して過剰に存在する。水素化物含有シロキサンをシリコーンベースポリマー中に混入することによって、選択的接着性を有するシリコーン材料が得られる。本明細書において使用される場合、「選択的接着性」は、フルオロポリマーには実質的に接着し、金属には実質的に接着しないシリコーン材料を意味する。代表的な金属としては、ステンレス鋼、鋼、チタン、アルミニウム、またはそれらのあらゆる組み合わせを挙げることができる。図1中に見られるように、過剰の水素化物を含有するシリコーンは、フルオロポリマーの表面上に存在するカルボキシル基(COOH)と反応することができるが、金属上のヒドロキシル基(OH)とは反応しない。特に、本発明のシリコーン材料の選択的接着性はプライマーを使用せずに実現される。
【0013】
水素化物含有シロキサンは、シリコーンベースポリマー中に供給されるあらゆる水素化物含有シロキサンに対して過剰に存在する。特に、水素化物含有シロキサンは、フルオロポリマーには実質的に接着し金属には実質的に接着しないシリコーン材料を得るために有効な量で存在する。一実施形態においては、「有効な量」は、シリコーンベースポリマーの全重量の約0.1重量%〜約5.0重量%、たとえば約0.4重量%〜約2.0重量%、または約1.0重量%〜約2.0重量%の過剰な水素化物含有シロキサンである。代表的な水素化物含有シロキサン類としては、水素化物を含有するポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルヒドロシロキサンなどが挙げられる。水素化物含有ポリジアルキルシロキサンの特定の実施形態としては、たとえば、Gelestより入手可能なHMS031、HMS271、HMS991、HMS993、HMS082、Hanse Chemieより入手可能なCross Linker 100、Cross linker 101、Cross Linker 110、Cross Linker 210が挙げられる。
【0014】
代表的な一実施形態においては、シリコーンベースポリマーとしては、非極性シリコーンポリマーを挙げ得る。シリコーンベースポリマーとしては、たとえば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジプロピルシロキサン、メチルエチルシロキサン、メチルプロピルシロキサン、またはそれらの組み合わせなどの前駆体から形成されたシリコーンポリマー類などのポリアルキルシロキサン類を挙げ得る。特定の一実施形態においては、ポリアルキルシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリジアルキルシロキサンが挙げられる。特定の一実施形態においては、ポリアルキルシロキサンはシリコーン水素化物含有ポリジメチルシロキサンである。さらなる一実施形態においては、ポリアルキルシロキサンはビニル含有ポリジメチルシロキサンである。さらに別の一実施形態においては、シリコーンベースポリマーは、水素化物含有ポリジメチルシロキサンとビニル含有ポリジメチルシロキサンとの組み合わせである。一例においては、シリコーンベースポリマーは、非極性であり、塩素およびフッ素などのハライド置換基やフェニル官能基を有さない。別の場合では、シリコーンベースポリマーはハライド官能基またはフェニル官能基を含んでもよい。たとえば、シリコーンベースポリマーは、フルオロシリコーンまたはフェニルシリコーンを含んでもよい。典型的には、シリコーンベースポリマーはエラストマーである。たとえば、シリコーンベースポリマーのデュロメーター(ショアA)は約75未満、たとえば約1〜70、約20〜約50、約30〜約50、約40〜約50、または約1〜約5であってもよい。
【0015】
シリコーンベースポリマーは、触媒および場合による他の添加剤をさらに含んでもよい。代表的な添加剤は、個別にまたは組み合わせとして、フィラー、抑制剤、着色剤、および顔料を含んでもよい。一実施形態においては、シリコーンベースポリマーには、白金触媒が使用され得る。あるいは、シリコーンベースポリマーに過酸化物触媒を使用し得る。別の一例においては、シリコーンベースポリマーに白金触媒と過酸化物触媒との組み合わせを使用し得る。シリコーンベースポリマーは、室温加硫性(RTV)配合物またはゲルであってもよい。一例においては、シリコーンベースポリマーは、高コンシステンシーゴム状物質(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)であってもよい。一例においては、シリコーンベースポリマーは、Momentiveより入手可能なSE6035、SE6075、Bluestar siliconeより入手可能なMF135、およびDow Corningより入手可能なSilastic(登録商標)Q7−4535、Silastic(登録商標)Q7−4550などのHCRである。
【0016】
特定の一実施形態においては、シリコーンベースポリマーは、白金触媒によるLSRである。さらなる一実施形態においては、シリコーンベースポリマーは、2液反応系から形成されたLSRである。シリコーンベースポリマーは、従来の商業的に調製されたシリコーンベースポリマーであってもよい。商業的に調製されたシリコーンベースポリマーは、典型的には、非極性シリコーンポリマー、触媒、フィラー、および場合により添加剤を含む。従来の商業的に調製されたLSRの特定の実施形態としては、Adrian,MIのWacker SiliconeによるWacker Elastosil(登録商標)LR 3003/50、およびVentura,CAのBluestar SiliconesによるSilbione(登録商標)LSR 4340が挙げられる。
【0017】
代表的な一実施形態においては、商業的に調製されたシリコーンベースポリマーは、1液または2液反応系として入手可能である。2液反応系の場合、第1液は、典型的には、ビニル含有ポリジアルキルシロキサン、フィラー、および触媒を含む。第2液は、典型的には、水素化物含有ポリジアルキルシロキサン、および場合によりビニル含有ポリジアルキルシロキサン、およびその他の添加剤を含む。反応抑制剤を第1液中または第2液中に含めてもよい。あらゆる好適な混合方法によって第1液と第2液とを混合することによってシリコーンベースポリマーが生成される。1液系または2液系の場合、典型的には、加硫前に、商業的に調製されたシリコーンベースポリマーに過剰の水素化物含有シロキサンが加えられる。一実施形態においては、加硫前の混合された2液系、または2液系の混合プロセス中に、過剰の水素化物含有シロキサンが加えられる。代表的な一実施形態においては、シリコーンベースポリマーと過剰の水素化物含有シロキサンとは混合装置中で混合される。一例においては、混合装置は、射出成形機中のミキサーである。別の一例においては、混合装置は、生地ミキサー、Rossミキサー、2本ロールミル、またはBrabenderミキサーなどのミキサーである。
【0018】
過剰の水素化物含有シロキサンを含有するシリコーン材料は、フルオロポリマーに対して改善された接着性を示す。代表的なフルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、またはそれらのあらゆる組み合わせなどのモノマーから形成されたホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、またはポリマーブレンドから形成してもよい。たとえば、フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。一実施形態においては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を加工してもよい。加工としては、ペースト押出、スカイビング、発泡、二軸延伸、または延伸されたポリマーフィルムを挙げ得る。
【0019】
さらなる代表的なフルオロポリマーとしては、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー(MFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとを含むターポリマー(THV)、あるいはそれらのあらゆるブレンドまたはあらゆるアロイが挙げられる。たとえば、フルオロポリマーとしてはFEPを挙げ得る。さらなる一例においては、フルオロポリマーはPVDFを含んでもよい。代表的な一実施形態においては、フルオロポリマーは、e−ビームなどの放射線によって架橋可能なポリマーであってもよい。代表的な架橋性フルオロポリマーとしては、ETFE、THV、PVDF、またはそれらのあらゆる組み合わせを挙げ得る。THV樹脂は、Dyneon 3M Corporation Minneapolis,Minnより入手可能である。ECTFEポリマーは、Ausimont Corporation(イタリア)より商品名Halarで入手可能である。本発明において使用される他のフルオロポリマーはダイキン工業株式会社(日本)およびDuPont(USA)より入手可能である。特に、FEPフルオロポリマーは、ダイキン工業株式会社よりNP−12Xなどが市販されている。
【0020】
一般に、過剰の水素化物含有シロキサンを含むシリコーン材料は、フルオロポリマー表面のさらなる処理を行わなくても、フルオロポリマーに対して望ましい接着性を示す。あるいは、フルオロポリマーは、接着性をさらに向上させるために処理してもよい。一実施形態においては、フルオロポリマーとシリコーン材料との間の接着性は、フルオロポリマーの種々の表面処理を使用することによって改善してもよい。代表的な表面処理としては、化学エッチング、物理的機械的エッチング、プラズマエッチング、イオンビーム処理、コロナ処理、化学気相堆積、またはそれらのあらゆる組み合わせを挙げ得る。一実施形態においては、化学エッチングとしては、ナトリウムアンモニア法およびナトリウムナフタレン法が挙げられる。一実施形態においては、化学処理にはLudoxシリカ粒子が使用され、これは工業的にはChemlink法と呼ばれている。代表的な物理的機械的エッチングとしては、サンドブラストおよび空気研磨を挙げ得る。別の一実施形態においては、プラズマエッチングには、水素、酸素、アセチレン、メタン、ならびにそれらと窒素、アルゴン、およびヘリウムとの混合物などの反応性プラズマが使用される。コロナ処理には、アセトンなどの反応性炭化水素蒸気を使用してもよい。一実施形態においては、化学気相堆積は、アクリレート類、塩化ビニリデン、およびアセトンの使用を伴う。
【0021】
本発明のシリコーン材料およびフルオロポリマーの用途は多数存在する。たとえば、本発明のシリコーン材料およびフルオロポリマーは、たとえば、積層体、コーティング布、バリアおよび耐薬品性フィルム、分析用セプタム、ベアリング、医療機器、ならびに管材料およびホースなどの多層物品の製造に使用してもよい。管材料としては、たとえば蠕動ポンプの管材料が挙げられる。特定の一実施形態においては、本発明のシリコーン材料およびフルオロポリマーは、キャップ中に使用される分析用セプタムとして使用してもよい。キャップとしては、あらゆる好適なキャップクロージャー、たとえば、圧着シールクロージャーキャップ、スナップキャップクロージャー、およびスクリューキャップクロージャーを挙げ得る。キャップは、オープントップキャップクロージャーおよびクローズドトップキャップクロージャーを挙げ得る。キャップ中のセプタムを配置するためのあらゆる妥当な方法を想定し得る。
【0022】
物品100の代表的な一実施形態を図2中に示す。物品100は、主面104を有するフルオロポリマー層102を含む。フルオロポリマー層102の主面104の上にシリコーン材料層106が重ねられる。一実施形態においては、フルオロポリマー層102の主面104は表面処理される。特定の一実施形態においては、フルオロポリマー層102は、シリコーン材料層106に直接接触し、その上に直接配置される。典型的には、フルオロポリマー層102とシリコーン材料層106との間に介在層は存在しない。
【0023】
一実施形態においては、本発明の物品は、シリコーン材料を含む第1の層を提供するステップを含む方法によって形成してもよい。一実施形態においては、このシリコーン材料は、高コンシステンシーゴム(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)のシリコーンベースポリマーを含む。過剰の水素化物含有シロキサンがシリコーンベースポリマーと混合される。次に、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを加工してもよい。たとえば、高コンシステンシーゴムと水素化物含有シロキサンとの加工としては、押出成形、外被形成、編組、フィルムとしての加工、圧縮成形、およびオーバーモールドなどのあらゆる好適な方法を挙げ得る。別の一例においては、液体シリコーンゴムと水素化物含有シロキサンとの加工としては、圧縮成形、オーバーモールド、液体射出成形、LSRと熱可塑性材料との同時加工、コーティング、または薄膜としての加工などのあらゆる好適な方法を挙げ得る。
【0024】
本発明の方法は、フルオロポリマー層である第2の層を第1の層上に提供するステップをさらに含む。典型的には、フルオロポリマー層は、押出成形、流延、またはスカイビングを行ってもよい。一実施形態においては、フルオロポリマー層は、望ましい表面特性を得るために表面処理してもよい。第2の層を第1の層上に提供する前に任意の表面処理が行われる。一実施形態においては、第1の層を第2の層の上に重ねて直接接触させることで、物品が形成される。特に、介在層が全く使用されずに、第1の層が第2の層の上に重ねられる。
【0025】
特定の一実施形態においては、プライマー処理されていないフルオロポリマーを含有するシリコーン/フルオロポリマー物品は、望ましいVOC量を実現するためにプリベークを行う必要はない。さらに、プライマー処理されていないフルオロポリマーを含有するシリコーン/フルオロポリマー物品は、所望のVOC量を実現するために必要なポストベーク時間が短くなる。対照的に、プライマー処理されたフルオロポリマーを含むシリコーン/フルオロポリマー積層体は、典型的にはプリベークが行われる。たとえば、プライマーを含むシリコーン材料は、プライマー処理されたフルオロポリマー層をシリコーン材料上に重ねる前に200℃で4時間プリベークされる。プライマー処理されたフルオロポリマーを含むシリコーン/フルオロポリマー積層体は、所望のVOCに到達するために200℃において少なくとも10時間のポストベークが必要であり;しかし、この時間および温度でポストベークを行うと、シリコーン材料の分解が生じることがある。プライマー処理されていないフルオロポリマーに接着する、過剰の水素化物含有シロキサンを含有する本発明のシリコーン材料は、プライマーを実質的に有さない。本明細書において使用される場合「実質的に有さない」は、従来の利用可能なあらゆるプライマーを含まないシリコーン材料を意味する。特に、従来のプライマーは、全シリコーン材料の約0.001重量%を超える量では、シリコーン材料中に存在し得ない。典型的には、従来のプライマーは90%を超えるVOCを含有し得る。
【0026】
物品が形成された後、加硫のために物品の熱処理が行われる。たとえば、熱処理の条件によって、シリコーン材料のフルオロポリマーおよび金属に対する選択的接着性が得られる。熱処理は典型的には約125℃〜約200℃の温度で行われる。一実施形態においては、熱処理は約150℃〜約200℃の温度で行われる。典型的には、熱処理は、約1分〜約60分、たとえば約1分〜約30分、またはたとえば約1分〜約10分の時間で行われる。一実施形態においては、熱処理は約200℃の温度において約30分未満の時間で行われる。一実施形態においては、熱処理は約200℃の温度において約1分〜約10分の時間で行われる。特定の一実施形態においては、熱処理は約200℃の温度において約5分未満の時間で行われる。
【0027】
一実施形態においては、本発明の物品はポストベークを行ってもよい。たとえば、ポストベークの条件によって、物品中に含まれる残留VOCの除去が促進される。一実施形態においては、ポストベークは約180℃〜約200℃の温度で行ってもよい。典型的には、ポストベークは最長約2時間の時間で行われる。一実施形態においては、ポストベークは約200℃の温度において約2時間の時間で行われる。
【0028】
一実施形態においては、本発明の物品が形成された後に、放射線架橋または放射線硬化を行ってもよい。放射線は、シリコーン材料の架橋に有効となり得る。シリコーン材料中のポリマー分子が層内で架橋することによって、硬化した材料が得られ、物品のシリコーン材料に構造強度が付与される。さらに、放射線は、層間架橋などによって、シリコーン材料とフルオロポリマーとの間に結合を生じさせ得る。特定の一実施形態においては、フルオロポリマーとシリコーン材料との間の層間架橋結合の組み合わせによって、層間剥離に対する抵抗性が高く、高品質の接着抵抗性保護表面を有し、最小量の接着抵抗性材料を含み、さらに物品の有利な取り扱いおよび配置に関して物理的に丈夫である一体化された複合材料が得られる。特定の一実施形態においては、放射線は170nm〜400nmの間、たとえば約170nm〜約220nmの波長を有する紫外電磁放射線であってもよい。一例においては、架橋は少なくとも約120J/cmの放射線を使用して行ってもよい。
【0029】
代表的な物品の1つは多層管200である。図3中に示されるように、多層管200は、中心に中空の孔を有する細長い環状構造である。多層管200は、カバー201、補強層202、結合層203、およびライナー204を含む。典型的には、カバー201および結合層203は本発明のシリコーン材料である。一実施形態においては、補強層202はシリコーン材料を含み、補強層202のシリコーン材料中に実質的に埋め込まれた補強部材を有する。本明細書において使用される場合「実質的に埋め込まれた」は、補強部材の全表面積の少なくとも25%、たとえば少なくとも約50%、またはさらには100%がシリコーン材料中に埋め込まれている補強部材を意味する。補強部材は、多層物品の補強特性を増加させるあらゆる材料であってよい。たとえば、補強部材としては、天然繊維、合成繊維、またはそれらの組み合わせを挙げ得る。一実施形態においては、繊維は、編地、レイドスクリム布、編組布、織布、または不織布の形態であってもよい。代表的な補強繊維としては、ガラス、アラミド類、ポリアミド類、ポリエステル類などが挙げられる。代表的な一実施形態においては、シリコーン材料中に実質的に埋め込まれた補強部材はポリエステル材料を含む。一実施形態においては、補強層の厚さは、約5.0mm未満、たとえば約2.0mm以下であってもよい。一実施形態においては、カバー201、補強層202、および結合層203のシリコーン材料は、同じであっても、異なっていてもよい。特定の一実施形態においては、補強層202および結合層203のシリコーン材料は同じものである。一実施形態においては、ライナー204は本発明のフルオロポリマーである。
【0030】
代表的な一実施形態においては、多層管は2つの層、たとえばカバーおよびライナーを含む。一実施形態においては、カバーは、ライナーの外面に沿ってライナーに直接接触してもよく、直接接着してもよい。たとえば、カバーは、接着層が介在せずにライナーに直接接着してもよい。一実施形態においては、多層管の一部として第3の層を含んでもよい。補強層、ポリマー層、接着層などのあらゆる適切な層を想定し得る。
【0031】
本発明の多層管は、フルオロポリマーライナーの上にシリコーン材料カバーを押出成形する、または巻き付ける方法によって形成してもよい。ライナーは、管の中心の内腔を画定する内面を含む。カバーを押出成形する前に、ライナーの外面に表面処理を使用することによって、ライナーとカバーとの間の接着性を改善してもよい。表面処理としては、化学エッチング、物理的機械的エッチング、プラズマエッチング、コロナ処理、化学気相堆積、またはそれらのあらゆる組み合わせを挙げ得る。一実施形態においては、化学エッチングとしては、ナトリウムアンモニア法およびナトリウムナフタレン法が挙げられる。物理的機械的エッチングとしては、サンドブラストおよび空気研磨を挙げ得る。別の一実施形態においては、プラズマエッチングでは、水素、酸素、アセチレン、メタン、ならびにそれらと窒素、アルゴン、およびヘリウムとの混合物などの反応性プラズマが使用される。コロナ処理には、アセトンなどの反応性炭化水素蒸気を使用してもよい。一実施形態においては、化学気相堆積は、アクリレート類、塩化ビニリデン、またはアセトンの使用を伴う。
【0032】
代表的な一実施形態においては、シリコーン材料を含有する層201、202、203をフルオロポリマーライナー204の上に形成する方法によって、多層管200を形成してもよい。一実施形態においては、シリコーン材料を含有する層201、202、203は、一緒に押出成形されるか、別々に押出成形されるか、または別々に巻き付けられる。ライナー204は、管200の中心の内腔を画定する内面205を含む。シリコーンを含有する層を形成する前に、ライナー204の外面206に表面処理を使用することによって、ライナー204と結合層203との間の接着性を改善してもよい。表面処理としては、化学エッチング、物理的機械的エッチング、プラズマエッチング、コロナ処理、化学気相堆積、またはそれらの組み合わせを挙げ得る。一実施形態においては、化学エッチングとしては、ナトリウムアンモニア法およびナトリウムナフタレン法が使用される。物理的機械的エッチングとしては、サンドブラストおよび空気研磨を挙げ得る。別の一実施形態においては、プラズマエッチングには、水素、酸素、アセチレン、メタン、ならびにそれらと窒素、アルゴン、およびヘリウムとの混合物などの反応性プラズマが使用される。コロナ処理には、アセトンなどの反応性炭化水素蒸気を使用してもよい。一実施形態においては、化学気相堆積は、アクリレート類、塩化ビニリデン、またはアセトンの使用を伴う。
【0033】
多層管が形成された後、多層管に対して、熱処理、ポストベーク、放射線架橋、放射線硬化、またはそれらの組み合わせを行ってもよい。
【0034】
一般に、カバー201は、ライナー204よりも厚い。多層管200の全体の管の厚さは、少なくとも約3ミル〜約50ミルであってもよく、たとえば約3ミル〜約20ミル、または約3ミル〜約10ミルであってもよい。一実施形態においては、ライナー204の厚さは、約1ミル〜約20ミルであり、たとえば約3ミル〜約10ミル、または約1ミル〜約2ミルである。
【0035】
代表的な一実施形態においては、本発明のシリコーン材料は、有利には選択的な剥離強度を示す。一実施形態においては、本発明のシリコーン材料はフルオロポリマーに実質的に接着し、金属には実質的に接着しない。一実施形態においては、「実質的に接着する」とは、フルオロポリマーに塗布した場合に望ましい剥離強度を示すシリコーン材料を意味する。特に、剥離強度は非常に高くてもよく、または物品は試験中に凝集破壊を示す場合さえあり得る。本明細書において使用される場合「凝集破壊」は、シリコーン材料とフルオロポリマーとの間の接着が破壊される前に、シリコーン材料または物品が破壊されることを示している。一実施形態においては、シリコーン材料およびフルオロポリマーは、標準的な180°剥離強度試験で試験した場合に、剥離強度が少なくとも約10.0ポンド/インチ(ppi)、たとえば少なくとも約15.0ppi、たとえば少なくとも約20.0ppiとなり、あるいはさらには凝集破壊を引き起こすのに十分な剥離強度となる。代表的な一実施形態においては、シリコーン材料は金属に実質的に接着しない。「実質的に接着しない」とは、標準的な180°剥離強度試験で試験した場合に、室温におけるシリコーン材料の金属に対する剥離強度が約10.0ポンド/インチ(ppi)以下であることを意味する。一実施形態においては、室温におけるシリコーン材料の金属に対する剥離強度は、約7.5ppi以下、またはさらには約5.0ppi以下であってもよい。一実施形態においては、シリコーン材料は、フルオロポリマーに対して少なくとも約10.0ppiの剥離強度を示し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を示す。ある実施形態においては、シリコーン材料は、フルオロポリマーに対して少なくとも約15.0ppiの剥離強度を示し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を示す。一実施形態においては、シリコーン材料は、フルオロポリマーに対して少なくとも約20.0ppiの剥離強度を示し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を示す。
【0036】
本発明のシリコーン材料の選択的接着性は、製造ライン中で特に有用となる。従来の製造ライン中で、過剰の水素化物含有シロキサンを有するシリコーン材料は金属ロールに実質的に接着しない。特定の一実施形態においては、金属ロールは、シリコーン材料の金属への接着を防止するあらゆる従来のまたは市販のコーティングを使用したコーティングや保守は行われない。PTFE基材に対して選択的接着性であると、加硫プロセス後にシリコーン層を熱いロールから容易に除去することが可能となる。過剰の水素化物含有シロキサンを有するシリコーン材料を使用するとプライマーが不要となるので、プライマーを製造プロセスに加えるあらゆる従来のステップを省略することもできる。
【0037】
有利には、本発明の物品は望ましい物理的性質を有してもよい。シリコーン材料をフルオロポリマー層に接着するためにプライマーが使用されないので、製造された物品は所望の揮発性有機汚染物質(VOC)量を有する。たとえば、プライマー処理されていないPTFE層を含有する物品のVOC量は、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC MS)によって測定される4−メチル−2−ペンタノンに関して、実質的に検出できない。実質的に検出できないとは、GC MSによって測定して約2.0ppb未満の量で4−メチル−2−ペンタノンが測定されることを意味する。対照的に、プライマー処理されたPTFEを含む物品は、GC MSによって測定される4−メチル−2−ペンタノンが約10ppb(十億分率)を超える。
【0038】
上記開示の多層管の特定の実施形態は、有利には、化学安定性、流動安定性、および寿命の延長などの望ましい性質を示す。たとえば、本発明の多層管は、約200時間を超えるポンプ寿命を有してもよい。
【実施例】
【0039】
実施例1
性能を調べるために5つの配合物を調製する。具体的には、水素化物含有ポリジアルキルシロキサン(水素化物と記載する)を、ビニル含有ポリジアルキルシロキサンのシリコーンベースポリマー、シリカフィラー、および第3の成分の白金触媒に加える。混合プロセスは2本ロールミル中で行う。水素化物/シリコーンベースポリマー比は、ベースゴムの0.4〜2重量%(phr、シリコーンベースポリマー100部当たりの部数)の間である。すべての配合物で触媒添加量は1%phrである。水素化物含有ポリジアルキルシロキサンは、Hanse ChemieよりCross Linker 100の商品名で入手可能である。白金触媒は、WackerよりEl−Aux−Pt1の商品名で購入される。シリコーンベースポリマーは、Momentiveの製品のSE 6035である。配合物のデータを表1中に示している。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例2
これら5つのシリコーン材料配合物のナトリウムナフタレン法でエッチングしたPTFEおよびステンレス鋼に対する接着特性を評価する。約1mm〜約2mmの厚さを有するシリコーン層を2種類の基材上に圧縮成形し、成形条件は約200℃で約3分である。剥離試験にはInstron 4465試験機を使用する。シリコーン材料層および基材をInstronグリップ中に固定する。次にグリップを垂直方向に2インチ/分の速度で横断させ、これによってシリコーンを180°で基材から引き離す。180°剥離試験の結果を表2中にまとめている。比較の目的で、対照材料の市販のHCRに関する剥離試験結果もこの表中に含めている。
【0042】
【表2】

【0043】
配合物3、4、および5では、シリコーン材料とナトリウムナフタレン法でエッチングしたPTFEとの間で凝集破壊が観察される。配合物4および5では、シリコーン材料とナトリウムナフタレンでエッチングしたFEPとの間で凝集破壊が観察される。したがって、接着力がシリコーン材料の強度よりも大きい。凝集破壊が起こる場合、剥離強度は典型的には20.0ppiを超える。
【0044】
本発明のシリコーン材料とフルオロポリマー層との間の接着強度は、配合物中の水素化物添加量が増加すると増加する。水素化物含有率が、PTFEの場合では0.97phrを超えると、FEPの場合では1.46phrを超えると、高い接着強度が観察される。本発明の配合物は、PTFE基材およびFEP基材に対して自己接着性のHCRとなる。シリコーン材料とステンレス鋼との間の接着強度は、配合物中の最大添加量(1.95phr)の場合でさえも、依然として6.2ppi未満となる。本発明のシリコーン材料とアルミニウムとの間の接着強度は、配合物中の最大添加量(1.95phr)の場合でさえも、依然として7.5ppi未満となる。本発明のシリコーン材料のPTFEおよびFEPに対する接着は、ステンレス鋼に対する接着の実質的に3倍を超え、アルミニウムに対する接着のほぼ3倍となる。配合物3、4、および5は、PTFEと金属との間で良好な選択的接着特性を示す。配合物4および5は、FEPと金属との間で良好な選択的接着特性を示す。
【0045】
GC MSによってVOC量を測定すると、実施例において使用したプライマー処理していないPTFEにおいて4−メチル−2−ペンタノンが検出されるが、一方、プライマー処理したPTFEにおいては10ppbを超える4−メチル−2−ペンタノンが測定される。
【0046】
実施例3
性能を調べるために1つの配合物を調製する。具体的には、水素化物含有ポリジアルキルシロキサン(水素化物と記載)を市販のLSRゴムに加える。混合プロセスは、2つの混合ステップ中で生地ミキサー中で行う。水素化物/LSR比は、ベースゴムの約1.46重量%(phr、シリコーンベースポリマー100部当たりの部数)である。水素化物含有ポリジアルキルシロキサンは、Hanse ChemieよりCross Linker 100の商品名で市販されている。LSRベースポリマーは、Wackerの製品のLR3003/50である。
【0047】
実施例4
ナトリウムナフタレン法でエッチングしたPTFEおよびステンレス鋼に対する実施例3の接着特性を評価する。約1mm〜約2mmの厚さを有するシリコーン層を、上記2種類の基材上で圧縮成形し、成形条件は約200℃で約3分である。剥離試験にはInstron 4465試験機を使用する。シリコーン材料層および基材をInstronグリップ中に固定する。次にグリップを垂直方向に2インチ/分の速度で横断させ、これによってシリコーンを180°で基材から引き離なす。180°剥離試験の結果を表2中にまとめている。比較の目的で、対照材料のベースゴムWacker LR3003/50に対する剥離試験結果もこの表中に含めている。
【0048】
【表3】

【0049】
実施例3は、ナトリウムナフタレン法でエッチングしたPTFEに対する接着強度が、ベースゴムの接着強度の8倍である。
【0050】
実施例1および2と同様に、エッチングしたPTFEおよびステンレス鋼に対するシリコーン材料の接着強度の間に大きな差があることが分かった。3のPTFEに対する接着強度は、ステンレス鋼に対する接着強度の9倍である
【0051】
以上に開示の主題は、説明的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内にあるこのようなすべての修正、向上、およびその他の実施形態を含むことを意図している。したがって、本発明の範囲は、法律によって許容される最大限まで、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の許容される最も広い解釈によって決定されるべきであり、以上の詳細な説明によって制限されたり限定されたりすべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含む第1の層であって、前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する第1の層と;
フルオロポリマーを含む第2の層と
を含む物品であって、
前記第1の層が、前記第2の層に対して少なくとも約10.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を有する、物品。
【請求項2】
前記第1の層が、前記第2の層に対して少なくとも約15.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1の層が、前記第2の層に対して少なくとも約20.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約5.0ppi以下の剥離強度を有する、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記金属がステンレス鋼、鋼、アルミニウム、チタン、またはそれらの組み合わせである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
前記シリコーンベースポリマーがポリアルキルシロキサンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
前記ポリアルキルシロキサンに白金触媒が使用されている、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記ポリアルキルシロキサンが高コンシステンシーゴム状物質(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)である、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記水素化物含有シロキサンが水素化物含有ポリジアルキルシロキサンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.4重量%〜約2.0重量%で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、またはテトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
前記フルオロポリマーが化学エッチングされる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC MS)によって測定して、4−メチル−2−ペンタノンが実質的に検出できない揮発性有機汚染物質(VOC)量を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の物品。
【請求項13】
前記第1の層が前記第2の層上に直接配置される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の物品。
【請求項14】
前記第1の層がプライマーを実質的に有さない、請求項1〜13のいずれか1項に記載の物品。
【請求項15】
シリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含む第1の層であって、前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する第1の層と;
フルオロポリマーを含む第2の層と
を含む物品であって、
ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC MS)によって測定して、4−メチル−2−ペンタノンが実質的に検出できない揮発性有機汚染物質(VOC)量を有する、物品。
【請求項16】
前記シリコーンベースポリマーがポリアルキルシロキサンである、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記ポリアルキルシロキサンに白金触媒が使用されている、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記ポリアルキルシロキサンが高コンシステンシーゴム状物質(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)である、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記水素化物含有シロキサンが水素化物含有ポリジアルキルシロキサンである、請求項15〜18のいずれか1項に記載の物品。
【請求項20】
前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.4重量%〜約2.0重量%で存在する、請求項15〜19のいずれか1項に記載の物品。
【請求項21】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、またはテトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)である、請求項15〜20のいずれか1項に記載の物品。
【請求項22】
前記フルオロポリマーが化学エッチングされる、請求項15〜21のいずれか1項に記載の物品。
【請求項23】
前記第1の層が前記第2の層上に直接配置される、請求項15〜22のいずれか1項に記載の物品。
【請求項24】
前記第1の層がプライマーを実質的に有さない、請求項15〜23のいずれか1項に記載の物品。
【請求項25】
管であって:
フルオロポリマーを含むライナーと;
前記ライナーの上に重ねられる結合層であって、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを含むシリコーン材料を含み、前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在する結合層と;
前記結合層の上に重ねられる補強層であって、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを含むシリコーン材料を含み、前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在し、少なくとも1つのポリエステル補強部材が前記シリコーン材料中に実質的に埋め込まれている補強層と;
前記補強層の上に重ねられるカバー層であって、シリコーンベースポリマーと水素化物含有シロキサンとを含むシリコーン材料を含み、前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.1重量%〜約5.0重量%で存在するカバー層と
を含む、管。
【請求項26】
前記シリコーンベースポリマーがポリアルキルシロキサンである、請求項25に記載の管。
【請求項27】
前記ポリアルキルシロキサンに白金触媒が使用されている、請求項26に記載の管。
【請求項28】
前記ポリアルキルシロキサンが高コンシステンシーゴム状物質(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)である、請求項26に記載の管。
【請求項29】
前記水素化物含有シロキサンが水素化物含有ポリジアルキルシロキサンである、請求項25〜28のいずれか1項に記載の管。
【請求項30】
前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.4重量%〜約2.0重量%で存在する、請求項25〜29のいずれか1項に記載の管。
【請求項31】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、またはテトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)である、請求項25〜30のいずれか1項に記載の管。
【請求項32】
前記フルオロポリマーが化学エッチングされる、請求項25〜31のいずれか1項に記載の管。
【請求項33】
前記カバーが前記ライナー上に直接配置される、請求項25〜32のいずれか1項に記載の管。
【請求項34】
前記カバーがプライマーを実質的に有さない、請求項25〜33のいずれか1項に記載の管。
【請求項35】
物品の製造方法であって:
第1の層を提供するステップであって、前記第1の層がシリコーンベースポリマーおよび水素化物含有シロキサンを含み、前記水素化物含有シロキサンが前記シリコーンベースポリマーの約0.4重量%〜約2.0重量%で存在するステップと;
前記第1の層上に直接配置される第2の層を提供して物品を形成するステップであって、前記第2の層がフルオロポリマーを含むステップと;
前記物品を加熱するステップと
を含む、方法。
【請求項36】
前記物品を加熱する前記ステップが、約125℃〜約200℃の温度において約1分〜約60分の時間行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記物品を加熱する前記ステップが、約200℃の温度において約1分〜約10分の時間行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の層を提供するステップの前に、前記第2の層の表面処理を行うステップをさらに含む、請求項35〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記表面処理が、化学エッチング、物理的機械的エッチング、プラズマエッチング、コロナ処理、化学気相堆積、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記表面処理が化学エッチングである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の層がプライマーを実質的に有さない、請求項35〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の層が、前記第2の層に対して少なくとも約10.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を有する、請求項35〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の層が、前記第2の層に対して少なくとも約15.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約7.0ppi以下の剥離強度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の層が、前記第2の層に対して少なくとも約20.0ppiの剥離強度を有し、金属に対して約5.0ppi以下の剥離強度を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC MS)によって4−メチル−2−ペンタノンが実質的に検出できない揮発性有機汚染物質(VOC)量を有する、請求項35〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記シリコーンベースポリマーがポリアルキルシロキサンである、請求項35〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリアルキルシロキサンに白金触媒が使用されている、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリアルキルシロキサンが高コンシステンシーゴム状物質(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記水素化物含有シロキサンが水素化物含有ポリジアルキルシロキサンである、請求項35〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、またはテトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)である、請求項35〜49のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−529540(P2012−529540A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514232(P2012−514232)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/037766
【国際公開番号】WO2010/144444
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(500149223)サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション (64)
【Fターム(参考)】