説明

シリンジパッケージ装置およびそれを備えたプレフィルドシリンジ製造装置

【課題】所定数のシリンジをパッケージするシリンジパッケージ装置を提供する。
【解決手段】本発明のシリンジパッケージ装置200は、所定数のシリンジ10を1つのシリンジ保持体100に保持させて該所定数のシリンジを1つにパッケージするものであって、所定数のシリンジを各シリンジの軸方向が平行で且つ軸方向に対して直交方向に一列に整列させることにより、各シリンジのグリップ部を介して各シリンジを同一姿勢にしつつ最密状態に配列する第1のシリンジ配列手段P1と、第1のシリンジ配列手段に配列されたシリンジ間に挿入されて該シリンジ間を所定の間隙にすることにより、所定数のシリンジを所定のピッチで配列する第2のシリンジ配列手段P2と、第2のシリンジ配列手段に配列された所定数のシリンジにシリンジ保持体を取り付けることにより、所定数のシリンジを同一姿勢の所定のピッチで1つにパッケージするシリンジパッケージ手段P3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフィルドシリンジの製造装置に関するものであり、特に、製造されたプレフィルドシリンジをパッケージするシリンジパッケージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレフィルドシリンジは、概略、シリンジ外筒体を搬送しつつ、搬送されている該シリンジ外筒体にプランジャーロッドを除く他のプレフィルドシリンジの構成要素を組み付けるとともに薬液を充填することにより製造される。このようなプレフィルドシリンジの製造方法として、例えば特許文献1のものがある。これは、シリンジに薬液を充填する方法に関するものである。
【0003】
製造されたプレフィルドシリンジの一部は、出荷される前に収容している薬液を検査される。検査を受けるまで、プレフィルドシリンジは、保管の利便性を考慮して、所定数が一時的にパッケージされた状態で保管される。プレフィルドシリンジのパッケージは、所定数のプレフィルドシリンジを1つのシリンジ保持体に保持させることにより行われ、そのパッケージ作業は手作業で行われている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−204678公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、プレフィルドシリンジの製造速度(単位時間あたりの製造本数)が増加し、手作業によるパッケージ作業が困難になっている。
【0006】
そこで、本発明は、所定数のプレフィルドシリンジを1つのシリンジ保持体に保持させることにより該所定数のプレフィルドシリンジをパッケージすることができるシリンジパッケージ装置およびそれを用いたプレフィルドシリンジ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るシリンジパッケージ装置は、
所定数のシリンジを1つのシリンジ保持体に保持させることにより該所定数のシリンジを1つにパッケージするシリンジパッケージ装置であって、
所定数のシリンジを、各シリンジの軸方向が平行で且つ軸方向に対して直交方向に一列に整列させることにより、各シリンジのグリップ部を介して各シリンジを同一姿勢にしつつ最密状態に一列に配列する第1のシリンジ配列手段と、
第1のシリンジ配列手段により配列されたシリンジ間に挿入されて該シリンジ間を所定の間隙にすることにより、所定数のシリンジを所定のピッチで配列する第2のシリンジ配列手段と、
第2のシリンジ配列手段により配列された所定数のシリンジにシリンジ保持体を取り付けることにより、所定数のシリンジを同一姿勢の所定のピッチで1つにパッケージするシリンジパッケージ手段を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシリンジパッケージ装置において、第1のシリンジ配列手段は、整列前に、シリンジのグリップ部の長手方向が配列方向と異なるようにグリップ部を介して各シリンジを軸中心に回転させるように構成されてもよい。
【0009】
また、本発明に係るシリンジパッケージ装置において、第2のシリンジ配列手段は、シリンジの配列方向に上記所定のピッチで並んだ複数の凸部が形成された挟持面を有する複数のチャックを有し、複数のチャックが最密状態で配列する所定数のシリンジを一部ずつ順に挟持して各シリンジを凸部の間で収容することにより、所定数のシリンジを所定のピッチで配列するように構成してもよい。
【0010】
上述の複数のチャックは、最密状態で配列する所定数のシリンジを、配列方向に関して先頭のシリンジから順に、または最後尾のシリンジから順に挟持してもよい。
【0011】
さらに、本発明に係るシリンジパッケージ装置において、シリンジ保持体は各シリンジのグリップ部とシリンジの軸方向から係合するように構成されており、シリンジパッケージ手段は、シリンジ保持体を同一姿勢の所定のピッチで配列する所定数のシリンジのグリップ部上に配置し、シリンジ保持体を所定数のシリンジのグリップ部に向かって一部分ずつ押圧することにより、シリンジ保持体に少なくとも1つずつシリンジのグリップ部を係合させるように構成されてもよい。
【0012】
上述のシリンジパッケージ手段は、所定のピッチで配列する所定数のシリンジにおいて配列方向に関して先頭のシリンジから順に、または最後尾のシリンジから順にグリップ部がシリンジ保持体に係合するようにシリンジ保持体を押圧してもよい。
【0013】
さらにまた、本発明に係るシリンジパッケージ装置において、シリンジは、外筒体の内部に嵌入された2つの栓体と2つの栓体の間に形成された液密な空間に充填された薬液を有するプレフィルドシリンジであってもよい。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るプレフィルドシリンジ製造装置は、
シリンジの外筒体の内部に2つの栓体を嵌入して2つの栓体の間に形成された液密な空間内に薬液を充填する薬液充填装置と、
上記のシリンジパッケージ装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手作業で行っていた所定数のシリンジを1つにパッケージするパッケージ作業がシリンジパッケージ装置によって行われる。したがって、プレフィルドシリンジの製造速度の増加にも対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、プレフィルドシリンジを製造するプレフィルドシリンジ製造装置に関するものであり、特に、所定数のプレフィルドシリンジを1つのシリンジ保持体に保持させることにより該所定数のプレフィルドシリンジを1つにパッケージするシリンジパッケージ機構(シリンジパッケージ装置)に関するものである。
【0017】
図1は、シリンジパッケージ装置によってパッケージされた状態の複数のプレフィルドシリンジを示している。シリンジパッケージ装置は、所定数の符号10で示されるプレフィルドシリンジを、符号100が付された保持体(以下、「パッケージストリップ」と称する。)に取り付けるように構成されている。
【0018】
まず、パッケージされるプレフィルドシリンジ10について図2を用いて説明する。図に示すように、プレフィルドシリンジ10は、中心軸Cに沿って配置された、円筒体(以下、「バレル」と称する。)12と、バレル12内に圧入される2つの栓体14、16と、2つの栓体14、16の間に収容される薬液18と、バレル12の一端に取り付けられたフィンガーグリップ20と、バレル12の他端に取り付けられるとともに後述の針支持体を支持するハブルアロック22と、注射針24を支持する針支持体26と、注射針24を保護するプロテクタ28と、栓体16に取り付けられるプランジャーロッド30から構成される。
【0019】
バレル12は、ガラスなどの透明部材で作製されており、この内部に薬液18が収容される。
【0020】
栓体14、16は、概ね円柱形状であってゴムなどの弾性体で作製されている。栓体16は、プレフィルドシリンジ12の使用時、薬液18を外部に押し出すピストンとして機能する。また、栓体16は、後述するように、プランジャーロッド30と係合するためのめねじ部32を有する。一方、栓体14は、保管時、栓体16とバレル12と協働して薬液18を収容する空間(容器)を形成する役割をする。
【0021】
フィンガーグリップ20は、後述するようにパッケージストリップ100によって保持されるプレフィルドシリンジ10の部分である。フィンガーグリップ20は、バレル12の一端が嵌入される円筒部34と、指を掛けるための円筒部34に形成されたフランジ状、詳しくは、輪郭が概長方形のフランジ状のグリップ部36で構成される。
【0022】
ハブルアロック22は、針支持体26を支持するとともにバレル12の他端が嵌入可能に形成され、バレル12と該針支持体26を連結する。また、ハブルアロック22は、プレフィルドシリンジ12の使用時に栓体14が収容される収容部38を有する。収容部38を形成する内周面には、収容部38に栓体14が収容されてもバレル12内の薬液18が針支持体26に向かって流れるように、針支持体26に通ずる流路40とバレル12内とを連絡する溝42が形成されている。
【0023】
針支持体26は、注射針24を支持するとともに該注射針24内部とハブルアロック22の流路40を連絡するように構成されている。
【0024】
プロテクタ28は、プレフィルドシリンジ10が使用されるまで注射針24を保護するキャップ状のもので、ハブルアロック22と着脱可能に係合するように構成されている。
【0025】
プランジャーロッド30には、栓体16に形成されためねじ部32と係合するおねじ部44が一端に形成されている。プランジャーロッド30は、パッケージストリップ100にプレフィルドシリンジ10が保持されているときには栓体18から外されており、プレフィルドシリンジ10の使用時に使用者によってフィンガーグリップ20のプランジャーロッド挿入口(円筒部34の開口)46から挿入されて栓体16に取り付けられる。
【0026】
図1に戻って、パッケージストリップ100は、樹脂などで作製されたフレキシブル性を有する概ねストリップ形状であって、本体102の表側面104に所定数のプレフィルドシリンジ10それぞれを保持するための所定数の保持部106を有する。保持部106は、パッケージストリップ100の長尺方向108に所定のピッチで設けられている。
【0027】
保持部106は、パッケージストリップ100の幅方向110に関して対向してプレフィルドシリンジ10のグリップ部36を着脱可能に把持する一対の爪部112と、フィンガーグリップ20のプランジャーロッド挿入口46の口縁と係合してプレフィルドシリンジ10を長尺方向108に移動することを規制する板状の凸部114から構成される。プレフィルドシリンジ10は、そのグリップ部36がパッケージストリップ100の表側面104と直交する方向から保持部106にスナップ係合して該パッケージストリップ100に保持される。
【0028】
パッケージストリップ100によって保持された所定数のプレフィルドシリンジ10は、各プレフィルドシリンジ10の中心軸Cが平行で且つ中心軸Cに対して直交する方向108に所定のピッチで一列に配列されるとともに、各プレフィルドシリンジ12がグリップ部36の長手方向(概長方形のフランジ状のグリップ部36の長尺方向)と方向108が略直交するような姿勢で保持されている。
【0029】
なお、本明細書において、「姿勢」は、プルフィルドシリンジ10のグリップ部36の長手方向の向きに関して使用される。例えば、図1に示す複数のプレフィルドシリンジ10は、各シリンジ10のグリップ部36の長手方向がパッケージストリップ100の幅方向110と一致しており、複数のプレフィルドシリンジ10は「同一姿勢」と表現される。
【0030】
ここからは、所定数のプレフィルドシリンジ10をパッケージストリップ100に取り付けるシリンジパッケージ装置について説明するが、その前に、シリンジパッケージ装置がパッケージするプレフィルドシリンジ10(プランジャーロッド30が取り付けられていない状態のプレフィルドシリンジ)を製造する、すなわちプレフィルドシリンジ製造装置に含まれるシリンジに薬液を充填する充填装置について、図2を参照しつつ簡単に説明する。
【0031】
充填装置(図示せず)は、概略、シリンジ外筒体(バレル12、フィンガーグリップ20、ハブルアロック22、針支持体26、プロテクタ28からなるアセンブリ)48を、例えばコンベア、スターホイール、タイミングスクリュー、ロボットアームなどの充填装置に含まれる搬送手段を用いて搬送しつつ、該シリンジ外筒体48に薬液18を充填する。薬液18のシリンジ外筒体48への充填は、まず、充填装置に含まれる打栓機(図示せず)によって栓体14がバレル12内のハブルアロック22側に圧入され、次に、栓体14が圧入されたシリンジ外筒体48に薬液充填機(図示せず)によって薬液18が充填され、続いて、薬液18が充填されたシリンジ外筒体48に栓体16が打栓機によって圧入されることにより行われる。
【0032】
ここからは、本発明の一実施形態に係るシリンジパッケージ装置を、図3に示す概略的な構成図を参照しながら説明する。
【0033】
図において符号200で示されるシリンジパッケージ装置は、概略、充填装置から供給された異なる姿勢の複数のプレフィルドシリンジ10を、まず、同一姿勢にしつつ最密状態で配列し、続いて、同一姿勢の所定数のプレフィルドシリンジ10を所定のピッチで配列し、所定のピッチで配列された同一姿勢の所定数のプレフィルドシリンジ10にパッケージストリップ100を取り付けるように構成されている。
【0034】
なお、本明細書において、「最密状態」は、複数のプレフィルドシリンジ10の配列状態を示しており、具体的には、各プレフィルドシリンジ10が密接し合うとともにグリップ部36の長手方向がプレフィルドシリンジ10の配列方向と直交しているような最も高密度に一列に配列している状態をいう。
【0035】
また、シリンジパッケージ装置200は、プレフィルドシリンジ10を、常に中心軸C方向が鉛直方向と略一致しつつグリップ部36が上側に位置する状態で扱うように構成されている。
【0036】
シリンジパッケージ装置200は、概略、3つの領域に分けられ、複数のプレフィルドシリンジ10を同一姿勢の最密状態に配列する領域P1(請求の範囲の第1のシリンジ配列手段に対応)と、領域P1で最密状態に配列された所定数のプレフィルドシリンジ10を所定のピッチで配列する領域P2(第2のシリンジ配列手段)と、領域P2で所定のピッチで配列された所定数のプレフィルドシリンジ10をパッケージストリップ100でパッケージする領域P3(シリンジパッケージ手段)に分けられる。
【0037】
以下、シリンジパッケージ装置200の構成を、パッケージ作業の流れに沿って説明していく。
【0038】
シリンジパッケージ装置200の領域P1において、スターホイール202が設けられている。スターホイール202に、プレフィルドシリンジ10がタイミングスクリュー204を介して充填装置から供給される。スターホイール202は、外周に均等な間隔で設けられた複数の収容部(以下、「ポケット」と称する。)206にプレフィルドシリンジ10のバレル12部分(フィンガーグリップ20の円筒部34も含む)を該プレフィルドシリンジ10が中心軸C中心に回転可能に収容し、搬送ガイド208まで該プレフィルドシリンジ10を搬送するように構成されている。
【0039】
図4は、領域P1の拡大図であるとともに、プレフィルドシリンジ10の姿勢の変更を説明するためのものである。図4(b)は、図4(a)の状態から所定の時間経過後の状態を示している。
【0040】
シリンジパッケージ装置200は、プレフィルドシリンジ10を、スターホイール202で搬送しつつ姿勢変更するように構成されている。具体的には、プレフィルドシリンジ10は、スターホイール202のポケット206からリリースされて搬送ガイド208に放出される直前において、姿勢変更レバー210によって姿勢を変更される。
【0041】
姿勢変更レバー210は、シリンジパッケージ装置200の一部分212に設けられた鉛直方向に伸びる支持ピン214を中心にして水平面上を回転可能に該支持ピン214に支持されている。また、姿勢変更レバー210は、その一端の側面(以下、「規制面」と称する)216がスターホイール202に搬送されているプレフィルドシリンジ10のグリップ部36と当接するような位置に配置されている。規制面216は、プリフィルドシリンジ10が当接したときに、後述するように搬送ガイド208に沿って搬送されるプレフィルドシリンジ10の搬送方向218と略平行になるように姿勢変更レバー210に形成されている。
【0042】
さらに、姿勢変更レバー210は、規制面216とプレフィルドシリンジ10のグリップ部36とを所定の接触圧で当接させるために、支持ピン214を挟んで該規制面216と対向する位置に一端が固定されたばね220によって付勢されている(ばね220は、姿勢変更レバー210が支持ピン214を中心として時計回り方向に回転するように該姿勢変更レバー210を付勢している。)。
【0043】
また、プレフィルドシリンジ10のグリップ部36が規制面216に当接していないとき、該規制面216が搬送方向218と略平行になるように、ばね220による姿勢変更レバー210の回転の範囲がストッパ222によって制限されている。
【0044】
プレフィルドシリンジ10の姿勢変更について説明する。充填装置から供給されるプレフィルドシリンジ10の姿勢は同一でなくランダムであり、スターホイール202は、異なる姿勢のプレフィルドシリンジ10を搬送する。異なる姿勢でスターホイール202に搬送されるプレフィルドシリンジ10は、そのグリップ部36が姿勢変更レバー210の規制面216に当接すると、該グリップ部36の長手方向が搬送ガイド208の搬送方向218と略一致するような姿勢に変更される(図4(a)のシリンジ10a参照。)。
【0045】
図4(a)に示す状態からスターホイール202が回転し、図4(b)のシリンジ10aのようにスターホイール202から搬送ガイド208に放出される直前において規制面216の先端部分のみがグリップ部36aと当接している状態になると、姿勢変更レバー210がばね220によって支持ピン214を中心として時計回り方向に回転し、グリップ部36a(プレフィルドシリンジ10a)をその中心軸C中心に反時計回り回転させる。これにより、プレフィルドシリンジ10aは、グリップ部36aの長手方向が搬送方向218と一致しない姿勢で搬送ガイド208に放出される。
【0046】
プレフィルドシリンジ10が放出される搬送ガイド208は、図5に示すように、プレフィルドシリンジ10をフィンガーグリップ20の円筒部34でガイドしつつグリップ部36を支持するように、円筒部34を挟んで対向しつつ搬送方向218に伸びる2つの部材から構成されている。スターホイール202から放出されたプレフィルドシリンジ10は、図4に示すシリンジ10bのように搬送ガイド208に密接状態(最密状態ではない。)で整列されていく。
【0047】
この整列の過程において、搬送ガイド208に整列される各プレフィルドシリンジ10bは、そのグリップ部36bが先にスターホイール202から放出されたシリンジのグリップ部と後に放出されるシリンジのグリップ部に挟まれることによって中心軸C中心に回転され、グリップ部36bの長手方向が搬送方向218と略直交する姿勢に変更される。これは、スターホイール202から搬送ガイド208に放出されるとき、プレフィルドシリンジ10が、姿勢変更レバー210によってグリップ部36の長手方向が搬送方向218と一致しない姿勢に変更されることによる。これは、プレフィルドシリンジ10が、グリップ部36の長手方向が搬送方向218と一致する姿勢で搬送ガイド208に放出されると起こり難い。理由は、グリップ部36の輪郭が概長方形で、それにより整列の工程において先後のグリップ部に挟まれたグリップ部を有するプレフィルドシリンジが回転し難くいためである。そのため、プレフィルドシリンジ10は、グリップ部の長手方向が搬送方向218に一致した姿勢で搬送ガイド208に放出されると、整列の過程において姿勢変更できずに該姿勢のまま整列されることがある。
【0048】
結果、スターホイール202から放出される複数のプレフィルドシリンジ10は、グリップ部36の長手方向と搬送方向218が略直交する姿勢の最密状態に搬送ガイド208に整列されていく。
【0049】
なお、姿勢変更レバー210には、スターホイール202に搬送されているプレフィルドシリンジ10のグリップ部36との当接を回避するための湾曲部224が形成されている。これは、図4(b)に示すように、規制面216の先端がプレフィルドシリンジ10aを中心軸C中心に回転させて姿勢変更しているときに、次のプレフィルドシリンジ10cが姿勢変更レバー210に当接して該レバー210を押すことにより、姿勢変更が妨害されるのを防止するためである。言い換えると、湾曲部224は、姿勢変更レバー210にスターホイール202によって搬送されているプレフィルドシリンジ10が1つしか当接しないようにしている。当然ながら、スターホイール202のポケット206の配置間隔が大きく姿勢変更レバー210(湾曲部224がない場合のレバー)にプレフィルドシリンジ10が同時に2つ以上当接しない場合、湾曲部224をレバー210に形成する必要はない。
【0050】
図3に戻って、シリンジパッケージ装置200は、搬送ガイド208に搬送方向218とグリップ部36の長手方向が略直交する姿勢の最密状態で整列している複数のプレフィルドシリンジ10を、最もスターホイール202側のシリンジのグリップ部36と当接して搬送方向218に押し進める搬送アーム230を有する。
【0051】
搬送アーム230は、搬送ガイド208外からその上に水平移動可能に、また、搬送方向218に水平移動可能に構成されている。搬送アーム230は、例えばエアシリンダ(図示せず)によって搬送ガイド208の外から該ガイド208上に押し出され、エアシリンダを載置したベース(図示せず)が搬送方向218に伸びるレール(図示せず)に沿ってモータ(図示せず)などによって駆動力を与えられて移動することにより、プレフィルドシリンジ10を搬送方向218に搬送するように構成されている。
【0052】
シリンジパッケージ装置200の領域P2において、搬送ガイド208上のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36と当接することにより、搬送ガイド208上の所定の位置に同一姿勢の複数のプレフィルドシリンジ10を最密状態で整列させるストッパ232が設けられている。ストッパ232は、鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0053】
図5は、シリンジパッケージ装置200の領域P2の構成を概略的に示す図である。図に示すように、複数のプレフィルドシリンジ10は、ストッパ232によって同一姿勢の最密状態で搬送ガイド208に整列される。ストッパ232から順に数えて所定数のプレフィルドシリンジ10が、ピッチ配列用チャック238によって姿勢を維持しつつ所定のピッチで配列される。
【0054】
ピッチ配列用チャック238は、プレフィルドシリンジ10の搬送方向218に配列された3つのチャック238a、238b、238cからなり、25本のプレフィルドシリンジ10を所定のピッチで配列するように構成されている。チャック238a、238b、238cそれぞれは、搬送ガイド208によって支持されているプレフィルドシリンジ10のバレル12部分を、例えばエアシリンダ(図示せず)によって搬送方向218と直交する水平方向に押し出されることによって挟持するように構成されている。また、チャック238a、238b、238cは、ゴムなどの弾性部材で作製されている。
【0055】
チャック238a、238b、238cのそれぞれの挟持面240a、240b、240cは、搬送方向218に波打つ波形形状で形成されており、凸部242が所定のピッチ(言い換えると、凸部242の間の凹部244が所定のピッチ)で形成されている。所定のピッチにおいて、1ピッチの距離は、最密状態で整列する、隣接し合うシリンジの間の距離より大きい距離である。チャック238aの挟持面240aとチャック238bの挟持面240bには、それぞれ8つの凹部244が形成され、チャック238cの挟持面240bには9つの凹部244が形成されている。
【0056】
ピッチ配列用チャック238が所定数のプレフィルドシリンジ10を所定のピッチで配列する動作について図6を参照しながら説明する。
【0057】
所定数のプレフィルドシリンジ10は、4つのステップを経て、ピッチ配列用チャック238によって所定のピッチに配列される。
【0058】
まず、最初のステップにおいて、図6(a)に示すように、所定数のプレフィルドシリンジ10は、搬送方向218の最下流側のプレフィルドシリンジ10dがピッチ配列用チャック238(チャック238a)の最下流側の凹部244dに対向する位置になるように、ストッパ232によって整列される。
【0059】
次に、図6(b)に示すように、所定数のプレフィルドシリンジ10において最下流側のシリンジ10dから数えて8本のプレフィルドシリンジ10が、チャック238aによって挟持される。8本のプレフィルドシリンジ10は、シリンジ間にチャック238aの凸部242が挿入されることにより、凸部242間の8つの凹部244にそれぞれ1つずつ収容されて所定のピッチで配列される。また、このとき、8本のプレフィルドシリンジ以外のプレフィルドシリンジ10は、チャック238搬送方向218に対して逆方向に押されて移動する。
【0060】
続いて、図6(c)に示すように、チャック238aに挟持された8本に続く8本のプレフィルドシリンジ10が、同様に、チャック238bに挟持されて所定のピッチで配列される。
【0061】
最後に、図6(d)に示すように、搬送方向218上流側の9本のプレフィルドシリンジ10が、同様に、チャック238cに挟持されて所定のピッチで配列される。以上の4つのステップを経て、25本のプレフィルドシリンジ10がチャック238a〜238cによって所定のピッチで配列される。
【0062】
25本のプレフィルドシリンジ10をチャック238a〜238cが一部ずつ順に挟持して所定のピッチに配列する理由について説明する。図6(a)に示すように、最密状態で整列している25本のプレフィルドシリンジ10のほとんどは、収容される凹部244と対向する位置に配置されていない。例えば、先頭から数えて13番目のプレフィルドシリンジ10eは、チャック238bの凸部242eに対向する位置にある。図6(a)に示す状態で、3つのチャック238a〜238cが25本のプレフィルドシリンジ10を同時に挟持すると、凸部242と対向するプレフィルドシリンジ10eは、凸部242に隣接する2つの凹部244e、244fのいずれに収容されるかわからない。プレフィルドシリンジ10eは、図6(c)に示すように、凹部244eに収容されるべきにもかかわらず、凹部244fに収容される可能性がある。このように、所定数のプレフィルドシリンジ10のいずれかが収容されるべき凹部244に収容されないと、当然ながら他のシリンジ10も収容されるべき凹部244に収容されず、その結果、所定数のプレフィルドシリンジ10の所定のピッチでの配列が不可能になる。
【0063】
したがって、チャックがプレフィルドシリンジを挟持するときにチャックの凸部と対向する位置にプレフィルドシリンジが存在する状態にならないように、所定数のプレフィルドシリンジを一部ずつ順にチャックが挟持することによって残りのプレフィルドシリンジを移動させ、その結果、プレフィルドシリンジが所定のピッチで配列される。
【0064】
なお、当然ながら、所定のピッチで配列される所定数のプレフィルドシリンジの本数が異なれば、搬送用チャックのチャック数やチャック1つ当たりに形成されている凸部数(凹部数)も異なることになる。
【0065】
図5に戻って、シリンジパッケージ装置200は、ピッチ配列用チャック238によって姿勢を維持しつつ所定のピッチで配列された所定数のプレフィルドシリンジ10を、姿勢と配列の状態を維持しつつパッケージストリップ100が取り付けられる位置(シリンジパッケージ装置200の領域P3)まで搬送するように構成されている。また、このとき、シリンジパッケージ装置200は、ストッパ232を上昇させるように構成されている。
【0066】
所定のピッチで配列された所定数のプレフィルドシリンジ10を搬送するための搬送ユニット(図示せず)は、搬送時に該所定数のプレフィルドシリンジ10を挟持する搬送用チャック250を有する。
【0067】
図7に、搬送ユニット(図示せず)によって搬送ガイド208に沿って搬送方向218にシリンジパッケージ装置200の領域P3に向かって搬送されている所定数のプレフィルドシリンジ10が示されている。搬送ユニットは、例えば、搬送ガイド208に沿って配置されたレール(図示せず)上をモータなどの駆動手段(図示せず)によって往復移動可能に構成されている。
【0068】
また、図5に戻って、搬送ユニット(図示せず)は、ピッチ配列用チャック238によって挟持されている所定数のプレフィルドシリンジ10のバレル12部分を搬送用チャック250が搬送方向218と直交する水平方向に関して挟持するように、例えばエアシリンダ(図示せず)によって該チャック250を該水平方向に押し出すように構成されている。
【0069】
搬送用チャック250の挟持面252は、搬送方向218に波打つ波形状で形成されており、凹部254が所定のピッチで所定数形成されている。また、搬送用チャック250は、ゴムなどの弾性部材で作製されている。
【0070】
シリンジパッケージ装置200は、ピッチ配列用チャック238が所定数のプレフィルドシリンジ10を挟持し終えた後(所定のピッチで配列し終えた後)、該ピッチ配列用チャック238を挟持状態で維持しつつ搬送ユニットの搬送用チャック250に該プレフィルドシリンジ10を挟持させるように構成されている。また、シリンジパッケージ装置200は、搬送用チャック250が所定数のプレフィルドシリンジ10を挟持した後、ピッチ配列用チャック238に該プレフィルドシリンジ10をリリースさせるように構成されている。
【0071】
さらに、シリンジパッケージ装置200は、ピッチ配列用チャック238が所定数のプレフィルドシリンジ10をリリースした後、搬送ユニット(図示せず)に該プレフィルドシリンジ10をシリンジパッケージ装置200の領域P3に搬送させるように構成されている。
【0072】
シリンジパッケージ装置200の領域P3において、所定数のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36にパッケージストリップ100を取り付けて該所定数のプレフィルドシリンジ10を1つにパッケージするパッケージユニットが設けられている。
【0073】
図8は、パッケージユニットとパッケージされる所定数のプレフィルドシリンジ10を示す図である。符号260で示されるパッケージユニットは、プレフィルドシリンジ10の配列方向(搬送方向)218とグリップ部36の長手方向が直交する姿勢で所定のピッチで搬送ガイド208上に配列している所定数のグリップ部36に、パッケージストリップ100をその表側面104が該グリップ部36に対向した状態で上方から取り付けるように構成されている。
【0074】
パッケージユニット260は、パッケージストリップ100をその裏側面116の幅方向110(搬送方向218と直交する水平方向)に関して略中央部で吸着保持する吸着ユニット262と、裏側面116の幅方向110に関して端部(図1に示すように、爪部112と対向する裏側面116部分)それぞれと当接して該端部をプレフィルドシリンジ10のグリップ部36に向かって押圧する2つの押圧部材264を有する。
【0075】
また、パッケージユニット260は、例えばロボットアーム(図示せず)などによって支持され、それにより搬送方向218と直交する水平方向と鉛直方向に移動されるように構成されている。これにより、パッケージユニット260は、搬送ガイド208の近傍に配置されている、長尺方向108が搬送方向218と一致しつつ裏側面116が上方に向いた状態で載置されている空のパッケージストリップ100’を、搬送ガイド208上の所定数のグリップ部36に取り付けることができる。
【0076】
図9は、パッケージユニット260を搬送方向218と直交する水平方向から見た図であり、また、パッケージストリップ100を所定数のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36に取り付ける動作を説明するための図である。
【0077】
図9に示すように、パッケージユニット260の吸着ユニット262は、ベース266に支持され、真空パッド268を介してパッケージストリップ100を保持するように構成されている。
【0078】
2つの押圧部材264は、概台形形状の板部材であり、搬送方向218に沿って並んでいる。2つの押圧部材264はそれぞれ、搬送方向218に関して両端で2つの支持ピン270a、270bによって回転可能に支持されている。支持ピン270a、270bは、2つの押圧部材264の間の部分でベース266に設けられたエアシリンダ272a、272bのロッド274a、274bの先端に回転可能に支持されている。言い換えると、2つの押圧部材264は、支持ピン270a、270bのいずれか一方を中心として他方の支持ピンを支持するエアシリンダによって回転されるように構成されている。
【0079】
また、2つの押圧部材264のパッケージストリップ100と当接して押圧する面(以下、「押圧面」と称する。)276は、下方向に凸にまた搬送方向218に湾曲している。この押圧面276は、パッケージストリップ100を押圧する時以外は、真空パッド268によるパッケージストリップ100の吸着保持を妨害しないように、図9(a)に示すように真空パッド268より高い位置に配置されている。
【0080】
パッケージユニット260が、所定数のプレフィルドシリンジのグリップ部36にパッケージストリップ100を取り付ける動作に関して説明する。
【0081】
図9(a)に示すように、パッケージユニット260が、吸着ユニット262によって保持しているパッケージストリップ100を所定数のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36に当接させる(図においては、グリップ部36は省略されている。)。なお、プレフィルドシリンジ10は、図8に示すように搬送ユニットの搬送用チャック250に挟持されて不動状態にされている。
【0082】
次に、図9(b)に示すように、押圧部材264は、エアシリンダ272aがロッド274aを押し出して支持ピン270aを下方に移動させることにより、支持ピン270bを中心として回転される(このとき、エアシリンダ272bは停止している。)。これにより、押圧部材264は、パッケージストリップ100の搬送方向218の下流側部分を押圧し、該下流側部分の保持部106と対応する下流側のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36とをスナップ係合させる。
【0083】
続いて、エアシリンダ272aを停止させ、エアシリンダ272bがロッド274bを押し出して支持ピン270bを下方に移動させると、押圧部材264が支持ピン270aを中心として回転される。回転する押圧部材264は、その押圧面276でパッケージストリップ100の裏側面116を搬送方向218の下流側から上流側に向かって押圧していく。これにより、下流側から上流側に向かって順に、パッケージストリップ100の保持部106が対応するプレフィルドシリンジ10のグリップ部36とスナップ係合していく。
【0084】
このように、所定数のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36とパッケージストリップ100の所定数の保持部106を一度にスナップ係合させずに順に一部ずつスナップ係合させる理由は、一度にスナップ係合させる場合、パッケージストリップ100の裏側面116全体に渡って大きな押圧力を作用させる必要があるためである。パッケージストリップ100の所定数の保持部106と所定数のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36を一度にスナップ係合させようとすると、該パッケージストリップ100を押圧する手段は大型のものが必要となる。その結果、シリンジパッケージ装置200が大型化する問題が生じる。
【0085】
したがって、小さなパッケージストリップ押圧手段、すなわち、押圧部材264によってパッケージストリップ100の所定数の保持部106と所定数のプレフィルドシリンジ10のグリップ部36を一部ずつスナップ係合させることにより、シリンジパッケージ装置200の小型化を成し遂げている。
【0086】
なお、押圧面276は、下方向に凸にまた搬送方向218に湾曲している形状であるために、パッケージストリップ100の搬送方向218の下流側の部分を押圧しているときに上流側部分を押圧してない。そのために、上流のプレフィルドシリンジ10とのスナップ係合が解除される可能性があるが、その可能性は、パッケージストリップ100がフレキシブル性を有するために略ゼロである。
【0087】
図3に戻り、パッケージユニット260によってパッケージストリップ100が取り付けられた所定数のプレフィルドシリンジ10を挟持している搬送ユニット(図示せず)は、該プレフィルドシリンジ10を搬送用チャック250からリリースしてシリンジパッケージ装置200の領域P2に戻るように構成されている。パッケージストリップ100が取り付けられた所定数のプレフィルドシリンジ10は、搬送ガイド208に沿って、例えば搬送アーム(図示せず)によって搬送方向218下流側に搬送される。そして、パッケージストリップ100が取り付けられた所定数のプレフィルドシリンジ10は、例えば作業者の手作業によって保管用のケースに収容される。
【0088】
本実施形態のシリンジパッケージ装置によれば、プレフィルドシリンジ10は、充填装置からスターホイール206に供給され、スターホイール206から搬送ガイド208に放出される際に姿勢変更される。それにより、プレフィルドシリンジ10は、搬送ガイド208に最密状態で整列される。最密状態の所定数のプレフィルドシリンジ10は、ピッチ配列用チャック238によって姿勢を維持したまま所定のピッチで配列される。所定のピッチで配列した所定数のプレフィルドシリンジ10は、パッケージユニット260によってそのグリップ部36にパッケージユニット100が取り付けられる。これにより、所定数のプレフィルドシリンジ10が1つにパッケージされる。
【0089】
以上、1つの実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0090】
例えば、上述の実施形態において、シリンジ保持体は、所定数のプレフィルドシリンジのグリップ部と係合するパッケージストリップであったが、プレフィルドシリンジのバレル部分と係合するものでもよい。この場合、シリンジパッケージ手段は、同一姿勢で所定のピッチで配列している所定数のプレフィルドシリンジのバレル部分にシリンジ保持体の保持部を係合させるように構成される。
【0091】
また、上述のパッケージユニットは、シリンジ保持体であるパッケージストリップを吸着ユニットで保持しつつプレフィルドシリンジのグリップ部に向かって押圧部材によって押圧する、言い換えると、シリンジ保持体を保持する手段とシリンジ保持体を押圧する手段を一体にしたものであるが、これらの手段を別々に構成するとともに異なる構成でパッケージストリップを保持または押圧してもよい。
【0092】
例えば、ハンドリング手段がパッケージストリップをその長尺方向両端で保持しつつ所定数のプレフィルドシリンジのグリップ上に配置して維持し、押圧手段であるローラがグリップ部上に配置されているパッケージストリップの裏側面を一端から他端に向かって転がり押圧するようにしてもよい。
【0093】
さらに、上述の実施形態の場合、パッケージユニットによってパッケージストリップが取り付けられるとき、所定数のプレフィルドシリンジは搬送ユニットの搬送用チャックによって挟持されているが、さらなる別のチャックが挟持するようにしてもよい。
【0094】
例えば、搬送ユニットが所定数のプレフィルドシリンジをパッケージストリップ取付け位置(上述の実施形態においては領域P3)に搬送した後、搬送用チャックと同形状の支持用チャックが該プレフィルドシリンジを挟持し、次に搬送用チャックが該プレフィルドシリンジをリリースするようにする。搬送ユニットは、搬送用チャックが該プレフィルドシリンジをリリースした直後に、次にパッケージストリップが取り付けられる所定数のプレフィルドシリンジが待機している位置(上述の実施の形態においては領域P2)に移動する。搬送用チャックは所定数のプレフィルドシリンジにパッケージストリップが取り付けられるまで該プレフィルドシリンジを挟持することがなくなることにより、上述の実施形態に比べて、シリンジパッケージ装置の時間当たりのパッケージ回数を増加させることができる(生産性が向上する。)。
【0095】
さらにまた、シリンジパッケージ装置は、ピッチ配列用チャックが所定数のプレフィルドシリンジを挟持したときに、パッケージユニットによってパッケージストリップを該プレフィルドシリンジに取り付けるように構成してもよい。すなわち、同じ場所で、所定のプレフィルドシリンジを所定のピッチで配列するとともにパッケージストリップを取り付ける。この場合、上述の実施形態に比べてシリンジパッケージ装置のサイズを小さくすることができるとともに搬送ユニットを省略することができる。
【0096】
加えて、上述の実施形態となる方法で充填装置から供給された異なる姿勢のプレフィルドシリンジを最密状態に配列してもよい。
【0097】
例えば、プレフィルドシリンジのフィンガーグリップの円筒部より若干大きい間隔をあけて並列に配置されつつそれぞれの搬送コンベアの搬送ベルトの搬送面が同じ角度で傾斜した状態の2つの搬送コンベアに、2つの搬送コンベアの間にプレフィルドシリンジのバレル部分が存在しつつ各搬送ベルトにプレフィルドシリンジのグリップ部を掛けた状態で搬送させる。このように2つの搬送コンベアによってプレフィルドシリンジを搬送すると、プレフィルドシリンジは、搬送されるに従ってグリップ部の長手方向が搬送コンベアの搬送方向と直交する姿勢に変更される。
【0098】
加えてまた、上述の実施形態においては、ピッチ配列用のチャックは、先頭側のチャックから順に所定数のプレフィルドシリンジを一部ずつ挟持することにより、該所定数のプレフィルドシリンジを所定のピッチに配列するが、最後尾側または中央のチャックから順に一部ずつプレフィルドシリンジを挟持してもよい。
【0099】
例えば、上述の実施形態のように、3つのチャックからピッチ配列用チャックが構成される場合、まず中央のチャックが所定数のプレフィルドシリンジの一部を挟持する。この前に、ストッパは、中央のチャックが一部のプレフィルドシリンジを挟持することにより押し出される残りのプレフィルドシリンジが移動できるように、上方または下流側へ待避している。続いて、中央のチャックの両隣のチャックが同時に、中央のチャックに挟持されたプレフィルドシリンジの先後にある残りのプレフィルドシリンジを挟持する。この場合、上述の実施形態に比べて、所定数のプレフィルドシリンジを所定のピッチで配列するための時間が3分の2になり、その結果、上述の実施形態に比べて、シリンジパッケージ装置の時間当たりのパッケージ回数が増加して生産性が向上する。
【0100】
さらに加えて、上述の実施形態の場合、プレフィルドシリンジのグリップ部の輪郭が、スターホイールから搬送ガイドに放出されて整列される整列過程において(整列中に先後のプレフィルドシリンジのグリップ部に挟持されたときに)回転しにくい概長方形であるため、最密状態で整列されるようにプレフィルドシリンジの姿勢を姿勢変更レバーによってグリップ部の長手方向が搬送方向と一致しない姿勢に変更している。これに対し、プレフィルドシリンジのグリップ部の輪郭が小判形状または楕円形状である場合、これらの形状は整列過程において回転し易い形状であるので、姿勢変更レバーを省略することができる。
【0101】
当然ながら、シリンジパッケージ装置がパッケージするものはプレフィルドシリンジに限らず、薬液が収容されていないシリンジであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】パッケージストリップに保持されているプレフィルドシリンジを示す図である。
【図2】プレフィルドシリンジの部分断面図である。
【図3】シリンジパッケージ装置の構成を示す概略的な図である。
【図4】姿勢矯正レバーによるプレフィルドシリンジの姿勢変更を説明するための図である。
【図5】所定のピッチで配列される前のプレフィルドシリンジとピッチ配列用チャックを示す図である。
【図6】ピッチ配列用チャックによるプレフィルドシリンジを所定のピッチで配列する動作を説明するための図である。
【図7】搬送ユニットによって搬送されているプレフィルドシリンジを示す図である。
【図8】パッケージされるプレフィルドシリンジとパッケージユニットを示す図である。
【図9】パッケージユニットによるプレフィルドシリンジをパッケージする動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0103】
10:シリンジ(プレフィルドシリンジ)
100:シリンジ保持体(パッケージストリップ)
200:シリンジパッケージ装置
P1:第1のシリンジ配列手段
P2:第2のシリンジ配列手段
P3:シリンジパッケージ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のシリンジを1つのシリンジ保持体に保持させることにより該所定数のシリンジを1つにパッケージするシリンジパッケージ装置であって、
所定数のシリンジを、各シリンジの軸方向が平行で且つ軸方向に対して直交方向に一列に整列させることにより、各シリンジのグリップ部を介して各シリンジを同一姿勢にしつつ最密状態に一列に配列する第1のシリンジ配列手段と、
第1のシリンジ配列手段により配列されたシリンジ間に挿入されて該シリンジ間を所定の距離にすることにより、所定数のシリンジを所定のピッチで配列する第2のシリンジ配列手段と、
第2のシリンジ配列手段により配列された所定数のシリンジにシリンジ保持体を取り付けることにより、所定数のシリンジを同一姿勢の所定のピッチで1つにパッケージするシリンジパッケージ手段を有することを特徴とするシリンジパッケージ装置。
【請求項2】
第1のシリンジ配列手段は、整列前に、シリンジのグリップ部の長手方向が配列方向と異なるようにグリップ部を介して各シリンジを軸中心に回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンジパッケージ装置。
【請求項3】
第2のシリンジ配列手段は、
シリンジの配列方向に上記所定のピッチで並んだ複数の凸部が形成された挟持面を有する複数のチャックを有し、
複数のチャックが最密状態で配列する所定数のシリンジを一部ずつ順に挟持して各シリンジを凸部の間に収容することにより、所定数のシリンジが所定のピッチで配列されるように構成されている請求項1または2のいずれかに記載のシリンジパッケージ装置。
【請求項4】
複数のチャックは、最密状態で配列する所定数のシリンジを、配列方向に関して先頭のシリンジから順に、または最後尾のシリンジから順に挟持していくことを特徴とする請求項3に記載のシリンジパッケージ装置。
【請求項5】
シリンジ保持体が、各シリンジのグリップ部とシリンジの軸方向から係合するように構成されており、
シリンジパッケージ手段は、
シリンジ保持体を同一姿勢の所定のピッチで配列する所定数のシリンジのグリップ部上に配置し、シリンジ保持体を所定数のシリンジのグリップ部に向かって一部分ずつ押圧することにより、シリンジ保持体に少なくとも1つずつシリンジのグリップ部を係合させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載のシリンジパッケージ装置。
【請求項6】
シリンジパッケージ手段は、所定のピッチで配列する所定数のシリンジにおいて配列方向に関して先頭のシリンジから順に、または最後尾のシリンジから順にグリップ部がシリンジ保持体に係合するようにシリンジ保持体を押圧することを特徴とする請求項5に記載のシリンジパッケージ装置。
【請求項7】
シリンジが、外筒体の内部に嵌入された2つの栓体と2つの栓体の間に形成された液密な空間に充填された薬液を有するプレフィルドシリンジであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載のシリンジパッケージ装置。
【請求項8】
プレフィルドシリンジの製造装置であって、
シリンジの外筒体の内部に2つの栓体を嵌入して2つの栓体の間に形成された液密な空間内に薬液を充填する薬液充填装置と、
請求項1〜7に記載のシリンジパッケージ装置を有することを特徴とするプレフィルドシリンジ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−151727(P2007−151727A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349164(P2005−349164)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000173555)財団法人化学及血清療法研究所 (86)
【Fターム(参考)】