説明

シリンダブロックのオイルクーラ取付構造

【課題】オイルクーラのコア部の振動を抑制することが可能であり、オイルの冷却効率を向上させることが可能なシリンダブロックのオイルクーラ取付構造を提供する。
【解決手段】冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる水冷式のオイルクーラ20がエンジンのシリンダブロック10に取り付けられており、シリンダブロック10における冷却水が流通される凹部13内にオイルクーラ20のコア部21が収納されている。コア部21の外周には、弾性部材からなるスペーサ40が巻かれている。スペーサ40は、コア部21の温度が高くなるほど膨張する材質で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる水冷式のオイルクーラをエンジンのシリンダブロックに取り付けるオイルクーラ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの潤滑各部(クランクシャフト、吸・排気カムシャフト、シリンダ、シリンダボアなど)を潤滑および冷却するためのオイル(エンジンオイル)を冷却する水冷式のオイルクーラがシリンダブロックに設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。水冷式のオイルクーラは、例えば、冷却水が流通される凹部内にコア部(熱交換部)が収納された構成とされ、冷却水とオイルとの間で熱交換が行われることによってオイルが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−002305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、オイルクーラのコア部が振動すると、コア部を支持する支持部(上記凹部を塞ぐカバー等)にコア部の振動による応力が集中することが懸念される。また、オイルクーラのコア部の外周と、凹部の内壁との間には、各部品の製造公差や組付公差などに起因して隙間が生じる。この隙間を冷却水が流れるため、コア部を流れる冷却水量が少なくなり、オイルクーラによるオイルの冷却効率が悪化することが懸念される。
【0005】
本発明は、そのような問題点に鑑みてなされたものであり、オイルクーラのコア部の振動を抑制することが可能であり、オイルの冷却効率を向上させることが可能なシリンダブロックのオイルクーラ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる水冷式のオイルクーラをエンジンのシリンダブロックに取り付けるオイルクーラ取付構造であって、シリンダブロックにおける冷却水が流通される凹部内に上記オイルクーラのコア部が収納され、上記コア部の外周には、弾性部材が巻かれていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、オイルクーラのコア部と、シリンダブロックの凹部の内壁との間に弾性部材が介在されており、コア部が弾性部材を介してシリンダブロックに支持されるので、エンジンの運転時、オイルクーラのコア部の振動を抑制することができる。そして、弾性部材によって、コア部の支持部へのコア部の振動による応力集中を緩和することができ、コア部の支持部の耐久性を向上させることができる。また、弾性部材によって、オイルクーラのコア部と凹部の内壁との間を流れる冷却水がせき止められるため、コア部を流れる冷却水量を増大させることができ、オイルクーラによるオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0008】
本発明のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、上記弾性部材は、上記コア部の温度が高くなるほど膨張する材質で形成されていることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、エンジンの運転時、シリンダブロックの熱、凹部内の冷却水の熱によって、弾性部材が膨張することにより、弾性部材がコア部の外周と凹部の内壁とに密着し、コア部と凹部の内壁との間が弾性部材によってほぼ完全にシールされる。これにより、コア部と凹部の内壁との間を流れる冷却水がほぼ完全にせき止められるので、コア部を流れる冷却水量を大幅に増大させることができ、オイルクーラによるオイルの冷却効率を大幅に向上させることができる。
【0010】
本発明のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、上記コア部は、上記凹部を覆うカバーに支持されており、上記カバーには、上記コア部の内部にオイルを導入するオイル導入通路と、上記コア部の内部からオイルを排出するオイル排出通路とが設けられていることが好ましい。この場合、上記カバーには、上記コア部を迂回してオイルを流通させるバイパス通路も設けられていることが好ましい。
【0011】
上述したように、弾性部材を設けることで、オイルクーラによるオイルの冷却効率を向上させることができることから、オイルの全量をコア部で冷却する必要がなくなる。これに加え、オイルの全量をコア部の内部に流通させると、オイルの流通抵抗が大きくなるといった問題点もある。そこで、上記構成では、コア部を支持するカバーにコア部を迂回するバイパス通路を設けて、このバイパス通路にオイルの一部を流通させ、コア部の内部にオイルの全量を流通させないようにしている。これにより、オイルの流通抵抗を全体として低減することができ、オイルポンプの吐出容量を低減することができる。その結果、エンジンのフリクションを低減でき、エンジンの燃費向上、出力向上を図ることができる。
【0012】
本発明のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、上記エンジンが、V型エンジンであり、上記凹部が、V型エンジンのVバンク間に設けられていることが好ましい。
【0013】
このように、V型エンジンのシリンダブロックのVバンク間のスペースにオイルクーラのコア部を収納する凹部を設けることによって、シリンダブロックのVバンク間のスペースを有効活用することができ、シリンダブロックの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造によれば、オイルクーラのコア部と、シリンダブロックの凹部の内壁との間に弾性部材が介在されるので、エンジンの運転時、オイルクーラのコア部の振動を抑制することができる。そして、弾性部材によって、コア部の支持部へのコア部の振動による応力集中を緩和することができ、コア部の支持部の耐久性を向上させることができる。また、弾性部材によって、オイルクーラのコア部と凹部の内壁との間を流れる冷却水がせき止められるため、コア部を流れる冷却水量を増大させることができ、オイルクーラによるオイルの冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンダブロックのオイルクーラの取付構造の概略を示す図である。
【図2】図1のシリンダブロック、オイルクーラ、カバー、スペーサを分解した状態を示す斜視図である。
【図3】カバーを取り外した状態のシリンダブロック、オイルクーラ、スペーサを示す平面図である。
【図4】シリンダブロックのオイルクーラの取付構造の概略を示す断面図である。
【図5】未使用状態の第1スペーサを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
この実施形態では、本発明のオイルクーラの取付構造をV型エンジンのシリンダブロックに適用した例について説明する。
【0018】
図1、図2に示すように、オイルクーラ20は、V型エンジン(以下では、単にエンジンとも言う)のシリンダブロック10の左右のバンク11,12間に配置されている。なお、図1、図2では、シリンダブロック10の一部のみを示している。
【0019】
具体的には、シリンダブロック10は、クランクケースの上部に複数の気筒(例えば4気筒)を有する左右のバンク11,12が所定の角度間隔をもってV型に配置された構成とされている。シリンダブロック10の左右のバンク11,12間(Vバンク間)の上面には、上方に向けて開放された凹部13が形成されている。凹部13には、オイルクーラ20が収納されている。また、凹部13を形成するシリンダブロック10の壁部には、左右のバンク11,12にそれぞれ設けられたウォータージャケット(図示せず)から冷却水を凹部13へ導入する冷却水導入孔14(図1では2点鎖線で示す)と、凹部13から冷却水を排出する冷却水排出孔(図示せず)とが設けられている。
【0020】
オイルクーラ20は、冷却水とオイル(エンジンオイル)との間で熱交換を行わせることでオイルを冷却する構成とされており、冷却水とオイルとの熱交換部として機能するコア部21を備えている。コア部21は、図1に示すように、多数のコア(プレート)21aが上下に積層された構成とされている。各コア21aの内部は、中空に形成されており、各コア21aの内部をオイルが流通可能とされている。また、上下に隣り合うコア21a,21aの内部同士が互いに連通されており、これらの間でのオイルの流通が可能とされている。一方、上下に隣り合うコア21a,21aの外端部間には、隙間C1が設けられており、隙間C1内を冷却水が流通可能とされている。
【0021】
コア部21は、フランジ部22を介してオイルクーラカバー30に連結されている。具体的には、フランジ部22は、図2、図3に示すように、コア部21の長手方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。フランジ部22は、例えばろう付けによってコア部21の上面21dに固着されている。各フランジ部22には、上方に向けて延びる2本のスタッドボルト23,23が一体的に設けられている。そして、各スタッドボルト23がオイルクーラカバー30に形成された貫通孔30dに挿通され、上方からナットが締め付けられることによって、コア部21がオイルクーラカバー30に一体的に結合される。
【0022】
また、一方のフランジ部22には、オイル導入孔22aが形成されており、このオイル導入孔22aを介して、コア部21の内部(各コア21aの内部)にオイルが導入される。他方のフランジ部22には、オイル排出孔22bが形成されており、このオイル排出孔22bを介して、コア部21の内部(各コア21aの内部)からオイルが排出される。
【0023】
オイルクーラカバー30は、図1に示すように、シリンダブロック10の凹部13の上側に装着されており、オイルクーラカバー30によって凹部13の開口が塞がれている。オイルクーラカバー30は、凹部13の開口の周縁部13aの上面に載置されており、ボルトによってシリンダブロック10に固定されている。オイルクーラカバー30の下面と、シリンダブロック10の凹部13の開口の周縁部13aの上面との間には、図示しないガスケットが介装されている。また、オイルクーラカバー30は、オイルクーラ20のコア部21に取り付けられたフランジ部22の上面にも載置されている。そして、上述した4本のスタッドボルト23を介して、コア部21がオイルクーラカバー30に支持される構成とされている。
【0024】
オイルクーラカバー30の内部には、図1に示すように、オイルの流通通路が形成されている。この実施形態では、コア部21の内部にオイルを導入するオイル導入通路30a、コア部21の内部からオイルを排出するオイル排出通路30b、および、コア部21の内部を迂回してオイルを流通させるバイパス通路30cが、オイルクーラカバー30に設けられている。また、オイルクーラカバー30には、油温センサを取り付けるためのセンサ取付孔30eが形成されている。
【0025】
オイル導入通路30aは、フランジ部22のオイル導入孔22aを介して、コア部21の内部に連通されている。オイル排出通路30bは、フランジ部22のオイル排出孔22bを介して、コア部21の内部に連通されている。バイパス通路30cは、フランジ部22のオイル導入孔22aの上流側で、オイル導入通路30aから分岐され、フランジ部22のオイル排出孔22bの下流側で、オイル排出通路30bに合流されている。つまり、バイパス通路30cは、コア部21の内部と並列に設けられている。
【0026】
オイルクーラ20およびオイルクーラカバー30におけるオイルの流路としては、コア部21の内部を経由する第1の流路と、バイパス通路30cを経由する第2の流路(つまり、コア部21の内部を経由しない流路)とが形成されている。そして、第1の流路を流れるオイルが、凹部13内を流れる冷却水との熱交換によって冷却されるようになっている。なお、エンジンには、オイルポンプ(図示せず)が設けられており、このオイルポンプによって、シリンダブロック10の下側に設けられるオイルパン(図示せず)からオイルを吸い上げて、オイルクーラ20を経由させた後、エンジンの潤滑各部(クランクシャフト、吸・排気カムシャフト、シリンダ、シリンダボアなど)にオイルを供給するようになっている。
【0027】
−実施形態の特徴部分−
この実施形態では、オイルクーラ20のコア部21の外周には、スペーサ40が巻かれていることを特徴としている。そして、スペーサ40は、オイルクーラ20のコア部21と、シリンダブロック10の凹部13の内壁13bとの間に介在されている。以下、この実施形態の特徴部分について、図1〜図4を参照して詳しく説明する。なお、図1、図3では、スペーサ40にハッチングを付して示している。
【0028】
図2、図4に示すように、スペーサ40は、オイルクーラ20のコア部21の長手方向中間部の外周に巻かれている。つまり、スペーサ40によってコア部21の長手方向中間部の外周が全周にわたって覆われている。スペーサ40の配置箇所は、コア部21の2つのフランジ部22,22の間であれば、特に限定されない。なお、図4では、オイルクーラ20のコア部、オイルクーラカバー30を簡略化して示している。
【0029】
スペーサ40は、コア部21の両側面21b,21bおよび下面21cと、凹部13の内壁13bとの間に挟まれる第1スペーサ41と、コア部21の上面21dとオイルクーラカバー30との間に挟まれる第2スペーサ42とから構成されている。
【0030】
第1スペーサ41は、底部41aと、この底部41aの両端からそれぞれ垂直な方向に立ち上がる垂直部41b,41bとを備えており、上方が開放された形状とされている。いる。底部41aの幅は、コア部21の幅(長手方向に直交する方向の幅)W1と略一致している。垂直部41b,41bの上端部には、開口41c,41cが形成されている。底部41aから垂直部41b,41bの開口41c,41cまでのそれぞれの距離は、コア部21の高さH1と略一致している。そして、底部41aは、コア部21の下面21cと、凹部13の内壁13bの底面との間に挟まれている。垂直部41b,41bは、コア部21の側面21b,21bと、凹部13の内壁13bの側面との間に挟まれている。
【0031】
第2スペーサ42は、第1スペーサ41の垂直部41b,41b間に配設されており、コア部21の上面21dに載置されている。第2スペーサ42の両端部42a,42aには、第1スペーサ41の垂直部41b,41bに設けられた開口41c,41cの周縁部と係合可能な係合部42b,42bが設けられている。第2スペーサ42の両端部42a,42aが第1スペーサ41の垂直部41b,41bの開口41c,41cに挿入され、第2スペーサ42の係合部42b,42bが、第1スペーサ41の開口41c,41cの周縁部に係合されることによって、第1スペーサ41と第2スペーサ42とが一体的に係合されるようになっている。
【0032】
第1スペーサ41および第2スペーサ42は、樹脂、ゴムなどの弾性部材によって形成されている。また、この実施形態では、第1スペーサ41および第2スペーサ42は、コア部21の温度(凹部13内の冷却水の温度)が高くなるほど膨張する材質によって形成されている。なお、第1スペーサ41は、図5に示すように、板状の状態で製造され、オイルクーラ20のコア部21と、シリンダブロック10の凹部13の内壁13bとの間に装着される際に、例えば、1点鎖線で示す位置で折り曲げて使用されるようになっている。
【0033】
オイルクーラ20をシリンダブロック10へ取り付ける際には、まず、図2等に示すように、上記構成のスペーサ40をオイルクーラ20のコア部21の外周に装着する。次に、図1等に示すように、スタッドボルト23を介してコア部21とオイルクーラカバー30とを一体的に組み付けた状態で、コア部21をシリンダブロック10の凹部13内に収納する。そして、ボルト等によってオイルクーラカバー30をシリンダブロック10に締結する。
【0034】
この実施形態によれば、上記構成のスペーサ40が、オイルクーラ20のコア部21の外周に巻かれているので、次のような効果が得られる。
【0035】
オイルクーラ20のコア部21と、シリンダブロック10の凹部13の内壁13bとの間に弾性部材からなるスペーサ40が介在されており、コア部21がスペーサ40を介してシリンダブロック10に支持されるので、エンジンの運転時、オイルクーラ20のコア部21の振動を抑制することができる。そして、スペーサ40によって、オイルクーラカバー30へのコア部21の支持部(フランジ部22、スタッドボルト23など)へのコア部21の振動による応力集中を緩和することができる。つまり、コア部21の振動による応力がスペーサ40にも伝えられるので、その分、オイルクーラカバー30へのコア部21の支持部に伝えられる応力を低減することができる。これにより、オイルクーラカバー30へのコア部21の支持部の耐久性を向上させることができる。なお、スペーサ40が弾性部材からなるため、オイルクーラカバー30をシリンダブロック10に締結した際、オイルクーラカバー30の下面と、シリンダブロック10の上面との間に介装されるガスケットが過度に圧縮されることがなくなり、そのガスケットのシール性の悪化を抑制できる。
【0036】
また、オイルクーラ20のコア部21と、凹部13の内壁13bとの間にスペーサ40が介在されるので、コア部21のコア21a,21a同士の隙間C1を流れる冷却水量が増大され、オイルクーラ20によるオイルの冷却効率を向上させることができる。詳細には、スペーサ40を設けない構成では、コア部21のコア21a,21a同士の隙間C1を流れる冷却水の流通抵抗が、コア部21と凹部13の内壁13bとの間(上記コア部21のコア21a,21a同士の隙間C1は含まない)を流れる冷却水の流通抵抗よりも大きい。したがって、冷却水は、コア部21のコア21a,21a同士の隙間C1を流れにくく、コア部21と凹部13の内壁13bとの間を流れやすくなり、オイルクーラ20によるオイルの冷却効率が悪化することが懸念される。
【0037】
しかし、この実施形態では、スペーサ40によって、コア部21と凹部13の内壁13bとの間を流れる冷却水がせき止められるため、コア部21のコア21a,21a同士の隙間C1を流れる冷却水量を増大させることができ、オイルクーラ20によるオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0038】
しかも、スペーサ40は、コア部21の温度が高くなるほど膨張する材質によって形成されているので、エンジンの運転時、シリンダブロック10の熱、凹部13内の冷却水の熱によって、スペーサ40が膨張する。すると、スペーサ40がコア部21の外周と凹部13の内壁13bとに密着し、コア部21と凹部13の内壁13bとの間がスペーサ40によってほぼ完全にシールされる。これにより、コア部21と凹部13の内壁13bとの間を流れる冷却水がほぼ完全にせき止められるので、コア部21のコア21a,21a同士の隙間C1を流れる冷却水量を大幅に増大させることができ、オイルクーラ20によるオイルの冷却効率を大幅に向上させることができる。
【0039】
上述のように、スペーサ40を設けることで、オイルクーラ20によるオイルの冷却効率を向上させることができることから、オイルの全量をコア部21で冷却する必要がなくなる。これに加え、オイルの全量をコア部21の内部に流通させると、オイルの流通抵抗が大きくなるといった問題点もある。そこで、この実施形態では、オイルクーラカバー30にコア部21を迂回するバイパス通路30cを設けて、このバイパス通路30cにオイルの一部を流通させ、コア部21の内部にオイルの全量を流通させないようにしている。これにより、オイルの流通抵抗を全体として低減することができ、オイルポンプの吐出容量を低減することができる。その結果、エンジンのフリクションを低減でき、エンジンの燃費向上、出力向上を図ることができる。
【0040】
−他の実施形態−
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。
【0041】
上述したスペーサ40の構成や形状、オイルクーラ20のコア部21の構成や形状などは一例であって、上述の例だけに限定されない。また、スペーサ40の材質としてエンジンの冷却水(LLC)によって膨張するような材質を選定することで、オイルクーラ20のコア部21と凹部13の内壁13bとのシールをより確実なものとすることができる。
【0042】
本発明のオイルクーラの取付構造は、V型エンジンのシリンダブロックに限らず、それ以外のエンジン(例えば直列型エンジン)のシリンダブロックにも適用可能である。なお、V型エンジンのシリンダブロックの場合、上述したように、Vバンク間のスペースにオイルクーラ20のコア部21を収納する凹部13を設けることによって、シリンダブロックのVバンク間のスペースを有効活用することができ、シリンダブロックの小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる水冷式のオイルクーラを有するエンジンのシリンダブロックに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 シリンダブロック
13 凹部
13b 内壁
20 オイルクーラ
21 コア部
22 フランジ部
30 オイルクーラカバー
30a オイル導入通路
30b オイル排出通路
30c バイパス通路
40 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる水冷式のオイルクーラをエンジンのシリンダブロックに取り付けるオイルクーラ取付構造であって、
シリンダブロックにおける冷却水が流通される凹部内に上記オイルクーラのコア部が収納され、
上記コア部の外周には、弾性部材が巻かれていることを特徴とするシリンダブロックのオイルクーラ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、
上記弾性部材は、上記コア部の温度が高くなるほど膨張する材質で形成されていることを特徴とするシリンダブロックのオイルクーラ取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、
上記コア部は、上記凹部を覆うカバーに支持されており、
上記カバーには、上記コア部の内部にオイルを導入するオイル導入通路と、上記コア部の内部からオイルを排出するオイル排出通路とが設けられていることを特徴とするシリンダブロックのオイルクーラ取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、
上記カバーには、上記コア部を迂回してオイルを流通させるバイパス通路も設けられていることを特徴とするシリンダブロックのオイルクーラ取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のシリンダブロックのオイルクーラ取付構造において、
上記エンジンが、V型エンジンであり、上記凹部が、V型エンジンのVバンク間に設けられていることを特徴とするシリンダブロックのオイルクーラ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97948(P2012−97948A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245200(P2010−245200)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】