説明

シルバーカーの制動装置

【課題】 歩行する際の補助車として使用するシルバーカーの制動装置の提供。
【解決手段】 ハンドル4は下端部に設けた軸を基準として前後方向に揺動することが出来、しかも付勢されたバネ力にてハンドル4は常時後方側に傾斜して車輪に設けたブレーキが作動し、持ち手5a,5bを握って前方へ押す時にはハンドル4は前方へ傾斜してブレーキが解除し、このように車輪に設けた制動機構がハンドルの前後方向揺動に連動して作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシルバーカーを手押しする為の持ち手を備えたハンドルの揺動に連動して作動する制動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シルバーカーとは老人が道を歩く時、又は散歩する時に、歩行を補助する為の手押し車である。シルバーカーにもその型式は色々あるが、しかし基本的には金属製パイプにて構成したフレームの前後に4輪を備え、ハンドルを押すことで安定した走行が出来る構造と成っている。そして、フレームには小荷物を収容することが出来ずバッグ又はボックスが取付けられている。
【0003】
特開平11−43046号に係る「シルバーカー」は、折畳み及び拡開作業が簡単で、直立状態の安定性に優れている。
すなわち、押棒と後脚の上端とがひじ掛けレバーによって互いに枢動可能に連結され、押棒には枢動レバーと枢動連結レバーの一端が枢着され、該枢動レバーの他端には座部パイプの端部が枢着され、該枢動連結レバーの端部には後脚折り込みレバーの一端が枢着され、該後脚折り込みレバーの他端には前脚折り込みレバーの一端が枢着され、該前脚折り込みレバーの他端が前脚へ枢着され、前記座部パイプには前脚の上端が枢着され、更に該座部パイプには、前脚の枢着位置と枢動レバーの枢着位置との間において引き込みレバーの一端が枢着され、該引き込みレバーの他端が後脚折り込みレバーへ枢着されている。
【0004】
特開平11−115763号に係る「手押し車」は、前後方向及び幅方向の双方向に折り込み可能なように構成している。
前脚と、後脚と、押棒と、一端を後脚へ中間部を前脚へ枢着手段によって枢着されている座杆と、一端が左右の前脚に対して枢動可能に装着されている前脚連結部材と、一端が左右の後脚に対して枢動可能に装着されている後脚連結部材と、下端部が前記前脚連結部材の各剛性部材の中心位置よりも枢着手段側に近い部分に枢着され上端部が前記座杆の前記枢着手段と枢着手段の間に枢着されている牽引杆と、下端部が一方の後脚へ枢着され上端部が他方の後脚へ枢着され概ねX形状に配置される開閉杆と、から構成されており、前記後脚の上端部が前脚に対してスライダー部材を介して滑動する状態に配置されている。
【0005】
これらの他にも色々なシルバーカーが知られている。ところで、シルバーカーを押して歩く老人は一般に足腰が弱くて転び易く、その為に該シルバーカーのハンドル上端に設けている持ち手を握って、該シルバーカーに凭れ掛かって歩くことが多い。従って、登り坂ではシルバーカーを押す力は多少大きく成るが転ぶことは少ない。しかし、坂道に差し掛かってシルバーカーが先に進む場合には、足がついていけずして転倒する場合が多い。
【特許文献1】特開平11−43046号に係る「シルバーカー」
【特許文献2】特開平11−115763号に係る「手押し車」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにシルバーカーは老人が道を歩く際の補助車であり、その為に坂道に差し掛かってシルバーカーが先に進もうとした場合には非常に危険である。従来のシルバーカーには所定の位置で動かないように車輪をロックする機構が備わっているが、緊急時において自動的に制動されることはない。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、手を離すと同時にシルバーカーが緊急停止するように機能するシルバーカーの制動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシルバーカーのハンドルは上下方向にスライド可能とし、また下端に軸支して前後方向に揺動可能と成っていて、ハンドル上端には持ち手が取付けられて両側へ延びている。そして、該ハンドルにはバネ力が付勢され、持ち手から手を離した状態では後方側に傾斜している。持ち手を握ってシルバーカーを押すならば、バネ力に打ち勝ってハンドルは前方側へ傾斜する。
【0008】
ところで、本発明のシルバーカーの車輪には制動機構が取付けられ、上記ハンドルの揺動と連動している。ここで、ハンドルと制動機構の具体的な連動手段は限定しないが、例えば、ハンドルはその下端部にて軸支し、そしてハンドルにワイヤーを連結し、このワイヤーの引張りを介して制動機構を作動することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシルバーカーはハンドルを前後方向に揺動可能に取付け、この揺動に連動して車輪に設けた制動機構が作動するようにしている。従って、シルバーカーはハンドル上端の持ち手を握って押すことで前方へ進むことが出来るが、路面が傾斜した坂道に差し掛かった場合など、シルバーカーが単独で先へ進もうとするならば、直ちにブレーキが作動して停止することが出来る。
【0010】
すなわち、シルバーカーが先に進む場合には、持ち手から手が離れようとしてハンドルは後方側に傾斜することが出来る。そこで、ハンドルの揺動に連動して制動機構が作動して車輪の回転がロックされ、シルバーカーは直ちに停止し、シルバーカーを押して歩く人が転ぶことはない。そして、持ち手を前方へ押すならばハンドルは前側へ傾斜してブレーキは解除される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】シルバーカーの外観図。
【図2】椅子を引き出した場合のシルバーカー。
【図3】椅子の取付け構造。
【図4】バッグの蓋を開き、椅子を引き出している状態のシルバーカー。
【図5】ハンドルをスライドして持ち手が降下した場合の正面側外観図。
【図6】ハンドルをスライドして持ち手が降下した場合の背面側外観図。
【図7】椅子を引出してハンドルを縮小した背面側斜視図。
【図8】ハンドルのスライド機構を示す全体図。
【図9】ハンドルの上下スライド機構。
【図10】ハンドル上端の持ち手に取付けたロック解除操作部。
【図11】後輪に取付けた制動機構。
【図12】制動機構を作動するワイヤーと外ケースとの関係。
【図13】下端に後輪を取付けた脚。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係るシルバーカーの1形態を示す実施例であり、このシルバーカーにはバッグが装着されてキャリーバッグとしての機能を兼ね備えている。同図の1はバッグ、2a,2bは前輪、3a,3bは後輪、4はハンドルをそれぞれ表している。同図に示しているシルバーカーはハンドル4を引上げて走行可能な状態を示し、ハンドル4はその高さを自由に調整することが出来、ハンドル4の上端には両手で握ることが出来る持ち手5a,5bを両側へ延ばしている。そして、持ち手5a,5bはその長さの調整が出来るように伸縮可能と成っている。
【0013】
前輪2a,2bはバッグ1の正面両側下端に取付けられ、しかもその向きを変えることが出来るように軸支されている。又、後輪3a,3bはバッグ1ではなく、バッグ1の背面側に取付けて斜め後方へ傾斜して延びる脚6a,6bの先端(下端)に取付けられている。従って、前輪2a,2bと後輪3a,3b間の距離は大きくなり、該シルバーカーは安定した走行を行うことが出来る。
【0014】
従来の一般的なシルバーカーは金属製のパイプでフレームを構成し、このフレームに前輪及び後輪を取付け、さらに該フレームに小荷物を入れる為のバッグ又はボックスを装着している。これに対して、同図に示すシルバーカーは金属製パイプを組立てたフレームを用いることなく、金属製又は樹脂製などのモノコック型バッグ自体をフレームとして機能させ、該バッグに前輪2a,2b及び後輪3a,3bを取付けている。しかし、バッグ1の前後下端に前輪2a,2bと後輪3a,3bを取付けたのでは、前後輪2,3間の距離が小さくて安定しない為に、後輪3a,3bはバッグ背面側から斜めに傾斜して延びる脚6a,6bの先端に取付けている。
【0015】
図2はバッグ背面に取付けた椅子7を引き出した場合である。該シルバーカーには椅子7が取付けられ、該椅子7はバッグ1の背面に収納されている。そして必要な時に図2に示すように引出すことが出来、この椅子7を利用することで腰掛けて一時的に休むことが出来る。シルバーカーは斜め後方に傾斜して延びる脚6a,6bを有し、この脚先端に後輪3a,3bを取付けると同時に、椅子7も該脚6a,6bによって支持されることで安定することが出来る。
【0016】
図3は脚6aに取付けた椅子7の取付け構造を示している。勿論、他方の脚6bにも同じような構造で取付けられるが、脚6aの内側には軸10が水平に突出し、該軸10にはリンク11が連結している。そして椅子7の片側下面には2個のリブ12a,12bが設けられ、上記リンク11の他端はリブ12aと軸13を介して連結している。
【0017】
また、脚6aの内側にはガイド溝14が長手方向に設けられ、該ガイド溝14にはリブ12bに取付けた軸15が遊嵌している。従って、椅子7に上方から荷重が作用した場合、リブ12bに設けた軸15はガイド溝14の下端に位置していることで、リンク11が回転することはない。従って、椅子7に腰掛けて休むことが出来る。そして、椅子7が不要な時にはリブ12bの軸15をガイド溝14に沿って上方へスライドさせるならば、椅子7は脚6aと平行になり、しかも、脚6aを折り畳むならば、椅子7も該脚6aと共にバッグ1の背面側に収納される。同図の軸16は脚6aの取付け軸である。
【0018】
図4はバッグ1の蓋38を開いた状態を示している。バッグ1には開閉することが出来る蓋38が取付けられ、同図に示すように表面側へ傾斜して開くことが出来る。蓋38を開くならば、バッグ1は開口して内部空間9に荷物を収容することが出来、キャリーバッグとして機能することが出来る。勿論、キャリーバッグとして使用する場合には、椅子7を折畳み、又脚6a,6bを折り畳んで収納し、前輪2a,2bを浮かせて後輪3a,3bを路面を転がって引くことが出来る。
【0019】
図5はハンドル4が縮小して持ち手5a,5bはバッグ1の上端に位置し、両脚6a,6bは折り畳まれてバッグ背面に形成した溝に収納されている。従って、同図はキャリーバッグとして使用される場合を表している。そして、該キャリーバッグは補助握り部8を握って持ち上げることが出来る。図6は図5の背面側を示しているように、両脚6a,6bは溝に収容され、後輪3a,3bはバッグ1の背面側下端に位置している。
【0020】
そして、持ち手5a,5bには補助握り部8が設けられ、図5、図6に示す状態でバッグ1を持ち上げる場合には上記補助握り部8を使用することが出来る。補助握り部8は両持ち手5a,5bの中間位置であって、しかもバッグ1の正面側に位置している。両持ち手5a,5bはバッグ1の背面側に位置して上下方向にスライドするハンドル4とほぼ同一面内に設けられ、この持ち手5a,5bの位置でバッグ1を持ち上げるならば、バッグ1の重心が正面側になることで、持ち上げられたバッグ1は傾いて背面下端部が体に接する。その為に、該バッグ1を持って歩き難くなる。
【0021】
正面側に位置している補助握り部8はバッグ1の重心部位を通る面内に位置することで、該補助握り部8を握って持ち上げたバッグ1は傾斜することなく、体に当ることはない。従って、バッグ1を持ち易く、しかも歩き易い。キャリーバッグとして使用する場合には、一般に後輪3a,3bが路面を転がって引くことが出来る。しかし、階段を上り下りする場合には該バッグ1を持ち上げなくてはならず、上記補助握り部8を持つことでバッグ1は傾くことなく安定する。
【0022】
図7はバッグ1の背面側を示しているが、バッグ1の背面側にはハンドル4が取付けられている。図8はハンドル4の上下スライド機構を示す具体例であり、同図に示すハンドル4は無段階で上下スライドすることが出来る。該ハンドル4は長方形断面のパイプから成り、このハンドル4は外ケース17に嵌って取付けられ、そして該外ケース17に沿って上下方向にスライドすることが出来る。
【0023】
外ケース17の下端は軸支されて前後方向に揺動することが出来る。そして、外ケース17の下端には心棒18が固定され、該心棒18は上方へ延びている。上記ハンドル4の内部にはジグザグに屈曲したチェーンが配置され、該心棒18をロックしている。ジグザグ状チェーンは所定の間隔をおいて上下位置に取付けられ、外ケース17に固定した心棒18にロックされることで、ハンドル4の上下方向スライドが阻止される。すなわち、ジグザグ状チェーンに形成される貫通穴に心棒が挿通している。
【0024】
図9はジグザグ状チェーンを用いたロック機構を示す具体例であり、同図の19は上側ジグザグ状チェーン、20は下側ジグザグ状チェーンを示し、上側ジグザグ状チェーン19の上端は固定端21となってハンドル側に固定され、同じく下側ジグザグ状チェーン20の下端は固定端22と成ってハンドル側に固定されている。ジグザグ状チェーン19,20は複数のリンクをピンによって連結し、これをノコ歯状に屈曲してジグザグ形状としたものであり、ジグザグ形状に屈曲することで貫通した穴が形成され、この穴に心棒18が挿通している。
【0025】
従って、ハンドル4を上方へスライドして引き伸ばそうとする場合、上端に固定端21を持つ上側ジグザグ状チェーン19の各ピンが心棒18と係合してロックする。また、ハンドル4を下側へスライドして縮めようとする場合、下端に固定端22を持つ下側ジグザグ状チェーン20の各ピンが心棒18と係合してロックする。このように、ハンドル4の上下方向スライドは、上記上側ジグザグ状チェーン19及び下側ジグザグ状チェーン20によってロックされる。
【0026】
そこで、ハンドル4の上下スライドを行なう為には上側ジグザグ状チェーン19及び下側ジグザグ状チェーン20のロックを解除しなくてはならない。同図の23はロック解除プレートを示している。このロック解除プレート23はその上端がブロック24に固定され、該ブロック24は連結パイプ25の下端に取着されている。そして、該連結パイプ25の上端は、ハンドル4の上端部まで延び、ロック解除操作部26と連結している。
ところで、上側ジグザグ状チェーン19及び下側ジグザグ状チェーン20にはバネ力が付勢されて引き伸ばすように作用している。すなわち、各ピンが心棒18に常時接することが出来る状態と成っている。特に、下側ジグザグ状チェーン20の自由端28が自重にて降下し、ロック解除を操作する以外にピンが心棒18から離れないようにしている。
【0027】
図10はハンドル4の上端に取付けている持ち手5を示し、この持ち手5にはロック解除操作部26を取付けている。同図のロック解除操作部26は持ち上げた状態であって、このロック解除操作部26が持ち上げられるならば、連結パイプ25は上昇し、上記ロック解除プレート23も上昇する。その結果、ロック解除プレート23によって上側ジグザグ状チェーン19の自由端27が持ち上げられ、上側ジグザグ状チェーン19の各ピンは心棒18との係合が解かれ、ハンドル4を上方へスライドさせることが出来る。すなわち、ハンドル4を引き伸ばすことが出来る。
【0028】
逆に、ロック解除操作部26を押下げるならば連結パイプ25は降下し、連結パイプ25の下端に連結しているロック解除プレート23の降下によって下側ジグザグ状チェーン20の自由端28が押下げられる。その結果、下側ジグザグ状チェーン20の各ピンは心棒18との係合が解かれてハンドル4を下方へスライドさせることが出来る。すなわち、ハンドル4を縮めることが出来る。そこで、上記ロック解除操作部26を中間位置に配置するならば、ハンドル4は上昇することも降下することも出来ない。
【0029】
このように、ハンドル4は上下方向にスライドして伸縮することが出来るように成っているが、実施例で説明した上側ジグザグ状チェーン19及び下側ジグザグ状チェーン20を用いた無段階伸縮機構は単なる1具体例に過ぎない。ラチェットを用いた有段階の伸縮機構を採用することも出来る。ハンドル上端に設けている持ち手5の高さは、ハンドル4の上下スライドによって老人の体型に合うように調整可能としている。
【0030】
そして、このシルバーカーのハンドル4は上下スライドの他に前後方向に揺動することが出来、この前後揺動に連動してブレーキが作動するように成っている。すなわち、シルバーカーとして手押しする場合、両持ち手5a,5bを握って押圧するが、該押圧力によってハンドル4は前方へ傾斜する。このハンドル4の傾斜に連動して後輪3a,3bに取付けている制動機構が作動し、ブレーキを解除する。すなわち、後輪3a,3bは抵抗なく自由に回転することが出来る。
【0031】
しかし、持ち手5a,5bから手を離すならば、又はシルバーカーが坂道に差し掛かったところで、シルバーカーが独りでに先へ進もうとする場合、ハンドル4は後方(背面側)へ傾斜する。これは、ハンドル4にバネ力が常時付勢されている為に、持ち手5a,5bへの押圧力がなくなると後方へ押戻されるように傾斜する。従って、ハンドル4の後方への傾斜に連動して制動機構が作動してブレーキが掛かり、後輪3a,3bの回転が阻止されてシルバーカーは停止する。
【0032】
図11は後輪3a,3bの制動機構を示す具体例である。車軸29を中心に同心を成すリブ30が設けられ、このリブ30にジグザグ状チェーン31が取付けられている。このジグザグ状チェーン31は複数のリンクがピンを介して連結され、そして、リンクを中心として両側へ延びたピンにはローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・が取着されている。これら複数のローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・によって上記リブ30が挟み込まれており、一方のピンには軸側に固定した連結リンク33と連結・固定されている。
【0033】
ここで、リブ30の内径側に位置するローラ32bの径は小さく、外径側に位置するローラ32aの径は大きく成っており、シルバーカーを押すと後輪3は反時計方向に回転する。しかし、上記ジグザグ状チェーン31の各ローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・がリブ30に係合することで、リブ30の回転、すなわち後輪3の回転が阻止される。ところで、車軸29に取付けた解除ブロック34が時計方向に回転して先端が上昇し、ジグザグ状チェーン31の先端に当るならばジグザグ状チェーン31は圧縮されて各ローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・はリブ30との係合が解除される。
【0034】
上記解除ブロック34の車軸29にはトーションバネ(図示なし)が取付けられ、解除ブロック34の先端が上記ジグザグ状チェーン31の先端(自由端)に当らないようにバネ力を付勢している。このバネ力が付勢されている解除ブロック34と上記ハンドル4を取付けている外ケース17とがワイヤー35を介して連結している。ところで、該ジグザグ状チェーン31の各ローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・が常にリブ30と係合状態にあるように、すなわち、解除ブロック34が先端に当って圧縮する時以外は係合するように、ジグザグ状チェーン31を引き伸ばす方向にバネ力を付勢している。ただし、具体的な手段は限定しないが、例えば、先端を弱いコイルバネで引張ることもでもよい。
【0035】
図12はハンドル4が嵌って取付けられている外ケース17の上端を示しているように、外ケース上端に取着した金具36にはワイヤー35が連結している。そして、このワイヤー35は上記解除ブロック34と連結している。そこで、ハンドル4が前方へ傾く場合、すなわち、シルバーカーのハンドル持ち手5a,5bに手を掛けて押すならば、ハンドル4は前方へ傾き、同時に外ケース17も傾いてワイヤー35を引張ることになる。
【0036】
そして、このワイヤー35は脚6の内部を通過して下端に取付けている後輪3へ導かれ、そして後輪3に取付けている解除ブロック34に連結している。解除ブロック34は時計方向に回転して先端がジグザグ状チェーン31の自由端に当ってロックが解除される。その結果、後輪3は反時計方向に回転してシルバーカーは前進することが出来る。図13は制動機構を設けた後輪3を脚先端に取付けた場合を示している。
【0037】
そして、シルバーカーのハンドル持ち手5a,5bから手を離すならば、車軸29に取付けたトーションバネによって解除ブロック34は反時計方向に回転して先端はジグザグ状チェーン31の自由端から離れる。その結果、リブ30にジグザグ状チェーン31の各ローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・が係合して後輪3の回転をロックすることが出来る。そして、解除ブロック34を反時計方向に回転するトーションバネによって、ワイヤー35が引き戻されてハンドル4は後方側へ傾くことになる。
【0038】
同図に示す後輪3は正面キャップを取外した状態であり、正面キャップにも同心を成す同じ径のリブ30が設けられ、正面キャップを取付けることで該リブ30にもジグザグ状チェーン31の各ローラ32a,32a・・・、32b,32b・・・が係合することが出来る。正面キャップは同心を成して車軸29に嵌ると共に、回転しないようにピン37,37・・・が外周に設けたピン穴に嵌って取り付けられる。ただし、正面キャップは必ずしも回転しないように固定しなくてもよい。
【0039】
ところで、後輪3の制動機構は上記実施例に限定するものではない。車両のブレーキ装置として多用されているドラム式ブレーキ、又はディスクブレーキを用いることも出来る。そして、この場合も、ハンドル4の揺動と連動してブレーキが働くように構成できる。ドラム式ブレーキの場合、バネ力を付勢して常時ブレーキが働くようにしておき、ハンドル4を前方へ傾くことでドラムブレーキが解除されるように構成できる。勿論、ディスクブレーキの場合も同じように機能させることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 バッグ
2 前輪
3 後輪
4 ハンドル
5 持ち手
6 脚
7 椅子
8 補助握り部
9 内部空間
10 軸
11 リンク
12 リブ
13 軸
14 ガイド溝
15 軸
16 軸
17 外ケース
18 心棒
19 上側ジグザグ状チェーン
20 下側ジグザグ状チェーン
21 固定端
22 固定端
23 ロック解除プレート
24 ブロック
25 連結パイプ
26 ロック解除操作部
27 自由端
28 自由端
29 車軸
30 リブ
31 ジグザグ状チェーン
32 ローラ
33 連結リンク
34 解除ブロック
35 ワイヤー
36 金具
37 ピン
38 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行する際の補助車として使用するシルバーカーの制動装置において、ハンドルは下端部に設けた軸を基準として前後方向に揺動することが出来、しかも付勢されたバネ力にてハンドルは常時後方側に傾斜して車輪に設けたブレーキが作動し、持ち手を握って前方へ押す時にはハンドルは前方へ傾斜してブレーキが解除し、このように車輪に設けた制動機構がハンドルの前後方向揺動に連動したことを特徴とするシルバーカーの制動装置。
【請求項2】
上記ハンドルは上下方向にスライドして上端に設けた持ち手の位置を自由に調整することが出来る請求項1記載のシルバーカーの制動装置。
【請求項3】
上記ハンドルは外ケース内に嵌り、外ケース下端に設けた軸を基準として前後方向に揺動可能とした請求項1、又は請求項2記載のシルバーカーの制動装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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