説明

シートの厚み制御

シートを形成する方法および装置が開示される。融液を冷却して、融液上にシートを形成する。このシートは第1の厚みを有する。シートはその後、第1の厚みから第2の厚みに、例えばヒータまたは融液を利用して、厚みを低減させられる。冷却は、シートにおける一定の領域に溶質を捕捉するよう構成されてよく、この特定のシートの厚みを低減させて溶質を取り除く。溶質は例えば、シリコン、シリコンとゲルマニウムとの組み合わせ、ガリウム、および窒化ガリウムであってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融液からのシート形成、より具体的には、融液から形成されたシートの厚みを薄くする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハまたはシートは、例えば集積回路または太陽電池産業で利用される場合がある。再生可能なエネルギー源への需要が高まるにつれ、太陽電池の需要も高まってゆくであろう。太陽電池にはシリコンと薄膜という二種類がある。大多数の太陽電池は、単結晶シリコンウェハ等のシリコンウェハから形成される。現在のところ、結晶シリコン太陽電池のコストの大半を、太陽電池を形成するウェハのコストが占める。太陽電池の効率性、つまり標準的な太陽照射の下で生成される電力量は、一部にはこのウェハの品質により制約を受ける。太陽電池への需要が高まると、コスト/電力比を下げることが太陽電池産業の目的の一つとなる。品質を落とさずにウェハの製造コストを低下させることができれば、このコスト/電力比が低下して、このクリーンなエネルギー技術の幅広い利用につながる。
【0003】
最も効率の高いシリコン太陽電池は、20%を超える効率性を有し、電子グレードの単結晶シリコンウェハを利用して製造される。これらウェハは、チョクラルスキー法で成長させられた単結晶シリコンのシリンダ状のブールの薄片を切断することで形成される。これら薄片の厚みは200μm未満であってよい。単結晶成長を維持するには、融液を含む坩堝からのブールの成長を、例えば10μm/s未満といった程度に、遅くすることが必要となる。後続する切断プロセスにより、ウェハ1枚について、約200μmの切り代、つまり、切断刃の幅に起因した損失が生じる。正方形の太陽電池を形成するには、シリンダ状のブールまたはウェハを、正方形に切断する必要があろう。正方形に切断する処理および切り代によって、無駄となる材料が生じ、材料費が上昇する。太陽電池の薄型化が進むにつれて、1回の切断で無駄になるシリコンの割合も高くなる。インゴット切断技術の制約によって、より薄型の太陽電池が得難くなる。
【0004】
他の太陽電池のなかには、多結晶シリコンインゴットから切断したウェハを利用して製造されるものがある。多結晶シリコンインゴットは、単結晶シリコンよりも成長が速いが、欠陥および粒界が生じることも多いので、製造されるウェハの品質が低く、太陽電池の効率も低くなる。多結晶シリコンインゴットの切断プロセスは、単結晶シリコンインゴットまたはブールのもの同様に非効率である。
【0005】
無駄になるシリコンを減らすことのできる別の方法として、イオン注入の後でシリコンインゴットからウェハを劈開する、というものがある。例えば、水素、ヘリウム、その他の貴ガスイオンをシリコンインゴットの表面の下に注入して、注入領域を形成する。この後で、熱的、物理的、または化学的処理を行って、この注入領域に沿ってインゴットからウェハを劈開する。しかし、イオン注入による劈開法は、切り代なしにウェハを製造できるものの、現在のところはコスト面で満足できるシリコンウェハの製造方法ではない。
【0006】
また別の方法として、融液からシリコン製のリボンを垂直に引っ張ってから、引っ張られているシリコンを冷却して凝固させて一枚のシートとする、というものがある。この方法における引っ張り速度は、約18mm/分未満に制限することができる。冷却および凝固処理でシリコンから除去される潜熱は、垂直なリボンに沿って除去されることになる。従ってリボンに沿って大きな温度勾配が生じる。この温度勾配によって結晶シリコンのリボンに圧力がかかり、品質が劣る多粒子シリコンが生じうる。更にこの温度勾配によってリボンの幅および厚みが制限されることがある。例えば、幅が80mm未満、厚みが180μmに制限されることがある。
【0007】
融液から物理的に引っ張られる水平なシリコンのリボンのテストも行われた。1つの方法では、ロッドに取り付けたシードを融液に挿入して、ロッドおよび生成されるシートを坩堝のエッジに対して低角で引っ張る。角度と表面張力とが均衡すると、融液が坩堝上にこぼれなくなる。しかし、このような引っ張りプロセスの実行制御は難しい。坩堝および融液にシードを挿入することが必要となるが、この際に熱損失が生じうる。熱損失を補うためには、坩堝を更に熱を与える必要がある。しかしこの更なる熱によって、融液に垂直温度勾配が生じて流体が層流でなくなる場合がある。さらに、坩堝のエッジに形成されるメニスカス部分の表面張力と重力とを均衡させるべく、難しい傾斜角の調節を行う必要がある。放熱はシートと融液との間の分離点で行われるので、潜熱として除去される熱と顕熱として除去される熱との間が突然に入れ替わることになる。これにより、この分離点ではリボンに沿って大きな温度勾配が生じ、結晶転位を生じうる。シートに沿ったこれらの温度勾配によって転位およびワープが起こることが予想される。
【0008】
例えばスピルウェイを利用して融液から水平方向に分離して薄いシートを製造する方法は未だ行われていない。融液から水平方向にシートを分離する製造方法は、インゴットからシリコンを切り出す方法よりも安価であり、切り代、つまり、正方形に切り出すことに伴う損失が生じない。更にこの融液から水平方向に分離されて製造されるシートは、水素イオンを利用してインゴットから劈開されるシリコン、あるいはその他のシリコンリボン引っ張り方法によるシリコンよりも安価である。更に、融液から水平方向にシートを分離する製造方法を利用することで、引っ張り方法によるリボンと比して、シートの結晶の品質が高まる可能性もある。このような、材料費削減が見込まれる結晶成長法の実現は、シリコン製の太陽電池のコスト削減を実現するための大きな一歩となりうる。しかしこの方法では、シートの厚みが不正確となったり、結晶格子内に不純物または溶質が含まれてしまったりするという欠点がある。従ってこの技術分野では、融液からシートを形成する方法の改善が望まれており、より詳しくは、融液から形成されるシートの厚みを薄くする方法が望まれている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の側面では、シートを形成する方法が開示される。方法は、材料の融液を冷却する工程と、融液内で材料のシートを形成する工程とを含む。シートは第1の厚みを有する。シートの厚みを、第1の厚みから、第1の厚みから第2の厚みへと低減させる。第2の厚みは第1の厚みより小さい。
【0010】
本発明の第2の側面では、シートを形成する装置が提供される。装置は、材料の融液を保持するチャネルを画定する容器を含む。冷却板が、融液の付近に配置される。冷却板は、融液の上に材料のシートを形成する。装置はさらに放射ヒータを有する。
【0011】
本発明の第3の側面では、シートを形成する方法が提供される。方法は、第1段階で材料の融液を冷却する工程を含む。第1段階における冷却は第1のパラメータを含む。材料のシートの第1の層は融液内で形成される。シートの第1の層は、第1の厚みと第1の溶質濃度とを有する。融液は第2段階で冷却される。第2段階における冷却は、第1のパラメータとは異なる第2のパラメータを有する。シートの厚みを、第1の厚みから第2の厚みへ増加させて、シートの第2の層を形成する。第1の厚みと第2の厚みとの間の第2の層は、第1の溶質濃度より高い第2の溶質濃度を有する。シートの厚みを、第2の厚みから第1の厚みへと低減させる。
【0012】
本開示をよりよく説明するべく、ここに参照として組み込む以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】融液からシートを分離する装置の一実施形態の側面断面図である。
【図2】融液からシートを引っ張ることで引き離す装置の一実施形態の側面断面図である。
【図3】図1の装置を利用する融液内の厚み低減工程に関する側面断面図である。
【図4】図2の装置を利用する融液内の厚み低減工程に関する側面断面図である。
【図5】図1の装置を利用するヒータを利用する厚み低減工程に関する側面断面図である。
【図6】図2の装置を利用するヒータを利用する厚み低減工程に関する側面断面図である。
【図7】シート−融液の界面付近の融液および固体の経時的な濃度プロファイルを表す。
【図8】図1の装置を利用する厚み低減工程および純化工程に関する側面断面図である。
【図9】図2の装置を利用する厚み低減工程および純化工程に関する側面断面図である。
【図10】シート成長中の不純物の捕捉工程に関する側面断面図である。
【図11】シートの加熱工程に関する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここに、太陽電池との関連で装置および方法の実施形態を記載する。しかし、これらは、例えば集積回路、フラットパネル、その他の当業者に公知な基板を製造する目的にも利用可能である。さらには、ここに記載する融液はシリコンであるが、融液には、ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウムとの組み合わせ、ガリウム、窒化ガリウム、その他の半導体材料、または、その他の当業者に公知な材料が含まれてよい。従って、本発明は以下に記載する特定の実施形態に限定されない。
【0015】
図1は、融液からシートを分離する装置の一実施形態の側面断面図である。シート形成装置21は、容器16と、パネル15および20とを有する。容器16と、パネル15および20とは、例えばタングステン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、モリブデン、グラファイト、炭化ケイ素、または石英であってよい。容器16は融液10を含むように構成される。融液10はシリコンであってもよい。融液10は、一実施形態では、フィード11を介して充たされてもよい。フィード11は固体シリコンを含んでもよい。別の実施形態では、融液10は容器16にポンプにより注入されてよい。シート13は融液10上に形成される。一例では、シート13は少なくとも部分的に融液10内に浮遊している。図1ではシート13が融液10内に浮遊しているように描かれているが、シート13は少なくとも部分的に融液10内に沈んでいても、融液10の上部に浮遊していてもよい。一例では、シート13の10%のみが融液10の上部から突出している。融液10は装置21内を循環してもよい。
【0016】
この容器16は、少なくとも1つのチャネル17を画定する。このチャネル17は融液10を保持するよう構成され、融液10は、チャネル17の第1点18から第2点19へと流れる。一例では、チャネル17内の環境を静的なものとすることで、融液10内の表面張力波(ripple)を防いでいる。融液10は、例えば圧力差、重力、電磁流体力学的駆動力、スクリューポンプ、インペラーポンプ、動力(wheel)、その他の運搬方法により流れてよい。そして融液10は、スピルウェイ12を流れる。スピルウェイ12は、傾斜路、堰、小さなダム、またはコーナであってよく、図1に示す実施形態に限定されない。スピルウェイ12は、シート13を融液10から分離することができる任意の形状であってよい。
【0017】
この特定の実施形態において、パネル15は一部が融液10の表面の下に延びている。これにより、波または表面張力波が、融液10上での形成時にシート13を妨害しないようにしないようにできる。波または表面張力波は、フィード11からの溶融材料の追加、ポンプによる注入、その他の当業者に公知な原因によって形成されうる。
【0018】
ある特定の実施形態では、容器16と、パネル15および20とは、約1687Kを僅かに上回る温度に維持されてよい。シリコンにおいては、1687Kは、氷結温度または界面温度を表している。容器16並びにパネル15および20の温度を融液10の氷結温度を僅かに上回る温度に維持することにより、冷却板14が放射冷却により機能して、融液10上の、または融液10内のシート13にとって望ましい氷結速度を達成することができる。この特定の実施形態における冷却板14は、単一のセグメントまたはセクションから形成されているが、別の実施形態では複数のセグメントまたはセクションを含むこともできる。チャネル17の底部を融液10の溶融温度を越える温度に加熱して、融液10内の界面に小さな垂直温度勾配を形成することで、シート13の上の構成上の過冷却または樹状突起または枝状突起の形成を防止することができる。しかし、容器16と、パネル15および20とは、融液10の溶融温度を上回る任意の温度であってよい。これにより、容器16、並びにパネル15および20の上での融液10の凝固が妨げられる。
【0019】
装置21は、装置21を少なくとも部分的または全体的に筐体内に封入することで、融液10の氷結温度を僅かに上回る温度に維持することができる。筐体が装置21を融液10の氷結温度を超える温度に維持する場合、装置21を加熱する必要性がなくなる、または低減して、筐体内またはその周りのヒータが熱損失を補うことができるようになる。この筐体は、等方性の導電性を有し、等温性を有してよい。別の特定の実施形態では、ヒータが筐体上または筐体内に配置されるのではなく、装置21内に配置される。一例としては、容器16にヒータを埋め込み、マルチゾーン温度制御によって、容器16の異なる領域を異なる温度に加熱する。
【0020】
筐体は、装置21が配置される環境を制御することができる。特定の実施形態では、筐体は不活性ガスを含む。この不活性ガスは、融液10の氷結温度を上回る温度に維持されてよい。不活性ガスにより、シート13の形成プロセス中に構成上の不安定性を生じうる溶質が融液10にあまり形成されなくなる。
【0021】
装置21は冷却板14を含む。冷却板14により、融液10上にシート13が形成される際の熱抽出が可能となる。冷却板14は、冷却板14の温度が融液10の氷結温度を下回った場合に、シート13を融液10の上で、またはその中で氷結させる。冷却板14は放射冷却を利用することができ、例えばグラファイト、石英、または炭化ケイ素で製造可能である。冷却板14は、液体融液10から熱を迅速に、均一に取り去ることができ、しかも、制御された量の熱を取り去ることができる。シート13が形成されてシート13を不完全なものでなくす際に、融液10へのかく乱が防がれる。
【0022】
融液10からの融合熱および熱の、融液10の表面からの熱抽出によって、シート13を低欠陥密度に維持しつつ、他のリボン引っ張り方法よりもシート13の高速な製造が可能となる。融液10の表面の上のシート13または融液10の上を浮遊するシート13を冷却することで、大きなシート13の抽出速度を有しつつ、大きな面積の上の融合の潜熱を徐々に取り去ることができる。
【0023】
冷却板14の寸法は、長さおよび幅両方で大きくすることができる。長さを大きくすることにより、同じ垂直成長速度で、より高速のシート13の抽出速度が達成され、生成されるシート13には厚みが得られる。冷却板14の幅を広くすることにより、シート13の幅も広くすることができる。垂直シート引っ張り方法とは異なり、図1に示す装置および方法の実施形態を利用して製造されるシート13の幅には本来物理的制約がない。
【0024】
ある特定の例では、融液10およびシート13は、約1cm/sの速度で流れる。冷却板14は、長さが約20cmであり、幅が約25cmである。シート13は、約100μmの厚みに約20秒で成長することができる。従ってシートは、約5μm/sの速度で厚みが成長してよい。約100μmの厚みのシート13は、約10m/時の速度で製造することができる。
【0025】
一実施形態では、融液10の熱勾配を最小限に抑えることができる。これにより、融液10が安定して層状に流れるようになる。さらに、冷却板14を利用して放射冷却によりシート13を形成することができるようになる。冷却板14と融液10との間の約300Kの温度差により、ある特定の例においては、融液10の上に、またはその中に、シート13を約7μm/sの速度で形成することができる。
【0026】
冷却板14の下流およびパネル20の下のチャネル17の領域は、等温であってよい。この等温領域により、シート13のアニーリングが可能である。
【0027】
融液10上にシート13を形成した後で、スピルウェイ12を利用して融液10からシート13を分離する。融液10は、チャネル17の第1点18から第2点19へと流れる。シート13は融液10により流れる。このシート13の輸送は、連続した運動であってよい。一例では、シート13は、融液10の流れる速度と略同じ速度で流れさせてよい。このようにしてシート13が形成して、融液10に対して静止している状態で輸送することができる。スピルウェイ12の形状またはスピルウェイ12の配置を変更することで、融液10またはシート13の速度プロファイルを変更することができる。
【0028】
融液10は、スピルウェイ12でシート13から分離される。一実施形態では、融液10の流れにより、融液10にスピルウェイ12の上を通らせ、少なくとも一部には、シート13にスピルウェイ12の上を通らせることができる。こうすることで、外部応力がシート13にかからないことから、単結晶のシート13を破壊する可能性が最小限に抑えられる、または防がれる。融液10は、この特定の実施形態では、シート13から離れてスピルウェイ12の上を流れる。スピルウェイ12を冷却しないことで、シート13に対する熱衝撃を防ぐことができる。一実施形態では、スピルウェイ12における分離は、等熱に近い条件下で起こる。
【0029】
装置21内においてシート13は、融液に対して法線方向に引っ張る方法よりも速く形成することができる。これは、融液10の上でシート13の適切な冷却化および結晶化が行われるように流れるように融液10が構成されているからである。シート13は、融液10が流れる速度と略同じ速度で流れる。これによりシート13に対する応力が低減される。融液に対して法線方向にリボンを引っ張る際には、引っ張ることでリボンにかかる応力によって、速度が制限される。一実施形態においては、装置21のシート13はこのような引っ張り応力を受けない。これにより、シート13の品質およびシート13の製造速度が向上する。
【0030】
シート13は、一実施形態ではスピルウェイ12を超えて直進する傾向がある。一部の例では、スピルウェイ12を超えた箇所でこのシート13を支持して、破損を防ぐことができる。支持デバイス22によりシート13を支持する。支持デバイス22は、例えば気体(または空気)送風機を利用して気体圧差を提供することでシート13を支持する。シート13が融液10から分離された後で、シート13が位置する環境の温度を徐々に変更してよい。一例では、シート13がスピルウェイ12から移動して離れるにつれて、温度が降下する。
【0031】
一例では、シート13の成長、シート13のアニーリング、および、スピルウェイ12を利用するシート13の融液10からの分離は、等温環境下で行うことができる。スピルウェイ12を利用して、且つ、シート13と融液10との間で略等しい流速とすることで分離を行うことにより、シート13上にかかる応力または機械的歪みが最小限に抑えられる。これにより、単結晶のシート13が製造される可能性が高まる。
【0032】
別の実施形態では、シート形成装置21で融液10およびシート13に対して磁界を適用する。これにより、融液10内の振動流を弱めてシート13の結晶化を促すことができるようになる。
【0033】
図2は、融液からシートを引っ張ることで引き離す装置の一実施形態の側面断面図である。本実施形態では、シート形成装置23がシート13を融液10から引っ張ることで引き離す。本実施形態では融液10はチャネル17内を循環している必要はなく、シート13はシードを利用して引っ張られる。シート13は冷却板14による冷却により形成することができ、生成されるシートは融液10から引っ張り出すことができる。
【0034】
図1−2両方の実施形態で冷却板14が利用されている。冷却板14の全長の冷却温度と異なり、且つ、融液10の流速またはシート13の引っ張り速度と異なり、シート形成装置21またはシート形成装置23の様々なセクションの長さ、または、シート形成装置21またはシート形成装置23内のタイミングを利用してプロセス制御を行うことができる。融液10がシリコンである場合には、多結晶のシート13または単結晶のシート13をシート形成装置21内に形成することができる。図1または図2の実施形態においては、シート形成装置21またはシート形成装置23は筐体内に含まれていてよい。
【0035】
図1および図2は、融液10からシート13を形成することのできるシート形成装置の2つの例を示したに過ぎない。垂直または水平方向にシート13を成長させる他の装置または方法が可能である。ここに記載する方法および装置の実施形態は、任意の垂直または水平方向にシート13を成長させる方法または装置に応用することができ、図1−2の特定の実施形態のみに限定されない。図1−2の実施形態を利用して形成されるシート13は、厚みが大きすぎたり、不正確な寸法であったりする場合がある。さらにシート13の表面が滑らかではない場合もある。従って、例えばシート13の厚みを薄くして、正確な厚みを得たり、表面を滑らかにしたりすることができる。
【0036】
図3は、図1の装置を利用する融液内の厚み低減工程に関する側面断面図である。融液10はスピルウェイ12を流れる。シート13は、冷却板14を用いて融液10を氷結させる際に、融液10内に形成される。シート13は、冷却板14の下流であって領域30内のスピルウェイ12の上流で厚みを低減される。この厚み低減工程によって、スピルウェイ12の前で、シート13の寸法が第1の厚みから第2の厚みへと変化する。シート13がスピルウェイ12に向かって流れる際に、融液10からの熱によって、シート13の少なくとも一部分が溶融されて、融液10に戻る。
【0037】
特定の一例では、融液10またはシート13の流速は約1cm/sである。この特定の実施形態では層流を利用することができる。容器16の温度は、シート13の氷結温度より約2K上回る温度であってよい。冷却板14の温度と、融液10の温度との差異は、約300Kであってよい。領域30の融液10の深さは約1cmである。シート13の厚みを低減させて、領域30内で融液10に戻す速度は約1μm/sである。従って、融液10またはシート13の方向に沿って第1点18と第2点19との間でシート13の厚みを薄くする速度は、約1μm/cmである。領域30は、融液10またはシート13の流れの方向で約0.5の長さを有することで、シート13の厚みを約150μmから約100μmへと薄くすることができる。この領域30の長さは、容器16の温度を上げることで短くすることができるが、これには、冷却板14が、より低い温度で動作する必要があろう。別の実施形態では、シート13の厚みを、約200μから約100μmへ低減させる。
【0038】
均一に厚みを薄くするプロセスを行うには、温度勾配を十分に下げて、シート13に対する不均一または不安定な浮力による対流を防ぐ必要があろう。不安定な対流は、不均一な熱流束であるので、エネルギー輸送全体を均一に制御することが難しい。これは、シート13における不均一な厚みにつながりうる。シート13および融液10における温度差が約5K未満であり、領域30における融液10の深さが比較的浅い場合には、浮力による対流は問題を呈さない。領域30における融液10の深さは、例えば約1.22cm未満であってよい、または、約0.97cmであってよい。しかし、一部の実施形態では、融液10の対流が許されてよい。他の条件またはパラメータも可能であり、これは厚み低減プロセスの一例に過ぎない。本実施形態は、上述した例にリストされる条件のみに限定されない。
【0039】
図4は、図2の装置を利用する融液内の厚み低減工程に関する側面断面図である。領域30のシート13の厚み低減プロセスは、シート形成装置23および図3のシート形成装置21に適用することができる。ここでシート13は、冷却板14を用いて形成した後であってシート13を融液10から引っ張ることで引き離す前に、第1の厚みから第2の厚みへと厚みを薄くされる。
【0040】
図5は、図1の装置を利用するヒータを利用する厚み低減工程に関する側面断面図である。シート形成装置21は、ヒータ50および流体ベアリング51を含む。ヒータ50および流体ベアリング51は両方とも、この特定の実施形態では、融液10上に形成されるシート13に対して傾けられている。シート13は、第1点18から第2点19へ、そしてスピルウェイ12上を流れる。シート13がスピルウェイ12を通り過ぎてから、シート13の厚みを、ヒータ50を用いて低減させる。シート13の厚みは、第1の厚みから第2の厚みへと低減させられる。例えば、シート13の厚みは、約200μmから約100μmへと低減させられてよい。
【0041】
冷却板14によるシート13の形成、および、ヒータ50によるシート13の厚み低減を分離して行うことによって、シート13を小さな温度勾配で氷結することができるようになる。ヒータ50を利用してシート13から溶融されるシート13の部分は全て、シート13に沿って流れて融液10に戻ることができ、または、収集デバイスへとドリップして戻ることができる。これは少なくとも部分的に、シート13の角度に起因している。特定の実施形態では、シート13の、シート13から溶融される部分は、溶質に富んでいてよい。
【0042】
この特定の実施形態では、ヒータ50は放射ヒータである。対流コンポーネントを有する他のヒータまたは放射ヒータを利用することもできる。ヒータ50により、シート13の厚みを均一に薄くすることができ、シート形成装置21の他の部分の温度を変更することなく、溶融の潜熱のみを供給することができる。
【0043】
流体ベアリング51は、この特定の実施形態では、シート13を一定の角度に傾かせる。この角度は浅くすることで、シート13への応力を防ぐことができる。流体ベアリング51が示されているが、空気ベアリング、ローラ、別のシート13の運動メカニズムを利用することもできる。別の実施形態では、シート13を水平に保ち、流体ベアリング51がシート13を傾けないようにすることもできる。この例では、シート13の溶融部分は全てドリップにより下に垂れる。
【0044】
本実施形態では、冷却板14とスピルウェイ12との間に距離があるが、この距離は最小限に抑えることができる。例えば、冷却板14をスピルウェイ12の直近の位置に配置することもできる。融液10が形成後のシート13の厚みを低減するのではなくて、主にヒータ50がシート13の厚みを薄くすることができる。別の実施形態では、ヒータ50が融液10と協同することで、シート13の厚みを薄くすることもできる。
【0045】
図6は、図2の装置を利用するヒータを利用する厚み低減工程に関する側面断面図である。ヒータ50でシート13の厚みを薄くするプロセスは、シート形成装置23および図5のシート形成装置21にも適用することができる。ここでシート13は、冷却板14を利用して形成された後であってシート13を融液10から引っ張り、離した後に、第1の厚みから第2の厚みへと厚みを低減させられる。
【0046】
別の実施形態では、シート13の厚みを低減させて、融液10を純化する、あるいは、溶質のレベルを低減させる。これは、成長させられる結晶シート13および融液10における不純物原子(溶質)の濃度の関係を示す、溶質の析出係数に関している。多くの溶質の析出係数は1未満であり、これにより、液体融液10よりも溶質の濃度の低い固体のシート13が生じる。従って、シート13の形成段階では、融液10内に溶質が選択的に残留するので、溶液10中の溶質の濃度が上がる。これにより、シート13の結晶化プロセス中に構成上の不安定性が生じ、これにより品質の悪いシート13または樹状突起または枝状突起を表面に含むシート13が生じる場合がある。
【0047】
この特定の実施形態では、融液10の純化は、シート13の形成および厚み低減プロセス中に行われる。この純化プロセスによって、シート13の形成中に融液10が純化されるので、利用可能な純度の低い融液10の原料、または、融液10の原料全体が少なくなる。図7は、シート−融液の界面付近の融液および固体の経時的な濃度プロファイルを表す。溶質の析出は、融液10内に溶質を拡散させるようシート13の氷結プロセスが十分遅い速度で行われていることを一部の条件として起こる。しかし、シート13の結晶化が迅速に進行する場合には、析出する溶質が融液10内に拡散する時間がない。従って溶質は固体のシート13内に捕捉されうる。
【0048】
図7から分かるように、シート13は少なくとも2段階を経て形成することができる。この特定の実施形態では、これら段階を、段階70および段階71と称する。段階70は、「遅い」として、段階71は「速い」とする。段階70のシート13の成長は、段階71よりも遅く、あるいは例えば通常の速度であって、純化された、または高品質の結晶シート13が生成される。一例では、段階70では、シート13を約5μm/sおよび約10μm/sの間の速度で成長させることができる。段階71におけるシート13の成長は、段階70よりも速いので、段階70で拒絶された溶質を捕捉することができる。段階71は、シート13に応力がかかるのを防ぐよう構成されてよい。これを達成するには、段階70、71の長さを異ならせて、異なる温度で動作させる必要があろう。例えば、段階70は、シート13の結晶化温度を約100K下回る温度で行うことができ、段階71は、シート13の結晶化温度を約500K下回る温度で行うことができる。
【0049】
図7では、t1およびt2で結晶化が起こる速度が遅く、これにより、液体の融液10内に析出した溶質は、外部に拡散する。t3では、形成される結晶シート13に高濃度のエッジが捕捉される程度に結晶化が起こる速度が速いので、結晶シート13における溶質の濃度が上がる。t4およびt5では、溶質は結晶シート13に捕捉されるので、融液10における溶質のレベルが下がる。これは、以下の式により表すことができる。
K=CSL/CLS
eff=C/CLS
ここで、kは析出係数の均衡点であり、CSLをCLSで除算した結果に等しくなる。keffは、界面の移動による析出係数の不均衡点であり、Cが氷結エッジから離れた濃度である。keffは、シート13の氷結エッジ付近の、より高い濃度を考慮に入れている。界面速度がゼロに近づくと、keffはkに近づく。固体と液体の界面では、CSLは溶質の固体における濃度であり、CLSは溶質の液体における濃度である。シート13または融液10の流れはyで表される。
【0050】
この例では、シート13の最初の50μmが段階70中に形成される。これにより、1未満の有効な析出係数が可能となり、溶質(鉄など)の液体融液10における拡散は、氷結速度よりも速いことを意味する。シート13の次の150μmは段階71中に形成される。溶質の濃度が高い層はシート13に捕捉される。融液10中の溶質の濃度の上昇を防ぐために、一実施形態では、シートがスピルウェイ12を通り過ぎてから、この捕捉された層を溶融してシート13から除去する。別の例では、段階70で、第1の厚み100μmを有するシート13が形成され、段階71で、更に100μmの厚みがシート13に追加されて、第2の厚み200μmが形成される。他の厚みとすることも可能である。
【0051】
厚みを薄くするプロセスの後に段階70、71を行うことによって、段階71中に、シート13上に形成された溶質に富む層を除去することができる。図8は、図1の装置を利用する厚み低減工程および純化工程に関する側面断面図である。冷却板14は、第1のセグメント80および第2のセグメント81という、少なくとも2つのセグメントを有する。第1のセグメント80および第2のセグメント81は、段階70、71に対応する。図8から分かるように、第1のセグメント80および第2のセグメント81は、シート13および融液10の流れに対して互いに異なる長さである。別の例としては、第1のセグメント80および第2のセグメント81は、互いに異なる温度で動作する。シート13は、第1点18から第2点19へ、そしてスピルウェイ12の上を流れる。
【0052】
シート13がスピルウェイ12を通り過ぎてから、シート13の厚みを、ヒータ50を用いて薄くする。シート13の厚みは、第1の厚みから第2の厚みへと低減させられる。ヒータ50は、例えば放射ヒータであってよい。対流コンポーネントを有する放射ヒータまたは他のヒータを利用することもできる。ヒータ50により、シート13の厚みを均一に薄くすることができ、シート形成装置21の他の部分の温度を変更することなく、溶融の潜熱のみを供給することができる。
【0053】
流体ベアリング51は、この特定の実施形態では、シート13を一定の角度に傾かせる。この角度は浅くすることで、シート13への応力を防ぐことができる。シート13は、流体ベアリング51により角度を持って傾けられて、角度82は融液10の外部に位置する。流体ベアリング51が示されているが、空気ベアリング、ローラ、別のシート13の運動メカニズムを利用することもできる。別の実施形態では、シート13を水平に保ち、流体ベアリング51がシート13を傾けないようにすることもできる。この例では、シート13の溶融部分は全てドリップにより下に垂れる。
【0054】
ヒータ50により厚みを低減させられてシート13から溶融されたシート13は全て、シート13沿いに角度82で流れて戻る。そこではこの溶融されたシート13、あるいは無駄になった融液がドリップして、例えばビルジ83に入る。これにより、溶融されたシート13が収集されて分離され、溶融されたシート13が融液10に戻ることが妨げられる。このビルジ83は、融液10の循環または純化システムに接続されていてよい。一実施形態では、ビルジ83内の内容物を純化して、純化された融液10を融液10に戻して再利用することもできる。これにより、溶質に富むビルジ83の内容物によって、融液10が汚染されることが防がれる。このシート13の厚みの低減と、純化との組み合わせにより、溶質が除去され、高純度の融液10が維持され、さらに、融液10原料の効率が高く保たれ、一方で無駄な融液10が低減させられる。
【0055】
一例では、図8の装置は、冷却板14により200μmを超える厚みに形成されるシート13の厚みを、100μm以下の厚みに低減させる。シート13の除去された、または厚みを低減された部分は、融液10に戻されることで、材料の損失、または「切り代」の均等物を生じないようにすることができる。図8に示す厚み低減方法によって、更に、シート13から不純物または溶質を除去することに加えて、シート13の表面上の突起を滑らかにすることもできる。
【0056】
図9は、図2の装置を利用する厚み低減工程および純化工程に関する側面断面図である。 第1のセグメント80および第2のセグメント81を有する冷却板の利用、および、ヒータ50によるシート13の厚みの低減は更に、シート形成装置23および図8のシート形成装置21に提供することができる。ここでシート13は、冷却板14を用いて形成した後であってシート13を融液10から引っ張ることで引き離す前に、第1の厚みから第2の厚みへと厚みが低減させられる。
【0057】
図10は、シート成長中の不純物の捕捉工程に関する側面断面図である。本図は、図7−9のプロセスを、より近づいた視点から、よりよく示す図である。冷却板14は、段階70および71に対応する第1のセグメント80および第2のセグメント81を有する。形成されたシート13は、第1の層90および第2の層91を有する。一例では、第1の層90は第1の厚みに対応しており、第2の層91と第1の層90とを組み合わせたものが、第2の厚みに対応している。第1の層90は、主に第1のセグメント80を利用して形成され、比較的低い溶質濃度を有する。第2の層91は、主に第2のセグメント81を利用して形成され、第1の層90よりも高い溶質濃度を有する。第1のセグメント80による形成中にシート13から拒絶された溶質の多くは、シート13形成中に、境界層が薄くてよい第2のセグメント81により捕捉されうる。従って、第2の層91は、溶質および不純物を捕捉することができる。一例では、第1の層90内の溶質濃度は、約10−10原子/ccであり、第2の層91内の溶質濃度は、約10−8原子/ccであってよい。第2の層91は、図8−9のヒータ50を利用して除去される、または厚みを低減させられる。第1のセグメント80および第2のセグメント81は、長さまたは温度等の互いに異なる動作パラメータを有する。
【0058】
水平方向シート13成長方法は、更なる理由により、図3−10に示す厚み低減方法の恩恵をこうむることができる。幾つかのデータは、水平方向のシート13をどのくらい薄くできるか、には制限がある、と示唆している。引っ張られる、あるいは、成長させられることで、厚みが低減されすぎると、シート13は「切断」されてしまう、または破損してしまう。これは、融液10またはシート13における不安定性のせいである。これが、融液10の高い表面張力および低い粘度により生じうる、と示唆するものもある。従って、融液10はマランゴニ効果を受け易い可能性がある。マランゴニ効果とは、表面張力による界面に沿った質量移動のことである。高い表面張力を持つ液体は、周囲の液体上で、低い表面張力を持つ液体よりもより強く引っ張られる。表面張力に勾配があることにより、液体は、低い表面張力の領域から流れ去る。液体の上の、あるいはその中の質量移動は、これらの表面張力の差異により生じうる。より厚みの大きなシート13は、これよりも安定しており、切断または破損しにくい。約200μm以上の厚みのシート13を成長させてから、シート13の厚みを約100μm以下に低減させることで、マランゴニ効果その他の成長にまつわる問題を回避することができる。シート13における厚みが低減された部分を融液10に戻す場合には、材料の損失は生じない。
【0059】
図3−10に示す厚み低減方法および装置は、互いに組み合わせることも個々に利用することもできる。加えて、ここで開示する実施形態でリストされたものと異なるシート13の厚みも可能である。
【0060】
図3−10に示す厚み低減は、パラメータを変更することにより制御可能である。これらパラメータは、例えば、冷却板14の温度、融液10の温度、ヒータ50の動作温度、容器16の温度、またはシート13または融液10の流れまたは引っ張り速度であってよい。パラメータは、計測デバイスからの信号に応じてコントローラが変更してよい。
【0061】
図11は、シートの加熱工程に関する断面図である。ここに開示する実施形態では、例えばヒータ50の利用により、またはシート13を溶融する融液10からの熱により、シート13を滑らかにすることができる。局所的に吸収された熱は、シート13の局所的な表面領域に比例していて、これにより、シート13の表面上に形成される突起、樹状突起、その他の凸凹92が選択的に溶融される。従って融液10または放射から生じうる熱流束93は、突起、樹状突起、その他の凸凹92を、シート13の残りのものの前に溶融させる。従って、シート13の厚みの低減によって、突起、樹状突起、その他の凸凹92が小さい、または全くない、滑らかなシート13が形成される。シート13の表面が均一である、ということは、突起、樹状突起、その他の凸凹92のサイズに比べた場合の話である。
【0062】
本開示の範囲は、ここに記載した具体的な実施形態に限定されない。当業者にとっては、前述の記載および添付図面から、ここに記載したものに加えて、本開示から様々な他の実施形態および変形例が明らかである。従って、他の実施形態および変形例も、本開示の範囲に含まれることが意図される。さらに、本開示は、ここでは特定の目的の特定の環境における特定の実装例のコンテクストで記載されたが、当業者であれば、有用性はこのコンテクストに限定されず、本開示がその他の多くの目的のその他の多くの環境におけるその他の多くの実装例で利用されても効果を奏することを理解する。従って、以下に述べる請求項は、ここに記載する本開示の範囲全体および精神に鑑みて理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを形成する方法であって、
材料の融液を冷却する工程と、
前記融液内で前記材料のシートを、第1の厚みで形成する工程と、
前記シートの厚みを、前記第1の厚みから、前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みへと低減させる工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記融液は、シリコン、シリコンとゲルマニウムとの組み合わせ、ガリウム、および窒化ガリウムからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記厚みを低減させる工程は、前記形成する工程の後に前記融液内で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記厚みを低減させる工程は、少なくとも1μm/sの速度で行われる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記厚みを低減させる工程は、放射ヒータを利用して前記形成する工程の後に行われる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
スピルウェイを利用して前記融液から前記シートを分離する工程を更に備え、前記分離する工程は前記厚みを低減させる工程の前に行われる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の厚みは200μmであり、前記第2の厚みは100μmである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記厚みを低減させる工程によって前記シートの表面を滑らかにする工程を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記厚みを低減させる工程のパラメータを変更することによって前記第2の厚みを制御する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
シートを形成する装置であって、
材料の融液を保持するチャネルを画定する容器と、
前記融液の付近に配置され、前記融液の上に前記材料のシートを形成する冷却板と、
放射ヒータと
を備える装置。
【請求項11】
前記融液は、シリコン、シリコンとゲルマニウムとの組み合わせ、ガリウム、および窒化ガリウムからなる群から選択される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記チャネルに配置されるスピルウェイを更に備え、
前記スピルウェイは前記融液内に配置され、前記融液から前記シートを分離し、前記融液は前記シートから離れて流れる請求項10に記載の装置。
【請求項13】
シートを形成する方法であって、
第1段階で材料の融液を冷却する工程であって、前記第1段階における前記冷却は第1のパラメータを有する工程と、
前記融液内で、第1の厚みと第1の溶質濃度とを有する記材料のシートの第1の層を形成する工程と、
第2段階で前記融液を冷却する工程であって、前記第2段階における前記冷却は、前記第1のパラメータとは異なる第2のパラメータを有する工程と、
前記シートの厚みを、前記第1の厚みから第2の厚みへ増加させて、前記シートの第2の層を形成する工程であって、前記第1の厚みおよび前記第2の厚みの間の前記第2の層は前記第1の溶質濃度より高い第2の溶質濃度を有する工程と、
前記シートの厚みを、前記第2の厚みから前記第1の厚みへと低減させる工程と
を備える方法。
【請求項14】
前記融液は、シリコン、シリコンとゲルマニウムとの組み合わせ、ガリウム、および窒化ガリウムからなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の厚みは50μmと100μmとの間であり、前記第2の厚みは150μmと200μmとの間である請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記厚みを増加させる工程と前記厚みを低減させる工程によって、前記融液の溶質濃度を低減させる工程を更に備える請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記融液から、前記厚みを低減させる工程で生じる無駄な融液を収集して分離する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記厚みを低減させる工程で生じる無駄な融液を収集してから純化して再利用する請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記厚みを低減させる工程は、放射ヒータを利用して前記形成する工程および前記厚みを増加させる工程の後に行われる請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータは、長さおよび温度からなる群から選択される請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−500172(P2012−500172A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523145(P2011−523145)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/053588
【国際公開番号】WO2010/019695
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】