説明

シートベルトスイッチ装置

【課題】乗員の意図しない操作スイッチの誤操作を防止し得るシートベルト組み込み式の操作スイッチを提供する。
【解決手段】シートベルトスイッチ装置は、装着スイッチ52(装着検出手段)、着座センサ53(着座検出手段)およびシートベルトスイッチECU51(制御手段)を備える。装着スイッチ52は、シートベルト10の装着時にシートベルトスイッチECU51にオン信号を出力する。着座センサ53は、シートS上にて乗員の着座を検出したときシートベルトスイッチECU51にオン信号を出力する。シートベルトスイッチECU51は、着座センサ53により乗員の着座が検出され、かつ装着スイッチ52によりシートベルト10の装着が検出されたとき、操作スイッチ30によるスイッチ入力を有効とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作スイッチを備えたシートベルトスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシートベルトスイッチ装置として、例えば下記特許文献1に記載されているように、シートベルトの長手方向に沿って複数の操作スイッチが設けられたものが知られている。このシートベルトスイッチ装置では、操作スイッチのオン操作に応じてカーオーディオなどの車載用電子機器のリモート操作が可能である。
【特許文献1】特開2006−76438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたシートベルトスイッチ装置では、操作スイッチのオン操作に応じてスイッチ入力が直ちに有効化されるように構成されている。このため、操作スイッチの誤操作により、車載用電子機器が誤作動し易いという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、乗員の意図しない操作スイッチの誤操作を防止し得るシートベルトスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、シートベルトの長手方向に沿って複数の操作スイッチが設けられたシートベルトスイッチ装置において、乗員の着座を検出する着座検出手段と、シートベルトの装着を検出する装着検出手段とを備え、前記着座検出手段により乗員の着座が検出され、かつ装着検出手段によりシートベルトの装着が検出されたことを条件として、前記操作スイッチによるスイッチ入力を有効とする制御手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
このシートベルトスイッチ装置では、着座検出手段により乗員の着座が検出され、かつ装着検出手段によりシートベルトの装着が検出されたことを条件として、操作スイッチによるスイッチ入力が有効とされる。このため、シート上の乗員によりシートベルトが正規に使用されている場合にのみ、操作スイッチによるスイッチ入力が受け付けられる状態となるので、操作スイッチの誤操作を低減することができ、車載用電子機器の誤作動を防止することが可能である。
【0007】
本発明の実施に際して、前記操作スイッチは、乗員の腰をシートに拘束する前記シートベルトの腰ベルト部に設けられた第1スイッチ群と、乗員の肩を拘束する前記シートベルトの肩ベルト部に設けられた第2スイッチ群とを備え、前記制御手段は、前記第1スイッチ群の操作に応じて、車両に搭載されたエアコンの空調モードを設定し、前記第2スイッチ群の操作に応じて、設定された前記空調モードの設定状態を変更することも可能である。この場合、例えば、前記第1スイッチ群は、前記腰ベルト部の位置に応じてブロワモード、温度モードまたは吹き出しモードを設定可能な複数のスイッチ群を有し、前記制御手段は、前記各スイッチ群に属する任意の操作スイッチのオン操作により対応する空調モードを設定し、前記第2スイッチ群における前記肩ベルト部に沿った上から下向きの連続的なオン操作により、設定された前記ブロワモードのブロワ風量もしくは前記温度モードの設定温度を下げ、または前記吹き出しモードの吹き出し口を上側から下側に切り替え、前記肩ベルト部に沿った下から上向きの連続的なオン操作により、設定された前記ブロワモードのブロワ風量もしくは前記温度モードの設定温度を上げ、または前記吹き出しモードの吹き出し口を下側から上側に切り替えるように構成するとよい。
【0008】
これによれば、第1スイッチ群の操作に応じて、車両に搭載されたエアコンの空調モードを設定することが可能であり、第2スイッチ群の操作に応じて、設定された空調モードの設定状態を変更することが可能である。このように、シートベルトに設けられた各操作スイッチの役割を規定することで、空調モードの設定およびその設定状態の変更が感覚的に判り易くなる。このため、操作スイッチの操作性が良好となって、その利便性を向上させることが可能である。
【0009】
また、本発明の実施に際して、前記制御手段は、前記第1スイッチ群および前記第2スイッチ群ごとの複数回のオン操作を条件として、それぞれのスイッチ入力による操作内容を確定することも可能である。
【0010】
これによれば、例えば乗員が運転中において、無意識にシートベルトを押さえた場合など、乗員が意図しないにもかかわらず操作スイッチがオン操作する事態の発生を防止することができる。このため、操作スイッチの誤操作をより一層低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1および図2は本発明によるシートベルトスイッチ装置を模式的に示していて、このシートベルトスイッチ装置は、シートベルト10を備えている。
【0012】
シートベルト10は、その一端部が運転席シートSの一側方下部にてフロアアンカー(図示省略)を介して車体に取り付けられ、その他端部がリトラクタ(図示省略)に巻取り可能に連結されていて、その中間部が運転席シートSの側方上部にてショルダーアンカー21に巻き掛けられている。ショルダーアンカー21は、ピラーガーニッシュ(図示省略)に上下方向に移動可能に設けられている。シートベルト10の一端部と中間部間にはタングプレート22がシートベルト10の長手方向に沿って移動可能に組み付けられている。タングプレート22は、運転席シートSの他側方にてフレーム(図示省略)に傾動可能に組み付けられたバックル23と脱着可能とされている。
【0013】
タングプレート22がバックル23に差し込まれて、シートベルト10が装着された状態では、シートベルト10の腰ベルト部10aにより乗員の腰が拘束され、シートベルト10の肩ベルト部10bにより乗員の肩が拘束されるようになっている。
【0014】
このシートベルト10は、図3に示すように、化繊状のベルト部材11とシート部材12(表皮)とで構成されており、ベルト部材11の表面(装着状態での前面)に操作スイッチ30が貼付されている。シート部材12は、弾性変形可能なフィルム状の部材であり、ベルト部材11および操作スイッチ30を一体的に被覆している。
【0015】
操作スイッチ30は、エアコンの空調モードの設定およびその設定状態を変更するためのものであり、腰ベルト部10aおよび肩ベルト部10bにそれぞれ複数設けられている。各操作スイッチ30は、約0.3mm程度の厚さのものであり、図4に示すように、上部基材31、下部基材32、スペーサ33および電極34,35を備えている。
【0016】
上部基材31および下部基材32は、所定の大きさの抵抗値を有する弾力性のある導体であり、各ベルト部10a,10bのほぼ全幅に渡りスペーサ33を介して対向配置されている。スペーサ33は、絶縁体であり、上部基材31と下部基材32の両端部位に介装されている。電極34は、銀・カーボンからなり、上部基材31の内側面に貼付されている。電極35は、感圧素子からなり、下部基材32の内側面に貼付されている。この電極35は、図5にて破線で示すように、荷重(押圧力)が増加するに従って抵抗値が急激に減少し、荷重が所定の大きさとなった以降は抵抗値が所定の小さな値を示す特性(オン・オフ特性)を有している。これにより、各ベルト部10a,10bを押圧すると、上部基材31および下部基材32が弾性変形し、電極34と電極35との接触により、上部基材31と下部基材32が導通する。
【0017】
図2に戻って、上部基材31および下部基材32は、図示を省略する端子を介してシートベルトスイッチECU51に接続されている。シートベルトスイッチECU51は、押された操作スイッチ30の位置に応じた抵抗値を計算し、押された操作スイッチ30を特定する。
【0018】
腰ベルト部10aに設けられた操作スイッチ30(第1スイッチ群)は、腰ベルト部10aの長さ(BC)の略1/3ごとに設定されたブロワ設定選択エリア10a1、温度設定選択エリア10a2、吹き出し設定選択エリア10a3内にそれぞれ割り当てられている。具体的には、ブロワ設定選択エリア10a1内に属する任意の操作スイッチ30を押すことで、空調モードをブロワモードに設定することができる。また、温度設定選択エリア10a2内に属する任意の操作スイッチ30を押すことで、空調モードを温度モードに設定することができる。また、吹き出し設定選択エリア10a3内に属する任意の操作スイッチ30を押すことで、空調モードを吹き出しモードに設定することができる。
【0019】
また、肩ベルト部10bに設けられた操作スイッチ30(第2スイッチ群)は、上記各モードの設定状態を変更する機能を果たす。具体的には、ブロワモードが設定されている場合に、肩ベルト部10bのA点からB点に向けて下向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、ブロワ風量を下げることができる。これとは逆に、B点からA点に向けて上向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、ブロワ風量を上げることができる。同様に、温度モードが設定されている場合には、A点からB点に向けて下向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、温度を下げることができる。これとは逆に、B点からA点に向けて上向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、温度を上げることができる。また、吹き出しモードが設定されている場合には、A点からB点に向けて下向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、乗員の上半身に向けて空気を吹き出すためのフェイスモード、乗員の上半身および足元に向けて空気を吹き出すためのバイレベルモード、乗員の足元に向けて空気を吹き出すためのフットモードを経て、乗員の足元およびフロントガラスの内面に向けて空気を吹き出すためのフット/デフロスタモードへと順次切り替えることができる。これとは逆に、B点からA点に向けて上向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、フット/デフロスタモード、フットモード、バイレベルモードを経て、フェイスモードへと順次切り替えることができる。
【0020】
シートベルトスイッチECU51は、CPU,ROM,RAM,タイマ,インタフェースなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品としており、イグニッションスイッチのオンによりROM等に記憶されている図6の空調制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し、その実行に応じた制御信号をLin通信線を介して接続されたエアコンECU61に送信する。エアコンECU61は、前記制御信号またはエアコンパネル62からの制御信号に応じてコンプレッサ、ブロワなどを駆動するとともに、エアコンパネル62の表示変更処理を行う。シートベルトスイッチECU51には、装着スイッチ52および着座センサ53が接続されている。
【0021】
装着スイッチ52(装着検出手段)は、タングプレート22のバックル23内への挿入時すなわちシートベルト10の装着時にシートベルトスイッチECU51にオン信号を出力し、タングプレート22のバックル23内への非挿入時すなわちシートベルト10の未装着時にシートベルトスイッチECU51にオフ信号を出力する。着座センサ53(着座検出手段)は、シートSの内部に設けられていて、シートS上にて乗員の着座を検出したときシートベルトスイッチECU51にオン信号を出力し、乗員の着座を検出しないときシートベルトスイッチECU51にオフ信号を出力する。
【0022】
次に、上記のように構成した本実施形態の作動について説明する。シートベルトスイッチECU51は、イグニッション操作スイッチのオンにより図6の空調制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行している。
【0023】
図6の空調制御プログラムは、ステップS10にて開始され、ステップS11にてシートベルトスイッチフラグSFが“1”に設定されているか否かを判定する。このシートベルトスイッチフラグSFは、“0”により操作スイッチ30による入力がアクティブ状態にないことを表し、“1”により操作スイッチ30による入力がアクティブ状態にあることを表すもので、初期状態では“0”に設定されている。この空調制御プログラムの最初の実行時には、シートベルトスイッチフラグSFが未だ“0”に設定されているので、ステップS11にて「No」と判定し、ステップS12に進む。
【0024】
ステップS12では、着座センサ53による検出信号を入力して、乗員が運転席シートSに着座しているか否かを判定する。また、ステップS13では、装着スイッチ52による検出信号を入力して、乗員がシートベルト10を装着しているか否かを判定する。乗員が運転席シートSに着座していない場合や、乗員が運転席シートSに着座していてもシートベルト10を装着していない場合には、ステップS12またはS13にて「No」と判定し、ステップS14にてシートベルトスイッチフラグSFを“0”に維持設定した後、ステップS31にてこの空調制御プログラムの実行を終了する。
【0025】
一方、乗員が運転席シートSに着座し、かつシートベルト10を装着した場合には、ステップS12,S13にて共に「Yes」と判定し、ステップS15以降の処理を実行する。ステップS15では、シートベルトスイッチフラグSFを“1”に設定する。
【0026】
ステップS16では、A点およびB点(図2参照)を検出して、体形差による操作スイッチ30の位置を補正する。A点は、ショルダーアンカー21によるシートベルト10の折り曲げ部位に相当し、B点は、タングプレート22によるシートベルト10の折り曲げ部位に相当する。ここで、ショルダーアンカー21およびタングプレート22には、突起(図示省略)が設けられていて、A点およびB点に位置する操作スイッチ30が突起により押されてオンとなるように構成されている。このように、A点およびB点を検出するのは、シートベルト10の引き出し量が乗員の体形に応じて異なるため、乗員に応じてA点およびB点を設定することとして、操作スイッチ30の相対的な位置を検出可能な状態とする必要があるからである。
【0027】
ステップS17では、全操作スイッチ30のイニシャル抵抗を測定して、操作スイッチ30の感度を補正する。これは、シートベルト10の装着状態で、各操作スイッチ30にかかる初期の圧力が乗員の体形差に応じて異なり、A点およびB点以外で押動操作されていない操作スイッチ30がオンとなる場合もあり得るから、この場合には、A点およびB点以外でオン状態にある操作スイッチ30の接触抵抗を大きめに設定することとして、全操作スイッチ30の感度を一定に保つ必要があるからである。
【0028】
続いて、ステップS18にて、B点〜C点間に位置する任意の操作スイッチ30がオン操作されたか否かを判定する。操作スイッチ30がオン操作されていない場合には、ステップS18にて「No」と判定する。そして、現時点では未だ空調モードが設定されていないので、ステップS19にて「No」と判定し、ステップS31にてこの空調制御プログラムの実行を終了する。
【0029】
一方、B点〜C点間に位置する任意の操作スイッチ30のオン操作時から所定の短い時間n1内に(シートベルトスイッチECU51のタイマによって計時される)、再度B点〜C点間に位置する何れかの操作スイッチ30がオン操作された場合には、押された位置に応じて以下の処理を実行する。これは、B点〜C点間に位置する何れかの操作スイッチ30が誤操作によりオンとされる場合があるから、運転者の意志による操作スイッチ30の押動操作が確認されたことを条件として、空調モードが設定されるようにしたものである。したがって、B点〜C点間に位置する任意の操作スイッチ30が1回だけオン操作されたような場合には、ステップS20,S22,S24にて共に「No」と判定し、ステップS31にてこの空調制御プログラムの実行を終了する。
【0030】
B点〜C点間に位置する任意の操作スイッチ30のオン操作時から時間n1内に、B点より(BC)/3内に位置する操作スイッチ30がオン操作された場合には、ステップS21にてブロワモードに設定し、A点〜B点の操作スイッチ30をブロワスイッチに設定する。また、B点より(BC)/3以上で2(BC)/3未満内(中央部位)に位置する操作スイッチ30がオン操作された場合には、ステップS23にて温度モードに設定し、A点〜B点の操作スイッチ30を温度スイッチに設定する。また、C点より(BC)/3内に位置する操作スイッチ30がオン操作された場合には、ステップS24にて吹き出しモードに設定し、A点〜B点の操作スイッチ30を吹き出しスイッチに設定する。そして、設定された空調モードに対応したエアコンパネル62の操作スイッチがオンとなる。ステップS21,S23,S25の処理後、ステップS26に進む。
【0031】
ステップS26では、A点〜B点間に位置する任意の操作スイッチ30がオン操作されたか否かを判定し、オン操作されていない場合には、ステップS26にて「No」と判定し、ステップS31にてこの空調制御プログラムの実行を終了する。
【0032】
一方、A点〜B点間に位置する任意の操作スイッチ30のオン操作時から所定の短い時間n2内に(シートベルトスイッチECU51のタイマによって計時される)、A点からB点に向けて下向きに連続的にオン操作された場合、またはB点からA点に向けて上向きに連続的にオン操作された場合には、オン操作された向きに応じて以下の処理を実行する。これは、A点〜B点間に位置する任意の操作スイッチ30が誤操作によりオンとされる場合があるから、運転者の意志による操作スイッチ30の連続的な押動操作が確認されたことを条件として、設定された空調モードのレベルが変更されるようにしたものである。したがって、A点〜B点間に位置する任意の操作スイッチ30が1回だけオン操作されたような場合や、操作スイッチ30が連続的にオン操作されなかった場合には、ステップS27,S29にて共に「No」と判定し、ステップS31にてこの空調制御プログラムの実行を終了する。
【0033】
そして、操作スイッチ30がA点からB点に向けて下向きに連続的にオン操作された場合には、ステップS28にて、現在設定されている空調モードの設定量が小さくされる。一方、操作スイッチ30がB点からA点に向けて上向きに連続的にオン操作された場合には、ステップS30にて、現在設定されている空調モードの設定量が大きくされる。
【0034】
以後、B点〜C点間に位置する操作スイッチ30がオン操作されない場合には、ステップS11,S18,S19,S26以降の処理が繰り返し実行され、現在設定された空調モードが維持設定されるとともに、ステップS27またはS29の処理を経て、ステップS28またはS30の処理により設定された空調モードの設定状態を変更することができる。一方、B点〜C点間に位置する操作スイッチ30がオン操作された場合には、ステップS20,S22,S24の処理を経て、ステップS21,S23,S25の処理により空調モードの設定を変更することができる。
【0035】
以上の説明からも明らかなように、この実施形態においては、ステップS12の処理により、乗員の着座が検出され、ステップS13の処理により、シートベルトの10の装着が検出されたことを条件として、ステップS18以降の操作スイッチ30によるスイッチ入力が有効とされるように設定されている。
【0036】
このため、シートS上の乗員によりシートベルト10が正規に使用されている場合にのみ、操作スイッチ30によるスイッチ入力が受け付けられる状態となるので、操作スイッチ30の誤操作を低減することができ、エアコンの誤作動を防止することが可能である。
【0037】
また、この実施形態では、腰ベルト部10aのブロワ設定選択エリア10a1内の任意の操作スイッチ30を押すことで、ブロワモードを設定することができ、温度設定選択エリア10a2内の任意の操作スイッチ30を押すことで、温度モードを設定することができ、吹き出し設定選択エリア10a3内の任意の操作スイッチ30を押すことで、吹き出しモードを設定することができる。また、肩ベルト部10bのA点からB点に向けて下向きに、またはB点からA点に向けて上向きに任意の操作スイッチ30を連続的に押すことで、設定された空調モードの設定状態を変更することができる。このように、シートベルト10に設けられた各操作スイッチ30の役割を規定することで、空調モードの設定およびその設定状態の変更が感覚的に判り易くなる。このため、操作スイッチ30の操作性が良好となって、その利便性を向上させることが可能である。
【0038】
また、この実施形態では、腰ベルト部10aに設けられた操作スイッチ30は、ステップS18とステップS20、ステップS18とステップS22、あるいはステップS18とステップS24の2回のオン操作を条件として、それぞれステップS21,S23,S25における操作内容が確定されるように設定されている。また、肩ベルト部10bに設けられた操作スイッチ30は、ステップS26とステップS27、あるいはステップS26とステップS29の2回のオン操作を条件として、それぞれステップS28,S30における操作内容が確定されるように設定されている。
【0039】
これにより、例えば乗員が運転中において、無意識にシートベルト10を押さえた場合など、乗員が意図しないにもかかわらず操作スイッチ30がオン操作する事態の発生を防止することができる。その結果、操作スイッチ30の誤操作をより一層低減することが可能である。
【0040】
上記実施形態では、腰ベルト部10aに設けられた操作スイッチ30が、ブロワ設定選択エリア10a1、温度設定選択エリア10a2、吹き出し設定選択エリア10a3内にそれぞれ割り当てられるように構成したが、これらに加えてまたは代えて、操作スイッチ30を、エアコンのフルオート制御を行うオート操作スイッチ、コンプレッサを駆動するA/C操作スイッチ、吸い込み口を内気または外気に切り替える内外気切り替え操作スイッチとして機能させることも可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、腰ベルト部10aに設けられた操作スイッチ30と肩ベルト部10bに設けられた操作スイッチ30とにおいて、それぞれ2回のオン操作を条件として、所定の操作内容が確定されるように設定したが、これに代えて、例えばそれぞれのオン操作を1回とし、最後に操作内容の確定のためにオン操作を必要とするような、都合3回のオン操作により全ての操作内容が確定されるように構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、操作スイッチ30として感圧素子からな電極を用いたが、これに代えて、例えば静電容量タイプのものを用いてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、着座検出手段として着座センサ53を用いたが、これに加えてまたは代えて、例えば車室内カメラ、シートベルト装着操作スイッチ、電子キーによる乗員の照合、または心拍センサなどにより車室内の乗員を検出するようにしてもよい。
【0044】
また、操作スイッチ30による操作スイッチ入力を無効化するキャンセル操作スイッチを別途設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明によるシートベルトスイッチ装置に設けられた操作スイッチを示す模式図。
【図2】図1のシートベルトスイッチ装置を示すブロック図。
【図3】図2のシートベルトの横断面図。
【図4】図3の操作スイッチの横断面図。
【図5】図2の操作スイッチの抵抗―荷重特性を示す説明図。
【図6】図2のシートベルトスイッチECUによって実行される空調制御プログラムを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
S 運転席シート
10 シートベルト
10a 腰ベルト部
10a1 ブロワ設定選択エリア
10a2 温度設定選択エリア
10a3 吹き出し設定選択エリア
10b 肩ベルト部
11 ベルト部材
12 シート部材
21 ショルダーアンカー
22 タングプレート
23 バックル
30 操作スイッチ
31 上部基材
32 下部基材
33 スペーサ
34,35 電極
51 シートベルトスイッチECU(制御手段)
52 装着スイッチ(装着検出手段)
53 着座センサ(着座検出手段)
61 エアコンECU
62 エアコンパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトの長手方向に沿って複数の操作スイッチが設けられたシートベルトスイッチ装置において、
乗員の着座を検出する着座検出手段と、
シートベルトの装着を検出する装着検出手段とを備え、
前記着座検出手段により乗員の着座が検出され、かつ装着検出手段によりシートベルトの装着が検出されたことを条件として、前記操作スイッチによるスイッチ入力を有効とする制御手段を備えたことを特徴とするシートベルトスイッチ装置。
【請求項2】
前記操作スイッチは、乗員の腰をシートに拘束する前記シートベルトの腰ベルト部に設けられた第1スイッチ群と、乗員の肩を拘束する前記シートベルトの肩ベルト部に設けられた第2スイッチ群とを備え、前記制御手段は、前記第1スイッチ群の操作に応じて、車両に搭載されたエアコンの空調モードを設定し、前記第2スイッチ群の操作に応じて、設定された前記空調モードの設定状態を変更する請求項1に記載のシートベルトスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1スイッチ群は、前記腰ベルト部の位置に応じてブロワモード、温度モードまたは吹き出しモードを設定可能な複数のスイッチ群を有し、前記制御手段は、前記各スイッチ群に属する任意の操作スイッチのオン操作により対応する空調モードを設定し、前記第2スイッチ群における前記肩ベルト部に沿った上から下向きの連続的なオン操作により、設定された前記ブロワモードのブロワ風量もしくは前記温度モードの設定温度を下げ、または前記吹き出しモードの吹き出し口を上側から下側に切り替え、前記肩ベルト部に沿った下から上向きの連続的なオン操作により、設定された前記ブロワモードのブロワ風量もしくは前記温度モードの設定温度を上げ、または前記吹き出しモードの吹き出し口を下側から上側に切り替える請求項2に記載のシートベルトスイッチ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1スイッチ群および前記第2スイッチ群ごとの複数回のオン操作を条件として、それぞれのスイッチ入力による操作内容を確定する請求項3に記載のシートベルトスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−296855(P2008−296855A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147854(P2007−147854)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】