説明

シート媒体処理装置および満杯検出方法ならびに画像形成装置

【課題】後処理後または後処理のためのシート媒体を保持する保持部が保持するシート媒体の満杯を、シート媒体の状態に拘わりなく正確に検出する検出機構及び検出方法を提供する。
【解決手段】この発明の実施の一形態であるシート媒体検出機構(235)は、搬送されたシート媒体に対し、シート媒体の先端が前記トレイに向かうよう、所定方向の荷重を付与するアクチュエータ(235a)と、アクチュエータに所定の荷重を付与する重り(235c)と、アクチュエータの変位を検出する検出器(235b)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置及び画像形成装置が出力する画像形成出力(画像を形成したシート媒体)を処理する周辺機器(シート媒体処理装置)および満杯検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Functional Peripheral、と称する複合機)が広く普及している。
【0003】
MFPには、画像形成に用いる数千枚の用紙を収容し、供給する外部給紙装置、画像を形成した用紙(シート媒体)を受け取り、例えば中綴じやステープル留めあるいはパンチ穴を開けるなどの後処理を施す後処理装置が接続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、後処理装置において、カールした用紙や前角が折れた用紙を後処理する(パンチ穴を開ける)際、用紙サイズやパンチャーの孔のタイプに依存して、用紙の前角がパンチャーの孔やセンサに引っかかる等のジャムの要因を低減するため、センサの位置を、用紙が通過しない位置に設定した後処理装置を示す。
【0005】
特許文献2は、パンチ穴を開ける後処理装置において、シートの端部を検出するセンサを有し、シート端部付近においても予定した位置にパンチ穴を開けることが可能な後処理装置を示す。
【0006】
しかしながら、文献1及び文献2のいずれに示されたセンサも、パンチ終了後の用紙のストック量が一定以上に達することを検出する満杯センサとしての機能については記載がない。
【0007】
なお、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の満杯を検出する満杯センサを有する後処理装置においても、シート媒体(用紙)の堅さ(厚さ、腰)等の要因により、満杯センサの動作とは拘わりなく、詰まり(ジャム)が発生することが知られている。
【0008】
また、満杯センサが誤動作する要因として、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の積載状態が、センサ検出位置と異なる位置で不所望な積載状態となること、が報告されている。
【0009】
この発明の目的は、画像形成装置及び画像形成装置が出力する画像形成出力(画像を形成したシート媒体)を処理する周辺機器において、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の満杯を検出する満杯センサの正確な検出を実現する検出機構及び検出方法を提供することである。
【0010】
この発明の目的は、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の積載状態が、センサ検出位置と異なる位置で不所望な積載状態となることを抑止できる満杯検出方法及び画像形成装置ならびにシート媒体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、搬送機構を介して搬送されたシート媒体を保持するトレイと、このトレイの搬送機構寄りに設けられ、搬送されたシート媒体に対し、シート媒体の先端が前記トレイに向かうよう、所定方向の荷重を付与する第1の案内部材と、前記第1の案内部材に所定の荷重を付与する第2の案内部材と、前記第1の案内部材の変位を検出する検出器と、を有するシート媒体処理装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の一つの実施の形態は、アクチュエータを、容易に変形可能なフィルム(弾性体)とすることにより、排出されたシート媒体の先端を押さえることにより、シート媒体が上部トレイ(媒体保持部)から飛び出すこと、および排出されたシート媒体の後端を重りからの荷重を受けたアクチュエータに媒体保持部(上部トレイ)に向けて押し下げることによりシート媒体の後端が上部トレイに落下しないこと、すなわち満杯検出が不正確になることを防止できる。すなわち、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の満杯を検出する満杯センサの正確な検出を実現する検出機構及び検出方法が実現できる。
【0013】
この発明のまた一つの実施の形態は、シート媒体の後端の隅部を上部トレイ(媒体保持部)に向けて押し下げるとともに、シート媒体のカール等に起因する誤検出を抑止可能に第2のアクチュエータを、シート媒体の後端の隅部に対応して少なくとも2個設けることで、やわらかい(腰のない)シート媒体や、比較的大きなサイズで後端の隅部にカールを有するシート媒体が排出されてきた場合であっても、確実に上部トレイへのシート媒体の満杯を検出可能となり、詰まり(ジャム)が発生すること、あるいは誤検出により画像形成動作が中断することを防止できる。すなわち、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の積載状態が、センサ検出位置と異なる位置で不所望な積載状態となることを抑止できる満杯検出機構及び検出方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の一形態を適用する後処理装置が接続する画像形成装置(Multi-Functional Peripheral(MFP))の一例を示す概略図。
【図2】図1に示す後処理装置のステープラユニット及び上部トレイを説明する概略図。
【図3】図2に示す上部トレイの満杯検出ユニットを説明する概略図。
【図4】図3に示す満杯検出ユニットの作用を説明する概略図。
【図5】図3に示す満杯検出ユニットの別の作用を説明する概略図。
【図6】図1に示した画像形成装置と画像形成装置に接続する後処理装置の各要素のうちの満杯検出ユニット(検出器)を中心とした概略ブロック図。
【図7】図2及び図3に示す上部トレイの満杯検出ユニットの別の実施の形態を説明する概略図。
【図8】図2及び図3に示す上部トレイの満杯検出ユニットの別の実施の形態を説明する概略図。
【図9】図7及び図8に示した満杯検出ユニットを上部トレイの上方から見た状態を示す概略図(平面図)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0017】
図1は、この発明が適用可能な画像形成装置(MFP、Multi-Functional Peripheral)の概略を示す。
【0018】
画像形成装置101は、画像情報を可視化し、広く用紙と称するシート媒体が保持する状態の“出力画像”を形成する画像形成部本体(画像形成部)1、画像形成部1に、任意サイズのシート媒体(被転写体)すなわち(出力用)用紙を供給する用紙供給部3、画像形成部1が画像形成する対象すなわち画像情報を光の明暗として取り込み、画像形成部1に画像データを供給する画像読取部5、及び画像形成部1による画像形成および画像読取部5による対象物の画像情報の読み込みなどの制御情報の入力が可能な制御入力部(操作部もしくはコントロールパネルと呼ぶこともある)9を有する。“出力画像”は、ハードコピーもしくはプリントアウトと称する場合を含む。
【0019】
画像形成部1は、詳述しないが、画像データに対応する潜像を保持する感光体、感光体が保持する潜像を現像して可視像を形成する現像機構、現像機構が形成した可視像を用紙供給部3が保持するシート媒体上に移動する移動機構(転写機構)、シート媒体に可視像を固定する固定機構(定着機構)等を含む。なお、シート媒体を移動する媒体移動機構も含む。シート媒体移動機構は、シート媒体の表裏を反転する媒体反転機構も含む。
【0020】
用紙供給部3は、詳述しないが、例えばトレイまたはカセット状のストック部を1以上含み、画像形成部1が形成する可視像を保持するシート媒体を保持し、画像データのサイズに基づいて規定される大きさ(サイズ)の媒体を、画像形成部1側の要求に基づいて、画像形成部1に提供する。
【0021】
画像読取部5は、詳述しないが、例えば透明ガラスを含み、画像情報を保持する対象物を支持する原稿テーブル、例えばCCDセンサを含み、対象物に画像情報を画像データに変換する画像センサを有し、対象物の画像情報を画像データとして、出力する。画像読取部5は、対象物がシート状である場合、画像情報の取り込み(以下読み取りと称する)終了後、読み取りが終了したシート(対象物)を読み取り位置から移動し、次の原稿を読み取り位置に案内する自動原稿送り装置(ADF)7と接続する。ADF7は、シート状の対象物の表裏を反転するシート反転機構も含む。
【0022】
制御入力部9は、例えば画像読取部5に対して後方の左側または右側のコーナー等に、画像読取部5の原稿テーブルに比較して上方に、例えば柱状あるいはスイングアーム形式の支持機構を伴って、位置する。制御入力部9は、ユーザの操作により、画像読取部5と接することのない所定範囲内の任意の位置に、位置する。
【0023】
画像形成部1は、詳細な説明は省略するが、複数の感光体ドラムと、それぞれの感光体ドラムが保持する潜像に現像剤、すなわちトナーを供給して現像し、トナー像を形成する感光体ドラムの個数と同数の現像装置、それぞれの感光体ドラムが保持するトナーの像を順に保持する転写ベルト、個々の感光体ドラムに残るトナーを個々の感光体ドラムから取り除くクリーナー、転写ベルトが保持するトナー像を、トナー像を保持して出力するシート状の媒体、例えば用紙あるいは透明な樹脂シートであるOHPシート等に転写する転写装置、転写装置による転写によりトナー像が移動したシート媒体にトナー像を固定する定着装置および感光体ドラムに潜像を形成する露光装置等を含む。
【0024】
用紙供給部3は、トナー像が移動するためのシート媒体を、所定のタイミングで、転写装置に供給する。用紙供給部3は、任意のサイズのシート媒体を収容する用紙カセット、用紙カセットを収容するカセットスロット、詳述しない画像形成動作に応じて、対応するサイズのシート媒体を収容したカセットからシート媒体を取り出すピックアップローラ、ピックアップローらが取り出したシート媒体が2枚以上になることを阻止する分離ローラ等を含む。
【0025】
所定のサイズの用紙カセットから取り出されたシート媒体は、詳述しない搬送機構に案内され、定着装置手前のアライニングローラまで移動し、所定のタイミングで、転写装置においてトナー像を受け取り、定着装置でトナー像と固着する。
【0026】
定着装置でトナー像が固着したシート媒体は、“出力画像”として、画像読取部5の近傍であって画像形成部1の上部に位置するストック部51、またはフィニッシャ201へ移動する。なお、フィニッシャ201と定着装置との間の“出力画像”の移動は、詳細な説明を省略するが、案内通路と搬送機構等からなる中継搬送部61による。
【0027】
画像形成装置101は、画像形成部1が形成した“出力画像”を、そのままストック部51で保持することができるが、以下、フィニッシャ201が後処理する例を説明する。
【0028】
フィニッシャ201は、詳述しないが、ファイリングに用いる穴を所定の位置に開けるパンチユニット211と、予め指定された場合にステープル留めするステープルユニット221とを含む。なお、フィニッシャ201は、パンチユニット211の除外されたものであってもよく、またステープルユニット221の機能として、中綴じと称する簡易製本向けの用紙の中央をステープル留めする機能が設けられてもよい。
【0029】
もちろん、フィニッシャ201は、パンチユニット211と中綴じ可能なステープルユニット221の双方を有し、さらに粘着剤と表紙用シートを提供して平綴じと呼ばれる接着形製本機能を提供可能な簡易製本ユニット(図示しない)が併設するものであってもよい。
【0030】
図2は、図1に概略を説明したフィニッシャを詳細に示す。
【0031】
フィニッシャ201は、図1を用いて概略を説明したが、シート媒体(“出力画像”)Sにパンチ孔をあけるパンチユニット211と、複数枚の“出力画像”が積層された(シート媒体)の束をステープル留めするステープルユニット221と、を有する。なお、図1に示す画像形成装置101と組み合わせ可能なフィニッシャ201は、上述の通り、パンチユニット211を非装着とすることができる。このため、ステープルユニット221は、画像形成装置101の中継搬送部61の最下流に位置する搬送ローラ63が送出するシート媒体を受け入れる入り口ローラ203を有する。また、フィニッシャ201は、例えば1ページ分のみもしくは1枚のみのシート媒体、ソート処理が不要で枚数が一定数を超えるシート媒体、あるいはステープル留めのないシート媒体を保持する固定(上部)トレイ205及び図示しないがステープル留めしたシート媒体の束あるいはソート処理されたシート媒体(群)を保持する排紙トレイ207を含む。
【0032】
ステープルユニット221を通る用紙は、ユーザ指示に従い、ステープル留めなしで、あるいは一定枚数積層されてステープル留めされて、排紙トレイ207の所定位置に、位置する。ステープルユニット221は、搬送されたシート媒体を幅方向に整合する整合装置を備えており、整合装置を利用してシート媒体をソートして排出することもできる。尚、後処理を行わないときは、画像形成装置101から搬送されたシート媒体は、そのまま(直に)排紙トレイ207又は固定トレイ205に排出する。
【0033】
排紙トレイ207に向かうシート媒体Sは、入り口ローラ203を通過し、分岐機構(フラッパ)231を給紙ローラ223側に進み、処理トレイ225に、位置する。入り口ローラ203からのシート媒体がステープル留めを必要としない場合、処理トレイ225に到達した用紙は、搬送ベルト229を経て、そのまま排紙トレイ207に移動し、排紙トレイ207に留まる。
【0034】
処理トレイ225が保持したシート媒体の束は、ステープラ227が、ステープル留めする。また、ソート又はステープル留めしたシート媒体の束は、搬送ベルト229が排紙トレイ207まで搬送する。搬送ベルト229が搬送する用紙束は、排紙トレイ207が受け取る。
【0035】
図3は、図2により説明したフィニッシャ201の上部(固定)トレイ205の近傍を抜き出した状態を示す。
【0036】
パンチユニット211を通過し、入り口ローラ203に案内されたシート媒体Sは、操作部9により予めユーザにより指定された後処理、例えばステープル留めあり/なしに応じた切換部(フラッパ)231(図2参照)の切換結果に従い、上部(固定)トレイ205、または処理トレイ225(図2参照)のいずれかに向けて移動する。
【0037】
フラッパ231により上部トレイ205に移動するシート媒体Sは、上部トレイ205と入り口ローラ203との間に位置する上面出口ローラ233により上部トレイ205に向けて移動し、自由落下により上部トレイ205に落下する。
【0038】
シート媒体(“出力画像”)Sは、満杯検出アクチュエータ235aと、満杯検出アクチュエータ235aが所定の位置に変位した際にH(High)からL(Low)へまたはL(Low)からH(High)へ出力信号が変化する検出器(フォトインタラプタ)235b(図3の部分拡大図参照)を含み、上部トレイ205の満杯を検出する満杯検出ユニット235により(上部トレイ205)の満杯が検出されるまで、上部トレイ205へ、順次移動する。なお、満杯検出ユニット235により、上部トレイ205の満杯が検出されると、シート媒体S搬送すなわち画像形成装置101による画像形成動作が一時的に中断される。
【0039】
ところで、シート媒体Sの厚さや定着装置により加熱された結果に起因するシート媒体Sのカール等に起因して、満杯検出ユニット235が検出する検出結果すなわちシート媒体Sの満杯検出に、エラーが生じることがある。また、シート媒体Sの厚さや腰(硬さ)に起因して、シート媒体Sの先端が上部トレイ205から飛び出すことがある。
【0040】
このため、満杯検出アクチュエータ235aに、重り(錘)235cを設け、シート媒体Sの厚さやカール等に起因して誤検出が生じることを抑止するとともに、シート媒体Sの先端が飛び出すことを抑止している。アクチュエータ235aは、弾性を呈するフィルム(シート)状であり、例えば樹脂フィルムが適する。
【0041】
また、重り(錘)235cは、弾性を呈するフィルム(シート)状であり、アクチュエータ235aがシート媒体Sの通過により変形した際にアクチュエータ235aの変形を妨げることなく、アクチュエータ235aの変形の度合いに従って変形することが好ましい。
【0042】
このように、上部トレイ205のシート媒体Sの満杯を検出する満杯検出ユニット235のアクチュエータ235aに重り(錘)235cを一体に設けることにより、満杯検出ユニット235がシート媒体Sの満杯を検出する満杯検出において、エラーが生じることが抑止できる。なお、重り(錘)235cを設けることにより、図3または図4に示すように、上部トレイ205に移動するシート媒体Sの後端がトレイ205に落下せずに上面出口ローラ233の近傍にとどまること(図4に例示)や、シート媒体Sの後端のカールに起因して次のシート媒体Sの先端と衝突すること(図5に例示)を低減できる。また、上部トレイ205からシート媒体Sの先端が飛び出すことも防止できる。
【0043】
すなわち、図4に示すように、上面出口ローラ233により上部トレイ205に移動されるシート媒体Sの先端を、上部トレイ205または既に上部トレイ205に落下しているシート媒体Sに沿わせて上部トレイ205に案内することにより、次のシート媒体Sが先に上部トレイ205に移動したシート媒体Sの上に確実に移動する。また、図5に示すように、上部トレイ205に移動するシート媒体Sの後端がカールしている場合、シート媒体Sを上部トレイ205の下方に向けて押し下げる荷重がアクチュエータ235aからシート媒体Sに提供されるため、次のシート媒体Sは、先に上部トレイ205に移動したシート媒体Sの上に移動する。
【0044】
このように、アクチュエータ235aをフィルム(弾性体)とすることにより、やわらかい(腰のない)シート媒体Sが排出されてきた場合であっても、詰まり(ジャム)が発生することを防止できる。また、アクチュエータ235aの上に重り235cをつけることにより、アクチュエータ235aの塑性変形を防ぐことができる。
【0045】
以上から、アクチュエータ235aを容易に変形可能なフィルム(弾性体)とすることにより、排出されたシート媒体Sの先端を押さえることにより、シート媒体Sが上部トレイ205から飛び出すこと、および排出されたシート媒体Sの後端を重り235cからの荷重を受けたアクチュエータ235aに上部トレイ205に向けて押し下げることによりシート媒体Sの後端が上部トレイ205に落下しないこと、を防止できる。
【0046】
図6は、図1に示した画像形成装置及び図2〜図5に示したフィニッシャの電気的接続の概略を説明する概略ブロック図である。なお、図1の画像形成装置の動作は広く知られているので、図6では、フィニッシャ側を主体として説明する。
【0047】
図6に示すように、フィニッシャ側制御部251は、画像形成装置101側の主制御部111と接続され、画像形成装置101の操作部(制御入力部)9からの制御信号の入力に従い、パンチユニット211による穴あけ(パンチ)やステープルユニット221によるステープル留め動作を制御する。なお、電源部261は、フィニッシャ201に独立に設けられる場合もあるが、図6に示す例のように、画像形成装置101側の電源部121から電力の供給を受けることも可能である。
【0048】
上部トレイ205へのシート媒体Sの満杯を検出する満杯検出ユニット235の検出器235bの出力は、フィニッシャ側制御部251に入力する。従って、検出器235bにより上部トレイ205がシート媒体Sにより満杯となったことが検出された場合、主制御部111の制御により、画像形成装置101側における画像情報の読み取り(画像読取部5)や画像形成(画像形成部1及び用紙供給部3)が、一時的に停止する。
【0049】
図7〜図9は、図2〜図5に示した満杯検出センサの別の実施の形態の一例を示す。
【0050】
上部トレイ205に移動したシート媒体Sの厚さや定着装置により加熱された結果に起因するシート媒体Sのカール等に起因して、満杯検出ユニット235が検出する検出結果すなわちシート媒体Sの満杯検出に、エラーが生じることがあることは、すでに説明した通りである。また、カール等の影響(発生の度合い)は、サイズの大きなシート媒体Sに顕著となり、かつその場合、シート媒体Sの隅またはその近傍で大きくなる(より顕著になる)ことが知られている。
【0051】
このような背景に基づき、図7及び図8に示す満杯検出ユニット335(図2〜図5の実施形態との識別のため、「335」を付与する)は、図2により既に説明したアクチュエータ235aに類似した第1のアクチュエータ335aと第1のアクチュエータ335aの検出動作により旋回する軸335bに一体に形成された第2のアクチュエータ335cを有する。
【0052】
軸335bの一端には、H(High)からL(Low)へまたはL(Low)からH(High)へ出力信号が変化する検出器(フォトインタラプタ)335dと協働して、検出器335dの上記出力を生じさせる遮蔽器335eが固定される。これにより、第1のアクチュエータ335aあるいは第2のアクチュエータ335cがシート媒体Sの量またはカールの度合いにより変位(旋回)することにより、軸335bの変位による遮蔽器335eの動作として、検出器335dの出力が変化する。
【0053】
なお、第2のアクチュエータ335cは、上述したサイズの大きなシート媒体Sに顕著であり、シート媒体Sの隅で大きくなるカールを確実に検出可能に、図9に示すように、シート媒体Sの最大のサイズに合わせて、例えば軸335bの両端に2個以上、設けられることが好ましい。
【0054】
また、第1のアクチュエータ335aの近傍に第2のアクチュエータ335cを設けることにより、図3〜図5により説明したシート媒体Sの後端を上部トレイ205内に落下させる効果も得られる。
【0055】
このように、アクチュエータ335aの変位(旋回)を検出器335dに伝達する軸335bに、シート媒体Sの後端の隅部を上部トレイ205に向けて押し下げるとともに、シート媒体Sのカール等に起因する誤検出を抑止可能にアクチュエータ335aとは独立したアクチュエータ335cを、シート媒体Sの後端の隅部に対応して少なくとも2個設けることで、やわらかい(腰のない)シート媒体Sや、比較的大きなサイズで、後端の隅部にカールを有するシート媒体Sが排出されてきた場合であっても、確実に上部トレイ205へのシート媒体Sの満杯を検出可能となり、詰まり(ジャム)が発生すること、あるいは誤検出により画像形成動作が中断することを防止できる。
【0056】
以上説明したように、この発明の一つの実施の形態を適用することで、アクチュエータを、容易に変形可能なフィルム(弾性体)とすることにより、排出されたシート媒体の先端を押さえることにより、シート媒体が上部トレイ(媒体保持部)から飛び出すこと、および排出されたシート媒体の後端を重りからの荷重を受けたアクチュエータに媒体保持部(上部トレイ)に向けて押し下げることによりシート媒体の後端が上部トレイに落下しないこと、すなわち満杯検出が不正確になることが防止できる。すなわち、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の満杯を検出する満杯センサの正確な検出を実現する検出機構及び検出方法が実現できる。
【0057】
また、この発明の一つの実施の形態を適用することで、シート媒体の後端の隅部を上部トレイ(媒体保持部)に向けて押し下げるとともに、シート媒体のカール等に起因する誤検出を抑止可能に第2のアクチュエータを、シート媒体の後端の隅部に対応して少なくとも2個設けることで、やわらかい(腰のない)シート媒体や、比較的大きなサイズで後端の隅部にカールを有するシート媒体が排出されてきた場合であっても、確実に上部トレイへのシート媒体の満杯を検出可能となり、詰まり(ジャム)が発生すること、あるいは誤検出により画像形成動作が中断することを防止できる。すなわち、後処理後または後処理のためのシート媒体(用紙)を保持する保持部が保持するシート媒体の積載状態が、センサ検出位置と異なる位置で不所望な積載状態となることを抑止できる満杯検出機構及び検出方法が実現できる。
【0058】
なお、この発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形もしくは変更が可能である。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【符号の説明】
【0059】
1…画像形成部、5…画像読取部、9…制御入力部、61…中継搬送部、63…搬送ローラ、101…画像形成装置、111…(画像形成装置側)主制御部、201…フィニッシャ(後処理装置)、203…入り口ローラ、205…上部(固定)トレイ、207…排紙トレイ、221…ステープラユニット、223…給紙ローラ、225…処理トレイ、227…ステープラ、229…搬送ベルト、231…フラッパ(分岐機構)、233…上面出口ローラ、235…満杯検出ユニット、235a…アクチュエータ(第1の案内部材)、235b…フォトインタラプタ(検出器)、235c…重り(錘、第2の案内部材)、251…(後処理装置側)制御部、335…満杯検出ユニット、335a…第1のアクチュエータ、335b…軸、335c…第2のアクチュエータ、335d…検出器、335e…遮蔽器。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2003−212424号公報
【特許文献2】特開2001−97638号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構を介して搬送されたシート媒体を保持するトレイと、
このトレイの搬送機構寄りに設けられ、搬送されたシート媒体に対し、シート媒体の先端が前記トレイに向かうよう、所定方向の荷重を付与する第1の案内部材と、
前記第1の案内部材に所定の荷重を付与する第2の案内部材と、
前記第1の案内部材の変位を検出する検出器と、
を有するシート媒体処理装置。
【請求項2】
前記第1の案内部材は、前記検出器の出力信号を、前記トレイが保持するシート媒体の量が所定の量に達した時点で、第1のレベルから第1のレベルとは異なる第2のレベルに変化可能に、変位/旋回することを特徴とする請求項1記載のシート媒体処理装置。
【請求項3】
前記第1の案内部材は、シート媒体の状態に応じて変形可能であることを特徴とする請求項2記載のシート媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1の案内部材は、シート媒体の後端を、前記トレイの底部に向けて加圧することを特徴とする請求項2記載のシート媒体処理装置。
【請求項5】
潜像に現像剤を選択的に供給して現像剤像を形成し、シート媒体に現像剤像を固定して出力する画像形成部と、
前記画像形成部が出力するシート媒体を保持するトレイの前記画像形成部寄りに設けられ、出力されたシート媒体に対し、シート媒体の先端がトレイの底部に沿うよう、かつシート媒体の後端がトレイの底部に向かうよう、所定方向の荷重を付与する第1の案内部材と、この第1の案内部材に所定の荷重を付与する第2の案内部材と、前記第1の案内部材の変位を検出する検出器と、を有するシート媒体処理部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の案内部材は、シート媒体の状態に応じて変形可能であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
搬送されるシート媒体の先端および後端に接触可能で、シート媒体と接触することにより変形可能なアクチュエータに、所定の荷重を付与し、
付与された荷重により、アクチュエータをシート媒体の状態に従って変形させることにより、シート媒体の先端の飛び出し及びシート媒体の後端の浮き上がりを抑止してシート媒体が積載された程度を検出する満杯検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−37111(P2010−37111A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183725(P2009−183725)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】