シート打ち抜き型用の面版及びシートの打ち抜き方法
【課題】 ダンボールシートのように厚みがありシート内に空洞が多く形成された内部構成のシートにおいても、糸状の屑や紙粉の発生を少なくした構造の面版を提供する。
【解決手段】 面版1は、押罫部材に相対する位置に押罫用溝103が形成された基板2からなり、基板2の上面2a側で打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成されており、基板2の上面2a側で押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み7が形成されており、かつ、打抜用溝6と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリア4が、当該エリアにてシートを押し潰さないために貫通している。
【解決手段】 面版1は、押罫部材に相対する位置に押罫用溝103が形成された基板2からなり、基板2の上面2a側で打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成されており、基板2の上面2a側で押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み7が形成されており、かつ、打抜用溝6と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリア4が、当該エリアにてシートを押し潰さないために貫通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート打ち抜き型用の面版に関し、特に紙器を組み立てるためにシートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に使用される面版と、当該面版を使用したシートの打ち抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙類や、紙類と樹脂や金属等との複合材料からなるシートを打ち抜き折り曲げて貼り合わすことで形成される紙器(包装容器、箱体)は、軽量で持ち運びに便利であり、食品業界、電子部品業界、自動車関連業界など、多くの産業分野で普及している。
【0003】
図50に示す従来の打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザ加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の貫通溝と押罫部材25用の貫通溝とを形成し、それぞれの貫通溝に打抜刃26と、当該打抜刃26よりも高さ寸法が小さい押罫部材25とを埋め込んで、押罫部材25の下方への突出量が打抜刃26よりも少ない突出量とした打ち抜き型22が製作される。
【0004】
打抜き加工の際には、打抜機19の上側に装着された打ち抜き型22と打抜機19の下側の受け型21の間にシート100を挿入し、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて次に隔離させ、打抜き加工する(図26を参照)。つまり、打抜刃26で所定の形状に裁断するとともに、押罫部材25によって所要部に折り筋101bを複数刻設し、ブランク(打ち抜いたシート)100を形成する。次にブランク100の折り筋101bに沿って谷折りし、テープ固定や糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0005】
図50に示す従来の打ち抜き型22では、シート100を打ち抜くとともに折り筋101bを付与するに際して、より正確な折り筋101bの刻設のために、上記押罫部材25に対応する位置に溝201が形成された面版200を、打抜機19の受け型21の上面21aに取り付けている。つまり、面版200に所定深さの溝201を形成することによって、折り筋101bの反対側に、押罫部材25によって下方に押されたシート100が所定形状の凸ライン101aを形成することとなり、押罫部材25によってブランク100にかかるダメージを低減し、ブランク100の折り曲げを容易にしている。
【0006】
前記面版200は、板状やフィルム状の基板からなり、近年、基板の裏面にリユース糊を塗布することで、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な面版も市場に出回っている(特許文献1を参照)。これらの面版200は、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂等の合成樹脂製からなり、打ち抜き型22を製作する為のCADデータからNC加工機により打ち抜き型22の押罫部材25に対応する位置に溝201を削り加工し、打抜刃26が当接する部位が外周となるよう切除して製作される。
【0007】
前記面版200を受け型21に取り付ける方法としては、例えば特許文献2に示す方法があり、転移位置決め治具29を、打ち抜き型(雄型)の位置決め孔に挿脱可能に挿入する等して、受け型21の上に転移部材12を転移させ、これらの転移部材12の外周が面版200に設けた貫通穴212となるように位置合わせして、受け型21の上面21aに接着剤で接着する方法が知られている(図50から図52を参照)。
【0008】
ダンボール等の厚みの大きなシート100の場合、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102がはっきりせず、シート100が折り筋101にて折り曲げ難いことがあり、問題視されていた。そこで、本願発明者は、特許文献3に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン101a(特許文献3では凹ライン)に相対する位置に、押し潰し具をカッティングプレート上(平板上)に貼着する構成を考案した。
【0009】
この一方で、シート100の材質が、ダンボール等の変形がし難い材質の場合には、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、面版200に形成された溝201の角部に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン101aの根元が押し付けられることで、局部的に荷重負荷が大きくなり易く、シート100の曲げ強度や引っ張り強度を超える荷重負荷となったときには、シート100の所定形状のライン101aの根元等が座屈して表層割れする等の不具合が生じてしまい、問題視されていた。そこで、本願発明者は、特許文献4に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102に相対する位置に、凸形状、台形形状、山形形状、溝部を有する台形形状を呈する折り罫テープを薄い基板シート上(平板上)に貼着する構成を考案した。特許文献4によれば、例えば、前記折り罫テープの形状が凸形状の場合には、シート100の所定形状のライン101aが凹ラインとなり、また例えば、前記折り罫テープの形状が凹形状の場合には、シート100の所定形状のライン101aは凸ラインとなる。
【0010】
しかしながら、前記押し潰し具や前記折り罫テープは、いずれも平板上に貼着されており、前記シートが当接する際の当接角度によっては前記押し潰し具や前記折り罫テープが剥がれることがあり、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性が十分であるとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−107354号公報
【特許文献2】特開2010−30040号公報
【特許文献3】実用新案登録第3114009号公報
【特許文献4】実用新案登録第3132946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記シートには、紙、ダンボール、コーティング紙に加えて、複数の紙類や紙類と樹脂や金属との複合材料等があり、特に、ダンボールは、ライナーに波型に加工した中芯を貼り付けてその裏側をライナーで補強した内部構成であることから、シート内に空洞が多く形成され、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋がはっきりせずに折り曲げ難いという問題点が生じ易い。そして、打抜きする際に、ダンボールを強く押さえるとダンボールが潰れてしまい、ダンボールを弱く押さえると、打抜刃がダンボールを裁断するときに上下のライナーと中芯とが位置ずれすることで糸状の屑や紙粉が発生しやすくなる。
【0013】
そこで本発明の目的は、シートの表層割れ等の外観不良を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、ダンボールシートのように厚みがありシート内に空洞が多く形成された内部構成のシートにおいても、糸状の屑や紙粉の発生を少なくした構造の面版と、当該面版を使用したシートの打ち抜き方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置にはシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記押罫用溝で囲まれたエリアが所定深さで窪んでいるか貫通している構成によって、当該エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材で押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0016】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置には、シートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、シートを打ち抜くに際して前記打抜刃を受けるための打抜用溝が前記基板上の前記打抜刃に相対する位置に形成されている構成によって、前記打抜刃の刃先を逃がす構造であるから、前記面版の上面に打抜刃を当接させずに済み、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材で押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0018】
前記基板上の溝で囲まれたエリアは機械加工によって形成され、例えばフライス加工やルータ加工することで所定深さの窪みが形成されるか、例えばプレス加工やレーザ加工することで貫通した窓が形成される。また前記打抜用溝は機械加工によって形成され、例えばフライス加工やルータ加工することで所定深さの打抜用溝が形成される。
【0019】
前記面版は、基板の裏面に、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)を塗布することで、再使用可能な面版としてもよい。このリユース糊を塗布しておくことで、位置決め冶具によってカッティングプレート上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0020】
前記基板の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属や、これら合成樹脂と金属とを組み合わせた複合材等が挙げられるが、加工の容易性や、受け型が平板のみならず円筒形状(ローラー形状)である場合に面同士を密着させるための変形の容易性の観点からは、前記基板は、板状又はフィルム状であることが好ましい。または、前記面版は、板状又はフィルム状であることに加えて半円筒状又は円弧状としてもよい。例えば、円筒形状(ローラー形状)の受け型である場合は、受け型の円周形状に合わせて半円筒状又は円弧状に成形された樹脂に、打抜用溝,押罫用溝等を設けて、面同士を正確な位置で密着させる構成とすることで、ダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。
【0021】
本発明は、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通しているので、当該エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合を極力少なくすることが容易である。
【0023】
本発明は、一つの紙器となるダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版が一枚物の面版であることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記面版が一枚物の面版であることで、受け型が平板のみならず円筒形状(ローラー形状)である場合に面同士を正確な位置で密着させることが容易であり、ダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。
【0025】
前記打抜刃の内側と外側とにはゴム部材が配されており、かつ、前記押罫部材の内側と外側とにはゴム部材が配されている構成が好ましい。シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、これらゴム部材によってシートを動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋を付与することが容易となるからである。前記ゴム部材の材質としては、シリコーンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材や、エラストマーや、弾性変形が容易な合成樹脂が挙げられる。
【0026】
前記面版の外周の大きさは、前記打抜刃に相対する位置よりも一回り小さく設定されるか、又は、前記打抜刃に相対する位置よりも大きく設定される。前記面版の外周の大きさが前記打抜刃に相対する位置よりも一回り小さく設定される構成とすることで、前記面版に打抜刃を当接させずに済むため、合成樹脂製の面版としたときでも、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性を確保し易い。他方、前記面版の外周の大きさが前記打抜刃に相対する位置よりも大きく設定される構成とすることで、前記面版と前記打抜刃の外側に配されたゴム部材とでシートの外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。
【0027】
本発明は、前記エリアにおける基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されていることが好ましい。本発明によれば、前記基板に、これら前記傾斜が形成されていることで、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、上述のゴム部材等を用いてシートを動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋を付与したときに、シートの切断箇所の両側付近や、シートの折り筋の反対側の凸ラインや凹ラインの両側付近に圧痕が付き難くなる。
【0028】
前記打抜刃と押罫部材は、ステンレスや鋼等の硬質金属製である。前記打抜刃はその先端が鋭利となっており、前記押罫部材はその先端が丸くなっている。前記打抜刃はその先端を鋸刃とすることができ、鋸刃を前記打抜用溝で受ける構成とすることで、シートを裁断するときにシートの切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断するので、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉がさらに発生し難くなる。
【0029】
前記基板に形成された押罫用溝(前記押罫部材に相対する位置の溝)には、当該押罫用溝の形状を変えるために当該押罫用溝の一つないし全てに沿ってテープを貼り付けた構成とすることができ、例えば、前記テープを、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した窪みが形成されている構成とすることで、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することでシートに凸ラインを形成することができる。また例えば、前記テープを、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した突起が形成されている構成とすることで、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することでシートに凹ラインを形成することができる。そして例えば、前記基板が板状又はフィルム状の樹脂製であり、前記テープが前記基板よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製とすることで、前記シートの凸ラインや凹ラインに加わる荷重負荷を効果的に前記テープで受けて分散させる。つまり、前記テープが前記シートの凸ラインや凹ラインと前記基板との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインや凹ラインにて表層割れする等の不具合を防止する。
【0030】
本発明のシートの打ち抜き方法は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通している面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記エリアにてシートを押し潰さないようにしながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、前記エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、前記エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材にて押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0032】
本発明のシートの打ち抜き方法は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、前記打抜用溝にて前記打抜刃の刃先を逃がすことで、前記面版に打抜刃を当接させずに済み、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材にて押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0034】
本発明は、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアを第1のエリアとし、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアが、当該第2のエリアにてシートを押し潰さないように所定深さで窪んでいるか貫通している構成とし、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、これら前記エリアにてシートの対面する箇所の押圧力を軽減するか押圧力が加わらないようにすることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通しているので、当該エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合を極力少なくする。
【0036】
本発明は、前記打抜刃を鋸刃とし、この鋸刃の内側と外側とにゴム部材を配しておき、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことで、シートを裁断するときにシートの切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断することとなり、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉がさらに発生し難くなる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の面版によれば、シートを打ち抜くに際して前記打抜刃を受けるための打抜用溝が前記基板上の前記打抜刃に相対する位置に形成されており、前記打抜刃の刃先を逃がす構造であるから、前記面版に打抜刃を当接させずに済む。また、本発明のシートの打ち抜き方法によれば、前記打抜刃に相対する位置にシートを打ち抜くに際して前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている基板を備えた面版を前記受け型に取り付けて、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するので、前記面版に打抜刃を当接させずに前記打抜刃の刃先を逃がすこととなり、また、前記面版と前記打抜刃の外側に配されたゴム部材とでシートの外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。
【0039】
本発明によれば、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通しているので、これら前記エリアにてシートの対面する箇所の押圧力を軽減するか押圧力が加わらないようにして、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合を極力少なくする。本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことで、シートを裁断するときにシートの切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断することとなり、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉をさらに抑えることとなる。これら本発明によって、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋がはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、ダンボールシートのように厚みがありシート内に空洞が多く形成された内部構成のシートにおいても、糸状の屑や紙粉の発生を少なくした構成となり、高品質の紙器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図2】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図3】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図4】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図5】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図6】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図8】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図9】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図10】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図11】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図12】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図13】上記実施形態の面版の他の例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図15】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図16】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図17】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図18】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図19】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図20】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係の他の例を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図21】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係の他の例を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図22】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係の他の例を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図23】本発明の第4の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図24】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図25】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図26】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図27】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図28】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図29】本発明の第5の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図30】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図31】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図32】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図33】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図34】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図35】本発明の第6の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図36】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図37】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図38】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図39】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図40】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図41】打ち抜き型に取り付ける打抜刃(押し切り刃)を例示する図である。
【図42】打ち抜き型に取り付ける打抜刃(鋸刃)を例示する図である。
【図43】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、押し切り刃にてシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図44】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、鋸刃にてシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図45】本発明の実施形態の面版に係るテープを例示する図である。
【図46】本発明の面版を使用して打ち抜いたシートを例示する図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図47】本発明の面版を使用して打ち抜いたシートを例示する図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図48】本発明の面版を使用して打ち抜いたシートを例示する図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図49】本発明に係る面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との上記と異なる関係を示す図であり、(a)は面版を示す側面図であり、(b)はシート加工状態を示す側面図である。
【図50】従来の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図51】従来の打ち抜き型を、その刃先を手前側にした状態で例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図52】従来の受け型を、その面版を手前側にした状態で例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施の形態の面版1は、板状の基板2から構成される(図1から図3)。基板2の裏面2bには、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されている。面版1は、紙器の外形となるようシート100を打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して受け型に取り付けて使用される。図1に示す例では、基板2は矩形状であり、複数のコーナー付近に位置決め用の貫通穴105が形成されている。位置決め用の貫通穴105は2箇所以上形成されていればよく、図1に示す例では、貫通穴105が3個所のコーナー付近に形成されている。図1(a)は面版1の平面図であり、図1(b)は面版1の側面図である。また、図2は、面版1のA−A’線断面図であり、図3は、面版1のB−B’線断面図である。
【0043】
図46は、本実施形態の面版1を使用して打ち抜いたダンボールシート100を例示しており、このダンボールシート100は、箱形状の容器または箱形状の蓋となるものである。図46(a)はダンボールシート100の平面図であり、中央の四角形状で囲った一点鎖線部分が折り筋102bである。図46(b)はダンボールシート100の底面図であり、中央の四角形状で囲った2本の一点鎖線の間の部分が凸ライン102aである。折り筋102bの反対側に凸ライン102aが位置する。
【0044】
図1に示す基板2の上面2a側で、押罫部材25に相対する位置には、複数の押罫用溝103が形成されている。押罫用溝103は、シート100に折り筋102bを付与するに際してシートに凸ライン102aを形成するためのものであり、押罫用溝103の溝巾は、押罫部材25の巾(厚み)よりも少し大きく設定され、目安としてシート100の厚み程度大きく設定される。そして、符号60で示す点線は、打抜刃26に相対する位置(ダンボールシート100の外形ラインに沿った位置)を表している。本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、貫通した窓5となっている。また、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置である符号60で示す点線と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリアが、貫通した窓4となっている。図1では、貫通窓4が4つ形成され、貫通窓5が1つ形成されている。
【0045】
本実施形態によれば、これら第1のエリアに貫通窓5が形成され、第2のエリアに貫通窓4が形成されているので、これら第1と第2のエリアに相対するシート100の面(ここでは、5つの面)が潰されずに済み、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする。
【0046】
そして、図1に示す基板2の上面2a側で、前記第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されている。また、前記第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されている。これら貫通窓4,5は、例えばプレス加工やレーザ加工によって形成され、傾斜14,15は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。
【0047】
本実施形態によれば、基板2の上面2a側に、これら傾斜14,15が形成されていることで、シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、後述するゴム部材27を用いてシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与したときに、シート100の切断箇所の両側付近や、シート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。
【0048】
前記基板2の下面2b側には、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されており、再使用可能な面版1となっている。また、このリユース糊を塗布しておくことで、基板2に設けられたガイド穴105を利用し、既知の位置決め冶具(円柱形状や円錐形状等の位置決め冶具)によってカッティングプレート21上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0049】
前記基板2の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属や、これら合成樹脂と金属とを組み合わせた複合材等が挙げられる。本実施形態では、打抜刃26が基板2の上面2a側に当接することを考慮し、アルミ、ステンレス等の金属製の基板2とした。本実施形態では、前記面版1が一枚物の面版であるから、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、面版1に必要とされる強度を確保し易い。
【0050】
図4から図6は、本実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22及び受け型21(カッティングプレート21)との関係を示す側面図である。打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザ加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の貫通溝と押罫部材25用の貫通溝とを形成し、それぞれの貫通溝に打抜刃26と、押罫部材25とを埋め込んで、打ち抜き型22が製作される。打抜刃26と押罫部材25とは、ステンレスや鋼等の硬質金属製である。打抜刃26はその先端が鋭利となっており、押罫部材25はその先端が丸くなっている。押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量と、同じか小さく設定される。打抜刃26の内側と外側とにはゴム部材27が配されており、かつ、押罫部材25の内側と外側とにはゴム部材27が配されている。シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、これらゴム部材27によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与することが容易であるからである。ゴム部材27の材質としては、シリコーンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材や、エラストマーや、弾性変形が容易な合成樹脂が挙げられる。
【0051】
図4はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図5はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図6はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図4)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図5)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。また、このとき、第1のエリアに位置する貫通窓5と第2のエリアに位置する貫通窓4によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図6)。
【0052】
本実施形態によれば、ダンボールシート100の表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、ダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。次工程では、打ち抜かれたシート100をその折り筋101bに沿って谷折りし、テープ固定するか糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0053】
図13は、上記実施形態の面版1の他の例を示す図である。図13に示す例では、面版1の外周の大きさは、前記打抜刃26に相対する位置よりも一回り小さく設定されており、面版1に打抜刃26を当接させずに済むため、合成樹脂製の面版1としたときでも、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性を確保し易い。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施の形態の面版1は、第1の実施形態と同じく、板状の基板2から構成される一枚物の面版である(図7から図9)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2が樹脂製である。そして、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成されている。打抜用溝6の溝巾は、打抜刃26の巾(厚み)と同じか少し大きく設定され、ダンボールシート100が陥没しない範囲内で設定される。
【0055】
また、本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み7が形成されている。この窪み7は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。図7に示す例では、基板2の中央の窪み7に、所定間隔で位置決め用の貫通穴105が2つ形成されている。
【0056】
図10はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図11はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図12はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。ここでは、押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量よりも小さく設定される。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図10)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図11)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、本実施形態によれば、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、面版1に打抜刃26を当接させずに済むとともに、面版1と打抜刃26の外側に配されたゴム部材27とでダンボールシート100の外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。また、このとき、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。そして、このとき、第1のエリアに位置する窪み7と第2のエリアに位置する貫通窓4によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(窪み7)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図12)。
【0057】
ここで、図41と図42は、上述の打ち抜き型22に取り付ける打抜刃26をそれぞれ例示する図である。図41に示す打抜刃261は、その先端が鋭利となっている押し切り刃であり、側面から見た図41(b)では、刃先が連続的で直線状に形成されている。他方、図42に示す打抜刃262は、その先端が鋸状となっている鋸刃であり、側面から見た図42(b)では、上方に向かう円弧状の刃先が連なって形成されている。本実施形態では、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、打抜刃26として図42に示すような鋸刃262を用いることができ、鋸刃262を打抜用溝6で受ける構成とすることで、ダンボールシート100を裁断するときにダンボールシート100の切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断するので、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉がさらに発生し難くなる。
【0058】
本実施形態では、基板2の材質として、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂を用いており、一枚物の面版1である。前記面版1は、板状又はフィルム状であることに加えて、図49(a)に示すように半円筒状又は円弧状としてもよい。例えば、図49(b)に示すような円筒形状(ローラー形状)の受け型29である場合は、受け型29の円周形状に合わせて半円筒状又は円弧状に成形された樹脂に、打抜用溝6,押罫用溝3,窪み7,及び貫通穴105を設けて、面同士を正確な位置で密着させる構成とすることで、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。また、上記円筒形状(ローラー形状)の受け型29にフィルム状の面版1を巻き付ける構成としてもよい。
【0059】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施の形態の面版1は、上述の実施形態と同じく、一枚物の面版である(図14から図16)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2が板状又はフィルム状の樹脂製であり、この基板2に形成された押罫用溝103(前記押罫部材25に相対する位置の溝)には、当該押罫用溝103の形状を変えるために当該押罫用溝103の全てに沿ってテープ3を貼り付けた構成となっている。図14(a)は面版1の平面図であり、図14(b)は面版1の側面図である。また、図15は、面版1のA−A’線断面図であり、図16は、面版1のB−B’線断面図である。この実施形態では、テープ3を、その上方側が前記基板2の上面2aから突出しており、かつ、前記押罫部材25に対応した突起が形成されている構成としており、シート100を打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シート100をセットし(図17)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら切断し、それとほぼ同時に、折り筋102bを付与しつつ、シート100の折り筋102bとなる位置の反対側のラインにテープ3に形成された突起が当接することでシート100に凹ライン102aを形成し(図18)、打ち抜き型22と受け型21とを離して、打ち抜かれたシート100を取り出し可能とする(図19)。本実施の形態の面版1を使用して打ち抜いたシート100は、平面側に折り筋102bが形成され(図47(a))、底面側に凹ライン102aが形成される(図47(b))。
【0060】
前記テープ3は、基板2よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製であり、例えば、基板2をフェノール樹脂とし、テープ3をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又はゴムとする。また例えば、基板2をポリカーボネートとし、テープ3をポリエチレン又はゴムとする。本実施形態によれば、テープ3が基板2よりも柔らかいことで、テープ3がシート100の凸ライン102と基板3との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインにて表層割れしたり、押し付けられた痕が付く等の不具合を防止する。
【0061】
図20から図22は、上記実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22,及び受け型21との関係の他の例を示す側面図である。本実施形態では、2つの押罫部材25が近接配置されている打ち抜き型22とし、テープ3を、その上方側が前記基板2の上面2aから突出しており、かつ、前記2つの押罫部材25,25に対応した突起が形成されている構成としている。つまり、シート100を打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シート100をセットし(図20)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら切断し、それとほぼ同時に、2本平行な折り筋102b,102bを付与しつつ、シート100の折り筋102b,102bとなる位置の反対側のラインにテープ3に形成された突起が当接することでシート100に凹ライン102aを形成し(図21)、打ち抜き型22と受け型21とを離して、打ち抜かれたシート100を取り出し可能とする(図22)。本実施の形態の面版1を使用して打ち抜いたシート100は、平面側に2本の折り筋102b,102bからなる凹ラインが形成され(図48(b))、底面側に凹ライン102aが形成される(図48(a))。本実施形態によれば、折り筋を強調することで折り曲げ易くなるとともに、予め所定範囲で圧縮しておくことで必要な強度を確保することができる。
【0062】
上記実施形態に加えて、例えば、図45に例示するテープ3を適用してもよい。図45(a)に示すテープ34の窪み34cは幅広で窪んでおり、図45(b)に示すテープ35の窪み35cは半球状又はすり鉢状に窪んでおり、図45(c)に示すテープ36の窪み36cは狭い幅で窪んでいるので、テープ34の場合は、緩やかな凸ライン102aとなり、テープ36の場合は、鋭い凸ライン102aとなり、テープ35の場合は、両者の中間の形状となる。また、テープ3は、図45(d)、(e)に示す形状としてもよく、例えば、図45(d)に示すテープ37の突起37dは角が付いた四角形状であり、図45(e)に示すテープ38の突起38dは押罫部材25の先端形状に近い突起形状となっている。テープ37の場合は、幅をもたせた凹ライン102aとなり、テープ38の場合は、折り筋102bとよく似た形状の凹ライン102aとなる。
【0063】
上述した本実施の形態では、前記基板2の上面2aの外周位置と前記打抜刃26に相対する位置(符号60で示す点線または符号6で示す打抜用溝)とで囲まれたエリア(第3のエリア)が平坦であるか、この第3のエリアがない(前記基板2の外周の大きさが、打抜刃26に相対する位置よりも一回り小さく設定されている)ものとして説明したが、この第3のエリアにてシート100を押し潰さないように所定深さで窪んでいる窪み(第3の窪み)が形成されており、この第3の窪みによって、シート100の外側付近においても、第3のエリアに相対するシート100の面を潰さないようにして、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする構成としつつ、出来るだけ広い面積で面版1の下面2bをカウンタープレート21の上面21aと安定的に密着させたり、複数の面版1を連結させて1枚物の面版としたり、複数の面版1を重ねて貼り合わせた多層構造で1枚物の面版としてもよい。さらには、打抜刃26に相対する位置に、打抜用溝6よりも深い溝を形成し、硬質金属製の凹部材を嵌め込むことで打抜刃26の刃先を硬質金属製の凹部材の内側側面に沿わせて逃がしつつ、シートを切断する構造とすることもできる。
【0064】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態の面版1は、板状の基板2から構成される(図23から図25)。基板2の裏面2bには、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されている。面版1は、紙器の外形となるようシート100を打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して受け型に取り付けて使用される。図23に示す例では、基板2は矩形状であり、複数のコーナー付近に位置決め用の貫通穴105が形成されている。位置決め用の貫通穴105は2箇所以上形成されていればよく、図23に示す例では、貫通穴105が3個所のコーナー付近に形成されている。
【0065】
本実施形態では、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成されている。打抜用溝6の溝巾は、打抜刃26の巾(厚み)と同じか少し大きく設定され、ダンボールシート100が陥没しない範囲内で設定される。図23(a)は面版1の平面図であり、図23(b)は面版1の側面図である。また、図24は、面版1のA−A’線断面図であり、図25は、面版1のB−B’線断面図である。
【0066】
図46は、本実施形態の面版1を使用して打ち抜いたダンボールシート100を例示しており、このダンボールシート100は、箱形状の容器または箱形状の蓋となるものである。図46(a)はダンボールシート100の平面図であり、中央の四角形状で囲った鎖線部分が折り筋102bである。図46(b)はダンボールシート100の底面図であり、中央の四角形状で囲った2本の鎖線同士の間の部分が凸ライン102aである。折り筋102bの反対側に凸ライン102aが位置する。
【0067】
図23に示す基板2の上面2a側で、押罫部材25に相対する位置には、複数の押罫用溝103が形成されている。押罫用溝103は、シート100に折り筋102bを付与するに際してシートに凸ライン102aを形成するためのものであり、押罫用溝103の溝巾は、押罫部材25の巾(厚み)よりも少し大きく設定され、目安としてシート100の厚み程度大きく設定される。
【0068】
前記基板2の下面2b側には、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されており、再使用可能な面版1となっている。また、このリユース糊を塗布しておくことで、基板2に設けられたガイド穴105を利用し、既知の位置決め冶具(円柱形状や円錐形状等の位置決め冶具)によってカッティングプレート21上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0069】
図23に示す基板2の上面2a側で、押罫部材25に相対する位置には、複数の押罫用溝103が形成されている。押罫用溝103は、シート100に折り筋102bを付与するに際してシートに凸ライン102aを形成するためのものであり、押罫用溝103の溝巾は、押罫部材25の巾(厚み)よりも少し大きく設定され、目安としてシート100の厚み程度大きく設定される。本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、貫通した窓5となっている。また、基板2の上面2a側で、打抜用溝6と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリアが、貫通した窓4となっている。図23では、貫通窓4が4つ形成され、貫通窓5が1つ形成されている。
【0070】
本実施形態によれば、これら第1のエリアに貫通窓5が形成され、第2のエリアに貫通窓4が形成されているので、これら第1と第2のエリアに相対するシート100の面(ここでは、5つの面)が潰されずに済み、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする。
【0071】
そして、図23に示す基板2の上面2a側で、前記第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されている。また、前記第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されている。これら貫通窓4,5は、例えばプレス加工やレーザ加工によって形成され、傾斜14,15は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。
【0072】
本実施形態によれば、基板2の上面2a側に、これら傾斜14,15が形成されていることで、シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、後述するゴム部材27を用いてシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与したときに、シート100の切断箇所の両側付近や、シート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。
【0073】
前記基板2の下面2b側には、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されており、再使用可能な面版1となっている。また、このリユース糊を塗布しておくことで、基板2に設けられたガイド穴105を利用し、既知の位置決め冶具(円柱形状や円錐形状等の位置決め冶具)によってカッティングプレート21上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0074】
本実施形態では、基板2の材質として、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂を用いており、一枚物の面版1である。前記面版1は、板状又はフィルム状であることに加えて、図49(a)に示すように半円筒状又は円弧状としてもよい。例えば、図49(b)に示すような円筒形状(ローラー形状)の受け型29である場合は、受け型29の円周形状に合わせて半円筒状又は円弧状に成形された樹脂に、打抜用溝6,押罫用溝3,窪み7,及び貫通穴105を設けて、面同士を正確な位置で密着させる構成とすることで、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。また、上記円筒形状(ローラー形状)の受け型29にフィルム状の面版1を巻き付ける構成としてもよい。
【0075】
図26から図28は、本実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22及び受け型21(カッティングプレート21)との関係を示す側面図である。打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザ加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の貫通溝と押罫部材25用の貫通溝とを形成し、それぞれの貫通溝に打抜刃26と、押罫部材25とを埋め込んで、打ち抜き型22が製作される。打抜刃26と押罫部材25とは、ステンレスや鋼等の硬質金属製である。打抜刃26はその先端が鋭利となっており、押罫部材25はその先端が丸くなっている。押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量と、同じか小さく設定される。打抜刃26の内側と外側とにはゴム部材27が配されており、かつ、押罫部材25の内側と外側とにはゴム部材27が配されている。シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、これらゴム部材27によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与することが容易であるからである。ゴム部材27の材質としては、シリコーンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材や、エラストマーや、弾性変形が容易な合成樹脂が挙げられる。
【0076】
図26はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図27はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図28はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図26)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図27)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。また、このとき、第1のエリアに位置する貫通窓5と第2のエリアに位置する貫通窓4によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図28)。
【0077】
本実施形態によれば、ダンボールシート100の表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、ダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。次工程では、打ち抜かれたシート100をその折り筋101bに沿って谷折りし、テープ固定するか糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0078】
ここで、図41と図42は、上述の打ち抜き型22に取り付ける打抜刃26をそれぞれ例示する図である。図41に示す打抜刃261は、その先端が鋭利となっている押し切り刃であり、側面から見た図41(b)では、刃先が連続的で直線状に形成されている。他方、図42に示す打抜刃262は、その先端が鋸状となっている鋸刃であり、側面から見た図42(b)では、上方に向かう円弧状の刃先が連なって形成されている。本実施形態では、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、打抜刃26として、図42に示すような鋸刃262を用いることができる。
【0079】
図43と図44は、上記実施形態の面版1と、ダンボールシート100、打ち抜き型22及び受け型21との関係を示す側面図である。押し切り刃261にて打ち抜いたときには、ダンボールシート100の切断ラインを一度に押すこととなり、ダンボールシート100の材質によっては、その裏側の天井が押されて、長い糸状の繊維屑199が発生し易い(図43)。これに対して、鋸刃262にて打ち抜いたときには、ダンボールシート100の切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断するので、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉を極力抑えることとなる。
【0080】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態の面版1は、第4の実施形態と同じく、一枚物の面版である(図29から図31)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2が樹脂製である。そして、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成された受け金具16が嵌め込まれている。打抜用溝6の溝巾は、打抜刃26の巾(厚み)と同じか少し大きく設定され、ダンボールシート100が陥没しない範囲内で設定される。受け金具16は、その断面が凹状であり、アルミニウム、鉄、ステンレス等の硬質金属製である。
【0081】
また、本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み17が形成されているとともに、基板2の上面2a側で、打抜用溝6と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリアが、所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み18が形成されている。図29では、窪み18が4つ形成され、窪み17が1つ形成されている。これらの窪み17,18は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。
【0082】
図32はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図33はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図34はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。ここでは、押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量よりも小さく設定される。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図32)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図33)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、本実施形態によれば、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、面版1に打抜刃26を当接させずに済むとともに、面版1と打抜刃26の外側に配されたゴム部材27とでダンボールシート100の外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。また、このとき、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。そして、このとき、第1のエリアに位置する窪み17と第2のエリアに位置する窪み18によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(窪み17)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(窪み18)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図34)。
【0083】
前記基板2の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属や、これら合成樹脂と金属とを組み合わせた複合材等が挙げられる。ここでは、加工の容易性から合成樹脂性の基板2とした。本実施形態では、前記面版1が一枚物の面版であるから、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、面版1に必要とされる強度を確保し易い。
【0084】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態の面版1は、上述の実施形態と同じく、板状の基板2から構成される一枚物の面版である(図35から図37)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2がアルミニウム、鉄、ステンレス等の硬質金属製である。図35に示す例では、基板2の押罫用溝103で囲まれたエリア内に、所定間隔で位置決め用の貫通穴105が2つ形成されている。
【0085】
図38はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図39はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図40はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図38)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図39)。このとき、ダンボールシート100の鋸刃262で押されたラインは裁断されるが、本実施形態によれば、打抜用溝6が鋸刃262の刃先を逃がす構造であるから、面版1に鋸刃262を当接させずに済むとともに、面版1と鋸刃262の外側に配されたゴム部材27などの弾性部材とでダンボールシート100の外側部分を動かない程度に押さえながら切断することが容易となる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27などの弾性部材の復元力を用いてダンボールシート100を鋸刃262から落下させる(図40)。
【0086】
上述した本実施の形態では、前記基板2の上面2aの外周位置と前記打抜用溝6とで囲まれたエリア(第3のエリア)が平坦であるとして説明したが、この第3のエリアにてシート100を押し潰さないように所定深さで窪んでいる窪み(第3の窪み)が形成されており、この第3の窪みによって、シート100の外側付近においても、第3のエリアに相対するシート100の面を潰さないようにして、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする構成としつつ、出来るだけ広い面積で面版1の下面2bをカウンタープレート21の上面21aと安定的に密着させたり、複数の面版1を連結させて1枚物の面版としたり、複数の面版1を重ねて貼り合わせた多層構造で1枚物の面版としてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1 面版、
2 基板、
103 押罫用溝、
4 貫通窓(第2のエリア)、
5 貫通窓(第1のエリア)、
6 打抜用溝、
17 窪み(第2のエリア)、
18 窪み(第1のエリア)、
21 受け型(カウンタープレート)、
22 打ち抜き型、
25 押罫部材、
26 打抜刃、
27 ゴム部材、
100 シート(ダンボールシート)、
102a 凸ライン(または凹ライン)、
102b 折り筋
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート打ち抜き型用の面版に関し、特に紙器を組み立てるためにシートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に使用される面版と、当該面版を使用したシートの打ち抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙類や、紙類と樹脂や金属等との複合材料からなるシートを打ち抜き折り曲げて貼り合わすことで形成される紙器(包装容器、箱体)は、軽量で持ち運びに便利であり、食品業界、電子部品業界、自動車関連業界など、多くの産業分野で普及している。
【0003】
図50に示す従来の打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザ加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の貫通溝と押罫部材25用の貫通溝とを形成し、それぞれの貫通溝に打抜刃26と、当該打抜刃26よりも高さ寸法が小さい押罫部材25とを埋め込んで、押罫部材25の下方への突出量が打抜刃26よりも少ない突出量とした打ち抜き型22が製作される。
【0004】
打抜き加工の際には、打抜機19の上側に装着された打ち抜き型22と打抜機19の下側の受け型21の間にシート100を挿入し、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて次に隔離させ、打抜き加工する(図26を参照)。つまり、打抜刃26で所定の形状に裁断するとともに、押罫部材25によって所要部に折り筋101bを複数刻設し、ブランク(打ち抜いたシート)100を形成する。次にブランク100の折り筋101bに沿って谷折りし、テープ固定や糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0005】
図50に示す従来の打ち抜き型22では、シート100を打ち抜くとともに折り筋101bを付与するに際して、より正確な折り筋101bの刻設のために、上記押罫部材25に対応する位置に溝201が形成された面版200を、打抜機19の受け型21の上面21aに取り付けている。つまり、面版200に所定深さの溝201を形成することによって、折り筋101bの反対側に、押罫部材25によって下方に押されたシート100が所定形状の凸ライン101aを形成することとなり、押罫部材25によってブランク100にかかるダメージを低減し、ブランク100の折り曲げを容易にしている。
【0006】
前記面版200は、板状やフィルム状の基板からなり、近年、基板の裏面にリユース糊を塗布することで、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な面版も市場に出回っている(特許文献1を参照)。これらの面版200は、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂等の合成樹脂製からなり、打ち抜き型22を製作する為のCADデータからNC加工機により打ち抜き型22の押罫部材25に対応する位置に溝201を削り加工し、打抜刃26が当接する部位が外周となるよう切除して製作される。
【0007】
前記面版200を受け型21に取り付ける方法としては、例えば特許文献2に示す方法があり、転移位置決め治具29を、打ち抜き型(雄型)の位置決め孔に挿脱可能に挿入する等して、受け型21の上に転移部材12を転移させ、これらの転移部材12の外周が面版200に設けた貫通穴212となるように位置合わせして、受け型21の上面21aに接着剤で接着する方法が知られている(図50から図52を参照)。
【0008】
ダンボール等の厚みの大きなシート100の場合、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102がはっきりせず、シート100が折り筋101にて折り曲げ難いことがあり、問題視されていた。そこで、本願発明者は、特許文献3に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン101a(特許文献3では凹ライン)に相対する位置に、押し潰し具をカッティングプレート上(平板上)に貼着する構成を考案した。
【0009】
この一方で、シート100の材質が、ダンボール等の変形がし難い材質の場合には、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、面版200に形成された溝201の角部に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン101aの根元が押し付けられることで、局部的に荷重負荷が大きくなり易く、シート100の曲げ強度や引っ張り強度を超える荷重負荷となったときには、シート100の所定形状のライン101aの根元等が座屈して表層割れする等の不具合が生じてしまい、問題視されていた。そこで、本願発明者は、特許文献4に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102に相対する位置に、凸形状、台形形状、山形形状、溝部を有する台形形状を呈する折り罫テープを薄い基板シート上(平板上)に貼着する構成を考案した。特許文献4によれば、例えば、前記折り罫テープの形状が凸形状の場合には、シート100の所定形状のライン101aが凹ラインとなり、また例えば、前記折り罫テープの形状が凹形状の場合には、シート100の所定形状のライン101aは凸ラインとなる。
【0010】
しかしながら、前記押し潰し具や前記折り罫テープは、いずれも平板上に貼着されており、前記シートが当接する際の当接角度によっては前記押し潰し具や前記折り罫テープが剥がれることがあり、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性が十分であるとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−107354号公報
【特許文献2】特開2010−30040号公報
【特許文献3】実用新案登録第3114009号公報
【特許文献4】実用新案登録第3132946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記シートには、紙、ダンボール、コーティング紙に加えて、複数の紙類や紙類と樹脂や金属との複合材料等があり、特に、ダンボールは、ライナーに波型に加工した中芯を貼り付けてその裏側をライナーで補強した内部構成であることから、シート内に空洞が多く形成され、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋がはっきりせずに折り曲げ難いという問題点が生じ易い。そして、打抜きする際に、ダンボールを強く押さえるとダンボールが潰れてしまい、ダンボールを弱く押さえると、打抜刃がダンボールを裁断するときに上下のライナーと中芯とが位置ずれすることで糸状の屑や紙粉が発生しやすくなる。
【0013】
そこで本発明の目的は、シートの表層割れ等の外観不良を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、ダンボールシートのように厚みがありシート内に空洞が多く形成された内部構成のシートにおいても、糸状の屑や紙粉の発生を少なくした構造の面版と、当該面版を使用したシートの打ち抜き方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置にはシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記押罫用溝で囲まれたエリアが所定深さで窪んでいるか貫通している構成によって、当該エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材で押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0016】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置には、シートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、シートを打ち抜くに際して前記打抜刃を受けるための打抜用溝が前記基板上の前記打抜刃に相対する位置に形成されている構成によって、前記打抜刃の刃先を逃がす構造であるから、前記面版の上面に打抜刃を当接させずに済み、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材で押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0018】
前記基板上の溝で囲まれたエリアは機械加工によって形成され、例えばフライス加工やルータ加工することで所定深さの窪みが形成されるか、例えばプレス加工やレーザ加工することで貫通した窓が形成される。また前記打抜用溝は機械加工によって形成され、例えばフライス加工やルータ加工することで所定深さの打抜用溝が形成される。
【0019】
前記面版は、基板の裏面に、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)を塗布することで、再使用可能な面版としてもよい。このリユース糊を塗布しておくことで、位置決め冶具によってカッティングプレート上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0020】
前記基板の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属や、これら合成樹脂と金属とを組み合わせた複合材等が挙げられるが、加工の容易性や、受け型が平板のみならず円筒形状(ローラー形状)である場合に面同士を密着させるための変形の容易性の観点からは、前記基板は、板状又はフィルム状であることが好ましい。または、前記面版は、板状又はフィルム状であることに加えて半円筒状又は円弧状としてもよい。例えば、円筒形状(ローラー形状)の受け型である場合は、受け型の円周形状に合わせて半円筒状又は円弧状に成形された樹脂に、打抜用溝,押罫用溝等を設けて、面同士を正確な位置で密着させる構成とすることで、ダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。
【0021】
本発明は、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通しているので、当該エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合を極力少なくすることが容易である。
【0023】
本発明は、一つの紙器となるダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版が一枚物の面版であることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記面版が一枚物の面版であることで、受け型が平板のみならず円筒形状(ローラー形状)である場合に面同士を正確な位置で密着させることが容易であり、ダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。
【0025】
前記打抜刃の内側と外側とにはゴム部材が配されており、かつ、前記押罫部材の内側と外側とにはゴム部材が配されている構成が好ましい。シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、これらゴム部材によってシートを動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋を付与することが容易となるからである。前記ゴム部材の材質としては、シリコーンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材や、エラストマーや、弾性変形が容易な合成樹脂が挙げられる。
【0026】
前記面版の外周の大きさは、前記打抜刃に相対する位置よりも一回り小さく設定されるか、又は、前記打抜刃に相対する位置よりも大きく設定される。前記面版の外周の大きさが前記打抜刃に相対する位置よりも一回り小さく設定される構成とすることで、前記面版に打抜刃を当接させずに済むため、合成樹脂製の面版としたときでも、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性を確保し易い。他方、前記面版の外周の大きさが前記打抜刃に相対する位置よりも大きく設定される構成とすることで、前記面版と前記打抜刃の外側に配されたゴム部材とでシートの外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。
【0027】
本発明は、前記エリアにおける基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されていることが好ましい。本発明によれば、前記基板に、これら前記傾斜が形成されていることで、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、上述のゴム部材等を用いてシートを動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋を付与したときに、シートの切断箇所の両側付近や、シートの折り筋の反対側の凸ラインや凹ラインの両側付近に圧痕が付き難くなる。
【0028】
前記打抜刃と押罫部材は、ステンレスや鋼等の硬質金属製である。前記打抜刃はその先端が鋭利となっており、前記押罫部材はその先端が丸くなっている。前記打抜刃はその先端を鋸刃とすることができ、鋸刃を前記打抜用溝で受ける構成とすることで、シートを裁断するときにシートの切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断するので、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉がさらに発生し難くなる。
【0029】
前記基板に形成された押罫用溝(前記押罫部材に相対する位置の溝)には、当該押罫用溝の形状を変えるために当該押罫用溝の一つないし全てに沿ってテープを貼り付けた構成とすることができ、例えば、前記テープを、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した窪みが形成されている構成とすることで、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することでシートに凸ラインを形成することができる。また例えば、前記テープを、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した突起が形成されている構成とすることで、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することでシートに凹ラインを形成することができる。そして例えば、前記基板が板状又はフィルム状の樹脂製であり、前記テープが前記基板よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製とすることで、前記シートの凸ラインや凹ラインに加わる荷重負荷を効果的に前記テープで受けて分散させる。つまり、前記テープが前記シートの凸ラインや凹ラインと前記基板との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインや凹ラインにて表層割れする等の不具合を防止する。
【0030】
本発明のシートの打ち抜き方法は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通している面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記エリアにてシートを押し潰さないようにしながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、前記エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、前記エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材にて押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0032】
本発明のシートの打ち抜き方法は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、前記打抜用溝にて前記打抜刃の刃先を逃がすことで、前記面版に打抜刃を当接させずに済み、打抜きする際に、シートが位置ずれしない程度に前記押罫部材にて押さえながら前記打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。
【0034】
本発明は、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアを第1のエリアとし、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアが、当該第2のエリアにてシートを押し潰さないように所定深さで窪んでいるか貫通している構成とし、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、これら前記エリアにてシートの対面する箇所の押圧力を軽減するか押圧力が加わらないようにすることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通しているので、当該エリアに相対するシートの面が潰されずに済み、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合を極力少なくする。
【0036】
本発明は、前記打抜刃を鋸刃とし、この鋸刃の内側と外側とにゴム部材を配しておき、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことで、シートを裁断するときにシートの切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断することとなり、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉がさらに発生し難くなる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の面版によれば、シートを打ち抜くに際して前記打抜刃を受けるための打抜用溝が前記基板上の前記打抜刃に相対する位置に形成されており、前記打抜刃の刃先を逃がす構造であるから、前記面版に打抜刃を当接させずに済む。また、本発明のシートの打ち抜き方法によれば、前記打抜刃に相対する位置にシートを打ち抜くに際して前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている基板を備えた面版を前記受け型に取り付けて、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するので、前記面版に打抜刃を当接させずに前記打抜刃の刃先を逃がすこととなり、また、前記面版と前記打抜刃の外側に配されたゴム部材とでシートの外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。
【0039】
本発明によれば、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通しているので、これら前記エリアにてシートの対面する箇所の押圧力を軽減するか押圧力が加わらないようにして、当該エリアにおけるシートの表層割れ等の不具合を極力少なくする。本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことで、シートを裁断するときにシートの切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断することとなり、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉をさらに抑えることとなる。これら本発明によって、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋がはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、ダンボールシートのように厚みがありシート内に空洞が多く形成された内部構成のシートにおいても、糸状の屑や紙粉の発生を少なくした構成となり、高品質の紙器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図2】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図3】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図4】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図5】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図6】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図8】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図9】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図10】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図11】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図12】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図13】上記実施形態の面版の他の例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図15】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図16】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図17】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図18】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図19】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図20】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係の他の例を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図21】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係の他の例を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図22】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係の他の例を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図23】本発明の第4の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図24】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図25】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図26】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図27】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図28】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図29】本発明の第5の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図30】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図31】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図32】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図33】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図34】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図35】本発明の第6の実施形態の面版を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図36】上記実施形態の面版のA−A’線断面図である。
【図37】上記実施形態の面版のB−B’線断面図である。
【図38】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜く前の状態を示す図である。
【図39】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜くときの状態を示す図である。
【図40】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、シートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図41】打ち抜き型に取り付ける打抜刃(押し切り刃)を例示する図である。
【図42】打ち抜き型に取り付ける打抜刃(鋸刃)を例示する図である。
【図43】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、押し切り刃にてシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図44】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、鋸刃にてシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図45】本発明の実施形態の面版に係るテープを例示する図である。
【図46】本発明の面版を使用して打ち抜いたシートを例示する図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図47】本発明の面版を使用して打ち抜いたシートを例示する図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図48】本発明の面版を使用して打ち抜いたシートを例示する図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【図49】本発明に係る面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との上記と異なる関係を示す図であり、(a)は面版を示す側面図であり、(b)はシート加工状態を示す側面図である。
【図50】従来の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図51】従来の打ち抜き型を、その刃先を手前側にした状態で例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図52】従来の受け型を、その面版を手前側にした状態で例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施の形態の面版1は、板状の基板2から構成される(図1から図3)。基板2の裏面2bには、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されている。面版1は、紙器の外形となるようシート100を打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して受け型に取り付けて使用される。図1に示す例では、基板2は矩形状であり、複数のコーナー付近に位置決め用の貫通穴105が形成されている。位置決め用の貫通穴105は2箇所以上形成されていればよく、図1に示す例では、貫通穴105が3個所のコーナー付近に形成されている。図1(a)は面版1の平面図であり、図1(b)は面版1の側面図である。また、図2は、面版1のA−A’線断面図であり、図3は、面版1のB−B’線断面図である。
【0043】
図46は、本実施形態の面版1を使用して打ち抜いたダンボールシート100を例示しており、このダンボールシート100は、箱形状の容器または箱形状の蓋となるものである。図46(a)はダンボールシート100の平面図であり、中央の四角形状で囲った一点鎖線部分が折り筋102bである。図46(b)はダンボールシート100の底面図であり、中央の四角形状で囲った2本の一点鎖線の間の部分が凸ライン102aである。折り筋102bの反対側に凸ライン102aが位置する。
【0044】
図1に示す基板2の上面2a側で、押罫部材25に相対する位置には、複数の押罫用溝103が形成されている。押罫用溝103は、シート100に折り筋102bを付与するに際してシートに凸ライン102aを形成するためのものであり、押罫用溝103の溝巾は、押罫部材25の巾(厚み)よりも少し大きく設定され、目安としてシート100の厚み程度大きく設定される。そして、符号60で示す点線は、打抜刃26に相対する位置(ダンボールシート100の外形ラインに沿った位置)を表している。本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、貫通した窓5となっている。また、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置である符号60で示す点線と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリアが、貫通した窓4となっている。図1では、貫通窓4が4つ形成され、貫通窓5が1つ形成されている。
【0045】
本実施形態によれば、これら第1のエリアに貫通窓5が形成され、第2のエリアに貫通窓4が形成されているので、これら第1と第2のエリアに相対するシート100の面(ここでは、5つの面)が潰されずに済み、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする。
【0046】
そして、図1に示す基板2の上面2a側で、前記第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されている。また、前記第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されている。これら貫通窓4,5は、例えばプレス加工やレーザ加工によって形成され、傾斜14,15は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。
【0047】
本実施形態によれば、基板2の上面2a側に、これら傾斜14,15が形成されていることで、シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、後述するゴム部材27を用いてシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与したときに、シート100の切断箇所の両側付近や、シート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。
【0048】
前記基板2の下面2b側には、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されており、再使用可能な面版1となっている。また、このリユース糊を塗布しておくことで、基板2に設けられたガイド穴105を利用し、既知の位置決め冶具(円柱形状や円錐形状等の位置決め冶具)によってカッティングプレート21上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0049】
前記基板2の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属や、これら合成樹脂と金属とを組み合わせた複合材等が挙げられる。本実施形態では、打抜刃26が基板2の上面2a側に当接することを考慮し、アルミ、ステンレス等の金属製の基板2とした。本実施形態では、前記面版1が一枚物の面版であるから、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、面版1に必要とされる強度を確保し易い。
【0050】
図4から図6は、本実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22及び受け型21(カッティングプレート21)との関係を示す側面図である。打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザ加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の貫通溝と押罫部材25用の貫通溝とを形成し、それぞれの貫通溝に打抜刃26と、押罫部材25とを埋め込んで、打ち抜き型22が製作される。打抜刃26と押罫部材25とは、ステンレスや鋼等の硬質金属製である。打抜刃26はその先端が鋭利となっており、押罫部材25はその先端が丸くなっている。押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量と、同じか小さく設定される。打抜刃26の内側と外側とにはゴム部材27が配されており、かつ、押罫部材25の内側と外側とにはゴム部材27が配されている。シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、これらゴム部材27によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与することが容易であるからである。ゴム部材27の材質としては、シリコーンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材や、エラストマーや、弾性変形が容易な合成樹脂が挙げられる。
【0051】
図4はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図5はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図6はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図4)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図5)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。また、このとき、第1のエリアに位置する貫通窓5と第2のエリアに位置する貫通窓4によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図6)。
【0052】
本実施形態によれば、ダンボールシート100の表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、ダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。次工程では、打ち抜かれたシート100をその折り筋101bに沿って谷折りし、テープ固定するか糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0053】
図13は、上記実施形態の面版1の他の例を示す図である。図13に示す例では、面版1の外周の大きさは、前記打抜刃26に相対する位置よりも一回り小さく設定されており、面版1に打抜刃26を当接させずに済むため、合成樹脂製の面版1としたときでも、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性を確保し易い。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施の形態の面版1は、第1の実施形態と同じく、板状の基板2から構成される一枚物の面版である(図7から図9)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2が樹脂製である。そして、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成されている。打抜用溝6の溝巾は、打抜刃26の巾(厚み)と同じか少し大きく設定され、ダンボールシート100が陥没しない範囲内で設定される。
【0055】
また、本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み7が形成されている。この窪み7は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。図7に示す例では、基板2の中央の窪み7に、所定間隔で位置決め用の貫通穴105が2つ形成されている。
【0056】
図10はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図11はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図12はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。ここでは、押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量よりも小さく設定される。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図10)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図11)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、本実施形態によれば、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、面版1に打抜刃26を当接させずに済むとともに、面版1と打抜刃26の外側に配されたゴム部材27とでダンボールシート100の外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。また、このとき、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。そして、このとき、第1のエリアに位置する窪み7と第2のエリアに位置する貫通窓4によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(窪み7)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図12)。
【0057】
ここで、図41と図42は、上述の打ち抜き型22に取り付ける打抜刃26をそれぞれ例示する図である。図41に示す打抜刃261は、その先端が鋭利となっている押し切り刃であり、側面から見た図41(b)では、刃先が連続的で直線状に形成されている。他方、図42に示す打抜刃262は、その先端が鋸状となっている鋸刃であり、側面から見た図42(b)では、上方に向かう円弧状の刃先が連なって形成されている。本実施形態では、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、打抜刃26として図42に示すような鋸刃262を用いることができ、鋸刃262を打抜用溝6で受ける構成とすることで、ダンボールシート100を裁断するときにダンボールシート100の切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断するので、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉がさらに発生し難くなる。
【0058】
本実施形態では、基板2の材質として、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂を用いており、一枚物の面版1である。前記面版1は、板状又はフィルム状であることに加えて、図49(a)に示すように半円筒状又は円弧状としてもよい。例えば、図49(b)に示すような円筒形状(ローラー形状)の受け型29である場合は、受け型29の円周形状に合わせて半円筒状又は円弧状に成形された樹脂に、打抜用溝6,押罫用溝3,窪み7,及び貫通穴105を設けて、面同士を正確な位置で密着させる構成とすることで、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。また、上記円筒形状(ローラー形状)の受け型29にフィルム状の面版1を巻き付ける構成としてもよい。
【0059】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施の形態の面版1は、上述の実施形態と同じく、一枚物の面版である(図14から図16)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2が板状又はフィルム状の樹脂製であり、この基板2に形成された押罫用溝103(前記押罫部材25に相対する位置の溝)には、当該押罫用溝103の形状を変えるために当該押罫用溝103の全てに沿ってテープ3を貼り付けた構成となっている。図14(a)は面版1の平面図であり、図14(b)は面版1の側面図である。また、図15は、面版1のA−A’線断面図であり、図16は、面版1のB−B’線断面図である。この実施形態では、テープ3を、その上方側が前記基板2の上面2aから突出しており、かつ、前記押罫部材25に対応した突起が形成されている構成としており、シート100を打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シート100をセットし(図17)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら切断し、それとほぼ同時に、折り筋102bを付与しつつ、シート100の折り筋102bとなる位置の反対側のラインにテープ3に形成された突起が当接することでシート100に凹ライン102aを形成し(図18)、打ち抜き型22と受け型21とを離して、打ち抜かれたシート100を取り出し可能とする(図19)。本実施の形態の面版1を使用して打ち抜いたシート100は、平面側に折り筋102bが形成され(図47(a))、底面側に凹ライン102aが形成される(図47(b))。
【0060】
前記テープ3は、基板2よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製であり、例えば、基板2をフェノール樹脂とし、テープ3をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又はゴムとする。また例えば、基板2をポリカーボネートとし、テープ3をポリエチレン又はゴムとする。本実施形態によれば、テープ3が基板2よりも柔らかいことで、テープ3がシート100の凸ライン102と基板3との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインにて表層割れしたり、押し付けられた痕が付く等の不具合を防止する。
【0061】
図20から図22は、上記実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22,及び受け型21との関係の他の例を示す側面図である。本実施形態では、2つの押罫部材25が近接配置されている打ち抜き型22とし、テープ3を、その上方側が前記基板2の上面2aから突出しており、かつ、前記2つの押罫部材25,25に対応した突起が形成されている構成としている。つまり、シート100を打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シート100をセットし(図20)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら切断し、それとほぼ同時に、2本平行な折り筋102b,102bを付与しつつ、シート100の折り筋102b,102bとなる位置の反対側のラインにテープ3に形成された突起が当接することでシート100に凹ライン102aを形成し(図21)、打ち抜き型22と受け型21とを離して、打ち抜かれたシート100を取り出し可能とする(図22)。本実施の形態の面版1を使用して打ち抜いたシート100は、平面側に2本の折り筋102b,102bからなる凹ラインが形成され(図48(b))、底面側に凹ライン102aが形成される(図48(a))。本実施形態によれば、折り筋を強調することで折り曲げ易くなるとともに、予め所定範囲で圧縮しておくことで必要な強度を確保することができる。
【0062】
上記実施形態に加えて、例えば、図45に例示するテープ3を適用してもよい。図45(a)に示すテープ34の窪み34cは幅広で窪んでおり、図45(b)に示すテープ35の窪み35cは半球状又はすり鉢状に窪んでおり、図45(c)に示すテープ36の窪み36cは狭い幅で窪んでいるので、テープ34の場合は、緩やかな凸ライン102aとなり、テープ36の場合は、鋭い凸ライン102aとなり、テープ35の場合は、両者の中間の形状となる。また、テープ3は、図45(d)、(e)に示す形状としてもよく、例えば、図45(d)に示すテープ37の突起37dは角が付いた四角形状であり、図45(e)に示すテープ38の突起38dは押罫部材25の先端形状に近い突起形状となっている。テープ37の場合は、幅をもたせた凹ライン102aとなり、テープ38の場合は、折り筋102bとよく似た形状の凹ライン102aとなる。
【0063】
上述した本実施の形態では、前記基板2の上面2aの外周位置と前記打抜刃26に相対する位置(符号60で示す点線または符号6で示す打抜用溝)とで囲まれたエリア(第3のエリア)が平坦であるか、この第3のエリアがない(前記基板2の外周の大きさが、打抜刃26に相対する位置よりも一回り小さく設定されている)ものとして説明したが、この第3のエリアにてシート100を押し潰さないように所定深さで窪んでいる窪み(第3の窪み)が形成されており、この第3の窪みによって、シート100の外側付近においても、第3のエリアに相対するシート100の面を潰さないようにして、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする構成としつつ、出来るだけ広い面積で面版1の下面2bをカウンタープレート21の上面21aと安定的に密着させたり、複数の面版1を連結させて1枚物の面版としたり、複数の面版1を重ねて貼り合わせた多層構造で1枚物の面版としてもよい。さらには、打抜刃26に相対する位置に、打抜用溝6よりも深い溝を形成し、硬質金属製の凹部材を嵌め込むことで打抜刃26の刃先を硬質金属製の凹部材の内側側面に沿わせて逃がしつつ、シートを切断する構造とすることもできる。
【0064】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態の面版1は、板状の基板2から構成される(図23から図25)。基板2の裏面2bには、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されている。面版1は、紙器の外形となるようシート100を打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して受け型に取り付けて使用される。図23に示す例では、基板2は矩形状であり、複数のコーナー付近に位置決め用の貫通穴105が形成されている。位置決め用の貫通穴105は2箇所以上形成されていればよく、図23に示す例では、貫通穴105が3個所のコーナー付近に形成されている。
【0065】
本実施形態では、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成されている。打抜用溝6の溝巾は、打抜刃26の巾(厚み)と同じか少し大きく設定され、ダンボールシート100が陥没しない範囲内で設定される。図23(a)は面版1の平面図であり、図23(b)は面版1の側面図である。また、図24は、面版1のA−A’線断面図であり、図25は、面版1のB−B’線断面図である。
【0066】
図46は、本実施形態の面版1を使用して打ち抜いたダンボールシート100を例示しており、このダンボールシート100は、箱形状の容器または箱形状の蓋となるものである。図46(a)はダンボールシート100の平面図であり、中央の四角形状で囲った鎖線部分が折り筋102bである。図46(b)はダンボールシート100の底面図であり、中央の四角形状で囲った2本の鎖線同士の間の部分が凸ライン102aである。折り筋102bの反対側に凸ライン102aが位置する。
【0067】
図23に示す基板2の上面2a側で、押罫部材25に相対する位置には、複数の押罫用溝103が形成されている。押罫用溝103は、シート100に折り筋102bを付与するに際してシートに凸ライン102aを形成するためのものであり、押罫用溝103の溝巾は、押罫部材25の巾(厚み)よりも少し大きく設定され、目安としてシート100の厚み程度大きく設定される。
【0068】
前記基板2の下面2b側には、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されており、再使用可能な面版1となっている。また、このリユース糊を塗布しておくことで、基板2に設けられたガイド穴105を利用し、既知の位置決め冶具(円柱形状や円錐形状等の位置決め冶具)によってカッティングプレート21上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0069】
図23に示す基板2の上面2a側で、押罫部材25に相対する位置には、複数の押罫用溝103が形成されている。押罫用溝103は、シート100に折り筋102bを付与するに際してシートに凸ライン102aを形成するためのものであり、押罫用溝103の溝巾は、押罫部材25の巾(厚み)よりも少し大きく設定され、目安としてシート100の厚み程度大きく設定される。本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、貫通した窓5となっている。また、基板2の上面2a側で、打抜用溝6と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリアが、貫通した窓4となっている。図23では、貫通窓4が4つ形成され、貫通窓5が1つ形成されている。
【0070】
本実施形態によれば、これら第1のエリアに貫通窓5が形成され、第2のエリアに貫通窓4が形成されているので、これら第1と第2のエリアに相対するシート100の面(ここでは、5つの面)が潰されずに済み、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする。
【0071】
そして、図23に示す基板2の上面2a側で、前記第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されている。また、前記第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されている。これら貫通窓4,5は、例えばプレス加工やレーザ加工によって形成され、傾斜14,15は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。
【0072】
本実施形態によれば、基板2の上面2a側に、これら傾斜14,15が形成されていることで、シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、後述するゴム部材27を用いてシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与したときに、シート100の切断箇所の両側付近や、シート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。
【0073】
前記基板2の下面2b側には、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤(リユース糊)が塗布されており、再使用可能な面版1となっている。また、このリユース糊を塗布しておくことで、基板2に設けられたガイド穴105を利用し、既知の位置決め冶具(円柱形状や円錐形状等の位置決め冶具)によってカッティングプレート21上に貼付けするに際して、連続した1回の動作で、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して、正確な位置で貼付けすることが容易にできる。
【0074】
本実施形態では、基板2の材質として、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂を用いており、一枚物の面版1である。前記面版1は、板状又はフィルム状であることに加えて、図49(a)に示すように半円筒状又は円弧状としてもよい。例えば、図49(b)に示すような円筒形状(ローラー形状)の受け型29である場合は、受け型29の円周形状に合わせて半円筒状又は円弧状に成形された樹脂に、打抜用溝6,押罫用溝3,窪み7,及び貫通穴105を設けて、面同士を正確な位置で密着させる構成とすることで、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、前記面版に必要とされる強度を確保し易い。また、上記円筒形状(ローラー形状)の受け型29にフィルム状の面版1を巻き付ける構成としてもよい。
【0075】
図26から図28は、本実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22及び受け型21(カッティングプレート21)との関係を示す側面図である。打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザ加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の貫通溝と押罫部材25用の貫通溝とを形成し、それぞれの貫通溝に打抜刃26と、押罫部材25とを埋め込んで、打ち抜き型22が製作される。打抜刃26と押罫部材25とは、ステンレスや鋼等の硬質金属製である。打抜刃26はその先端が鋭利となっており、押罫部材25はその先端が丸くなっている。押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量と、同じか小さく設定される。打抜刃26の内側と外側とにはゴム部材27が配されており、かつ、押罫部材25の内側と外側とにはゴム部材27が配されている。シート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与する際に、これらゴム部材27によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与することが容易であるからである。ゴム部材27の材質としては、シリコーンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材や、エラストマーや、弾性変形が容易な合成樹脂が挙げられる。
【0076】
図26はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図27はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図28はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図26)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図27)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。また、このとき、第1のエリアに位置する貫通窓5と第2のエリアに位置する貫通窓4によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(貫通窓5)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(貫通窓4)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図28)。
【0077】
本実施形態によれば、ダンボールシート100の表層割れ等の不具合が生じ難く、打抜きする際に、ダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら打抜刃にて裁断することになるので糸状の屑や紙粉が発生し難くなる。次工程では、打ち抜かれたシート100をその折り筋101bに沿って谷折りし、テープ固定するか糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0078】
ここで、図41と図42は、上述の打ち抜き型22に取り付ける打抜刃26をそれぞれ例示する図である。図41に示す打抜刃261は、その先端が鋭利となっている押し切り刃であり、側面から見た図41(b)では、刃先が連続的で直線状に形成されている。他方、図42に示す打抜刃262は、その先端が鋸状となっている鋸刃であり、側面から見た図42(b)では、上方に向かう円弧状の刃先が連なって形成されている。本実施形態では、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、打抜刃26として、図42に示すような鋸刃262を用いることができる。
【0079】
図43と図44は、上記実施形態の面版1と、ダンボールシート100、打ち抜き型22及び受け型21との関係を示す側面図である。押し切り刃261にて打ち抜いたときには、ダンボールシート100の切断ラインを一度に押すこととなり、ダンボールシート100の材質によっては、その裏側の天井が押されて、長い糸状の繊維屑199が発生し易い(図43)。これに対して、鋸刃262にて打ち抜いたときには、ダンボールシート100の切断ラインを局所的に分断しながら切断箇所を長くして裁断するので、裁断するときに生ずる糸状の屑や紙粉を極力抑えることとなる。
【0080】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態の面版1は、第4の実施形態と同じく、一枚物の面版である(図29から図31)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2が樹脂製である。そして、基板2の上面2a側で、打抜刃26に相対する位置には、ダンボールシート100を打ち抜くに際して打抜刃26を受けるための打抜用溝6が形成された受け金具16が嵌め込まれている。打抜用溝6の溝巾は、打抜刃26の巾(厚み)と同じか少し大きく設定され、ダンボールシート100が陥没しない範囲内で設定される。受け金具16は、その断面が凹状であり、アルミニウム、鉄、ステンレス等の硬質金属製である。
【0081】
また、本実施形態では、基板2の上面2a側で、押罫用溝103で囲まれた第1のエリアが、所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み17が形成されているとともに、基板2の上面2a側で、打抜用溝6と押罫用溝103とで囲まれた第2のエリアが、所定深さで窪んでその底面が平坦な窪み18が形成されている。図29では、窪み18が4つ形成され、窪み17が1つ形成されている。これらの窪み17,18は、例えばフライス加工やルータ加工によって形成される。
【0082】
図32はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図33はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図34はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。ここでは、押罫部材25の突出量は、打抜刃26の突出量よりも小さく設定される。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図32)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100が位置ずれしない程度に押さえながら、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図33)。このとき、ダンボールシート100の打抜刃26で押されたラインは裁断されるが、本実施形態によれば、打抜用溝6が打抜刃26の刃先を逃がす構造であるから、面版1に打抜刃26を当接させずに済むとともに、面版1と打抜刃26の外側に配されたゴム部材27とでダンボールシート100の外側部分を動かないように押さえながら切断することが容易となる。また、このとき、ダンボールシート100の押罫部材25で押されたラインは、その反対側が押罫用溝103によって逃がされて凸ライン102aとなる。そして、このとき、第1のエリアに位置する窪み17と第2のエリアに位置する窪み18によって、当該エリアに相対するダンボールシート100の面が潰されずに済む。さらに、第1のエリア(窪み17)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜15が形成されており、第2のエリア(窪み18)における基板側壁には全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜14が形成されているので、ダンボールシート100の切断箇所の両側付近や、ダンボールシート100の折り筋102bの反対側の凸ライン102aの両側付近に圧痕が付き難くなる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27の復元力を用いてダンボールシート100を打抜刃26や押罫部材25から落下させる(図34)。
【0083】
前記基板2の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属や、これら合成樹脂と金属とを組み合わせた複合材等が挙げられる。ここでは、加工の容易性から合成樹脂性の基板2とした。本実施形態では、前記面版1が一枚物の面版であるから、ダンボールシート100を打ち抜くとともに折り筋102bを付与するに際して、面版1に必要とされる強度を確保し易い。
【0084】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態の面版1は、上述の実施形態と同じく、板状の基板2から構成される一枚物の面版である(図35から図37)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、基板2がアルミニウム、鉄、ステンレス等の硬質金属製である。図35に示す例では、基板2の押罫用溝103で囲まれたエリア内に、所定間隔で位置決め用の貫通穴105が2つ形成されている。
【0085】
図38はダンボールシート100を打ち抜く前の状態を示す図であり、図39はダンボールシート100を打ち抜くときの状態を示す図であり、図40はダンボールシート100を打ち抜いた後の状態を示す図である。打抜き加工の際には、打ち抜き型22と受け型21の間にダンボールシート100を挿入し(図38)、打ち抜き型22と受け型21とを接近させて、切断しつつ、折り筋102bを付与する(図39)。このとき、ダンボールシート100の鋸刃262で押されたラインは裁断されるが、本実施形態によれば、打抜用溝6が鋸刃262の刃先を逃がす構造であるから、面版1に鋸刃262を当接させずに済むとともに、面版1と鋸刃262の外側に配されたゴム部材27などの弾性部材とでダンボールシート100の外側部分を動かない程度に押さえながら切断することが容易となる。そして、ダンボールシート100を打ち抜いた後、打ち抜き型22と受け型21とを離して、ゴム部材27などの弾性部材の復元力を用いてダンボールシート100を鋸刃262から落下させる(図40)。
【0086】
上述した本実施の形態では、前記基板2の上面2aの外周位置と前記打抜用溝6とで囲まれたエリア(第3のエリア)が平坦であるとして説明したが、この第3のエリアにてシート100を押し潰さないように所定深さで窪んでいる窪み(第3の窪み)が形成されており、この第3の窪みによって、シート100の外側付近においても、第3のエリアに相対するシート100の面を潰さないようにして、シート100の表層割れ等の不具合を極力少なくする構成としつつ、出来るだけ広い面積で面版1の下面2bをカウンタープレート21の上面21aと安定的に密着させたり、複数の面版1を連結させて1枚物の面版としたり、複数の面版1を重ねて貼り合わせた多層構造で1枚物の面版としてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1 面版、
2 基板、
103 押罫用溝、
4 貫通窓(第2のエリア)、
5 貫通窓(第1のエリア)、
6 打抜用溝、
17 窪み(第2のエリア)、
18 窪み(第1のエリア)、
21 受け型(カウンタープレート)、
22 打ち抜き型、
25 押罫部材、
26 打抜刃、
27 ゴム部材、
100 シート(ダンボールシート)、
102a 凸ライン(または凹ライン)、
102b 折り筋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置にはシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする面版。
【請求項2】
前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の面版。
【請求項3】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置には、シートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されていることを特徴とする面版。
【請求項4】
前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする請求項1または3記載の面版。
【請求項5】
前記エリアにおける基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されていることを特徴とする請求項1または4記載の面版。
【請求項6】
一つの紙器となるダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版が一枚物の面版であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のシート打ち抜き型用の面版。
【請求項7】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通している面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記エリアにてシートを押し潰さないようにしながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とするシートの打ち抜き方法。
【請求項8】
前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている構成とし、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とする請求項7記載のシートの打ち抜き方法。
【請求項9】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とするシートの打ち抜き方法。
【請求項10】
前記打抜刃を鋸刃とし、この鋸刃の内側と外側とにゴム部材を配しておき、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことを特徴とする請求項8または9記載のシートの打ち抜き方法。
【請求項11】
前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアを第1のエリアとし、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアが、当該第2のエリアにてシートを押し潰さないように所定深さで窪んでいるか貫通している構成とし、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、これら前記エリアにてシートの対面する箇所の押圧力を軽減するか押圧力が加わらないようにすることを特徴とする請求項7または9記載のシートの打ち抜き方法。
【請求項1】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置にはシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする面版。
【請求項2】
前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の面版。
【請求項3】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用され、前記押罫部材に相対する位置には、シートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成された基板を備えた面版であって、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されていることを特徴とする面版。
【請求項4】
前記基板上の前記押罫用溝で囲まれた第1のエリアと、前記基板上の前記打抜刃と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアとが、当該第1のエリアと第2のエリアにてシートを押し潰さないようにそれぞれ所定深さで窪んでいるか貫通していることを特徴とする請求項1または3記載の面版。
【請求項5】
前記エリアにおける基板側壁が、全周に亘って内側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されていることを特徴とする請求項1または4記載の面版。
【請求項6】
一つの紙器となるダンボールシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して、前記面版が一枚物の面版であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のシート打ち抜き型用の面版。
【請求項7】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアが、当該エリアにてシートを押し潰さないために所定深さで窪んでいるか貫通している面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記エリアにてシートを押し潰さないようにしながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とするシートの打ち抜き方法。
【請求項8】
前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている構成とし、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とする請求項7記載のシートの打ち抜き方法。
【請求項9】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、前記押罫部材に相対する位置にシートに折り筋を付与するための押罫用溝が形成されており、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置には、シートを打ち抜いた前記打抜刃を受けるための打抜用溝が形成されている面版を前記受け型に取り付けて使用し、前記打抜刃を前記打抜用溝にて受けながら紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与することを特徴とするシートの打ち抜き方法。
【請求項10】
前記打抜刃を鋸刃とし、この鋸刃の内側と外側とにゴム部材を配しておき、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、前記ゴム部材によってシートを位置ずれしないように押さえながら、前記鋸刃にてシートを打ち抜くことを特徴とする請求項8または9記載のシートの打ち抜き方法。
【請求項11】
前記基板上の前記押罫用溝で囲まれたエリアを第1のエリアとし、前記基板上の前記打抜刃に相対する位置と前記押罫用溝とで囲まれた第2のエリアが、当該第2のエリアにてシートを押し潰さないように所定深さで窪んでいるか貫通している構成とし、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、これら前記エリアにてシートの対面する箇所の押圧力を軽減するか押圧力が加わらないようにすることを特徴とする請求項7または9記載のシートの打ち抜き方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【公開番号】特開2012−228755(P2012−228755A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99053(P2011−99053)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(302065873)株式会社メイク・ア・ボックス (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(302065873)株式会社メイク・ア・ボックス (11)
【Fターム(参考)】
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