説明

シート状物品の検査方法および装置

【課題】色の再現性に幅(ばらつき、色ムラおよび/または色あせ)のあるシート状物品における汚れ、破れ、形状不良等の欠陥検査において、模様を欠陥と判定せず、かつ、黒汚れ、非黒よごれおよび破れの判別が可能な検査方法および装置の提供。
【解決手段】複数の異なる色領域を有する検査板と、RGB成分からなる複数のラインを撮像可能なカラーカメラとを提供し、検査板上を通過させたシート状物品のRGB画像データを取得し、R成分画像、G成分画像およびB成分画像を合成した合成画像を取得し、当該合成画像において変色領域を検出し、変色領域の色が予め記憶した欠陥種別の設定パラメータの範囲に属するかにより欠陥種別を判定することを特徴とするシート状物品の検査方法およびその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物品の連続加工における欠陥の検査方法および装置に関し、より具体的には、色の再現性に幅(ばらつき、色ムラおよび/または色あせ)のあるシート状物品における汚れ、破れ、形状不良等の欠陥検査において、模様を欠陥と判定せず、かつ、黒汚れ、非黒よごれおよび破れの判別が可能な検査方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布片を水洗、乾燥、アイロン掛けをした後、折り畳むためにベルト上に広げて移動する布片の表面検査をするのに布片面に光を当て、布片面からの反射光をカメラ等で捕らえて、カメラ等が捕えた映像の光の強弱(欠陥部は反射光が弱くなる)を電気信号に変え、該電気信号を処理することによって、布片面の破損や汚れ等の欠陥を自動的に検査する布片面の欠陥検査装置が提言されている(特許文献1)。
また、この種の装置において、予め記憶された規則的なパターンプログラムと照合比較し、そのパターン模様信号を打ち消して布片の欠陥信号のみを選択する処理が行う手法が知られている(特許文献2)。
【0003】
しかし、従来の装置では、布片を検知する検知器によって検査を開始・終了するタイミングを取っていたため、センサー不具合時に動作不良となることや、周囲のマスクがセンサーの設置場所により固定されたり、前端または後端は一直線上のマスクしか行えないなどの問題があった。
また、従来のラインイメージセンサーを用いた検査装置では、検出用の調整を行う場合、静止したコンベア上に欠陥サンプルを置き、検出されたライン状のレベルを確認しながら調整を行っていた。実際には静止状態に比べ、流れている映像では皺や地合などのノイズも含まれることにより、前記調整では誤動作をしてしまう場合が多い。また、この調整を行うには一枚ずつコンベアに流れているものを調整する必要があるが、同じ欠陥サンプルでもコンベア通過時には一様でないことや高速なために適正なレベルを判断することが難しく正確に行うことは困難であった。
【0004】
そこで、出願人は、コンベア装置と、布片の搬送速度を検出する回転検出器と、照明装置と、布片の検査対象部位をライン状に撮像する入力部と、入力部からのライン状撮像データを2次元画像データとして記憶する記憶部と、布片の欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶部と、入力された検出設定情報に基づき前記記憶部の記憶する2次元画像データの欠陥を判定し、欠陥を検出した場合には欠陥情報を欠陥情報記憶部に送信する処理部と、コンベア装置に配設された複数の布折り手段および折数に応じて布片を所定の箇所に排出する排出手段を有する折り畳み部と、を備えた布片検査装置であって、前記処理部は、前記折り畳み部に欠陥情報を送信し、前記折り畳み部は、前記処理部からの欠陥情報に応じて異なる折数で布片を排出することを特徴とする布片検査装置を提言した(特許文献3)。
【0005】
布や紙等のシート状物品の表面に出来る穴や汚れ等の欠陥部分を検査する方法としては、表面の色が異なる検査板を複数並べて、各々の検査板の板面上をシート状物品を通過させて、各々の検査板上でのシート状物品の表面の欠陥部分に発生する色の変化を判断することによってシート状物品面の欠陥を検査する方法が提言されている(特許文献4)。
【0006】
カラーセンサーを用いたシート状物の色差検査装置としては、シート状物の搬送手段、検査条件の入力部、検査条件の第1表示部、および、初期条件を出力する第1出力部を制御する第1CPUと、3個のカラーセンサーと、センサーを制御すると共に、検出結果を表示する第2表示部および検出結果を出力する第2出力部を制御する第2CPUとから構成され、第2CPUにおいてセンサーで得られた測色データを処理して基準色値との色差値および明度偏差値を求め、これらの値をグラフ化してリアルタイムで第2表示部上に表示し、検査終了時にはこれらのグラフを第2出力部でプリント出力するものが提言されている(特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】特許第3685522号公報
【特許文献2】特開平8−276100号公報
【特許文献3】特許第3813121号公報
【特許文献4】特開2000−329701号公報
【特許文献5】特開平9−33348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の装置では、布や紙等のシート状物品に模様が付されている場合において、模様を欠陥として判断してしまうことがあった。特に、洗濯後布片等のように、シート状物品の載置態様(方向および裏表)が一定でない場合には、特定個所のみマスクすることは難しく、一方で、検査のためにシート状物品の載置態様を揃えることも作業工数がかかり過ぎるため難しい。
特許文献2には、予めパターン模様信号を記憶しておく手法が開示されるが、布片の種類が増えると比較対象が増え、また布片が異なる方向に載置された場合に備え方向毎のパターンを準備しておく必要があり、これらのデータとのマッチングを行うことにより処理速度が低下するという問題がある。
特許文献4に記載の発明は、穴あきの有無を判定することはできるが、汚れと模様の別を判定することはできなかった。
【0009】
また、色の再現性に幅のあるシート状物品の外観検査における課題は、一般的な外観検査の技術を適用しても解決できないことが少なくない。一般的な外観検査は、製品が一定の品質にあることを前提に、異常を検出するという技術思想の上に成り立つものであるが、色の再現性に幅のあるシート状物品の外観検査においては、製品の品質や色等に幅があることを前提としなくてはならないからである。特に、シーツ、カバー、包布、テーブルクロス等の布片の洗濯仕上加工の場合、同一製品でも状態が異なるのが当たり前であり、品質や色が一様でないだけではなく、コンベア等で搬送される場合も載置態様は一定ではない。しかも、洗濯後布片においては、納品が許容される品質には幅があり、表面に皺等が生じていたり、軽微な汚れがあっても欠陥とすべきでなく、その判定基準が顧客毎に設定されたサービスレベルに応じて異なるという特異性もある。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決できるシート状物品の検査方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、発明者は、特定の色のみをマスクすることを最初に検討した。しかし、洗濯後布片等の色の再現性に幅(ばらつき)があるシート状物品においては、ロゴ等の模様の色は洗濯による脱色のため一様でなく、特定の色のみをマスクすることは難しかった。
ここで、色とは、視覚のうち、光波のスペクトル組成の差異によって区別される感覚のことであるが、光の波長だけでは定まらず、一般に色相(単色光の波長に相当するもの)、彩度(あざやかさ即ち白みを帯びていない度合)および明度(明るさ即ち光の強弱)の3要素によって規定される。
発明者は、鋭意検討の結果、洗濯等による脱色があっても、色相は保たれることの知見を得た。そこで、特定の色の色相を数値化し、当該値を基準値とした一定の範囲を設け、当該範囲に属する色は模様であると判断することで、模様をマスクすることを可能とした。
また、より検知精度を高めるべく、面積による絞り込みを行う工程も備えることが好ましく、検知された着色個所が一定の範囲の面積である場合にのみ模様と判定することにより、誤検出を最小限にすることを可能とした。
さらに、カラーカメラによる光の三原色情報と着色された検査板を組み合わせることにより、非黒汚れ、黒汚れおよび破れの種別を判定することを可能とした。なお、カラーカメラは、ライン式に限定されず、エリア式のものでもよく、また、検査板の構成は白板と黒板の組み合わせに限定されない。
【0012】
すなわち、第1の発明は、複数の異なる色領域を有する検査板と、RGB成分からなる複数のラインを撮像可能なカラーカメラとを提供し、検査板上を通過させたシート状物品のRGB画像データを取得し、R成分画像、G成分画像およびB成分画像を合成した合成画像を取得し、当該合成画像において変色領域を検出し、変色領域の色が予め記憶した欠陥種別の設定パラメータの範囲に属するかにより欠陥種別を判定することを特徴とするシート状物品の検査方法である。なお、上記のカラーカメラは、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
第2の発明は、搬送装置に載置されたシート状物品のRGB画像データを取得し、当該RGB画像データにおける変色領域を検出し、当該変色領域の色が予め記憶した模様種別の設定パラメータの範囲に属する場合にはマスク処理をし、マスク処理後の領域について欠陥を判定することを特徴とするシート状物品の検査方法である。
第3の発明は、第2の発明において、予め模様種別と面積の対応情報を記憶し、変色領域の色が予め記憶した模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、面積の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする。
第4の発明は、第2または3の発明において、予め模様種別と縦横比の対応情報を記憶し、変色領域の色が予め記憶した模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、縦横比の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする。
第5の発明は、指定色の色相成分を数値化し、当該数値に所定値を加減することで設定パラメータの範囲を設定することを特徴とする。なお、色の指定は、例えば、画面上に表示された色パレットから希望の色を選択したり、取り込んだサンプル画像の任意の箇所をクリックすることで行う。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、予め記憶した設定パラメータの範囲に属する変色領域が検出された場合において、予め記憶した折り数と設定パラメータの範囲の対応情報に基づき、予め設定された折り数でシート状物品を折り畳み排出することを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、シート状物品が、色の再現性に幅のあるシート状物品であることを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、載置されたシート状物品を搬送する搬送装置と、搬送装置上のシート状物品を照明する照明装置と、搬送装置上のシート状物品のRGB画像データを取得する入力部と、入力部からのRGB画像データおよびシート状物品の欠陥情報を記憶する主記憶装置と、主記憶装置の記憶するRGB画像データにおける変色領域を検出し、欠陥を判定する処理部と、シート状物品を所定の場所に排出する排出手段とを備えたシート状物品の検査装置であって、検査板上を通過させたシート状物品のRGB画像データを取得し、R成分画像、G成分画像およびB成分画像を合成した合成画像を取得し、当該合成画像において変色領域を検出し、変色領域の色が主記憶装置の記憶する欠陥種別の設定パラメータの範囲に属するかにより欠陥種別を判定することを特徴とするシート状物品の検査装置である。
第9の発明は、載置されたシート状物品を搬送する搬送装置と、搬送装置上に配設された複数の異なる色領域を有する検査板と、搬送装置上のシート状物品を照明する照明装置と、搬送装置上のシート状物品のRGB画像データを取得する入力部と、入力部からのRGB画像データおよびシート状物品の欠陥情報を記憶する主記憶装置と、主記憶装置の記憶するRGB画像データにおける変色領域を検出し、欠陥を判定する処理部と、搬送装置に配設された複数の折り手段と、折数に応じてシート状物品を所定の場所に排出する排出手段とを備えたシート状物品の検査装置であって、処理部が検出した変色領域の色が、主記憶装置の記憶する模様種別の設定パラメータの範囲に属する場合には、処理部が当該変色領域をマスク処理することを特徴とするシート状物品の検査装置である。
第10の発明は、第9の発明において、主記憶装置に予め模様種別と面積の対応情報が記憶されており、処理部が、変色領域が主記憶装置の記憶する模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、面積の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする。
第11の発明は、第9または10の発明において、主記憶装置に予め模様種別と縦横比の対応情報が記憶されており、処理部が、変色領域が主記憶装置の記憶する模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、縦横比の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする。
第12の発明は、第9ないし11のいずれかの発明において、主記憶装置の記憶する設定パラメータの範囲に属する変色領域が検出された場合において、予め記憶した折り数と設定パラメータの範囲の対応情報に基づき、予め設定された折り数でシート状物品を折り畳み排出することを特徴とする。
第13の発明は、第8ないし12のいずれかの発明において、処理部が、指定色の色相成分を数値化し、当該数値に所定値を加減することで設定パラメータの範囲を設定することを特徴とする。
第14の発明は、第8ないし13のいずれかの発明において、シート状物品が、色の再現性に幅のあるシート状物品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、色の再現性に幅のあるシート状物品の検査を行うことが可能となる。また、シート状物品に模様がある場合においても、模様を欠陥と判定することなく検査を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態の検査装置を、洗濯後布片の検査装置の例で説明する。本発明の最良の形態の洗濯後布片の検査装置は、以下の構成を備える。
1)カラー映像をライン状に取り込み電気信号に変えるイメージセンサー部(カラーカメラ(1))
2)ワーク移動速度を検出する回転検出器(3)
3)検査板上を通過するワークを撮像するための欠陥検査台(4)
4)回転検出器より信号を受けてカラーカメラへの撮像開始信号を送り、カラーカメラで撮像されたライン状映像の電気信号を受け連続して数値化し、処理部に転送する入力部(20)
5)画像データにマスク処理を施し、欠陥レベルと比較して検出した欠陥位置情報、欠陥種別情報(破れ、黒汚れ、非黒汚れ)を欠陥情報記憶部に転送する処理部(21)
6)処理部より転送されたライン状の画像データから得られた2次元RGB画像を記憶する記憶部(22)
7)画像データを判別しワークの有無を検出する検査状態記憶部(23)
8)処理部より受けた欠陥位置情報、欠陥種別情報を記憶する欠陥情報記憶部(24)
9)欠陥情報記憶部の記憶する欠陥位置情報、欠陥種別情報にもとづいてリジェクト信号を出力する出力部(25)
10)ライン状に検査対象部を照明し光量の増減をすることのできる照明コントローラ部(26)
11)欠陥情報記憶部の記憶する情報および2次元RGB画像を表示する表示部(27)
12)リジェクト信号を受けて布片をリジェクトするリジェクタ(28)
13)白板と黒板とから構成される色領域を有する検査板(60)
【0016】
本発明で用いられるカラーカメラは、RGB成分からなる複数のラインを撮像可能なカラーカメラである。最良の形態のカラーカメラとしては、単板3ライン式のものが例示されるがこれに限定されず、エリア方式カメラであってもよい。いずれの方式のものを用いるかは、検査対象物の大きさや処理速度に応じて決定される。
欠陥種別の判定は、固定位置にある検査板上においてRGB成分からなる複数のラインを取得し、これらを合成した合成画像を行うことにより可能となる。
特許文献4においては、モノクロのラインカメラであるため、検出された欠陥部分が破れであるか否かを判定することしかできなかったが、本発明ではカラーカメラと上記検査板を用いることにより、無彩色と有彩色の区別を可能とし、欠陥種別の判定を実現した。
【0017】
さらに、本発明の最良の形態の洗濯後布片の検査装置は、以下の機能を有する。
(I)画像データ取込機能
搬送装置により搬送中の布片を2次元RGB画像として記憶手段に記憶することができる。画像データは流れている検査対象を2次元として取り込んだ形式となっており、欠陥部だけでなく皺や地合などのノイズも同様に含まれる。画像データをそのまま入力電気信号の代わりに利用して調整を行うことで、サンプル布片を繰り返して流すことを不要としている。
(II)光量調整機能
イメージセンサーより取り込んだ画像データにもとづき光量を増減させることで行い、入力光量を一定に自動調整する機能である。光量増減により行うため電気信号ノイズを増幅しないので安定した検査を行うことができる。
【0018】
(III)基本マスク機能
取り込んだ画像データにもとづき欠陥の有無を判定する。検査対象となる領域は、画像データにマスク処理を施すことによって決定される。画像データに対してマスク処理を施すため、検出した布片の縁辺(エッジ)に沿って一定距離に曲線状のマスク処理を施すことも可能であるまた、布片の中央位置から指定した幅のマスクを行うことも可能である。
【0019】
(IV)カラーマスク機能
布片に付されたロゴや柄等の模様をマスクするカラーマスク機能を有する。ロゴや柄等の模様は、洗濯による脱水により無段階に変色するため、特定の色を予め設定しておくことは難しい。そこで、指定色を所定のアルゴリズムで数値化した値を基準とした色範囲を設け、その色範囲に属するものは模様であると判定し、マスク処理を施すこととした。模様の判定、色抜け時も変化に規則性がある色相を数値化することにより行うが、彩度や明度を組み合わせてもよい。具体的な手順は、次に示すとおりである。
i)布片のRGB画像を取り込む。
ii)マスクをかける部分を指定し、色を取り込む。
iii)取り込んだ色をHSV等の色空間に置き換え、色相を数値化する。例えば、HSV色空間では色相を度数(例えば、0〜360度)に変換するので指定された度数より前後に閾値を持たせ色を指定する(例えば、赤系の場合0度を中心とするなど)。
iv)設定値に基づき算出した色範囲により、カラーマスク処理を行う。
以上の手順によりロゴ・柄等の模様を正確にマスクすることが可能となる。
【0020】
(V)模様関連情報記憶機能
本発明は、特定のユーザから定期的に使用済み布片が搬送されるモデルの事業に適用される。そのため、過去にマスク処理を施した布片の模様に関する情報を記憶しておくことで、カラーマスク処理における誤判を最小限とすることができる。ここで、特許文献2に記載される手法のように、パターンそのものを記憶することが好ましくないのは先に述べたとおりである。作業者の便宜を損なわず、一定の処理速度を得るためには、模様と面積の関係を記憶しておくのが効果的である。これにより、特定の色範囲および特定の面積範囲に属する異常値が検出されれば、模様であると判定すればよいこととなる。なお、面積だけでなく、縦横比、形状、位置情報等による絞りをかけてもよい。
【0021】
(VI)欠陥種別情報強調機能
破れ情報と汚れ情報は、共にワークの画像データ上にノイズとして検出されるが、これらの種別を正確に判定することは難しい。しかし、複数の色領域を有する検査板上をワークを通過させ、光の三原色の特性を利用することで、これらの欠陥種別情報を強調させることができる。すなわち、図8〜10に示すように、RGBの3つのラインと検査板の色領域を対応させ、撮像されたRGBの各画像データを合成することにより、欠陥種別情報を強調した合成画像データを取得することができる。図8中、符号(51)は黄色系の非黒汚れであり、符号(52)は破れであり、符号(53)は黒ないしは黒に近い汚れである。図8および図9では、最左の青ラインおよび中央の緑ラインが白板(61)上に位置し、最右の赤ラインが黒板(62)上に位置している。なお、カラーカメラ(1)がエリア式の場合においても、所定の位置で抽出する色成分を適切に設定することで同じ効果を奏することができる。
各ライン上を汚れ等の欠陥部分が通過することにより、欠陥部分の色が変化した状態で撮像される。非黒汚れは特定色のラインにおいてより濃く変化し、また、破れは、黒板(62)上で黒に近い暗色に変化することから、これらを合成することで、欠陥種別情報が強調された画像データを取得することができる。色の変化は、加法混色による。
以上の処理を施すことにより、従来は識別が困難であった黒汚れと破れの判定を容易に行うことが可能となった。なお、RGBラインと検査板(60)の色の組み合わせが、上記に限定されないことは言うまでもない。
【0022】
(VII)欠陥種別毎排出機能
欠陥種別情報(破れ、黒汚れ、非黒汚れ)に基づいて、折り数を変えて排出する機能を有する。例えば、破れがある場合には、場所を取らないよう折り数を多くして排出し、非黒汚れについては人による再検査が容易なように、折りを少なくして排出することが開示される。この際、色相の範囲と欠陥種別情報の関連付けをすることにより、異なる折数で排出させるのが好ましい。図10の例で言うと、破れはシアンに近い色として捉えられるので、シアンに近い色が検出された場合には、破れと判断して所定の折数で排出することとなる。同様に非黒色と黒色(ないしは黒に近い色)で折り数を違えて排出することもできる。
【実施例】
【0023】
本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【0024】
本実施例の布片検査装置は、(A)布片欠陥検出部と(B)折り畳み部(ホルダー)とで構成されており、その詳細な構成及び作動は以下のとおりである。
【0025】
《A.布片欠陥検出部》
本実施例の装置を構成する布片欠陥検出部は、図1および図2に示すように、ベルトの上方にあって検査台上の布片を撮像して電気信号に変えるカラーカメラ(1)と、ベルト上に広がった布片の検査対象部位を照明する照明装置(2)と、検査対象の移動速度を検出する回転検出器(3)と、ベルトと布片の間に敷いて布片の検査を容易にするための検査台(4)と、を有する。
【0026】
図3は、布片検査装置の信号処理部のブロック図である。
処理部(21)は、カラーカメラ(1)からの入力信号または記憶部に記憶されている情報にもとづいて、光源の劣化、温度変化による光量低下を、入力画像レベルをフィードバックして光量の自動調整を行う照明コントローラ(26)への作動信号を発信する。また、画像データにマスク処理を施し、欠陥検出設定と対比し判別された不良品の種類に対応した欠陥関連データを欠陥情報記憶部(24)に発信する。
記憶部(22)は、ライン状の信号を連続して記憶し2次元状態に画像情報を記憶する。検査状態記憶部(23)は、検査を実行しているか停止しているかを記憶する。
欠陥情報記憶部(24)は、検出した欠陥位置情報および欠陥種別情報(汚れ、破れ)を記憶する。
表示部(27)は、取り込み写真情報や判定結果を表示する表示手段(CRT)とで構成される。
検査状態記憶部(23)が検査実行中になると、欠陥検出設定にしたがって欠陥判定を行い、検査実行中に欠陥を検出すると、欠陥情報記憶部(24)に欠陥位置情報および欠陥種別情報を記憶し、検査状態記憶部(24)が検査停止中になったとき、欠陥情報記憶部(24)の情報によって欠陥種別信号(汚れまたは破れ信号)を信号出力する。
なお、所定時間内に欠陥判定が終了しない場合には、エラーと判定するか、その段階での入力情報に基づき信号出力をすることとした。所定時間内に欠陥判定が終了しないと、折り畳み処理が間に合わないおそれがあるからである。どの程度の時間で欠陥判定を終了させるかは、検査対象となる布片の大きさや欠陥種別情報と折り数との関連づけにより決定する設計事項である。
【0027】
《B.折り畳み部(ホルダー)》
折り畳み部は、アイロナーから送られてきた布片をスタッカーに搬送する複数のコンベアA1〜E2からなるコンベア装置(30)と、コンベア装置(30)中に配設された複数の布片折り手段(5)〜(9)と、不良品を排出し、良品を収納するスタッカー装置とで構成されている。
【0028】
上記コンベア装置(30)は、ロールアイロナコンベア(12)から布片を受け取り、プレス済みの布片をホルダー内に取り込むコンベアA(ホルダーコンベア)と、コンベアAの前方に延設され、走行方向をコンベアAと同一方向と反対方向に切替え可能なコンベアB1と、コンベアAの下部に配設され、コンベアB1の走行方向の切替によって送り込まれた2つ折り状態の布片を、コンベアAの下面とで挟持して搬送するコンベアB2と、コンベアB2の下部に配設され、4つ折り手段(6)で押し込まれた布片をコンベアB2の下面とで4つ折り状態の布片を挟持して搬送するコンベアC1と、コンベアC1の延長線上に設けられ、搬送方向に平行に所定の間隙を設けて配置され、走行停止切換可能な一対のコンベアC2、C2と、コンベアC2の下方にコンベアC2と直交して配設され、受け取り部がコンベアC2、C2間の間隙に位置し、8つ折り手段(7)によって押し込まれた8つ折り状態の布片を挟持して搬送するコンベアD1、D2と、コンベアD1、D2の下方に搬送方向を90度変換して配設し、中途部に16折り手段(8)を備えるコンベアD3と、コンベアD3の上方に配設され、32折り手段により押し込まれた32折り状態の布片を挟持してスタッカー装置に搬送するコンベアE1、E2と、で構成されている。
【0029】
上記布片折り手段は、ロールアイロナーコンベア(12)によって送られてきた布片がコンベアAとコンベアB1の境界部に中間部が達した時、折り畳み信号にもとづいてコンベアB1の走行方向を反転させ、布片の中間部をコンベアAとコンベアB1との間に引き込むことにより布片を2つ折りする2つ折り手段(5)と、コンベアAとコンベアB2との重合終端部に対向して設けられ、コンベアAとコンベアB2とにより挟持搬送されてきた2つ折り状態の布片の中間部をコンベアB2とコンベアC1の間に突き込み動作し、2つ折り状態の布片を4つ折りにする4つ折り手段(6)と、一対のコンベアC2、C2の間隙部の上方に配置され、コンベアC2、C2の走行の停止と同時に作動して4つ折り状態の布片をコンベアD1とコンベアD2の間に突き込み動作する8つ折りする8つ折り手段(7)と、コンベアD3の中途部に配置され、8つ折り状態の布片の先端部を保持し、後端の通過を待ち、後端の通過と同時に開放することで16折りする16折り手段(8)と、コンベアD3の終端部に配置され、搬送されてきた16折り状態の布片の先端部を通過させ、中間部をコンベアE1とコンベアE2の間に突き込み動作し16つ折り状態の布片を32折りする32折り手段(9)と、で構成されている。
【0030】
上記スタッカー装置は、コンベアE2の終端部に配置され、一対の板を開くことにより32折りの布片(良品)を落下させて積み重ねるスタッカーと、コンベアE2の終端部に配置されスタッカー板を不動作にすることで32折り布片をホルダー外へ排出させる排出口開平板(11)とで構成されている。
【0031】
《欠陥検査》
図4により、布片の欠陥を検査する場合の布片欠陥検出部の処理を説明する。
カラーカメラからの情報により、入力画像よりライン状データを逐次転送する(S1)。送られてくる布片のエッジを検出し(S2)、エッジを検出した場合は検査を続行し(S3)、エッジを検出しない場合は、ステップS9へ。
エッジを検出した場合は検査状態を続行(S3)し、記憶部にライン状データを転送し(S4)、記憶部にライン状2次元RGB画像データとして記憶する。記憶部に記憶した画像データに、処理部により基本マスク処理とカラーマスク処理が施される(S5)。
設定に基づいて判定し(S6)、欠陥有りの場合には欠陥情報記憶部に欠陥関連データを記憶し(S8)、その後ステップS1に戻り、欠陥無しの場合にはステップS1に戻る(S7)。
ステップS2でエッジ検出しない場合には、検査中かどうか判定し(S9)、検査中の場合には表示部に位置情報を表示し(S10)、検査中でない場合にはステップS1へ戻る。欠陥の有無を判定し(S11)、欠陥有りの場合にはリジェクタ(28)へ欠陥信号出力し(S12)、その後、欠陥なしの場合は直ぐに、検査状態記憶部のステータスを待機中とし、ステップS1へ戻る(S13)。以下上記処理を繰り返す。
【0032】
マスク処理について補足説明する。
本実施例の装置では、基本マスク処理とカラーマスク処理の二つのマスク処理が施される。
(I)基本マスク処理
基本マスク処理は、布片のエッジ(縁辺)から一定の距離を検査対象外とするためのマスク処理である。シーツ等の布片の場合、縁辺に汚れ等があったとしても、品質レベルに問題は生じないからである。
本実施例の装置では、上下端、左右端に1センチ単位でマスクすることが可能である。ここで、布片が斜めに載置されている場合には、マスク処理もエッジのラインに沿って斜めに行われる。
また、欠陥を判定するパラメータが所定値以上の場合にのみ検出されるようにパラメータにより検出レベルを調整することが可能である。顧客の品質基準によっては、一定面積以下の汚れや一定の濃度以下の汚れは問題とならない場合もあるからである。
【0033】
(II)カラーマスク処理
カラーマスク処理は、ロゴや柄等の模様を欠陥と判定しないためのマスク処理である。例えば、図7(a)に示すように、布片にロゴが付されている場合には、従来の装置では汚れと判定されてしまっていた。そこで、指定色(ロゴの色)と一定の距離の範囲に属する変色領域は模様であるとして、マスク処理を施して、汚れと判定されないようにした。
本実施例の装置では、指定色と一定の距離の範囲を、指定色をHSV色空間に置き換えて算出する。HSV色空間では色相を度数(例えば、0〜360度)に変換するので指定された度数より前後に閾値を持たせ色を指定する(例えば、赤系の場合0度を中心とする)。
指定色の指定は、新品の布片の模様の色を指定するのではなく、何回か洗濯されたものの色を指定するのがよい。指定色を基準値として、一定の色相範囲(濃淡の範囲)を模様と判定し、カラーマスク処理の対象とする。このように一定の色相範囲に属する色をマスクすることができるため、図7(b)に示すような模様が付された布片であっても、いちいち全ての変色領域を除外対象として手動設定する必要がない。
設定作業を支援するための付加的機能として、表示部に表示された画像データの任意の個所を指定すると、当該個所の色を数値化した値が表示される機能を設けてもよい。また、一定の色相範囲の上限値または下限値をHSV色空間の算定式に基づいて逆変換した色を表示部に表示できる機能を設けてもよい。
【0034】
(III)面積等の記憶情報による絞り
ロゴや柄等の模様は、自然界に存在する色でないことが多く、模様と同じ色の汚れが付くことは少ないため、カラーマスク処理を施すことで一定の効果が期待できる。しかし、誤検出を少なくしたい場合には、例えば、面積の記憶情報による絞りをかけることが効果的である。すなわち、カラーマスク処理の対象となった変色領域が所定の面積範囲に無い場合には、例外的に模様でないと判定してカラーマスク処理の対象としない。模様でないと判定する面積の設定は、色相と関連づけをしてもよいし、無条件に一定面積以上の場合或いは一定面積以下の場合は、模様と判断しないようにしてもよい。
【0035】
(IV)欠陥種別情報強調処理
模様判定処理の前に欠陥種別情報強調処理を行うとより高精度に模様判定を行うことができる。具体例で説明すると、黄色系の非黒汚れ(51)は、青ライン画像データ(図10a)では黄色系の非黒汚れはより濃く変化し、これと緑ライン画像データ(図10b)および赤ライン画像データ(図10c)を合成すると、より濃い黄色系の汚れとして捉えることができる。また、破れ(52)は、黒板(61)上(赤ライン)でのみ暗く捉えられることから、合成画像データでは、シアンに近い色として捉えられることとなる。黒汚れ(53)は、合成してもそのままである。この場合、シアンに近い色から一定の範囲にある色相の模様は、破れである蓋然性が高いと言える。
【0036】
《設定》
検査対象となる欠陥サンプルを検出させるためには、該検査装置に欠陥に応じた感度設定を行う必要があり、この設定は以下のように行う。
1)欠陥サンプルをコンベアにより通過させて2次元RGB画像を記憶する。
2)記憶した画像データに基本マスク処理とカラーマスク処理を施す。
3)任意の検出設定に基づきマスク処理後の画像データを利用して検査させる。
4)表示部に写真画像とマスク処理後の画像データが対比表示される。この際、検出された欠陥位置には、着色処理が施されている。
5)画像データに表示された欠陥位置と写真画像の欠陥位置が一致するように検出設定を変更し再度2)〜5)を繰り返す。
6)画像データの欠陥位置が写真画像の欠陥位置と一致することで、欠陥サンプルに対しての検出設定が確定される。
【0037】
設定作業における欠陥の検出は、図5に示す通りであり、カメラより入力する画像ではなく、記憶部に記憶した画像を用いる点以外は、図4とほぼ同じ手順である。
【0038】
《排出処理》
洗濯後布片に欠陥が有る場合、欠陥種別に応じて、異なる折数で布片は排出される。汚れ品は4つ折り状態で、破れ品は16折り状態で、次工程に搬送することなくホルダー外に排出し、欠陥の無い正常な布片は良品として32折り状態でストッカに収納される。破れ品は廃棄されるので、汚れ品より折り数を多くして排出するのが好ましい。
【0039】
図6により、上記構成の布片欠陥検出装置の排出処理の作動を説明する。
i)ホルダーに布片が搬入されると、入力された画像データを判別して検査状態記憶部がワーク有りとなる。
ii)検査状態記憶部のステータスがワーク有りになると検査を開始し、ステータスがワーク無しになると検査を終了し、欠陥情報記憶部の情報に基づき欠陥種別信号(汚れまたは破れ信号)を出力する。
iii)汚れを検出した時は8つ布片折り手段に対して不動作信号を発信し、破れを検出した時は32布片折り手段とスタッカーに対して不作動信号を発信する。
【0040】
上記構成のホルダーは、以下に説明するように、アイロナーから送られてきた布片を折り畳むと同時に、信号処理部からの信号にもとづいて良品と不良品とに分け、さらに、不良品を非黒汚れ品、黒汚れ品および破れ品とに分け、それぞれ所定の排出個所に排出する。
(1)<判定工程>
回転検出器と入力画像データとにより布片の長さと移動速度と位置を計測する。また、入力画像データに各種マスク処理を施し、欠陥種別情報の判定を行う。
(2)<2つ折り工程>
計測された布片の長さと移動速度により布片を2つ折りさせるタイミングで2つ布片折り手段を突き込み動作させるとともにコンベアB1を反転させてコンベアAとコンベアB1の間に布片を送り込み2つ折りにする。2つ折りにした布片をコンベアAとコンベアB2で挟持して4つ折り手段(6)に供給する。
(3)<4つ折り工程>
コンベアAとコンベアB2の後端部より布片が供給され、4つ布片折り手段(6)とコンベアC1の間に垂れ下がる2つ折りされた布片を、さらに2つ折りさせるタイミングでコンベアB2とコンベアC1の間に突き込み動作し2つ折り状態の布片を4つ折りし、コンベアC1とC2に供給する。4つ折りされた布片をコンベアC1とコンベアC2で8つ折り手段(7)に供給する。
(4)<8つ折り工程>
4つ折り装置から供給された布片のうち良品は、8つ折り手段(7)によりコンベアD1とコンベアD2の間に突き込み動作し4つ折り状態の布片を8つ折りし、コンベアD3に供給する。非黒汚れ品の場合は、信号処理部からの信号によって本工程は不作動に制御され、4つ折り状態でホルダーの外側に排出される。8つ折りされた良品である布片をコンベアD3の中途部にある16折り手段(8)に供給する。
(5)<16折り工程>
8つ折りされた布片の先端を上下方向に動作する16折り板を上方に動かし、その上方にある押さえ板とで先端を保持し、後端の通過を待ち後端の通過と同時に保持を開放することで16折りする。16折りされた布片をコンベアD3の後端部にある32折り装置に供給する。
(6)<32折り工程>
16折り手段(8)から供給された布片のうち良品または破れ品は、32布片折り手段(9)によりコンベアE1とコンベアE2の間に突き込み動作し16折り状態の布片を32折りする。黒汚れ品の場合は、信号処理部からの信号によって本工程は不動作に制御され、ホルダーの外側に16折り状態で排出させる。32折りされた布片をコンベアE1とコンベアE2で狭持してスタッカーに供給する。
(7)<ストック工程>
一対のスタッカー板(10)を開くことにより32折り布片(良品)を落下させて積み重ね、破れ品は、信号処理部からの信号にもとづき排出口開平板(11)を開きスタッカー板(10)を不動作にすることでホルダーの外側に32折り状態で排出させる。
【0041】
なお、本実施例では、2つ折り工程でコンベアB1を反転させてコンベアAとコンベアB1の間に布片を送り込むようにしたが、コンベアB1を反転させずそのままホルダーの外側に排出するようにしてもよい。例えば、欠陥種別情報を検出することができずエラーとなった場合に、そのままホルダーの外側に排出して、人による補充的なチェックを行うようにしてもよい。
なおまた、上記実施例は、ホルダーのコンベア装置中で不良品の排出を行うべく構成したが、アイロナーからホルダーへ移送するコンベアに排出装置(リジェクタ(28))を設け、不良品を排出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】布片検査装置の正面図である。
【図2】布片検査装置の側面図である。
【図3】布片検査装置の信号処理部のブロック図である。
【図4】信号処理部の検査状態持のフローチャート図である。
【図5】信号処理部の調整状態持のフローチャート図である。
【図6】作動状態説明図である。
【図7】カラーマスク機能の説明図である。
【図8】カラーカメラによるRGBライン取り込みの説明図である。
【図9】図8のFの箇所を拡大した側面図である。
【図10】欠陥種別情報強調機能の説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 カラーカメラ
2 照明装置
3 回転検出器
4 検査台
5 2つ折り手段
6 4つ折り手段
7 8つ折り手段
8 16折り手段
9 32折り手段
10 スタッカー板
11 排出孔開閉板
12 ロールアイロナーコンベア
20 入力部
21 処理部
22 記憶部
23 検査状態記憶部
24 欠陥情報記憶部
25 出力部
26 照明コントローラ部
27 表示部
28 リジェクタ
30 コンベア装置
50 布片
51 非黒汚れ
52 破れ(穴)
53 黒汚れ(黒ないしは黒に近い色の汚れ)
60 検査板
61 白板
62 黒板
A1〜E2 ホルダーコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる色領域を有する検査板と、RGB成分からなる複数のラインを撮像可能なカラーカメラとを提供し、検査板上を通過させたシート状物品のRGB画像データを取得し、R成分画像、G成分画像およびB成分画像を合成した合成画像を取得し、当該合成画像において変色領域を検出し、変色領域の色が予め記憶した欠陥種別の設定パラメータの範囲に属するかにより欠陥種別を判定することを特徴とするシート状物品の検査方法。
【請求項2】
搬送装置に載置されたシート状物品のRGB画像データを取得し、当該RGB画像データにおける変色領域を検出し、当該変色領域の色が予め記憶した模様種別の設定パラメータの範囲に属する場合にはマスク処理をし、マスク処理後の領域について欠陥を判定することを特徴とするシート状物品の検査方法。
【請求項3】
予め模様種別と面積の対応情報を記憶し、変色領域の色が予め記憶した模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、面積の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする請求項2のシート状物品の検査方法。
【請求項4】
予め模様種別と縦横比の対応情報を記憶し、変色領域の色が予め記憶した模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、縦横比の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする請求項2または3のシート状物品の検査方法。
【請求項5】
指定色の色相成分を数値化し、当該数値に所定値を加減することで設定パラメータの範囲を設定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかのシート状物品の検査方法。
【請求項6】
予め記憶した設定パラメータの範囲に属する変色領域が検出された場合において、予め記憶した折り数と設定パラメータの範囲の対応情報に基づき、予め設定された折り数でシート状物品を折り畳み排出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかのシート状物品の検査方法。
【請求項7】
シート状物品が、色の再現性に幅のあるシート状物品であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかのシート状物品の検査方法。
【請求項8】
載置されたシート状物品を搬送する搬送装置と、搬送装置上のシート状物品を照明する照明装置と、搬送装置上のシート状物品のRGB画像データを取得する入力部と、入力部からのRGB画像データおよびシート状物品の欠陥情報を記憶する主記憶装置と、主記憶装置の記憶するRGB画像データにおける変色領域を検出し、欠陥を判定する処理部と、シート状物品を所定の場所に排出する排出手段とを備えたシート状物品の検査装置であって、
検査板上を通過させたシート状物品のRGB画像データを取得し、R成分画像、G成分画像およびB成分画像を合成した合成画像を取得し、当該合成画像において変色領域を検出し、変色領域の色が主記憶装置の記憶する欠陥種別の設定パラメータの範囲に属するかにより欠陥種別を判定することを特徴とするシート状物品の検査装置。
【請求項9】
載置されたシート状物品を搬送する搬送装置と、搬送装置上に配設された複数の異なる色領域を有する検査板と、搬送装置上のシート状物品を照明する照明装置と、搬送装置上のシート状物品のRGB画像データを取得する入力部と、入力部からのRGB画像データおよびシート状物品の欠陥情報を記憶する主記憶装置と、主記憶装置の記憶するRGB画像データにおける変色領域を検出し、欠陥を判定する処理部と、搬送装置に配設された複数の折り手段と、折数に応じてシート状物品を所定の場所に排出する排出手段とを備えたシート状物品の検査装置であって、
処理部が検出した変色領域の色が、主記憶装置の記憶する模様種別の設定パラメータの範囲に属する場合には、処理部が当該変色領域をマスク処理することを特徴とするシート状物品の検査装置。
【請求項10】
主記憶装置に予め模様種別と面積の対応情報が記憶されており、
処理部が、変色領域が主記憶装置の記憶する模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、面積の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする請求項9のシート状物品の検査装置。
【請求項11】
主記憶装置に予め模様種別と縦横比の対応情報が記憶されており、
処理部が、変色領域が主記憶装置の記憶する模様種別の設定パラメータの範囲に属し、且つ、縦横比の相関性がある場合に限りマスク処理を施すことを特徴とする請求項9または10のシート状物品の検査装置。
【請求項12】
主記憶装置の記憶する設定パラメータの範囲に属する変色領域が検出された場合において、予め記憶した折り数と設定パラメータの範囲の対応情報に基づき、予め設定された折り数でシート状物品を折り畳み排出することを特徴とする請求項9ないし11のいずれかのシート状物品の検査装置。
【請求項13】
処理部が、指定色の色相成分を数値化し、当該数値に所定値を加減することで設定パラメータの範囲を設定することを特徴とする請求項8ないし12のいずれかのシート状物品の検査装置。
【請求項14】
シート状物品が、色の再現性に幅のあるシート状物品であることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかのシート状物品の検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−256402(P2008−256402A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96498(P2007−96498)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】