説明

シート状物湾曲測定装置およびシート状物湾曲測定方法

【課題】シート状物の蛇行の有無に関わらず、テンションが付与された状態のシート状物の湾曲を精度良く測定する。
【解決手段】シート電極湾曲測定装置100に、シート電極11のシート面に当接するテンション検出用ローラ110と、テンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置121・122と、シート電極11の蛇行量を検出する蛇行量検出装置151・152と、蛇行量検出装置151・152により検出されるシート電極11の蛇行量に基づいてテンション検出装置121・122により検出されるテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の検出値を補正し、当該補正されたテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の検出値の差分に基づいてシート電極11の湾曲の有無を判定する湾曲判定装置160と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物の湾曲の有無、あるいは湾曲量を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン2次電池の正極の原材料となるシート電極の製造方法として、アルミニウムからなるシートのシート面に所定の活物質を塗布して乾燥することにより活物質層を形成し、活物質層が形成されたシートをローラ等でプレスすることにより活物質層の密度を上昇させる方法が知られている。
【0003】
上記方法においては、シートを構成する材料であるアルミニウムが柔らかく変形しやすいために、活物質層が形成されている部分および活物質層が形成されていない部分におけるシートの変形量(主としてローラの送り方向の変形量)が異なり、プレス後のシートに湾曲が生じるという問題がある。
シート電極に湾曲が生じると、リチウムイオン2次電池の製造時にシート電極を巻紙状に緩み無く巻くことおよび巻紙状に巻いたシート電極の端面を平坦に仕上げることが困難となり、作業性ひいては生産性が低下する。
【0004】
ここで、シート電極の湾曲量は、例えば特許文献1において以下の如く定義される。
すなわち、図6に示す如く、所定の長さに裁断され、かつテンションが付与されていない状態に保持されたシート電極11について、中心に向かって凹んだ形状となっている長手方向の端面の両端部を結ぶ直線15と直線15に平行かつ端面の凹みの底を通過する直線16との間の距離Hが湾曲量と定義される。
【0005】
上記シート電極の湾曲を抑制する方法としては、例えば特許文献2および特許文献3に記載の方法が知られている。
【0006】
特許文献2に記載の方法は、ロールでプレスした後のシート電極に長手方向(ローラの送り方向)のテンションを付与しつつシート電極を加熱し、シート電極に残留する不均一な歪みの分布を緩和することによりシート電極の湾曲を抑制するものである。
しかし、特許文献2では、シート電極の湾曲を抑制する方法を開示しているものの、シート電極の湾曲量を精度良く測定する方法については開示していない。
【0007】
特許文献3に記載の方法は、ロールでプレスした後のシート電極に矯正用のロールを当接し、ロールによるプレス時に変形量(長手方向の伸び量)が小さい部分に変形(長手方向の伸び)を付与することによりシート電極の湾曲を抑制するものである。
【0008】
従来、シート電極に限らずシート状の物品(以下、「シート状物」と表記する。)の湾曲量を測定する一般的な方法は、製造工程から取り出す等してテンションが付与されていない状態のシート状物を取得し、当該シート状物の形状の測定結果に基づいて湾曲量を算出するものである。
このようにテンションが付与されていない状態のシート状物について形状を測定するのは、テンションが付与されていない状態とテンションが付与されている状態ではシート状物の形状が大きく異なること、および一般にテンションが付与されている状態のシート状物の形状の測定結果に基づいて湾曲量を精度良く測定することが困難であることによる。
【0009】
しかし、製造工程で取り扱っている(例えば、ローラでプレスしたりリールに巻き取ったりしている)最中のシート状物は、通常はテンションが付与された状態となっていることから、製造工程で取り扱っている最中のシート状物の湾曲量を精度良く測定することが困難であるという問題がある。
【0010】
テンションが付与された状態のシート状物の形状を測定することによりシート状物の湾曲量を測定する方法としては、特許文献4に記載の方法が知られている。
【0011】
特許文献4に記載の方法は、シート状物に三つのローラを当接し、各ローラとの当接部位におけるシート状物の端面の位置をCCDセンサで撮影し、当該撮影されたシート状物の端面の位置についての画像情報、より具体的にはシート状物の端面の位置の基準位置に対するずれ量に基づいてシート状物の湾曲量を算出するものである。
【0012】
しかし、特許文献4に記載の方法は、CCDセンサにより検出されるシート状物の端面の位置の基準位置に対するずれが湾曲に起因するものかシート状物の蛇行(シート状物のローラの軸線方向への移動)に起因するものかを判別することができないため、シート状物の蛇行が起こり得る場合におけるシート状物の湾曲量の測定値の精度(信頼性)が低下するという問題がある。
【特許文献1】特開2001−76711号公報
【特許文献2】特開2005−93236号公報
【特許文献3】特開2003−100286号公報
【特許文献4】特開2004−177394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上の如き状況に鑑み、シート状物の蛇行の有無に関わらず、テンションが付与された状態のシート状物の湾曲を精度良く測定することが可能なシート状物湾曲測定装置およびシート状物湾曲測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
即ち、請求項1においては、
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラと、
前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置と、
前記シート状物の蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、
前記蛇行量検出装置により検出される前記シート状物の蛇行量に基づいて前記テンション検出装置により検出される前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値を補正し、当該補正された前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値の差分に基づいて前記シート状物の湾曲の有無を判定する湾曲判定装置と、
を具備するものである。
【0016】
請求項2においては、
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラと、
前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置と、
前記テンション検出用ローラを揺動する揺動アクチュエータと、
前記テンション検出用ローラの揺動量を検出する揺動量検出装置と、
前記シート状物の蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、
前記揺動アクチュエータの動作を制御して前記テンション検出装置により検出される前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の差分を所定の範囲内に保持するとともに、前記蛇行量検出装置により検出される前記シート状物の蛇行量に基づいて前記揺動量検出装置により検出される前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値を補正し、当該補正された前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値に基づいて前記シート状物の湾曲量を算出する湾曲量算出装置と、
を具備するものである。
【0017】
請求項3においては、
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラの一端および他端への作用力をそれぞれ検出するとともに、前記シート状物の蛇行量を検出するテンション・蛇行量検出工程と、
前記テンション・蛇行量検出工程において検出された前記シート状物の蛇行量に基づいて前記テンション・蛇行量検出工程において検出された前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値を補正する作用力検出値補正工程と、
前記作用力検出値補正工程において補正された前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値の差分に基づいて前記シート状物の湾曲の有無を判定する湾曲判定工程と、
を具備するものである。
【0018】
請求項4においては、
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラを揺動する揺動アクチュエータの動作を制御して前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の差分を所定の範囲内に保持しつつ前記テンション検出用ローラの揺動量を検出するとともに、前記シート状物の蛇行量を検出する揺動量・蛇行量検出工程と、
前記揺動量・蛇行量検出工程において検出された前記シート状物の蛇行量に基づいて前記揺動量・蛇行量検出工程において検出された前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値を補正する揺動量検出値補正工程と、
前記揺動量検出値補正工程において補正された前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値に基づいて前記シート状物の湾曲量を算出する湾曲量算出工程と、
を具備するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1においては、シート状物の蛇行の有無に関わらず、テンションが付与された状態のシート状物の湾曲の有無を精度良く判定することが可能であるという効果を奏する。
【0020】
請求項2においては、シート状物の蛇行の有無に関わらず、テンションが付与された状態のシート状物の湾曲量を精度良く測定することが可能であるという効果を奏する。
【0021】
請求項3においては、シート状物の蛇行の有無に関わらず、テンションが付与された状態のシート状物の湾曲の有無を精度良く判定することが可能であるという効果を奏する。
【0022】
請求項4においては、シート状物の蛇行の有無に関わらず、テンションが付与された状態のシート状物の湾曲量を精度良く測定することが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、図1を用いて、本発明に係るシート状物湾曲測定装置の第一実施例であるシート電極湾曲測定装置100について説明する。
シート電極湾曲測定装置100はシート電極製造装置1が取り扱うシート電極10の湾曲の有無を判定するものである。
【0024】
シート電極製造装置1は、シート電極10の活物質層10bの密度を上昇させる装置であり、ローラ2・3、スリッタ4等を具備する。
【0025】
シート電極10は本発明に係るシート状物の実施の一形態である。
ここで、「シート状物」は、本実施例のシート電極10に限定されず、例えば箔(フォイル)、織物、フィルム、紙等、薄い形状の物品を広く指す。また、シート状物を構成する材料は特に限定されず、金属材料、樹脂材料その他の材料あるいはこれらを組み合わせたものでも良い。
【0026】
シート電極10はリチウムイオン2次電池の正極の原材料となるものであり、アルミニウムからなるシート10aのシート面(広い面)の中央部に活物質を塗布して乾燥することにより活物質層10b(図1中の斜線を施した部分)を形成したものである。また、シート電極10の両側端部には活物質層10bを形成せず、シート10aのシート面を露出した状態としている。
リチウムイオン2次電池の正極を構成するシート電極の活物質としては、例えばコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等のリチウム複合酸化物が挙げられる。
なお、以下では説明の便宜上、シート電極10の長手方向(搬送方向)を「前後方向」、シート電極10(シート電極11・12)の巾方向を「左右方向」、シート電極10のシート面に垂直な方向を「上下方向」とする(図1参照)。
【0027】
ローラ2・3はシート電極10をプレスするものである。
ローラ2・3は図示せぬモータにより回転駆動され、シート電極10はローラ2・3の隙間を通過する。その結果、シート電極10はローラ2・3のローラ面に当接して上下方向にプレスされ、活物質層10bは圧縮されてその密度が上昇する。
【0028】
スリッタ4はローラ2・3によりプレスされたシート電極10を長手方向に沿って裁断し、二枚のシート電極11・12とするものである。
なお、以下の説明では、シート電極11において活物質層10bが形成されていない部分(シート10aのシート面が露出した部分)を「未塗工部」、活物質層10bが形成されている部分を「塗工部」と呼ぶこととする。
【0029】
シート電極湾曲測定装置100は主としてテンション検出用ローラ110、テンション検出装置121・122、蛇行量検出装置151・152、湾曲判定装置160等を具備する。
【0030】
テンション検出用ローラ110は本発明に係るテンション検出用ローラの実施の一形態であり、シート電極11に当接するローラである。テンション検出用ローラ110はローラ2・3の前方に配置される。
【0031】
テンション検出装置121・122は本発明に係るテンション検出装置の実施の一形態である。
テンション検出装置121はテンション検出用ローラ110の一端(未塗工部側の側端部)を回転可能に軸支するとともに、テンション検出用ローラ110の一端(未塗工部側の端部)への作用力を検出するものである。
テンション検出装置122はテンション検出用ローラ110の他端(塗工部側の端部)を回転可能に軸支するとともに、テンション検出用ローラ110の他端(塗工部側の端部)への作用力を検出するものである。
ここで、「テンション検出用ローラ110の未塗工側端部」は、テンション検出用ローラ110の両端のうちテンション検出用ローラ110に当接するシート電極11の未塗工部に近い方の端部(本実施例では右端)を指し、「テンション検出用ローラ110の塗工側端部」は、テンション検出用ローラ110の両端のうちテンション検出用ローラ110に当接するシート電極11の未塗工部に遠い方の端部(本実施例では左端)を指す。
【0032】
テンション検出用ローラ110の一端(未塗工部側の端部)および他端(塗工部側の端部)への作用力は、いずれもテンション検出用ローラ110に当接するシート電極11のテンション(張力)により生じる。
テンション検出装置121・122は、それぞれ内部にロードセル、歪みゲージ、差動変圧器等の作用力(あるいは作用力に応じた変位量)を検出するためのデバイスを具備し、地面(床面)あるいは所定の構造体(不図示)に固定される。
【0033】
テンション検出用ローラ110に当接するシート電極11が全く湾曲しておらず、かつ、シート電極11がテンション検出用ローラ110に正対して当接している(シート電極11がテンション検出用ローラ110に対して蛇行していない)場合には、シート電極11下側のシート面がテンション検出用ローラ110に左右方向(テンション検出用ローラ110の軸線方向)に関して均等に当接する。また、シート電極11のテンションに起因するテンション検出用ローラ110への作用力の軸線方向の分布は左右対称となる。
従って、テンション検出用ローラ110の一端への作用力(テンション検出装置121により検出される作用力)とテンション検出用ローラ110の他端への作用力(テンション検出装置122により検出される作用力)とが同じ大きさとなる。言い換えれば、テンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の差分はゼロとなる。
【0034】
テンション検出用ローラ110に当接するシート電極11が湾曲しており、かつ、シート電極11がテンション検出用ローラ110に正対している場合には、シート電極11の中心に向かって凹んだ形状となっている方の端部(本実施例の場合、通常は未塗工部側の端部)がテンション検出用ローラ110に強く当接する。また、テンション検出用ローラ110におけるシート電極11との当接部は、シート電極11がテンション検出用ローラ110に正対していることからテンション検出用ローラ110の右半部(テンション検出用ローラ110の左右中心よりも右寄りとなる部位)に位置することとなる。
従って、テンション検出用ローラ110の一端への作用力(テンション検出装置121により検出される作用力)はテンション検出用ローラ110の他端への作用力(テンション検出装置122により検出される作用力)よりも大きくなる。言い換えれば、テンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の差分はゼロでない値となる。
【0035】
テンション検出用ローラ110に当接するシート電極11が湾曲しておらず、かつ、シート電極11がテンション検出用ローラ110に対して蛇行している(シート電極11がテンション検出用ローラ110に正対していない)場合には、シート電極11下側のシート面がテンション検出用ローラ110に左右方向に関して均等に当接するものの、シート電極11のテンションに起因するテンション検出用ローラ110への作用力の軸線方向の分布は左右方向で対称とならず、テンション検出用ローラ110の左右いずれかの端部に偏った分布となる。
従って、シート電極11がテンション検出用ローラ110に対して右寄りに蛇行している場合には、テンション検出用ローラ110の一端への作用力(テンション検出装置121により検出される作用力)はテンション検出用ローラ110の他端への作用力(テンション検出装置122により検出される作用力)よりも大きくなる。
また、シート電極11がテンション検出用ローラ110に対して左寄りに蛇行している場合には、テンション検出用ローラ110の一端への作用力(テンション検出装置121により検出される作用力)はテンション検出用ローラ110の他端への作用力(テンション検出装置122により検出される作用力)よりも小さくなる。
このように、シート電極11がテンション検出用ローラ110に対して蛇行している場合には、シート電極11が湾曲していない状態でもテンション検出用ローラ110の一端への作用力(テンション検出装置121により検出される作用力)とテンション検出用ローラ110の他端への作用力(テンション検出装置122により検出される作用力)とが同じ大きさとはならない。
【0036】
蛇行量検出装置151・152は本発明に係る蛇行量検出装置の実施の一形態であり、シート電極11の(テンション検出用ローラ110における)蛇行量を検出するものである。
【0037】
蛇行量検出装置151はCCDイメージセンサからなり、取得した画像情報に基づいてシート電極11の未塗工部側の端部(右端)の位置を検出する。蛇行量検出装置151はシート電極11におけるテンション検出用ローラ110との当接部位よりもややロール2・3寄りであって、かつシート電極11の未塗工部側の端部に対向する位置に配置される。
蛇行量検出装置152はCCDイメージセンサからなり、取得した画像情報に基づいてシート電極11の塗工部側の端部(左端)の位置を検出する。蛇行量検出装置152はシート電極11におけるテンション検出用ローラ110との当接部位よりもややロール2・3寄りであって、かつシート電極11の塗工部側の端部に対向する位置に配置される。
【0038】
シート電極11の未塗工部側の端部(右端)の位置および蛇行量検出装置152により検出されるシート電極11の塗工部側の端部(左端)の位置に基づいて、本来シート電極11がテンション検出用ローラ110に当接すべき位置からのテンション検出用ローラ110の軸線方向(左右方向)へのずれ量、すなわちシート電極11のテンション検出用ローラ110における蛇行量を算出することが可能である。
なお、本実施例の蛇行量検出装置151・152はCCDイメージセンサからなる構成としたが、本発明に係る蛇行量検出装置はこれに限定されず、他の構成でも良い。
本発明に係る蛇行量検出装置の他の構成の例としては、(1)赤外光等の光を用いた光学式のセンサ(リニアセンサを含む)、(2)超音波式のセンサ、(3)空圧式のセンサ等が挙げられる。蛇行量検出装置としてどのような構成のものを用いるかは、検出対象であるシート状物の性状、例えば色(透明か否かを含む)、通気性の有無、感光性の有無等により適宜選択することが可能である。本発明に係る蛇行量検出装置は専用品でも良いが、市販品を用いて達成することも可能である。
【0039】
湾曲判定装置160は本発明に係る湾曲判定装置の実施の一形態であり、シート電極11の湾曲の有無を判定するものである。
湾曲判定装置160は主として判定部161、入力部162、表示部163等を具備する。
【0040】
判定部161はシート電極11の湾曲の有無の判定に係る種々のプログラム(後述する作用力検出値補正プログラム、湾曲判定プログラム等)やデータテーブル等を格納し、これらのプログラム等を展開し、展開されたプログラムに従って所定の演算を行い、当該演算結果(すなわち湾曲の有無の判定結果)を保管することが可能である。
判定部161は、実体的にはCPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。
本実施例の判定部161は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム群を格納したもので達成することも可能である。
【0041】
判定部161はテンション検出装置121に接続され、テンション検出装置121により検出されるテンション検出用ローラ110の一端(未塗工部側の端部)への作用力に係る情報(作用力の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
判定部161はテンション検出装置122に接続され、テンション検出装置122により検出されるテンション検出用ローラ110の他端(塗工部側の端部)への作用力に係る情報(作用力の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
判定部161は蛇行量検出装置151・152に接続され、蛇行量検出装置151・152により検出されるシート電極11の未塗工部側の端部(右端)の位置およびシート電極11の塗工部側の端部(左端)の位置に係る情報、ひいてはシート電極11のテンション検出用ローラ110における蛇行量に係る情報(蛇行量の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
【0042】
判定部161は、格納されている作用力検出値補正プログラムに従い、蛇行量検出装置151・152から取得したシート電極11のテンション検出用ローラ110における蛇行量(の検出値)に基づいて、テンション検出装置121から取得したテンション検出用ローラ110の一端への作用力の検出値およびテンション検出装置122から取得したテンション検出用ローラ110の他端への作用力の検出値を補正する。
より具体的には、判定部161は予め実験により求められた「シート電極11のテンション検出用ローラ110における蛇行量とテンション検出用ローラ110の一端への作用力との関係」および「シート電極11のテンション検出用ローラ110における蛇行量とテンション検出用ローラ110の他端への作用力との関係」についてのデータテーブルまたは関係式を格納しており、テンション検出装置121から取得したテンション検出用ローラ110の一端への作用力の検出値およびテンション検出装置122から取得したテンション検出用ローラ110の他端への作用力の検出値を当該データテーブルと比較または当該関係式に代入することにより、「テンション検出用ローラ110の一端への作用力の補正値(テンション検出用ローラ110の一端への作用力の検出値からシート電極11の蛇行の影響を除去したもの)」および「テンション検出用ローラ110の他端への作用力の補正値(テンション検出用ローラ110の他端への作用力の検出値からシート電極11の蛇行の影響を除去したもの)」を算出する。
【0043】
判定部161は、格納されている湾曲判定プログラムに従い、「テンション検出用ローラ110の一端への作用力の補正値」および「テンション検出用ローラ110の他端への作用力の補正値」の差分に基づいてシート電極11の湾曲の有無を判定する。
より具体的には、判定部161は予め実験により求められた「シート電極11の湾曲が無い場合、または湾曲が有るが製造工程上は許容範囲にある場合のテンション検出用ローラ110の一端およびテンション検出用ローラ110の他端への作用力の検出値の差分の範囲(許容差分範囲)」に係る情報を格納しており、「テンション検出用ローラ110の一端への作用力の補正値およびテンション検出用ローラ110の他端への作用力の補正値の差分」と「許容差分範囲」とを比較し、「テンション検出用ローラ110の一端への作用力の補正値およびテンション検出用ローラ110の他端への作用力の補正値の差分」が「許容差分範囲」内にある場合にはシート電極11には湾曲が無いと判定し、「テンション検出用ローラ110の一端への作用力の補正値およびテンション検出用ローラ110の他端への作用力の補正値の差分」が「許容差分範囲」外にある場合にはシート電極11には(製造工程上許容することができない)湾曲が有ると判定する。
【0044】
入力部162は判定部161に接続され、判定部161にシート電極湾曲測定装置100の動作に係る種々の情報・指示等を入力するものである。
本実施例の入力部162は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
【0045】
表示部163はシート電極湾曲測定装置100の動作状況、入力部162から判定部161への入力内容、シート電極湾曲測定装置100による測定結果(湾曲の有無の判定結果)等を表示するものである。
本実施例の表示部163は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
【0046】
また、市販のタッチパネル等を用いて入力部162としての機能と表示部163としての機能を一体化したものを達成することが可能である。
【0047】
以上の如く、シート電極湾曲測定装置100は、
シート電極11のシート面に当接するテンション検出用ローラ110と、
テンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置121・122と、
シート電極11の(テンション検出用ローラ110における)蛇行量を検出する蛇行量検出装置151・152と、
蛇行量検出装置151・152により検出されるシート電極11の蛇行量に基づいてテンション検出装置121・122により検出されるテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の検出値を補正し、当該補正されたテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の検出値(補正値)の差分に基づいてシート電極11の湾曲の有無を判定する湾曲判定装置160と、
を具備するものである。
【0048】
このように構成することにより、シート電極11の蛇行の有無に関わらず(シート電極11の蛇行の影響を除去して)、テンションが付与された状態のシート電極11の湾曲の有無を精度良く測定(判定)することが可能である。
また、インラインで(製造工程で取り扱われている最中の)シート電極11の湾曲の有無を測定可能であり、製造工程における作業性の向上に寄与する。
【0049】
以下では、図2および図3を用いて、本発明に係るシート状物湾曲測定装置の第二実施例であるシート電極湾曲測定装置200について説明する。
シート電極湾曲測定装置200はシート電極製造装置1が取り扱うシート電極10の湾曲量を測定するものである。
本実施例では、図2に示すシート電極製造装置1およびシート電極10は図1に示すものと略同じであることから説明を省略する。
【0050】
シート電極湾曲測定装置200は主としてテンション検出用ローラ210、テンション検出装置221・222、揺動用油圧シリンダ230、揺動量検出装置240、蛇行量検出装置251・252、湾曲量算出装置260等を具備する。
【0051】
テンション検出用ローラ210は本発明に係るテンション検出用ローラの実施の一形態であり、シート電極11に当接するローラである。テンション検出用ローラ210はローラ2・3の前方に配置される。
【0052】
テンション検出装置221・222は本発明に係るテンション検出装置の実施の一形態である。テンション検出装置221・222の構成は基本的には図1におけるテンション検出装置121・122の構成と略同じであるが、テンション検出装置221・222はその基部が揺動ブラケット223に固定される点においてテンション検出装置121・122と異なる。
揺動ブラケット223はテンション検出装置221・222が固定される部材であり、枢着軸224により地面(床面)あるいは所定の構造体(不図示)に回動可能に枢着される。
【0053】
揺動用油圧シリンダ230は本発明に係る揺動アクチュエータの実施の一形態であり、テンション検出用ローラ210を揺動するものである。
揺動用油圧シリンダ230は油圧シリンダであり、シリンダロッド231の先端部は揺動ブラケット223の側端部に回動可能に枢着され、シリンダ本体232は地面(床面)あるいは所定の構造体(不図示)に回動可能に枢着される。
図2および図3に示す如く、揺動用油圧シリンダ230が伸長・収縮(シリンダロッド231がシリンダ本体232から突出またはシリンダ本体232に没入)すると、テンション検出用ローラ210、テンション検出装置221・222および揺動ブラケット223を合わせたものは枢着軸224を中心に水平面(テンション検出用ローラ210よりも上流側に位置するシート電極11のシート面に略平行な面)に沿って回動する。
このように、揺動用油圧シリンダ230を動作させることにより、テンション検出用ローラ210をシート電極11に対して揺動することが可能である。
【0054】
本実施例ではテンション検出用ローラ210を水平面に沿って回動することによりテンション検出用ローラ210をシート電極11に対して揺動する構成としたが、本発明におけるテンション検出用ローラの揺動の態様はこれに限定されるものではない。
また、本発明における揺動用アクチュエータは本実施例の如き油圧シリンダに限定されず、空圧シリンダやモータ(電気式、油圧式)等でも良い。
【0055】
揺動量検出装置240は本発明に係る揺動量検出装置の実施の一形態であり、テンション検出用ローラ210の揺動量を検出するものである。
本実施例の場合、図3に示す如きテンション検出用ローラ210の水平面に沿った回動角θがテンション検出用ローラ210の揺動量に相当する。
【0056】
なお、本発明における「テンション検出用ローラの揺動量」は、テンション検出用ローラの揺動による姿勢または位置の変化を定量的に表すことが可能な指標であれば良く、本実施例におけるテンション検出用ローラ210の水平面に沿った回動角θに限定されるものではない。
テンション検出用ローラの揺動量の他の例としては、テンション検出装置の位置の変位量や揺動用アクチュエータの動作量(例えば、揺動用油圧シリンダ230の伸長・収縮長さ)が挙げられる。
【0057】
揺動量検出装置240の具体例としては差動変圧器、レゾルバ、インダクトシン、マグネスケール、ポテンショメータ、光学式リニアエンコーダ、光学式ロータリーエンコーダ、超音波変位センサ等の種々のセンサ類が挙げられ、テンション検出用ローラ210の揺動量として用いられる指標に応じて適宜選択することが可能である。
【0058】
蛇行量検出装置251・252は本発明に係る蛇行量検出装置の実施の一形態であり、シート電極11の(テンション検出用ローラ210における)蛇行量を検出するものである。
蛇行量検出装置251・252は図1に示す蛇行量検出装置151・152と基本的には略同じ構成であることから、蛇行量検出装置251・252については詳細な説明を省略する。
【0059】
湾曲量算出装置260は本発明に係る湾曲判定装置の実施の一形態であり、シート電極11の湾曲量を算出するものである。
湾曲量算出装置260は主として算出部261、入力部262、表示部263等を具備する。
【0060】
算出部261はシート電極11の湾曲量の算出に係る種々のプログラム(後述する揺動アクチュエータ動作制御プログラム、揺動量検出値補正プログラム、湾曲量算出プログラム等)やデータテーブル等を格納し、これらのプログラム等を展開し、展開されたプログラムに従って所定の演算を行い、当該演算結果(すなわち湾曲量の算出結果)を保管することが可能である。
算出部261は、実体的にはCPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。
本実施例の算出部261は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム群を格納したもので達成することも可能である。
【0061】
算出部261はテンション検出装置221に接続され、テンション検出装置221により検出されるテンション検出用ローラ210の一端(未塗工部側の端部)への作用力に係る情報(作用力の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
算出部261はテンション検出装置222に接続され、テンション検出装置222により検出されるテンション検出用ローラ210の他端(塗工部側の端部)への作用力に係る情報(作用力の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
算出部261は揺動量検出装置240に接続され、揺動量検出装置240により検出されるテンション検出用ローラ210の揺動量に係る情報(揺動量の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
算出部261は蛇行量検出装置251・252に接続され、蛇行量検出装置251・252により検出されるシート電極11の未塗工部側の端部(右端)の位置およびシート電極11の塗工部側の端部(左端)の位置に係る情報、ひいてはシート電極11のテンション検出用ローラ210における蛇行量に係る情報(蛇行量の検出値)を電気信号の形で取得することが可能である。
【0062】
算出部261は揺動用油圧シリンダ230、厳密には揺動用油圧シリンダ230に作動油を供給する供給経路の中途部に設けられた電磁弁(不図示)に接続され、当該電磁弁に開閉動作を行うための電気信号を送信し、当該電磁弁の開閉動作を制御することが可能である。
従って、算出部261は当該電磁弁の開閉動作により揺動用油圧シリンダ230の動作(伸長・収縮)の制御、ひいてはテンション検出用ローラ210の揺動量の調整を行うことが可能である。
【0063】
算出部261は、格納されている揺動アクチュエータ動作制御プログラムに従い、揺動用油圧シリンダ230の動作を制御して、「テンション検出装置221により検出されるテンション検出用ローラ210の一端への作用力およびテンション検出装置222により検出されるテンション検出用ローラ210の他端への作用力の差分(の大きさ)」を所定の範囲内に保持する。
【0064】
本実施例の場合、シート電極11の湾曲する方向が予想可能である(通常は未塗工側端部がシート電極11の中心に向かって凹む形状に湾曲する)ことから、算出部261は、テンション検出装置221により検出されるテンション検出用ローラ210の一端への作用力およびテンション検出装置222により検出されるテンション検出用ローラ210の他端への作用力の差分(の絶対値)が所定の閾値よりも大きいときは、テンション検出用ローラ210の回動角θが「シート電極11のシート面がテンション検出用ローラ210に均等に当接する角度」に到達していないと判定し、徐々に揺動用油圧シリンダ230を収縮させてテンション検出用ローラ210の回動角θを大きくする。
また、算出部261は、テンション検出装置221により検出されるテンション検出用ローラ210の一端への作用力およびテンション検出装置222により検出されるテンション検出用ローラ210の他端への作用力の差分(の絶対値)が所定の閾値以下となったときは、テンション検出用ローラ210の回動角θが「シート電極11のシート面がテンション検出用ローラ210に均等に当接する角度」を超えていると判定し、徐々に揺動用油圧シリンダ230を伸長させてテンション検出用ローラ210の回動角θを小さくする。
このようにして、テンション検出用ローラ210の回動角θ、すなわちテンション検出用ローラ210の揺動量は「シート電極11のシート面がテンション検出用ローラ210に均等に当接する角度」に保持され、ひいては「テンション検出装置221により検出されるテンション検出用ローラ210の一端への作用力およびテンション検出装置222により検出されるテンション検出用ローラ210の他端への作用力の差分(の大きさ)」が所定の範囲内に保持される。
【0065】
算出部261は、格納されている揺動量検出値補正プログラムに従い、「テンション検出装置221により検出されるテンション検出用ローラ210の一端への作用力およびテンション検出装置222により検出されるテンション検出用ローラ210の他端への作用力の差分(の大きさ)」を所定の範囲内に保持している状態において、蛇行量検出装置251・252により検出されるシート電極11の蛇行量に基づいて揺動量検出装置240により検出されるテンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)の検出値を補正する。
より具体的には、算出部261は予め実験により求められた「シート電極11のテンション検出用ローラ210における蛇行量とテンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)との関係」についてのデータテーブルまたは関係式を格納しており、揺動量検出装置240から取得したテンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)の検出値を当該データテーブルと比較または当該関係式に代入することにより、「テンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)の補正値(テンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)の検出値からシート電極11の蛇行の影響を除去したもの)」を算出する。
【0066】
算出部261は、格納されている湾曲量算出プログラムに従い、「テンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)の補正値」に基づいてシート電極11の湾曲量を算出する。
より具体的には、算出部261は予め実験により求められた「テンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)とシート電極11の湾曲量との関係」についてのデータテーブルまたは関係式を格納しており、「テンション検出用ローラ210の揺動量(回動角θ)の補正値」を当該データテーブルと比較または当該関係式に代入することにより、シート電極11の湾曲量を算出する。
【0067】
入力部262は算出部261に接続され、算出部261にシート電極湾曲測定装置200の動作に係る種々の情報・指示等を入力するものである。
本実施例の入力部262は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
【0068】
表示部263はシート電極湾曲測定装置200の動作状況、入力部262から算出部261への入力内容、シート電極湾曲測定装置200による測定結果(湾曲量の算出結果)等を表示するものである。
本実施例の表示部263は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
【0069】
また、市販のタッチパネル等を用いて入力部262としての機能と表示部263としての機能を一体化したものを達成することが可能である。
【0070】
以上の如く、シート電極湾曲測定装置200は、
シート電極11のシート面に当接するテンション検出用ローラ210と、
テンション検出用ローラ210の一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置221・222と、
テンション検出用ローラ210を揺動する揺動用油圧シリンダ230と、
テンション検出用ローラ210の揺動量を検出する揺動量検出装置240と、
シート電極11の(テンション検出用ローラ210における)蛇行量を検出する蛇行量検出装置251・252と、
揺動用油圧シリンダ230の動作を制御して前記テンション検出装置により検出されるテンション検出用ローラ210の一端および他端への作用力の差分を所定の範囲内に保持するとともに、蛇行量検出装置151・152により検出されるシート電極11の蛇行量に基づいて揺動量検出装置240により検出されるテンション検出用ローラ210の揺動量の検出値を補正し、当該補正されたテンション検出用ローラ210の揺動量の検出値(補正値)に基づいてシート電極11の湾曲量を算出する湾曲量算出装置260と、
を具備するものである。
【0071】
このように構成することにより、シート電極11の蛇行の有無に関わらず(シート電極11の蛇行の影響を除去して)、テンションが付与された状態のシート電極11の湾曲量を精度良く測定することが可能である。
また、インラインで(製造工程で取り扱われている最中の)シート電極11の湾曲量を測定可能であり、製造工程における作業性の向上に寄与する。
【0072】
以下では、図4を用いて本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第一実施例について説明する。
本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第一実施例はシート電極湾曲測定装置100を用いてシート電極11の湾曲の有無を判定する方法であり、テンション・蛇行量検出工程S1100、作用力検出値補正工程S1200、湾曲判定工程S1300を具備する。
【0073】
テンション・蛇行量検出工程S1100はシート電極11のシート面に当接するテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力をそれぞれ検出するとともに、シート電極11の蛇行量を検出する工程である。
【0074】
作用力検出値補正工程S1200はテンション・蛇行量検出工程S1100において検出されたシート電極11の蛇行量に基づいてテンション・蛇行量検出工程S1100において検出されたテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の検出値を補正する工程である。
【0075】
湾曲判定工程S1300は作用力検出値補正工程S1200において補正されたテンション検出用ローラ110の一端および他端への作用力の検出値の差分に基づいてシート電極11の湾曲の有無を判定する工程である。
【0076】
以上の如く本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第一実施例を構成することにより、シート電極11の蛇行の有無に関わらず(シート電極11の蛇行の影響を除去して)、テンションが付与された状態のシート電極11の湾曲の有無を精度良く測定(判定)することが可能である。
また、インラインで(製造工程で取り扱われている最中の)シート電極11の湾曲の有無を測定可能であり、製造工程における作業性の向上に寄与する。
【0077】
以下では、図5を用いて本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第二実施例について説明する。
本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第二実施例はシート電極湾曲測定装置200を用いてシート電極11の湾曲量を測定する方法であり、揺動量・蛇行量検出工程S2100、揺動量検出値補正工程S2200、湾曲量算出工程S2300を具備する。
【0078】
揺動量・蛇行量検出工程S2100はシート電極11のシート面に当接するテンション検出用ローラ210を揺動する揺動用油圧シリンダ230の動作を制御してテンション検出用ローラ210の一端および他端への作用力の差分を所定の範囲内に保持しつつテンション検出用ローラ210の揺動量を検出するとともに、シート電極11の蛇行量を検出する工程である。
【0079】
揺動量検出値補正工程S2200は揺動量・蛇行量検出工程S2100において検出されたシート電極11の蛇行量に基づいて揺動量・蛇行量検出工程S2100において検出されたテンション検出用ローラ210の揺動量の検出値を補正する工程である。
【0080】
湾曲量算出工程S2300は揺動量検出値補正工程S2200において補正されたテンション検出用ローラ210の揺動量の検出値に基づいてシート電極11の湾曲量を算出する工程である。
【0081】
以上の如く本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第二実施例を構成することにより、シート電極11の蛇行の有無に関わらず(シート電極11の蛇行の影響を除去して)、テンションが付与された状態のシート電極11の湾曲量を精度良く測定することが可能である。
また、インラインで(製造工程で取り扱われている最中の)シート電極11の湾曲量を測定可能であり、製造工程における作業性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係るシート状物湾曲測定装置の第一実施例を示す図。
【図2】本発明に係るシート状物湾曲測定装置の第二実施例を示す図。
【図3】本発明に係るシート状物湾曲測定装置の第二実施例の要部平面図。
【図4】本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第一実施例を示すフロー図。
【図5】本発明に係るシート状物湾曲測定方法の第二実施例を示すフロー図。
【図6】シート状物の湾曲量を示す図。
【符号の説明】
【0083】
11 シート電極(シート状物)
100 シート電極湾曲測定装置(第一実施例)
110 テンション検出用ローラ
121・122 テンション検出装置
151・152 蛇行量検出装置
160 湾曲判定装置
200 シート電極湾曲測定装置(第二実施例)
210 テンション検出用ローラ
221・222 テンション検出装置
230 揺動用油圧シリンダ(揺動用アクチュエータ)
240 揺動量検出装置
251・252 蛇行量検出装置
260 湾曲量算出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラと、
前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置と、
前記シート状物の蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、
前記蛇行量検出装置により検出される前記シート状物の蛇行量に基づいて前記テンション検出装置により検出される前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値を補正し、当該補正された前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値の差分に基づいて前記シート状物の湾曲の有無を判定する湾曲判定装置と、
を具備するシート状物湾曲測定装置。
【請求項2】
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラと、
前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力をそれぞれ検出するテンション検出装置と、
前記テンション検出用ローラを揺動する揺動アクチュエータと、
前記テンション検出用ローラの揺動量を検出する揺動量検出装置と、
前記シート状物の蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、
前記揺動アクチュエータの動作を制御して前記テンション検出装置により検出される前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の差分を所定の範囲内に保持するとともに、前記蛇行量検出装置により検出される前記シート状物の蛇行量に基づいて前記揺動量検出装置により検出される前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値を補正し、当該補正された前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値に基づいて前記シート状物の湾曲量を算出する湾曲量算出装置と、
を具備するシート状物湾曲測定装置。
【請求項3】
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラの一端および他端への作用力をそれぞれ検出するとともに、前記シート状物の蛇行量を検出するテンション・蛇行量検出工程と、
前記テンション・蛇行量検出工程において検出された前記シート状物の蛇行量に基づいて前記テンション・蛇行量検出工程において検出された前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値を補正する作用力検出値補正工程と、
前記作用力検出値補正工程において補正された前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の検出値の差分に基づいて前記シート状物の湾曲の有無を判定する湾曲判定工程と、
を具備するシート状物湾曲測定方法。
【請求項4】
シート状物のシート面に当接するテンション検出用ローラを揺動する揺動アクチュエータの動作を制御して前記テンション検出用ローラの一端および他端への作用力の差分を所定の範囲内に保持しつつ前記テンション検出用ローラの揺動量を検出するとともに、前記シート状物の蛇行量を検出する揺動量・蛇行量検出工程と、
前記揺動量・蛇行量検出工程において検出された前記シート状物の蛇行量に基づいて前記揺動量・蛇行量検出工程において検出された前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値を補正する揺動量検出値補正工程と、
前記揺動量検出値補正工程において補正された前記テンション検出用ローラの揺動量の検出値に基づいて前記シート状物の湾曲量を算出する湾曲量算出工程と、
を具備するシート状物湾曲測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−216215(P2008−216215A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57909(P2007−57909)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】