説明

シート状部材のワイヤ角度算出方法及びその装置

【課題】 シート状部材を切断しながらワイヤの切断角度を正確に算出することのできるシート状部材のワイヤ角度算出方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 シート状部材400のワイヤによる磁気の変化を検出装置120A,120Bによって検出し、検出した磁気が変化したときの検出装置120A,120Bの位置に基づいてシート状部材400の幅方向両端のワイヤの位置e1,e2をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離LAを算出し、カッター230からワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置の磁気を磁気抵抗検出器によって検出し、検出した磁気が変化したときのカッター230の位置に基づいてシート状部材400の幅方向両端のワイヤの位置e1,e2をそれぞれ検出するとともに、シート状部材400の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離LBを算出し、算出距離LAと算出距離LBに基づいて切断方向に対するワイヤの角度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタイヤの製造工程において、複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材をカッターによって切断しながら、ワイヤの切断角度を算出するためのシート状部材のワイヤ角度算出方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのカーカス材、ベルト材等、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材は、ワイヤの長手方向に対して90度や20〜30度等の所定角度に切断しているが、仕様通りの角度に切断できていない場合があり、シート状部材の切断角度が要求精度を満たすか否かを検査する必要がある。
【0003】
このため、従来は、シート状部材の切断面の長さ及び幅の長さをそれぞれ測定してワイヤの切断角度を求めていた。しかし、シート状部材の幅方向両端部にはいわゆる耳ゴムが形成され、また、この耳ゴムの量(長さ)は一定ではないため、耳ゴムを含むシート状部材の切断面の長さ及び幅の長さを測定し切断角度を求めても、ワイヤの切断角度を正確に算出しているとは言えなかった。
【0004】
従来、この種の角度測定装置として、導電性コードを含んでプライ長さ方向に対して斜めにかつ各平行に並置されたコードのタイヤ赤道に対する傾斜角度を検査するコードプライのコード角度測定方法であって、切断されコードが露出したコードプライの幅方向両側端面にそれぞれ接触するように電極列を配置し、コードを介して導通が検知された各電極の位置からコードの傾斜角度を検査するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2002−59489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に開示される従来の装置では、コードプライを切断した後、両側端面に配置した電極列によって露出したコードを介して導通を検知しており、コードプライを切断して切断面にコードが露出した後でなければ傾斜角度を検査することはできない。
【0006】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、シート状部材を切断しながらワイヤの切断角度を正確に算出することのできるシート状部材のワイヤ角度算出方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材を、ワイヤの長手方向と所定角度をなす方向に移動するカッターによって切断しながら、切断方向に対するワイヤの角度を算出するシート状部材のワイヤ角度算出方法であって、前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化をワイヤと直交するように前記シート状部材の幅方向に移動する第1磁気検出器によって検出し、検出した磁気が変化したときの第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第1の距離として算出し、前記カッターと該カッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気をカッターとともに移動する第2磁気検出器によって検出し、検出した磁気が変化したときのカッターの位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第2の距離として算出し、第1の距離と第2の距離を直角三角形の二辺としてその関係からワイヤの角度を算出するワイヤ角度算出方法を提案する。
【0008】
また、本発明は前記目的を達成するために、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材を、ワイヤの長手方向と所定角度をなす方向に移動するカッターによって切断しながら、切断方向に対するワイヤの角度を算出するシート状部材のワイヤ角度算出装置であって、前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化を検出する第1磁気検出器と、該第1磁気検出器の位置を検出する磁気検出器位置検出手段と、前記第1磁気検出器をワイヤと直交するように前記シート状部材の幅方向に移動する磁気検出器移動手段と、前記カッターと該カッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気を検出する第2磁気検出器と、前記カッターの位置を検出するカッター位置検出手段と、前記第2磁気検出器とともに前記カッターを移動するカッター移動手段とを備え、前記第1磁気検出器によって検出された磁気が変化したときの第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第1の距離として算出し、前記第2磁気検出器によって検出された磁気が変化したときのカッターの位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第2の距離として算出し、第1の距離と第2の距離を直角三角形の二辺としてその関係からワイヤの角度を算出するように構成したワイヤ角度算出装置を提案する。
【0009】
本発明によれば、第1磁気検出器によってシート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化が検出され、検出した磁気が変化したときの第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置がそれぞれ検出されるとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離として第1の距離(LA)が算出され、第2磁気検出器によってカッターとこのカッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気が検出され、検出した磁気が変化したときのカッターの位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置がそれぞれ検出されるとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離として第2の距離(LB)が算出され、第1の距離(LA)と第2の距離(LB)を直角三角形の二辺としてその関係から切断方向に対するワイヤの角度が算出されることから、例えばSinθ=LA/LBの関係から、シート状部材を切断しながらシート状部材のワイヤの切断角度(θ)を算出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Sinθ=LA/LBの関係から、シート状部材を切断しながらシート状部材のワイヤの切断角度(θ)を算出することができるので、例えばタイヤのカーカス材、ベルト材等のシート状部材を所定角度に切断する際に、耳ゴムを含むシート状部材におけるワイヤの切断角度を正確に算出することができ、ワイヤの切断角度が要求精度を満たすか否かを的確に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図13は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は本発明の第1実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置を示す平面図、図2は図1におけるA−A線矢視方向拡大断面図、図3は図1におけるB−B線矢視方向拡大断面図、図4は図1におけるC−C線矢視方向拡大断面図、図5は図1におけるD−D線矢視方向拡大断面図、図6は本発明の第1実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の電気系回路を示すブロック図、図7乃至図10は本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図、図11乃至図13は本発明の第1実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図、図14乃至図17は本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図、図18乃至図25は本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図、図26は本発明の第1実施形態における幅算出機構部と切断機後部の配置を説明する要部拡大図、図27は本発明の第1実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの変位角度の算出を説明する要部拡大図、図28は本発明の第1実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の動作を説明する全体フローチャート、図29は図28に示した幅算出処理の動作を説明するフローチャート、図30は図28に示した切断処理の動作を説明するフローチャート、図31は図28に示した角度算出処理の動作を説明するフローチャートである。
【0012】
図において、1はワイヤ切断角度算出装置で、幅算出機構部100と切断機構部200と周知のコンピュータからなる制御装置300とから構成されている。
【0013】
幅算出機構部100は、所定の間隔をあけて垂直に立設された一対の支持板101,102と、支持板101,102によってそれぞれ回動自在に支持され、互いに間隔L1をおいて平行かつ水平に延びる2つのボールネジ103A,103B及びガイド軸104を備えている。
【0014】
各ボールネジ103A,103Bの一端部には、同一の検出装置120A,120Bがそれぞれ支持部121によって各ガイド軸104に支持されながら、各ボールネジ103A,103Bの回転によってそれぞれ水平方向に移動可能に装着されている。
【0015】
また、各ボールネジ103A,103Bにはプーリ105,106がそれぞれ固定され、これらのプーリ105,106間にベルト108が掛け渡され、各ボールネジ103A,103Bの回転が連動し、各検出装置120A,120Bが同時に同速度で移動できるようになっている。さらに一方のボールネジ103Aにはもう一つのプーリ107が設けられ、このプーリ107と駆動部110のモータ114の回転軸111に固定されたプーリ112との間にベルト109が掛け渡され、モータ114の回転によってボールネジ103Aが回転するようになっている。
【0016】
また、幅算出時において、図1乃至図3に示すように、一対の支持板101,102の間にコンベヤ等の搬送装置500によって搬送されてきたシート状部材400が配置される。ここでは、各ボールネジ103A,103Bの軸方向がシート状部材400の幅方向と直交するようにシート状部材400が配置される。
【0017】
本実施形態において、幅算出機構部100及び制御装置300は、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤ401にゴム部材402をコーティングしてなるシート状部材400を切断する前に、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2をそれぞれ検出し、検出位置e1,e2間の距離を算出する。
【0018】
また、各検出装置120A,120Bには、それぞれ車輪の回転計等に用いられる市販の電磁ピックアップセンサ130A,130Bと光学式センサ150A,150Bとが設けられている。
【0019】
各電磁ピックアップセンサ130A,130Bは、それぞれシート状部材400の表面における垂直方向に延びる磁性体131と、磁性体131に巻回されたコイル及び磁性体131の一部分を覆うコイルユニット132A,132Bとから構成されている。本実施形態では、磁性体131として永久磁石を用いて磁気を発生している。また、電磁ピックアップセンサ130A,130Bは、各検出装置120A,120Bの底面の移動方向の中央に設けられた設置部122によって支持され、図2及び図3に示すように、コイルユニット132A,132Bから突出した磁性体131の一端131aがシート状部材400の表面との間に微小な間隙G11,G21を有するように配置されるとともに、各検出装置120A,120Bがこの間隙G11,G21を保ちながら移動するようになっている。
【0020】
各検出装置120A,120Bに内蔵される光学式センサ150A,150Bは、それぞれレーザ光射出器151A,151Bと受光器152A,152Bとから構成され、レーザ光射出器151A,151Bが検出装置120A,120Bの底面に形成された開口部123からシート状部材400の表面における垂直方向にレーザ光を射出し、受光器152A,152Bが搬送装置500上に設ける図示しない反射鏡等によって反射されたレーザ光を受光するように配置されている。
【0021】
さらに、非遮光時において受光器152A,152Bが受光するレーザ光の検出装置120A,120Bの移動方向における幅L11,L21は、電磁ピックアップセンサ130A,130Bの検出装置120A,120Bの移動方向における幅以上に設定され、幅L11,L21の中央は検出装置120A,120Bにおける移動方向の中央と一致している。なお、光学式センサ150A,150Bはレーザ光射出器151A,151Bと受光器152A,152Bとを備える、いわゆる一体型に限定されず、例えば分離型のように光学式センサ150A,150Bが受光器152A,152Bのみを備え、シート状部材400を挟んで光学式センサ150A,150Bと対向する位置にレーザ光射出器151A,151Bを配置し、検出装置120A,120Bとともに移動するようにしてもよいし、スポット型でもよい。
【0022】
なお、幅算出開始時において各検出装置120A,120Bは、検出装置120A,120Bにおける移動方向の中央、すなわち電磁ピックアップセンサ130A,130Bの位置をそれぞれ基準位置として、これらの基準位置P1n,P2nがそれぞれボールネジ103A,103Bの左端部の開始位置P1s,P2sと一致するように配置される。これらの開始位置P1s,P2sは、受光器152A,152Bが受光する受光量がそれぞれ非遮光時における全光量となるように設定されている。また、幅算出終了時において各検出装置120A,120Bは、各基準位置P1n,P2nがそれぞれボールネジ103A,103Bの右端部の終了位置P1e,P2eと一致するように移動される。これらの終了位置P1e,P2eは、受光器152A,152Bが受光する受光量がそれぞれ非遮光時における全光量となるように設定されている。
【0023】
切断機構部200は、所定の間隔をあけて垂直に立設された一対の支持板201,202と、支持板201,202によって回動自在に支持された水平に延びるボールネジ203とガイド軸204とを備えている。
【0024】
ボールネジ203の一端部には、切断装置220が支持部221によってガイド軸204に支持されながら、ボールネジ203の回転によって水平方向に移動可能に装着されている。
【0025】
また、ボールネジ203にはプーリ205が固定され、このプーリ205と駆動部210のモータ214の回転軸211に固定されたプーリ212との間にベルト206が掛け渡され、切断装置220が移動できるようになっている。
【0026】
また、切断時において、図1及び図4に示すように、一対の支持板201,202の間にコンベヤ等の搬送装置500によって搬送されてきたシート状部材400が配置される。ここでは、シート状部材400に含まれる複数のワイヤ401の長手方向とボールネジ203の軸方向とが所定の角度θをなすように、シート状部材400及び搬送装置500が配置される。なお、シート状部材400及び搬送装置500の配置角度θは、シート状部材400の切断角度に設定されている。このとき、シート状部材400の一側端E1のワイヤ401の長手方向がボールネジ103Bと交差する位置からボールネジ203と交差する位置までの距離をL2とし、シート状部材400の他側端E2のワイヤ401の長手方向がボールネジ103Bと交差する位置からボールネジ203と交差する位置までの距離をL3とする。
【0027】
さらに、切断装置220が切断したシート状部材400はコンベア等の搬出装置510によって搬出され、シート状部材400が連続して順次切断されるようになっている。
【0028】
本実施形態において、切断機構部200及び制御装置300は、シート状部材400を切断しながらシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2をそれぞれ検出し、検出位置e1,e2間の距離を算出する。
【0029】
また、切断装置220には、磁性体のカッター230とその回転機構であるモータ231及び回転軸232が設けられている。図4及び図5に示すように、モータ231及び回転軸232の一端部は、切断装置220の底面から外部に突出した突出部222に内蔵され、回転軸232の他端部は突出部222から外部に露出している。その他端部を中心として支持された円盤状のカッター230は、ボールネジ203の垂直面内を回転するとともに、その中心が切断装置220における移動方向の中央と一致するように配置されている。さらに、カッター230の下端(及びその近傍)がワイヤ401と接触するように、カッター230の直径L31はワイヤ401間の間隔、ワイヤ401の径、シート状部材400の厚さ等より十分に大きい値に設定している。
【0030】
また、切断装置220には、カッター230及びその回転機構の他に、磁気抵抗検出器240と光学式センサ250とが設けられている。
【0031】
磁気抵抗検出器240は、ワイヤ401の長手方向に延びる磁性体241と、磁性体242の中央部に巻回されたコイル及び増幅器等を備えたコイルユニット242とから構成され、コイルに高周波電圧(例えば40kHzの電圧)が印加され磁気を発生している。また、磁気抵抗検出器240がシート状部材400の表面と沿うように、切断装置220の一側面に取り付けられた支持部材223によって支持されている。
【0032】
さらに、図5に示すように、磁気抵抗検出器240は、磁性体241の一端241aが切断装置220のカッター230との間に微小な間隙G31を有するとともに、シート状部材400の表面へ折り曲げられた磁性体241の他端241bがシート状部材400の表面との間に微小な間隙G32を有するように配置されている。
【0033】
切断装置220に内蔵される光学式センサ250は、レーザ光射出器251と受光器252とから構成され、レーザ光射出器251が切断装置220の底面に形成された開口部224からシート状部材400の表面と垂直方向にレーザ光を射出し、受光器252が搬送装置400上に設ける図示しない反射鏡等によって反射されたレーザ光を受光するように配置されている。
【0034】
さらに、非遮光時において受光器252が受光するレーザ光の切断装置220の移動方向における幅は、カッター230の直径L31と一致するように設定されている。なお、光学式センサ250はレーザ光射出器251と受光器252とを備える、いわゆる一体型に限定されず、例えば分離型のように光学式センサ250が受光器252のみを備え、シート状部材400を挟んで光学式センサ250と対向する位置にレーザ光射出器251を配置し、切断装置220とともに移動するようにしてもよいし、スポット型でもよい。
【0035】
なお、図4に示すように、切断開始時において切断装置220は、切断装置220における移動方向の中央部、すなわちカッター230の回転軸231の位置を基準位置として、この基準位置P3nがボールネジ203の左端部の開始位置P3sと一致するように配置される。この開始位置P3sは、受光器252が受光する受光量が非遮光時における全光量となるように設定されている。また、検出終了時において切断装置220は、基準位置P3nがボールネジ203の右端部の終了位置P3eと一致するように移動される。この終了位置P3eは、受光器252が受光する受光量が非遮光時における全光量となるように設定されている。
【0036】
本実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置1の電気系回路は図6に示すとおりである。すなわちワイヤ切断角度算出装置1の電気系回路は、制御装置300と、光学式センサ150A,150B,250と、駆動部110,210と、モータ232と、整流・平滑回路140A,140Bと、コイルユニット242と、警報器10とを接続することによって構成されている。
【0037】
各光学式センサ150A,150Bの受光器152A,152Bは、それぞれレーザ光射出器151A,151Bから射出されたレーザ光を受光し、受光したレーザ光の光量の値をディジタルデータとして制御装置300の中央制御部301にそれぞれ出力する。
【0038】
光学式センサ250の受光器252は、レーザ光射出器251から射出されたレーザ光を受光し、受光したレーザ光の光量の値をディジタルデータとして制御装置300の中央制御部301に出力する。
【0039】
駆動部110は、パルスジェネレータ113とモータ114を備え、制御装置300からの駆動制御によってモータ114が回転される。さらに、モータ114の回転に同期してパルスジェネレータ113から制御装置300にパルス信号を出力する。これにより、制御装置300では、パルスジェネレータ113から出力されるパルス信号におけるパルス数を計数することによりモータ114の回転数を取得でき、これによってボールネジ103の回転数、さらには検出装置120A,120Bの位置P1n,P2nを検出することができる。
【0040】
駆動部210は、パルスジェネレータ213とモータ214を備え、制御装置300からの駆動制御によってモータ214が回転される。さらに、モータ214の回転に同期してパルスジェネレータ213から制御装置300にパルス信号を出力する。これにより、制御装置300では、パルスジェネレータ213から出力されるパルス信号におけるパルス数を計数することによりモータ214の回転数を取得でき、これによってボールネジ203の回転数、さらには切断装置220の位置P3nを検出することができる。
【0041】
モータ232は、制御装置300からの駆動制御によって回転され、回転軸231を中心にカッター230を回転させる。
【0042】
各コイルユニット132A,132Bは、それぞれコイルの端子間に発生する磁束密度に対応した電圧信号を整流・平滑回路140A,140Bに出力し、各整流・平滑回路140A,140Bが、それぞれこれらの電圧信号を全波整流した後に平滑化して中央制御部301に出力する。
【0043】
コイルユニット242は、高周波電圧が印加されたコイルによってコイルの端子間に発生する磁束密度に対応した電圧を制御装置300の中央制御部301に出力する。
【0044】
警報器10は、制御装置300からの警報制御によって駆動され、音声、光線などの警報を出力する。
【0045】
制御装置300は、中央制御部301と、記憶部302、警報制御部303、モータコントローラ304,305,306を備えている。
【0046】
幅算出時において、中央制御部301は、記憶部302に記憶された動作プログラムに基づいて、モータコントローラ304に対してモータ114の制御指示を出力するとともに、パルスジェネレータ113から出力されたパルス信号のパルス数を計数して検出装置120A,120Bの基準位置P1n,P2nを検出し、これらの位置情報と整流・平滑回路140A,140Bを介して各コイルユニット132A,132Bから出力された電圧信号とに基づいて、各検出装置120A,120Bによってシート状部材300の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2をそれぞれ検出するとともに、各位置e1,e2間の距離をそれぞれ算出し、これらの算出結果を予め記憶部302に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120A,120Bを停止させ警報制御部303を介して警報器10から警報を出力する。
【0047】
また、中央制御部301は、各検出装置120A,120Bの位置情報及び各受光器152A,152Bから出力されたレーザ光の受光量に基づいて、各検出装置120A,120Bによってシート状部材400の両側端の位置E1,E2をそれぞれ検出するとともに、各位置E1,E2間の距離をそれぞれ算出し、これらの算出結果を予め記憶部302に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120A,120Bを停止させ警報制御部303を介して警報器10から警報を出力する。
【0048】
さらに、中央制御部301は、各検出装置120A,120Bによってそれぞれ検出したシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2の位置情報及びシート状部材400の両側端の位置E1,E2の位置情報から、シート状部材400の両側端部に形成されるゴム量(以下、耳ゴム量(長さ)という)をそれぞれ算出し、これらの算出結果を予め記憶部302に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120A,120Bを停止させ警報制御部303を介して警報器10から警報を出力する。
【0049】
また、切断時において、中央制御部301は、モータコントローラ305,306に対してモータ214,232の制御指示を出力するとともに、パルスジェネレータ213から出力されたパルス信号のパルス数を計数して切断装置220の基準位置P3nを検出し、この位置情報及びコイルユニット242から出力された電圧の変化に基づいて、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2をそれぞれ検出するとともに、各位置e1,e2間の距離を算出し、この算出結果を予め記憶部302に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、切断装置220を停止させ警報制御部303を介して警報器10から警報を出力する。
【0050】
また、中央制御部301は、切断装置220の位置情報及び受光器252から出力されたレーザ光の受光量に基づいて、シート状部材400の両側端の位置E1,E2をそれぞれ検出するとともに、各位置E1,E2間の距離を算出し、この算出結果を予め記憶部302に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、切断装置220を停止させ警報制御部303を介して警報器10から警報を出力する。
【0051】
さらに、中央制御部301は、検出したシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2の位置情報及びシート状部材400の両側端の位置E1,E2の位置情報から、シート状部材400の両側端部に形成される耳ゴム量(長さ)をそれぞれ算出し、この算出結果を予め記憶部302に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、切断装置220を停止させ警報制御部303を介して警報器10から警報を出力する。
【0052】
なお、記憶部302の動作プログラムには、パルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス間における検出装置120A,120Bの移動距離及びパルスジェネレータ213から出力されるパルス信号のパルス間における切断装置220の移動距離が予め設定されているので、この距離にパルス数を乗算することにより距離を算出することができる。
【0053】
次に、本実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置1の動作の詳細を図7乃至図27に示す動作説明図及び図28乃至図31に示すフローチャートを参照して説明する。
【0054】
ワイヤ切断角度算出装置1が駆動されると、各光学式センサ150A,150B,250のレーザ光射出器151A,151B,251からレーザ光が射出され磁気抵抗検出器240が磁気を発生させるとともに、制御装置300の中央制御部301によって初期設定が行われる(S1)。
【0055】
この初期設定では、図7及び図8に示すように、中央制御部301はモータコントローラ304を介してモータ114を駆動し、各検出装置120A,120Bをボールネジ103A,103Bの左端部に移動させて、基準位置P1n,P2nがボールネジ103A,103Bの開始位置P1s,P2sに一致するように移動させる。さらに、中央制御部301は各光学式センサ150A,150Bから出力される受光器152A,152Bによるレーザ光の受光量を総受光量として記憶部302に記憶する。
【0056】
また、図18に示すように、中央制御部301はモータコントローラ305を介してモータ214を駆動し、切断装置220をボールネジ203の左端部に移動させて、基準位置P3nがボールネジ203の開始位置P3sに一致するように移動させる。さらに、中央制御部301は光学式センサ250から出力される受光器252によるレーザ光の受光量を総受光量として記憶部302に記憶する。
【0057】
次いで、中央制御部301は、図29に示す各検出装置120A,120Bにおける幅算出処理S100を並列に行う。なお、ここでの説明において、特に明示する場合を除き、制御装置300及び検出装置120Aの動作説明をもって制御装置300及び検出装置120Bの動作説明を省略する。
【0058】
すなわち中央制御部301は、モータコントローラ304を介してモータ114を駆動し、検出装置120A(120B)をボールネジ103A(103B)の右端部へ向けて移動させる(S101)。
【0059】
次いで、中央制御部301は、光学式センサ150A(150B)から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S102)。この割合は受光器152A(152B)が受光するレーザ光における検出装置120A(120B)の移動方向の幅の長さ及びこれに直交する方向の長さ等に基づいて適宜設定することが望ましい。本実施形態では、受光器152A(152B)の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2以下であるときに所定の割合であると判定している。
【0060】
この判定の結果、受光器152A(152B)の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2より大きいときは、1/2以下となるまで前記S102の処理を繰り返す。
【0061】
受光器152A(152B)の受光量が1/2のとき、検出装置120A(120B)の位置は図9(図10)に示すような位置となる。すなわち、非遮光時に受光器152A(152B)が受光する幅L11(L21)のレーザ光の1/2がシート状部材400の左側端部によって遮光され、受光器152A(152B)は幅L11(L21)のレーザ光を受光する(L12=L11/2(L22=L21/2))とともに、検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)がシート状部材400の左側端位置と一致する。このとき、中央制御部301はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)を検出するとともに(S103)、検出した検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)をシート状部材400の左側端位置P11(P21)として記憶部302に記憶する(S104)。
【0062】
この後、中央制御部301は、整流・平滑回路140A(140B)を介してコイルユニット132A(132B)から出力される電圧信号に基づいて、シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出したか否かを判定する(S105)。
【0063】
ここで、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置を検出する原理について、検出装置120Aを用いて説明する。
【0064】
図11に示すように、検出装置120Aとともに移動する電磁ピックアップセンサ130Aの下にワイヤ401がないとき、磁性体131から発生する磁気が変化しないため、コイルユニット132A内のコイルには電圧が発生していない。
【0065】
また、図12に示すように、検出装置120Aとともに移動する電磁ピックアップセンサ130Aが移動して、電磁ピックアップセンサ130Aの下にワイヤ401があるとき、すなわち磁性体131の一端131aから微小な間隙G12だけ離れた位置にワイヤ401があるとき、磁性体であるワイヤ401によって磁束密度が変化し、コイルユニット132A内のコイルに電圧(起電力)が生ずる。この状態から電磁ピックアップ130Aを移動させ、再び電磁ピックアップセンサ130Aの下にワイヤ401がないときには、コイルユニット132A内のコイルに逆向きの電圧(起電力)が生ずる。なお、ワイヤ径=1〜1.2mm、ワイヤ401から表面までのゴム部材402の厚さ=0.5mmの場合、間隙G12は0.5〜1.0mm程度に設定されていることが好ましい。
【0066】
これにより、検出装置120Aとともに移動する電磁ピックアップセンサ130Aのコイルユニット132Aから、図13(a)に示すような電圧信号が出力される。すなわち、電磁ピックアップセンサ130Aがシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間を移動しているとき、コイル132A内のコイルには所定の交流電圧が発生する。なお、この交流電圧は、間隙G12、電磁ピックアップセンサ130Aの移動速度を独立変数とする関数によって定められる。
【0067】
コイルユニット132Aから出力される電圧信号を整流・平滑回路140Aによって全波整流すると図13(b)に示すような電圧信号が得られ、さらにこれを平滑化すると図13(c)に示すような電圧信号が得られる。すなわち、電磁ピックアップセンサ130Aがシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間を移動しているとき、整流・平滑回路140Aから所定の直流電圧(以下、しきい値電圧(Vs)とする)が出力される。なお、本実施形態において、整流・平滑回路140Aを用いて交流電圧から直流電圧を得るようにしたが、これに限定されず、他の種類や他の電気回路を用いるようにしてもよい。
【0068】
従って、中央制御部301は、整流・平滑回路140Aから出力される電圧信号がしきい値電圧Vsになったとき、及びしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)から基準電圧Voになったときの検出装置120Aの基準位置P1nから、検出装置120Aによるシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置P12及び幅方向右端のワイヤ401の位置P13を検出することができる。同様にして、検出装置120Bによるシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置P22及び幅方向右端のワイヤ401の位置P23を検出することができる。
【0069】
この判定の結果、シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出しないときは、検出するまで前記S105の処理を繰り返す。
【0070】
中央制御部301がシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出したとき、すなわち、整流・平滑回路140A(140B)から出力される電圧信号が予め記憶部302に記憶したしきい値電圧Vsになったとき、中央制御部301はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置P1n(P2n)を検出するとともに(S106)、検出した検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)をシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置P12(P22)として記憶部302に記憶する(S107)。
【0071】
次いで、中央制御部301は、次式(1)によってシート状部材400の左側端部に形成される耳ゴム量(長さ)Q11(Q21)を算出する(S108)。
【0072】
Q11(Q21)=P12(P22)− P11(P21) …(1)
さらに、中央制御部301は、これを予め記憶部302に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q11(Q21)が規格範囲内であるか否かを判定する(S109)。
【0073】
この判定の結果、耳ゴム量Q11(Q21)が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ304を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120A(120B)の移動を停止するとともに(S110)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S111)、幅算出処理S100を終了する。これにより、規格範囲外の耳ゴム量Q11(Q21)を算出したときに、直ちに検出装置120A(120B)を停止し、異常を知らせることができる。
【0074】
耳ゴム量Q11(Q21)が規格範囲内であるとき、中央制御部301は、整流・平滑回路140A(140B)を介してコイルユニット132A(132B)から出力される電圧信号に基づいて、シート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出したか否かを判定する(S1112)。
【0075】
この判定の結果、シート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出しないとき、検出するまで前記S112の処理を繰り返す。
【0076】
シート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出したとき、すなわち、整流・平滑回路140A(140B)から出力される電圧信号が予め記憶部302に記憶したしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)とき、中央制御部301はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)を検出するとともに(S113)、検出した検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)をシート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置P13(P23)として記憶部302に記憶する(S114)。
【0077】
次いで、中央制御部301は、次式(2)によってシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離L1A(L2A)を算出する(S115)。
【0078】
L1A(L2A)=P13(P23)− P12(P22) …(2)
さらに、中央制御部301は、これを予め記憶部302に記憶したシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離における規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L1A(L2A)が規格範囲内であるか否かを判定する(S116)。
【0079】
この判定の結果、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離L1A(L2A)が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ304を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120A(120B)の移動を停止するとともに(S110)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S111)、幅算出処理S100を終了する。これにより、規格範囲外の距離L1A(L2A)を算出したときに、直ちに検出装置120A(120B)を停止し、異常を知らせることができる。
【0080】
シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離L1A(L2A)が規格範囲内であるとき、中央制御部301はシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離L1A(L2A)を記憶部302に記憶する(S117)。
【0081】
次いで、中央制御部301は、光学式センサ150A(150B)から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S118)。なお、本実施形態では、受光器152A(152B)の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2以上であるときに所定の割合であると判定している。
【0082】
この判定の結果、受光器152A(152B)の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2未満であるときは、1/2以上となるまで前記S118の処理を繰り返す。
【0083】
受光器152A(152B)の受光量が1/2であるとき、検出装置120A(120B)の位置は図14(図15)に示すような位置となる。すなわち、非遮光時に受光器152A(152B)が受光する幅L11(L21)のレーザ光の1/2がシート状部材400の右側端によって遮光され、受光器152A(152B)は幅L13(L23)のレーザ光を受光する(L13=L11/2(L23=L21/2))とともに、検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)がシート状部材400の右側端位置と一致する。このとき、中央制御部301はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)を検出するとともに(S119)、検出した検出装置120A(120B)の基準位置P1n(P2n)をシート状部材400の右側端位置P14(P24)として記憶部302に記憶する(S119)。
【0084】
この後、中央制御部301は、次式(3),(4)によって、シート状部材400の右側端部に形成される耳ゴム量(長さ)Q12(Q22)及びシート状部材400の両側端間の距離L14(L24)を算出する(S121,S122)。
【0085】
Q12(Q22)=P14(P24)− P13(P23) …(3)
L14(L24)=P14(P24)− P11(P21) …(4)
さらに、中央制御部301は、予め記憶部302に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q12(Q22)が規格範囲内であるか否かを判定する(S123)。
【0086】
この判定の結果、耳ゴム量Q12(Q22)が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ304を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120A(120B)の移動を停止するとともに(S110)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S111)、幅算出処理S100を終了する。これにより、規格範囲外の耳ゴム量Q12(Q22)を算出したときに、直ちに検出装置120A(120B)を停止し、異常を知らせることができる。
【0087】
耳ゴム量Q12(Q22)が規格範囲内であるとき、中央制御部301は、予め記憶部302に記憶したシート状部材400の両側端間の距離の規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L14(L24)が規格範囲内であるか否かを判定する(S124)。
【0088】
この判定の結果、シート状部材400の両側端間の距離L14(L24)が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ304を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120A(120B)の移動を停止するとともに(S110)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S111)、幅算出処理S100を終了する。これにより、規格範囲外の距離L14(L24)を算出したときに、直ちに検出装置120A(120B)を停止し、異常を知らせることができる。
【0089】
シート状部材400の両側端間の距離L14(L24)が規格範囲内であるとき、図16(図17)に示すように、中央制御部301は、基準位置P1n(P2n)がボールネジ103A(103B)の終了位置P1e(P2e)に一致するまで検出装置120A(120B)を移動させ、モータコントローラ304を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120A(120B)の移動を停止し(S125)、幅算出処理S100を終了する。
【0090】
並列に実行した幅算出処理S100がともに終了した後に、搬送装置500によってシート状部材400をワイヤ401の長手方向に所定距離(以下、搬送距離L4という)だけ搬送する(S2)。なお、搬送距離L4は切断するシート状部材400の切断角度、幅等の仕様によって定められる。
【0091】
次いで、中央制御部301は、図30に示す切断処理S200を行う。
【0092】
すなわち中央制御部301は、モータコントローラ305を介してモータ214を駆動し、切断装置220をボールネジ203の右端部へ向けて移動させる(S201)。
【0093】
この後、中央制御部301は、光学式センサ250から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S202)。この割合はシート状部材400及び搬送装置500の配置角度θ、受光器252が受光するレーザ光における切断装置220の移動方向の幅の長さ及びこれに直交する方向の長さ等に基づいて適宜設定することが望ましい。本実施形態では、受光器252の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の全量であるときに所定の割合であると判定している。
【0094】
この判定の結果、受光器252の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるときは、所定の割合未満となるまで前記S202の処理を繰り返す。
【0095】
所定の割合でないとき、切断装置220の位置は図19に示すような位置となる。すなわち、レーザ射出器251から射出されたレーザ光がシート状部材400の左側端によって遮光され、受光器252は幅L31のレーザ光を受光できず、受光量は初期設定S1で記憶した総受光量未満となる。このとき、中央制御部301はパルスジェネレータ213から出力されるパルス信号のパルス数を計数して切断装置220の基準位置P3nを検出するとともに(S203)、検出した切断装置220の基準位置P3nをシート状部材400の左側端位置P31として記憶部302に記憶する(S204)。
【0096】
次いで、中央制御部301は、コイルユニット242から出力される電圧の変化に基づき、シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出したか否かを判定する(S205)。この電圧の変化前後における切断装置220及びシート状部材400は、図20及び図21に示すような関係となる。
【0097】
シート状部材400の左側端を検出した後、シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出するまでは、図20に示すように、カッター230はワイヤ401と接触することなくゴム部材402を切断する。
【0098】
このとき、間隙G31、磁性体241、カッター230から磁性体241の他端241bまでの空間Sを二次コイルとして捉え、それぞれの磁気抵抗をR1,R2,R3とすると、カッター230がワイヤ401と接触する前の二次コイルの合計磁気抵抗RAは、以下の(5)式によって表される。
【0099】
RA=R1+R2+R3 …(5)
このうち、空間Sの磁気抵抗R3は、微小な空間である間隙G31の磁気抵抗R1及び磁性体241の磁気抵抗R2と比較して十分に大きいため(R3>>R1,R2)、接触前の合計磁気抵抗RAは、ほぼ磁気抵抗R3とみなすことができる(RA≒R3)。
【0100】
また、切断装置220が移動して、図21に示すようにカッター230がワイヤ401と接触したとき、間隙G31、磁性体241、カッター230及びワイヤ401、磁性体241の他端241bからワイヤ401までの間隙G33を二次コイルとして捉え、それぞれの磁気抵抗をR1,R2,R4,R5とすると、カッター230がワイヤ401と接触した後の二次コイルの合計磁気抵抗RBは、以下の(6)式によって表される。
【0101】
RB=R1+R2+R4+R5 …(6)
このうち、間隙G33は微小な空間であり、カッター230及びワイヤ401はともに磁性体であるため、間隙G33の磁気抵抗R4とカッター230及びワイヤ401の磁気抵抗R5は、空間Sの磁気抵抗R3と比較して十分に小さい(R3>>R4,R5)。これにより、接触後の合計磁気抵抗RBは、接触前の合計磁気抵抗RAよりも十分に小さくなるので、接触後にコイルユニット242から出力される電圧が接触前の電圧よりも非常に低くなり、中央制御部301はこの電圧の変化からシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出することができる。
【0102】
この判定の結果、シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出しないときは、検出するまで前記S205の処理を繰り返す。
【0103】
シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出したとき、切断装置220の位置は図22に示すような位置となる。このとき、中央制御部301はパルスジェネレータ213から出力されるパルス信号のパルス数を計数して切断装置220の基準位置P3nを検出するとともに(S206)、検出した切断装置220の基準位置P3nをシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置P32として記憶部302に記憶する(S207)。
【0104】
次いで、中央制御部301は、次式(7)によってシート状部材400の左側端部に形成される耳ゴム量Q31を算出する(S208)。
【0105】
Q31=P32 − P31 …(7)
さらに、中央制御部301は、これを記憶部302に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q31が規格範囲内であるか否かを判定する(S209)。
【0106】
この判定の結果、耳ゴム量Q31が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止するとともに(S210)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S211)、切断処理S200を終了する。これにより、シート状部材400を切断しながら規格範囲外の耳ゴム量Q31を算出したときに、直ちに切断装置220を停止し、異常を知らせることができる。
【0107】
耳ゴム量Q31が規格範囲内であるとき、中央制御部301は、コイルユニット242から出力される電圧の変化に基づき、シート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出したか否かを判定する(S212)。この電圧の変化前後における切断装置220及びスチールコーティング材料400は、図20及び図21に示した前述のような関係となる。
【0108】
すなわち、シート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置を検出した後、幅方向右端のワイヤ401の位置を検出するまでは、図21に示したように、カッター230はワイヤ401と接触している。すなわち、カッター230の直径L31をスチールワイヤー部材401間の間隔より十分に大きい値に設定しているので、カッター230がシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401と接触後、ゴム部材402とだけ接触することなく、常に一本以上のワイヤ401と接触している。このときの二次コイルの合計磁気抵抗RBは、前記(7)式によって表される。
【0109】
また、切断装置220が移動して、図20に示したようにカッター230がワイヤ401と接触しなくなるとき、二次コイルの合計磁気抵抗RAは前記(6)式によって表される。これにより、接触しなくなった合計磁気抵抗RAは、接触中の合計磁気抵抗RBよりも十分に大きくなるのでコイルに逆向きの起電力が生じ、接触しなくなった後にコイルユニット242から出力される電圧が接触中の電圧より非常に低くなり、中央制御部301はこの電圧の変化からシート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出することができる。
【0110】
本実施形態では、切断装置220に磁気抵抗検出器240を設けてシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置を検出しているが、前述の電磁ピックアップセンサ130A,130B及び整流・平滑回路140A,140Bを用いてシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置を検出するようにしてもよい。
【0111】
この判定の結果、シート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出しないとき、検出するまで前記S212の処理を繰り返す。
【0112】
シート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置を検出したとき、切断装置220の位置は図23に示すような位置となる。このとき、中央制御部301はパルスジェネレータ213から出力されるパルス信号のパルス数を計数して切断装置220の基準位置P3nを検出するとともに(S213)、検出した切断装置220の基準位置P3nをシート状部材400の幅方向右端のワイヤ401の位置P33として記憶部302に記憶する(S214)。
【0113】
次いで、中央制御部301は、次式(8)によってシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離LBを算出する(S215)。
【0114】
LB=P33 − P32 …(8)
さらに、中央制御部301は、これを記憶部302に記憶したシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離における規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離LBが規格範囲内であるか否かを判定する(S216)。
【0115】
この判定の結果、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離LBが規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止するとともに(S210)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S211)、切断処理S200を終了する。これにより、シート状部材400を切断しながら規格範囲外の距離LBを算出したときに、直ちに切断装置220を停止し、異常を知らせることができる。
【0116】
シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離LBが規格範囲内であるとき、中央制御部301はシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401間の距離LBを記憶部302に記憶する(S217)。
【0117】
次いで、中央制御部301は、光学式センサ250から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S218)。なお、本実施形態では、前述のように受光器252の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の全量を所定の割合に設定している。
【0118】
この判定の結果、受光器252の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合でないときは、所定の割合となるまで前記S218の処理を繰り返す。
【0119】
所定の割合であるとき、切断装置220の位置は図24に示すような位置となる。すなわち、シート状部材400の右側端によって遮光されていたレーザ光が遮光されなくなり、受光器252は幅L31のレーザ光を受光し、受光器252の受光量は初期設定S1の処理で記憶した総受光量となる。このとき、中央制御部301はパルスジェネレータ213から出力されるパルス信号のパルス数を計数して切断装置220の基準位置P3nを検出するとともに(S219)、検出した切断装置220の基準位置P3nをシート状部材400の右側端位置P34として記憶部302に記憶する(S220)。
【0120】
この後、中央制御部301は、次式(9),(10)によって、シート状部材400の右側端部に形成される耳ゴム量(長さ)Q32及びシート状部材400の両側端間の距離L32を算出する(S220,S221)。
【0121】
Q32=P34 − P33 …(9)
L32=(P34 − P31)− L31 …(10)
なお、シート状部材400の左側端位置P31は、切断装置220の基準位置P3nが実際のシート状部材400の左側端位置よりもL31/2だけ左寄りに位置したときの基準位置P3nであり、シート状部材400の右側端位置P34は、切断装置220の基準位置P3nが実際のシート状部材400の右側端位置よりもL31/2だけ右寄りに位置したときの基準位置P3nである。これにより、両側端位置P31,P34からカッター230の直径L31分を減算して検出位置(P31,P34)と基準位置P3nとの距離を調整する。
【0122】
さらに、中央制御部301は、記憶部302に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q32が規格範囲内であるか否かを判定する(S223)。
【0123】
この判定の結果、耳ゴム量Q32が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止するとともに(S210)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S211)、切断処理S200を終了する。これにより、シート状部材400を切断しながら規格範囲外の耳ゴム量Q32を算出したときに、直ちに切断装置220を停止し、異常を知らせることができる。
【0124】
耳ゴム量Q32が規格範囲内であるとき、中央制御部301は、記憶部302に記憶したシート状部材400の両側端間の距離の規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L32が規格範囲内であるか否かを判定する(S224)。
【0125】
この判定の結果、シート状部材400の両側端間の距離L32が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止するとともに(S210)、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S211)、切断処理S200を終了する。これにより、シート状部材400を切断しながら規格範囲外の距離L32を算出したときに、直ちに切断装置220を停止し、異常を知らせることができる。
【0126】
シート状部材400の両側端間の距離L32が規格範囲内であるとき、図25に示すように、中央制御部301は、基準位置P3nがボールネジ203の終了位置P3eに一致するまで切断装置220を移動させ、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止し(S225)、切断出処理S200を終了する。
【0127】
次いで、中央制御部301は、図31に示す角度算出処理S300を行う。
【0128】
角度算出処理S300を行う際には、各検出装置120A,120Bにおける幅算出処理S100が所定回数行われ、所定回数前の切断時に算出した距離L1A,L2Aが記憶部302に記憶されている必要がある。
【0129】
すなわち、幅算出処理S100によって距離L1A,L2Aが算出されたシート状部材400の一側端は、搬送装置500によりL2/L4回搬送された後に切断装置220によって切断され、他側端は搬送装置500によりL3/L4回搬送された後に切断装置220によって切断される。これにより、配置角度θが0度<θ≦90度すなわちL2≦L3のときは少なくともL3/L4回分、90度<θ<180度すなわちL2>L3のときは少なくともL2/L4回分の距離L1A,L2Aを記憶部202に記憶しておく。
【0130】
以下の説明において、図26に示すように間隔L1はL1=L4、距離L2,L3はL2=3×L4,L3=5×L4の値に設定され、距離L2はシート状部材400の幅方向一端のワイヤ401がボールネジ103Bと交差する位置からボールネジ203と交差する位置までの距離と近似し、距離L3はシート状部材400の幅方向他端のワイヤ401がボールネジ103Bと交差する位置からボールネジ203と交差する位置までの距離と近似するものとする。なお、算出精度を高めるためには、間隔L1は搬送距離L4以下であることが望ましい。これにより、切断するシート状部材400に対して必ず1つ以上の距離L1A,L2Aを算出することになる。
【0131】
中央制御部301は、記憶部202から3回前及び5回前の距離L1A,L2A(以下、N回前の距離L1A,L2AをL1A#N,L2A#Nとする)と1回前(直前)の距離LBを読み込み(S301)、次式(11)によってワイヤ401の平均切断角度θHを算出する(S302)。
【0132】
SinθH=LHA/LB …(11)
(但し、LHA#5=L2A#5 +(L2A#5 − L2A#3)/2とする)
なお、本実施形態ではSinθを用いて角度を算出しているがこれに限定されず、他の三角関数やピタゴラスの定理等を用い、又はこれらを組み合わせて用いて角度を算出するようにしてもよい。
【0133】
この後、中央制御部301は、記憶部202から4回前の距離L1A,L2Aを読み込み(S303)、次式(12)、(13)、(14)によってシート状部材400の幅方向一端のワイヤ401の切断角度θ1及び幅方向他端のワイヤ401の切断角度θ2と、シート状部材400の幅方向中央のワイヤ401の切断角度θMを算出する(S304,S305,S306)。
【0134】
Sinθ1=L2A#3/LB …(12)
Sinθ2=L2A#5/LB …(13)
SinθM=L2A#4/LB …(14)
なお、平均切断角度θH及びワイヤ401の切断角度θ1,θ2,θMの算出に距離L2Aを用いているが、これに限定されず距離L1Aのみ、又は距離L1A,L2Aの平均等の値を用いてもよい。また、何回前の距離L1A,L2Aを用いるかは、間隔L1、距離L2,L3によって適宜設定することが望ましい。
【0135】
本実施形態において、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の切断角度θ1,θ2及び幅方向中央のワイヤ401の切断角度θMを算出しているが、シート状部材400の幅方向所定位置のワイヤ401の切断角度を算出するようにしてもよい。
【0136】
また、中央制御部301は、記憶部202から3回前のシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置P12#3,P22#3及び5回前のシート状部材400の幅方向左端のワイヤ401の位置P13#5,P23#5を読み込み(S307)、次式(15)、(16)によってシート状部材400の幅方向一端のワイヤ401の変位量(長さ)L5及び幅方向他端のワイヤ401の変位量(長さ)L6を算出する(S308,S309)。
【0137】
L5=|P22#3 − P12#3| …(15)
L6=|P23#5 − P13#5| …(16)
本来、シート状部材400のワイヤ401は幅方向に平行に配列されているため、変位量L5,L6はゼロであるが、シート状部材400は図示しないロール体等によってロール状に巻き取られた状態で保管され、このロール体から巻き戻されて搬送されてくるため、その過程でシート状部材400が伸び縮み等することによりシート状部材400の幅が変動し、図27に示すようにシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e2が変位することがある。この場合、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401は微小な変位角度φ1,φ2を有することになる。なお、変位角度φ1,φ2は−90度<φ1,φ2<90度とし、図において幅方向両端のワイヤ401の位置e1,e1が上方に変位するときを正の角度、下方に変位するときを負の角度とする。
【0138】
中央制御部301は、次式(17)、(18)によってシート状部材400の幅方向一端のワイヤ401の変位角度φ1及び幅方向他端のワイヤ401の変位角度φ2を算出し(S310,S311)、次式(19)によってシート状部材400の幅方向中央のワイヤ401の変位角度φMを算出する(S312)。
【0139】
Tanφ1=L5/L1 …(17)
Tanφ2=L6/L1 …(18)
φM=φ1 +(φ1−φ2)/2 …(19)
さらに、中央制御部301は、この算出結果とS304,S305,S306の処理で算出した切断角度θ1,θ2,θMを用いて、次式(20)、(21)、(22)によって補正切断角度θ1h,θ2h、θMhを算出する(S313,S314,S315)。
【0140】
θ1h=θ1 − φ1 …(20)
θ2h=θ2 − φ2 …(21)
θMh=θM − φM …(22)
この後、中央制御部301は、記憶部302に記憶した切断角度の規格値の上限及び下限と比較して、補正切断角度θ1h,θ2h、θMhが規格範囲内であるか否かを判定する(S316,S317,S318)。
【0141】
この判定の結果、補正切断角度θ1h,θ2h、θMhのうち何れか1つが規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部301は、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力して(S319)、角度算出処理S300を終了する。
【0142】
本実施形態では、切断処理S200の後に切断角度θ1,θ2,θMを算出し補正しているが、予め幅算出処理S100の中で変位角度φ1,φ2,φMを算出することにより、切断処理S200の中で補正切断角度θ1h,θ2h,θMhを算出することが可能となる。これにより、シート状部材400を切断しながら規格範囲外の補正切断角度θ1h,θ2h,θMhを算出したときに、中央制御部301が、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止するとともに、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力できるので、直ちに切断装置220を停止し、異常を知らせることができる。
【0143】
補正切断角度θ1h,θ2h,θMhの全てが規格範囲内であるとき、中央制御部301は、シート状部材400の幅方向中央のワイヤ401の補正切断角度θMhを記憶部302に記憶するとともに(S320)、次式(23)によってシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の補正切断角度の角度差θ3を算出し(S321)、切断出処理S200を終了する。
【0144】
θ3=θ1h − θ2h …(23)
角度差θ3を算出することにより、例えばシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401が同じか否か等、切断したシート状部材400におけるワイヤ401の切断角度の変化を知ることができる。
【0145】
角度算出処理S300が終了した後に、中央制御部301は、警報器10から警報が出力されているか否かを判定する(S3)。
【0146】
この判定の結果、警報器10から警報が出力されているとき、中央制御部301は処理を終了しワイヤ切断角度算出装置1が停止する。
【0147】
また、警報器10から警報が出力されていないとき、搬出装置510によって切断したシート状部材400を搬出するとともに(S4)、中央制御部301はモータコントローラ304,305を介してモータ114,214を駆動し各検出装置120A,120B及び切断装置220を開始位置へ移動させた後(S5)、並列に実行する幅算出処理S100に移行し以下の処理を繰り返す。これにより、シート状部材400を連続して順次切断しながらワイヤ401の切断角度を算出することができるともに、S320の処理でシート状部材400の幅方向中央のワイヤ401の補正切断角度θMhを記憶しているので、例えば前述のロール体の1ロール分の補正切断角度θMhを記憶することにより、シート状部材400におけるワイヤ401の変位傾向を知ることができる。
【0148】
前述した本実施形態のワイヤ切断角度算出装置1によれば、検出装置120A(120B)の電磁ピックアップセンサ130A(130B)によってシート状部材400の表面におけるワイヤ401による磁気の変化が検出され、検出した磁気が変化したときの電磁ピックアップセンサ130A(130B)の位置に基づいてシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置P12,P13(P22,P23)がそれぞれ検出されるとともに、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の検出位置間の距離L1A(L2A)が算出され、切断装置220の磁気抵抗検出器240によってカッター230とこのカッター230からワイヤ401の長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気抵抗が検出され、検出した磁気抵抗が変化したときのカッター230の位置に基づいてシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置P32.P33がそれぞれ検出されるとともに、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の検出位置間の距離LBが算出され、算出距離L1A(L2A)と算出距離LBを直角三角形の二辺としてその関係からワイヤの切断角度が算出されることから、例えばSinθ=L1A(L2A)/LBの関係から、シート状部材400を切断しながらシート状部材400のワイヤ401の切断角度(θ)を算出することができるようにしたので、例えばタイヤのカーカス材、ベルト材等のシート状部材を所定角度に切断する際に、耳ゴムを含むシート状部材400におけるワイヤ401の切断角度を正確に算出することができ、ワイヤ401の切断角度が要求精度を満たすか否かを的確に検査することができる。
【0149】
また、切断装置220のカッター230によって切断したシート状部材400を搬送装置500によってワイヤ401の長手方向に搬送した後、新たにシート状部材400を切断してワイヤ401の角度を算出する際、所定回数前の算出距離L1A(L2A)と直前の算出距離LBに基づいてシート状部材400の幅方向所定位置のワイヤ401の切断角度を算出するようにしたので、任意のワイヤ401の切断角度を正確に算出することができる。
【0150】
また、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の切断角度θ1,θ2をそれぞれ算出するとともに、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の算出切断角度間の角度差θ3を算出するようにしたので、例えばシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401が同じか否か等、切断したシート状部材400におけるワイヤ401の切断角度の変化を知ることができる。
【0151】
また、互いに間隔L1をおいて平行に設けた2つの検出装置120A,120Bによってシート状部材の表面における垂直方向の磁気をそれぞれ検出し、各検出磁気が変化したときの各検出装置120A,120Bの位置に基づいてシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置P12,P13,P22,P23を各検出装置120A,120Bによってそれぞれ検出し、シート状部材400の幅方向一端のワイヤ401に対する各検出装置120A,120Bの検出位置におけるシート状部材400の幅方向の距離L5を算出するとともに、シート状部材400の幅方向他端のワイヤ401に対する各検出装置120A,120Bの検出位置におけるシート状部材400の幅方向の距離L6を算出し、間隔L1とシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の算出距離L5,L6に基づいてシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401が前記ワイヤ401の長手方向となす角度をシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の変位度φ1,φ2としてそれぞれ算出し、その算出変位度φ1,φ2に基づいてシート状部材400の幅方向所定位置のワイヤ401の算出切断角度を補正するようにしたので、シート状部材400が伸び縮み等することによりシート状部材400の幅が変動し、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ400の位置e1,e2が変位する場合でも、任意のワイヤ401の切断角度をより正確に算出することができる。
【0152】
また、シート状部材400の幅方向中央のワイヤ401の切断角度θMを算出し、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の算出変位度φ1,φ2に基づいて算出切断角度を補正し、シート状部材400の幅方向中央のワイヤ401の補正切断角度φMhを記憶するようにしたので、例えば前述のロール体の1ロール分の補正切断角度θMhを記憶することにより、シート状部材400におけるワイヤ401の変位傾向を知ることができ、シート状部材400の製造に反映させることができる。
【0153】
また、所定のワイヤの補正切断角度が記憶部302に記憶した切断角度の規格範囲外の値であるとき、中央制御部301が、モータコントローラ305を介してモータ214の駆動を停止し、切断装置220の移動を停止するとともに、警報制御部303を介して警報器10を駆動し警報を出力できるようにしたので、シート状部材400を切断しながら規格範囲外の補正切断角度を算出したときに、直ちに切断装置220を停止し、異常を知らせることができ、規格範囲外のシート状部材400の流出を確実に防止することができる。
【0154】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0155】
図32は本発明の第2実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置を示す平面図、図33は図32におけるC’−C’線矢視方向拡大断面図、図34は図32におけるD’−D’線矢視方向拡大断面図、図35は本発明の第2実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の電気系回路を示すブロック図、図36は本発明の第2実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の動作を説明する全体フローチャート
である。これらの図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。
【0156】
第2実施形態では、コンベア等の搬送装置500によって搬送されてくるシート状部材400及び搬送装置500の配置角度θが変更されるのに対応して、切断機構部200の切断装置220に取り付けられた支持部材223及び磁気抵抗検出器240の取付角度を変更するようにした。
【0157】
すなわち、支持部材223及び磁気抵抗検出器240は、切断装置220の一側面に設けられた設置部270によって、シート状部材400の表面と沿うように水平方向に角度自在に支持されている。
【0158】
設置部270はモータ271を備え、制御装置300からの駆動制御によってモータ271が回転され、磁気抵抗検出器240及び支持部材223を水平方向に所定の角度だけ移動させる。
【0159】
また、図36に示した初期設定S1において、中央制御部301はモータコントローラ305を介してモータ214を駆動し、切断装置220をボールネジ203の左端部に移動させて、基準位置P3nがボールネジ203の開始位置P3sに一致するように移動させるとともに、モータコントローラ307を介してモータ271を駆動し、磁気抵抗検出器240及び支持部材223をワイヤ401の長手方向と沿うように取付角度を変更する。すなわち、カッター230がワイヤ401と接触したときに、磁性体241の他端241bがそのワイヤ401上に位置するように磁気抵抗検出器240を配置する。この取付角度は、予め記憶部302に記憶され、或いは搬送装置500を制御する外部の装置から送信されたシート状部材400及び搬送装置500の配置角度θに基づいて設定される。
【0160】
さらに、S5の処理で各検出装置120A,120B及び切断装置220を開始位置へ移動させた後、中央制御部301は予め記憶部302に記憶され、或いは搬送装置500を制御する外部の装置から送信される次に切断するシート状部材400及び搬送装置500の配置角度θに変更が有るか否か、すなわち現在の配置角度θと同じか否かを判定する(S6)。
【0161】
この判定の結果、シート状部材400及び搬送装置500の配置角度θに変更がないとき、並列に実行する幅算出処理S100に移行し以下の処理を繰り返す。
【0162】
シート状部材400及び搬送装置500の配置角度θに変更が有るとき、モータコントローラ307を介してモータ271を駆動し、磁気抵抗検出器240及び支持部材223を変更後のシート状部材400のワイヤ401の長手方向と沿うように取付角度を変更し(S7)、並列に実行する幅算出処理S100に移行し以下の処理を繰り返す。
【0163】
本実施形態のワイヤ切断角度算出装置1によれば、カッター230がワイヤ401と接触したときに、磁性体241の他端241bがそのワイヤ401上に位置するように磁気抵抗検出器240を配置することにより、カッター230がワイヤ401と接触するときに、シート状部材400の配置角度θが小さいときでも、図21に示した磁性体241の他端241bからワイヤ401までの間隙G33を小さくすることができるので、コイルユニット242から出力される電圧を高くすることができ、中央制御部301はシート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置を確実に検出することができる。また、切断装置220に取り付けた磁気抵抗検出器240の取付角度を変更することにより、シート状部材400及び搬送装置500の配置角度θが変更されても、シート状部材400の幅方向両端のワイヤ401の位置を確実に検出することができる。
【0164】
なお、本発明の構成は上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の第1実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置を示す平面図
【図2】図1におけるA−A線矢視方向拡大断面図
【図3】図1におけるB−B線矢視方向拡大断面図
【図4】図1におけるC−C線矢視方向拡大断面図
【図5】図1におけるD−D線矢視方向拡大断面図
【図6】本発明の第1実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の電気系回路を示すブロック図
【図7】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図8】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図9】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図10】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図11】本発明の第1実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図12】本発明の第1実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図13】本発明の第1実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図14】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図15】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図16】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図17】本発明の第1実施形態における幅算出機構部の動作を説明する要部拡大図
【図18】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図19】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図20】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図21】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図22】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図23】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図24】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図25】本発明の第1実施形態における切断機構部の動作を説明する要部拡大図
【図26】本発明の第1実施形態における幅算出機構部と切断機後部の配置を説明する要部拡大図
【図27】本発明の第1実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの変位角度の算出を説明する要部拡大図
【図28】本発明の第1実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の動作を説明する全体フローチャート
【図29】図28に示した幅算出処理の動作を説明するフローチャート
【図30】図28に示した切断処理の動作を説明するフローチャート
【図31】図28に示した角度算出処理の動作を説明するフローチャート
【図32】本発明の第2実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置を示す平面図
【図33】図32におけるC’−C’線矢視方向拡大断面図
【図34】図32におけるD’−D’線矢視方向拡大断面図
【図35】本発明の第2実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の電気系回路を示すブロック図
【図36】本発明の第2実施形態におけるワイヤ切断角度算出装置の動作を説明する全体フローチャート
【符号の説明】
【0166】
1…ワイヤ切断角度算出装置、10…警報器、100…幅算出機構部、101,102…支持板、103A,103B…ボールネジ、104…ガイド軸、105,106,107,108,112…プーリ、108,109…ベルト、110…駆動部、111…回転軸、113…パルスジェネレータ、114…モータ、120A,120B…検出装置、121…支持部、122…設置部、123…開口部、130A,130B…電磁ピックアップセンサ、131…磁性体、131a…一端、132A,132B…コイルユニット、140A,140B…整流・平滑回路、150A,150B…光学式センサ、151A,151B…レーザ光射出器、152A,152B…受光器、200,200A…切断機構部、201,202…支持板、203…ボールネジ、204…ガイド軸、205,212…プーリ、206…ベルト、210…駆動部、211…回転軸、213…パルスジェネレータ、214…モータ、220…切断装置、221…支持部、222…突出部、223…支持部材、224…開口部、230…カッター、231…回転軸、232…モータ、240…磁気抵抗検出器、241…磁性体、241a…一端部、241b…他端部、242…コイルユニット、250…光学式センサ、251…レーザ光射出器、252…受光器、270…設置部、271…モータ、300…制御装置、301…中央制御部、302…記憶部、303…警報制御部、304,305,306,307…モータコントローラ、400…シート状部材、401…ワイヤ、402…ゴム部材、500…搬送装置、510…搬出装置。L1…間隔、L2,L3…距離、L4…搬送距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材を、ワイヤの長手方向と所定角度をなす方向に移動するカッターによって切断しながら、切断方向に対するワイヤの角度を算出するシート状部材のワイヤ角度算出方法であって、
前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化をワイヤと直交するように前記シート状部材の幅方向に移動する第1磁気検出器によって検出し、
検出した磁気が変化したときの第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第1の距離として算出し、
前記カッターと該カッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気をカッターとともに移動する第2磁気検出器によって検出し、
検出した磁気が変化したときのカッターの位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第2の距離として算出し、
第1の距離と第2の距離を直角三角形の二辺としてその関係からワイヤの角度を算出する
ことを特徴とするワイヤ角度算出方法。
【請求項2】
磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する前記第1磁気検出器をシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化を検出するとともに、
第1磁気検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの第1磁気検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの第1磁気検出器の位置に基づいて前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項3】
前記カッターが前記シート状部材の幅方向両端のワイヤ間で常に一本以上のワイヤと接触するように、該カッターによって前記シート状部材を切断しながら、前記第2磁気検出器が前記カッターと該カッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気抵抗を検出し、
ワイヤと接触していないカッターがワイヤと接触することにより磁気抵抗が変化したときのカッターの位置と、ワイヤと接触しているカッターがワイヤと接触しなくなることにより磁気抵抗が変化したときのカッターの位置に基づいて前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項4】
前記カッターによって切断したシート状部材をワイヤの長手方向に搬送した後、新たにシート状部材を切断してワイヤの角度を算出する際、
所定回数前の切断時に算出した第1の距離と直前の切断時に算出する第2の距離に基づいてシート状部材の幅方向所定位置のワイヤの角度を算出する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項5】
前記所定回数は、前記シート状部材の幅方向所定位置のワイヤの長手方向における前記第1検出器の移動方向との交差位置から前記第2検出器の移動方向との交差位置までの距離及び前記シート状部材の一回の搬送距離に基づいて設定する
ことを特徴とする請求項4に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項6】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの角度をそれぞれ算出するとともに、前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの算出角度と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの算出角度の角度差を算出する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項7】
互いに所定間隔をおいて平行にシート状部材の幅方向に移動する複数の前記第1磁気検出器によって前記シート状部材の表面における垂直方向の磁気をそれぞれ検出し、
各検出磁気が変化したときの各第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を各第1磁気検出器によってそれぞれ検出し、
前記シート状部材の幅方向一端のワイヤに対する各第1磁気検出器の検出位置におけるシート状部材の幅方向の距離を算出するとともに、前記シート状部材の幅方向他端のワイヤに対する各第1磁気検出器の検出位置におけるシート状部材の幅方向の距離を算出し、
前記各第1磁気検出器の間隔と前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの算出距離に基づいて前記シート状部材の幅方向一端のワイヤが前記ワイヤの長手方向となす角度を前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの変位度として算出するとともに、前記各第1磁気検出器の間隔と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの算出距離に基づいて前記シート状部材の幅方向他端のワイヤが前記ワイヤの長手方向となす角度を前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの変位度として算出する
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項8】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤに対して算出した変位度に基づいて前記シート状部材の幅方向所定位置のワイヤに対して算出した角度を補正する
ことを特徴とする請求項7に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項9】
前記シート状部材の幅方向中央のワイヤの角度を算出し、
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤに対して算出した変位度に基づいて算出角度を補正し、
該シート状部材の幅方向中央のワイヤに対して補正した角度を記憶する
ことを特徴とする請求項8に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項10】
前記シート状部材の幅方向所定位置のワイヤに対して補正した角度が所定範囲外の値であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のワイヤ角度算出方法。
【請求項11】
互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材を、ワイヤの長手方向と所定角度をなす方向に移動するカッターによって切断しながら、切断方向に対するワイヤの角度を算出するシート状部材のワイヤ角度算出装置であって、
前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化を検出する第1磁気検出器と、
該第1磁気検出器の位置を検出する磁気検出器位置検出手段と、
前記第1磁気検出器をワイヤと直交するように前記シート状部材の幅方向に移動する磁気検出器移動手段と、
前記カッターと該カッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気を検出する第2磁気検出器と、
前記カッターの位置を検出するカッター位置検出手段と、
前記第2磁気検出器とともに前記カッターを移動するカッター移動手段とを備え、
前記第1磁気検出器によって検出された磁気が変化したときの第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第1の距離として算出し、前記第2磁気検出器によって検出された磁気が変化したときのカッターの位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するとともに、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を第2の距離として算出し、第1の距離と第2の距離を直角三角形の二辺としてその関係からワイヤの角度を算出するように構成した
ことを特徴とするワイヤ角度算出装置。
【請求項12】
前記第1磁気検出器が有する磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し、該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する信号出力手段を備え、
該信号出力手段から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの第1磁気検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの第1磁気検出器の位置に基づいて前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するように構成した
ことを特徴とする請求項11に記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項13】
前記第1磁気検出器の磁性体を、シート状部材の表面における垂直方向に延びるように構成し、
前記磁気検出器移動手段を、前記磁性体の一端が前記シート状部材の表面との間に微小な間隙を保ちながら第1磁気検出器を移動するように構成した
ことを特徴とする請求項12に記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項14】
前記第2磁気検出器は前記カッターと該カッターからワイヤの長手方向に所定距離だけ離れた位置との間の磁気抵抗を検出する手段を有し、
前記カッターが前記シート状部材の幅方向両端のワイヤ間で常に一本以上のワイヤと接触するように、該カッターによって前記シート状部材を切断しながら、ワイヤと接触していないカッターがワイヤと接触することにより磁気抵抗が変化したときのカッターの位置と、ワイヤと接触しているカッターがワイヤと接触しなくなることにより磁気抵抗が変化したときのカッターの位置に基づいて前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するように構成した
ことを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項15】
シート状部材をワイヤの長手方向に搬送する搬送手段を備え、
前記カッターによって切断したシート状部材を搬送手段によって搬送した後、新たにシート状部材を切断してワイヤの角度を算出する際、所定回数前の切断時に算出した第1の距離と直前の切断時に算出する第2の距離に基づいてシート状部材の幅方向所定位置のワイヤの角度を算出するように構成した
ことを特徴とする請求項11乃至14の何れかに記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項16】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの角度をそれぞれ算出するとともに、前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの算出角度と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの算出角度の角度差を算出するように構成した
ことを特徴とする請求項15に記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項17】
互いに所定間隔をおいて平行にシート状部材の幅方向に移動する複数の前記第1磁気検出器によって前記シート状部材の表面における垂直方向の磁気をそれぞれ検出し、各検出磁気が変化したときの各第1磁気検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を各第1磁気検出器によってそれぞれ検出し、前記シート状部材の幅方向一端のワイヤに対する各第1磁気検出器の検出位置におけるシート状部材の幅方向の距離を算出するとともに、前記シート状部材の幅方向他端のワイヤに対する各第1磁気検出器の検出位置におけるシート状部材の幅方向の距離を算出し、前記各第1磁気検出器の間隔と前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの算出距離に基づいて前記シート状部材の幅方向一端のワイヤが前記ワイヤの長手方向となす角度を前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの変位度として算出するとともに、前記各第1磁気検出器の間隔と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの算出距離に基づいて前記シート状部材の幅方向他端のワイヤが前記ワイヤの長手方向となす角度を前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの変位度として算出するように構成した
ことを特徴とする請求項15又は16に記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項18】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤに対して算出した変位度に基づいて前記シート状部材の幅方向所定位置のワイヤに対して算出した角度を補正する補正手段を備えた
ことを特徴とする請求項17に記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項19】
算出角度を記憶する記憶手段を備え、
前記シート状部材の幅方向中央のワイヤの角度を算出し、補正手段によって算出角度を補正し、該シート状部材の幅方向中央のワイヤに対して補正した角度を記憶するように構成した
ことを特徴とする請求項18に記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項20】
前記各第1磁気検出器の間隔を前記搬送手段による一回のシート状部材の搬送距離以下に設定した
ことを特徴とする請求項17乃至19の何れかに記載のワイヤ角度算出装置。
【請求項21】
前記シート状部材の幅方向所定位置のワイヤに対して補正した角度が所定範囲外の値であるか否かを判定する角度判定手段を備えた
ことを特徴とする請求項17乃至20に記載のワイヤ角度算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2007−1068(P2007−1068A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181679(P2005−181679)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】