説明

シート肉盛を施されたエンジンバルブおよびその製作方法

【課題】 エンジンポペットバルブのシート肉盛加工における材料の無駄を省き、機械加工工程を少なくする方法を提供する。
【解決手段】 エンジンポペットバルブを製作するための改良された方法は、溶接工程中の溶落ちを防止するために、バルブ50にシート肉盛する前に、バルブヘッドの初期直径d1と、バルブのシート肉盛用の溝54と燃焼面18の間の境界部56の初期厚さt1とを有する未仕上げのポペットバルブを用意する。シート肉盛後にバルブヘッドを圧印加工することにより、境界部56の初期厚さt1を選択された厚さt2に小さくし、バルブヘッドの初期直径を最終的な、すなわち所望の直径に大きくする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に内燃エンジンのポペットバルブに関し、特に、シート肉盛が施されたエンジンポペットバルブを製作する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンのポペットバルブ、特に、ディーゼルおよび有鉛燃料エンジン用に供されている排気バルブなどの重荷重および中荷重用の排気バルブが、比較的高い温度で、どちらかというと腐食雰囲気中で作動することが当産業でよく知られている。エンジンのポペットバルブの製造では、バルブの表面を保護し、バルブの耐用寿命を上げるために、ポペットバルブを耐食性、耐磨耗性、耐摩損性、耐熱性のある合金で肉盛することが一般的に行なわれている。本願明細書で使用されている「肉盛」または「シート肉盛」という用語は、当産業でも使用される用語「硬化肉盛」を含むものとする。これらの用語は、所与の用途に要求される必要な耐磨耗性および耐食性を得るために、耐食性、耐磨耗性、耐摩損性、および/または耐熱性のある合金をバルブの表面に積層することを言う。例えばオートバイで使用されるより小さいエンジンのみならず高性能のエンジン用のポペットバルブ(吸気バルブおよび排気バルブの両方)にシート肉盛を施すことへの連続した関心がある。
【0003】一般に、肉盛材料は、ステライト合金(ステライトは、デロロステライト社(Deloro Stellite Company, Inc.)の登録商標)などのコバルト基の合金、または、イートナイト(イートナイトはイートン社(Eaton Corporation)の登録商標)のようなニッケル基の合金である。より最近には、鉄基の合金であるイートナイト6が使用されており、急速にコバルト基の合金と取って替わりつつある。シート肉盛用の他の合金として、ニッケル−クロム基の合金、またはニッケル−クロム−コバルト基の合金、または当産業で知られているさまざまなシート肉盛合金などがあるが、これらに限定されるものではない。肉盛は、通常、バルブが着座する表面に対して、溶接のような種々の高温技術によって施される。シート肉盛は、冶金と微細構造を制御できる方法で施されるのが好ましい。溶接のための一般的な熱源として、酸素アセチレントーチ、タングステンイナートガスアーク(TIG)、またはプラズマアーク(移行式アークまたは非移行式アーク)等を含むが、これらに限定されない。
【0004】移行式プラズマアーク工程は、火炎溶接工程に対して、より細かい微細構造とより狭い熱影響部(HAZ)とを実現する、正確に制御できる熱源とより低いエネルギー消費、粉体および別の原材料に対する自由度、より高い量産性、および最小の原材料廃棄物を含む、いくつかの利点を有するが、これらに限定されるものではない。
【0005】しかしながら、現在の移行式プラズマアーク(PTA)工程は、いくつかのバルブ用途においてトーチがシート肉盛用の溝からバルブヘッドのバルブ燃焼面までの間でバルブを溶落ちさせるような高温で動作する。この問題に対する自明の解決策は、ヒートシンクとして作用する原材料を燃焼面に単に付加することである。しかしながら、この選択は、無駄材としての材料自体のコストのみならず材料を後で取り除くのに必要な余分の機械加工により製造コストを増大させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、前述の「溶落ち」ならびに他の問題、そして特に、オートバイエンジンなど、小型内燃自動車に使用されるものなど、高性能のエンジンに使用されるような小さいポペットバルブのシート肉盛に関わるこの問題に対処した、エンジンポペットバルブをシート肉盛するための改良された方法の必要性が依然として存在している。この方法により、バルブヘッドにおけるPTAによる溶落ちを防止し、余分の材料を取り除くための不必要な機械加工作業を減少させ、または、無くすことが望ましい。
【0007】したがって、本発明の目的は、シート肉盛工程中の溶落ちを防止する、エンジンポペットバルブを製作するための改良された方法を提供することである。
【0008】本発明の他の目的は、小さいエンジンポペットバルブを製作するための改良された方法を提供することである。
【0009】本発明のさらに他の目的は、機械加工の段数を減少させる、エンジンポペットバルブを製作するための改良された方法を提供することである。
【0010】本発明のさらに他の目的は、移行式プラズマアーク溶接方法を用いてエンジンポペットバルブをシート肉盛するための改良された方法を提供することである。
【0011】本発明のさらに他の目的は、コスト的に優れ、かつ無駄材を減少させる、エンジンポペットバルブを製作するための改良された方法を提供することである。
【0012】
【問題を解決するための手段】本発明にしたがってエンジンポペットバルブを製作する方法において、本方法は、初期の頭部直径を有するバルブヘッドを形成するために原材料から未仕上げのポペットバルブを鍛造する工程と、シート肉盛用の溝を未仕上げのポペットバルブのバルブヘッドに形成する工程と、未仕上げのポペットバルブの、シート肉盛用の溝と燃焼面との境界部の初期厚さを与える工程と、シート肉盛用の溝にシート肉盛材料を付着させる工程と、境界部を初期厚さから最終厚さへ小さくし、かつバルブヘッドの直径を初期直径から、エンジンポペットバルブを仕上げるための所望の直径へ大きくするために、バルブヘッドを再加熱し、所望の頭部直径に圧印加工し、それと同時にシート肉盛材料を熱間成形して境界部を形成する工程とを含む。
【0013】他の態様において、本発明は、本発明の方法にしたがって製造されるエンジンポペットバルブに関する。
【0014】本発明を特徴付ける様々な新規な特徴は、この開示の一部を形成している特許請求の範囲に特に記載されている。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】最初に図1を参照すると、全体が参照番号10で示されているエンジンポペットバルブの側面図が示されている。図面は本発明を限定するものではなく、また、図面中の同じ数字は同じまたは類似の構成を示している。バルブ10は、軸12と、隅肉14と、全体が参照番号16で示されているバルブヘッド部とを有している。バルブヘッド部16は、エンジンの燃焼室(図示せず)の内側に面している燃焼面18を有している。バルブシート面20は、エンジンブロック、すなわちバルブシートインサート(図示せず)と係合する外周面である。バルブヘッド部16は、所与の用途に応じて所定の直径を有するバルブヘッド22をさらに有している。隅肉14は、バルブヘッド22を、先端24まで延びている軸12に連結する、内側にくぼむように先細になっている移行領域である。バルブスプリングのスプリングリテーナを収容する保持溝26が設けられることが多い。エンジンポペットバルブ10は、当該技術で知られているように、中実、または中空、または部分的に中実で部分的に中空にすることができる。エンジンポペットバルブ10の構造および機能は当産業でよく知られている。
【0017】本発明の方法は、中実のいかなるエンジンポペットバルブ、または中実のヘッド部と中空の軸とを有するエンジンポペットバルブに適用できる。例えば、本発明の方法は、後から中空の軸12に溶接される中実のヘッド部16を鍛造するのに使用できる。本発明の方法は、特定の用途に適し、かつ鍛造可能ないかなる金属バルブ材料をも用いることができる。適切な材料として、限定するものではないが、21−2N、21−4N、23−8Nのようなアメリカ自動車技術会(S.A.E.)エンジンバルブ(EV)シリーズのオーステナイト鋼、またはポペットバルブに使用される同様の組成物などがある。本発明の方法は、インコアロイズインターナショナル社(Inco Alloys International Inc.)の登録商標であるインコネル、またはヘンリーウィギン社(Henry Wiggin & Company, Ltd.)の登録商標であるニモニック等、さまざまな商品名で販売されている鍛練用のニッケル基の合金など、S.A.E.高温エンジンバルブ(HEV)シリーズの溶体化処理可能なスチールにも適用できる。
【0018】図2を参照すると、全体が30で示された、本発明による方法の工程図が示されている。この方法は、ピンのクロップ/面取り工程32、据込み/鍛造工程34、頭部/空胴の旋削工程36、移行式プラズマアーク(PTA)溶接工程38、圧印工程40、および任意の熱処理工程42を含む。これらの工程の各々を図3R>3〜7を参照しながらさらに詳しく説明する。任意の熱処理工程42は、方法30の最後の工程として示されているが、望まれるならば、方法のいずれかの工程の前または後でも可能である。同様に、当該技術で知られている種々の熱処理工程をどのような順序で用いてもよい。
【0019】ここで図3を参照すると、ピンのクロップ/面取り工程32が示されている。工程32では、所与の直径を有する原材料、例えば21−4Nのような金属バルブ材料の鍛練バー44が、まずロッド45を形成するために加工可能な長さに切断される。約3メートルの初期長を有するロッド45は、その後、約0.25〜0.4メートルの長さを有するピン46を形成するために切断または剪断される。それから、ピン46の一端48が、長さ約1〜2mmにわたって約45°の角度に面取りされる。これらの寸法は、説明のためにのみ記載されているのであり、本発明をそれに限定しようとするものでないことを理解すべきである。
【0020】方法30における次の工程は、据込み/鍛造工程34である。ピン47は、鍛造型52の内部で図3R>3に示されている、未仕上げのバルブ52を形成するように据込みおよび鍛造される。面取りされた端部48によって、据込みおよび鍛造工程34の間、ピン46を容易に位置決めしてまっすぐに保持することができる。図2R>2に示されている据込み/鍛造工程34は、特に、電気的に据込みおよび鍛造されるピンに関する。本発明は、図2に示されている個々の工程の変形例にも適用することができる。例えば、押出および叩き直し工程(当該技術で周知のバルブ製作工程)の据込み/鍛造工程では、バルブ軸の最終直径よりわずかに大きいピンとは対照的に、バルブ軸の直径よりはるかに大きい直径を有するスラッグが加熱され、スラッグの約半分がバルブ軸へと形成されるようにバルブ軸が押出加工される(バルブ軸の最終径よりわずかに大きい型に押し込まれる)。「タマネギ」部は、スラグの押出し加工されていない部分である。「タマネギ」という用語は、バルブヘッドの、大きい未仕上げ部のことを言う技術用語である。打直し工程は、バルブをほとんど完成状態に形成する据込み/鍛造工程34の鍛造工程と類似している。本発明は広範囲なバルブ製作方法に適用でき、本願明細書に記載されている個々の工程は、エンジンポペットバルブのシート肉盛における本発明の原理から逸脱せずに変更できることを理解すべきである。
【0021】据込みされたピン46は、未仕上げのバルブ50のヘッド部16の一部を形成するように構成された型52で所定の温度で鍛造される。軸12は、型52内で成形してもよいし、本発明の譲受人に譲渡され、参考として本願明細書に含まれている米国特許第4,741,080号に記載されているような方法で押出してもよい。
【0022】次に、図4〜7を参照すると、頭部/空胴の旋削工程36は、バルブヘッドをほぼその最終形状にするために、約23.5mmの、バルブヘッドの選択された初期直径(d1)なるように未仕上げのバルブ50のヘッド部16を旋盤またはフライス盤(図示せず)のような装置で旋削することを含む。旋削工程36はまた、本発明の方法30の据込みおよび鍛造工程34から生じた不完全部を取り除く。ヘッド部/空胴の旋削工程36は、図4と5からわかるように、旋盤を用いてシート肉盛用の空胴すなわち溝54をバルブヘッド部16に切削または「旋削」する工程を含む。シート肉盛用の空胴54は鍛造で形成してもよい。シート肉盛用の空胴54を鍛造で形成する場合、過度の気孔の発生を防止するために、PTAシート肉盛の前に、空胴54内の酸化物層を取り除くことが好ましい。シート肉盛用の溝54は、約2.5mmの曲率半径(r1)を有する。未仕上げのポペットバルブ50のシート肉盛用の溝54と燃焼面18との間のバルブシート境界部56の選択された初期厚さ(t1)が与えられ、この初期厚さ(t1)は約1.5mmである。シート肉盛用の溝54の下側縁端間の内径(L1)は、約19.36mm〜20.36mmである。図4は、約19.36mmの内径(L1)を有する未仕上げのポペットバルブ50を示し、図5は、内径(L1)が約20.36mmである同様の図である。
【0023】次は、シート肉盛用の溝54内の溶融材料を熱溶融する技術、予め成形されたリングを溝54内に溶接する技術、および溝54内にシート肉盛材料をレーザー被覆する技術(ただしこれらに限定されるものではない)を含む、よく知られた任意の数の技術によってシート肉盛用の溝54内にシート肉盛合金58(図6参照)を付着すなわち配置させる工程を含む移行式プラズマアーク工程38である。本発明で用いられる好適な技術は、イートナイト6材を用いた移行式プラズマアーク(PTA)溶接である。適切な移行式プラズマアーク溶接方法は、本発明の譲受人に譲渡され、参考として本願明細書に組込まれている米国特許第4,104,505号に記載されている。前述のように、両方とも本発明の譲受人に譲渡され、参考として本願明細書に組込まれている米国特許第4,075,999号および第4,943,698号に記載されているもの(ただし、これらに限定されない)を含んでいる広範囲なシート肉盛合金または硬化肉盛合金を本発明とともに使用できる。
【0024】シート肉盛材料58が付着させられた後、方法30の圧印工程40において、頭部直径(d2)が、図7および8からわかるように約23.5mmの初期直径(d1)から最終的な、すなわちバルブヘッド22の所望の直径まで、選択された大きさだけ増大するように、未仕上げのバルブ50が再加熱されて圧印加工される。本願明細書で使用されている用語「圧印工程」は、圧印工程中の「熱間成形」または「鍛造」という用語を含むものとする。圧印工程により、点線で初期寸法を示し、実線で最終的な、すなわち所望の寸法を示す図8R>8に最も分かりやすく示されているように、バルブヘッド22の内径(d1)はバルブヘッド22の選択された直径(d2)へ増大し、それと同時に、選択されたバルブシート境界部56の厚さ(t1)は厚さ(t2)へ小さくなる。こうして厚さ(t2)は、厚さ(t1)よりも約1/3小さい約0.5mm+0.2mmとなる。バルブの所与の用途に応じて、バルブヘッド22の初期直径(d1)およびバルブシート境界部56の初期厚さ(t1)は、バルブ材料、シート肉盛材料、および溶落ちさせずにPTAシート肉盛できる温度に基づいて選択的に与えられる。その後、圧印工程50により、バルブヘッド22の最終的な、すなわち所望直径(d2)とバルブシート境界部56の厚さ(t2)が与えられる。
【0025】図7は、バルブ10の面18に鍛造されたカップ状部60を備えている、完成した、すなわち仕上がったエンジンポペットバルブを示している。図6に示されているようなシート肉盛材料58の凸形状は、圧印工程40中にバルブヘッド22のバルブシート境界部56に熱間成形される。本発明の方法30は、圧印工程40中に突起物を鍛造できることが有利である。「突起物」という用語は、機械加工によって取り除かれる、境界部56上の表面層のことを言う。本発明の方法では、突起物を機械加工するのではなく、単に圧印工程50中に突起物を圧印加工する。
【0026】本発明の圧印工程50の圧印作業では、凸状のシート肉盛材料58を平らにし、燃焼面18とのバルブシート面境界部56を小さくし、ポペットバルブ10の燃焼面18と隅肉14上に鍛造仕上を残す。当該技術で知られているように、圧印温度は、使用される材料のタイプに応じて変わる。ここで使用されることが好ましい圧印温度は約1100℃である。
【0027】前述した方法で、本発明の方法30により、特に圧印工程40において、バルブシート境界部の厚さを(t1)から(t2)へ小さくし、バルブヘッド22の直径を(d1)から(d2)へ増大させる。このように、本発明の方法30によれば、溶落ちさせることなくPTAシート肉盛できるようにするために燃焼面に付加される原材料が追加されることはなく、また、機械加工に対しても条件は存在しない。
【0028】本発明の改良された方法は、従来の方法に対して以下の利点を有する。同じシート肉盛材料深度が維持しながら、より少ないシート肉盛材料が使用される。単に、シート肉盛合金が事実上機械加工によって取り除かれないという理由により、バルブシート境界部の近くに生じるシート肉盛合金の基材希釈度がより小さい。シート面から機械加工すなわち研削しなくてはならないシート肉盛材料がより少ない。溶接工程で生じる内部の気孔は、圧印により事実上取り除かれる。また、この改良された方法によって、薄く肉盛されたバルブをPTA溶接するために必要な、余分の材料を除去する必要が無くなる。本発明により作られるオーステナイトの排気バルブの場合、基材の微細構造は、高温鍛造作業により、単軸の形状から結合線の方向に沿った細長い形状に変化した粒形を有する。
【0029】ポペットバルブは所与の用途に応じて、鍛造の前または後の任意の熱処理工程42で溶体化処理または時効硬化させることも可能である。適切な熱処理方法は当産業および当業者によく知られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なエンジンポペットバルブの側面図である。
【図2】本発明の方法を示す工程図である。
【図3】本発明の方法の工程32と34にしたがってエンジンポペットバルブに加工される原材料の工程図である。
【図4】本発明の方法にしたがって加工されるエンジンポペットバルブの頭部の側面図である。
【図5】本発明の方法にしたがって加工されるエンジンポペットバルブの頭部の側面図である。
【図6】本発明の方法にしたがって加工されるエンジンポペットバルブの頭部の側面図である。
【図7】本発明の方法にしたがって加工されるエンジンポペットバルブの頭部の側面図である。
【図8】初期直径(d1)から最終直径(d2)への変化および初期厚さ(t1)から最終厚さ(t2)への変化を点線で示す、バルブヘッドの一部の拡大側面図である。
【符号の説明】
10 エンジンポペットバルブ
12 軸
14 隅肉
16 バルブヘッド部
18 燃焼面
20 バルブシート面
22 バルブヘッド
24 軸先端
26 保持溝
30 方法
32,34,36,38,40,42 工程
44 原材料
45 ロッド
46 ピン
50 未仕上げのポペットバルブ
54 シート肉盛用の溝
56 バルブシート境界部
58 シート肉盛合金

【特許請求の範囲】
【請求項1】 所望の頭部直径(d2)を有するエンジンポペットバルブ(10)を製作する方法(30)であって、初期の頭部直径(d1)を有するバルブヘッド(22)を形成するために原材料(44)から未仕上げのポペットバルブ(50)を鍛造する工程(34)と、シート肉盛用の溝(54)を前記未仕上げのポペットバルブ(50)のバルブヘッド(22)に形成する工程(36)と、前記未仕上げのポペットバルブ(50)の、前記シート肉盛用の溝(54)と燃焼面(18)との境界部(56)の初期厚さ(t1)を与える工程と、前記シート肉盛用の溝(54)にシート肉盛材料(58)を付着させる工程(38)と、前記境界部(56)を初期厚さ(t1)から最終厚さ(t2)へ小さくし、かつ前記バルブヘッド(22)の直径を前記初期直径(d1)から、前記エンジンポペットバルブ(10)を仕上げるための所望の直径(d2)へ大きくするために、前記バルブヘッド(22)を再加熱し、所望の頭部直径(d2)に圧印加工し、それと同時に前記シート肉盛材料(58)を熱間成形して前記境界部(56)を形成する工程(40)とを有する、エンジンポペットバルブの製作方法。
【請求項2】 前記付着させる工程(38)が、移行式プラズマアークを用いて溶接する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記エンジンポペットバルブ(40)がエンジン排気バルブである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 前記未仕上げのポペットバルブ(50)を鍛造する工程(34)が、ピン(46)を前記未仕上げのエンジンポペットバルブ(50)に据込み加工する工程と、前記ピン(46)を鍛造する工程(34)とをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】 請求項1に記載の方法(30)にしたがって製作されたエンジンポペットバルブ(10)。
【請求項6】 シート肉盛用の溝(54)と燃焼面(18)の境界部(56)が選択された厚さ(t2)を有し、バルブヘッド(22)が所望の厚さ(d2)を有するポペットバルブ(10)を製作する方法(30)であって、シート肉盛材料(58)を前記ポペットバルブ(10)の前記シート肉盛用の溝(54)に付着させる工程(38)を有する、ポペットバルブ(10)を製作する方法において、前記シート肉盛する工程中の溶落ちを防止するために、前記シート肉盛する工程(38)の前に未仕上げのエンジンポペットバルブ(50)にバルブヘッド(22)の初期直径(d1)と境界部(56)の初期厚さ(t1)を与える工程(36)と、前記境界部(56)を前記初期厚さ(t1)から選択された厚さ(t2)へ小さくし、かつ前記バルブヘッド(22)の直径を初期直径(d1)から所望の直径(d2)へ大きくして、前記エンジンポペットバルブ(10)を鍛造仕上げするために、シート肉盛する工程(38)の後に前記バルブヘッド(22)を再加熱して圧印加工する工程(40)とを有することを特徴とする、ポペットバルブの製作方法。
【請求項7】 前記再加熱して圧印加工する工程(40)が、前記シート肉盛材料(58)を凸の形状に伸ばすために前記未仕上げのポペットバルブ(50)の前記シート肉盛材料(58)を熱間成形し、鍛造仕上げする工程を含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】 前記シート肉盛する工程(38)が、移行式プラズマアーク方法を用いて溶接する工程を含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】 請求項6に記載の方法(30)にしたがって製作されたエンジンポペットバルブ(10)。
【請求項10】 請求項1に記載の方法(30)にしたがって製作されたエンジンポペットバルブ(10)であって、初期直径(d1)よりも大きい、バルブヘッド(22)の選択された直径(d2)と、初期厚さ(t1)よりも小さい、境界部(56)の選択された厚さ(t2)とを有するエンジンポペットバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−160039(P2002−160039A)
【公開日】平成14年6月4日(2002.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−276983(P2001−276983)
【出願日】平成13年9月12日(2001.9.12)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】Eaton Center,Cleveland,Ohio 44114,U.S.A.
【Fターム(参考)】