説明

シールドケース付パッケージ

【課題】基板の一面側に搭載された電子部品を樹脂封止して、パッケージの小型化を図ることができ且つ電子部品と基板とをボンディングワイヤを用いて電気的に接続できるシールドケース付パッケージを提供する。
【解決手段】基板16の一面側に搭載された電子部品を封止する封止樹脂層22が、横断面形状がコ字状の金属製のシールドケース14によって覆われたシールドケース付パッケージ10であって、シールドケース14の端部の一部が基板16の他面側に曲折されて曲折部14aに形成され、且つ曲折部14aが基板16の他面側に当接して、基板16にシールドケース14が装着されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はシールドケース付パッケージに関し、更に詳細には電子部品が搭載された基板の一面側が金属製のシールドケースによって覆われたシールドケース付パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が搭載された基板の一面側を金属製のシールドケースによって覆ったシールドケース付パッケージについて、例えば下記特許文献1には、図4に示すシールドケース付パッケージが提案されている。
図4に示すシールドケース付パッケージは、基板100の一面側を覆う金属製のシールドケース102の下端側に形成された爪部104,104・・の各々が、基板100の側面に形成された凹部106,106・・のうち、対応する凹部106に嵌め合わされている。
かかる図4に示すシールドケース付パッケージでは、図5の横断面図に示す様に、基板100の一面側に搭載された半導体素子等の電子部品108,108・・を覆うシールケース102の爪部104が、基板100の側面に形成された凹部106に嵌め合わされていると共に、凹部106の壁面に形成されためっき層110に、はんだ112によってはんだ付けされている。
尚、基板100の他面側には、複数の外部接続端子としてのはんだボール114,114・・が設けられている。
【特許文献1】特開平10−284935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図4及び図5に示すシールドケース付パッケージは、電子部品として高周波部品を基板の一面側に搭載したパッケージに好適に用いることができる。
しかし、従来のシールドケース付パッケージでは、図6に示す様に、側面に凹部106,106・・が形成された基板100を用いることが必要であるため、基板100の一面側に搭載された電子部品108,108・・を樹脂封止することは困難である。
つまり、図6に示す基板100を工業的に製造するには、図7に示す様に、複数の基板100,100・・が形成される大型の原基板200を形成した後、凹部106,106・・を形成する箇所に、楕円状貫通孔202,202・・を形成し、楕円状貫通孔202,202・・の内壁面に無電解めっき等によってめっき層110を形成する。
次いで、楕円状貫通孔202,202・・で囲まれた領域内に、種々の電子部品を搭載した後、楕円状貫通孔202,202・・の中心を通過するライン204,204・・に従って原基板200を切断して、図6に示す基板100を得ることができる。
その後、基板100にシールドケース102を被着し、基板100の側面に形成された凹部106,106・・の各々に、対応するシールドケース102の下端側に形成した爪部104を嵌め合わせてはんだ付けする。
【0004】
ここで、楕円状貫通孔202,202・・が形成された基板200の一面側に電子部品108,108・・を搭載した後、電子部品108,108・・を樹脂封止すると、封止樹脂が楕円状貫通孔202内に侵入し、シールドケース102の爪部104を嵌め合わせることができなくなるおそれがある。
この様に、基板100の一面側に搭載した電子部品108,108・・が樹脂封止されていないため、金属製のシールドケース102と電子部品108,108・・との接触を防止すべく、シールドケース102と電子部品108,108・・との間の必ず空間部を確保することを要し、パッケージの小型化の要請に対して限界が存在する。
また、電子部品108と基板100との電気的接続には、シールドケース102との接触するおそれのあるボンディングワイヤを用いることができず、フリップチップ接続方式しか用いることができなかった。このため、シールドケース付パッケージでも、電子部品108と基板100との電気的接続にボンディングワイヤを用いることが要請されている。
そこで、本発明は、従来のシールドケース付パッケージでは、基板の一面側に搭載した電子部品を樹脂封止できないという課題を解決し、基板の一面側に搭載された電子部品を樹脂封止して、パッケージの小型化を図ることができ且つ電子部品と基板とをボンディングワイヤを用いて電気的に接続できるシールドケース付パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前記課題を解決するには、シールドケース付パッケージ用の基板の側面に、シールドケースの爪部を嵌め合わす凹部を形成することなく、シールドケースを基板に装着することが有効であると考え検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、基板の一面側に搭載された電子部品を封止する封止樹脂層が、横断面形状がコ字状の金属製のシールドケースによって覆われたシールドケース付パッケージであって、前記シールドケースの端部の少なくとも一部が前記基板の他面側に曲折されて曲折部に形成され、且つ前記曲折部が前記基板の他面側に当接して、前記基板にシールドケースが装着されていることを特徴とするシールドケース付パッケージにある。
【0006】
かかる本発明において、曲折部を、基板の他面側に当接したとき、前記基板の他面側を弾発するバネ性を呈する曲折部とすることによって、シールドケースを基板に確実に装着できる。
また、シールドケースの曲折部が当接する基板の他面側の部分に、金属から成る接続パッド部を形成することによって、シールドケースの曲折部と基板の接続パッド部とをはんだ付けして、シールドケースを基板に強固に装着できる。
更に、基板の一面側に搭載した電子部品と前記基板の一面側に形成したボンディングパッドとをボンディングワイヤによって電気的に接続し、且つ前記ボンディングワイヤを封止樹脂層に封止することによって、ボンディングワイヤとシールドケースとの接触を確実に防止できる。
ここで、シールドケースの内面と封止樹脂層の表面とが密着するように、前記シールドケースを基板に装着することによって、シールドケース付パッケージの小型化を図ることができる。
尚、基板の一面側に形成したボンディングパッドとボンディングワイヤによって電気的に接続する電子部品として、半導体素子を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るシールドケース付パッケージでは、その基板の側面にシールドケースを装着する装着部を形成することを要しないため、基板の一面側に搭載した電子部品を封止する封止樹脂層を形成できる。
このため、シールドケースと電子部品との接触を確実に防止でき、電子部品とシールドケースとの間に空間部を形成することを要せず、シールドケース付パッケージの小型化を図ることができる。
また、基板の一面側に搭載した電子部品と基板とをボンディングワイヤによって電気的に接続しても、電子部品及びボンディングワイヤを封止する樹脂封止層を形成することができ、ボンディングワイヤとシールドケースとの接触を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係るシールドケース付パッケージの一例を図1に示す。図1に示すシールドケース付パッケージ10は、パッケージ本体12を覆うように、金属製のシールドケース14が装着されている。このシールドケース14は、洋白等の銅、ニッケル、亜鉛の合金によって形成されており、厚さは50μm程度である。
かかるシールドケース付パッケージ10の横断面図を図2に示す。パッケージ本体12は、基板16の一面側に、半導体素子18aやコンデンサ18b等の電子部品が搭載されており、半導体素子18aの電極(図示せず)と基板16の一面側に形成されたボンディングパッド部(図示せず)とは、金のボンディングワイヤ20,20によって電気的に接続されている。これらの電子部品及びボンディングワイヤ20,20は、封止樹脂層22を形成する封止樹脂によって封止されている。
【0009】
かかる封止樹脂層22を覆うシールドケース14は、横断面形状がコ字状であって、その下端部の一部が基板16の他面側に曲折されて曲折部14aに形成されている。この曲折部14aは、基板16の他面側に形成された接続パッド部24,24に当接し、基板16に装着されている。
図2に示すシールドケース14の曲折部14aは、「レ」字状に折り込まれており、基板16の接続パッド部24,24に当接したとき、接続パッド部24,24を弾発するバネ性を呈することができ、シールドケース14を確実に基板16に装着できる。
この曲折部14aと接続パッド部24,24との当接箇所を、はんだ付けすることによって、シールドケース14を更に一層強固に基板16に装着できる。
尚、基板16の他面側には、シールドケース付パッケージ10の外部接続端子としてのはんだボール26,26・・が装着されている。
【0010】
図1及び図2に示すシールドケース付パッケージ10では、シールドケース14が、その内面と封止樹脂層22の表面とが密着した状態で基板16に装着されている。半導体素子18a等の電子部品及び半導体素子18aと基板16とを電気的に接続するボンディングワイヤ20が、封止樹脂層22によって樹脂封止されており、シールドケース14を、その内面と封止樹脂層22の表面とを密着した状態で基板16に装着しても、シールドケース14と電子部品やボンディングワイヤとが接触するおそれをなくすことができる。その結果、電子部品とシールドケース14との間に空間部を形成することを要せず、シールドケース付パッケージの小型化を図ることができる。
【0011】
図1及び図2に示すシールドケース付パッケージ10を製造する際には、先ず、パッケージ本体12を形成する。
かかるパッケージ本体12は、複数枚の基板16を形成できる大型の原基板を形成する。この原基板には、図7に示す楕円状貫通孔202,202・・等の貫通孔は形成しない。
この原基板の一面側に、各基板16に該当する部分の一面側の所定箇所に半導体素子18aやコンデンサ18b等の電子部品を搭載した後、搭載した半導体素子18aと基板16に該当する部分とをボンディングワイヤ20によって電気的に接続する。
次いで、各基板16に該当する部分を樹脂モールドし、各基板16に該当する部分に搭載した電子部品及びボンディングワイヤ20を封止する封止樹脂層22を形成する。その後、原基板を切断することによって、所定形状のパッケージ本体12を形成できる。
尚、基板16の裏面側に形成する接続パッド部24,24は、外部接続端子としてのはんだボールを装着する端子接続パッド(図示せず)を基板16の裏面側に形成するとき、同時に形成することが好ましい。
【0012】
得られたパッケージ本体12を、予めプレス加工等によって形成しておいたシールドケース14に挿入して装着し、パッケージ本体12の各曲折部14aと基板16の各接続パッド部24とを一致させる。
更に、パッケージ本体12を基板16に更に強固に固定しようとする場合には、パッケージ本体12の各曲折部14aと基板16の各接続パッド部24との当接部とを、はんだ付けすることが好ましい。
ここで、図1及び図2に示すシールドケース14では、その下端部の一方側に、曲折部14aが1個形成されているが、複数個の曲折部14aを形成してもよい。この様に、下端部の一方側に複数個の曲折部14aを形成したシールドケース14では、基板16に確実にシールドケース14を装着できる。
また、図3に示すシールドケース14の様に、その下端部の一方側の端縁に沿って曲折部14aを形成してもよい。この場合、パッケージ本体12をシールドケース14の一方側から挿入して装着する際に、パッケージ本体12の過挿入を防止すべく、シールドケース14の他方側にストッパ14bを形成することが好ましい。
図1〜図3についての説明では、搭載した半導体素子18aと基板16とをボンディングワイヤ20によって電気的に接続しているが、半導体素子18aと基板16とをフリップチップ接続方式で電気的に接続してもよいことは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るシールドケース付パッケージの一例を説明する斜視図である。
【図2】図1に示すシールドケース付パッケージの横断面図である。
【図3】本発明で用いることのできるシールドケースの他の例を示す斜視図である。
【図4】従来のシールドケース付パッケージを説明する斜視図である。
【図5】図4に示すシールドケース付パッケージの横断面図である。
【図6】図5に示すシールドケース付パッケージに用いられている基板100の斜視図である。
【図7】図6に示す基板100を形成する原基板の斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
10 シールドケース付パッケージ
12 パッケージ本体
14 シールドケース
14a 曲折部
16 基板
18b コンデンサ
18a 半導体素子
20 ボンディングワイヤ
22 封止樹脂層
24 接続パッド部
26 はんだボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面側に搭載された電子部品を封止する封止樹脂層が、横断面形状がコ字状の金属製のシールドケースによって覆われたシールドケース付パッケージであって、
前記シールドケースの端部の少なくとも一部が前記基板の他面側に曲折されて曲折部に形成され、且つ前記曲折部が前記基板の他面側に当接して、前記基板にシールドケースが装着されていることを特徴とするシールドケース付パッケージ。
【請求項2】
曲折部が、基板の他面側に当接したとき、前記基板の他面側を弾発するバネ性を呈する曲折部である請求項1記載のシールドケース付パッケージ。
【請求項3】
シールドケースの曲折部が当接する基板の他面側の部分に、金属から成る接続パッド部が形成されている請求項1又は請求項2記載のシールドケース付パッケージ。
【請求項4】
基板の一面側に搭載された電子部品と前記基板の一面側に形成されたボンディングパッドとがボンディングワイヤによって電気的に接続され、且つ前記ボンディングワイヤが封止樹脂層に封止されている請求項1〜3のいずれか一項記載のシールドケース付パッケージ。
【請求項5】
基板の一面側に形成されたボンディングパッドとボンディングワイヤによって電気的に接続されている電子部品が、半導体素子である請求項4項記載のシールドケース付パッケージ。
【請求項6】
シールドケースの内面と封止樹脂層の表面とが密着されるように、前記シールドケースが基板に装着されている請求項1〜5のいずれか一項記載のシールドケース付パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−147572(P2008−147572A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335958(P2006−335958)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】